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「 基本の運動」の指導 に関す る一考察

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(1)

弘前大学教育学部紀要 第6

9

号 :

97 ‑1 06 ( 1 9 9 3

3

月)

Bul l ,Fac. Educ.Hi r os akiUni v.6 9:97 ‑1 0 6 ( Mar .1 9 9 3 ) 97

「 基本の運動」の指導 に関す る一考察

‑「 基本の運動」の実施 内容 とその問題点 を中心 として一 E i nS t u d i u m助e rd i eL e h r me t h o d eY o nGr u n d 助u n g e ni nd e nE l e me n t a r s c h u l e

‑AI sS c h we r p u n k t; Ub u n g s i 血a l t eu n di h r eP r o b r e me 一

清水 紀人 *・布施 由紀**・高橋 かお り***・佐藤 光毅*

Nor i hi t oSHI MI ZU,YukiHUSE,Kao r iTAKAHASHI & Ko ukiSATO

論文要 旨

本研究 は,「 基本 の運動」が実践の場 において, どの ように展開 されているかについてアンケ ー ト調査 を行 い,検討 し,以下 の結果 を得 た。

1. 「 基本 の運動」の中で,最 もよ く取 り上 げて指導 されている ものは,「 走 ・跳 の運動」で, 取 り上 げる理 由の多 くは 「 児童の発育 ・発達 を考慮 して,現在特 に必要であるか ら」であっ た。 これ に対 し,「 模倣 の運動」は, あまり取 り上 げて指導 されているとはいえず,取 り上 げ ない理 由 として 「 教 えに くいか ら」 とい う回答が多 くみ られた。

2. 「 基本 の運動」 を指導す る際の目標 は,「 楽 しさを味わわせ ること」が最 も多 く,学習指導 要領 における目標 と一致 していた。 これに対 し,力強 さ ・ねぼ り強 さ ・スマー トな身 の こな

し等の具体 的な体力的 目標 は,あ ま り重視 されている とはいえない。

3. 最 も児童 に欠 けている と思 っている運動要素 に 「 柔軟性」 をあげてお り,最 も力 を入れて 指導 している もの も 「 柔軟性」であった。「 懸垂力」 については,意識 ・ 強調的 に指導 してい る者 と指導 していない者 とが 2 分 されているため中 ・高学年 に進んだ場合,力がついている, ついていないの両極端 な児童 を育 てるとい う傾 向にな りはしないか とい う懸念 もある。 また, その他 の運動要素の中に も,欠 けている と思われ るものの,意識 ・強調 して指導 されていな い もの もあるため,今後 は, この間題 を解決す ることが重要 な課題 といえる。

4. 指導法 に関 して多 くの問題点 を抱 えてお り,中で も運動課題 の組 み合わせ ・配列,運動内 容 の把握,児童の特徴,教科内容等が多かった。

Ⅰ.は じめに

1 ) Z )

「 基本 の運動」は,昭和 5 3 年 に改訂 された小学校学習指導要領 O j中に, それ までの第 1 学年か ら第 6 学年 までの共通 の運動領域 ( 体操 ・器械運動 ・陸上運動 ・水泳 ・ボール運動 ・ダンス)

* 弘前大学教育学部保健体育科教室

De p a r t me n to fHe a l t ha n dPh y s i c a lEd u c a t i o n,Fa c ul t yo fEd u c a t i o n,Hi r o s a kiUn i v e r s i t y

** 板柳町立沿川小学校

I t a y a n a gi ,So i ka waPr i ma r ySc ho o l

***八戸市立 白銀南小学校

Ha c hi no h e ,Shi r o g a n e mi n a miPr i ma r ySc h o o l

(2)

を整理 ・統合 し,低 ・中学年 の新 しい運動領域 として設 けられた。

この領域 を設 けた背景 には,「 体力」の向上 を強調 していた昭和43年の学習指導要領 における 反省 と社会的要求 に基づ き,生涯体育 ( スポーツ) とい う新 しい観点か ら 「 楽 しさ」が強調 さ れ るようになって きた, とい う基本的な体育 の目的の考 え方の改変があった。

さらに平成元年 に改訂 され,平成 4 年か ら完全実施 となった学習指導要領 で は,生涯 スポー ツへの基礎的教育が ます ます重視 され,「 楽 しさ」が一層強調 され るようになった。 この方針 の 一つに,「 子 ども達 の心身 の発達特性 と運動特性 ( 楽 しさ)との関わ り合 いをよ り一層明確 にす ること」が謡われた。「 基本 の運動」 も同様 に この趣 旨に基づ いて,再検 討 され改訂 されてい る。 3) 4 )

新学習指導要領 で は,「 基本 の運動」の基本的な取 り扱いのね らいを,小学校低 ・ 中学年の児 童 の運動能力や,児童 の興味 ・関心 ・発達特性 な どに適合 した ものを取 り上 げること。個人的 要素の重視,組織化 ・制度化 されていない運動遊 びを内容 とす ること。身体 の基本的な動 きや 運動 の基礎 となる動 きを 「 他者 との競争」や 「 課題への取 り組 み」 の形式で指導す ること。等 を表記 している。

一方,指導の現場 にお ける, これ らの説明要素 に対 す る反応や対応 についてみると,漠然 と しす ぎていて,具体的指導内容 に関 してイメージで きない とい う混乱等があることを度々聞か れ ることも事実である。

5)

体育学習指導の基本問題 として,松 田は,運動 を楽 し く行 うためには, どんな ことを身 につ けなければな らないか, とい う観点か ら学習内容が決 め られて くる面があることを忘れて はな らない と述べている。 さらに,運動 の楽 しさや運動 の喜びが強調 され るようになって きたため に,子 どもの好 む運動 を好 む ままに自由にや らせ ることが, これ らの 目標 の達成 につなが るか の ように短絡的 に考 えられ る傾 向にあるようである。 このために,学習内容が無視 され ること さえあることも指摘 し,学習内容 を無視す ることのない よう警告 している。

このような観点か らす る と,「 基本 の運動」の学習内容決定 の場で は,運動能力 の構造か ら具 6) 体的課題 を選択す るのが妥当性が高 くなるもの と考 えられ る。運動能力 の構造 を松 田は,「スポ ーツ技能」,「スポーツ構成技能」,『 基礎的運動能力』 , 『 基礎的運動要因』 , 「 身体 の構造 と機能」

の 5要因 を段階的 に とらえ,相互 との関係か ら解説 している。基本 の運動 は 『 』で表 した 2要 因が まさに該当す る要因である。体力的に この 2 要因 ( 要素) についてみる と前者 は,猪飼 の い う神経系,後者 はエネルギー系の体力 に該当す るとも考 えられ る。

7 )

発育発達か ら身の こな しのスムーズさの t r ai na bi l t y の適時性 については宮下が,様々 なスポ ーツ種 目において, その基盤 となる動 き方の基本 は 1 1才以下 の子 どもを対象 として組 み込 まな ければな らない と述べているように,小学校低 ・中学年 の適時性 の高 さが強調 されている。

実際の指導 は前述 の ごとく 「 楽 しさ」 と 「 体力」の両面 を考慮 した授業展開 を行 う必要があ る。具体 的なおさえ方 としての授業 のあ り方 について は,一般的には教師の考 え方 に期待 され

8 )

る ところが大 きいが,加賀谷が述べているような 「モデル授業」 の作成 とい うことも検討す る 必要がある と考 える。

以上のように基本 の運動 に関わ って,種々の考 え方,展開方法等があるが,確立 された もの は見 あた らない。

本研究 は,教育現場 における 「 基本 の運動」の取 り扱 いの実態 を把握 し,指導のあ り方の方

向性 を検討することを目的 としている。

(3)

「基本 の運動」の指導 に関す る一考察

9 9

Ⅰ Ⅰ. 方 法

調査方法 は,質問紙調査法 を用い,対象 を青森県弘前市 ・黒石市 ・中津軽郡 ・南津軽郡 の国 公立 の小学校 8 5 校 とし, アンケー ト用紙 の配布 は各学校 の教諭数 ( 対象教諭 は第 1 学年か ら第 4 学年 までの クラス担任 とした)に応 じて行 った。郵送形式で回収率 は 3 51 /4 9 7 ,7 0. 6 %であ った。

調査 の概要 は,下記 に示す 5 項 目である。

( 1 ) 「 基本 の運動」 の実施 内容 ・状況 について ( 2) 「 基本 の運動」の指導 目標 について ( 3) 「 基本 の運動」の指導上の問題点 について

( 4 ) 学校 の施設 ・設備 ・用具 について

( 5 ) 児童 の体力 について

分析方法 は,各項 目についての単純集計お よび特定項 目のクロス集計結果 の比較分析 を中心 とし

た 。

実施期 日は,平成元年 1 2 月である。

I t I. 結果 と考察

1. 実施 内容 ・状況 について

表 1 , 2 に示す ように 「 走 ・跳 の運動」 ,「 器械 ・器具 を使 っての運動」,「 用具 を操作す る運 動」,「 力試 しの運動」,「 模倣の運動」 の 5 つの運動内容か ら授業で よ く取 り上 げて指導 されて いるもの, あま り取 り上 げて指導 されていない ものをそれぞれ 1 番 目か ら 3 番 目まで順位づ け した ものの実状 をみる ( なお,「 水遊 び」 ,「 浮 く・ 泳 ぐ運動」 ,「 雪上遊 び」,「 雪上運動」,「 氷上 遊 び」,「 氷上運動」等 について は季節,地域,環境等が実施 に大 きく影響す る と思われ,選択 肢か ら除いた) 0

( 1) 授業で よ く取 り上 げて指導 されている運動 内容 について

表 1‑ 1 に授業で よ く取 り上 げて指導 されている 「 基本 の運動」 の うちの上位 3 位 まで選択 した ものを示 した。

回答総数 2 8 8 名 の うち選択者総数 ( 1 番 目 〜 3 番 目まで を加 えた数)が最 も多かったの は,

「 走 ・跳の運動」の 2 7 6 名 であった。 この うち 1 番 目とした者 は 21 3 名, 2 番 目 41 名, 3 番 目 2 2 名であった。

同様 に次 に選択者数が多かった 「 器械 ・ 器具 を使 っての運動」の 2 47 名 についてみる と, 1 番 目とした者 は 3 2 名, 2 番 目 1 0 5 名, 3 番 目 1 1 0 名であ り,前述 の 「 走 ・跳の運動」 の 1 番 目 2 番 冒, 3 番 目の選択者数が逆転 している。

以下,選択者数 の多い順 は, 「 用具 を操作す る運動 」1 6 8 名,「 力試 しの運動 」1 2 3 名,「 模倣 の 運動 」3 6 名であった。

次 に, これ らの運動内容 を選択 した理 由について表 1‑2 に表 した①〜⑧項 目の うちか ら上 位 1番 目〜 3番 目とす るものを選択 し,マー クされた ものについてみる。

選択者数が最 も多か った理 由は,① の 「 児童の発育 ・発達 を考慮 して,現在特 に必要である か ら」の 1 8 3 名で, この内訳 は, 1 番 目 とした者 7 6 名, 2 番 目 7 0 名, 3 番 目 3 7 名であった。

同様 に,次 に選択者数が多かった理由 は,② の 「 児童 の日常生活 の動 き ・遊 びに結 びつ きや

(4)

すい運動 だか ら」 と( 卦の 「自分 の クラス ( 学年)の児童 の実態 をみて,児童 に欠 けている体力 を養 うために必要であるか ら」の 1 7 8 名であった。

選択者数が少 なかった理 由は,⑥ の 「自分が教 えやすいか ら」 と⑦ の 「 学校 のカ リキュラム として,決 め られているか ら」で,同数の 5 8 名であった。⑧ として は,学校行事 に関わ る内容 と指導 に関わ る内容 の 5 件が記載 されていた。

さらに,各運動内容 にお ける 1 番 目選択者 の選択理 由 8 項 目の分布 について表 1‑3 ( 表 1‑

1 ,表 1‑2 のそれぞれ該 当す る総数の欄 とは,前者でマー クした者が必ず しも後者でマー ク している とは限 らず, またはその逆 もあるため頻数が一致 していない) に示 した。

運動内容別 に頻度 の多い 2 項 目の選択理 由をそれぞれみる と,「 走 ・ 跳 の運動」で は,① の「 児 童 の発育 ・ 発達 を考慮 して,現在特 に必要であるか ら」が 5 8 名,( 参の 「 児童 の 日常生活 の動 き・

遊 びに結 びつ きやすい運動 だか ら」が 5 6 名 と多 く,「 器械 ・ 器具 を使 っての運動」 は,( 丑の 「 児 童 の発育 ・発達 を考慮 して,現在特 に必要であるか ら」が 1 1 名,③ の 「自分 のクラス ( 学年) の児童 の実態 をみて,児童 に欠 けている体力 を養 うために必要であるか ら」が 9 名,「 用具 を操 作す る運動」 は,( 参の 「 児童 の 日常生活 の動 き ・遊 びに結 びつ きやすい運動 だか ら」が 9 名,

④ の 「 児童が好 む運動であるか ら」が 5 名で,選択者 の少 ない 「 力試 しの運動」,「 模倣 の運動」

も同様 に( ∋〜④ に分布す る傾 向がある といえる。

表 1‑1

授業でよく取 り上げて指導されている「基本の運動」の内容(単位は人数、上位

3

位 までの選択回答)

N‑2 8 8

1

位選択者

213 32 26 ll 5

2

位選択者

41 105 72 59 7

表 1‑ 2

授業 で よ く取 り上 げて指導 され る理 由 (単位 は人数、上位

3

位 までの選択 回答 )

N‑2 8 8

( 訂 @ ③ @ @ ⑥ ⑦ @

1

位選択者

76 72 58 35 6 19 20 0

2

位選択者

70 39 64 45 30 13 20 2

3

位選択 者

37 67 56 42 32 26 18 3

( ∋

児童 の発育 ・発達 を考慮 して、現在特 に必 要であ るか ら

( 参

児童 の 日常生活 の動 き ・遊 び に結 びつ きやす い運動 だか ら

自分 の クラス (学年) の児童 の実態 をみて、児童 に欠 けて いる体 力 を養 うため に必要 で あ るか ら

児童が好 む運動 で あ るか ら

学校 の設備 ー環境 等 の条件 に適 してい るか ら

自分 が教 えやす いか ら

( 診

学校 のカ リキ ュラム として、決 め られ てい るか ら

その他

(5)

「基本 の運動」の指導 に関す る一考察

1‑3 授業 で よ く取 り上 げて指導 されてい る運動 内容 と理 由 ( 単位 は人数 、 1 位選択 のみ) N‑2 8 0 1 0 1

模 倣

の 運 動 2 0 l 1 1 0 0 0 0 4

( 2 ) 授業であまり取 り上 げて指導 されていない運動内容 について

表 2‑1 に授業であま り取 り上 げて指導 されていない 「 基本 の運動」 のうちの上位 3 位 まで 選択 した ものを示 した。 これ は,( 1 ) とは逆 の見地か ら ( 1) と同様 の方法で 5 つの運動内容か ら順 に 3 つ選 んでマー クして もらった もので予測 された ことで はあったが,( 1 ) とは頻数で は若干差 がみ られ るものの全 く逆 の傾向 を示 した。

回答総数288 名 の うち選択者数が最 も多か ったの は,「 模倣の運動」の23 5 名であった。 この う ち 1 番 目 とした者 は1 80 名, 2 番 目 45 名, 3 番 目 1 0 名であった。

同様 に,次 に選択者数が多かった 「 力試 しの運動」の1 88 名 についてみる と, 1 番 目とした者 は 54 名, 2 番 目 95 名, 3 番 目39 名 で,取 り上 げない内容 として 2 番 目に選択す る者が多かった。

また,「 走 ・ 跳 の運動」 を 2 番 目に選択す る者が1 0 名, 3 番 目とす る者が1 8 名お り,設問 に対す る解釈が必ず しも統一 されていない とも考 えられ る。例 えば, 2番 目, 3番 目に取 り上 げない とす る者 と, 2番 目や 3番 目 として は取 り上 げない とす る者等少 な くとも2通 りある。本研究 の設問の趣 旨は前者であ り,予測 として この欄 は回答な しを期待 していた ことか ら問題視 され る点 といえるが, この28 名 について は,後者 の解釈でマー クされた もの として理解す ることと した。

次 に指導 されていない理 由を表 2‑ 2に表 した①〜⑦項 目の うちか ら上位 1番 目〜 3番 目と す るものを選択 し,マー クされた ものについてみる。

選択者数が最 も多かった理 由は,② の 「 児童 の 日常生活 の動 き ・遊 びに結 びつ きに くい運動 だか ら 」1 34 名であった。 この内訳 をみると 1 番 目とした者が45 名, 2 番 目が48 名, 3 番 目が41 名 であ り, ほぼ同率 とみなす ことがで きる。以下③ の 「 児童が好 まない運動であるか ら」が11 9 名,⑤ の 「自分が教 えに くいか ら」が11 2 名,④ の 「 学校 の設備,環境等 の条件 に適 していない か ら」が1 03 名,① の 「 児童 の発育 ・発達 を考慮 して,現在特 に必要である と思われないか ら」

が91 名 と僅かずつ減少 してい く傾 向にあった。

( 1 ) と ( 2 ) との順位変動 をみ ると① が( 1 ) で は 1 位であるのに対 して ( 2 ) で は 5 位 に、⑤ ( ( 1 ) で は⑥ に該 当)が ( 1 ) で は 6 位であるのに対 して ( 2 ) で は 3 位 に と, この 2 つの項 の変動が大 きい。更 に,

⑤ の 「自分が教 えに くいか ら」 について 1 番 目とした者 をみる と ,5 8 名 と①〜⑦ の 1 番 目 とし た者 の うちで最 も高い頻数である。⑦ のその他 には,施設 ・設備 ・用具 に関す ること,指導 に 関す ること( 生徒の特徴,教科内容,運動内容 の把握) ,学校行事 に関す ること,カ リキュラム に関す ること等の内容が35 件 あった。

さらに,( 1 ) と同様,各運動内容 における 1 番 目選択者 のその選択理 由 7 項 目の分布 について

表 2‑ 3に示 した。

(6)

運動内容別 に頻度 の多い 2 項 目の選択理 由をそれぞれみ る と,「 走 ・跳 の運動」 は総数が 0 名,「 器械 ・器具 を使 っての運動」 は,② の 「 児童 の 日常生活 の動 き・ 遊 びに結 びつ きに くい運 動 だか ら」が 6名,④ の 「 学校 の設備,環境等 の条件 に適 していないか ら」が 2名,「 用具 を操 作す る運動」 は,④ の 「 学校 の設備,環境等の条件 に適 していないか ら」が 6 名,② の 「 児童 の 日常生活 の動 き・ 遊 びに結 びつ きに くい運動 だか ら」が 5 名,「 力試 しの運動」 は,④ の 「 学 校 の設備,環境等 の条件 に適 していないか ら」が 1 0 名,② の 「 児童 の 日常生活 の動 き ・遊 びに 結 びつ きに くい運動 だか ら」が 9 名,「 模倣 の運動」 は,⑤ の 「自分が教 えに くいか ら」が 5 4 名,③ の 「 児童が好 まない運動であるか ら」が2 9 名 で,「 模倣 の運動」以外 の分野で は② と④が 比較的多 く,「 模倣 の運動」で は顕著 に( 亘が多 くこれ以下③,②,①,④ の順で徐々に減少 して いる。 この運動内容 の 「その他」が他 の運動 内容 に比 べ 1 8 名 と多 く, その内容 は特別活動や他 教科 との関係 とす る記載が ほ とん どであった。

2‑1 授業であまり取 り上げて指導されていない「 基本の運動」の内容( 単位は人数、 上位 3 位までの選択回答) N‑2 8 8 走 .跳 の運動 器械 .器具 を使 つての運動 用具 を操作す る運動 力試 しの運動 模倣 の運動

1 位選択者 0 14 23 54 180

2 位選択者 10 23 76 95 45

3 位選択者 18 88 55 39 10

表 2‑2 授業であ ま り取 り上 げて指導 されない理 由 ( 単位 は人数、上位 3 位 までの選択 回答)N‑2 8 8

① @ @ ④ ⑤ ⑥ ⑦

1位 選 択 者 32 45 37 36 58 15 26

( ∋ 児童 の発育 ・発達 を考慮 して、現在特 に必要である と思われないか ら ( 参 児童 の E j常生活 の動 き ・遊 びに結 びつ きに くい運動 だか ら

( 卦 児童が好 まない運動 であるか ら

④ 学校 の設備、環境等 の条件 に適 していないか ら 6 ) 自分が教 えに くいか ら

⑥ 学校 のカ リキュラム として、決 め られていないか ら ( 訂 その他

表 2‑ 3 授業であ ま り取 り上 げて指導 きられていない運動 内容 と理 由 ( 単位 は人数、 1位選択 のみ) N‑2 6 3

① ② @ ④ ⑤ ⑥ ⑦

合 計

走 . 跳 の 運 動 0 0 0 0 0 0 0 0

器械 .器具 を使 つての運動 1 6 1 2 1 1 1 13

用 具 を 操 作 す る 運 動 2 5 1 6 3 2 1 20

力 試 し の 運 動 7 9 7 10 6 1 ll 51

(7)

「 基本の運動」の指導に関する一考察 1 03

2. 指導 目標 について

図 1 の注) に示 したイ〜 ホに該 当す る記号 をマー クして もら い ,イ〜 ホに該 当 しない とした ものについて は,へ ( その他) として記載 して もらった ( N‑2 86) 。

分布状態 は,運動欲求 を充足 させ,運動 をす る楽 しさを味わわせ るが3 2. 9% , 中 ・高学年 の 運動種 目のための基礎 ・基本づ くりが24・ 5%,生涯 スポーツに結 びつ けるための小学校段階に おける基礎づ くり が1 8・ 2% と, それぞれ学習指導要領 の趣 旨に準拠 したような結果が得 られて いる。前述 した実施 内容 ・状況 において運動内容 として取 り上 げる理 由の① の直接的 目標 であ るホ は,従来の学習指導要領 にある動作 の調整力 の育成 を意味す ることで,宮下が具体的 目標 としてあげているもので はあるが,僅か6・ 3%であった。これ をネガテ ィブに考 える と,序で懸 念 されたような学習内容 の無視状態 に陥 る危険性があるように も考 えられ る。 ポジテ ィブに考 える と, スマー トな身 の こなし‑中 ・高学年への移行 の考慮‑力強 さ ・粘 り強 さ・ ‑の一連 の系 統性 を考慮す る とホはあ まりに も直接的す ぎて このような状態 になった もの と考 えられ る。

しか し, これ らのデーターか らはネガティブの要素 とポジティブの要素の比率が把握で きな い ことか ら今後, よ り直接的な調査方法が検討 されなければな らない と考 える。

ホ ( 6. 3%) へ ( 1. 0%)

1 %) ● ■ ● ● ● . 5% ィ

● ● ● ■ ● ● ■ ■ ■ ●

● ● ▼ ■ ● ■ ● ■ ■ ●

● ■ ● ■ ● ● ■ ● ■ ● ■ ■ ■ ● ■ ● ● ● ●

● ● ● ■ ● ● ■ ■ ← ● ■ ● ■ ● ● ■

%):::::::

: : : : : : : : : : : : : : 声 =± ‑== =

( 32. 9%)

図 1 「 基本 の運動」 の指導上 の 目標 について

注) イ ・運動欲求 を充実 させ、運動す る楽 しさを味わわせ る ロ・中 ・高学年 の運動種 目のための基礎 ・基本づ くり

ハ ・生涯 スポー ツに結びつけるための小学校段 階 における基礎 づ くり

二 ・日常生活 や運動 に必要 な力強 さやねぼ り強 さを体得 させ る

ホ ・日常生活や運動 に必要 なスマー トな身 の こな しを体得 させ る

へ .その他

(8)

表 3

担任 か らみ た児童 の体 力 ・運 動能力 と指導 の関係 (単位 は人 数、上位

5

位 まで の選択 回答

)N‑2 4 5

指導 してい る 指導 していない 合計 指 導 してい る 指 導 してい ない 合計

柔 軟

性 125 3 い 28 ll 106 117

36 15 51 10 / 184 194

腹 筋 力

46 14 60 5 180 185

逆 さ 感 覚

20 ll 31 4 210

2 1 4

バ ラ ンス感 覚

31 ll 42

コ l

198

.

203 F

3. 担任か らみた児童 の体力 ・運動能力 と指導 との関係 について

設問 を 2 つ設 け, 1 つ は現在体育 を行 う上で児童 に欠 けていると思われ る運動要素があるか, 否か を問 い , ある とした者 は下記 の運動要素 ( 体力 ・運動能力) 1 9 項 目か ら欠 ける度合 の高い

ものか ら順 に 5 つ番号 をつ けて もらう方法で行 った。

項 目 :柔軟性,敏捷性,協応性,功敵性,支持力,懸垂力,腹筋力,背筋力,瞬発力,跳躍 力,持久九 握力,走力,跳力,投力,表現力,逆 さ感覚,バ ランス感覚, リズム感覚。

他 の 1 つ は現在,体育 を行 う上で上記 の 1 9 項 目の中で特 に意識 ・強調 して指導 している もの があるか,否か を問い, あるとした者 は 1 と同様 に 1 9 項 目か ら意識 ・強調 の度合 の高い ものか

ら順 に 5 つ番号 をつ けて もらった。

表 3 は前,後 の問いの回答 を事項 4として項 目 1 9 と組 み合せ,集計 し示 した ものである。

欠 けているか,否かの多少 についてみる と 1 9 項 目中,柔軟性 の 1 項 目だけが欠 けているが欠 けていない よ り高率 ( 1 2 8 / 2 4 5:5 2. 2%) であった。 このほか比較 的高かった ものをあげると懸 垂力 ( 8 9/2 4 5:3 6. 3%) ,待久力 ( 7 2 /2 4 5:2 9. 4%) ,敏捷性 ( 6 2 /2 4 5:2 5. 3%) であった。

欠 けている と判断 されて意識 ・強調的 に指導 されているものを 1 位 か ら 5 位 まであげる と, 柔軟性 1 2 5 名,持久力 7 1 名,懸垂力 5 9 名,敏捷性 57 名,腹筋力 4 6 名であった。同様 に欠 けてい ると判断 され るが,意識 ・強調的 に指導す る 5つには入 らない とす るもので は懸垂力3 0 名,表 現力 2 2 名,支持力 と投力 ともに 1 5 名,腹筋力 1 4 名 であった。

これ らの ことか ら,特 に問題視 され るのは 「 懸垂力」があげ られ る。 この運動要素 について

は,欠 けている と思 っている者が 8 9 名 いる中で意識 ・強調的 に指導 している者が 5 9 名,指導 し

(9)

「基本 の運動」 の指導に関す る一考察

1 0 5 ていない者が30 名 お り, この ような状態で中 ・高学年 に進 んだ場合,力がついている,ついて いないの両極端 な児童 を育 て るとい う傾向 にな りはしないか とい うことである。

一方,欠 けていないが意識 ・強調的 に指導 されている ものについてみ る と,同様 に 1 位 か ら 5 位 にあった項 目は走力33 名,持久力20 名,敏捷性1 7 名,跳躍力 +跳力1 6 ( 1 2+ 4 )名, リズ ム感覚 1 4 名 であった。

4. 指導上 の問題点 について

指導 をす る際 に困ってい ること,問題点等 について 自由回答 によって求 め集約 す る と,以下 の 4つに大別 された。

○施設 ・設備 ・用具 に関す る こと ( 4 7 件)0

○指導者 の運動 内容 の理解 に関す ること ( 23 件)0

○指導法 に関す ること ( 5 8 件)。

○学校行事 に関す ること ( 22 件) 0

その中で も,指導法 に関す ることが最 も多 く, それ らは,運動課題 の組 み合 わせ ・配列,運 動 内容 の把握,児童 の特徴,教科 内容等であった。つ ま り現場 の教師 は,指導法 に関 して多 く の問題 を抱 えてい る とい うことにな る。

最近 の児童 は,運動能力 の低下がみ られ,疲れやすい傾 向にあ り, その うえ怪我 をす る割合 が高 い, とい うように児童 の特徴 について問題 を上 げた ものや,児童 の運動能力や体力 に大 き な個人差が あるとい う指摘 も多か った。 これ は,児童 の生活構造 の変化 に伴 う,遊 び内容 の変 化 に起 因 してい る部分が,多分 にあ るもの と考 え られ る。

よって,「 基本 の運動」を指導す る場合, この ような児童 の実態 を踏 まえた上 で,運動課題 を 精選 し,安全 な指導法 を工夫 して行 かなけれ ばな らない とい えよう。

また,指導方法 をよ くつかんでいない,教材研究不足 によ り授業がマ ンネ リ化傾 向 にな りや すい等 とい う回答 を考 える と, 日々の忙 しさの中での教材研究 は,教師 に とって容易で はない とい う現状 にあ る とい える. よって,今後 は,教師一人一人 の教材研究 とともに,学年間や校 内全体 の教師の共同による教材研究等 によって,運動 内容 の理解 ・指導法の充実が図 られ るべ きであ り,加賀谷 のい うモデル授業等 を検討す る必要性が高 いので はないか と考 える。

次 に多か ったの は,施設 ・設備 ・用具 に関す ることで, その中で も特 に, これ らの不十分 さ を指摘 している ものが多 くみ られた。固定施設 ( 遊具) の不足 のために,体育 の授業や 日常 の 遊 び等 を通 して体力 を高 めることがで きない,小 さな用具 ( 棒,旗立 て, なわ等) の不足 によ り, 円滑 に授業 をすすめることがで きない,体育館が狭 いために児童が充分 に動 き回れ る場 を 確保 す ることが難 しい等の問題 である。 したが って,今後 は,体育 だけで はな く学校生活全体

において,遊 び を通 じて,体力 の向上 ・身 の こな しの体得が成 し得 るような,施設 ・設備 ・用 具 の充実 を図 る ことが必要である といえよう。 また, それ と同時 に,限 られた条件 の中で は, 教師の工夫 によって施設 ・ 設備 ・ 用具 の不足 を補 ってい くとい う姿勢 も大切 であると考 え られ る。

指導者 の運動 内容 の理解 に関す る ことで は,指導方法の教材研究不足 と共通す る点が多 く, 授業 内容 の偏 り ・マ ンネ リ化等 の問題 をあげていた。

学校行事 に関す ることで は,学校行事 ( 例 えば運動会 ・学芸会等) の練習 に体育 の時間が使

われ る ことが多 いため,教科 としての体育 に時間 をいか に確保 す るかが大 きな課題 である とい

う意見があった。

(10)

清水紀人・布施由紀・高橋かおり・佐藤光毅

Ⅳ.まとめ

本研究 は,「 基本 の運動」が実践 の場 において, どの ように展開 されているか についてア ンケ ー ト調査 を行 い,検討 し,以下 の結果 を得 た。

1. 基本の運動」の中で,最 もよ く取 り上 げて指導 されてい る もの は,「 走 ・跳 の運動」で,敬 り上 げる理 由の多 くは 「 児童 の発育 ・発達 を考慮 して,現在特 に必要であるか ら」であった。

これ に対 し, 「 模倣 の運動」は, あ ま り取 り上 げて指導 されている とはいえず,取 り上 げない 理 由 として 「 教 えに くいか ら」 とい う回答が多 くみ られ た。

2. 「 基本 の運動」 を指導す る際の 目標 は,「 楽 しさを味わわせ ること」が最 も多 く,学習指導 要領 にお ける目標 と一致 していた。 これ に対 し,力強 さ ・ね ぼ り強 さ ・スマー トな身 の こな

し等 の具体 的な体力的 目標 は, あ ま り重視 されてい る とはい えない。

3. 最 も児童 に欠 けてい る と思 っている運動要素 は 「 柔軟性」 をあげてお り,最 も力 を入れて 指導 してい る もの も 「 柔軟性」であった。 「 懸垂力」 について は,意識 ・ 強調的 に指導 してい る者 と指導 していない者 とが 2 分 されているため中 ・高学年 に進んだ場合,力がついている, ついていないの両極端 な 児童 を育 て る とい う傾 向 にな りはしないか とい う懸念 もある

ま た, その他 の運動要素 の中 に も,欠 けている と思われ る ものの,意識 ・強調 して指導 されて いない もの もあ るため,今後 は, この間題 を解決す ることが重要 な課題 といえる。

4. 指導法 に関 して多 くの問題点 を抱 えてお り, 中で も運動課題 の組 み合 わせ ・配列,運動 内 容 の把握,児童 の特徴,教科 内容等が多か った。

以上 の ことか ら,「 基本 の運動」に関す るい くつかの問題点が把握 された。 これ らの問題点 を 少 しで も改善 して行 くためには,「 基本 の運動」 を正 し く捉 え,児童 の実態 に合 った目標 ・ 内容 を定 め,指導方法 を工夫 してい くことが大切 といえる。 なお,指導の具体 的方法,並 びに学習 効果等 について は,今後,多 くの事例研究等 によ り, これ を集約 し体系化 してい く必要が ある

と考 える。

謝 辞

本研究 をすすめ るにあた り,弘前市,黒石市, 中津軽郡,南津軽郡 の国公立 の小学校校長 を はじめ,諸先生方 に多大 な御協力 をいただいた ことを心 よ り感謝 申 し上 げ ます0

引用文献

1) 文部省 :小学校学習指導要領,pp. 91 ‑1 0 0 ,1 97 7 , 7.

2) 文部省 :小学校指導書 体育編,pp.6‑1 7 ,1 9 7 8 , 5.

3) 文部省 :小学校学習指導要領,pp. 9 8 ‑1 0 4 ,1 9 9 0 , 3.

4) 文部省 :小学校指導書 体育編,pp.1‑ 7,1 9 9 0 , 6.

5) 松田岩男 :体育心理学,大修館書店,p. 2 3 4 p. 2 4 0 ,1 9 7 9.

6) 松田岩男,小野三縮 :スポーツマンの体力測定,大修館書店,pp. 1 61 ‑1 6 3,1 9 65.

7) 宮下充正 :子 どものからだ 科学的な体力づ くり,東京大学出版会,p. 1 61 ,1 9 8 0 , 8.

8) 加賀谷鷹彦 :体力を高める体育授業のあ り方,体育の科学,pp. 41 ‑4 5 Vo1 3 0 ‑1,1 9 8 0.

表 3 担任 か らみ た児童 の体 力 ・運 動能力 と指導 の関係 ( 単位 は人 数、上位 5 位 まで の選択 回答 )N‑2 4 5 指導 してい る 指導 していない 合計 指 導 してい る 指 導 してい ない 合計 柔 軟 性 125 3 い 28 ll 106 117 支 持 力 36 15 51 10 / 184 194 腹 筋 力 46 14 60 5 180 185 逆 さ 感 覚 20 ll 31 4 210 2 1 4 バ ラ ンス感 覚 31 ll 42 コ l 198

参照

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