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論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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氏名・(本籍)

学位 の 種 類 学位記番号 学位授与の日付

平  田  和  人 (新潟県)

工  学  博  士

工博甲第 18  号 昭和58年9月28日 学位授与の要件  学位規則第5条第1項該当

電子科学研究科 電子材料科学専攻

学位論文題目  非晶質As4。Se㈹AgXの交流導電機構の研究

(委員長)

論文審査委員  教 授 萩 野   賞

教 授 山 田 祥 二 教 授 山 木 達 夫

助教授 熊 川 征 司

教 授 林   敏 也 教 授 助 川 徳 三

論文内容の要旨

近年,非晶質半導体は結晶性半導体の代替物として,あるいは非晶質特有の性質を利用して各方 面に用いられてきている。非晶質半導体には固有の局在状態がバンドギャップ中に存在し,その物 性の多くを支配していることが知られている。このため非晶質半導体の局在状態を調べることはそ の物性を探る上で最も重要なことと考えられる。

本研究は交流導電率の測定を通して非晶質固有の局在状態や不純物添加による局在状態の変化を 調べることを目的としている。非晶質半導体中の交流伝導は主に局在状態間のホッピング伝導によ り生ずる。このため局在状態の性質及び不純物の局在状態への影響について印兄を得ることができ る。本研究では代表的な非晶質カルコゲナイドの一つであるAs4。Se。。を用い,溶融冷却法によ り試料を作製した。不純物としては銀を添加した。これまで銀を添加した非晶質As4。Se80につ いて,0.5at%までは銀は主にフェルミレベルを動かし,それ以上の銀添加では合金効果的な働き

をすることが知られている。そこで不純物銀の非晶質As4。Se6。の局在状態への添加効果を調べ るため,試料の組成はAs4。Se。。AgR(X=0,0.025,0.05,0.1,0.2,0.5)とした〔交流導電率 測定は周波数領域30Hz〜5MHz,温度領域77K〜400Kで行った。

測定の結果,1MHz以上の周波数ではすべての試料で角周波数(仙)に対して交流導電率α8。(α)

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(2)

は仙2に比例する傾向が認められた。これは測定時の直列抵抗が ♂8。(仙)に影響している可能性が 高い。また,1MHz以下の周波数については試料本来の交流導電率が得られることを確認した。

この周波数城において交流導電率αa。(甜)は4㌦で記述できる。ここでA及びSは定数である。

銀を添加しない試料As4。Se8。ではOac(W)は80K付近で角周波数に対してほぼ線形に依存し,

温度上昇とともにSは幾分減少し,300Kで仙0・94 に比例した。一一一万,銀を添加した試料As4。

Se6。AgX ではOac(W)の周波数依存性は微量の銀添加で大きく変化し,室温でwO・7に比例した。

銀の添加量が増加すると交流導電率の値は増加したが,その周波数依存性はほとんど変化しなかっ た。また,♂a。(仙)は80Kで仙1・0に比例し,350Kでα0・5に比例するようになり,周波数依存性が 温度によって大きく変化することが認められた。

これらの測定結果を解析するため,これまで捉案された交流導電機構のモデルについて検討を行 なった。その結果,Correlated Barrier Hopping(CBH)モデルが最適であることが判明した。す でにElliottはCBHモデルをrT]いてカルコゲナイド系非晶質半導体における交流導電率の周波数 及び温度依存性を説明している。しかしながら,Elliottの説明では200K以上の温度域で実験値

と理論値と一の致はよくなかった。これは Elliottが交流導電率の式を導く際に障壁のエネルギー についてテーラー展開に準じた展開式を用いているためであることがわかった。このため,この展 開を用いずにCBHモデルに従い交流導電率 αa。(甜)及びその周波数依存性を示す指数Sの式を導

き,測定結果を数値計算により解析した。

銀を添加しない試料の交流導電率の測定結果は,従来から指摘されている固有の荷電欠陥(D+,

D ̄)が交流伝導に寄与しているとしてCBHモデルを用いて解釈される。すなわち,測定全温度域 でバイポーラロンによるホッピング伝導が生じていると考えられる。数値計算結果から得られる荷 電欠陥密度は9.2×1017cm ̄3であった。一方,銀を添加した試料についての交流導電率の測定結 果はバイポーラロン・ホッピングでは説明できなかった。これに対しシングルポーラロン・ホッピ

ングを仮定すると測定値と計算値とのよい一致が得られた。

次に銀添加試料についてESR測定を行なった。シングルポーラロン・ホッピングに寄与すると 従来から考えられていた電荷中性欠陥DOによるESR信号は観測されなかった。数値計算結果に 基づくとこのホッピングに寄与する欠陥(ホッピング中心)の分布はガラス転移温度においてクー ロン相互作用により決定されていると考えられる。このため,シングルポーラロンに寄与するホッ ピング中心は荷電欠陥(D+またはDつ に銀原子が結合した状態にある複合中心、が妥当であると推 定される。局在状態から非局在状態にキャリアを励起するために要するエネルギーは約0.8eVで あることと銀添加によりこのエネルギーが減少することが測定結果の解析から得られた。.そして非 晶質As4。Se6。AgXがp型半導体であ・8ことから,銀原子が関与する局在準位を媒介とした複合 中心内でlt孔の性格を石するシングルポーラロン・ホッピングが生じていると考えられる。

以上,交流導電率の測定により非晶質As4。Se6。固有の局在状態及び添加された銀による局在 状態への影響についての知見を得ることができた。

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