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Browning 夫妻が互に捧げ合った愛の言葉

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Br owni ng 夫妻が互 に捧 げ合 った 愛の言葉

渡 邊 清 子

英文学史上RobertBrowning (1812‑1889)とElizabethBarrettBrowning (180661)夫妻程,文字通 りに霊 肉一致の深い愛情を,生涯かけて死 に至 る まで持ち続 け,燃や し,歌い続 けた詩人達の類を見ないと言っても過言ではあ るまい。この小論文に於いて詩人夫妻の熱烈な愛の体験 を2人が交 した手紙や 詩によってたどってみたい。

Browningは1833年,21歳の時 にPaulzlneを手初めとし,1835年 にPwacel sus,1837年 にStraNoTd,1840年にSordelloを,その翌年 には詩集BelLs andPmegTaaEes(鈴と柘将」)No.Ⅰを,その次の年 にそのNo.ⅡとNo.Ⅲを,43 年にNo.ⅣとNo. ,44年 にNo.Ⅵ,45年 にはNo.Ⅶ,46年 にNo.Ⅶという風 に実に 精力的に作品を出版 しつづ けた。「鈴 と柘棺」 という8冊の小冊子 には後世に 名を残す優れた短詩が多 く収め られているが.それ以前の劇詩には登場人物の 心理描写に重点が置かれ,事件や行動の劇的発展や展開に乏 しかったため,実 際に上演するのは殆んど不可能で不評に終 った。その上,当詩人として令名を馳 せていたテニ ソンのような流麗柔軟な言葉使 いと対照的に,哲学的な人生観 を 折 り込んだ難解な表現を駆使 し,冗漫に陥る欠点 をもっていた。それで彼の詩 は余 り読 まれず,評判 もよくなかった。 しか し落胆 して1844年の末 にイタリア か ら帰って来 た彼は.既 に多 くの著作 をな し,文壇 にその名を知 られていた MissBarrettPoems(1844)を読み大 いに力づ けられた.彼女 はもう彼の詩 集を熟知 していたと見え,̀̀LadyGeraldine'sCourtship"(StⅩLI,11・163‑4)

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という詩の中で彼女 はBrowningをテニソンやワーヅワス等一流の詩人達 と同 等 に並 べ,彼 の詩 をま く理解 し,賞賛 していたか らである。彼 自身 も既 に JohnKenyonを通 してMissBarrettの詩を以前か ら愛読 していたので深い感 動をおぼえたのは当然 であろう。彼は友人Kenyonのすすめに従い,18451 10日に初 めてBarrett嬢 に熱烈な感謝と感激の手紙 を書 き送 った。 このこと が二人の優れた詩人達 を永遠に結ぶ,目に見えない鎖 となったのである。

Browning"Iloveyourverseswithallmyheart,dearMissBarrett a

ndthis.isnooff‑handcomplimentaryletterthatIshallwrite,‑ "という名 文句で書 きは じめ,終 りの方で"Ido,aslsay,lovethesebookswithallmy heart‑ andiloveyoutoo"0 (I)と彼は実 に大胆率 直に彼の彼女 に対する愛を 告 白 してい る。 それ に対 してMissBarrettか ら早速返事 が来 た。TIthank you,dearMr.Browning,from thebottomofmyheart.Youmeanttogiveme pleasurebyyourletter‑andeveniftheobjecthadnotbeenanswered,I oughtstilltothankyou."(2)手紙 はかな り長 い複雑な内容の ものであったが, 彼女 も又熱情を込めて彼の詩に対する愛 と敬意を持 ち続 けることを述べて,吹 の如 く手紙 を結んでいる。

",..IwillsaythatlwhileIlivetofollow thisdivineartofpoetry,in proportiontomyloveforitandmydevotiontoit,Imustbeadevoutadmi erandstudentofyourworks.Thisisinmyhearttosaytoyou‑andlsaylt. And,fortherest,Iamproudtoremain

YourobligedandfaithfulI ElizabethB.Barrett."(3)

2人の記念 すべ き愛 の手紙の交換 されたのはBrowning32,Elizabeth 38歳の時のことであ?′た。その後繁 く彼 らの間に恋文の交換が行われ,一週 2,3度逢 うようになってか らも結婚 に至るまで続 けられた。その総数実に 600通 にのぼるとV.EStackは証言 している。 (4)Browning1845226

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に彼女 !こ次の ような手紙 を書 いた。"Realwan Spring,dearMissBarrett, andthebirdsknow it;andinSpringIshallseeyou,surelyseeyou‑for whendidioncefailtogetwhateverlhadsetmyheartupon?"(5)この強引と

も見える程のBarrett嬢 との面会の願望 は,.終 に報いられ,彼が初めてかの有 名な50WimpoleSt.の彼女の病室 を訪れることが許 されたのは,その年の5 月20日のことであった。

Elizabethは小柄ではあったが,15歳の時落馬 して背椎 を傷めるまで,人並 の健康な少女であった。 しか しそれ以来彼女 は一生歩行が困難にな り.部屋 に 祭る病弱な身になって しまっていた.‑その上1828年に母を亡 くし,1840年の夏 に最愛なる弟 に溺死 されてか らの彼女の悲歎は目に余 るものがあった言彼女 は 不眠症に悩 まされ,半病人の状態になった.‑しか し彼女 を溺愛する父親 や多 く の弟妹 に優 しくか しづかれ,徐 々に少 しずつ元気 を回復し1844年 には2巻 の Poemsを刊行する程 になっていたのであった。それで もBrowhingはこの閲秀 詩人に初めて会った時,彼女の健康状態をみて,とっさにある決意 をした。そ の事情 をGriffinMinchinは次 の ように伝 えてい る."Though hesup‑

po亨ed,whenfirsthesaw her,thatshewould‑neverbeablesomuchasto standuponherfeetbeforehim,hedeterminedtodevotehislifetohers.The letterwhichhewroteaftertheirfirstmeeting‑ theonlyoneafterwardsdes troyed‑ wasvirtuallytheconfessionofalovewhichMissBarrettdidnot thenbelievethatitcouldberightforhertoaccept."(6)つま り彼 は病弱 な彼 女のため生涯の伴侶 となろうと決心 し,彼女 に熱情あふれる結婚の申 し込みの 手紙 を送ったのだった。 (7)しか しElizabethはそれを受 け入れる程の身の上知 らずではなかった。Browningより6つ年長の39歳で, もはや彼女 は自他共 に 朽 ち果てるのを待つばか り,と信 じられていたので,正に天から降ろて湧いた ような話であった。元気旺盛な前途洋々たる天才詩人にとって彼女 は重荷 にこ そなれ,何の役 にも立たないことは火をみるより明 らかであった。彼女 はその 翌夕,彼に次のような驚きと悲 しみの文 を送 った. I

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"Iintendedtowritetoyoulastnigh tandthismorning,andcouldnot, youdonotknow whatpalmyougivemeinspeakingsowildy.‑.Youhave said someintemperatethings..fancies,‑ which youwillnotsayover again,."andwhich(so)Willdieoutbetweenyouandmealone,likeamisprint betweenyouandtheprinter."(8)彼女 はBrowningが一時の激情にか られて書 いた手紙 として,その申 し込みを破棄 してほしいと願 う。 しか しこの事があっ てか ら一層二人の友情 は深ま・り逢瀬 も繁 くなって行 った。赤い灯 を点ぜ られた Elizabethの灰色の世界 は日増 しに明るさを取 り戻 し,彼女 は勇気づ けられる まゝに, 7月頃には少 しずつ歩行する練習 も出来,馬車に乗 って外出すること も可能 になって来 た。10月2日の手紙 をBrowningは "ILetmekissyour hand‑ dearest!Myheartandlife‑ allisyours,andforever‑ Godmake youhappyaslam throughyou‑ Blessyou.'"(9)という高貴な純愛の言葉で 終っている。 Elizabethは彼の愛の言葉に触れる毎に,少女のように有頂天に なったが,その度 に彼女はそれを受けるにふさわ しくない,と自らを厳 しく省 みて苦悩するが,ずるずると惹かれて行 く。例えば彼女 は色々な点で彼 に対 し 自己卑下 に陥 るが,Wardによれば彼 と彼女の知的教養の深 さにおいては,あ まり差がない程 に,彼女はギリシャ ・ラテン ・イタリア語,フランス語,英語 の古典 に精通 していた。それで互にそれ らの詩行 を引用 しなが ら対等 に語 り 合ったということである㈹それでも彼女がBrowningの結婚の申 し込みに応

じるまで計 り知れぬ心情の屈折 に悩 まされたことは,次 にあげる彼女のson‑

net集 によって明 らかにされる。

二人が結婚 してか ら後の1847年のある春の朝,恥 じらいなが ら夫人は夫のポ ケッ トの中 に結婚前 に彼女が書 き溜 めていたsonnet44篇 を突っ込んで逃 げ 去ったという。夫 はそれをみて, シェイクスピア以来の優れた作品集だと激賞 し,その公表 をす ゝめた。それが現在我 らがみる有名な 「ポル トガル語か らの ソネ ッ ト集」 (sonnebFrom mcPorEugzLCSe)81)であ る。彼女 は この詩集 の中で

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Browningと相知ってか ら愛の逃避行決行までの苦悩,歓喜,逸巡,熟慮,心 の乱れ等を率直に告白記録 している。 しか しその主なるテーマは一貫 して 「 よりの復活」 というので,Robertの求愛 に答 えるものである。この詩集 には 感傷に流 される点が多々あるが,古典的な高い知性 と繊細な感性に充 ちたもの として文壇に高 く評価 されている。

以上 にのべた詩集の中で特 に有名なものに焦点 を絞 り,作者のRobertに対 する愛の調べに耳 を傾 けてみよう。第‑の詩 はRobertの求愛により目覚めた 希望 を暗示 している。病弱な身をかこち,死の恐怖におの ゝく彼女の背後 に忍 び寄る神秘な影があって,あなたを捉えているのは 「死」でなく 「愛」だと銀 鈴の声が告げてくれたと彼女 はいう。"‥.amysticShapedidmove/Behind me,anddrew mebackwardbythe.hair,/Andavoicesaidinmasterywhile Istrove,‥/̀Guess血ow wllOholdsthee?I‑̀Death,'Isaid.But,there,/

The‑silveranswerrang..̀NotDeath,butLove.'(Noll)つまりその銀鈴の声 こそはRobertの力強い励ま しの声に外ならない。No.2‑ 4の詩は二人の身分 上の格差への迭巡, 56では彼の愛 を拒みつつ もそれを受 けたい希望 を, 7 では死の測に落ち込も うとしていた自分は救世主の如 き彼の愛により引きあげ られ,世 界 が一 変 して しまっ た喜 び を述 べ て い る。"ThefceOfallthe worldischanged"と。かの有名なNo.14の詩では彼女 の虚弱 さ故 に彼女 を憐れ み愛すことのなきように,「愛故 にのみ愛 して下 さい。」 と愛の本質に迫 る。("

Ifthoumustloveme,letitbefornought/Exceptforlove'ssakeonly.")16番 目の 詩では今 までのようにRobertを愛 しつつ も避けようとするのを止めて,積極 的 に彼 の愛 によって 自 らを高 めて行 きたいと謙虚 にな る。("Hereendsmy strife.Ifthouinvitemeforth,/Ⅰriseaboveabasementattheword./Makethylove largertoenlargemyworth.")そ して彼の愛 により死か ら生へと担った彼女 は, 愛の印として髪の毛‑ふさを彼 にのみ与えるという。いかにも女性 らしい彼女 の一 面 を覗 き見 る気 がす る。("Inevergavealockofhairaway/Toaman,

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Dearest,exceptthistothee."No.18.)詩篇2021により彼女 はもしRobertの愛が なかった ら,春の訪れを見なかったであろうと感謝 を述べ,22番で愛の賛歌を 歌 いあげている。 それか らRobertに対 す る絶対 の信頼の情 を"Ⅰleanupon thee,Dear,withoutalarm,/And feelassafeasguardedby acharm / Againstthestabofworldlings,"(No.24)とのべる。つまり彼と共にあれば, 神 と共にある如 く2人にはいかなる世間の災 いも,及ぶことはないと安 らぎを おぼえている。彼女 は折 に触れRobertとの出合いの重大 さを思い (20),彼 か らの愛 にみちた便 りの ことを回想 し (26)感無量 になったりしたが,詩35 の場合の ようにやさしい彼女 も,熱烈にRobertの愛を確めようとする次のよ うな詩 も書 いた。「もし私があなたのために凡てを棄てるなら,あなたはその 代 りに私 の凡 てになって下 さいますか」 と。("Iflleaveallforthee,wiltthou exchange/Andbealltome?")ともあれ夫人 はRobertか ら貰 った溢れ るばか

りの愛の言葉 に感謝 を捧 げ,幸いを詩集の終 りまで綴 り続 けたが,43番の詩に は特 に 「死んで後 までもなおあなたを一層愛 し続 けます。」 と限 りなき愛の言 葉 を高 らかに献 じているO("Ishallbutlovetheebetterafterdeath")と。

この詩集 にあらわれているようにElizabethRobertとの文通 に夢中にな り,彼の来訪が繁 くなるのをみて,心良 く思 わなかったのは彼女の父親 であっ た。・早 く母親 を亡 くし,11人の弟妹の頭である詩人Elizabethは父に取 っては 掌中の玉 であ り,誇 りであった。厳格で独断的で専横な父親 は子供達の結婚 を 許 さなかった。ま して■や半病人の娘 は自分の膝下 に置いて,看病するのが義務 だと心得ていた父親 は,その結婚を許す筈がなかった。 しか しBrowningは彼 女 をイタリーに転地 させねば健康の回復はないと確信 し,硬女の体力の限界に 望みを托 し,結婚 して新天地を求めることを彼女 にすゝめた。 Elizabethも彼 の申 し出を受諾 し,父の猛反対 にもめげず, 2人 は密かに18469月に教会で 結婚 した。時にRobert34Elizabethは40歳であった。それか ら1週間後, 彼女 は女中と愛犬Flushを連れて夫 と共 にフランスを経由, イタリアのPisa へと逃避 を決行 した。このことが当時の文壇の大話題になったことはいうまで

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もない。18474月 にFlorenceCasaGuidiに彼 らは居 を移 した。そ こで 奇蹟的に2年後の3月に夫人は玉のような男の子 を出産 した。それか ら1861 629日に夫人が夫の腕 に抱かれて静かに息 を引き取 るまで,幸福な愛の巣が ここで営 まれたのであった。

結婚 を前後 にして,夫妻が揃って次々と精力的に作品を公 にしたことは良 く 知 られている。Robert1845年 に 「鈴 と柘招No.」及 び 「劇的 ロマ ンスと拝 情 詩」 (DramDtZIcRomGnCeSandLyrzlcs)杏,翌年 には 「鈴 と柘椙No.Ⅷ」 とLuTia andASoul'sTragedyを出版 した。1850年にChrisEmas‑EveandEaster‑Day,

それか ら遅れて1855年に彼の名を不滅なものにしたMenandWomen(男と女」) Vol.Ⅰ及 びVol.IIを世 に問 うた. Elizabethの方 も1851年 にCasaGuidiWin dows,APoemを出 したo

Browningは夫人がAuroITaLel'ghを執筆中のところを伴って,イタリーから ロン ドンに1時帰国 した。彼 はこの時,上記の 「男と女」 に含まれる筈の50 の中の49篤を携え来 り,残 りの1創 まロン ドンで書きあげた。この詩集のエ ビ ログとして愛妻へ"OneWordMore"と題 され る詩が献ぜ られ,合計51篇 と なった。 Browningには優れた愛の詩が沢山あるが, この詩集に含まれている 以下3籍の詩,"MyStar",".ByTheFire‑Side,"と"OneWordMore"は他 の詩と異なり,詩人自身が愛妻に対する個人的な愛情 を,なまのままに正直に 披歴 したものであるとの定評がある。それで順 を追ってこれ等3笛にもられた 愛の言葉 をさぐってみたいと思 う。批評家 によって異論 はあるがE.Berdoe 等 は"MyStar"Browningの妻 に対する"tribute"っま り感謝 と賛辞である

と証 している.o以下がその詩である。

MyStar AllthatIknow . Ofacertainstar

ls,itcanthrow

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(Liketheangledspar) Nowadartofred,

Nowadartofblue;

Tillmyfriendshavesaid Theywouldfainsee,too, Mystarthatdartlestheredandtheblue!

Thenitstopslikeabird;likeaflower,hangsfurled:

TheymustsolacethemselveswiththeSaturnaboveit. Whatmattertomeiftheirstarisaworld?

Minehasopeneditssoultome;thereforeIloveit.03)

Browningは空に輝 く1つの星を要に例える。私 はその光沢ある宝玉石が暗に は青い輝 きを,時には赤 い輝 きを,投 げることだけしかそれについて知 らない。

(青は清純な魂,赤は活き愛の象徴)だが自分の友人達 は好奇心 をもって,その きらめ く星をみたいという。するとその星は小鳥の如 く黙 してとまり,1輪の花 の如 くすぼんで垂れ下がって しまう,と書いている。Browningが妻のこのいじ らしい謙虚 さと慎 しみ深 さとをいかにめで愛 したことか。妻の死後彼の書いた 壮大 な長 篇詩 ThRingAndTheBookの中で も彼女の ことを"halfangeland halfbird"叫と賢えていることか らもそれが了解出来 る。r我が星」 が人々に 対 しその輝 きを見せず,面を背 けるのであれば仕方がないか ら彼 らは土星でも 眺めるより外 はない。彼 らが自分達の土星が世界そのもののように素晴 らしく 壮麗なものであると,誇ろうとも少 しも羨ましくはない。なぜなら我が星は私

に心 を開いて くれたか ら,それ故に私 はそれを愛す。J と詩人は胸 を張 って, 妻が自分 に愛 を傾 けて くれていることを確信 し,無上の幸福感に侵 って,この ように宣言す るのである。Browningはこの詩 を通 して,人の真の価値 は愛す る者によってのみ理解 されるのだ,といっているのではあるまいか。人か ら何 1筆書 いて欲 しいと頼 まれると,彼はよくこの詩を書いて与えた程,気に入っ ていたといわれる。

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拝情味あふれる ̀BytheFlre‑Side"炉辺 にて」 は細やかな夫婦愛 について の偽 らざる詩人の告白で,妻に直接捧 げた数少ない個人的な愛の詩の1つやあ ると言っても差 し支えない。 H.C.Duffinが指摘 しているようにBrowning 40歳 になるまで愛 を称 える詩人 の範噂に入 っていなかったが, Elizabeth 知って誠の'lovepoet'となった,といえると思 う。 Duffin"BytheFire‑

side"の こ と を"Iwillmakeboldtocallthegreatestlovepoem inthe Englishlanguage"05)とはめすぎる程絶賛 をお しまない。此の詩 は各連5行, 53連 か らなっている。 Duffinはこれ をべ ‑ ト‑ベ ンのAminorstringquar tetsのように5つの部門に分 けて説明 しているが,筆者 もそれに従 って考察を すすめて行 きたい。

第一部 は Ⅰか らⅥ連までで, この詩の語 り手であるBrowningが今中老の境 にいて,静かに愛妻に話 しかけているところか ら始まる。 これか ら先,長い冷 たい11月のような老年が訪れて来た時,一体彼は何を しているだろうかと未来 に想像 を馳せる。おそらく彼は妻 と一緒 に炉辺に腰 を下ろ し,冷たい横 なぐり に吹 く風が鎧戸を叩 く音 を聞きながら,子供たちが遊 びに抜け出 してしまった 後,老齢にふさわ しいギ リシア語で書かれた"greatwisebook"に読み耽 って いるだろうと思 う。彼 は本 を読んでいる振 りをしているが,いつの間にか遠い 追憶の世界に段々と吸い込 まれて行 く。そのBrowningの様子 をA.Hindは次 の様 に説 明す る。"Withhismindin'thisvagrantconditiononethingsug‑

gestsanother,untilthereisawholenetworkofideasinterlacingeachother liketheboughsoftrees,andheseemstobelookingdownalongavenueof thoughtstothedistantvistaattheend.そうすると彼は全 く何の束縛 も受 け ずに自由に若き日の,又はイタリーの,追憶に耽 ることが出来 るのであった。

次の第二部はⅤⅠ‑ⅩⅩ連 より成 る。 ここか ら詩人 は想像 を駆使 して,彼を 愛 し,祝 してくれたElizabethが彼の妻になる約束を して くれた過去のことを 回想する。 しか しその時の実際の場所 は, London50WimpoleSt.であっ

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たが,彼 はこの詩では別な所を設定 している。つまりそれは18539月に幼い

独 り息子 を連れて,妻 や友人達 と共 に,彼 らが住んでいたFlorenceの近 くに あるPratoFioritoに遠足 に行って見 た素晴 らしい感動的な場所であった。川 彼が設定 したこの愛のいとなみの場所 を回想の中に振 り込み,かつて妻 と歩き なが らみた青空 を背景 に馨 り立つ白雪 をいたづいたアルプスの岩壁 を思 い出 す。その渓谷 に沿 って森の中を共に歩 いた感激が よみがえる。"Lookatthe ruinedchapelagain,/Half‑wayupintheAlpinegorge!"(ST.VII)o功と妻 に注意 を促 したり,薄暗い森が2人 を取 り囲み,すっぽ り包み込んで しまった 所に立 った時, 2人は万象の中心に立っているような気持 ちにさせ られたりし たことを思 い出す。(̀̀Aturn,andwestandintheheartsofthings;/Thewoodsare roundus,heapedanddim;''ST.ⅤⅠ.)細 い糸の ように したた り落 ちる流れ,黄 色 く咲 き揃 った美 しい山の花,足下 にshowersの如 く降って くるいが栗,正 に11月の風物である。礼拝堂や炭焼小屋 (charcoal‑burners'huts),小鳥の噸 り, すべてが2人の歩いた昔のままである。山や森 や渓谷のたたずまいの細かい見 事な描写に読者は感心 しながら引き込まれて行 きそうになるが, ここで作者の 真昼の夢はさめる。

第三部 はⅩⅩⅠ‑ⅩⅩⅩ連 までである。回想が破れて現実 に引きもどされた詩 人は冒頭か ら

Myperfectwife,myLeonor,

Ohheart,myown,oheyes,minetoo, Whom elsecouldIdarelookbackwardfor,

Withwhom besidesI10uldIdarepursue Thepathgreyheadsabhor? (ST.XXI)

と,「申 し分 なき我が妻」 に結婚期の彼の愛情 を調べ高 くうたう。「あなた以外 の誰と私は過去 をなつか しみ,振 り返ってみることが出来 ようか。老いたる者 達が避 けようとする道 を,あなた以外の誰と一緒に辿 ろうか」 と.なぜな ら若 き日に辿った道 には花が咲き乱れ匂 っていたが,もはや今 は過去の青春 はない

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か らだ。 しか しBrowningは過去の追憶の中に思い残 し,悔いることは何 もな い。一番なつかしく思い続 けているのは,愛妻のことである。その愛妻が現実 に彼の目の前 に妖精のように小 さい手で広 い額 を支えて坐っている。("Read・

ingbyfirelight,thatgreatbrow/Andthespirit‑smallhandpoppingit,)St.XXIII. 彼は全 く感謝 にたえない。人は青春を花 に例 え,老年 を荒野に例える。 しか し 彼には最高の愛妻が今なお与えられている。その至福 を思えば失なわれた青春 等はものの数ではない (St.XXV参照)と彼 はいう。 A.Hindはこの連 につ き 次の如 くコメン トしている。"Seldom hasanymanpaidtohiswifeahigher complimentthan this‑‑"09)更にBrowningは次の ように2人が1体 となって 過す幸を力強 くうたう。「最苛別こ我々2人の魂が霧のように触れ合い,交 り合っ たのは深い意味のあることだったが,今は1つに溶け合い,吸収 し合い, 1 となって流れ続けている。どのような岩が阻 もうと。」と。

Myown,seewheretheyearsCOnduct!

Atfirst,'twassomethingourtwosouls Shouldmixasmistsdo;eachissucked

lneachnow:on,thenewstreamrolls, Whateverrocksobstruct. (St.XXVI)

次 に詩人 は雄大 なimageを用 いて,迫 り来 る老年の将来 については, 自信 をもって,夫人と共 に1つになった2人の魂が,あつき心で神の恩寵 を信 じ, 神の健てたまいし御国に,霊体 を与えられて入る日のあることに,希望 と期待 を寄せている。

Think,whenouronesoulunderstands

ThegreatWordwhickmakesallthingsnew, Wheqearthbreaksupandheavenexpands,

Howwillthechangestrikemeandyou

lnthehousenotmadewithhands? (St.XXVII)

そ して夫人が彼 より1歩先に天上界の神秘 を悟 り,彼の魂を導いて くれるこ

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とを期待 する (St.XXVIII)。それか らSt.XXXに至 ると彼 は妻に, もう1 一緒に最初の出だしに立 ち帰 り,新鮮 な恋をもう一度繰返そうと妻に提言する。

Comebackwithmetothefirstofall, Letuslean andlらveitoveragain, (St.XXX)

すでに初老の坂を登 りつつも,再び若 き血潮を愛妻 と共に初心に戻 って湧か せてみようというBrowningは,何 と雄 々 しく溌刺としていることか。1863 に出た"RabbiBenEzra'lの初めに彼 は

Growoldalong&ithmet Thebestisyetyobe,

Thelastoflife,forwhichthefirstwasmade:

OurtimesareinHishand Whosaith"Awholeiplanned,

̀̀Youthshowsbuthalf;trustGod:seeallnorbeafraid!"セo) と剛健な魂の歌声をあげたが,その火種 はここにすでに置かれてあったのか, と頚かれる。

XXⅩ速までは2人の個人的な経験 を描 いているが第四部ⅩXXⅠ‑ⅩLVIII連 は結婚前の恋愛の思 い出に再び立ちかえ り,事実 と幻想が交差 しつつ語 られて 行 く。彼等の愛 が青 くまかれたのは実際 はWimpoleSt.であったが,荊述の 第二部で彼が設定 したBagnidiLucca'の辺 りに場面 を移 し回想 を展開する。

BrowningとElizabethが沈黙のうちに歩いて来 た道 には小鳥が噛 り,道 には さまよった鹿が池の水を飲みに来ていた。自然はいつ もの営みを続 けなが ら相 寄 る2つの魂の行方 を見抜いていたが一切黙 して語 らなかった。彼 らがあちこ ち歩いているうちに夕方 となり;沈黙が辺 りを色濃 く閉 ざし, 2人の間に神秘 的な緊張 が静かに流れた (St.XXXII)。両人は肩 を並べ,腕 と腕 を組み合せ, 頬 と頬 と寄せて歩いて行 る間中,彼 はあれこれと自問 自答 しつつ,自分の胸中 をどう打 ち明けようか と心穏やかでなかった。(St.XXXIII)。それでも2人 は 黙 したまま壊れた橋 を渡 り,美 しい教会の寂れたのを惜 しみ,壁童の色槌せた

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のに心 を傷め,略奪 をおそれてか,十字架 も祭壇 も空 っぽになっている中を覗 き込んだ りした。入口の粗末な扉には亡 き建築者の名がきざまれていた。そこ まで来て二人 は先刻来た道に引き返そうとした,その時,

"Ohmoment,oneandinfinite!" St.XXXVII.1.181

「ああ, 1瞬に して無限の時間よ !

これが2人の上に訪れた。谷川の細 き流れは木株や石の上 を滑 り,西空は薄明 るく宵闇が迫 って来ていた。すると忽ち空は灰色に変 って しまい,貴轍榎石の ような星が1つ輝 き始めた。I.C.DuffinはBrowningは2人の恋人の ピンと 張 りつめた高潮 した心 に,宇宙の大精神は無関心ではいられなく, 2人のため に同情を寄せ,行動 を起 して くれると考えているのだと,いう。そ して更 に "

...inBy7u Fire‑side,speakingofarelationbetweenllimselfandElizabeth, andarelationbetweenthepowersofnatureandhumanlty,inmomentsof tension,bothwhichrelationsareunmistakablypartofthèalトembracing spiritofthecosmos‥'el)それ故Browningは恋人達に対 して神秘的なある力が 加わるのは当然だと考えたに違いない,と言 う。

Wetwostoodtherewithneverathird, Buteachbyeach,aseachknewwell: Thesightswesawandthesoundsweheard,

Thelightsandtheshadesmadeupaspell Tillthetroublegrewandstirred. (St.XXXVIII.)

つまり2人だけ しかいないその世界に仔んでいると,森の中の光 と蔭が不思 議なある魔力をか もし出 した。 2人は互にその気持 ちがぴったり通 うが如 く寄 り添い,聞き耳を立て,辺 りを見まわ した。 2人の愛する男女が大自然の神秘 的な空間 におかれた時の状態 とその時に起 る心理的影響をBrowningは次の如

く記す。

Amomentafter,andhandsunseen Werehangingthenightaroundusfast;

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