学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2017 年 6 月 28 日(水)
報告番号:甲・乙 第 号 氏名: 上田 俊一郎
論文審査
担当者 主査 教授 印
副査 教授 印
副査 教授 印 審査論文の題目:Immunophenotypic profiles for distinguishing orbital mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma from benign lymphoproliferative tumors
(表面抗原の解析による眼窩粘膜関連リンパ組織リンパ腫と良性リンパ増殖性疾患の鑑別)
著 者:Shunichiro Ueda, Yoshihiko Usui, Takeshi Nagai, Daniel Diaz-Aguilar, Toshitaka Nagao, Hiroshi Goto
掲載誌:Japanese Journal of Ophthalmology (in press, 2017) 論文要旨:
眼窩に発生した粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫と眼窩 IgG4 関連眼疾患(IgG4-ROD)の鑑別の一 助として両疾患の表面抗原の発現パターンをフローサイトメーターを用いて検討した。対象は生検によ り最終的に確定診断に至った眼窩リンパ増殖性疾患の連続 44 例(MALT リンパ腫 21 例(男性 11 例、女性 10 例、平均年齢 67.8
±
13.4 歳)、IgG4-ROD 23 例(男性 9 例、女性 14 例、平均年齢 60.5±
15.1 歳)であっ た。生検により得られた組織を用いてフローサイトメーターにより、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD19、CD20、CD23、CD25、CD30、CD34、CD56、lambda 鎖、kappa 鎖の表面抗原の発現を解析するとともに、CD3、
CD20、CD23、CD25、CD79a、lambda 鎖、kappa 鎖、IgG、IgG4 の免疫組織化学染色を行った。
その結果、MALT リンパ腫では IgG4-ROD と比較して CD19 と CD25 が有意に高発現(p<0.001)していた。
一方、CD3、CD4、CD23 は IgG4-ROD において有意に高発現(p<0.01)を認めた。免疫組織化学染色によ る検討でも MALT リンパ腫では CD25 が高発現しており、IgG4-ROD では CD23 が高発現していた。以上よ り、眼窩リンパ増殖性疾患における表面抗原の発現パターンの違いが明らかになった。特に CD23 と CD25 についてはフローサイトメトリーにおける発現パターンが疾患特異性を示したことから、両疾患の診断 補助に有用であるとともに、それぞれの病因にも関与する可能性が考えられた。
審査過程:
病理学的確定診断における意義付けおよびオーバーラップ例や除外例に関する質問に対して適切な 回答が得られた。
フローサイトメーターの手技および統計処理に関する質問に対して適切な回答が得られた。
他臓器に発症した MALT リンパ腫と IgG4-ROD との比較および MALT リンパ腫以外の眼窩リンパ腫との 比較の質問に対して適切な回答が得られた。
制御性 T 細胞の夫々の疾患における意義について適格な回答が得られた。価値判定:
治療方針の異なる眼窩に発生した MAL リンパ腫と眼窩 IgG4-ROD の差異を表面抗原の発現パターンお よび免疫組織化学染色を用いて検討した論文である。今後の発展が望まれる分野の先駆的な検討であり、
学位論文としての価値を認めた。