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第 1 部 2012 White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan 第 1 節 我が国経済の動向 1 大震災後の我が国の景況 第 図 第 図 実質 GDP 成長率と需要項目別寄与度の推移 1 中小企業白書 (2011

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(1)

2011年度の中小企業の動向

我が国経済は、東日本大震災の影響による落ち込みから回復しつつあるものの、円高や世界経済

の減速等の影響により、次第に回復の動きが緩やかになってきている。

また、中小企業の景況は、大震災後、持ち直してきていたが、これまでの円高、原燃料の価格高

騰、電気料金の引上げ、電力需給の逼迫等の影響が懸念され、2012 年に入って横ばいの動きと

なっている。

今後とも経済状況及び中小企業の動向を注視しつつ、中小企業対策を適切に講じていく。

(2)

1

我が国経済の動向

本節では、東日本大震災後の落ち込みから早期

に回復した我が国経済が、円高、世界経済の減速

等の影響により、次第に回復の動きが緩やかに

なってきていることを概観する。

大震災後の我が国の景況

東日本大震災の発生後、我が国経済は、地震・

津波による直接的な被害に加えて、サプライ

チェーンの寸断や電力供給制約の発生等によっ

て、事業活動が停滞するなど大きな影響を受け

た。その結果、輸出も大幅に減少した。また、消

費マインドの冷え込みによる買い控えや自粛ムー

ドの拡大は、原子力災害に関連する風評拡大と相

まって、飲食・旅行・宿泊分野で国内外からの来

客数の大幅な減少を招くなど、個人消費にも大き

な影響を与えた

1

しかしながら、こうした状況は、大震災発生か

ら3か月後の2011年6月前後から改善に転じた。

そして、同年夏までには多くの企業で事業活動が

正常化するなどし、同年7-9月期の実質GDPは、

回復した輸出と個人消費に牽引されて、4四半期

ぶりにプラス成長となった(第1-1-1図)。

第1-1-1図

実質GDP成長率と需要項目別寄与度の推移

▲2.0 0.0 2.0 4.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 09 10 11 家計 民間企業設備 民間在庫品増加 公需 輸出 輸入 成長率 資料:内閣府「国民経済計算」 (注) 1.実質 GDP は 2005 年暦年連鎖価格 GDP。 2.2011 年第 4 四半期は速報値(2 次)である。 (前期比季節調整値、%、%ポイント) (年期) ▲4.0 ▲6.0 ▲8.0 ▲3.9 1.8 ▲0.2 1.8 1.5 1.3 0.6 ▲0.2 ▲1.8 ▲0.3 1.7 ▲0.2

(3)

こうした急速な回復の要因としては、大震災直

後の自粛ムードが早期に和らいだこと、産業界で

節電や電力使用平準化の取組が浸透したこと、サ

プライチェーンの寸断による供給難から回復した

自動車の生産・出荷が伸びたこと、7月末の住宅

エコポイント終了や地上デジタル放送完全移行を

受けた駆け込み需要が生じたこと、さらには、復

興需要や、家庭での節電意識の高まりを背景とし

た、省エネルギー製品への買い換え需要の拡大等

が挙げられる。

その一方で、2011年3月には円が対ドルで急騰

し、1995年の最高値を更新、その後も、欧州債

務問題の顕在化等を背景に世界経済の減速懸念が

高まったことで、円は対ドル・対ユーロで上昇基

調が続き、輸出関連産業にとって厳しい状況が続

いた。さらに、2011年7月にはタイで大規模な洪

水が起こり、10月にはバンコク郊外の工業団地

で相次いで冠水や浸水が発生した。現地に進出し

ている中小企業も被災し、一部では長期間の操業

停止に追い込まれる事態となった。このため、同

年 10-12 月期の実質 GDP は再びマイナス成長と

なった。

こうした動きを内閣府「景気ウォッチャー調

査」で見てみる。

現状判断DIは、大震災の発生を受けて2011年

3月に大幅な落ち込みを示した後、5月以降は大

幅な上昇に転じ、大震災発生から3か月後の6月

には、大震災前の水準にまで回復した。しかしな

がら、8月以降は再び低下傾向に転じ、10月以降

はほぼ横ばいの状態が続いている(第1-1-2図)。

第1-1-2図

全国の現状判断DIの推移

15.9 48.4 27.7 28.3 49.6 45.9 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 08 09 10 11 12 52.6 (DI) (年月) 資料:内閣府「景気ウォッチャー調査」 (注) 1.景気ウォッチャー調査は、全国 11 地域においてタクシー運転手、商店主等景気を肌で感じる職業の人に「街角の景況感」 をヒアリングし DI 化する調査。 2.各月の調査は月末。 3.景気の現状判断 DI は、景気の現状に対する 5 段階の判断にそれぞれ次の点数を与え、これらを各回答区分の構成比(%) に乗じて算出している。「良くなっている」+1、「やや良くなっている」+0.75、「変わらない」+0.5、「やや悪くなっている」 +0.25、「悪くなっている」0。

1

(4)

生産・輸出の動向

次に、大震災後の生産及び輸出の動向を見てい

く。

大震災発生直後、我が国製造業の生産・出荷活

動は、大震災による生産設備の毀損やサプライ

チェーンの寸断等により、大きく低下した。鉱工

業生産指数を用いて製造工業生産指数の動きを見

ると、大震災直前の2011年2月の97.9から、3月

には82.7まで低下している。これは、リーマン・

ショック後の2008年12月に記録した生産の落ち

込みを上回る過去最大の下げ幅であった(第

1-1-3図左)。

輸出額も2011年4月に前年同月比▲12.4%の大

幅な低下を記録した。特に、ジャスト・イン・タ

イム方式の採用により、部品・中間財等の在庫水

準が恒常的に低く、また、部品産業等多様な裾野

産業が、被災地域を始め全国に幅広く展開してサ

プライチェーンを構成している自動車産業では、

大震災の影響はとりわけ大きかった。同年4月の

自動車等の輸出額は前年同月比▲51.5%と、輸出

全体の減少率を大幅に上回る著しい減少となった

(第1-1-3図右)。

しかしながら、その後、被災設備の修復や代替

施設での生産、代替調達先の確保等により、サプ

ライチェーンの復旧は急速に進んだ。その結果、

生産・出荷活動と輸出は同年5月頃から持ち直し

に向かい、夏頃には生産水準はおおむね大震災前

の水準にまで回復した。夏以降、生産の回復ペー

スは緩やかになっているが、自動車を始めとする

輸送機械工業は、引き続き増加傾向が続いてい

る。

他方、輸出は世界経済の減速等を背景に、2011

年10月以降再び大幅な減少が続いている。大震

災直後には我が国製造業の生産・出荷活動の停滞

により、全ての地域向けの輸出が減少したのとは

対照的に、同年10月以降の輸出の減少は、中国、

台湾等アジア向け輸出の減少が主因となっている

(第1-1-4図)。

第1-1-3図

我が国の生産・輸出の推移

輸送機械工業(船舶・鉄道車両を除く) 製造工業 輸出全体 鉄道用及び軌道用以外の車両並びに その部分品及び附属品 0.0 0 20 40 60 80 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 09 10 11 12 (前年同月比、%) 98.6 49.6 47.4 106.3 97.9 82.7 95.2 40 50 60 70 80 90 100 110 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 09 10 11 12 資料:財務省「貿易統計」 資料:経済産業省「鉱工業生産指数」 (年月) (年月) 輸出 生産 ▲80 ▲60 ▲40 ▲20 ▲51.5 ▲12.4 ▲9.2 (季節調整値、2005 年=100)

(5)

第1-1-4図

我が国の輸出の伸びと地域別寄与度の推移

9.0 2.8 2.3 0.0 5.0 10.0 15.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 11 12 (前年同月比、%、%ポイント) (年月) ▲15.0 ▲10.0 ▲5.0 資料:財務省「貿易統計」 ▲9.2 ▲8.0 ▲4.5 ▲3.8 ▲12.4 アジア EU 米国 その他 全体

為替

大震災後の落ち込みからの早期の回復を果たし

た我が国経済であるが、欧州債務問題の顕在化等

を背景とする海外経済の減速と円高の継続は、震

災復興関連の需要等により、緩やかに回復すると

見られていた我が国経済の先行きを、再び不透明

なものとしつつある。特に、長期化する円高は、

輸出産業の競争力を低下させ、企業収益を圧迫す

るとともに、輸出を行っていない国内企業でも、

コスト引下げ圧力の高まりで収益環境が悪化しつ

つある。

2011年に入って、円安基調で推移していた対

ドルの為替レートは、同年3月に急騰し、1995年

の最高値を更新したものの、その後は4月まで、

円安基調が続いた(第1-1-5図)。しかしながら、

その後、再び上昇に転じ、2011年10月には過去

最高値を付けた。その後は、2012年2月まで多少

の変動を繰り返しながらも、1ドル70円台後半の

水準で横ばい傾向が続いた。一方、対ユーロの為

替レートもドルと同様、2011年4 月以降円高傾向

が続いており、2012年1月には、米格付け大手ス

タンダード・アンド・プアーズがフランス等ユー

ロ圏9か国の国債を一斉に格下げしたことを受け、

約11年ぶりの円高・ユーロ安となった。

1

(6)

第1-1-5図

為替レートの推移

78.9 75.8 76.1 97.2 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 75 80 85 90 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 11 12 円/ドル(左軸) 円/ユーロ(右軸) (円/ドル) (年月) (円/ユーロ) 為替レート(2011 年以降) 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 70 80 90 100 110 120 130 140 150 (円/ドル) (年) (円/ユーロ) 資料:Bloomberg (注) 為替レートは日次のデータを使用している。 長期為替レート 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

2

中小企業の動向

前節では、2011年度の我が国経済の動向を概

観し、大震災後我が国経済は輸出を中心に大きく

落ち込んだが、供給制約を早期に克服したことに

より、その回復も早かったこと、しかしながら、

同年4月以降の急速な円高の影響が現れてきてい

ること等を見てきた。

本節では、中小企業の景況感、生産、資金繰

り、雇用等の状況を中心に見ていく。

景況感

まず、大震災後の景況感を、中小企業庁・(独)

中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」(以

下「中小企業景況調査」という)で見てみる。中

小企業の業況判断DIは、大震災直後の2011年4-6

月期に大きく落ち込んだ後、同年7-9月期には持

ち直したが、その後はおおむね横ばいの動きと

なっている(第1-1-6図)。

(7)

第1-1-6図

中小企業の業況判断DIの推移

▲26.3 ▲34.8 ▲26.6 ▲24.3 ▲24.2 ▲60.0 ▲50.0 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 09 10 11 12 (DI、前期比季節調整値) (年期) 資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 1.全国の商工会、商工会議所の経営指導員及び中小企業団体中央会の調査員による聴き取り調査。 2.業況判断DIは、前期に比べて、業況が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。

続いて、全国中小企業団体中央会「中小企業月

次景況調査」(以下「中小企業月次景況調査」と

いう)で中小企業の景況感を見てみる。大震災後

の中小企業の景況DIは、大震災前の2011年2月

と比べ、同年4月にはマイナス20ポイントの大幅

な悪化となったが、その時点で底を打ち、5月か

らマイナス幅の縮小に転じ、7月まで順調な回復

を続けた。8月以降も引き続き改善傾向にあるが、

そのペースは徐々に緩やかになってきている(第

1-1-7図)。

第1-1-7図

中小企業の景況DIの推移

▲38.2 ▲58.2 ▲41.4 ▲60.0 ▲55.0 ▲50.0 ▲45.0 ▲40.0 ▲35.0 ▲30.0 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 10 11 12 (DI、前年同月比) (年月) 資料:全国中小企業団体中央会「中小企業月次景況調査」 (注) 1.都道府県中央会に設置されている情報連絡員(中小企業の組合(協同組合、商工組合等)の役職員約 2,700 名に委嘱。)に よる調査。 2.景況DIは、前年同月に比べて、景況が「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。

2

(8)

また、地域別の業況判断DIを見ると、大震災

の直接的被害が大きかった東北地方や関東地方等

では、復興需要等を背景に、2011年7-9月期は、

大幅にマイナス幅が縮小したが、10-12月期は、

北海道等の一部地域を除き、マイナス幅の縮小は

わずかなものにとどまり、改善傾向は頭打ちと

なっている。業種別の業況判断DIを見ると、い

ずれの業種も大震災直後の同年4-6月期は大幅な

低下を示したものの、7-9月期には大きく改善に

転じている。しかしながら、10-12月期には、製

造業、小売業、サービス業を中心に、マイナス幅

の縮小はわずかなものにとどまり、2012年1-3月

期には、卸売業、小売業、サービス業でマイナス

幅が拡大している(第1-1-8図)。

第1-1-8図

地域別・業種別の業況判断DIの推移

▲60.0 ▲50.0 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 ▲60.0 ▲50.0 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 (DI、前期比季節調整値) (DI、前期比季節調整値) 業種別 地域別 製造業 建設業 卸売業 小売業 サービス業 11年4-6月期 11年4-6月期 11年4-6月期 11年4-6月期 11年4-6月期 11年4-6月期 11年4-6月期 11年4-6月期 資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 期間は 2009 年 1-3 月期∼ 2012 年 1-3 月期。 北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄

(9)

売上・収益

次に、中小企業の売上・収益動向を見てみる。

まず、中小企業の売上高は、大震災の影響を受け

て、2011 年 4-6 月 期 に は 製 造 業 で 前 年 同 期 比

▲28.2%、非製造業で同▲22.6%の大幅な減少と

なった。その後、前年同期比マイナス幅は縮小し

ているものの、減収が続いている(第1-1-9図)。

また、売上高経常利益率については、総じて、大

企業に比べて、低水準にある(第1-1-10図)。

第1-1-9図

規模別・業種別の売上高伸び率の推移

▲28.2 ▲11.6 1.1 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 08 09 10 11 資料:財務省「法人企業統計季報」 (注) 資本金 1 億円以上を大企業、1 千万円以上 1 億円未満を中小企業としている。 (前年同期比、%) 製造業 (年期) (年期) ▲8.0 6.5 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 08 09 10 11 (前年同期比、%) ▲22.6 非製造業 中小企業 大企業 中小企業 大企業

第1-1-10図

規模別・業種別の売上高経常利益率の推移

3.5 3.4 ▲4.0 ▲3.0 ▲2.0 ▲1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 09 10 11 (%) 3.9 2.9 ▲4.0 ▲3.0 ▲2.0 ▲1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ 09 10 11 (%) (年期) (年期) 資料:財務省「法人企業統計季報」 (注) 資本金 1 億円以上を大企業、1 千万円以上 1 億円未満を中小企業としている。 製造業 非製造業 大企業 中小企業 大企業 中小企業

2

(10)

生産

大震災後の中小企業の生産動向を見てみる。中

小企業の製造工業生産指数は、大震災の発生した

2011年3月に過去最大の下げ幅を示したが、同年

6月にはほぼ大震災前の水準に回復した(第1-1-11図)。

第1-1-11図

規模別の製造工業生産指数の推移

97.9 82.7 95.2 92.6 85.4 92.9 94.0 95.1 65 70 75 80 85 90 95 100 105 全企業 中小企業 資料:経済産業省「鉱工業生産指数」、中小企業庁「規模別製造工業生産指数」 (季節調整値、2005 年 =100) (年月) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 09 10 11 12

業種別に見ると、鉄鋼業、一般機械工業、電気

機械工業等は同年6月頃までには、大震災前の水

準に回復した。大震災直後の落ち込みが特に大き

かった輸送機械工業も、その後急速に回復し、同

年8月頃にはおおむね大震災前の水準に回復した。

しかしながら、電子部品・デバイス工業では、大

震災後も生産の低下が続いている(第1-1-12図)。

こうした中小製造業の生産の動きを、被災地と

被災地以外に分けて見てみると、大企業製造業で

は、サプライチェーンの寸断等により、被災地だ

けでなく、被災地以外の企業の生産も大きく低下

した一方、中小製造業では、生産が大きく落ち込

んだのは被災地の企業だけであった。被災地の中

小製造業の生産は、大企業製造業に比べ、当初は

回復が遅れていたが、その後緩やかに回復を続け

た結果、同年12月には大震災前の水準にまで回

復した(第1-1-13図)。

(11)

第1-1-12図

規模別・業種別の製造工業生産指数の推移

40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 (季節調整値、2005 年=100) 資料:経済産業省「鉱工業生産指数」、「生産動態統計調査」、中小企業庁「規模別製造工業生産指数」再編加工 (注) 1.期間は 2009 年 1 月∼ 2012 年 1 月。 2.大企業の数値は「鉱工業生産指数」、「生産動態統計調査」、「規模別製造工業生産指数」を再編加工して試算。 11 年 3 月 11 年 3 月 11 年 3 月 11 年 3 月 11 年 3 月 11 年 3 月11 年 3 月 11 年 3 月 11 年 3 月 実線は中小企業、破線は大企業 鉄鋼業 製造工業 一般機械工業 電気機械工業 電子部品・デバイス工業 輸送機械工業 化学工業 食料品・たばこ工業

第1-1-13図

被災地及び被災地以外の規模別生産指数の推移

88.5 66.8 93.9 87.6 95.4 60 70 80 90 100 110 120 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 12 1 08 09 10 11 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9101112 12 1 08 09 10 11 被災地 被災地以外 (2005 年 =100) (年月) (年月) 中小製造業 83.5 97.4 99.8 63.4 90.1 60 70 80 90 100 110 120 (2005 年 =100) 大企業製造業 資料:経済産業省「鉱工業生産指数」、「生産動態統計調査」、中小企業庁「規模別製造工業生産指数」再編加工 (注) 1.大企業の数値は「鉱工業生産指数」、「生産動態統計調査」、「規模別製造工業生産指数」を再編加工して試算。 2.本試算指数は、東日本大震災(長野県北部地震を含む。)にて、災害救助法の適用を受けた市区町村(東京都の帰宅困難者 対応を除く。)を「被災地」とし、適用を受けていない地域を「被災地以外」として、指数の基礎データである経済産業省「生 産動態統計調査」の事業所所在地別に2区分ごとに集計して指数計算したもの。規模別製造工業生産指数(全国)のウエイト、 基準数量を分割し、季節指数は全国のものを両地域とも使用している。

2

(12)

資金繰り

大震災後の中小企業の資金繰りDIは、中小企

業景況調査によると、中小企業全体、小規模企業

ともに、大震災直後の2011年4-6月期に大幅に悪

化した後、同年7-9月期には大震災前の水準に回

復し、その後は緩やかに改善している(第1-1-14図)。中小企業の資金繰りDIの動向を中小企

業月次景況調査によって見ると、2011年3月に大

幅に悪化した後は緩やかに回復を続けており、同

年12月には大震災前の水準にまで回復している

(第1-1-15図)。

第1-1-14図

中小企業の資金繰りDIの推移

▲40.0 ▲35.0 ▲30.0 ▲25.0 ▲20.0 ▲15.0 ▲10.0 中小企業全体 小規模企業 (DI、前期比季節調整値) ▲22.0 ▲26.8 ▲20.9 ▲20.8 ▲20.2 ▲24.4 ▲28.6 ▲23.0 ▲22.5 ▲22.6 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 09 10 11 12 (年期) 資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 資金繰り DI は、前期に比べて、資金繰りが「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)。

第1-1-15図

中小企業の資金繰りDIの推移(月次)

▲50 ▲45 ▲40 ▲35 ▲30 ▲25 ▲20 (DI、前年同月比) ▲25.6 ▲36.0 ▲25.4 ▲25.5 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 10 11 12 (年月) 資料:全国中小企業団体中央会「中小企業月次景況調査」 (注) 資金繰り DI は、前年同月に比べて、資金繰りが「好転」と答えた企業の割合(%)から、「悪化」と答えた企業の割合(%)を

(13)

こうした中、政府は中小企業の資金繰り支援の

ため、平成23年度第1次補正予算で創設した「東

日本大震災復興緊急保証」や「東日本大震災復興

特別貸付」等に続いて、第3次補正予算において

も予算額6,199億円(事業規模11.6兆円程度)の

措置を講じた。これらの2012年2月時点での実績

は、大震災によって被災した中小企業の事業立て

直しのための東日本大震災復興特別貸付が累計約

16万6千件、3兆6千億円あまり、被災した中小

企業の資金繰り支援のための東日本大震災復興緊

急保証が同約 7 万 2 千件、1 兆 7 千億円あまり、

セーフティネット保証(5号)が同約15万件、2

兆2千億円あまりとなっている(第1-1-16図、第

1-1-17図、第1-1-18図)。

なお、リーマン・ショック後の2009年12月に

施行された「中小企業者等に対する金融の円滑化

を図るための臨時措置に関する法律」は、2013

年3月末まで1年間再延長されたが、これまでの

中小企業者向けの施行実績は、2011年9月末時点

で申込件数が累計約 249 万件、実行件数が同約

229万件となっており、審査中及び取下げを除い

た実行率は、おおむね97%前後で推移している

(第1-1-19図)。

第1-1-16図

東日本大震災復興特別貸付の実績(累計)の推移

0.20 0.78 1.18 1.54 2.06 2.37 2.77 3.29 3.54 3.67 8,769 33,006 52,263 70,475 90,695 108,432 129,794 151,479 160,243 166,505 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 (兆円) (件) 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 11 12 資料:中小企業庁 (注) 2011 年 5 月 23 日以降の各週(月曜∼金曜。ただし、2012 年は土曜∼金曜。)の実績値を毎月合計して作成。 (年月) 金額(左軸) 件数(右軸)

2

(14)

第1-1-17図

東日本大震災復興緊急保証の実績(累計)の推移

0.07 0.59 0.94 1.18 1.37 1.45 1.53 1.61 1.67 1.71 2,098 20,698 35,177 46,270 54,819 59,445 63,570 68,097 70,680 72,838 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 11 12 (兆円) (件) 資料:中小企業庁 (注) 2011 年 5 月 23 日以降の各週(月曜∼金曜。ただし、2012 年は土曜∼金曜。)の実績値を毎月合計して作成。 (年月) 金額(左軸) 件数(右軸)

第1-1-18図

セーフティネット保証(5号)の実績(累計)の推移

0.16 0.44 0.66 0.93 1.24 1.42 1.62 1.94 2.10 2.27 11,839 31,733 47,936 65,523 85,125 98,266 111,574 130,668 141,062 151,536 0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 11 12 (兆円) 資料:中小企業庁 (注) 2011 年 5 月 23 日以降の各週(月曜∼金曜。ただし、2012 年は土曜∼金曜。)の実績値を毎月合計して作成。 (年月) (件) 金額(左軸) 件数(右軸)

(15)

第1-1-19図

中小企業金融円滑化法による貸付条件変更実績(累計)の推移

12.8 49.0 82.2 114.1 148.3 184.4 218.2 249.2 5.5 37.6 68.7 100.3 131.5 165.8 198.1 228.8 99.4 98.2 97.3 97.2 97.2 97.3 97.3 97.3 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 95.0 100.0 0 50 100 150 200 250 300 12 3 6 9 12 3 6 9 09 10 11 申込件数(左軸) 実行件数(左軸) 実行率(右軸) 資料:金融庁「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について」(2012 年 1 月) (注) 1.金融機関 1,529 行の中小企業者向けの施行状況である。 2.実行率は、審査中及び取下げを除いた実行率(実行件数 /〔実行件数 + 謝絶件数〕)。 (万件) (年月) (%)

倒産

中小企業の倒産件数は、近年、減少傾向にあ

る。業種別に見ると、最も倒産件数の多い建設業

では、緩やかな減少傾向にあるものの、1か月当

たりの倒産件数は300件前後と引き続き高い水準

が続いている。大震災関係の倒産件数も、2011

年12月が66件となるなど高止まりの状態が続い

ている(第1-1-20図)。

第1-1-20図

規模別・業種別の倒産件数の推移

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 08 09 10 11 12 資料:(株)東京商工リサーチ「倒産月報」 (注) 1.( )内は直接被害による倒産件数。 (年月) 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 08 09 10 11 12 (年月) 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 (件) ∼ 4 人(左軸) 5 ∼ 49 人(左軸) 50 人以上(左軸) 前年同月比(右軸) 規模別の倒産件数 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 (%) 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 (件) 建設 製造 卸売 小売 不動産 業種別の倒産件数 東日本大震災 (2011 年 3 月 11 日) 3 月 8 件 (1 件) 4 月 26 件 (3 件) 5 月 65 件 (8 件) 6 月 78 件 (4 件) 7 月 70 件 (7 件) 8 月 75 件 (1 件) 9 月 60 件 (5 件) 10 月 46 件 (3 件) 11 月 48 件 (2 件) 12 月 66 件 (6 件) 2011 年合計 542 件 (40 件) 2012 年 1 月 40 件 (2 件) 2 月 45 件 (4 件) (参考) 阪神・淡路大震災 (1995 年 1 月 17 日) 1 月 1 件 (1 件) 2 月 13 件 (3 件) 3 月 21 件 (10 件) 4 月 27 件 (14 件) 5 月 14 件 (8 件) 6 月 12 件 (7 件) 1995 年合計 144 件 (78 件) 1996 年合計 112 件 (62 件) 1997 年合計 58 件 (30 件)

2

(16)

設備投資

中小製造業の設備投資動向について、日本銀行

「全国短期経済観測調査」(以下「日銀短観」とい

う)で見てみると、2011年度計画は前年度実績

比5.4%と2年連続で大企業製造業を上回る伸び

となった。設備投資は大企業、中小企業ともリー

マン・ショック以降大幅に圧縮されてきていたた

め、今回の増加は、リーマン・ショック以降実施

が見送られていたものが相当程度含まれているた

めと考えられる(第1-1-21図)。

第1-1-21図

大企業製造業及び中小製造業の設備投資の推移

11.7 4.6 ▲7.2 ▲32.2 ▲3.5 2.7 25.9 ▲3.5 ▲7.7 ▲32.1 9.8 5.4 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 06 07 08 09 10 11 大企業製造業 中小製造業 資料:日本銀行「全国短期経済観測調査」 (注) 1.2011 年度は 2012 年 3 月調査の数字。 2.土地投資額を含みソフトウェア投資額は含まない。 (前年度比、%) (年度)

2011年度の中小製造業の設備投資の動きを、

(株)日本政策金融公庫(以下「日本公庫」とい

う)「中小製造業設備投資動向調査」により投資

目的別に見てみると、2011年度修正計画では、

引き続き「更新、維持・補修」が最も多くなって

おり、投資額全体の37.5%を占めている。次いで

「能力拡充」が25.4%、「新製品・新規事業・研究

開発」が17.7%となっている。

また、2011年度修正計画は、前年度実績比で

9.7%の増加となったが、投資目的別の寄与度を

見ると、新製品・新規事業・研究開発、能力拡充

投資及び更新、維持・補修投資等が増加に寄与し

ている(第1-1-22図)。

(17)

第1-1-22図

投資目的別の中小製造業の設備投資の推移

▲41.0 21.2 9.7 ▲50.0 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 09 10 11 能力拡充 合理化 新製品・新規事業・研究開発 更新、維持・補修 公害防止 省エネ その他 総投資額 (前年度実績比、%、%ポイント) 資料:(株)日本政策金融公庫「中小製造業設備投資動向調査」 (注) 2011 年度は修正計画(2011 年 9 月)、その他は実績の数値。 (年度) 23.4 25.1 25.4 12.5 14.6 13.1 17.7 14.3 17.7 37.5 38.6 37.5 1.3 0.9 0.9 1.3 1.1 1.4 6.2 5.5 4.0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 09 10 11 (構成比、%) (年度)

雇用

完全失業率は、2009年10月以降低下傾向が続

き、2011 年 9 月には 4.2%まで低下したが、同年

10月には再び上昇に転じ、2012年1月には4.6%

となっている。他方、中小企業景況調査による

と、中小企業の従業員過不足DIは、非製造業が

牽引し、全産業でも2011年7-9月期から3四半期

連続でマイナスとなり、不足感が強まっている

(第1-1-23図)。

2

(18)

第1-1-23図

雇用状況

資料:総務省「労働力調査」、中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 1.2011 年 3 月∼ 8 月の完全失業率は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国結果である。 2.従業員過不足DIは、今期の従業員数が「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。 4.2 (11 年 9 月) 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 08 09 10 11 12 (季節調整値、%) (年月) 5.4 (09 年 9 月) 完全失業率の推移 ▲5.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 全産業 製造業 非製造業 (DI、今期の水準) 中小企業の従業員過不足 DI の推移 4.6 (12 年 1 月) 2.0 ▲1.9 6.5 2.4 0.5 ▲3.4 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 09 10 11 12 (年期)

また、大学卒業予定者について、中小企業の求

人数及び中小企業への就職希望者数の推移を見て

みると、中小企業の求人数が減少している一方

で、中小企業への就職希望者数は徐々に増加して

いる。その結果、中小企業の求人倍率は、2012

年3月卒で3.35倍と、引き続き大きなミスマッチ

が存在しているものの、低下しており、改善に向

かっている(第1-1-24図)。

第1-1-24図

中小企業の大学卒業予定者求人数・就職希望者数の推移

40.3 30.3 27.6 4.8 6.9 8.2 8.43 4.41 3.35 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 2010 年 3 月卒 2011 年3 月卒 2012 年3 月卒 資料:(株)リクルート ワークス研究所「ワークス大卒求人倍率調査」 (万人) (倍) 中小企業の大学卒業予定者求人数(左軸) 中小企業への大学卒業予定者就職希望者数(左軸) 求人倍率(右軸)

(19)

円高の影響

次に、円高が中小企業に与えた影響について見

てみる。

まず、日銀短観の中小企業の想定為替レートと

実際の円・ドルレートの動きを比較してみると、

中小企業の想定為替レートを上回って円高が進行

していたことが見て取れる(第1-1-25図)。こう

した状況の中、日本公庫「中小企業月次景況調

査」により、輸出を行う中小企業と行わない中小

企業の別に円高の影響を見てみると、2011年を

通じて、輸出を行う中小企業の約6割、輸出を行

わない中小企業の約3割が、円高によるマイナス

の影響があると回答している。特に、輸出を行わ

ない中小企業においても、マイナスの影響がある

とする割合が増加しており、記録的な円高の進行

が、国内取引関係を通じて、国内市場向けの中小

企業に対しても影響を与えていたことがうかがえ

る(第1-1-26図)。

第1-1-25図

中小企業の想定為替レートの推移

78.7 78.5 75 80 85 90 95 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 09 10 11 12 中小企業・想定為替レート 円ドル為替レート 資料:日本銀行 HP、日本銀行「全国短期経済観測調査」 (注) 1.中小企業とは資本金 2 千万円以上 1 億円未満の企業をいう。 2.為替レートは日本銀行が公表した月中平均値。 (円 / ドル) (年月)

第1-1-26図

円高の影響

42.8 54.8 56.0 59.1 50.9 40.0 38.8 35.3 6.2 5.2 5.6 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 11 210 社 10 207 社 09 202 社 08 204 社 マイナスの影響 影響なし プラスの影響 (%) (年) 輸出あり 資料:(株)日本政策金融公庫「中小企業景況調査」から作成 (注) 1.「業種柄影響を受けない」と回答した企業を除く。 2.輸出ありは、直接輸出又は間接輸出を行う企業を集計している。 29.5 27.1 27.1 31.1 65.7 66.3 68.0 61.5 4.8 6.6 4.9 7.4 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 11 183 社 10 178 社 09 175 社 08 185 社 (%) (年) 輸出なし 5.2

2

(20)

さらに、日本公庫「保証先中小企業金融動向調

査(特別調査)」により、円高による悪影響を見

込んでいる中小企業の当面の対応を業種別に見て

みると、全ての業種で「経費削減(人員削減を含

む)」が回答割合の2位以内に現れており、中小

企業にとって、経費削減が円高への対応の中心と

なっていることが分かる。次いで多いのが「取引

先の開拓・変更」である。これは、多くの中小企

業が、円高による価格競争力の低下等による売上

の減少を補うために、新たな顧客の開拓を試みて

いることを示している。次いで、円高による収益

の低下を補うための「価格転嫁・見直し」が続い

ている。「高付加価値化・新製品の開発」は繊維

品を除く全ての業種で3位以下、「海外進出・移

転」は全ての業種で6位以下となっている。古く

から海外製品との競合に苦しんでいた繊維品は、

唯一「高付加価値化・新製品の開発」を上位に位

置付けていることが注目される(第1-1-27図)。

第1-1-27図

業種別の円高による悪影響への対応

1 位 2 位 3 位 4 位 5 位 6 位 7 位 8 位 製 造 業 経費削減(人 員削減含む) 取引先の開拓・ 変更 高付加価値化・ 新製品開発 価格転嫁・見 直し 運転資金の借 入等 設備投資の見 直し 海外進出・移 転 特になし 食 料 品 経費削減(人 員削減含む) 取引先の開拓・ 変更 高付加価値化・ 新製品開発 価格転嫁・見 直し 設備投資の見 直し 運転資金の借 入等 特になし 海外進出・移 転 繊 維 品 高付加価値化・ 新製品開発 経費削減(人 員削減含む) 取引先の開拓・ 変更 価格転嫁・見 直し 運転資金の借 入等 設備投資の見 直し その他 特になし 木 材 ・ 家 具 取引先の開拓・ 変更 経費削減(人 員削減含む) 高付加価値化・ 新製品開発 価格転嫁・見 直し 運転資金の借 入等 設備投資の見 直し 海外進出・移 転 その他 機 械 経費削減(人 員削減含む) 取引先の開拓・ 変更 価格転嫁・見 直し 高付加価値化・ 新製品開発 運転資金の借 入等 特になし 海外進出・移 転 設備投資の見 直し 電 気 機 器 取引先の開拓・ 変更 経費削減(人 員削減含む) 運転資金の借 入等 価格転嫁・見 直し 高付加価値化・ 新製品開発 海外進出・移 転 設備投資の見 直し その他 金 属 経費削減(人 員削減含む) 取引先の開拓・ 変更 価格転嫁・見 直し 運転資金の借 入等 高付加価値化・ 新製品開発 設備投資の見 直し 海外進出・移 転 特になし 建 設 業 経費削減(人 員削減含む) 取引先の開拓・ 変更 運転資金の借 入等 価格転嫁・見 直し 設備投資の見 直し 高付加価値化・ 新製品開発 その他 特になし 卸 売 業 取引先の開拓・ 変更 経費削減(人 員削減含む) 価格転嫁・見 直し 高付加価値化・ 新製品開発 運転資金の借 入等 特になし 海外進出・移 転 設備投資の見 直し 小 売 業 経費削減(人 員削減含む) 価格転嫁・見 直し 運転資金の借 入等 取引先の開拓・ 変更 高付加価値化・ 新製品開発 その他 設備投資の見 直し 特になし サービス業 経費削減(人 員削減含む) 取引先の開拓・ 変更 運転資金の借 入等 価格転嫁・見 直し 高付加価値化・ 新製品開発 設備投資の見 直し その他 海外進出・移 転 資料:(株)日本政策金融公庫「第 171 回 保証先中小企業金融動向調査(特別調査)」(2012 年 1 月) (注)全国の中小企業 14,000 社を対象に、2011 年 10-12 月期について調査した。

販売単価、原材料価格、電力使用額の動向

最後に、中小企業の販売単価、原材料価格及び

電力使用額の動向を見てみる。まず、中小企業景

況調査で、中小企業の売上単価・客単価DI及び

原材料仕入単価DIの動きを見ると、2011年度を

通じて売上単価・客単価DIは緩やかな上昇傾向

にある一方、原材料仕入単価DIは、2011年に入

り大幅に上昇し、同年後半からプラス幅が縮小し

ているものの、プラス幅が高い状況が継続してい

る。原材料仕入価格の上昇を自社の製品・サービ

ス価格に十分に転嫁できない状況が続いており、

中小企業の収益環境は、引き続き厳しい状況にあ

るといえる(第1-1-28図)。

(21)

第1-1-28図

売上単価・客単価DI、原材料仕入単価DIの推移

▲50.0 ▲40.0 ▲30.0 ▲20.0 ▲10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 売上単価・客単価 DI 原材料仕入単価 DI (DI、前年同期比) 資料:中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」 (注) 1.売上単価・客単価DIは、前年同期に比べて、売上単価・客単価が「上昇した」と回答した企業の割合(%)から、「低下した」 と回答した企業の割合(%)を引いたもの。 2.原材料仕入単価DIは、前年同期に比べて、原材料仕入単価が「上昇した」と回答した企業の割合(%)から、「低下した」 と回答した企業の割合(%)を引いたもの。 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 09 10 11 12 (年期) ▲37.0 ▲38.2 ▲39.6 ▲41.8 ▲40.0 ▲33.3 ▲32.3 ▲32.5 ▲28.0 ▲28.5 ▲26.7 ▲25.8 ▲25.0 18.7 6.5 4.2 ▲0.1 1.3 12.1 8.8 8.4 21.1 28.1 24.9 21.6 19.2

こうした状況の中で、電気料金の引上げ、電力

需給の逼迫の影響が懸念されるが、厳しい収益環

境にある中小企業の経営は、それらによってどの

程度の影響を受けるのであろうか。中小製造業の

製造コストに占める購入電力使用額の割合を見て

みると、最も高い窯業・土石製品製造業が5.9%、

次いでプラスチック製品製造業が4.2%、繊維工

業が4.0%となっている(第1-1-29図)。さらに、

細分類業種で見てみると、最も高い銑鉄鋳物製造

業で 12.1%、次いでその他の金属表面処理業が

8.7%、電気めっき業が8.1%となっており、一部

業種では、製造コストに占める購入電力使用額の

割合が、極めて高い水準となっていることが分か

る(第1-1-30図)。

また、大企業製造業との比較で見てみると、鉄

鋼業、電子部品・デバイス・電子回路製造業等一

部を除くほとんどの業種で、中小企業の購入電力

使用額割合が大企業を上回っている。その結果、

中小製造業の電力コストの平均は2.7%と、大企

業製造業の平均1.9%を大きく上回っている。生

産規模が相対的に小さいことから、エネルギー使

用効率の飛躍的な向上が難しいこと、一部の大企

業のような自家発電設備を有する事業所が少ない

こと等がその要因と考えられる。電気料金引上げ

等の製造コストへの影響は、中小企業の方が大企

業よりも大きく、収益への影響が懸念される。

2

(22)

第1-1-29図

規模別・業種別の購入電力使用額が原材料使用額等に占める割合

5.9 4.2 4.0 3.8 3.5 3.43.4 3.43.1 3.1 中小企業平均 2.7% 大企業平均 1.9% 全規模平均 2.1% 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 窯業・土石製品製造業 プラスチック製品製造業 繊維工業 ゴム製品製造業 非鉄金属製造業 紙加工品製造業 パルプ・紙・ 鉄鋼業 印刷・同関連業 電子回路製造業 電子部品・デバイス・ 化学工業 木材・木製品製造業 金属製品製造業 生産用機械器具製造業 食料品製造業 輸送用機械器具製造業 その他の製造業 はん用機械器具製造業 家具・装備品製造業 飲料・たばこ・飼料製造業 電気機械器具製造業 情報通信機械器具製造業 毛皮製造業 なめし革・同製品・ 業務用機械器具製造業 石油製品・石炭製品製造業 中小企業 大企業 (%) 資料:経済産業省「平成 21 年工業統計表」再編加工 (注) 1.原材料使用額等は原材料使用額、燃料使用額、購入電力使用額、委託生産費、製造等に関連する外注費及び転売した商 品の仕入額で構成。 2.中小企業は従業者数 300 人以下、大企業は従業者数 300 人超の企業。ただし、従業者数 30 人以上の事業所のみを対象 としている。

第1-1-30図

細分類業種別の中小製造業における購入電力使用額が原材料使用額等に占める割合

企業数 (社) 年間購入電力使用額 (百万円) 原材料使用額等 (百万円) 購入電力使用額割合 銑鉄鋳物製造業(鋳鉄管,可鍛鋳鉄を除く) 171 15,706 129,716 12.1% その他の金属表面処理業 122 6,146 71,006 8.7% 電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く) 207 7,495 92,895 8.1% プラスチック製容器製造業 188 12,733 189,663 6.7% 玉軸受・ころ軸受製造業 103 6,497 99,210 6.5% 豆腐・油揚製造業 168 4,964 82,920 6.0% 製版業 129 2,989 53,170 5.6% 電子回路基板製造業 155 8,655 159,069 5.4% 機械工具製造業(粉末冶金業を除く) 156 3,117 59,064 5.3% 金属製品塗装業 136 2,608 53,046 4.9% 資料:経済産業省「平成 21 年工業統計表」再編加工 (注) 1.企業数が 100 以上の業種について、購入電力使用額割合の上位 10 業種を掲載。 2.原材料使用額等は原材料使用額、燃料使用額、購入電力使用額、委託生産費、製造等に関連する外注費及び転売した商品の 仕入額で構成。 3.従業者数 300 人以下を中小企業とした。ただし、従業者数 30 人以上の事業所のみを対象としている。

供給制約の中でイノベーションに取り組む中小

企業

第1-1-29図及び第1-1-30図のとおり、大震災

大きく影響することが懸念されるが、中小企業の

中には、エネルギー政策の見直しを背景にしつ

つ、制約をリスクではなく、環境分野に大きな需

(23)

援等も受けて、自社で培った技術・ノウハウを活

かして支援事業に取り組む企業も見られる

2

このような新たな取組において、中小企業発の

グリーン・イノベーション等が次々と起こること

等により、新事業展開や創業が行われることが期

待される。

円高対策:平成23年度第4次補正予算

政府は円高の進行、タイの洪水や欧州危機等への対応として、中小企業金融対策やイノベーション拠点立地支援等を 盛り込んだ平成23年度第4次補正予算(総額2兆5千億円)を2012年2月に成立させた。 この中には、信用保証協会が中小企業の金融機関からの借入に対して行う信用保証や(株)日本政策金融公庫等が中 小企業向けに行う低利融資に必要となる追加的な予算7,413億円(事業規模16.25兆円)が盛り込まれている。これらに より、政府は、円高等に伴う事業環境の悪化に苦しむ中小企業の資金繰りの円滑化に万全を期すこととしている。 なお、政府は、大震災を契機に、産業の空洞化が加速するおそれがあることに鑑み、23年度第3次補正予算で、国 内に生産拠点を新たに設け、機械設備等を導入する企業を対象に、国内立地補助を行っているが、特に、中小企業に ついては、円高対策として厳しい国際競争環境に打ち勝つための集約化・高効率化・強靱化を目指す取組を支援する ため、複数の中小企業のグループで共同で実施・申請する事業が対象となっている。本件については、2011年11月に 第1次の公募が実施され、2012年2月に計245件(補助金総額2,023億円)が採択されている。

コラム

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法人税率及び中小軽減税率の引下げ

法人税率の引下げ等を盛り込んだ平成23年度税制改正法案(経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るた めの所得税法等の一部を改正する法律案)と復興財源としての復興特別法人税の創設等を盛り込んだ復興財源確保法案 (東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案)が2011年11月に 成立した。 これにより、2012年4月から法人税率が30%から25.5%(地方税も含めた法人実効税率(東京都の場合)は40.69% から35.64%に5.05%引下げ)に、中小軽減税率も18%から15%に引き下げられた。ただし、復興特別法人税(法人 税額の10%)が2012年4月から3年間付加されるため、この間の実際の法人税率は28.05%、中小軽減税率は16.5% となる。

コラム

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参照

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