1.マルクスの価値論
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(2) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 4 巻 第 4号. ‑38‑. 714. だが,商品はさらに価値をもっている。この価値の実体をなしているもの は,同等同質なものとしての抽象的人間労働である。生産者は質的に異なる具 体的有用労働をすることによって使用価値を作り出す。ここで具体的有用労働 というのは,指物労働や建築労働や紡績労働のように. r その目的,. 作業様. 式,対象,手段,結果によって規定されている」労働である。だが,質的に異. r 人聞の脳や筋肉や神経や手などの生産的支. なっている具体的有用労働は. iとしての労働をしている限りで. , 「生理的意味での人聞の労働力の支出 出j. は,他の具体的有用労働と共通の側面をもっ。これが抽象的人間労働である。 そして,この抽象的人間労働が商品のなかに対象化され,商品の価値としてあ らわれるのである。抽象的人間労働は,このように物の属性として,物化され た形態をとってあらわれる。 個々の商品の価値は,一定の大きさをもっている。そこで次に,この価値の 大きさは何によって決定されるかが問題となる。 抽象的人間労働をする限りでは,社会にある無数の個別的労働力のおのおの は,すべて. r lつの同じ人間労働力」とみなされる。そ L て r これらの個別. 的労働力のおのおのは,それが社会的平均労働力と L、う性格をもち,このよう な社会的平均労働力として作用し, したがってー商品の生産においてもただ平 均的に必要な,または社会的に必要な労働時間だけを必要とするかぎり,他の 労働力と同じ人間労働力」とみなされる。こういうわけで,商品の価値,つま りその実体としての抽象的人間労働の大きさは,この商品の生産に平均的に必 要な,または社会的に必要な労働時聞によって決定されるのである。社会的必 要労働時聞は. r 現存の社会的に正常な生産条件と,労働の熟練および強度の. 社会的平均度とをもって,なんらかの使用価値を生産するために必要な労働時 間」であるということができる。 (3) (4) (5) (6) (7) (8). [i'マルクス=エシゲソレス全集~ [i'マルクス=ェ γ ゲルス全集~ [i'マルクス=エンゲルス全集~ [i'マルクス=エシゲノレス全集~ [i'マルクス=エlγ ゲルス全集~ [i'マルクス=エ・ンゲルス全集~. 2 3a , 5 7( 5 6 )ページ。 2 3a , 59~60 ( 58‑59)ページ。 2 3a , 6 3( 6 1 )ページ。 2 3a , 5 3( 5 3 )ページ。 2 3a , 5 3( 5 3 )ページ。 2 3a , 5 3( 5 3 )ページ。.
(3) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 1 5. 農業における価値規定の特殊性 (2). マルクスは,次のようにのベる。. ‑39ー. r たとえば,イギリスで蒸気機関が採用さ. れてからは,一定量;の糸を織物に転化させるためにはおそらく以前の半分の労 働で足りたてぜあろう。イギリスの手織工はこの転化に実際は相変わらず同じ労 働時聞を必要としたのであるが,彼の個別的労働時間の生産物は,いまでは半 分の社会的労働時聞を表わすにすぎなくなり,. したがって,それ以前の価値の. 半分に低落したのであ広」いまや一定量の糸を織物に転化させるのに社会的 に必要な労働時間は,社会的に正常な生産条件=蒸気機関を利用する生産者が 実際に必要とする労働時間,. そのもとでの個別的労働時聞によって規定され. る。他方,任意にとり出したあれこれの織物商品の生産にはなお手織技術が使 われており,社会的必要労働時間よりも多くの労働時聞が要費されているとし よう。だがそれは,手織技術を用いる生産者が実際に必要とした個別的労働時間 によってではなくて,これと同じものを社会的に正常な生産条件のもとで作る とすればかかるであろう労働時聞を含んでいるものとして売られるのであ幻 商品の交換は価値を基準として行なわれるが,この価値の実体をなしている ものは}抽象的人間労働であり,その大きさは,社会的必要労働時間の大きさに よって決定される。これがし、わゆる価値法則とよばれるものである。 マルクスの価値論は,なお多くの重要な命題を含んでいるが, ここでは価値 論そのものの本格的な叙述が目的ではないので詳細なことは省略し,ただ次の 点だけを指摘しておくことにしたし、。 第 1に。商品の交換は価値を基準として行なわれるが,この価値の実体をな¥ しているものは商品の生産に際して支出された抽象的人間労働である。かかる (9). ~マルクス=エシゲノレス全集Jl. 2 3a, 5 3( 5 3 )ページ。. ( 1 0 ) すでにマルクスは, ~経済学批判』において次のようにのベ lている。「……・ある商. 品に含まれている労働時間とは,それの生産に必要な労働時間,すなわちあたえ白ら れた一般的生産諸条件のもとで,同じ商品を新たにもう一個生産するために必要な 労働時間である J(~マルクス=ェ γ ゲルス全集Jl 1 3,1 9 6 4 年 , 1 7( 1 9 )ページ〉と。任 意にとり出された商品は社会的に必要な労働時間,社会的に正常な生産条件のもと でかかるであろう労働時聞によって生産されたものであるとは限らない。 しかし, 商品社会では,それは実際に要費じた労働時間ではなくて,それと向じものを社会 的に正常な生産条件のもとで作るとすればかかるであろう労働時聞をあたかも含ん でいるものとみなされるのである。.
(4) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 4 巻 第 4号. ‑ 40ー. 716. 意味において,商品の価値がその生産過程において生産されるものであること は明らかである。だが,個々の商品は直接的には使用価値として存在している のであって,. 価値は使用価値のかげにかくれている。それは抽象的にのみ存. 在しているにすぎない。. r 商品の価値対象性は,. らないしろものだということによって,. どうにもつかまえようのわか. マダム・クィックリとは違っている。. 商品体の感覚的に粗雑な対象性とは正反対に,商品の価値対象性には一分子も 自然素材ははいっていない。それゆえ,ある 1つの商品をどんなにいじりまわ してみても,. 価値物としては相変わらずっかまえようがないので、ぁ丸使用. 価値は現実に価値に還元され,価値はだれにもわかるような具体的なものとし てあらわれなければならなし、。そこで,価値へのこの還元が,実際にはどのよ うな具体的形態で行なわれるのかを考察しなければならなし、。. この課題は,. 『資本論』第 1部第 1篇の「第 1章 商 品J のうちの「第 3節 価 値 形 態 ま た は交換価値」において果たされている。非常に簡単にし、えば,使用価値の価値 への還元は,. 価値が使用価値とは異なる交換価値とし、う独立の姿態をとるこ. とを通して行なわれる。価格こそは,その最高の形態をなすものである。価格. ( 1 1 ) 生産者は商品の生産過程において価値を生産するわけであるが,この商品が使用 価値をもっていなければ,かれは価値を生産したことにはならない。この点で,マ ルクスのいうように,使用価値は価値の前提をなしているく『マルクス=エンゲルス 全集]2 3a , 5 6( 5 5 )ページ〉。このことは,生産物が社会的欲望に一致していること を前提している, といいかえることができる。社会的欲望に一致するように作られ ている限りで,それは使用価値であり得るからである。たとえば,椅子という生産 物は座るという社会的欲望に一致するように作られている限りではじめて使用価値 であり得る。だが,価値カ連産過程で生産・決定されるとしても,それが交換にお いて実現できるかどうかは別の問題であっ!て,それはこの使用価値が売れるかど、う Wマルクス=エシ かにかかっている。ここでも使用価値は価値の前提をなしている ( ゲノレス全集~ 2 3a , 1 1 5( 10 0 )ページ〉。いいかえれば,価値の実現は,使用価値が現 実の社会欲望に一致し得るかどうか,買手を見出し得るかどうかにかかっている。 何らかの事情で,使用価値が現実の社会的欲望に会合することができず,買手を見 出すことができないならば,それは実現されず, したがって価値も実現されないの である。 上の社会的欲望とこの現実の社会的欲望とはまったく別ものである。前者がたん に他人一般の欲望を意味しているのに対し,後者は実際に,買手として登場してく るものの欲望である。 ( 1 2 ) 11 マルクス=エンゲルス全集~ 2 3a, 6 4( 6 2 )ページ。.
(5) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 農業における価値規定の特殊性 (2). 717. は. ー‑4 1 .~. r さしあたりはただ貨幣形態にある価値でしかなし、」のであって,商品に. 内在する抽象的価値が,貨幣形態をとることによって具体的価値としてあらわ れたものにほかならない。 第 2に。使用価値の価値への還元という質的側面は,一定の大きさをもった 価値への還元という量的な側面を含んでいる。個別的労働時間の社会的必要労 働時間への還元である。抽象的人間労働がすでに生産過程において生産されて いることに照応して,社会的必要労働時聞は生産過程においてすでに決定され ている。だがそれは,だれにも感知し得るような具体的な形で存在しているわ けではなし、。個別的労働時間はたしかに実在しているが,社会的必要労働時間 の方はさし当りは抽象的にのみ存在しているにすぎない。生産者はかれが実際 に必要とした個別的労働時間にしたがって商品を売ろうとするだけであって, はじめから社会的必要労働時間が具体的なものとして存在していて,それにも とづいて売るわけではな L、。だから,個別的労働時聞は現実に社会的必要労働 時聞に還元されなければならなし、。さきの質的側面はこの種の還元を含んでい るのである。だが. F I資本論』の第 1部第 1篇では,この還元の具体的機構に. ついての立ち入った考察は行なわれていなし、。それはのちに『資本論』の「第. 3部 資 本 主 義 的 生 産 の 総 過 程 」 の 「 第 2篇 利 潤 の 平 均 利 潤 へ の 転 化 」 の 「 第1 0 章競争による一般的利潤率の平均化市場価格と市場価値超過利 潤」のところで果たされるのである。. 2 上にのベたごとく,個別的労働時間は社会的必要労働時聞に現実に還元され ( 13 ) ~マルクス=ェ γ ゲソレス全集~ 2 5a ,1 9 6 6 年 , 2 4 3( 2 0 3 )ベーヅ。 ( 1 4 ) この還元の具体的機構の考察が『資本論』の第 1部第 1篇で行われていないのは, この篇が『資本論』全体のなかでしめる地位にもとづいている。この篤の課題は, 資本の本性を解明するのに必要な限りでの基礎的な諸概念一一商品,価値,貨幣, 価格といったーーの展開にある。だが,個別的労働時閣の社会的必要労働時間へのー、ー 還元の具体的機構の考察は,資本の本性の解明にとっては不必要なことであり,た だ余計な混乱をもちこむだけのことである。しかもそれは,不必要であるばかりか 不可能なことでもある。この還元は,本文でみるように,市場競争をとおして行わ るのであるが, まだ個々の商品をもっぱらとり扱っているこの箇所では,競争とい ったより複雑なものをとり扱うわけにいかないからである。.
(6) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑ 42‑. 第5 4 巻 第 4号. 7 1 8. なければならなし、。つまり,社会的必要労働時聞は抽象的なものから具体的な ものに転化されなければならない。そして,この還元の具体的な機構は『資本. 0章において考察される。この考察なしには価値論その 論』の第 3部第 2篇第1 ものは完結しないで、あろう。実際また,のちにみるように,この考察によって はじめて,商品は社会的必要労働時聞によって規定された価値を基準として交 換されると L寸法則が現実に貫徹せざるを得ないゆえんも,明らかとなるであ ろう。 この還元は,同ーの生産部門に属し,同種の商品を生産している多数の生産 者の聞での市場競争を介して行なわれる。(むろん,それは いだの競争によって媒介される」のであるが。〉したがって,. r 買手たちのあ ここでは,. 個々. の商品ではなく,て,同種の商品は大量に生産され市場に出されるということが 想定される。 だが,この具体的な機構についてのべるまえに,次のことを指摘しておかな ければならない。第 1に,個々の商品ではなくて商品大量を対象とするいまで は,個々の商品についてのべられたことは., より具体的には次のようにし、し、あ らわされなければならなし、。すなわち,商品の価値の大きさはその生産に平均 的に必要な労働時間,社会的必要労働時聞によって決定されるという抽象的命 題は,同種の商品が大量的に存在していると L、ぅ具体的な事情のもとでは,つ まり,さまざまな大きさの個別的労働時間を含んでいる同種の商品が大量的に 存在していると L、う具体的な事情のもとでは,商品の価値の大きさは一生産部 門において支出されたすべての個別的労働時間の平均によって決定されるとい L、かえれば一一個別的労働時聞は個別 うように規定されなければならなし、。 L、. 的価値としてあらわれるのであるから一一一商品の価値の大きさは,一部門にお いて生産されたすべての個別的価値の平均によって決定されるというように規 定されなければならない。さらに第 2に,価値の大きさが社会的に正常な生産 条件のもとでの個別的労働時間,すなわち個別的価値によって決定されるとい う抽象的な命題は,一部門において商品が大量的に生産され,生産者が多数存 ( 1 5 ). W マルクス=ェ γ ゲルス全集~. 2 5a, 2 3 2( 1 9 4 )ページ。.
(7) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 農業における価値規定の特殊性 (2). 719. 在しており,. . ‑4 3ー. したがって発展度の異なるいくつもの生産条件が併存していると. いう具体的な事情のもとでは,次のように表現されなければならなし、。すなわ ち,価値の大きさは同種商品の過半を生産している生産条件のもとでの個別的 労働時間,個別的価値によって決定される傾向にあると。ある生産条件が過半 の生産量を支配するようになったことは,それが社会的に正常な生産条件とし ての地位をしめるようになったことを意味する。それがさらに多くの生産量 を n. 支配するようになれば,この生産条件はより完全な意味において社会的に正常 な生産条件としての地位をしめるようになる。さらに第 3に,このように,さ きの抽象的規定は,商品大量におしおよぼされて具体的な規定を受けとるので あるが,. ここでも生産された個別的価値の平均によって,あるいは過半を生産. する生産条件の個別的価値によって決定されるという点で,価値が商品の生産. F. 過程で生産・決定されるものであること,とは¥,、え,ここでもそれはなお抽象 的にのみ存在しているにすぎないことはし、うまでもなし、。 以上のことをふまえた上で,次に市場競争をみてみることにしよう。 同種の商品を生産する生産者たちは,. 自分 たちの商品を,さし当りは,かれ F. らが実際に要費した個別的労働時聞によって規定された個別的価値にもとづい て売ろうとする。だが,ほかでもなく,生産者たちが市場において相互に加え 合う圧迫の結果主して,さまざまに大きさの異なる個別的価値は現実に上に規. ( 1 6 )W 資本論』の最初のところでは,マルクスはたんに社会的に正常な生産条件とだけ のべているが,商品大量が問題となっているここでは,それは正常であるか正常で ないかといった絶対的・抽象的な意味においてではなし相対的・具体的な〆意味に おいて,量的な程度において理解されるべきである。過半を生産する生産条件とい っても, ょうやく過半を支配するようになったものからほぼ完全に全商品畳を支配 するようになったものまで種々の段階があり得る。それに応じて,社会的に正常な 生産条件とい、っても,種々の程度があり得る。そして,それがますます完全に社会 的に正常な条件としての地位をしめるようになればなるほど,社会的に正常な条件 のもとでの個別的労働時聞が価値を規定するという法則がより完全な意味において 貫徹するようになるのである。 マルクスが一方で市場価値を個別的価値の平均であるとしながら地方で過半を支 配する条件下の個別的価値であるとしているのは矛盾しているとする見解があるが 〈鈴木鴻一郎『地代論論争』勤草書房, 1952年,大内力『地代と土地所有~),両規 定の聞に矛盾があるわけでは決してない。過半を支配する条件のもとでの生産量が 多ければ多いほど,両者はますます完全に一致するようになる。.
(8) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ =.44~.. 7 2 0. 第5 4 巻 第 4号. 定されたような価値 に還元されるのである。 ω. 一生産部門で使われている生産条件を,. 上位,. 中位および下位の 8つ に わ. け,簡単な事例を用いてこのことを明らかにすることにしよう。. 生産条件. 個別的価値. 上 中. 位 位. 1時 間 2時 間. 下. 佼. 3時間. 生. ( 1 ) 1 0単位 1 0 0単位 1 0単位. 産 ( 2 ). £ I ヨ 且 .. ( 3 ). 1 0単 単 単 位 位 位 1 曲単位 1 0l l H i ' i I 1 0単位 1 0 0l i H i l . I 1 0単位. 【中位のもとでの生産量が過半をしめ,両極のそれが均衡している場合】. ( C l)の場合〉 上位の条件を利用する生産者たちは商品を 1時間の価値をもつものとして, 同様に中位や下位の条件を利用する生産者たちはそれぞれ 2時間と 8時間の価 値をもつものとして,売ろうとする。その結果として,諸個別的価値から一個 同ーの価値が作り出される。上位の条件をもっ生産者たちは価値を自分たちの 個別的価値のところに引きつけようとする。中位や下位の条件をもっ生産者た ちも同じことをする。この引力は,もちろん,それぞれの生産者たちの市場支 配力に,すなわち,それぞれの条件のもとで生産された商品量が同種商品全体 のなかでしめる割合に比例する。したがって,この一個同ーの価値は,さまざ まに異なる個別的価値をそれぞれの条件下で生産された商品量}で、加重平均した 単位+ ところに落ちつくであろう。いまの例でし、えば,それは,(1時間 x10. 2時間 x100単位 +3時間 x10単位) ‑ ; . ‑ 1 2 0単位 =2時間である。 この(1)の場合には,価値は中位の生産条件のもとでの個別的価値と一致す! L、かえれば,それは,中位のもとでの個別的価値によって決定される。 る 。 L、. たしかに両極の生産量が完全に均衡することはまれであって,価値が中位のも とでの個別的価値と完全に一致するとは限らなし、。しかし中位のもとでの生産. ( 1 7 ) マルクスは, w 資本論』の第 s 部第 2篇第 1 0章では,労働の熱線度や強度を捨象 し,労働時聞はもっぱら生産条件の相違によって規定されるとしている。われわれ ごしたがうことにしよう。 もここではマルクスのこの説明 t.
(9) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 2 1. ‑4 5・ ー. 農業における価値規定の特殊性 (2). 量の割合がもっと大きく,両極のそれがもっと小さくなるとすれば,価値は中 位のもとでの個別的価値とより完全に一致するようになるであろう。 【両極のいずれか一方の生産量}が過半をしめている場合】. ( (2)と(3)の場. 合 〉 以上の(1)の場合が通例であろうが,むろん (2)ゃ く 3)の場合もあり得る。. 2)の場合には,(1時間 x10 単位 +2時間× 競争の結果形成される価値は, ( 1 0単位 +3時間 x 1 0 0 単位) + 120 単位毎 28 時間, ( 3)の 場 合 に は ( 1 時 間 ,,. x 1 0 0 単位十 2時間 x 10 単位 +3時間 x 10 単位) + 120 単位 = 1.2 時間に, そ れ ぞれ落ちつく。. (2)の場合には,個別的価値の平均としての価値は,下位のもとでの個別的 価値の近くに落ちつくが,それとは完全に一致しなし、。しかし,下位のもとで の生産量がもっと大きければ,両者はさらに完全に一致するようになる。 (3) の場合も同様であって,上位の生産量がもっと大きければ,そこでの個別的価 値はより一層価値を自分の方に引きつけることになるであろう。 このように,生産者たちはただ盲目的に個別的価値にもとづいて売ろうとす るが,かれらが市場において相互に加え合う圧迫のために,さまざまの大きさ の個別的価値は}個同ーの価値に還元されるのであり,こうしてかれらは,好 むと好まざるとにかかわらず,結局はこの一個同ーの価値を基準として売らざ るを得ないことになるのである。商品の交換が社会的必要労働時間,それによ って規定された価値を基準として行なわれるという法則は,競争の強制によっ て現実に貫徹せしめられるのである。 生産過程においてすでに生産・決定されているとは L、え,さし当りは抽象的 でしかない価値は,同一部門に属する生産者たちの市場競争を介して,具体的 な価値に転化する。'この具体的な価値は,市場において形成されるといろ限り で,市場価値とよばれる。. 3 この市場価値と関連して,なお次の諸点を指摘しておくことにしたい。.
(10) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑'46ー. 第5 4 巻 第 4号. 7 2 2. 第 1に。すでにみたごとく,価値は価格の形態をとらざるを得ないのであっ て,個別的価値は個別的価格の,市場価値は市場価格の形態をとる。そして, 個別的価値からの市場価値の形成は,個別的価格からの市場価格の形成という 形をとって行なわれるのである。 だが,市場競争の結果形成される市場価格が市場価値に,すなわち市場価値 をあらわしている市場価格にちょうど一致するとは限らないのであって,. ζ. の. 一致のためには,ある部門で生産された商品総量に現実の社会的欲望の量が一 致していることが必要である。需要と供給の一致である。上の市場価値の説明 においては,この前提がもうけられていたとしなければならなし、。["市場価値 がなんであろうと,それを取り出すためには需要と供給とが均衡していなけれ ばならないということは,平凡な経済学者でも認めざるを得ないのである。」 だが実際には,需要と供給の一致は偶然であって,市場価格はたえず市場価 値からか L、離する。商品はたえず市場価値よりも高くあるいは低く売られるの である。そこで,このような複雑な事情のもとで, ,¥ 、かにして市場価値どおり の交換の必然性が貫徹するかを研究しなければならなし、。 第 1に,長い期聞にわたって平均してみれば,偶然的な需要と供給,市場価 値と市場価格の不一致は相殺され,需要と供給,市場価値と市場価格は一致す! る。["大なり小なりの一期間の全体を見れば,供給と需要とは絶えず}致す る。…一…市場価値からかたよる市場価格も,それらの平均数から見れば,平. W マルクス=ェ γ ゲルス全集~ 2 5a, 2 4 1( 2 0 1 )ページ。 商品大畳についても,さきに個々の商品についてのべたことく注 ( 1 1 ) ) があては まるーーとはいえより具体的な程度において。価値の大きさが一部門で生産された すべての商品の個別的価値の平均によって決定されるという場合には, この商品総 量は社会的欲望の霊に一致しているという前提がもうけられている。 だが,価値は生産過程においてすでに決定されているとはいえ,それはなお抽象 0 章では,それがいかにして具体 的なものでしかない。『資本論』の第 3部第 2篇第1 的な価値としてあらわれるか,さらに価値を基準とした交換の法則が実際にと、のよ うにしてつらぬかれるかがーーしかもさし当りは純粋な形で一一考察される。しか しそのためには, ともかくも事態が順調に遂行し,すで、に決定された価値が多くも すくなくもなく実現されると仮定しなければならない。こういうわけで,需要と供 給の一致が前提されるのである。. ( 1 8 ).
(11) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 2 3. ‑4 7ー. 農業における価値規定の特殊性 (2). 均されて市場価値に一致す立」こうして,長期的にみれば,商品は市場価値に もとづいて,あるいは市場価値をあらわしている市場価格にもとづいて売られ ると L寸 法 則 が 貫 徹 す る の で る る 。 こ の 必 然 性 は , そ の 時 々 の 販 売 が た え ず 市 場価値どおりには行なわれないと L、う偶然性を伴うことによってのみ,長期的 な傾向として貫徹するわけである。需要が供給をこえれば,市場価値の転化形 態としての市場価格が市場価値よりも騰貴する。その結果は,需要が減少し(あ るいは供給が需要よりも増大し),. 市場価格は市場価値よりも低下する。需要. が供給を下まわる時には,これと正反対のことがおこる。市場価値は,. 自らの. 転化形態である市場価格の変動を通して,需要と供給を調節するのである。そ れはともあれ,長期にわたって平均してみれば,需要と供給,市場価値と市場 価格は一致し,市場価値を基準とした販売の法則がつらぬくのであ. : z. ( 1 9 ) W マルクス=ェ γ ゲノレス全集~ 2 5a,2 3 9( 2 0 0 )ページ。 ( 2 0 ) このように需要供給の関係は市場価値からの市場価格のかい離をもたらすだけで るるが,マルクスは突は需要供給の関係が直接に市場価値そのものを決定すると考 えていたとする解釈がある。その引き合いにしばしば出されるのは, マノレクス自身 が社会的必要労働時聞が需要によって決定されるとのべている箇所である(たとえ 5a ,434~436 (196~197) ページ, w マルクス=エン ば , w マルクス=エンゲルス全集~ 2 ゲルス全集~ 2 6 1,1 9 6 9 年 , 271~272 (203~204) ページ〉。 しかしここではマルク スはーーかれ自身が明言しているように一一社会的必要労働時間の諮を本来のそれ とは「別の意味」において用いているのである。 たとえ商品のなかには太来的な 意味での社会的必要労働時聞が含まれているとしても,商品が現実の社会的欲望の 量にくらべて過大に生産された場合には,商品は市場では実際にそれが含んでいる 社会的必要労働時間よりもすくない労働時間しか含んでいないものとみなされ,あ たかも生産においてはそれだけの労働時間しか必要としなかったかのごとくに売ら 0 0単位の商品が{乍られるとし,社会的必要労働時聞は単位当り れる。たとえば, 1 2 時間,全部では 2 0 0時間であるとしよう。 しかし,現実の社会的欲望の量カ. 5 5単 55単位 =110時間しか労働時聞を必要とし 位しかないとすれば,全部では 2時間 x . 1時間 ( 1 1 0 時間 + 100 単位〉しか労働時聞 ない。そこでこの商品は,単位当りで 1 を含んでいないものとして評価され売られるのである。これがいわゆる「別の意味」 での社会的必要労働時間である。これは現実の社会的欲望の f 設を充足するのに社会 的に必要とされる労働時間であっ!て,需要供給の関係のたえざる変動によって規定 i 別の意味」の祉会的必要労働 されるその都度の市場価格においてあらわされる。 ( 時聞については,次の文献を参照。横山正彦『マルクス価値論における一基本問題 一一「社会的必要労働(時間 )J をめぐってー-~<横山正彦編『マル F ス経済学論集』. 河出書房新社,昭和3 5 年 , 91~93ページ >0) 市場価値はただ抽象的な価値が具体的な価値としてあらわれたものでしかない。 両者は形態を呉にするのみで、るつ!て,量的にはまったく同じものである。だから, マルクスが価値は技術的な条件によって決定されるが市場価値は需要供給の関係に 資本論』の誤読以外の何ものでもな よって決定されると考えていたとする解釈は, w. し 、 。.
(12) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 、. 724. 第5 4 巻 第 4号. ‑ 48ー. 第 2に,需要と供給,市場価値と市場価格の不一致が生じた場合に,市場価 値それ自体が変動して,需要と供給,市場価値と市場価格の一致がもたらさ れ,市場価値にもとづく販売の法則がつらぬかれるということもあり得る。む ろん需要と供給の関係が市場価値を決定するわけでは決してな L、。それはただ 市場価値からの市場価格のかし、離をもたらすだけである。すでにみたように, 市場価値は一部門における生産条件の発展度によって決定される。需要と供給 の不一致による市場価値からの市場価格のかし、離が,生産条件の発展度の変化 による市場価値の変動の法則に外部から刺激を与 えるということなのである。 i. 「需要供給関係は,一方ではただ市場価値からの市場価格の偏差を説明するだ けであり,また他方ではこの偏差の解消への,すなわち需要供給関係の作用の 解消へのp 傾向を説明するだけである。………需要と供給とは,それらの不一 致によってひき起こされる作用の解消を非常にさまざまな形で実現することが できる。たとえば,. 需要が減り,. したがって市場価格が下がれば,その結果. は,資本が引きあげられて供給が減らされるということになりうる。しかしま た,必要な労働時聞を短くする諸発明によって市場価値そのものが引き下げら・ れ,それによって市場価格と一致させられるということにもなりうる。これと は反対に,需要が増し,それとともに市場価格が市場価値よりも高くなれば, その結果は,この生産部門に多すぎる資本が供給されて生産がふやされ,. した. がって市場価格そのものが市場価値よりも安くなるということになりうる。あ るいはまた,他方では,価格騰貴のために需要そのものが元のように減らされ るということにもなりうる。また,あれこれの生産部門では,市場価値そのも のが長短の期聞にわたって土がるということにもなりうる。というのは,要求 される生産物の一部分はこのようなときにはよりわるい条件のもとで生産され なければならないからである。」 2 5a;239‑240( 2 0 0 )ページ。 マルクスは,次のようにのべている。「需要が非常に大きくて,最悪の条件のもと で生産される商品の価値によって価格が規制されても需要が収縮しないならば, こ のような商品が市場価値を規制する。・・ ・生産される商品の量が,中位の市場価値 で売れる程度よりも大きければ,最良の条件のもとで生産される商品が市場価値を. ( 2 l ). W マルクス=エンダノレス全集~. 0. 1.
(13) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 2 5. 農業における価値規定の特殊性 (2). ‑49‑. 第 2に 。 市 場 価 値 が さ ま ざ ま に 大 き さ の 異 な る 個 別 的 価 値 を 平 均 し た と こ ろ に落ちつく結果として,個別的価値が市場価値を下まわっている生産者のもと には,両者の差額としての超過利潤が形成される。たとえば, さきのく 1)の 場 合 を み れ ば , 市 場 価 値 が 2時間で決定される結果として, 上位の条件を用いる. 単 生 産 者 の も と に は , 単 位 当 り で 2時 間 ‑ 1時 間 =1時 間 , 全 部 で 1時 間 x10 規制する。 J(Irマルクス=且ンゲルス全集~ 2 5a,2 2 5 ‑ 2 2 6( 1 8 8 )ページ )0r これとは 反対に,商品量がそれにたいする需要よりも小さいかまたは大きいならば,その場 合には市場価値からの市場価格の偏差が現われる。そして,第一の偏差は, もし商 品震が少なすぎれば,つねに,最悪の条件のもとで生産される商品が市場価値を規 制し, もし多すぎれば,つねに,最良の条件のもとで生産される商品が規制する。 J(Irマノレグス=エンゲノレス全集~ 2 5 a,2 3 3( 1 9 5 )ページ〉。 ここでもマルクスは 需要供給の関係が直接市場価値を決定すると考えていたようにみえる。さきの「別 の意味」での社会的必要労働時間とならんで, しばしば引き合いに出される筒所で ある。だが, マルクスは,需要供給の関係は直接には市場価値からの市場価格のか い離をもたらすだけであり,生産条件の発展度の変化による市場価値の変動の法則 に,外部から刺激を与えるだけであることを指摘しているにすぎない。需要供給 の変動が一時的であれば,市場価値からの市場価格のかい離も一時的であるが,需 要供給の変動とそれによる市場価値からの市場価格のかい離が多かれすくなかれ永 続的である場合には,生産条件の変動とそれに、よる市場価値の変化に刺激を与える ことがあり得る。需要がすくないために市場価値よりも市場価格は低下し,上位の 条件のもとでの個別的価値によって規制されるが,そうなっても需要がふ之ず市場 価格がこの個別的価値のところから上がらないとしよう。このことは,いまや中位 や下位のもとで、生産された商品は不必要であることを意味する。競争の結果は, こ れらの条件が駆遂され,上位の条件だけが残ることになるであろう。そこで市場価 値はいまや上位のもとでの個別的価値によって規制されるようになる。反対に,需 1 川. 要ヵ巧:~くて,市場価格が下位の条件のもとでの個別的価値によって規制されても収. 縮せず,市場価格がそこでの個別的価値のところから下がらないとしよう。これは, 需要をみたすためには下位の条件を利用することが必婆であることを意味する。下 位の条件のもとで生産される商品登が増加するにつれて,そこでの個別的価値が市 場価値を規制するようになる。 なお,以上の引用文については,次のような解釈がある。(1)生産条件の変動に よる市場価値の変化過程の問題として理解するもの(ローゼンベルグ,副島種典, 宇高基縞『資本論注解~ 4 ,青木書j 古 , 1 9 6 2 年,横山正彦『マルクス価値論における 一基本問題一一「社会的必要労働〈時間 )J をめぐって一一~), (2)市場価値は市場 価格の誤記であると理解するもの〈山本二三丸『価値論研究』青木書庖, 1 9 6 3 年 ) , (3)市場価値についての特殊規定として理解しようとするもの〈花井益ー『価値と 貨幣』ミネルヴア書房, 1 9 6 1 年,大島雄一『市場価値論への覚え喬一一いわゆる不 明瞭な箇所の一考察~ <Ir経済科学~ 7 巻 1号 , 1 9 5 9 年 7月>,桑野仁『社会的必要 労働時聞の解釈~ <Ir世界経済評論~ 1 9 6 0 年 1月>,高島永幹『マノレクス市場価値論 におけるいわゆる「不明瞭な箇所」について~ <Ir茨城大学農学部学術報告~ 8号 , 1 9 6 0 年>)。 ( 2 2 ) Irマルクス=エソゲルス全集~ 2 5a ,2 2 5( 1 8 8 )ページ。.
(14) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 4 巻 第 4号. ‑.50ー. 字2 6. 位 =10 時間の超過利潤が生ずる。この超過利潤については,のちに「虚偽の社 会的価値」を論ずる際に,もっと立ち入って分析することにしよう。 第 3に。商品は市場価値にもとづいて売られるとしてきたが,実際には資本 主義的諸関係のもとでは,それは市場価値から大なり小なり偏侍した生産価格 を基準として売られる。マルクスが『資本論』の第 3部第 2篇の「第 9章. 一. 般的利潤率(平均利潤率うの形成と商品価値の生産価格への転化」のところで 用いて L、る数字例をもとにーーただし若干の加工をしてーーとの法則について 簡単に説明しておく 1. 部門 E E. N V. ζ. とにしたい。. 本. 資. 80C+20V 70C半 30V 60C+40V 85C+ 15V 95C+ 5V. 合 計 │ … 平均. 生産価格. 1 2 2 1 2 2 1 2 2 1 2 2 1 2 2 6 1 0. 生 産 量 剰余価値│価. 5単 位 1 0単 位 1 0単 位 5単 位 5単 位. 10V│ 78C+22V. I生単位産価当格り I平均利潤 2 4 . . 4 1 2 . 2 1 2 . 2 2 4 . 4 2 4 . 4. 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 0. I. 市 位 場 価 当 値 り 利潤率 値 単. 2 0 3 0 4 0 1 5 5. 1 2 0 1 3 0 1 4 0 1 1 5 1 0 5. 1 1 0 2 2. 1 2 2. 2 4 1 3 ' 1 4 2 3 2 1. 20% 30% 40% 15% 5%. み 位 た 差 当りで 場 産 価 値 価 務 の 差 と市 単 平均利潤率 生. 22% 22% 22% 22% 22%. +2 ‑8 ~18. +7 +17. +0.4 ‑0.8 ‑1, 8 +1.4 +3.4. O. Iから Vまでの各部門に 100づっの資本が投下されているが,生産カの発展 度が違うために,部門ごとの資本の有機的、構成は表のよう広違っているとしよ う。剰余価値率が互の部門でも同← ( 1 0 0%)であるとすれば,各部門の資本 はさまざまに異なる剰余価値を生産することになり,商品の価値もさまざまで あろラ。商品が価値どおりに,すなわち市場価値にもとづいて売られるとすれ ば,部門を異にするに応じてダ利潤率は違ってくる。ある部門では資本はその.
(15) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 2 7. 農業におげる価値規定の特殊性 (2). ‑5 1ー. 大きさとの関係ではより多くの利潤を獲得し,他のある部門ではよりすくない 利潤しか入手できないことになるであろう。だが,各部門の資本は,それらが どの部門に投下されているか,. したが、って実際にどれだけの剰余価値を生産し. ているかにはかかわりなく,同等同質のものである。資本は価値からなってお , り この価値の実体をなしているものは同等同質のものとしての抽象的人間労 働である。各部門の資本は,たんに社会的総資本のー可除部分をなしているに すぎないのである。だから,社会的総資本に対して総剰余価値の比率が22% で あるとすれば,各部門の資本にも,これと同じ比率で剰余価値が配分されなけ ればならなし、 o ,¥ 、し、かえれば,各部門の資本には,それが社会的総資本におい てしめる規模に比例して社会的総剰余価値が配分されなければならなし、。いま の例でいえば,各部門の資本には22 づっの剰余価値が割り当たることになる。 だ が , こ の た め に は , 荷 品 は や Nや Vでは市場価値よりも高い価格で. n. ゃ mでは市場価値よりも低い価格で,売られなければならなし、。この修正され た価格が生産価格であり, また再配分された剰余価値が平均利潤である。そし て,社会的総資本応対する社会的総剰余価値の比率が平均利潤率とよばれるも のにほかならない。 この資本そのものから導びき出される平均利潤率=生産価格の法則は,現実 には,できる限り高い利潤率をもとめる資本聞の競争によって実現される。こ. Iや Nや V )から、高い部門 の競争のために資本は利潤率の低い部門 C. c nや. I D ) に移動する。そこで,資本が出ていく部門では供給が減少していくので販. 売価格は市場価値よりも騰貴し,その結果と Lて利潤がふえ利潤率は上昇する であろう。反対に,資本がλっていく部門では,供給の増大,販売価格の低 下,利潤の減少,利潤率の低下が進行する。こうして,どの部門でも,投下資 本の規模に対じて同じ比率で剰余価値が割り当てられるような状態が作り出さ れるく平均利潤と平均利潤率の形成〉。すなわち販売価格がどの部門でも利潤 ( 2 3 ) ここでは,簡単のために,資本の回転の問題を捨象した。また,各部門における 投下資本の規模は 100であると仮定されているが,違っ ていても(この方が実際の 1. 姿であろうが〉むろんさしっかえはない。.
(16) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第5 4 巻 第 4号. ~52 一明. 7 2 8. 率 を 同 一 に さ せ る よ う な 水 準 に 落 ち つ く と L、う状態が作り出される〈生産価格 の形成〉。上表は,. 競争によって達成された状態を,その時の各部門の投下資. 本の規模,市場価値,生産価格,平均利潤,平均利潤率などを示したものであ ( 2 4 ). る 。. ( 2 4 ) ここでついで?こ,マルクスの『経済学批判体系』におけるいわゆる f6部構成」 と競争論との関係についてのべておきたい。周知のように,かれは.::t:.シゲルスあ 5 8 年 4月 2日付〉のなかで, W 経済学批判体系』を次の f6部構成」に ての書簡(18 9,1 9 7 2 年 , 2 46‑ したがって展開するとのべている ( Wマルクス=ェ γ ゲルス全集jJ 2 2 5 0 ( 2 1 4 ー2 1 8 )ページ〉。 I 資本 a 資本一般 ( 1 )価値 2 )貨幣 3 )資本〕 b 競争 c 信用 d 株式会社 E 土地所有 E 賃労働 W 国家 V 外国貿易 羽世界市場 われわれの見解によれば, W 経済学批判体系』は純粋な資本主義的生産株式を対象 としたものであって, とくに Iから温までは資本の内的法則や内的構造を研究の対 象とするものである。そして,マルクスはから阻までを『資本論』体系として 叙述しようと考えていたのであっ て , た と え ば の aの 1)は ' W 資本論』の第 1 部第 1篇第 1章に, 1の bはその第 3部第 2篇第 1 0章に,そして Eはその第 3部第 6章に,それぞれ該当するものである。 そ こ で 競 争 論 で あ る が の aの 1) は個々の商品を対象として,資本の本質解 明に必要な限りでの基礎的諸概念の展開を目的としているのであるから, ここで競 争について論ずることがまったく場違いであるばかりか不可能であることは明らか である。 Iの bに!いたっ てはじめて,競争論が登場する。 とはいえ,それはなお抽 象的な考察にとどまる。資本の内的法則,なかでも価値法則と平均利潤率=生産価 格の法則を展開するのに必要な限りでしか競争は言及されていない。たとえば,資 本一般〈産業資本〉の競争だけがもっぱら対象とされており〈いうまでもなく,現 実の競争は,産業資本,商業資本,土地所有,賃労働,国家などの間で, またそれ ぞれの内部でも行われているく『マルクス=.::t:.:..tゲルス全集jJ 2 5a,2 2 9( 1 9 1 )ペー ジ)),競争の現実的な運動一一需要供給や市場価格の運動,景気変動などのーーは Wマルクス=エンゲルス全集jJ2 5a,2 2 9( 1 9 1 )ページ, 2 5b ;1 0 6 4 除外されている ( ( 8 3 9 )ページ〉。競争についての本格的考察は, とくに W 世界市場の項目において 行われるべきであろう。 l世界市場における競争論は,資本主義的生産株式に照応する近代的競 だが v 争を対象としているのであっ!て,それはなお具体的現実からは速い。資本主義のも とでは,近代的な競争とならんで非近代的な競争が残存しているく『マルクス=エ.:..t ゲルス全集jJ2 5,2 4 7( 2 0 6 ‑ 2 0 7 )ページ)。競争についての特殊研究という分野.のあ 5a, ることをマルクスは指摘しているがくたとえば『マルクス=.:x:.:..tゲルス全集jJ 2 l. l.
(17) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 7 2 9. 農業における価値規定の特殊性 (2). ‑53ー. このように,同一部門内での生産者聞の競争の上に異部門聞の資本競争が行 なわれるために,商品は市場価値ではなくて,それから大なり小なり偏傍した 生産価格を基準として売られるのであるが, とは. しかし市場価値についてのべたこ. r 必要な限定を加えれば,生産価格にもあてはまる 1 のである。第 1に ,. 需要供給関係の変動は生産価格からの市場価格のたえざる変動をもたらすが, 長期平均的には,市場価格は生産価格と一致し,生産価格にもとづく販売の法 則がつらぬくのであり,さらには,生産価格自体が(生産力の発展度の変化の ために〉変動して,生産価機と市場価格の一致がもたらされるということもあ り得る。第 2に,超過利潤が個別的価値と市場価値の差額として生じたとすれ ば,いまやそれは,個別的生産価格と生産価格の差額として規定されることに なる。個別的生産価格が生産価格を下まわっている資本家の手もとには,両者. i. の差額としての超過利潤が形成されるわけである。市場価値の形成のところで 用いた表のうちのく 1)の場合をみてみよう。上位の条件のもとで生ずる超過利 潤は,単位当りで 1時間,総額では 1 0時間であった。だが,商品は市場価値 2 時間ではなくて, 2, 1 6時間と L、う生産価格で売られるとしよう。他方,平均利 ,上位の条件のもとでの個別的価値 1時間のうち資本部分が 0, 9 5時 潤率は 20% 時間 ( 0, 9 5時聞の資泳部分 間であるとすれば,そこでの個別的生産価格は 114 にその20%に相当する平均利潤を加えたもの〉であろう。したがって,超過利 潤は単位当りでは2 . . 1 6時間 ‑1.14時間 =1, 0 2時間,総額では1.. 0 2時間 x10 単位. =10.2時間となるであろうの 2 4 7( 2 0 6 ‑ 2 0 7 )ページ), それは,競争についてのもっとも具体的で現実的な運動 に関する理論的研究をその主内容としているといえよう。実際の競争においては,近 代的な競争と非近代的な競争とはからみ合い対立し合'っており,たえず後者は前者 に転化しつつあるが, こうした具体的で現実的な競争がそこでは問題とされる。こ れは,ちょうど,土地所有=農業経済に関する特殊研究,つまり農業経済学が『経 済学批判体系』とは別に構築されなければならないのと似ている。 E 土地所有で は,資本主義に適合したものとしての近代的土地所有=資本主義的農業経済の理論 的考察が行われるが,非近代的な土地所有=非資本主義的な農業経済の研究は除外 されている。差是業経済学は,近代的土地所有=資本主義的農業経済だけでなく非近 代的な土地所有=非資本主義的な農業経済を,要するに資本主義時代におけるもっ とも具体的で現実的な土地所有=農業経済の総体を,理論的に研究するものである。 ( 2 4 ) Ii'マルクス=ェ γ ゲルス全集.lI2 5a ,2 5 0( 2 0 8 ‑ 2 0 9 )ベ}ジ。.
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