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核酸による溶血性連鎖状球菌の溶血毒       増産現象に関する研究

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127

核酸による溶血性連鎖状球菌の溶血毒

      増産現象に関する研究

第17報 メチル酵母核酸の溶連菌のStrept・1ysin S        産出に及ぼす:影響について

清水

 金沢大学医学部薬理学教室(指導 岡本肇教授)

 金沢大学結核研究所化学部(指導 越村三郎助教授)

隆作  姫野 保徳  貴志 源吾  伊藤

        (昭和32年1月7日受付)

 Studies on the:Phenomenon of High Promotioll by Nucleic Acid   of the Production of Streptolysin S of Heτnolytic Streptococcus

    Part 17. Study on the Iu且uence of Methyl Ribonucleic Acid uPon        the Streptolysin S:Formation of Hemolytic Stゴeptococci

Ryusaku Shimizu, Yasunori Hirnello, Gengo Kishi and Tasuku It6.

   刀・Pα・ご鰍 げPん・燃C・ ・9ン,86ん・・どげ班・耽〜・・,・π♂刀召μ陥オ・ゾ伽煽sかツ,

        Eθsθαr6ん∫物86翻θ(ゾf勉ゐθrc包 os乞8,1《απα名α防αo渤θr8吻

 さきに伊藤1)はJones&Perkins法2)によって酵 母核酸(R:NA)を1%:NaOHで処置してRNAを各 Mononucleotideに迄解離せしめた溶液,並びにRNA を酸又はアルカリでその最終構成成分 (Purine,

Pyrimidine, Ribose, Phosphoric acid)に迄分解せし

めた溶液(即ちRNAの各構成成分の全部が共存す る溶液)では,その何れもが全くStreptolysin S増 産効果を示さないことを実証し,次いでBernheimer3)

によってRNAに対しRibonucle綿eを作用せしあ       〕

て得られるRibonuclease一抵抗性のRibo一核酸分派が 原料RNAよりも遙かに高度の Streptolysin S増 産効果を呈すること,及びAdenylic and Guanylic

acids, Adenine, Guanille, Uracil, Cytosine, D−Ribose

等の各構成分はもとより Adenosihe triphosphate,

Diphosphopyridine nucleotideの如き異種の1Nuc−

1eotideはすべて全く無効であること、が実証せられた

が,これら知見の意義はRNAのStreptolysin S(以 下St−Sとも略記)増産に対する効果性(即ち核酸効 果の発現性)とそのPolyロucleotide構成との間には 密接不離の関係があることを明示した点にあるといえ

よう.

 所で,このようなRNAの分解試験に対してここに 当然RNA自体の誘導体の核酸効果如何という問題が 提起して来るのであるが,このこどに関しては現在迄 只一つ江上等4)がBfedereck法5)によってRNAに HNO2を作用せしめて脱アミノして得られた精製 Desaminoribonucleic acidでは核酸効果が極度に減殺 せられているとした報告があるのみである.

 著者等は最近(1952年)Anderson等6)がRNAの Methy1化物を得たことを報告したので,不敢取ここ にMethyl ribonucleic acidの核酸効果如何について

の考査に着手した訳である.

1.RNAのメチル化

 メルク製酵母核酸ソーダに対し一旦Sevag法によ る精製操作を施した後,遊離のRNAとしたものを原

料とし,これにAnderson等の記載に準じてMethyl

化を行った.

【41】

(2)

128 清水・姫野・貴志・伊藤

 即ち第1表はMethyl一核酸合成の過程を示したもの であって,斯くしてRNA 2.89からMethoxy基の 含量14.6%なるMethy1化物0.89を得た. Anderson 等はMethoxy基の含量が16.3−16.4%のMethy1化 物を得,この値はC53 H77028 N15P4(a Polymerised tetranucleotide containing 8 0Me, and 7 NMe

groups per tetranucleotide)として計算したMethoxy 基含量16.6%に近似していると記載していることに 鑑みると,著者等の得たMethy1一核酸はAnderson 等のそれよりもMethyl化の程度が幾分低いものと いえようが,兎に角この標品について溶連菌のSt−S 産出に及ぼす影響を検することとした.

II・Methyl Ribonucleic AcidとRibonucleic Acidの溶蓮菌め      Streptolysin S産出に及ぼす影響の比較実験:

 Methyl ribonucleic acid(Methyl−RNA)はそれ自 体水溶性で而も水溶液は中性である所から,これを10

%水溶液とし,又Sevag法によって精製したSod沁m yeast ribonucleate(RNA−Na)も10%中性水溶液と し,夫々に対し100。C,30ノの処置を施したものを原

液として用意した.

 而してSt−S産出に及ぼす影響の実験は培養7)並び に静菌8)の両法によって行った.

 即ち第2表は培養法による実験成績であるが,溶連

      り 菌の1%RNA−Na加ブイヨン培養の上清液は1:32 768の高稀釈度迄溶血作用を呈しているに対し,1%

Methy1−RNA加ブイヨン培養の上清液は僅々1:8液 迄しか溶血作用を呈せず,その溶血力において普通ブ イヨン培養におけるそれと全く差異がないことを見

る.

 而して第3表提示の静菌法による実験でも亦 Methyl−RNAによって溶連菌のSt−S産出が増進さ れるような徴は些かも見られないという成績である.

結  酵母核酸をAnderson等の方法によってMethyI 化して得たMethyl ribonucleic acid標品について,

その溶連菌のStreptolysin S産出に及ぼす影響関係 を試験した.

 そして Methyl化によって Ribo一核酸の有する Strep†01ysin S増産に対する効果性が全く消失するこ

とを実証した.

丈 1)伊藤: 日本薬物学雑誌,29,1及び2号,第 14回日本薬理学会記事,66,昭15.     2)

Jolles&Perkins 3 J. Boil. Chern.,55,567,

1923,    3)Ber皿heimer amd Rodbart:

」.Exp. Med.,88,149,1948.Bern臨dmer:ibid,

90,373,1949.   4)Egami, Shimomura,

Yagi, Hayashi,瓢ase and Hosoya:Japan.

J.Exp. Med.,20,527, 1950.    5)

Bredereck,】Berger and]Richter: Ber.,74,

338, 1941.        6) A.nderson, 】Bark{}r,

瓢asson, Gulland and Llock= J. Chem. Soc.、

1952, 369.      7) Okamoto, Kyoda 篭1.

Ito=Japan. J. Med. Sc。, IV. Pharmaco1.,14,

99,1941.    岡本:核酸効果とこれに基 くStreptolysin S研究の展開,細胞化学シンポ ジウム,3,145,1954.    8)Ito, Okami and Yoshimura:Japan, Med. J.,1,253,

1948.

【42】

(3)

核酸による溶血性連鎖状球菌の溶血毒増産現象に関する研究

129

    第1表 RNAのMethy1化実験

  乾燥したRNA 2.8gを皿ethanol 50ccに懸濁   したものにAg202.59とCH3J 2.5ccを加え   て,25。Cで24時間強く振盤する

     ↓

  この懸濁液に対しAg202.59とCH3J 2・5cc   とを12時間の間隔で4回加えた後,更に12時間   振卜する

     豊

   一㎜濾_過一一一一一一一一一

    一Ψ

 1一.一     1 銀塩       濾液

1  /↓細以下で溶媒を融

き離驚ol淡黄色S・・u・

後言遇  隣欝購瀞

濾液  1

上清液

(放棄)

 1 類白色無晶形沈澱  ↓   Etherで洗瀞後減圧乾   燥

淡黄白色無晶形粉末

 (得量:0.8g)

      第2表 培養法による実験       a)1%Methyl−RNA加ブイヨン(pH 7.6)5cc       b)1%RNA−Na加ブイヨン(pH 7.6)5cc       c)普通ブイヨン(pH 7.6)5cc

の3者に対し溶連菌(S一株)のブイヨン培養の1滴宛を接種し,37。C,30時間 培養した後,夫々の遠心上清液を得.次でこれら3つの上清液について同時に 倍下稀釈法による溶血試験を行う.

培地の種類

1%Methyl−RNA加

ブイヨン(pH 7.6)

1%R:NA−Na加ブイ

ヨン(pH:7.6)

普通ブイヨン  (pH 7.6)

上清液の稀釈倍数

∴ 寸

冊i什

柵柵

柵十十

 1

◎◎

二 三

冊1柵

_L

 l

巽 剛

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二 蟄

§ 高

§1襲

凶伽

m子 弔i弩 引一

対 照

(上清

液を加

えず)

 I

 i

「 37。C,2時間目の判読成績・柵一完全溶血;柑,・H・,+=部分的溶血;一一非溶血.

【43】

(4)

130

清水・姫野・貴志・伊藤

      ・    第3表  静菌法によるStreptolysin S産出実験

普通ブイヨン100ccに溶連菌の24時間ブイヨン培養1滴を接種して37。C,18時間培養したものから菌 を遠心によって分離する.ここに得た生菌体を燐酸緩衝一Ringer液(pH:7.2)〔M/15燐酸緩衝液pH 7.2

1分にRinger液4分を加えたもの〕50ccを以て2回洗瀞した後,燐酸緩衝一Ringer液10ccを加えて 濃厚溶連菌浮游液を調製す.

a)10%Methy1−RNA原液0.4cc十・燐酸緩衝一Ringer液1.6cc十濃厚菌浮游液2cc b)10%RNA−Na原液0.4cc十燐酸緩衝一Ringer液1.6cc十濃厚菌浮游液2cc c)燐酸緩衝液2cc+濃厚菌浮游液2cc

のような内容を有する3本の試験管を用意して,これらを同時に37。C水浴中に置くこと2時間,遠心 沈澱によって得た各上清液について倍下稀釈法による溶血試験を行う.

メジウムの種類

1%Methy1−RNA加

燐酸緩衝液(pH 7.2)

1% RNA−Na 加燐i酸

緩衝液(pH 7.2)

燐酸緩衝液(pH 7.2)

上清液の稀釈倍数

◎○

震 祠

・冊

G臼

禦 ゆ

二 蕊

『 一 轟

十 等

c『

∴ 霧

矧 二

6

二 諾

曽 二

対 照

(上清 液を加 えず)

37。C,2時間目の判読成績:柵一完全溶血;柵,・H・,+=部分的溶血;一=非溶血.

【44】

参照

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