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論文内容の要旨 主 論 文

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Academic year: 2021

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Punita Gauchan

論文内容の要旨

主 論 文

Continued Circulation of G12P[6] Rotaviruses Over 28 months in Nepal: Successive Replacement of Predominant Strains

ネパールで28か月にわたり連続して流行した G12P[6]型ロタウイルス:

優勢株の引き続く交代

Punita Gauchan, 中込とよ子, Jeevan B. Sherchand, 横尾美智代, Basu Dev Pandey, Nigel A. Cunliffe, 中込 治

Tropical Medicine and Health, in press

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科新興感染症病態制御学系専攻

(主任指導教員:中込 治 教授)

緒 言

ロタウイルスは乳幼児における重症下痢症の原因としてもっとも重要な病因である。

ロタウイルス下痢症の予防のためにワクチンが開発されてきた。ワクチンによる防御 免疫の形成にはウイルス粒子の2つの表面抗原(G 型および P 型)が関与していると 考えられてきており、その地域的および継時的変化とその要因の探究がロタウイルス の分子疫学の中心的課題になっている。ネパールでは、当教室による先行研究により 世界の他の地域にはほとんど見られない遺伝子型である G12P[6]のロタウイルス株が 優勢を占め、この優勢状態が長期にわたり続いていることが見いだされた。温帯地方 での研究によれば、各流行期に新しい株が出現し、同一の遺伝子型が2つ以上の流行 期にまたがって優勢となるときでも、同じ株ではなく異なる株が流行することが報告 されている。しかし、温帯地方では、ロタウイルスの流行には強い季節性があり、各 流行期の間に流行が断絶する期間(すなわちウイルス株が消失する期間)があるため、

新しい株がどこかから侵入してくると考えられている。本研究は、ネパールでは、年 間を通してロタウイルスが流行していることから、同一の遺伝子型が連続して流行す るときに、同一のウイルス株が連続して流行するのか、それとも新しいウイルス株に 次々と置き換わっていくのかという問題の解明に適した条件がそろっていると考え、

この問いに明確な答えを出すことを目的とした。

対象と方法

ネパールの首都カトマンズにある同国最大のカンティ小児病院において、2007 年 11 月から 2010 年 2 月までの 28 か月間に検出された 539 のロタウイルス陽性検体を出発 材料とした。便検体の 10%乳剤から QIAamp Viral RNA Mini Kit (QIAGEN)によりゲノ ム RNA を抽出し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)によりゲノム 11 分節の 泳動パターン(electropherotype)を調べ、electropherotype が同一の検体を同一のウ

(2)

イルス株と定義した。G12P[6]のロタウイルスの同定は RT-PCR 法により、185 検体を 同定した。このうち、PAGE により electropherotype を決定できたものは 147 検体で あった。

結 果

G12P[6]型のロタウイルス検体で electropherotype を決定できた 147 検体を 15 の electropherotype に分類することができた。すなわち、28 か月間に 15 株の G12P[6]

型のロタウイルスが流行していたことになる。このうち、出現頻度が 10%以上あった 優勢株は、LP1, LP24, and LP27 の3株であり、それぞれの相対出現頻度は 10%, 32%

および 38%であった。LP1 は 2007 年 11 月から 2008 年 4 月まで流行し、この期間の G12P[6]ウイルスの 62%を占めた。LP24 は 2008 年 10 月に出現し、2009 年の 3 月まで 優勢株として流行し、この期間の G12P[6]ウイルスの 79%を占めた。LP27 は、LP24 が まだ優勢を保っていた 2009 年 3 月に初出現し、翌月には 60%を占めるようになり、2010 年 2 月には 100%を占めるまでになった。LP27 が出現していた期間全体では、G12P[6]

ウイルスの 67%を占めた。

考 察

ネパールでは G12P[6]型のロタウイルスが連続して優勢遺伝子型として流行している が、本研究により、これが単一の G12P[6]株が連綿として流行しているのではなく、

一時期には1つの優勢株が少数の劣勢株とともに一定期間流行し、これが新たな優勢 株に次々と置き換わっていくというダイナミックな変化をしていることがわかった。

このようなダイナミックな変化に関しては、Doan et al (2011)が G2 型ロタウイルス の VP7 遺伝子の 34 年間にわたる変化をデータベースに登録されたすべての G2 型ロタ ウイルス塩基配列情報を解析することにより発見している。本研究は、このようなダ イナミズムがウイルスの「遺伝子分節」レベルだけはなく、ウイルス「株」のレベル でも起こっていることを明らかにしたと考える。ロタウイルスは、次々に出現するウ イルス株のプールの中から、そのときの条件にもっとも適したウイルス株が選択され、

優勢を占め、これが一時期続くと、また新しいより適したウイルス株によってとって かわられるという進化のしかたをしているものと考えられる。

参照

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