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円周率に迫る方法

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

円周率に迫る方法

著者 坂口 杲一

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 9

ページ 63‑77

発行年 1986‑03‑16

その他のタイトル On ways in which we approach the number π

URL http://hdl.handle.net/10105/4586

(2)

坂 口 晃 一 (数学教室)

On ways in which we approach the numt尤r 7r Koichi Sakaguchi (Department of Mathematics)

Abstract

We study several ways in which we approach the ratio of the circumference of a

circle to its diameter and the quickness of convergence in each way.

We show at the same time that this subject is a suitable teaching‑material in com‑

puter education for mathematics一major students.

Key words : n , approximate value, infinite product, infinite series.

は じ め に

筆者の調べた所によると、円周率に肉迫する方法としては、円に内外接する正多角形の周や 面積による近似、ビエトの公式のような無限乗積による近似、テイラー展開のような無限級数 による近似、方程式の近似解による近似、数値積分による近似、乱数を用いるモンテカルロ方 式による近似など、数多くの仕方が考えられるoその上、千桁、万桁というように正確な値を 桁数多く求めたいという欲求が必ず起るから、それに関する研究を含めると、この学習テーマ には、数学的にもプログラミングの面でも、かなり豊富な内容のものが含まれてくる。加えて 数学史上の興味も手伝って、学生の自主的研究に期待できる面も多い0

このテーマの学習では、コンピュータを利用しながら数学を学び、数学を学びながらコンピ ュータに習熟するという相互関係の展開があって、数学科のコンビュ‑夕教材としては好適の ものであると考えられる。

本報告はこの主題に関する筆者の実践上の研究をまとめたものであるが、学生の指導に少し でも役立てば幸いである。

§ 1.初等幾何学的方法による近似(円に内接および外接する正多角形の周 による近似)

半径1の円に内接及び外接する正n角形の周をそれぞれSn 、 Tn とおけば、円の周27Cは snより大きく、 Tnより小さい。それ故、

Sn /2<7u<Tn/2

であるo nが大きくなると、 SnとTnの値は次第に接近するので、大きなnに対してSnとTn

(3)

坂 口 呆 ‑

の値が求まれば、 7Eの近似値が得られる。実際Archimedes (ほぼ287‑212B.C)は円に 内外接する正六角形から出発して、辺数を逐次倍増して正九十六角形に至り、 S96とT96の値か ら7r≒3.14を得たと言われている。ピタゴラスの定理を知っている者ならば、中学生でも、電 卓を使って、この方法で7Tの近似値3.14を得ることはさほど困難ではないO もしもパソコンを 使って数学を学習する機会があるならば、一層恰好の教材になると思われる。

さて、半径1の円に内接及び外接する正n角形の1辺の長さをそれぞれan 、bnとおくoO

(ヽ

を中心とする半径1の円に内接する正n角形の1辺をABとし、 ABの中点Rにおける接線が OA、 OBの延長と交る点をP、 Qとすれば、 PQは外接正n角形の1辺となる。ABとORの 交点をCとすると、 △OPQと△OABは相似だから、

bn:flォ‑OR:OC‑i :〆DA2 ‑AC:

‑1 :√i二(ォサ/2う2

‑2 :V4‑an*

よって

(1.1)  *サ‑2 aォ/l/4‑ォ^

また、定義から

(1.2) Sn‑nar 、 Tn‑nbn

次に、 a2n とanの関係を求めよう。 ARが正2n角形の1辺になるから、

a,M2‑AC2+CR2‑ (aサ/2)2+ (OR‑OC)2

これにOR‑1、 OC‑〆百Å21‑AC2 ‑〆1‑α乃2/4 を代入して (1.3) a2n‑(2‑i/4‑an* )1/2

が得られる。また(1.3)を書き変えて

(1.4) '2K ‑an/{2+Vオーa品 壷) Vt

いまあるnに対してanが分かっているとする。(例えば、 a4‑1′∑ ォ6‑1などは分かっ ている。 )そうすると(1.1)から(1.3) (または(1.4) )までの等式を使ってSn、Tn

とa2nが求められる ォ2Wが分かると再び同じ式を使ってS2n 、 T2n とa4nが求められるO 順次このようにしてSkn、 Tkn、 A2kn (k‑1,2,4,8,・・‑....)が求められるので、関係 skn/2<7c<Tkn/2によって7Eの近似値が得られる。

なお、 7Tの値を小数第3位ぐらいまで求める場合は(1.3)を使って計算しても不都合は生 じないが、桁数を多く求めようとすると、 (1.3)よりも(1.4)を用いる方がよい。なぜな らば、 nが大きくなるとanの値が小さくなり、そのため(1.3)では桁落ち現象が起って、

得られるa2nの値の精度が悪くなるからである.

n‑6から始めて、この方法で7Eの近似値を求めるプログラムとそれによる計算結果を下に 示したO今後使用するパーソナルコンピュータはシャープMZ‑80BであるO

(ここでは(1.3)の代りに(1.4)を使っている。 )

(4)

1(二) PRINT/P TAB(8);"rtJH;TAB(21)貫目SN/;‖;TAf3(41);"TN/2日 PR工NT/P

20 N=占,'角=l:X=3."Y=占/SロRfコ)

T'¥(二) PRINT/P TAF.Iく三:> ;n冒TABく18日X蔓TABく38)等Y

40 :【F Y‑X<二:=(:).Of二1<X>(':)01 THEN END

5CI N=2*N

も(:I A=A/SQR コ+SロR(4‑A水晶) ) 7Cl b=:寒A/SQR<4‑A*.A) 日(:> X=N来A/コ;Y㌫N*B,′2 90 GC〕TO I,ヨrj

N

12

24 48 t?ム 19コ コ臼4 ..,も8 153ム 丁。172 ム14斗

5N/2

3

3蝣1058285

コー:Lコ2占28占 3. 1393502 3.1410コ19 コ. 1414525

3. 141557占 3. 1415839 3. 1415905 3. 1415921 3 1415925 1‑=コ88         14159コム コ457も       コ. 141592ム

TN/Z コ.4占4101占 3.2153?Q3 3. 159も599 3. 14も08も2 3. 1427ユ4占 3. 141873 ち. 141占占ニフ コ.141も102 3.141597 3. 1415937 :3. 1415929 3. 1415927 コ. 1415927

なお、我が国の村松茂清は、寛文3年(1663年)に著書「算狙」の中で、円に内接する正方 形から出発し、辺数を逐次倍増して正32,768角形に至り、その周の長さを計算して, 7Eの近似 値を小数第20位まで求めている。しかし正しい値は小数第7位までであった01)

また関孝和の没後、彼の門人たちによって刊行された「括用算法」 (1712年)の中には、上 記村松の場合と同じ方法で内接131,072角形に至り、その周の長さを計算して、 7Fの近似値を 求めているが、ここでは正しい数の位を殖やすために独特の修正法を考案して、小数第10位ま で正確に求めているol)

§ 2.無限乗積による近似 I.ピエトの公式による方法

vi昌te (1540‑1603年)は半径1の円に内接する正方形から出発して、辺数を逐次倍増して

得ら′れる内接正多角形の面積の極限を考えて、

(5)

坂 口 呆 ‑

(2.1)n‑2/〆坑布紬甥の言和布り存立・・・

を得た.3)これをビエトの公式と言い、,Eの値を演算の無限操作で解析的に表現することに史上 初めて成功した有名な結果である。

この公式は次のような方法によっても簡単に導かれる。

sin*を逐次変形して・sin*‑2cos号sin号‑2'cosでcosk‑2singで XX.X

XX ‑2ncos首cos2‑jcos‑sin‑

。n。n 2"2"

よって

(2.2)&cos諸‑誓旦・す/sin暮 PZi

n→coならしめて ncos黄‑‑旦警

*=J

この式でX‑7T/2とおけば

・2.3)冗‑2/ncos k‑2.チ

これがビエトの公式(2.1)にはかならない。

ビエトの公式を使って7Eの近似値を求めるのに、不足近似値と過剰近似値の問にZCを爽みっ ける方法を工夫する。

O<0<n/2のときに成り立っ不等式sine<8<tanoを書き変えると、1<6/sine

<1/CosIとなる。だからQ<x/2n<^/2のときは、

K^V/sin‑2^<1/COS#

これを(2.2)に用いて

・<与n

ncosすく1/cosす sln∬¥k‑i

この式でx‑tc/2とおき、n+1をnに置き換えると、

n

・2.4)/77c

k‑z岱音<好く2/cos茅n

ncos k=2宗一

(6)

が得られる。これによって、 7Eを不足近似値と過剰近似値の間に爽みつけることができる。計 算に当っては、公式

cos手‑(

を用いて、順次cos(tt/2* )の値からcosU/2* +1)の値を求めるようにして行けばよい。

下にプログラムと計算結果を示そう。

1(二) PRINT/P TAB<5)等 N";TABく18);"SAHEN1‑;TAB<38);"UHEN"

15 PRINT/F

ごく二) C=SGR( 1/コ) :X=コ:n=;

コC) X=X/C:Y=X/C

4(:> PRINT/P TAB(4);N;TAB<15);X;TハE((コ5)葺Y 50 IF Y‑X・:::叫二I ooo0001 THEN END

占(二) N=N+l:C=SQR( < 1+C) コ):GOTCコ コ(:I 70 IF H=1000 TトiEN EN工)

ao if i<:1(:10 THEN 工 =I+5<二I:QQTQ こ5{) 90 :【一蝣=1+100:GOTロ コ(:I

N

O

<

h   C

i   t

'

2 4

コ K! *mム アCO Q‑‑H t‑4rt H rt

SAHEN コ. 8コ84271 3.0614も75 コ. 1:!1445コ ち, 1コも5485 コ. 140ココ12 コ. 141277コ コ.1415138 3.1415729 コ. 1415877 3.1415914 コ. 141592コ コ. 141592も 3. 141592も

UHEN

4

pAStRM*]崖gl

;. 18ニ!5979

3. 1517249 3.1441184 3. 14222コム コ. 1417504 コ.141ムココ1

3. 141もrj25 3.1415951

3。 14159こ33

3. 1415928 3. 1415927

皿.りリスの公式による方法

ワリスの公式は、普通は関数sin"* の0からn/2までの足積分を利用して求められる。

しかし次のような、オイラーの無限乗積を用いる巧妙な方法もある06)

方程式警…‑芸+育‑‑・・‑・・・‑0

(7)

坂 a 某 ‑‑

の解は±Zr、士27r、士37E、・・・であるから 聖‑(‑告)0+‑i‑)(‑芸)(,十芸)...

のように因数分解できる。これがEulerの無限乗積であるが、これ以上厳密な証明は省略して、

この式で‑7T/2とおけば、

35 こ‑・一一

n2244 よって

・T‥・・‑・一 蝣i::'㍉!‑‑

(2.5)

Itlll

>:一蝣

2* 4‑ 6     2n

1・ 3 ・ 5 ・・・(2k‑1

これがWallis (1616‑1703年)の公式である0 7Eの値をこの公式で近似する場合、 2つの部分積

a2n‑2子・手・・・・

b2n‑2 ‡・昔‑・・

ーーi2k+2)(2k+2)

9?i

を考えると、

蝣>;

2"  2"

2n‑1 2ォ+1

2サー2  2サ 2ォー1 2ォーl

4P+8&+4 a2n k"n (26+1X26+3) k"n4k2+8k+3

2K2JH‑2)

(26+1X26+1)

竺 4kz+4k

kニ14P+4&+1

>1

<1

よって

(2.6 )   <Z2ォ<7T<02ォ

それ故、 7Cの値を不足近似値a2nと過剰近似値b2nの間に爽みつけることができる。

次にプログラムと計算結果を示すが、ワリスの公式は収束がおそく、結果をもっとていねい に打ち出させると、 2n‑38に至ってやっと7T‑ 3.1が得られ、2ォ‑ 986に至ってやっとだ≒

3.14が得られるといった状況であることが分かる。

(8)

10 PRINTノP TAB(占)冒"コN";TAB(20);"A2IM" ;TAB(那::り;‖ロコN'' 15 PRINT/P

コCI A=2:H=<:I I=5Cl

:3(:) H=H+コ:B=A判H/(トト1) :A=B*H/くH+l) 40 IF H=I GOTO も0

50 SOTO コCJ

ふく:) PRINT/P TA王‖4);H;t白B(16)等AsTAB<コム);良 7rj :lF H=10CIO THEN END

80 IF 廿:::1C)0 THEN l=1+5(I>:GOTO 30 90 .1‑1+100:60TO 30

2N 50

1 (:)(:I

2(.)(. ! 300 400 麗ォH もoo

'7く:I 0

SCO 900

A2N 3. 1H:>9451 3. i:己も0788 5. 133787:ち コ. 13も3782 3. 137ム77も 3. 1コ84585 ラ. 1コ89797 コ. 139コ;s;

3. 139631占 コ. 1コ98491 10(:)0        3 1400ココ1

B2N コ.1731も4 コ157339占 コ. 14945も3 3. 14も8ココ8 3. 145521日 5. 1447354 3.1442113 3. 1438:;7 3. 14355占.L2 3. 1433378

蝣>. 1431ム31

Ⅲ.素数を用いて出来るある種の無限乗積による方法 次節のErで示すように,等式

・2.7)芸‑吉+吉+....+‑V一十・・・・

が成り立っO右辺の各項の分母を素因数分解したものを考えると、素数全体の集合pに対して 霊1l

l+T*+T*十一=n pep苦

のように書ける。刀

・‑2.8)冗‑〔90n

pep若〕1'4

(9)

坂 口 果 ‑

素数を小さい方から順に並べて、それらを順次Pに代入して積を作ると、 (2.8)によって 7Eの近似値が得られる。

下にプログラムと計算結果を示すが、それを見ると、何番目の素数までとれば、 7Eの近似値 としてどの程度の値が得られるかが分かる。

収束は割合速いが、適当な過剰近似値が見つけにくい。なお、ここではパソコンを用いてエラト ステネスの稀によって素数を取り出す演習もできる。フルイ

1.(:) DI卜1 P!∴ご51

15 FCIR l=1 Tロ 25:READ p<I)

2<::) DATA コ,3,5,:7,ll,1コi.17,lcp,23,29,コ:Ly:≡:7ラ41,43,47 コ3 DATA 53,59,も1,占7,71,7コ,ア9,日3,89,97

2賢 NEXT‑ I コ【二) A=<ヲO

FOR 工=l T【コ 25:ロ=P<I)‑‑‑45C=B‑・・l

・qf:: A=A承B/Cs工)=S口R(SQR<A) ) 斗コ IF I<:5 THEN か二)

∠ほ IF I‑一㌢ほ】:NT(I/!ヨ)叫二) T川∑:N もu 5f二) NEXT I

55 ENIコ

か二)門‥UNT/P TAB<5>冒1'買TAB(〔=;‖ 蝣BANME NO SOSLJU MADE"蔓 tab;:コ.7)...p占1I=" ;D

も5 60°T〔:) 50

I ・・‑BANME NO Sf::SLJLJ M由I〕E I・! ・‑BANME NO SC〕SUU MADE' :3 I‑BANME;: NO SOSULJ MADE 4 ‑BANME N〔〕 SOSUU MADE 5 ‑日ANME NO S口SUU MADE 10‑BANME: NO SOSUL MADE 15‑BANME Nロ'3〔3SUU MADE 二三(::>‑BANME NO S〔〕SUU MADE '">s一日ANME NO SOSUU M杓DE

pai= :ヨMlコolも92 PA:【== :コ. 1.399054

PA】:= ・一蝣'・.. 1411もコ占

PAI= 3,. 141489日

PAl= 3.14154こ;q

PA:【= 3 14159C::):3 PA:== コ。1415922 PA:【= コ1415925 PFu= コ14159コも

隻 3.無限級数による近似

I. Sin‑i、工の展開式を用いる方法

関数1 /t/1‑x2 ( ¥x [<1)をMaclaurin級数(2項級数)に展開すると、

1 i/l‑x‑‑1‑2*'1‑3 2‑4∬4+

vl‑x‑

1*3‑5

2‑4‑6 ∬6+

(10)

両辺を0から (¥x】<1)まで積分すると、右辺は項別積分ができて、

。 、 (. A 1 J   1ォ3  x=  1・3‑5 x^

(3.1) Sin X‑X十で・T+う丁㌃・寺一十

この展開式で∬‑ 1/2とおけば

(3.2)  ?r‑3

(1十

+

2‑4‑6

1・1  1・1・3‑3

4‑6   4・6  蝣10

を得る。これをNewton (1642‑1727年)の展開式というO (3.2)の括弧内の級数の第n項をan とおけば、

dn+1‑ an

dll ,蝣:\、

(2n‑1)(2ォ‑1) / On An (4ォ+2)

(Zlトl    <hi

<

・1  \ ・1‑

タ  ° ° °

'丁+'

1・1・3・3・5・5

4・6・8‑10‑12‑14 ・・‑)

故に 方<3(tfi+a2+‑+an)+3an h註十左十・蝣・)

‑3 (ォi+a2+・  +an) + a,

よって

n       n

(3.3)    ∑   <7T<3 ∑ak+an

k=l k‑¥

これによって不足近似値と過剰近似値の間に7Eを爽みつけることができるO

プログラムと計算結果を示せば下のようである。なお、我が国の松永良弼は元文4年(1939年) に著書「方円算経」の中で、この級数(3.2)を用いて7Fの値を小数第49位まで正確に求めて

いる.3

10 PRINTノP Tflmも);"N";TABく19);"SAHEN";TABく39);HUHEN"

15 PRINT/P ごO A=l!N=l:S=l

コC) A=A*<コ‡N‑1>*<コ*N‑1>/(4*N)/<4*N+2) 4C) S=S+A:T=コ*S:U=T+A

50 PRINT/P TAB(5);N;T̀*B<1占);T;TAB<コ占)貫U もC) IF U‑Tく=u.c:)C)く:)0001 THEN END

7・:二) N=N+l:GOTO コ亡:)

r t   t

¥ h   K

>

ォ f r   l f i ム 7 8 9

SAHEN 3.125 3. 139CIも25 コ.1411!

3 1415112 コ. :14157も17 3 1415日94 3 141592 3. 1415925

コ. 141592も

UHEN 3. 1もムももも7 コ. 14コ75 3. 1418527 鵬psciia再且育 コ. 141598ム 3. 1415937 コ. 14159コ8 3 1415927 3. 1415927

(11)

坂 口 呆 ‑

n.   :の展開式を用いる方法

関数1/(1 +x*)(¥JC¥<1)をMaclaurin級数(無限等比級数)に展開して、 0からJま で積分すると、 Gregory (1638‑1675年)の級数

・3.4) Tari‑1x‑x一号+苦‑‑ (IxI<1)

が得られる。これを下記に類する等式の1つと組み合せることによって、 7Cの値を能率よく求め る公式が得られる04、 8)

(3.5)冗‑16Tan‑1‑^5 ‑4Tarr忘

(3.6 )  7T ‑20Tan 1 (3.7 )  7r ‑48Tan"

(3.8)  k ‑24Tar「1

1 7 H S

‑ 育

+ 8 Tar「1

・32Tan"古+ 4 Tar11品

(3.4)と(3.5)を組み合せて得られるMachinの公式(1706年)を使うと、Tan 1(i/5)マ‑チン

の展開式の初めの4項とTaI「1 (1/239)の展開式の初めの1項を用いるだけで、筆者でも簡 単に、 7Eの近似値を小数第5位まで正確に求めることができる。

またこれらの公式は7Eの値を桁数多く求める計算に適している。その方法はよく知られてい るのでここでは述べないが、このことに関しては石田晴久氏の報告「7rを105,000桁まで求め た」8)にくわしいO

なお、イギリスのShanks (1812‑1882年)が、コンピュータのなかった時代に、殆ど生涯 をかけて、 Machinの公式を使って7Tの値を707桁まで求めたことは、特筆すべきことであっ たO この値は1945年に528桁目に誤りがあることを発見されるまで、 70年余り7Eの最も精しい 値として君臨した。

Ⅲ.オイラーの公式を用いる方法 ワリスの公式を導くのに用いた方程式

sT…‑音 5! ‑‑0

の解は±7C、 ±27r、 ±37r、 ・ ‑であるから、 <t‑x*とおいて得られる方程式

ト音+昇一‑・‑0

の解は7E2、(2ny、(3it)2、・ ・ ・ ・となるO

よって

(3.9) ト告+諾

‑ (‑若xI一語豆)(‑浩亘)

(12)

右辺の無限乗積を展開して、両辺のyの係数を比較すれば、

・3.10)蛋‑五十去・吉+・‑・

を得る (3.10)の両辺を2乗すれば、

. . .  v

これに、 (3.9)の両辺の92の係数を比較して得られる等式

笛‑ jヲk7右

を用いると、

(3.ll)

‑‑左+左十を+・・・7T4

90

を得るOこれを書き直して、

粛‑左+ふ+左・‑+‑T

‑04Zj去 7r4

右辺の最後の項に(3.ll)を代入すると、

・3.12)蛋‑左+古+古+‑I

となる。これらの等式はどれもEuler(1707‑1783年)の公式と呼ばれる。5)、9)

(3.12)は収束が割合速いので、7Eの近似値を求めるのに利用できるoここでも7Fを不足近 似値と過剰近似値の問に爽むために、関数y‑i/x*のグラフから容易に分かる関係

2(孟・両+・‑.COl諒 1,.,‑‑1.1

を用いると、(3.12)から nlノ7T4,J竺11

∑ ^。l. … <一三一<∑ ′(,l…+

k‑¥(2fe‑1)4、96t」1Gk‑iy6(2ォーl)3 が得られる。よって、

・3.13)(96S 1

k‑¥孟訂<方<^96差1読手声 n

この式を用いて7Eの近似値を求めるプログラムと計算結果を示せば、次のようである。

(13)

坂 口 呆 ‑

10 PRINT/P TAB(5)V‑コトト1日;TAEi(ごl);"SAHEN" .

15 PRINT/P TAB<41);‖UHEN"SPRIIMT/P

2(:) N=i:p=0

3O M=2*N‑1:鞘=円*M米M:B=白米M 41:I F=P+1/B:白=9+1/くも*角)

5く:) PP=SQRくSQR<9占寓P) ) :Qロ=SQR<SQRく9占*Q) ) か::> if M‑10串INT(M/1Cり31 THEN 9<二〉

70 IF 口ローF>p<=0.0Cl(二日二〉00コ THEN END 臼O N=N+.tJGOTロ コ0

9<::) PRINT/P TAB(5)蔓M蔓TAB<1日);pp与TABく38)葺QQ.‑GOTO 7<二l

i

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SAHEN

3. 1:ヨ01占9:≡

3.14.1519 コ. 1415S<1ム こ5. 1415887 コ. 14159C将 コ. :1415917 :ヨ1415921 コ. 1415923 コ. 1415924

UHEN I..2531531 3. 14ユ占.159 1415945 コ.14159コ1

3. 1i.4159:三8

コ. 1415927 コ14159コ7 3. 1415927 3. 1415927

§ ▲ その他の方法による近似 I.方程式の近似解を用いる方法

方程式

(4.1)  fix)=sin∬‑0.5‑0

の、区間(0, 1)内の解はTC/6であるから、この解の近似値を求めて6倍すれば、 7Eの近似 値が得られる。

方程式の解はNewtonの方法で近似できるが,その際爽み打ち法で併用すれば,不足近似値 と過剰近似値が同時に求められて、打を爽むのに好都合である。

(4.1)の関数/(*)のグラフは(0, 1)において上に凸であるから、 pi‑O、 <7i‑1と おいて、 Newtonの方法でPlを92に移し、爽み打ち法でqlをq2に移す。それには、点(pi, /(po)におけるグラフの接線がx軸と交わる点を92に、また2点(Pi, /(/>!))とUi, /(<?l))を結ぶ直線がx軸と交る点をq2にとる。このとき、

(14)

(4.2)   p2‑pi‑f(pi) If′(pi)

(4.3)  <?2‑ CgifCpi) ‑pifCqO) I (/(♪) ‑/(<?)))

である。次に同じ方法で♪2、 q2をp3、 q3に移す。このようにして逐次如、 qn (n‑1、

2、 3、・ ・ ・)を求めて、それらを6倍すれば、 7Eの不足近似値と過剰近似値の系列が得ら れる。下にプログラムと計算結果を示す。

10 PRINT/P TAB( 1ム) ;HFuS〔〕KU‑ド::INJ王CHI" 5TABく42);"ド::鉛J0‑

KINJICHIH :PRINT/P

ごく二) DEF FNFくX:)=SINくXトC).5:DEF FNGくX)=COS(X) コ・=) I::.ごく二>: Q=1

4Cl pp=p米も:QQ=口*ム

5(二> PRINT/P TAB(18);PP;TABく43);ロロ ムO IF (コQ‑PP<=<:).(二tOOOOOI THEN END

70 ロ=(Q*FNF(PトP*FNFくQ) ) /<FNF<P)‑FNF(に}) ):P=P・・‑FNF<F) /FNG'Fl

3(::> GOT口 40

90 PR工NT/P TAB<1コ);M;TAB(28);pp;tAB(48);OQ:GOTO 70

FUSOKLトト::IN.∫ ICHI

O

‑T

コ. 140も占占8 3. 141592占 3. 141592も

K釣.了ローKINJICHI

コ.5ム518=コ 3. 1445984 3. 1415928 コ. 14159::占

Ⅱ.数値積分を用いる方法

関数l/(1+x2)を0から1まで積分すると tt/4 になるので、

・4.4) 打‑4f。古dx

である。右辺の定積分に数値積分を施すと、これによって7Eの近似値が得られるO

数値積分には台形公式やSimpsonの公式を利用すればよい。これらは普通の微積分のテキ ストに、誤差解析と共に大抵載せられている Simpsonの方法を用いて実際に計算機で計算

して見ると、区間〔0, 1〕を10等分した場合は誤差を考慮して3.141まで、また100等分し た場合は誤差を考慮して3.1415926まで正確に求められる。プログラムと計算結果の印刷は省 略する。

(15)

坂 口 晃 一

Ⅲ.モンテカルロ・シミュレーションによる方法

4点(0, 0) (1, 0) (1, 1) (0 1)を頂点とする正方形と、これに含まれる、

原点を中心とする半径1の、 4分の1円を考える。

パソコンに内蔵されている乱数を用いて、無作為にn個の点(∫. y) (o≦x≦1、 0≦

g≦l)を取り、そのうち x*+y2≦1を満たすものの個数をkとすれば、大数の法則により、

nが大きくなると、 A/nは4分の1円と正方形との面積の比に近づくことが期待される。従っ て4k/nは7Eに近づくことが期待される。これは、大変興味ある方法であるが、求められた値 がどこまで正確であるかが判定できない欠点がある。下に1つの結果を示す。

1(二> PRINT.′P TAB(12);"N=;TAB(28);=K'‑;T細く45)貫目PAI一一=

PRINT/P

15 N=0:ド::=0

2(:) X=RND< 1) :Yニ=RND<コ)

コO IF X*×ヰY*Y<::=1 THENト;=k‑日.

40 N=N+1

50 IFトト1(二>OOO*INTCN/1CICICけり叫:> THEN 7(:) 60 GOTO 20

7Cl p'=.叫ト::/N:PRINT/P TAB( 10) !N芦丁朋=コム) ;ド::;TAB<42) ;p

8(二) IF N=5(:)00(::) THEN END

90 G口TC) 20

N

1 O(二)00

コ0000 30000 40000 50<:)00

ド::

78コア :l. 5ム75 235コ(:) 31417 39250

PAI コ.. 1308 3.1コ5

. 1コ:ム 3.1417 3.14

おわ り に

以上見てきた方法は、 隻 4のIとⅡを除けば、数学史の中でも代表的と思われるものである0 号4のIとⅡは数学史には殆ど登場しないが、筆者が気付いて付け加えたものである。^KK

収束の速さからみると、 Newtonの展開式によるもの、 Machin タイプの公式によるもの、方程 式の近似解によるものが一番速く、 Wallisの方式とモンテカルロ法によるものが一番遅く、そ れ以外のものはほぼ同程度で、さ程遅いというわけではない。また7Eの近似値を桁数多く求め るには、収束の速さと計算の簡便さからみて、 Machin タイプの公式が最適であると考えられ る。

しかしながら、これらの方法は収束の速さと計算の簡便さだけによって評価されるべきもの

(16)

ではない。例えば、 隻 1の円に内外接する正多角形の周による近似は、収束もさ程おそくはな いが、それにも増して初等数学の範囲で円周率に肉迫できる方法であるという貴重な意味を持 っているO また、たとえ収束が遅くても、数学理論や数学史上有意義なものは、それだけで学 習する価値があるし、更にコンピュータ教材として見た場合は、収束の速さを調べること自体 に意義があると言わなければならない。

筆者は過去何回か、卒業研究に数値計算学を選んだ学生に、研究の一環としてこのテーマを 与えた所、彼らは非常な興味をもって、自発的に研究に取り組んだという経験を持っている。

好適な教材として推奨するゆえんである。

参考文献

1)三上義夫、数学史叢書、共立社、 167‑169日 2)同 上、 171頁

3) P. Beckmann著、田尾陽一・清水詔光訳、 7Eの歴史、蒼樹書房、 3‑100頁 4)同 上、 157、 169、204頁

5)同 上、 167‑168頁

6) 良. Courant and H. Robbins著、森口繁‑監訳、数学とはなにか、岩波書店、 494‑495頁 7)同 上、493貞

8)石田晴久, 7Fを105,000桁まで求めた、数学セミナー、 1974年6月号、 22‑26頁 9)高木貞治、解析概論、岩波書店、 236‑237頁

参照

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