情報表現力を向上させるためのピアレビューの試み と評価‑‑プレゼンテーションにおける授業改善を通 して
著者 萱津 理佳
雑誌名 長野県短期大学紀要
巻 64
ページ 71‑79
発行年 2009‑12
URL http://id.nii.ac.jp/1118/00000010/
長 野 県 短 期 大 学 紀 要 第64号 2009年12
月
長野県短期大学Journal of Nagano Prefectural College. No.64. December 2009 〒380‑8525長野市三輪8‑49‑7
情報表現力を向上させるためのピアレビューの試みと評価 ープレゼンテーションにおける授業改善を通してー
A t r i a l o f p e e r r e v i e w i n a n i n f o r m a t i o n p r e s e n t a t i o n s c l a s s a n d i t s e v a l u a t i o n
萱 津 理 佳
RikaKA Y ATSUあらまし 情報社会では情報を受け取るだけでなく,自ら情報を発信することも大切である。この とき,自分の考えや主張を正しく伝えるための様 々な工夫が必要となる。プレゼンテーションでは,
伝える相手や内容によって,効率的に情報を表現する力,すなわち情報表現力が重要とな る。本研 究では学生の情報表現力および情報発信力を向上させることを目指し.
i情報表現法
Jにおけるプ レゼンテーションに焦点をあて, ピアレビューをはじめ とする授業改普・を行った。具体的には,
「情報表現法」が│ 調講され た
2年 自の
2006年度より,授業の中でプレゼンテーションを実施し,受 講者同士が課題を相互に評価するピアレビューを取り入れた。ピアレビュー後に実施したアンケ
ート結果より, ピアレビュ ーの 実施が,学生のモチベーションを高める大事な要素になっており,受 講生の
8:!fIJはプレゼンテーション知識の定着を実感していることがわかった。さらには,自分が発 表すること,および他の人への評価を行うことよりも,他の人の プレゼンテーション を実際に聞く
こと,そして,向分のプレゼンテ
ーションに対する他の人の評価
iが学習効果をあげていることが明 らか』こなった。
キーワード ピアレビュー 情報表現力 プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン 授 業 改 善 学 習 効 果
1.はじめに
1:ij度情~1報通信ネットワーク社会が進展していく現
代では,社会に求められる人材を育成していく上で,
ICT
利 活川能力はとても重要なテーマとなってい る 。
ICTとは.
lnformation & Communication Technology(情報通信技術)の 略語で.
ITに
C(Com munication)が加え られ,間報を適切に伝達する為 の技術という本来の役
;tflJがより強調された表現であ る 。
長野以短期大学多文化コミュニケーション学科国 際地域文化
4攻
(2004年度教養学科より改組)で は. r 情報教育
jを教行の柱のーっとして位置づけ,
カリキュラムが構築された。本専攻の情報関連のカ リキュラムを図
1に示す。専門教育科目として
2科 目 の 出習科目「的制リテラシ ー
J( 1 年前期)と
「 情報表現法
J(2年前
Jgj).および
l科目の講義科 目「情報ネットワ ーク
J(1年前期)を設定してい る。また,そのほかに履修吋能な情報科目として,
学科共通科
1‑1r 抑制検紫出習
J( 1 年後期
・演習) . 全学共通科 I~
i附湘機材t5論
J(2年後期
・講義)の
2科目がある。これらは全て半期の選択科目である。
本専攻では講義科目だけでなく,実際にコンピュー タを操作して主
iit習を行う,話
i習科目にも重点を置い ている。
l年1
)IjJU]の「情報リテラシ ー」は,入学し て品初に受講する情報出習科目であり .
Windowsの基本掛作から始まり, ワープロソフト
Wordと 表計算ソフ ト
Excelの基本操作を中心に学ぶ。
1年 後
JU]の「情報検索む u 習」 は,学科共通科目として開 講されており,司
Tl?の資桔を取得する学生の必修科 目として枕世づけられている。ここでは,情報の特 徴の開解からインターネットの利用を中心とした情 報収集と評価
J.検索エンジンの利用技術を学ぶ。
2年前期の「情報表現法
Jでは,情報の収集
・分析 ・ 整却を経て.門ら情報を発信するための表現力を身 につけることを口肢に,プレゼンテーション技法お よび
Webサイトの作成について学ぶ。
t,1!
報 社会においては,課題や目 的に応じて情報手
段を適切に活闘する能力を含め,必要な情報を主体
的に収集・判断・ 表現
・処:a n
・創造し,受け手の状
況などを踏まえて発信・伝述できる能力が重要とな
る。また
.tt'1執
l表現力を尚めるためには,撮り返っ
A trial of peer review in an information presentations class and its evaluation
て自己評価を行うこと,さらには他の人と相互に評 価し合うピアレビューが効果的である。そこで,本 研究では学生の情報表現力および情報発信力を向上 させることを目指し, r 情報表現法
Jにおけるプレ ゼンテーションに焦点をあて, ピアレビューを取り 入れた授業改善を行った。そして,授業改善の効果 を検証するため,学習効果を中心としたアンケート 調査を実施した。本論文では,まず本研究の対象で ある 「 情 報 表 現 法
Jの シ ラ パ ス を 説 明 し , 次 に
2006
年度から
2009年度に実施したピアレビューの 方法を報告する。そして,アンケ ー卜 調査の結果よ り,年度ごとの比較を行い ,授業改善による学習効 果およびピアレビュ ーの方法について考察する。
[演習科目
l r情報リテラシー
Jl年前期
I
•W o r d
• Excel
【 講義科目 】
l年後期
『情繍ネットワーク
J・ ネッ トワーク・・ ‑
. . . ・ 竃
2年前期
何 回
喝4s︐M出‑a 共み一浄︿一全し一
‑ ﹂の 一
T・圃ゐ︐一
. .
︐ 一 町
F一 ﹃
ゆ ピ
一
首剥ン 一 面開コ
一
:
‑プレゼンテーシ ー ン
• Webサイトの作11
図
1国際地域文化専攻の情報カリキュラム
2.
r 情報表現法」について
「情報表現法
Jでは,まず情報発信の基礎を学び,
PowerPointを 利 用 し た
プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン と
IBMホームページビルダーを利用した
Webサイト の作成を通して,情報表現力を身に付けることを 目 標としている。本研究では, r 情報表現法
jのプレ
ゼン テーシ ョン授業において,表現力の向上を目指 し,相互評価
iの手法を取り入れた授業改善を行 っ た 。 そして,授業改善 の効果を評価するため,
2006年 度から
2009年度にかけてアンケート調査を実施し f
こ。学習効果を高める方法として,相互評 価が役立つ ことは広く知られている
[lJ。相互評価を情報教育 へ適用した研究として,
BBSを用いてピアレビュー とフィードパックを強化した笠 見
[2Jや , 相互評価
やグループ学習を支援する金子ら
[3Jの研究があげ られる。笠見の研究では
BBSを用いたシステムを
Excelの操作方法を学ぶ授業で導入しており,金子 らは相互評価やグループ活動などの協調的な学習を 支援するシステム
Cistyを開発し,基礎的情報教育 科目でのアプリケーションソフトの活用方法を習得 する授業での利用を試みている。これらの研究は,
どちらもアプリケーションソフトの習得に焦点をあ てた研究となっている 。本研究では,相互評価の実 施により,パワーポイントの習得だけでなく,パワー ポイントを利用していかに自分の伝えたいことを効 果的に表現することができるかという「情報表現力」
の向上を目指している。
「 情報表現法」は,学科改組後の
2005年度より 開講された科 目で,これまでに
5回開講された。
2005
年度から
2009年度までの履修率を図
2に 示す 。 初年度の
2005年度は
80%と 高い履修率であったが,
2006
年度,
2007年度と低下 し
52%まで落ち込んだ。
その後履修率 は ,
2008年度,
2009年度と上がり,
2009
年度は
73%の学生が履修した。
I 90Y.
1
i
~~~70% ・ I 60%50%・
40';' 30%
20%
10%
0%
2005 20侃 2007 2008 2009
図
2r 情報表現法
Jの履修率
開講初年度の
2005年度は,プレゼンテーション の授業において教科書 を利用せず,
PowerPointに 関する説明 ・ 演習を
4コマ(1コマ
90分) ,受講者
同士の評価会を
1コマ使用して行っ た 。入学時に実
施したノマソコン利用に
l到するアンケー卜調査
[4Jから,
2004年 度 入学 生
44名中
77%の
34名 が
PowerPointを使った経験がないということが分かつ
ており,演習では制限されたコマ数の中で,基本的
な操作方法を学ぶことが主となった。受講者同士で
評価会を実施した課題は, 各自でテーマを自由に決
め ,
6枚以上
12枚以内で構成されるスライドから なるプレゼンテーション資料を作成せよというもの であった。プレゼンテーションの課題作成後に行っ た評価会であるが,受講者が
35名と多かったため,
全員がプレゼンテーションを実施する時聞を確保す ることは無理である判断した。そこで,評価会では ネットワ
ークハードディスクに保存した受講者全員のプレゼンテーション資料を.各 自 の
PCでスライ
ドショーを実行し,閲覧するという方法をとり
,資料についてのみの評価会を実施した。評価会の後,
自分の作成した資料についての振返りと他の受講者 の作成した資料についてのコメント
500字程度を記
名式で提出してもらった。他の受講者の作成した資 料についてのコメントでは,テーマ自体に対する面 白さの他,アニメーション効果, 写真,イラストの 使い方に関する新しい発見などに関する記載が多く みられた。このレポートより,他人の作品を閲覧す
ることにより,表現力に富む技術に気付いたり,わ かりやすい資料のポイントが実感でき, 一定の効果 があることがわかった。しかしなが ら 時間の都合上,
個々の作成した課題内容に対する評価を行うことが できず,他の人の評価を生かせるような方法がとれ なかったことが課題として残された。そこで,
2年 目の
2006年度での授業より ,評価の 方法の改善を 試み,受講生同士が課題を相互に評価するピアレビ.ュー を試みた。
3.
ピアレビューを利用した授業改善 の試み
「情報表現法」のプレゼ ンテーション授業に おい て , 学生の自己評価および相互評価を通しての情報 表現力の向上を狙い,授業改普を試みた 。また ,
2005
年度は実際のプレゼン テー ションを実施する
時間を取れなかったが,表現力の向上という観点か らも実際にプレゼンテーシ ョンをすることが重要で あり,
2006年度から は実際に綬業の中でプレゼ ン テーシ ョンを 実施した。
2006年度か ら
2009年度に 課した課題の内容は
2005年度と問機で,自由テー
マによるプレゼン資料の作成である。
2006
年度は, 全員での発表会は行わず,まず
6人の小グループを
4つ作り,グル
ープごとに全員がプレゼンテーションを実施した。そして,自分以外
情報表現カを向上させるためのどアレビュー の試みと評価
の
5名についてコメントを記入した評価シートを作 成してもらった。さらに,グループごとに投票によ り一番優れていると恩われる発表者を決め,グルー プ代表の
4名が全員の前でプレゼンテーションを実 施した。 その後,各自が自分のノマ ソコン上で受講者 全員のプレゼンテーション資料をスライドショーの 実行により,資料の閲覧のみ行い,
1)自分の作成し た資料についてアピ
ールしたい点や工夫した点,
2)他の受講者が作成した資料について,
3)プレゼンテー ション作成を通して学 んだこと。の
3点について
500
字程度 のコメン卜を提出してもらった。
2007
年度 は , 受講者全員が発表する形式に変更 した。「優れた点
Jと 「 改善を要する点
Jの
2点を 矧怜に記入する様式の評価シートを作成し,全員の 発表に対し,それぞれがシートを記入した。発表後 , 各人への義利回シートをまとめ,発表者へフィードパッ
クし,プレゼン資料の改善を行った。
2007
年度実施後の問題点として, r 優れた 点」は
記入しであるが, r 改善を要する 点
Jについては記
入していない評価シートが多か ったことが挙げら れ る。この理由として,改善点に気付かない,または,
他の人に対する遠慮か ら記入ができな い等が考え ら れる 。そ こで,
2008年度 は無記名方式について検 討を行った。
2008年度は,
2007年度と同様,受講
者全員の発表に対し「優れた点」と 「 改善を要する 点
jの
2点を別々に記入しでもうら方式をとったが,
2007
年度は改善 を要する点の未記入者が多かった ことから,受講者同士が匿名の感覚でコメントし合 えるよう 工夫をし た。具体的には, あらかじめ自分 でニックネームを決めてもらい,教員に申請し,そ のニックネームを使って評価を記入することとした。
ニックネームを申請させた理由は,自分の評価に責 任を持つこと,また,評価の未提出をチェックする ためである。 さら に , フィー ドパックを素早 く 行え ることから,授業で利用しているブログを使用し,
オンラインで投稿するという方式をとった。各発表 者に対し, 一つの記事をあらかじめ作成しておき,
その記事のコメン卜として評価を記入してもらうと いう方式である 。実際の評価
i会で利用した
Webサ イトの画面一部を図
3に示す 。
2009
年度の評価は,教科書 として使用 した 「 プ
レゼン テー シ ョ ン +
PowerPoin t2007 J [5Jに掲載さ
A trial of peer review in an information present冶tions class and its evaluation
4.
ピ アレ ビューの効果と課題 れていたプレ ゼ ンテーションアドバイスシ ー トの一
部を抜粋して利用した。図
4にアドバイスシートの イメー ジ図を示す。これは,優れたれた点や改善を 要する点の自由記述のほか, 話の内容・ストーリー,
視覚資料,伝え方の 工夫,全体的な印象の
4種類全
12
項 目につ いて 「良
Lリ か ら 「 要 改 善 」 ま で
5段
階で評価を行うもので,記名式で実施した。
il""λC 刊 1
・ ・ ・ ・. . . . .
1: l!tl。 1:情報表現!n 1・品川"ぬ
,. 附・WII酌L0k~同 ε.-.I.~ 4・a
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図
32008年度相互評価のためのツ ール
"lレtf:-予ーシII~・?ドパイスシート
図
4アド バイス シー ト
(2009年度利 用)
「 表現力」の客観的評価を行うことは難しいことか ら,授業後に学習効果に焦点をあてたアンケート調 査を実施し, ピアレビューによる効果を考察した。
2006
年度は,卒業時の
2年次
12月にパソコン利用 に関するアンケー 卜 調査と同時に本アンケートを実 施し,
I情報表現法」に関する部分は,受講生のみ に回答してもらった。
2007年度から
2009年度につ いては,
I情報表現法
Jの前半に行うプレゼンテ ー ションの授業を終えたところ
(2年次
6月)で授業 中にアンケートを実施した。アンケー ト は全て無記 名式で行い.
2006年度から
2009年度の回収率はそ れぞれ)
96%. 100%,
100%,
86%であった。
2009年 度の未回収
14%はアンケ ー ト当日の欠席者の人数と
なっている。
各年度のアンケ ー 卜内容における共通項目は,以 下の
7項目である。
1.バワ ーポイン 卜の課題に積極的に取り組めたか?
2.
プレゼンテーションに関する知識が身についた か ?
3.
パワーポイントを使ったプレゼンテーション資 料作成の技能が身についたか?
4.
自分のプレゼンテーションの実施が役に立った か ?
5.
他の受講者のプレゼンテーションが役に立っ た か ?
6.
他の人への評価の記入が役に立っ た か ?
7他の受講者からの評自
Uiが役に立 った か ?
調査は,それぞれの問いについて, ①強くそう思 う,②そう思う,③ややそう思う, ④ どち ら でもな い , ⑤あまりそう思わない, ⑥ そう盟、わない, ⑦全 くそう思わない,の
7段階か ら ; 最も 当てはまるもの を選択してもらうというものである。本節では,各 項目についての年度ごとの比較をし, ピアレビュー
の効果と課題について考察を行う 。
4‑1
モチベーションについて
パワーポイントの諒!題に積極的に取り組めたかに
ついての
2006年度か ら
2009年度までの回答結果を
図
5に示す。①強くそう 思う ,または, ②そう思 う
と回答した学生の割合は,全ての年度において
80情報表現力を向上させるためのピアレビュー の試みと言平価
~l)ml _
.
<0 .oロ② :WI)$ ロ②
ロ③ ロ③
四
@Z
同21~) 白⑥ :)1)07 • • 田⑤
ロ⑥ ロ⑥
ロ⑦ :!uωJ ロ②
000 ::00• ‑1000 600• 800
。
100.。
%を超えており,積極的に課題に取り組んでいた学 生が多いことがわかる。また,全ての年度において
⑤,⑥,⑦のそう恩わないと回答した学生は一人も いなかった。
2007年度から
2009年度については,
さらに「パワーポイン卜の学習においてあなたのモ チベーション(やる気)を高めた要素は何ですか
?jについて,記述式で回答してもらった。どの年度も ほぼ同じような回答記述がみられ,一番多かった回 答が「友達の前で実際に発表すること
j,
1相互評価
で他の人のアドバイスをもらえたこと」など実際の プレゼンテーションを全員が行い,相互評価を実施 したことに関することで,
2007年度は
38%,
2008年度は
59%,
2009年度は
56%の学生 が動機として あげていた。
2番目に多い 回答が.
1自分の好きな
ことを題材にできたこと
j,
1テーマが 自由であった こと」などプレゼンテーションの内容に関すること であった。
3番目に多い 回答は.
1アニメーション などの面 白い機能
j.1自 分で背景の色や文字の色な ど変えられること
j,など資料作りの楽しさがやる 気につなが っ ていると 回答 したものであ った 。その 他の回答として,
1将来役に立 ちそう
j,
1卒論発表 の練習 になると思った
Jなど実用 的なスキルに関す ることのほか,
11憐の友 達が蹴 った資料を作 っ てい たので, 負けないように作 っ た 。 」などの意見があ っ f
こ。これより, ピアレビュ
ーを実施することの効果として,他の人の詞 咽
iを 行うこと,また他の人のレビュー を参考にすることによる 表現力 向 上 を 予想 したが,
それ以外に 学生 のモ チベーシ ョンを高める 大事 な 要 紫 にな っていることがわか っ た。
2(1)¥) E ;、山崎明園周囲軍事割問叫 │
~008
~OO,
‑ ・ ・ ・ ・ ・
E抽骨眠時咽減験蝉論..,:,
tj開
~006
000 ~OOO ‑1000 61)00 8000 1000。
図
5課題に積極的に取り組めたかの問いに対する 回答結果
4‑2
プレゼンテーションに関する知識と資料作成 のスキルについて
プレゼンテ
ーションに関する知識が身についたかについての
2006年度から
2009年度までの回答結果 を図 6 に示す。 ①強くそう思う,または, ②そう思 うと回答した学生の割合は, 全ての年度において
80%を超えており,授業によりプレゼンテーション の知識が定着 したと 言 うことができる 。① と ② と 合 わせた割合が一番大きかったのは
2009年度で,
92%の学生が身についたと感じている 。
次に,パワーポイントを使 っ たプレゼンテーショ ン 資料作成の技能が身についたかについての
2006年度か ら
2009年度までの回答結果を図
7に示す。
資料作成の技能に関しては, ①強くそう思う,また は , ②そう 思 うと回答した学生の割合が
70%程度で 推移 し ており,プレゼンテーションに関する知識の 問いと比較し, ①強くそ う思 うと回答 した人が減り,
③ややそ う 思 うと回答した人が増えたことがわかる。
2009
ヨ
008①
②
③
⑥
⑥
⑥
⑦
・ロ ロ 回 目 ロロ
:l1)O~
: : l0似3
u.o 20.0 ‑1000 (1)00 800• Il)no。
図
6プレゼンテーションに関する知識の問いに対 する回答結果
図
7プレゼンテーション資料作成のスキルに関す
る回答結果
A trial of peer review in an information presentations class and its evaluation
4‑3
プレゼンテーションの実施による効果
自分が実際に行ったプレゼンテーションが,プレ ゼンテーションの学習において役に立っ たかについ ての
2006年度から
2009年 度 までの回答結果を図
8に示す。②そう思うと回答した人の割合がどの年度 も半数程度となっており , ついで,①強くそう思う が
21%(2007年度)から
32%(2009年度)となっ ている。
2006年度は ,
6人ず つの小グループに分か れてのミニプレゼンテーションであ ったが,全員の 前でのプロジェ クターを利用したプレゼンテ ー ショ
ンと変わらない効果を実感していると言 える 。
~009
2008
①
②
③
@
⑥
⑮
⑦
・ ロロ 回ロ ロり
:
2
町
1‑ 医ヨ
: 2006
200• ‑11)00 60.0 800• 101)0.
図
8プレゼンテーション実施の効果に関する回答 結 果
4‑4
他の人のプレゼ ンテーションを聞 く 効果
他 の受講者のプレゼンテーションがプレゼンテ ー ションの学習に役立っ たかについての
2006年 度か ら
2009年度までの回答結果を図
9に示す。
2007年 度から
2009年度については,半数以上が①強くそ
う思うと回答していることがわかる。
2006
年度は, ① 強くそう 思うと回答し た学生の 書
IJ合が
36%と他の年度と比較 して低くなっている 。
2006年度は,
6名ずつの小グルー プでプレ ゼン テー
ションを 実施した後,各グループの代表者
4名のみ が全員の前でプレゼン テーシ ョン を実施 しており , プレゼンテーションを聞いた数が圧倒的に少なかっ たことが原因として考え られる。
2006年度は
4人 の代表によるプレゼンテーションの後,受講者全員 のプレゼンテーション資料を各向が自分のパソコン 上で・スライドショーを実行して,資料の閲覧のみ行 っ た。代表者
4名 によるプレゼンテーションがプレゼ ンテーシ ョンの学習に役立っ たかとい う質問と, 受
講者の作成したスライドの閲覧がプレゼンテ ーショ ンの学習に役立ったかという質問に対する回答結果 の比較を図
10に示 す。これより ,全員の資料を閲 覧した方の学習効果が高 いと感じている学生が多い ことがわかった。実際のプレゼンテ ー ションをしな い場合,声の調子 や口調,アイコンタクトなどの伝 え方の工夫や,話し手の熱意,聞き手とのコミュニ ケーションなどプレゼンテ ーシ ョン能力に関する向 上が望 めない。しかしながら,スライド資料の閲覧 のみで学習の効果を強く感じている学生が半数もお り,多くの資料を閲覧することによる効果と,自分 のスライド作成の体験から,発表自体より他の人の スライド資料に興味があるのではないかということ が言 える。ま た,興味をもつことで,学習効果が上 がると考えられる 。
u u o o
A U A
りnU山V94AZ ‑
①
②
③
@
⑥
⑥
⑦
圃 ロ ロ
回目
ロロ
::lOO: 圃 圃 圃 圃 圃 圃 圃 圃 圃 圃 │悶
け0・ 2υ0・ ‑11)0. 130.. 80.0 100.0
図
9他の人のプレゼンテー ションを聞くことによ る効果に関する回答結果
会員のAライドの閲覧
代理費者4人のプレゼン
。内 :!OO
・
11.内 .)1ア. 8(1". 101内‑
①ロ
②口
@ 四 @ 臼 ⑤ ⑥ ①図
102006年度の評価方法の違いによる効果の比較
4・5
ピアレビュー実施の効果
プレゼンテーションの際に行った相互評価 , アド
バ イスシート等の記入がプレゼンテ ーシ ョンの学習
に役立ったかについての
2006年度から
2009年度ま での回答結果を図
11に示 す。①強くそう思う,ま たは,②そう思うと回 答した学生の割合は.
2006年 度
.2007年度.
2009年 度 は
60%台であるが,
2008
年度は
95%と他の年度と比較して
30ポイン卜 程度も高 い値となっている。
他の受講者からの評価内容がプレゼンテ
ーション の学習に役立っ たかについての
2006年度から
2009年度 までの回答結果 を図
12に示す。図
11の評価を 行うこ とによる効果 と比較すると,①強くそう思う と回答している割合が増えており,特に
2006年度,
2009
年度では
20ポイン卜増加している 。 これより,
他の受講者からのフ ィードノ
fックがプレゼンテーシ ョ ンの学習に,より効果的に作用して いるこ とがわかっ た。また,
2008年度は評価を行うことによる効果 と同様,①強くそう思うと回答している学生が他の 年度と比較して高く ,全員が① 強 くそう思う,また
は,②そう思うと回答している。
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図
12他の人からの評価を受けることによる効果 に関する回答結果
情報表現力を向上させるためのピアレビュー の試みと評価
4‑6
ピアレビューの方法についての考察
ピアレビューの方式における
2006年度.
2007年 度 ,
2009年度の共通点として,用紙に記入する方 式であること,記名式で行ったことのこ点があげら れる。
2006年度は自由にコメント.
2007年度は優 れた点と改善を要する 点 を別々の項目として記入,
2009
年度はアドバイスシートを利用した
12項目の 内容についての
5段階評価とアドバイス(特に優れ ていた点や改善を要する点)を記入するというもの であり,どの年度も記名式で実施した。図
11と図
12より,記入内容の違いによる学習効果の違いは 見られなかったことが言 える。また図
11と図
12よ り ,
2008年度の受講生ほぼ全員が, ピアレビュー の実施により 高 い学習効果を実感していることがわ かる 。
2008年度は, ブログを利用しオンラインで それぞれの評価(優れた点と改善を要する点)を投 稿してもらい,受講者同士が匿名の感覚で投稿でき るようあらかじめニックネ ームを決め,そのニック ネームを使用してコメン卜を行った。このコメント 方式について,①記入しやすい,②記入しにくい,
③その他の三択で調査を実施したところ,記入しや すいが
77%.記入しにくいが
14%.その他が
9%と いう結果であった。記入しやすかった理由の主なも のとしては,以下のような意見があった。
発表が終わった後に ,すぐにいろいろな人の意 見が見れ,とても参考になった。
発表者ごとに個別のコメント欄となっていて,
記入しやすく,見やすかった。
匿名 ・ニックネームでコメ ントできるのがよか っ
fこ。また,記入しにくかったと回答した人の理由とし ては,以下の意見があ った。
コメン卜の時間が少なく,コメントに必死でプ レゼンテーシ ョンを聞くのに集中できなかった。
スペースが小さく,文字の大き
zきも小さく,入 力がしづらかった。
ピアレビューでは,紫早 いフィードパックが重要 であることが言 える 。 また.記入しにくかったと回 答した学生は,文字人力が得意ではない学生である
ことが言える 。
評価を匿名式と記名式で行うのではどちらが良い
と思うかについての
2008年度と
2009年度の回答結
A trial of peer review in an information presentations class and its evaluation
果を図
13に示す。
2008年度は匿名式で実施し,匿 名の方が良いと回答した学生が
95%で ,
1人を除い て全員であった 。
2009年度は記名式で実施し,記 名式またはどちらも閉じと回答した人が
44%で , 残りの
56%は匿名式の方が良いという回答であっ た。匿名式の方が良いと回答し た理由の主 なものと
しては,以下のような意見があ っ た 。
記名式だと改善点、が書きにくく,優れた点しか 書 けない。
自分の思ったことを遠慮なく素直に書け るから。
また
,記名式の方が良いと回答した人の意見としては,以下の意見があった。
誰がどう思っているかを知ることができるので。
記名式の方が 自分もしっかり書くと思う。
記名式で, しっかりと自分の意見を述べることが できるのが望 ましいが,調査からは匿名式でなけれ ばあまり 素直に 自分の意見を述べることができない ことが明らかとなった。匿名式を採用した
2008年 度のほぼ全員が,他人への評価を行うこと,そして,
他の人か らの評価を参考にすることによる学習効果 を実感しており,記名式で実施した他の年度と比較 すると学習に役立ったかについて①強くそう思うと 回答 している 学生が多 いことが言える 。 これより,
優れた点、だけで‑なく改善 を要する点についてもしっ かり評価を行うことが学習効果を大きくすることが わかり,またそれが表現力の向上にもつながるとい う観点から,匿名式による評価方法の検討も今後必 要である。
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2以)8
O.。 ~t)(IO ‑100。 61)0
。
80.。 1000 •‑匿名式 ロ記名式 ロどちらも同じ
図
13評価を匿名,記名式で行うことに対する意見
5.
おわりに
学生の情報表現力および情報発信力を向上させる ことを 目指 し、「情報表現法」におけ るプレゼンテー ションに焦点、をあて, ピアレビューをはじめとする 授業改善を行った。ピアレビュー後に実施したアン ケ
ー卜調査より , ピアレビューの実施が,学生のモ チベ
ーションを高める大事な要素になっており,本 科目受講生の 8割以上がプレゼンテーションの知識 の定着を実感していることが明らかとなった。全員 でのプレゼンテ
ーションとグループでのプレゼンテー ションでは, 実施による学習の効果に対する評価に 差異は見られなかっ た。しかしながら, 他の人のプ レゼンテーシ ョン を聞くことによる効果では,全員 で実施したプレゼンテーションの方がより効果を実 感している学生が多いことがわかった。これより,
少数ではなく,多くの学生のプレゼンテーションを 聞く・観ることによる効果が大きいと 言える。また,
自分が発表することによる学習効果より ,他の人の プレゼンテーションを聞くことによる学習効果の方 を強く実感している 学生が多いことがわかった。受 講生のコメン卜からも,
i他の人のプレゼンを聞い て,とても勉強になった。
J,
i自分のプレゼンの反 省が出来た。 」などピアレビューの効果を実感して いる 学生が多くいることがわか った。 さらには,
「 みんなのプレゼンをみて, 目次を入れればわかり やすかったかなと思いました。 」 というコメン卜の ように,他の人への評価を行うことにより,どのよ うな 表現が効果的かについても理解が深まるという ことが言 える。 さらには,アンケ ート 結果より他の 人からの評価
fiが学習に大きく 貢献していることが実 証され,プレゼンテーションの授業におけるピアレ
ビューが有効であることが明らかにな った。
ピアレビューの方法としては,オンライン
・匿名
方 式で評価を 実施した
2008年度において,他人へ
の評価 および他の人からのフィ ー ドパックによる学
習効 果をほぼ全員が実 感しており,用紙への記 名式
で実施した他の年度と比較すると効果 を強く 実 感し
ている 学生の書
IJ合が大きいことがわか った。 これよ
り,優れた点だけでなく改普 を要する点についても
しっかり評価を行うこと, さら には素早 いフィ ード
パックが学習効果を大きくすることが言 える。 また,
システムを利用することにより,教員の印刷
・仕分 け等の労力を軽減することができる上,他の学生へ の評価コメントを気軽に観ることも可能となり,学 習効果が上がると考えられる。
プレゼンテーション授業におけるピアレ ビュー の 効果が明らかになったことより,今後はピアレビュー をより効果的に実施するツールの開発を行っていき たい。また, 高等学校での教科「情報
jの導入に伴 い,入学時に既にパワーポイントを利用したことが ある学生が
2007年度入学生より過半数に増えたこ とが本専攻での入学時アンケート調査よりわかって いる。そこで,資料作成の技術的なスキルだけでな く,伝える相手や内容によって効果的に情報を表現 する力をいかにつけさせるかがより重要な課題となっ てくる。今後は,情報表現力を客観的に評価する指 標についても考察を行う必要がある。
参 考 文 献
[ 1 ]
Yanlin Zheng and Luyi Li : A Three‑Dimensional Context‑Awarencss Model for Peer Recommendation in the E‑LeArning C;ontflxt. Tn.tflrnational Journal on E‑Learning 7(1). pp.153・168.2008.[2]
笠見直下:
BBSを附いてピアレビューとフィードパッ クを強化したM側リテラシー教育,論文誌IT活問教育 方法師究 11(1).pp.36‑10, 2008.[3J令子大!liili
, 小松
Jlli'i';
:~tl五肝制liやグループ学習を支援す るシステムの法織的t.'I~城教育における利用.教育システ ム↑1'/世子:会研究報告, 23(2), pp.79・82,
2008.[4]登山翌日付短期大学入学時におけるパソコン利用状況 の変化について.、I~成 18 年度間報教育研究集会論文 W ,
pp.329‑332, 2006.
(5)夫教出版制集部:30 lI~iH n でマスタープレゼンテーショ
ン+
PowerPoint2007,実教出版株式会社.2007.情報表現力を向上させるためのピアレビュ