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[巻頭言] 大学図書館で働く人に捧げる10章

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[巻頭言] 大学図書館で働く人に捧げる10章

著者 山野 博史

雑誌名 関西大学図書館フォーラム = Kansai University Library forum

巻 3

発行年 1997‑05‑29

URL http://hdl.handle.net/10112/00022156

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巻頭言

大学図書館で働く人に捧げる10章

関西大学図書館長 山野博史

l 開架図書のまえであれ、閉架書庫のなかであれ、パソコンの画面にむかってであれ、活用のとき

ことだま

を侍って息をひそめている書物たちに感謝の気持を伝えることから一日を始めよう。言霊のさきわ う国にうまれおちたよろこびをかみしめて。

2 万巻の害を読みあさって、ついに人生のなんたるかを悟らぬままの人もいれば、書物なんぞくそ

<らえの人生の達人もいる。 この枇には、文字も書物も学校も知らないけれど、かしこく心おだやか にくらした人がいっぱいいたことを時折想いおこそう。

3 汗牛充棟ただならぬ図耆館生活にひるむなかれ・全部をひもとくのは夢のまた夢なれど、 どの書 物になにがどんなふうに書いてあるかを学びとるくらいは、手間を惜しまず、根気さえあれば、だれ

にでもできるはず。

4 宝の山に自分だけの珠玉をたずねて、昼休みにでもひまをこしらえ、一日一枚のカードづくりを 実行してみてはいかが。一年で骨組が整い、二年で大枠が固ま')、精をだしているうちに、五年もす れば、立派な書誌の一Tあがりとなるかもしれない。

5 機械におぼれる害物知らず、書物にのぼせる機械嫌い、 どちらも困りもの。たがいにみくびりあ っていると、 ともにこつぴどいしっぺカゴえしにあうのカざおち。古典籍にも電子メディアにもつよくな ろう。

6 いつも、人を十五分程度は退屈させない話題を用意しておくよう、気をきかせてみてはどうだろ う。それが書物をめく・る話であれば、 さらによし。雑談大好きとならぬようでは、類書を見つけにく い雑書のありカボたみもわかりづらくなってしまいかねない。

7 新刊書店、古書店、外国語図書専門店、出版社、印刷所、製本所など、書物を現場で扱っている ところの仕事師に、おじけづかずに教えを乞おう。その職人藝の呼吸、肌合、執念をぬすめれば、底 力じゅうぶん、ゆくてはればれが約束されるにちがいない。

8 大学のうちそと、いずれの利用者とも、心などむ交流をたのしむべし。物学びしながら、 うれし いやりとりにめくゞりあったら、声をはずませて語りかけよう。感激のきわみにでくわせば、 まどころ 書翰を届けよう。失礼したときは、すなおにあやまればよい。

9 帰り道、毎Hとはいわないけれど、週に一度は新刊書店に立ち寄ろう。おまけに、なじみの古本 屋さん力欝見つかったりすると、おつな気分が味わえて、疲れもふっとぶだろう。一冊、 また一冊と身 銭をきってゆくにつれて、ひとかどの蔵書をもつ読書人に。

10一介の図書館長ごときの妄言にたぶらかされることなく、 自分自身の信念をつらぬこう。でも、

そのためには、やわらかな頭とにこやかな表情とかろやかな足どりで、てきぱきと仕事をこなし、人 生諸事万般にわたって、 えりごのみせずに、のんびりと猛勉強する正攻法しかないだろう。

(やまのひろし法学部教授)

参照

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