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県内で捕獲されたイノシシにおけるカンピロバクター属菌の 保菌状況

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Academic year: 2021

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第 92 回麻布獣医学会講演要旨 71

92

回麻布獣医学会 一般学術演題

7

県内で捕獲されたイノシシにおけるカンピロバクター属菌の 保菌状況

○仁和 岳史,大森 英明,林 亨,安田 宏,工藤 博史

千葉県南総食肉衛生検査所

【はじめに】

イノシシはブタの野生先祖種であり,生物学的 には豚と同じとされている。我々は昨年度にと畜 場に搬入される健康肥育豚についてカンピロバク ター属菌の保菌状況を調査し,食中毒起因菌である Campylobacter jejuni,Campylobacter coli(以下,C.

jejuni /C. coli)を検出するイムノクロマトキットが 100%で陽性となり,一部の株について同定検査を実 施したところ,C. coli が優位に検出された。そこで ブタと同一種であるイノシシにおけるカンピロバク ターの保菌状況についても把握し,野生動物の獣肉 処理施設の衛生指導に繋げる目的で調査を実施した。

【材料および方法】

平成2811月から平成291月末までに野生獣 畜食肉処理施設に搬入されたイノシシ12頭の直腸内 を「シードスワブγ3号」(栄研化学)を用いた拭取 りにより採材した。拭取りを行った綿球部分を増菌 培地(「プチットカンピロ」(日研生物医学研究所))に 加え,増菌培養(37℃もしくは42℃,2日間,微好 気)を実施した。増菌培養後の菌液を1ml分取し,5

10分間の煮沸滅菌後に室温まで冷まし,イムノク ロマトキット「NHイムノクロマトカンピロバクター」

(日本ハム中央研究所)でカンピロバクター属菌のう ち,食中毒起因菌であるC. jejuni /C. coliの有無につ いて判定を行った。陽性検体について,CCDA培地 による分離培養(42℃,48時間,微好気)後,5%羊 血液寒天培地による純培養(37℃もしくは42℃,2 間,微好気)を実施し,オキシダーゼ試験,カタラー ゼ試験,グラム染色を行った後,「アピヘリコ」(シ

スメックス・ビオメリュー)を用いて同定検査を実施 した。また,イムノクロマト陽性検体については遺 伝子検査としてPCRによるC. jejuni /C. coli,C. lari,C.

upsaliensis,C. fetus,C. hyointestinalis の鑑別も実施し た。

【結果及び考察】

イ ム ノ ク ロ マ ト キ ッ ト で は,12検 体 中3検 体

(25%)が陽性となり,菌量が十分であった2株を同 定検査に供したところ,1株は同定不能となり,もう 一株はCampylobacter. fetus(以下,C. fetus)と同定さ れた。

遺伝子検査では,同定不能となった1株からは遺 伝子は検出されず,C. fetusと同定された1株と菌量 が不十分であったイムノクロマトキット陽性株1株か らは共にC. jejuni及びC. hyointestinalis遺伝子が検出 された。このことから,同一個体が複数のカンピロ バクター属菌を保有していたことが示唆された。

【まとめ】

カンピロバクター食中毒は少量の菌で発症する。

また,C. jejuni / C. coli は微好気性細菌であるが低 温保存した食品中では長く生存するといわれている。

従って,処理時に腸管内容物が漏出した場合,イノ シシの肉・内臓によるカンピロバクター食中毒・感 染症の発生リスクを引き上げることを施設関係者に 周知し,引き続き衛生管理の徹底について指導を行 うことで,安全な食肉の提供に繋げたい。また,消 費者に対しては,イノシシにおいてもカンピロバク ター食中毒・感染症が起こる可能性があることを啓 発したい。

参照

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