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DSpace at My University: Ⅴ 実践報告・実践紹介・自由論考 自由論考 「英語教材の開発に関する一考 ―その基盤となる考え方と工夫―」大阪女学院大学 中井弘一

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英語教材の開発に関する一考 —その基盤となる考え方と工夫— 中井 弘一  Developing Teaching & Learning materials in English Class - Its Basic Concept and Innovation - 抄 録  中等教育の現場では、 明日の授業に全力を尽くし、 目の前のことに必死に奮闘している教員が、 その熱心さの反面として、 すぐに手に入る救 いを求める傾向がある。 そうしたすぐに手に入る救いは、 それを得た後、 もっと大きな救いが欲しくなるものである。 「何が大切か」 「何故そうなる のか」 という概念のもと、 教材を作成したり 、 改善したり 、 開発したりする道筋を修得しておくことが何より大切である。  そこで本稿においては、 教材作成 ・ 改善 ・ 開発の視座 ・ 視野 ・ 視点を通して、 その道筋を一考することとする。 Key-word: 教材開発 教材の視座 授業デザイン ワークシート チェックシート 1. はじめに   大学の教職課程は学問として位置づけられておらず、 文部科学省等の教育行政に対して授業を中心とした教育のあり方を提 言するには不十分の感がある。 それゆえ、 変化が急激で様々な課題を抱える今の社会状況では 、 その対応と成果が期待される 教育には、 いわゆる “上から目線” の指示的な要望が各界から提言される。 「教育」 は国家百年の計であるが、 まず日々の授 業の開発 ・ 改善することが教育の質を高める出発点である。 そのためには 「授業学」 が今後もっと研究されていかねばならない。 山岸 (2010) によると、「授業学」 とは教育の質を高めるために 「やる気を生み出す学習空間づくりに至る道筋を明らかにする学問」 である。 教員は指導技術を磨くだけではなく、 「学習者」 「教材」 「授業者」 「環境」 などの授業構成要素が配慮された適切な 学習空間を作り出すための教材作成 ・ 開発の考え方を十分理解しておくことが肝要である。  しかしながら、 中等教育の現場では、 明日の授業に全力を尽くし、 目の前のことに必死に奮闘している教員が、 その熱心さの 反面として、 すぐに手に入る救いを求める傾向がある。 そうしたすぐに手に入る救いは、 それを得た後、 もっと大きな救いが欲し くなるものである。 「何が大切か」 「何故そうなるのか」 という概念のもと、 教材を作成したり 、 改善したり 、 開発したりする道筋を 修得しておくことが何より大切である。 発想が豊かで効果的な教材はそこから生まれる。 そこで本稿においては、教材作成・改善・ 開発の視座 ・ 視野 ・ 視点を通して、 その道筋を一考することとする。 なお、 付録に創作教材例として本学の教職課程履修学生 の善積実希 ・ 川野潤美 ・ 髙井楓の 3 名が旅先で気づいたことから作成した教材を紹介する。 2. 教材作成 ・ 開発に当たって 2.1教材とは   教材とは、 「教育目的を達成するために、 児童 ・ 生徒の学習に供する 素材。カリキュラムまたは単元を構成する内容そのものをさすこともある。」(広 辞苑) である。 「学習者」 「指導者」 「環境」 と共に授業の大きな要素であり、 ある教育目的 ・ 目標を達成するために必要不可欠なものである。 授業がう まくいくかどうかその成果は教材によるところが大きい。 教材は、 学ぶため の 「学習材」 と教えるための 「教育材」 に分けられ、 生徒の立場から捉え る場合と指導者である教員の立場から捉えられるものである。  山森 (2009) は、「内容」 「道具」 「学ぶ」 「教える」 の観点から捉えた 「教 材の視座」図1で教材を分類している。まず、生徒が ( 自ら ) 学ぶために有効・ 必要となる教材であるか、 教員が教える立場として指導しやすい教材である かを判断して授業に当たるかが大前提である。それとともに、コミュニケーショ ン重視の現在の英語教育の観点から道具として使わせることに焦点を当て るのか、 思考力育成が求められる観点から内容を重視するのか、 どちらに重点を置いて授業を設計するのかは授業の目標の達 図1 教材の視座 山森 (2009) 「教材の開発」 『新しい学びを拓く英語科授業の理論と実践』 ミネルバ書房より ﹁ 内 容 ﹂ と し て の 教 材 ﹁ 道 具 ﹂ と し て の 教 材 学ぶための教材(学習材) 教えるための教材(教育材) 内容としての学習材 道具としての学習材 内容としての教育材 道具としての教育材 【選択・配列】 【興味・関心】 【効率性・教えやすさ】 【使いやすさ・わかりやすさ】 身の回りのこと 異文化・自文化 Authentic な教材 ワークシート 文型・文法事項 語彙・発音 ピクチャー・カード フラッシュ・カード CD・DVD プロジェクター(.ppt など)

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成に大いに関わることである。  教材は、 主たるものとして取り扱われる 「教科書」 だけでなく、 教員 が作成するワークシート、 ハンドアウト ( 資料含む )、 小テスト、 図 ( ピク チャーカード ・ 図解など )、 板書や生徒が作成した資料 ・ 作品など、 ま た音声素材、 IT 機器教材など幅広く多岐に亘る。 教材は、 教育内容 そのものでもあり、 教育内容を経験するための素材でも、 素材の特質や 学習者の実態を踏まえて作成された加工材でも、 学習を促す教具でも ある。  教材に関する用語には、「教材開発」「教材研究」「教材選択」「教材観」 「教材配列」 「教材分析」 「教材解釈」 「教材作成」 「教材改善」 「発展 教材」 「基礎教材」 「1次教材」 「加工教材 ( 二次教材 )」 他、など様々 ある。 それぞれの用語に教材を捉える概念がある。  図2は高階 (2005) による学習支援という観点から授業を捉えた場合、 学習意欲促進や目標達成促進のために開発的な学習材の提供が行われるという構造図である。 こうした様々な観点から教材を 設計しなければならない。 したがって、 教材を作成する 、 開発するには教員 (作成者) は、 素材の意味合い、 教材に対する視 座 ・ 視野 ・ 視点を充分に認識しておくことが必要である。 2.2 視座 ・ 視野 ・ 視点の認識について   視座 ・ 視野 ・ 視点という言葉は似通ったことばで、 「様々な観点」 ということばでひとくくりにできると思われる表現である。 しか しながら、 目の前の生徒の学力・学習意欲や 、 教材が有する学習内容、 思考力・判断力・表現力育成、 基礎基本の徹底など様々 な観点から教材を考える ( 読み込み ・ 作成 ) には、 より明確に教材を見る観点が必要である。  「視座」 とは、物事を認識する時の立場、物事を見る姿勢や立場である。 岩波国語辞典 (2000) には 「物事を認識する時の立場。 ▽観点と対象とのかかわり方を含めて言う。 1960 年ごろに社会科学で使い始めた語。」 とある。 生徒や教員にはそれぞれの立場 や役割があり、 個々人それぞれに関心を持っている内容にも違いがある。 立場やものの見方によって、 関心のある事柄の重要 度や優先順位も異なってくる。 教材に接するときの、 教材を見る個々人それぞれの見方の多様性や相違性を認識する観点として 「視座」 を意識することが大切であると考える。 学習材としてみる、 教育材としてみる、 内容理解としてみる、 定着練習としてみる など様々な教材への接し方の意味合いを踏まえることが教材作成 ・ 開発には望まれる。  「視野」 は、 文字どおりには 「目に見える範囲」 である。 ちなみに、 人間の視野は片目で約 160 度程度、 両目だと 200 度ぐ らいだといわれ、 肉食動物は獲物を狙うために目が顔の前にあるため狭く、 草食動物は肉食動物から逃げやすいよう目が顔の横 にあり広い範囲になっているそうである。 一般的には、 「物事を考えたり判断したりする範囲」 と解釈され、 「視野が広い」 「視野 が狭い」 などのように表現される。 教材を考えるに当たっては、 レッスンの各パートやセクションに目が行きがちで、 明日の授業 の範囲でという考え方をする場合が多い。 しかしながら、レッスンはユニットとして全体を見据える必要がある。 「木を見て森を見ず」 と言われるように広い範囲で見渡し、 様々な関連性を把握して教材を見たり、 教材づくりをしたりするマクロな視点が肝要である。 ただそれだけでは、 「森を見て木を見ず」 に陥りやすく、 個々の生徒の動静や状況の認識が不十分になりかねない。 したがって、 状況や対象に近づき、 視野を狭めることによって細かな部分の特性や問題点などをしっかり認識するミクロの視点も必要である。  その上で、 ものごとを見る見方の要点、 つまり目の付けどころである 「視点」 が必要となってくる。 どこに着目して教材を扱った り 、 作成したり 、 改作したりするかを押さえておくことである。 ただし、 これには気をつけるべきことがある。 視点を固定化すると、 たとえばカメラのように一点ポイントに焦点化すると他のものがぼやけて見えるということを認識しておかなければならない。  こうした様々な観点で授業とその教材、 指導展開をデザインすることになる。 2.3 授業デザイン ・ 授業展開と教材  次ページ表1にあるように、 教材は授業デザイン力、 授業展開力に関わるものである。 教材作成は、 「授業に対する思い」 「学 習者の把握」 「目標の設定」 「授業の発想 ・ 構想」 「授業計画」 などの授業デザイン力をもとに行うものであり、 教材活用は授 業展開力のカテゴリーに関わるものである。 それぞれの項目を充分考慮した上で教材作成に取りかかる必要がある。 図2 授業における教師の学習支援の考え方 高階 (2005) 『新しい学習メソッドの展開』 教育開発研究所より 教師の学習支援の構造 学習の促進 開発的学習材提供 目標達成促進 生徒の主体活動 学習過程 授業の目標・内容 ○ 学習意欲・態度などの 形成 ○ 自主的、自発的な学習 への取り組み ○ 思考力、判断力、表現 力などの形成 ○ 多様な学習活動や問題 解決・体験的学習 ○ 基礎・基本の徹底。知 識・能力の獲得など ○ 社会の変化に対応する 教育内容など

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    表1 授業実践に必要な教員の能力 3. 今求められている学力を踏まえて  教材作成 ・ 開発には、 目の前にいる生徒のことや、 学校のことなどローカルな状況を認識することが何より大切であるが、 教育 内容は世界状況を踏まえグローバルにとらえ、 中教審の答申など、 今求められている学力の育成も視野に入れなければならない。  中教審答申 ( 平成 20 年1月 ) では、 ( 前略 ) 各学校で子どもたちの思考力・判断力・表現力等を確実にはぐくむために、まず、 各教科の指導の中で、基礎的・ 基本的な知識 ・ 技能の習得とともに、 観察 ・ 実験やレポートの作成、 論述といったそれぞれの教科の知識 ・ 技能を活 用する学習活動を充実させることを重視する必要がある。 各教科におけるこのような取組があってこそ総合的な学習の時 間における教科等を横断した課題解決的な学習や探究的な活動も充実するし、 各教科の知識 ・ 技能の確実な定着にも 結び付く。 ( 答申、 pp.24-25)  [ 下線部筆者 ] と活用力の育成を求めている。 知識 ・ 技能の 「習得」 の学習を、 実際に課題を 「探究」 する学習へと効果的に結びつける 「活 用型」 の学習を求めている。 つまり、 図3にある習得サイクルを探究サイクルへ結びつける授業として 「活用型」 の学習が必要 +8”Œ … OQ•',ÈO#dc6„O·Á• ®­»Ã² E:•\Èm3Æ3ÄÇÄG3ÆÂ°­ÃÄ3P6Ç .4•a™h™È.4•9%H_„V .4•l(Ä  `1ÄX` YÄ) ¼±ÁÄÀű¡Ã¦ I CÆ…†ˆÇ )I jT LÆf”ŒÇ ‰‘–†… ¬£­¯½Å WM U! >&t+8„) 9%‘l( [gU@ V e/ÄV ¶Àò•A Éʓ’.R;•A

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であるということになる。 従来、 「習得型」 の学習成果を見るために言語活 動を 「活用型」 学習として行ってきたことが多かったかもしれない。 つまり、 「活用」 が習得の最終ゴールとして位置づけられていたかもしれないが、 こ れからは 「探究」 へ結びつける学習としての 「活用型」 の学習を行うこと が大切となり、 「習得型」 の学習に終始するのでなく、 「探究型」 の学習 へ結びつける 「活用型」 学習の性格を意識することが求められている。 教 材作成 ・ 開発に当たってはこれを充分に踏まえる必要がある。 3.1 思考力 ・ 判断力を育成するために  「活用型」 の学習の要となる力は、思考力 ・ 判断力である。 市川 (2008) は 、 問題解決など 「考えさせる授業」 を妨げる要因として次の6点を挙げている。 ・ 既習内容をもとに考えることを促しても考えあぐねてしまう子 (生徒) が多い ・ 討論を通じてわからせたいと思っても、 ほかの子どもの発言の意味が理解できず、 討論に参加できる子 〔生徒〕 が限定される ・ 一方では、 塾や予習などで 「先取り学習」 をしている子 〔生徒〕 や、 すぐにわかってしまう子 〔生徒〕 もいて、 授業レベルや 展開の仕方に興味を失いがちになる ・授業のねらいや目的からはずれた 「多様な意見」 が出すぎて、わからない子 〔生徒〕 はますます混乱し、教師は扱いきれなくなっ て多くの意見は切り捨てられる ・ 自力解決や討論に多大の時間を消費するために、 教師がていねいに補足説明やまとめをする時間がなくなる ・ 教科書を使わずに、 活動、 板書、 自作プリントで進められていくため、 授 業後に振り返ってじっくり考え直す手立てが乏しい  特に、 教材に関わることとして、 「教科書を使わずに、 活動、 板書、 自作 プリントで進められていくため、 授業後に振り返ってじっくり考え直す手立て が乏しい」 は、 現場教員の熱心な行為がかえって妨げとなることを示唆して いる。 同時に、 問題解決の授業で良く見られる傾向に、 「授業中に教科書 を使わない」 「『○○のしかたを考えよう』 という呼びかけで始め、 自力で考 えさせようとする」 「多様な考えを出すことことを促す (「いろいろな意見を出 し合いましょう」 と呼びかける)」 など、 教えずに考えさせる傾向があることも 指摘している。 既習内容に新しい学習事項を教えることによって 、 より深く理 解させることができる。 教え込むのでなく、 「教えて考えさせる授業」 が必要 であると説いている。 筆者も中等教育の経験を通して同じ意見である。  したがって、 教材づくりには 「教えて考えさせる」 学習プロセスを意識することが大切で、 ヴイゴツキーの最近接領域 (ZPD) を認識することが必要となる。 3.2 自律型の学習を高めるために  同時に、 学習意欲を高める授業としては自律的な学習へ導かなければならない。 児童が自転車を乗ることをマスターするプロ セスは、 まず両親から自転車の操作方法としてハンドルやペダルの action (働き) を教えられ、 それを理解した上で試行錯誤し、 やがて補助輪を外して乗れるようになる activity( 活動 ) につながる。そうすると 、 次には、ある目的を持って遠くへ出かける act( 行為 ) と移っていく。 この一連のプロセスは本人の自律的な活動である。 ここに要するものは、 自転車に乗りたいと思う 「内在的な動機」 と、 自転車に乗ることができると思う 「自信」 である。  英語学習においての内在的な動機を促すものは、 「英語はおもしろい」 と思えることである。 したがって、 教材開発 ・ 作成には、 英語特有の表現のおもしろさや英語の音声のおもしろさ、 英語の言語構造のおもしろさなどが伝わるものが望ましい。 また、 「自 信」 は実際にやってみたり、 他者との関わりの中で生まれたりするものなので、 ペアやグループなどの活動を通して培われること も教材づくりには念頭に入れておくことである。 4. 教材の作成 ・ 開発 4.1 教材研究 ( 教科書等の読み込み )  教材を作成 ・ 開発するためには、 まず教科書等の教材を読み込み、 何をどのように指導するべきか、 指導目標をどう設定し理 解の補助として何が必要なのかなど、 教材研究することが第一務である。 図3 学習の習得サイクルと探究サイクル 市川 (2008) 『教えて考えさせる授業を創る』 図書文化より 図4 「教えずに考えさせる授業」 と教えて考えさせる授業」 市川 (2008) 『教えて考えさせる授業を創る』 図書文化より

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 まず、 教科書のテキストが、 物語文 (narration: 小説など、 登場人物が時間の流れにしたがって物語 ・ 出来事が展開する )、 描写文 (description: 人物や物、 出来事の描写、 知識の獲得…服装 ・ 表情 ・ 年齢等の推測 )、 説明文 (exposition: 手順を示し たマニュアル、 レポート ・ エッセイ )、 論説文 (argumentation : 新聞社説、 ある事柄、 事態について筆者が自分の主張を展開 ) なのかをチェックし、 その素材の特性によってどのような授業展開を行うか全体的に捉える。  さらに読み込んで、 「テキストが伝えたいメッセージとキーワード」 「豊かな英語表現 ・ 日本語とは異なる英語らしい表現」 「筆者 の意図 ・ 感情が伝わる表現」 「テキストの論理構成」 「テキストのアウトラインマップ作成」 「題材に関する情報の収集」 「テキスト の類似英文、 反対の考えを持つ英文の収集」 「挿絵や写真の理解」 「グラフや表の理解と補助資料」 「導入のための補助資料」 などを教える立場からと学ぶ立場からそれぞれに焦点を当てながら考え、 整理してゆく。  最終的に目の前の教材に対して、 「生徒に何を学ばせたいか」 「読解力としてどのようなことをチェックするか」 「テキストの何を 理解することが大切か」 「機能文法からのリーディング 語 ・ 語法 ・ 文法表現」 「content-based understanding からみたテキストの 理解」 に焦点を当て、 扱う単元、 教材の指導目標 ・ 指導項目を設定する。 4.2 教材の改作 ・ 補填 ・ ワークシートの作成   ま ず、 指 導 目 標 ・ 指 導 項 目 か ら 教 材 を 再 度 チ ェ ッ ク す る。 McDonough(2003) は 教 材 を チ ェ ッ ク す る 際 の adapting materials(P.77) のポイントを以下のように挙げている。 ・ Not enough practice of grammar points of particular difficulty to these learners. ・ The communicative focus means that grammar is presented unsystematically. ・ Reading passages contain too much unknown vocabulary. ・ Comprehension questions are too easy, because the answers can be lifted directly from the text with no real understanding. ・ Listening passages are inauthentic, because they sound too much like written material being read out. ・ Not enough guidance on pronunciation. Subject matter inappropriate for learners of this age and intellectual level. ・ Photographs and other illustrative material not culturally acceptable. ・ Amount of material too much or too little to cover in the time allocated to lessons. ・ No guidance for teachers on handling group work and role play activities with a large class. ・ Dialogues too formal and not representative of everyday speech. ・ Audio material difficult to use because of problems to do with room size and technical equipment. ・ Too much or too little variety in the activities. ・ Vocabulary list and a key to the exercises would be helpful. ・ Accompanying tests needed.  McDonough(id.) は ま た 改 作 の フ レ ー ム ワ ー ク と し て 図 5 に あ る よ う に、 adding, deleting, modifying, simplifying, reordering の手法を示している。 Content areas のこと を踏まえ、 提示方法 ・ 手段も考慮する。 たとえば、 ・ 文法事項が提示されているだけで、 わかりやすさに欠ける、 活用には不十分である  →補足教材の準備、 図解などの説明教材を作成、 活用型の教材を創作する。 ・ 担当する学習者が特に困難に感じると思われる文法項目の練習問題が少ない  →追加の練習問題の導入、 学習者のレベルに合わせて基礎 ・ 発展など2パターン 用意したワークシートを用意する。 ・ 読解用本文に未知語が多すぎる。  →生徒が理解できる簡単な単語に置き換えて口頭で説明したり、 類語や語のイメー ジをつかめたりするよう板書を工夫する。 ・ 教科書記載の理解確認質問は、 答えが本文中からそのまま抜き出せるので易しす ぎる  →推論の問いかけ (inferential questions) や 「賛成 ・ 反対」 などの評価の問いかけ (evaluative questions) を考える。   主教材を読み込み 、 内容理解として何を補うことが大切か 、 語彙 ・ 語法や文法の定着を図るにはどのような教材が必要か、 活用を図るにはどのような教材が必要かなど改作すべきと考える項目を整理する。 必要最小限にとどめる方が授業の運営にゆとり が生まれる。 過剰な解説や練習課題を設定したワークシート ・ プリントをもとに授業を進めると、 授業後に生徒自身が自分の力で 振り返ってじっくり考え直すことを阻害することになりうるので、 その点には注意しなければならない。  ワークシート、 ハンドアウトは教員が一人で作成するものと、 生徒の参加を得て作成するものがある。 図6は筆者が作成した単 図5 A framework for adaptation McDonough(2003) P.85

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語連語ハンドアウトの一部分で、 生徒参加型の教材例である。 事 前に生徒に予習作業として、 教科書テキストにある単語 ・ イディオ ムなどを生徒の考えで選びイラストによる説明図と例文を考えさせて 提出させておく、 提出されたものをまとめて授業時にハンドアウトと して配付する。 図7は、 奈良県立 T 高等学校が SELHi 研究開発での実地調査公 開授業で配付されたハンドアウトの一例である。  非常に細かなところまで配慮したハンドアウトである。 教科書テキ ストだけでは不十分と思われる情報を加えて視野を広くすることは教 材作成には大切なことである。 ただ、 内容理解のための課題と定 着を図る (教え込む) 課題とが所狭しと書き込まれると、 非常にて いねいなハンドアウトであるが、 自律した学習者を生み出すのに効果的かどうか懸念が残る。 言い換えれば、 教員が全てを設定 し補助教材として与えることが習得への道筋として効果的であるかどうかである。 このことは検討を要することである。 教員が指導 するために活用したいと考える 「教育材」 として作成するのか、 生徒が学ぶために提供する 「学習材」 として作成するのか、 教 材の視座を確認しておくことが必要で 、 コンパクトで充実したハンドアウトであればあるほど視座が混在した補助教材となる。 4.3 創作教材 ( 補助教材を含めて )   学習環境や教材などの分析 ・ 設計手法を体系化した授業設計 (Instructional Design) に 「ガニエの 9 教授事象」
(Gagne  2004) がある。 ①刺激の受容を確実なものにするために注意を獲得する
 ②適切な期待感を確立するために学習者に学習の目的を知らせる ③長期記憶から以前に学んだ内容を取り出すように学習者を促す ④選択的知覚を確実なものにするために教材を明瞭に際立たせて提示する
 ⑤意味的符号化を適切に行えるように学習の指針を与える 
⑥反応の生成を伴うパフォーマンスを引き出す 図6 「連語イラストで暗記ハンドアウト」 図7 T 高校授業ハンドアウト ・ ワークシート例

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⑦パフォーマンスに対してフィードバックを与える ⑧反応とフィードバックの機会を重ねて用意しパフォーマンスを評価する
 ⑨多様な実践の機会を工夫し将来の検索と転移を助ける     (鈴木克明 ( 監訳 ) (2007) 『インストラクショナルデザインの原理』 p.13)  授業の指導過程の各段階での指導の観点 (導入①②③ [ ④⑤ ]—展開④⑤⑥⑦—まとめ⑧⑨) を順に網羅したものである。 主 教材。 補助教材 ・ 創作教材などで授業を行う際には、 表2 ガニエの 9 教授事象を基にした指導理念 表2にある9つの教授事象を基にした指導理念を作成時に意識しておくことが効果的な創作教材 ( 補助教材 ) 作成につながる。  同時に、 主たる教材として扱われる教科書と異なり創作教材を提示することには、 主教材との関連性があることが望ましいととも にそれなりの観点が必要である。 その提供は、 担当している生徒にとって効果的であるとの判断の下で行われるべきである。 した がって、 その場合、 教員が目の前にいる生徒に対して、 ① 「おもしろそうだ」 と興味 ・ 関心を持たせる教材、 意欲を喚起し内発的動機付けを促す教材、 探求心を起こさせる教材、 ② 「やってみたい」 と思える達成目標 ・ やりがい、 達成感を感じさせる教材、 ③ 「やれそうである」 という自信を促す教材、 ④ 「おもしろかった」 と満足感を与える教材 であることを意識して創作することが肝要である。  創作教材作成 ( 補助教材作成を含め ) において、 こうした観点よりも最も必要な教員の資質能力は、 教員の素材に対する感受 性である。 常に素材を収集し準備をしておき、 素材の引き出しに温めておき、 必要時にその引き出しから取り出すひらめきをもっ ておくことが創作の鍵である。 5. まとめ 5.1 教材開発のチェックポイント  教材開発のためのチェックシート例を以下に示す。 付録教材例にその使用例を示すこととする。 表3 教材開発のチェックポイント 教材の視点:学習内容のターゲット ねらい・目標 課題・タスク 期待される効果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

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 本チェックシートに、 箇条書きでポイントを記入し、 教材の指導項目を明確にすると共に指導方法を考える土台とする。 本チェッ クシートは、 主教材の読み込み時や、 補助教材の作成時に活用して授業デザインの一助とすることができる。 同時に授業評価と しての教材分析の観点の整理としても活用できる。 授業実践後に振り返りとして、想定どおり進めることができたか、うまくいかなかっ た場合そのずれはどこで生じたのかを検証することも授業改善に大切である。 それによって、 教材づくりの方向性 ・ 道筋を確固と したものにできる。 5.2 開発 ・ 創作にあたって  教材づくりのアクセスを確認することのみでは、 いい教材は生まれない。 楽しいわかりやすい例文 、 図解、 活動、 問いかけは、 最終的には、 教員の創造性やひらめきによって生み出されることが多い。 身の回りには使える素材があふれているが、 それに気 づくには相当の感受性が必要である。 Adams(2003) はクリエイブな発想を妨げるものとして、 次の 6 Conceptual Blocks (6つの認 識における障壁) を挙げている。 ① Detecting What You Expect --- Stereotyping 「ステレオタイプ化、 固定概念を持つこと」 ② Difficulty in Isolating the Problem 「問題点を整理せず、 解きにくい観点から考えること」 ③ Tendency to Delimit the problem Area Poorly 「問題領域の境界をうまく設定できずに、 答えの可能性を制限してしまうこと」 ④ Inability to See the Problem from Various Viewpoints 「多様な視点で問題を見ることができないこと」 ⑤ Saturation 「情報の飽和による見過ごし」 ⑥ Failure to Utilize all Sensory Inputs 「人間に備わるすべての感覚を用いないこと」  往々にして、 人は目の前のことを当たり前ととらえたり、 不必要な制限を加えてものごとを考える傾向がある。 固定概念や枠にと らわれないで自由に発想することは、 生まれ付きの性質や能力でなく訓練によって身につけることが可能であると考える。 書籍や 参考書だけでなく、 実際のもの : 旅行のパンフレット、 広告、 新聞記事、 街の看板、 レシートなどあらゆるものを異なった角度か ら見直すことで教材を創作し続けることが、 次の創造性に役立つと考える。 それが生徒のやる気を産む大きな力となる。 本稿末 に付録として学生が旅先での気づきをもとに教材化した資料をいくつか添付しておく。

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引用 ・ 参考文献 市川伸一 (2008) 『「教えて考えさせる授業」 を創る』 図書文化 髙階玲治 (2005) 『新しい学習メソッドの展開』 教育開発研究所 三浦省吾 ・ 深澤清治編著 (2009) 『新しい学びを拓く英語科授業の理論と実践』 ミネルヴァ書房 安彦忠彦編 (2008) 『活用力を育てる授業の考え方と実践』 図書文化 山岸信義 ・ 高梨貞雄 ・ 鈴木政浩 ( 編) (2010) 『英語授業デザイン学習空間づくりの教授法と実践』 大修館書店 Adams. J.(2001). Conceptual Blockbusting: A guide to Better Ideas. Basic Books Gagne.R(2004). Principles Of Instructional Design. Wadsworth Pub Co. 鈴木克明 ( 監訳 ) (2007) 『インストラクショナルデザイン の原理』 北大路書房 (2007/09) McDonough J.(2003).Materials and Methods in ELT: A Teacher's Guide. Blackwell Publishing 付録 創作教材例 : 旅先での気づきの中で作成した教材 教材例① 川野潤美

What holes are these?

      

[ ]

What are common points between ① , ② , and ③ ? How many types do you think there are in the world? In which countries are these electrical sockets used?

① ・ ・The U.S.A

② ・ ・The U.K ③ ・ Australia

・Japan

Classify countries and cities in the list below into ① , ② ,and ③ types of sockets. ①          ②       ③

 

Canada The U.K. Singapore Malaysia New Zealand Papua New Guinea Hong Kong India Sudan Kenya

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Distinguish above the countries by using different colors. ( ①→ red ②→ green ③→ blue)

From above the colored map, consider how each of colored countries is involved from a historical perspective. *Use the word “colony(colonization)” and two countries at least

教材作成意図

教材例② 髙井 楓

Think Recycle, Think Our Environment ≫

☆Read the dialogue and answer the following questions. Mary: Look at this picture. Do you know what it is? Bob: I don’t know, but it looks like a signboard.

Mary: Yes, that’s right. It says, “Please Recycle Your Newspapers Here.”

Bob: Recycle our newspapers? You collect them to make something new, don’t you? Mary: No. It means that you should put newspapers not into the garbage box but into this

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big plastic bag.

Bob: Could you tell me about it more?

Mary: If you do it after you have read the newspaper, other people can get it from here with no charge. We don’t need to consume extra piece of papers and it leads an eco.

Bob: It sounds good and very interesting, but I have never seen it around here. Where did you find it?

Mary: I found it at the station in Boston.

Bob: I think we should also put the same system in Japan because it’s the easiest way to save the environment.

Mary: I agree with your opinion. I want much more people to have interests in environmental issues.

Questions <Part A >

1.What should people recycle into the big plastic bag? 2.Why does Bob think good and interesting?

3.Should other people pay some money for newspapers when they get them? 4.Where did Mary find the signboard?

5.Why does Bob think we should also put the same system in Japan? <Part B >

1.Have you ever seen recycle system in pubic places? If so, explain examples. 2.Do you have some better ideas to protect the environment?

3.Which environmental issues are you interested in? Homework

Research the topic you are interested in, and write down the details as many as you can! 教材作成意図

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教材例③ 善積実希

Part 1:Explore Chicago, the United States of America!

Read the article and answer the following questions.

  In Chicago, the United State, a lot of people like to have lunch and dinner outside in summer because it is not easy to go outside in winter. It snows a lot in Chicago. So, a lot of events like a concert and music tour are held in summer. I introduce one event, Jazz Club Tour. This is an event of Jazz. We can enjoy a lot of Jazz music at each club. We take trolleys in order to go to each club. It costs just only 20$.

Questions

1.When people in Chicago like to go outside? A.They do in ________.

2.Why?

A.Because ______________________. 3. What time does music start?

A. It starts at ___ pm. 4. What time do trolleys roll at?

A. It _____ ___ ___pm. 5. What is not allowed in trolleys?

a. Speaking b. Drinking c. Driving True or False

1. We can go to Red Peppers after City Life at South Side 1. True False 2. We can go to Park 52 after Chant at South Side 2.   True False

(13)

Part 2 : Explore Chicago, the United States of America!

Look at the picture and read following article.

When I visited Chicago, I often went to lake with my friends because my host family's house was close to the lake. This lake is called “Lake Michigan.” When we decided to swim at the beach, I found a poster. I did not understand what the poster wants to tell us. One of my friends told me that some people often feed birds, so the beaches are so dirty. In addition, she said that the government plant to take an action for the problem. Could you imagine what the poster wants to tell us? Writing Activity Read article and look at the picture, imagine what the poster wants to tells us about and explain your idea in English. It is better to write 3 sentences to 5 sentences. 教材作成意図   教材の視点:学習内容のターゲット 教材の視野:教材はどのような学習分野のものか、今後の発展的な学習内容への結びつき、これまで気づかなかった学習内容、個々の生徒の学力に対応 学習内容の位置づけ: 日常生活・環境問題 発展項目へのつながり: 日本に存在する看板とアメリカに存在する看板との比較から、日本語と英語の表現の違いを知る ・英語表現の修得

・英語表現のおもしろさ Help prevent swim bans!

Attention (注意) Relevance (関連性) Confidence (自信) Satisfaction (満足) おもしろい やりがいがある役に立つ やればできる やってよかった ねらい・目標 ・ 図表の読み取りの能力を、確認する ・ 記事から情報を読み取り、問題と照らし合わせることで、必要とされている情報を整理する能力をつける ・ 自分で文章を作成する力をつける 課題・タスク ・記事から情報を読み取り、問題と照らし合わせることで、必要とされている情報を整理する ・ジャズのフェスティバルマップを読み取る ・環境ポスターを読み取る 期待される効果 ・図を見て、自分の考えを述べることができる ・文を英語で書く力を養う ・ マクロ的視野 ミクロ的視野 教材の視座 情報の有益性Informative 立 場 生徒にとって (学ぶ) 教材評価:低■■■■■高 ・日本における看板とアメリカ における看板の表現の違いを 知る ・ ・ 教材評価:低■■■■□高 ・図表の読み取り力 ・ ・ 教材評価:低■■■□□高 ・自分の考えを英語で述べる ・ ・ 教材評価:低□□□□□高 ・自分の考えを英語で述べる ・ ・ 教材評価:低■■■■■高 ・他国の文化を知る ・ ・ 教員にとって (教える) 教材評価:低□□□□□高 ・日本語と英語の表記の違い から、環境問題への考え方の 違いを気づかせたい ・ ・ 教材評価:低□□□□□高 ・実践的に海外で英語表記の 看板を読み取ることができるよ うに指導する(実践力をつけ る) ・ 教材評価:低□□□□□高 ・考えを英語で述べる力をつ けさせたい ・ ・ 教材評価:低□□□□□高 ・「英作することができた」とい う達成感を味わってほしい= 語彙力を増やすきっかけにし たい ・ 教材評価:低■■■■■高 ・実在する図表や看板を通し て、日本語と英語による表記 の違いから、他国の考え方の 違いについて考えさせたい ・ 教材評価:低□□□□□高 ・ ・ 内容型 教材評価:低□□□□□高 ・ ・ 教材評価:低□□□□□高 ・図表や看板から判断する ・ 教材評価:低□□□□□高 ・ ・ 教材評価:低□□□□□高 ・ ・ 教材評価:低□□□□□高 ・ ・ 指 導 の 重 点 定着型 教材評価:低□□□□□高 ・ ・ 教材評価:低□□□□□高 ・ ・ 教材評価:低□□□□□高 ・英作において、分からない単 語を辞書で引く作業を通して、 語彙力を増やす 教材評価:低□□□□□高 ・ ・

参照

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