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回帰直線による授業評価 竹 友 一 成*
(昭和59年10月31日受理)
AStudyonEvaluationbyUsingRegressionLine
Kazushige TAKETOMO
(Received for Publication,Oct.31,1984)
1.はじめに
学習者が1回の学習により学習内容の何%を理解し得るかは,学習者に対する学習内容 の等質化の程度その他により著しく相違する。先に,筆者は1),学習者がその学習能力を最 大限に発揮して学習に取組む場合,1回の学習で未吸収教育情報(わからないところ)の 37%を吸収することができるよう,学習内容の学習者に対する等質化をはかることが望ま
しいであろうことを提案した。換言すれば,有効度指数(以下,吸収率)37%となるよう な授業を「無理のない授業」と考え,これを「望ましい授業」と仮定してきた。そして,こ の考えをストラテージの基盤とし,筆者および共同研究者は,中学校理科の個別学習プロ グラム「原子と分子」を開発し,その実験学習を4年間にわたって実施した2蕩3L4) 5)。
今回は,この実験学習等について,プリ・ポストテスト得点回帰直線(以下,回帰直線)
を求め,その切片,勾配を吸収率と関連せしめて分析した。この分析結果を中心に,回帰 直線による授業評価について総括的に報告する。
2.回帰直線の型
プリテスト得点をX,ポストテスト得点をッとすれば,回帰直線は,ッ=砿+6である。α は勾配,ゐは切片である。この4およびわの値如何によって回帰直線の型が決まることは言う までもない。回帰直線の型としては,基本的に2種あるものとしてよかろう。図1で示さ れる(i)型および(ii)型が回帰直線の基本型であると考えられる。この基本型の変型として,
㈹型,(iv)型,(V〉型,およびその他の型がある(図1)。
(i)型は,テスト得点を100点満点とすれば(以下他も同様),次式で表わされる。
(100−6)・%
y= 十6 ………(1)
100
この型の回帰直線が得られる授業では,学業成績下位者,上位者ともに,平均的には吸 収率が同一である。単に得点の伸びだけでみれば,上位者より下位者の伸びが大きい。吸
*長崎大学教育学部化学教室
7
! / / / / / /
/
/
(i)型
/ / / / / / //
/
(ii)型
/ / / / / / / /
/
/
(1iD型
/ / / / / /
/ /
/
!
(1v)型
∠
7 /
/
!
!
(v〉型 その他の型
図1 回帰直線の型
収率が同一であるという点で理想的な型と考えられる。しかし,σ値およびδ値の大きさは 別途問題とされなければならない。それについては,後出の3で述べる。
(i)型における勾配召と切片6との問には次の関係がある。
1
α=一一6+1 ………(2)
100
後述の5に記載する個別学習群(64例)の回帰直線(64本)について,α・δ間の相関 を検討するに,高い相関で,(2)式に極めて近い式が得られていることを,余談ながらあら かじめ付記しておく。
(ii)型は次式で表わされる。
y=x十∂ 一(3)
基準線(ッ=冗)が左上方に平行移動した型である。学業成績上位者の吸収率が大である のに対し,下位者のそれが小さい。したがって,好ましい回帰直線とは言い難い。
GiD型およびGv)型は,(ii)型の変型で,(ii)型と同様に好ましい回帰直線とは決して言い得な い。わ値が小さければ,特に問題となろう。
(v)型には,各種のケースが想定され,これによる単純な評価は避けなければならないで あろう。教育実践の場においては,この型は比較的多く見受けられるようである。(v)型の 場合,基準線(y=X)と回帰直線との交差点(κ,ッ)が大切である。交差点(%,ッ)が大
きい場合,例えば(95,95)であれば,一般的には(i)型に近似した型,つまり(i)型の変型 と見倣してよいが,小さい場合,例えば(50,50)であれば,授業に何らかの大きな問題 点が内在しているものと見てよかろう。
3.無理のない(望ましい)教授学習
学習内容には適当な難しさが必要である。教育は,学習者に思考その他のトレーニング を求めている。易しすぎても,また難しすぎても好ましくない。易しすぎる学習内容であ れば,回帰直線は,ッニ100となる。教授学習の効果のみからすれば,これをもって最高に
43 回帰直線による授業評価
良しとすべきであろうが,学習者の思考その他のトレーニングという点で大いに問題があ る。難しすぎれば,回帰直線は,ッ=%となる。教授学習の効果からして,これは,少なく とも形式面においてさえ,非常に好ましくない。好ましいα値や6値は,という問題があ る。これを,筆者は1),α=0.63,6=37と理論的に算出した。このときの吸収率[(ポストー プリ)・100/(100一プリ)]は37%である。そして,このような教授学習を,無理のない
(望ましい)教授学習と呼んできた。つまり,無理のない教授学習の回帰直線は,
y=0.63%+37 一(4)
である。しかし,この式を求めるに当っては,1回の教授学習で,学習内容と学習者との 衝突が1回起こるとの仮定があり,かつ,心理学的側面を全く無視している。これが,こ の式,数値の最大の難点であるが,筆者の経験からしても,これが教育実践上,一つの大 まかな目安になってよいように思われる6)・7)。そして,教授学習の表面的効果と言うことま で考え,かつそれを重視するならば,召≦0.63,δ≧37であることが望まれるのかも知れ ない。言うまでもなく,教授学習の表面的効果のみを最重視すれば,α→ O,6→100の接 \、
近が好ましいわけである。
4.学習意識および性格と回帰直線
一高等学校数学⑳授業について,学習意識と回帰直線のαおよび66),ならびに性格と回帰直 線のσおよび67》との関係をそれぞれ検討したところ,学習意識の高いグループほど,また,
性格上層グループほど,αは小さく,6が大きくなる傾向を示した。つまり,教育効果が表 われやすいと推定されるグループほど,αが小さく,6が大きくなるものと推定された。た だし,念のため記しておくが,学習意識や性格は固定的でなく経時的変化のあることに注 意しておきたい。また,教授方法などが異なれば,仮令,学習意識や性格が同一であって
も,違った教育効果のあることは論を侯たない。
5.中学校理科授業における回帰直線
個別学習および一斉授業について,回帰直線(ッ=砿+δ)および吸収率(A)を求め,
次いで,δ・A問,α・A間,およびα・6間の相関を検討した。
5.1 個別学習例2) 3) 4) 5)
中学校2年生を主対象(55クラス)に,12校(離島,僻地,都市,都市近郊)59クラス について,4年間にわたって実施した。使用した個別学習プログラム「原子と分子」は3 種類(実際は4種類であるが1種類はデータ不足のため割愛)である。プリテストとポス トテストは同一問題で,プリテストからポストテストまでの学習時間は約1時間余であっ
た。
プログラムは,学習項目,手順と注意,カードの使い方,プリテスト,学習(フレー ム),およびポストテストから構成され,使いやすいように冊子型とした。プログラム51 は,学習内容のむつかしさにおいて標準的であるがヒント数が少ない。プログラム52は,
学習内容のむつかしさで標準的,他方,ヒント数その他が多く,プログラム51よりやや易 しくなっている。プログラム53は学習内容をやや高度なものとした。いずれのプログラム も,コースアウトライン自動決定法により学習のコースを定め,学習者が学習能力を最大
限に発揮しながら,自動的にゴール目標行動がとれるよう意図した。ゴール目標行動は,
プログラム51および52で,一「酸化水銀の分解を化学反応式で表わすことができる」と設定 し,またプログラム53で「化学反応式から,合成されるアンモニアの体績を計算すること ができる」と設定した。
54クラスが1クラス1プログラムで,また5クラスが1クラス2*プログラムで,それぞ
表1.中理,学習プログラム「原子と分子」による個別学習の回帰直線と吸収率
学級学校
回帰直線
α 6 7
1。02 3.3 0.53 0.85 24。9 0.41 0。78 19.5 0 62 0.80 27。2 0.40 0.71 33 1 0 30 0.51 41.4 0.17 0 65 33 2 0.50 0.89 12.7 0.61 1.05 1.0 0.64 0.53 47.2 0.31 0 65 37.3 0.53 0.33 63.3 0.16 0.68 36 1 0.36 0 47 51 7 0.28 0 54 42 3 0.26 0.71 31 4 0 60 0.63 35。3 0.51 0.76 31.2 0 50 0.76 22.6 0.55 0.77 27.5 0 59 0,68 29。4 0.82 0.80 25.1 0.74 0.88 13 6 0。79 0.71 28,4 0,68 0.76 28.4 0.75 0.56 41 3 0 65 0.92 10。8 0,83 0.57 45.1 0。61 0.64 36.5 0.72 0.19 76,5 0.33 0.15 78。9 0.20 0.07 81.2 0.14
授業 プログ
吸収率 前・後 ラム
IIIIE耳EMMSSSSSSSSSSOTTTTTYYYYFFF
787466916166856979760904786466633844620858143945126044779378792713133331144544333413231233143676
途〃〃〃前〃〃後〃途〃〃〃〃〃〃〃〃〃後〃〃〃〃〃〃〃〃〃前〃〃 52 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃53〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 学級学校回帰直線
α ゐ 7
0,38 61.2 0,67 0.40 60.9 0.66 0 52 49.1 0 70 0.24 64.1 0.22 0 88 19.8 0 69 0.52 51.2 0 51 0,72 28.8 0 64 0.67 35.1 0。62 0.28 66.0 0.29 0.27 67.8 0.34 0。23 70。5 0。23 0.37 61。9 0.42 0.51 51.9 0.65 0.81 33.8 0、71 0。76 21.7 0.50 0.36 48.6 0.29 0.01 60.4 0.Ol O.58 35、3 0.40 0.42 41。5 0,38 0.44 41.5 0 46 0 60 35.1 0.62 0 34 42 0 0.30
授業 プログ
吸収率 前・後 ラム
FFFFttttfffffssssseeUN 419791822831312413715376371508966986038037065655353345555423232231
K1▲ 0。16 52,1 0。14 37 5 K2 −0.04 61.5 −0。04 35.5 K3 0.85 9.1 0.57 −7。2 H且 1,02 −5.5 0.73 −11.2
H4 0.61 25.3 0.55 9.9
53
〃 〃 〃 〃 〃 〃51〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃 〃〃 〃 〃 〃一52〃 〃 〃 〃
後〃〃前後〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃前〃後〃﹃前〃後〃〃
K1▲ 0.28 71,3 K2 0 64 42 3 K3 0.56 41。6
H1 0.48 52.2
H4 0。56 44.4
0,28 0.48 0。57 0。69 0.84
70.9 前 53
45.9 ノノ 〃
36,2 後 〃
53.4 ノノ 〃 44.8 〃 〃
* 3F 3年生対象,I F 1年生対象,他は2年生対象
▲ Kト3,H、,4は能力別学習で,上段は学業成績下位者群,下段は上位者群
*別途作成したプログラム54を加えて,能力別個別学習を実施したクラスもあるが,プログラム54に関 する学習データは不完全であり,使用生徒数も3名のみであった。それ故に,これは割愛した。
45 回帰直線による授業評価
100
90
80 70吸収
率60
%150 40
30 20 10
/
/
/︑//軌
膨 /魏●△︒△ /
△禽︒△ 望●△△△ 7 ●・♂ 珍 △●諺 +9 ・・のん. わ6 ●● /
O
田司 ・掩● 0プ
!
= ●/ ●/ A
/
● /
ぎ2030切40津0留708090100
100 90
80
吸70 収60
率
A50
%)
40
30 20 10
A=077δ+ 10 プ=094
●
● ● ●●
●● / ●●
o レb●●
6 /●
/ /
●/ ● ●! ● /!
■
O
図2 吸収率Aと切片わとの相関
(中理,原子と分子,個別学習)
●プログラム52,53による個別学習 △ 〃 51による個別学習 O能力別個別学習(下位者群,プロ52)
⑭ 〃 (上 〃 ,プロ53)
/ ! ! / ■ ! !
!/
!
!
/ ●/ ●
/ ろ● /●●
●∠! ●
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
切 片 6
図3 吸収率Aと切片δとの相関
(中理,原子と分子,個別学習)
プログラム52,53による個別学習群
れ実施した。その結果,個別学習群は合計64 となった。得られた回帰直線(64本)のα,わ の他,相関係数7,吸収率(A%)を表1に示
す。
5.1.1 6・A間の相関
わ値としては25〜55が多い(平均値40)。一 方,Aは30〜60%,特に30〜40%が多い(平 均値35.8%)。6・A間の相関図を図2に示 す。かA問には,かなり強い相関が認められ た(7=0.69)。図2においてまず気づくこと
として,●印のみを抽出すれば,これがA=
ゐの直線近傍に集っていることである(図 3)。また⑭印についても同様である(図 4)。他方,△および○印は,A=ゐの直線か ら解離分散する傾向が認められる。△印は,
100
90
80 70吸収
率60
幽50 40
A= 1.02δ一1.21 7コ0.97
〃 ⑭〃
〃 ∠ ⑭ 〃 〃 〃 〃 イ ∠ イ ∠ ∠ 6
イ ∠
10 30 20
〃 / 〃 〃 〃 / 〃 〃 〃 〃 〃 〃
〃〃
〃
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
切 片 δ
図4 吸収率Aと切片わとの相関
(中理,原子と分子,個別学習)
能力別個別学習の成績上位者群(プロ53)
最初に作成されたプログラム51の使用例で,プログラムに問題のあることも考えられる。
○印は,能力別の個別学習における学業成績下位者群による学習例で,学習意欲に問題を 生起せしめたことが考えられる(現場教師の報告によれば,プログラムの与え方が大切で,
能力別の個別学習に対し,成績下位者のなかに,何故?という不信の念を抱いた者もいる ようである。表1の上段K3およびH1の回帰直線および吸収率を参照)。
今回の個別学習群64例については,6・A間に図2でみられるように,A=0.58わ+12.7 の式が得られたが,上記の如く考察すれば,この式は,学習が好ましい状態で行なわれた 場合,本質的には,A=わであるものと推定される。
5.1.2 α・A間の相関
o値としては,0.5〜0.8が多い(平均値 0.57)。4・A間の相関図を図5に示す。負の 相関である。
学習が,より好ましい状態で行なわれたと 推定される●印や⑭印では,それらが,直線 A二一100α+100の近傍に集る傾向がやや 認められる。これに対し,多少とも問題のあっ たことが想定される△印や○印では,それら が,直線A=一100α+100から,やや解離分 散する傾向が強くなっている。
5.1.3 α・6間の相関
回帰直線の型において理想型と考えられる
(i)型では,αと6との間に,
1
α=一一6+1 ………(2)
100
の関係があることを,2で述べたが,今回試 みた個別学習群64例(表1)について,召・6 問の相関を求めてみると,
1.02
α=一一6+0.978 ………(5)
100
の式が得られた。ただし,7=一〇.86であ
る。
この(5)式は近似的に(2)式と見倣してよいも のと考えられる。これは,今回の個別学習が 全体的には,その回帰直線が理想的な(i)型の 回帰直線になっていることを意味するもので あろう。
5.1.4 相関係数7
表1にみられるように,7としては0.25〜0.75 が多い(平均値0.49)。一斉授業の前に個別学習 が実施された場合には,7の値は小さくなる 傾向が強く(12例,平均値0.30),一斉授業の 後に実施された場合には大きくなる傾向が認
められた(39例,平均値0.75)。
5.2 一斉授業例1)
● ● ¥ ・\ ● ●●\ ●
\
△・・ \● 5 ●●●\△● ¥ 59 ︑¥● 僻59 軌・マ・.㎜勤玄蟄︒甑トプい髄.△△◇斎︑㌧︑
\ \ ● △卜0 ∩U O O O O O O O
O
O9876540321
吸収率A囲01 02 03 0、4 05 06 07 08 0。9 10
勾 配 召 o
o 図5 吸収率Aと勾配αとの相関
(中理,原子と分子,個別学習)
●プログラム52,53による個別学習 △ 〃 51による個別学習 O能力別個別学習(下位者群,プロ52)
⑭ 〃 (上 〃 ,プロ53)
表2 中理1,学習プログラム「力のはたらき」
による一斉授業の回帰直線および吸収率 学校 回帰直線
学級 4 わ 7 吸収率 地域別*
ABCDDGGGGGJJLLL 310832779006G63 684688754677629000000000000000 902073187971873477273782305735434323345432362 929778091395037743677554677536 000000000000000 695957315998174135107944776537553344455432354
離〃〃〃〃〃〃〃〃〃都〃〃〃〃*離=離島部校,都:都市部校
中学校1年生を対象に,学習プログラム「力のはたらき」(16時間分)を用いた一斉授業 を6校(離島,都市),15学級で実施した。プリテストとポストテストは同一問題である。
得られた回帰直線の4およびわ,また相関係数7および吸収率Aの値を表2に示す。
αの平均値は0.66,δの平均値は39.2,Aの平均値は44.5であった。したがって,この一
47 回帰直線による授業評価
100
90 80吸
収70
率
A60
圃 50 40 30 20 10
/ 100
/ /
/ 90 / 吸 / 80
A=0.43δ+27.7 /収
7一。55 / 率7。
/ A /
/ 幽60 ・.・2/△
50
△ ●●
ア
ム// 40
/△● 3。
/今
の
ろ//\A=δ 1・
/
\
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
切 片 6
図6 吸収率Aと切片わとの相関
(中理1,力のはたらき,一斉授業)
●離島部校 △都市部校
\ △ \ \ ●・ \ .△込\ \
oo
● \1 ●\△+ ●σ \ oo
●\− \一 \= ¥ ● \
O
A \ 51
\ ︵A\ =7 \ 一 \ 9↓/ \ △ 欝 ¥ +
01020304050,607080910
勾 配 σ
図7 吸収率Aと勾配αとの相関
(中理1,力のはたらき,一斉授業)
●離島部校 △都市部校
斉授業の全体像としての回帰直線は,y=0.6敬+39.2であり,筆者の提案している無理の ない(望ましい)教授学習の回帰直線,y=0.63x+37に比較的類似している。なお,7の 平均値は0.60で,個別学習例(平均値0.49)より大きくなる傾向があった。
6・A間およびα・A間の相関図を示せば,図6および図7のようであった。6・A間およ びα・A間には,いずれも個別学習例のような強い相関は認められなかった。
なお,α・δ間には,
1.33
α=一 δ+1.18 ………(6)
100
の相関(7=一〇.84)があった。個別学習例と比較して,(2)式からのやや僅かな「ずれ」があ るようであった。
6.理想的回帰直線とδ・A問およびα・A問の相関
(i)型の回帰直線においては,αとわとの関係は
1
α=一一6+1 ………(2)
100
で示され,かつ,わとAとの関係は,
A二δ 一(7)
となる。(7)式を(2)式に代入すれば,
A=一100α十100 ・・
8︶
が得られる。(7)式は図2,図3,図4および図6の点線で示される・4切に他ならない。
また,(8)式は,図5および図7の点線で示されるA=一100α+100に他ならない。
これからして,完全無欠の教授学習が展開され,全く理想的な回帰直線が得られた場合
には,6・A間の相関は,A=わ,α・A間の相関は,A=一100α+100,α・6問の相関は,
1z=一一δ十1 となる。
100
個別学習例におけるかA間の相関において,プログラムその他がより好ましいものであ ると,A二δの直線近傍に,それぞれの個別学習例が接近する傾向のあることを述べた が,これは理論的にも肯定されるところであろう。同様の考察をα・A間の相関に適用すれ
ば,それぞれの個別学習例(あるいは授業例)が,A二一100α+100の直線近傍に接近す るほど,好ましい個別学習(あるいは授業)であると言い得るのではなかろうか。
7.要 約
プリ・ポストテスト得点回帰直線による授業評価が可能であることを,理論的に,かつ 多数の実験個別学習例および実験授業例から述べた。
本稿の要旨は,日本科学教育学会第8回年会(1984)および第3回年会(1979)において発表した。
文 献
1)竹友一成,長崎大学教育学部教育科学研究報告,第24号,p.251(1977)
2)竹友一成,長崎大学教育学部教科教育学研究報告,第3号,p。55(1980)
3)竹友一成,日本科学教育学会第2回年会論文集,p.57(1978)
4)山田憲一郎,野中朋子,桝本高直,日本化学会九州地区化学教育研究協議会講演要旨集,p.5(1979)
5)竹友一成,日本科学教育学会第6回年会論文集,p.289(1982)
6)山田憲一郎,竹友一成,長崎大学教育学部教育科学研究報告,第26号,p.215(1979)
7)山田憲一郎,竹友一成,長崎大学教育学部教科教育学研究報告,第3号,p.231(1980)