放射化学的分離, 超微量物質の化学
雑誌名 放射能要覧 (解説付)
巻 金沢大学放射性同位元素委員会(編)
ページ 133‑154
発行年 1980‑11
URL http://hdl.handle.net/2297/00051740
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja
(Ⅳ)放射化学的分離,超微量物質の化学
Ⅳ−1トレーサースケールの濃度のRIの捕集に,共沈現象│ましばしば利用され る。図中のDは次式で表わされる。
D={(沈殿中のRr)量)/(沈殿中の担体の量)│/{(液相中のRIの量)/(液相中 中の担体の量)}
この関係は均一分布法則といわれ,Dは均一分布係数(homogeneousdistribution coeff)とよばれる。D>1の場合RIは沈殿に濃縮する。成長しつ、ある沈殿の場 合は,沈殿相に入ったRIの量と担体の量との間には微分的に上の関係が成立つの で,これを積分して結果的には次の量的関係が成立つ。log(全イ本のRIの量/溶液中 に残るRIの量)=Alog(全体の担体の量/溶液中に残っている担体の量)この関 係は対数分布法則(logarithmicdistributionlaw)といわれ,入は対数分布係数と
よばれる。入の値が1より大きいほどRIは多く共沈する。
Ⅳ − 2 R I を 含 む 沈 殿 試 料 の 「 ろ 過 」 に よ る 一 様 な 試 料 調 製 に 用 い る 器 具 で あ る。まるい「ろ紙」片をよく磨いた縁のついたシンターガラスの円板で支え,この 円板を2本のガラス管(厚くなった末端を研磨)の間に支える。上のガラス管は沈 殿面積を限定し,下のガラス管は「ろ過びん」のゴム栓にはめこまれ,吸引しつ、
沈殿をろ過する。
Ⅳ−31954年3月1日南太平洋ビキニでの米国の核実験のさい,附近で操業中 の漁船第5福竜丸に放射能灰が落下するという事態が発生した。船員は焼津入港後,
東大病院に入院した。この灰や,捕獲されたマグロ(日本各地に入荷)の中に含ま れる放射性核種の分離分析がわが国の数ケ所で行なわれた。この分離法は東大グル ープ・により,緊急にまづ行なわれた灰(さんご礁の破片)に関するものである。試 料灰の元素の分属のため担体(それぞれの分離過程での役割に着目せよ)を加え,
通常の定性分析の手法を用いて分属し,その放射能が測定されている。それぞれの 分属分離で得られた放射性核種は,さらに半減期やβ線吸収法によるβエネルギー の推定なども併用して同定された。このときからわが国の戦後の放射化学研究が活 1発になった。
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Ⅳ−4微量物質をコロイド状にして捕集し,放射性核種からの放射能を測定す ることにより,コロイド粒子の研究やイオン交換性物質の研究を行なえる。こ、に 各種の天然および人工の物質の空隙の大きさ(実線領域)とコロイド粒子の大きさ
(最下部)を図示した。これらをうまく組合わせて未知のコロイド粒子の大きさや,
粒子の荷電状態などを研究できる。
Ⅳ − 5 R I を 用 い て ラ ジ オ コ ロ イ ド の 研 究 が 広 く 行 な わ れ て い る 。 そ の 一 例 と して2'2Bi溶液のpHを変化させたさいのコロイドの遠心分離での挙動をこ、に示し た(縦軸は遠心分離率)。I〜IIの領域ではBi3+,Ⅳ〜Vの領域ではビスマス酸イ オンとして存在しており,II,Ⅳのピークはそれぞれ水酸化ビスマスの形成ならびに ビスマスのぺプテゼーションによると説明されている。
Ⅳ−6トレーサーと担体(キャリアー)イオンが特に類似していないときは,キ ャリア沈殿の表面にトレーサーが吸着されて共沈すると考えられている。このさい トレーサーと逆符号のイオンとトレーサー元素イオンが溶解積の小さい化合物をつ くるとき,その溶解積が小さいほどよく共沈する傾向がある。このことはThBz+
(Pbz+)の表の結果にみられる。なお上表はBaz+との類推からのRaz+はSOf−と難 溶性化合物をつくりやすいので,CaSO4共沈のときもSO4‑−過剰が望ましいことを 示す。
Ⅳ−7エマネーション化能(emanatingpower)とは,全エマネーション量の うち,固体表面から液相または気相に放出されるエマネーションの割合であるが,
これは固体物質の含水量によって影響を受ける。Zeoliteでは水分子が増加するに つれてEmanatingpowerは減少しAdsorptionpowerは増加する。水分子がZeolite の結晶の乱れを増加させ,このために結晶内部からラドンの拡散する速度が減少し たと考えられる。
Ⅳ − 8 ジ ビ ニ ー ル ベ ン ゼ ン と エ チ ー ル ス チ レ ン を ポ リ マ ー 化 し , 架 橋 構 造 の ポ リスチレンを得,これにスルホン基を導入することにより得られる。スルホン基に ついたWイオンが他の陽イオンとイオン交換を行ないそれを樹脂に吸着させる。放 射性核種の分離,精製にしばしば用いられている。
Ⅳ−9イオン交換樹脂による核燃料物質の精製は広く行なわれている。こ、で はパッチ法によるU(VI)の分配係数D=(樹脂中Uの量/樹脂量)/(溶液中U の量/溶液量)と酸濃度との関係を表わしている。D>1のとき樹脂中にUが吸 着されやすくなり,HClでは濃度とともに吸着されやすくなること,H2SO4では逆 に低濃度の方がよいことがわかる。
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Ⅳ − 7 ゼ オ ラ イ ト に よ る
ラ ド ン の 吸 着 と 脱 着
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Ⅳ − 4 空 隙 の 大 き さ と コ ロ イ ド 粒 子 /︑ ︑11/
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Ⅳ − 8 強 酸 性 陽 イ オ ン 交 換 樹 脂 の 構 造
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Ⅳ−10核エネルギーの使用が盛んになってきつ、あるが,これは各種元素の精 製法が向上したことによるところが大きい。化学的手法には,イオン交換法と溶媒 抽出分離法がとくによく研究されてきた。こ、ではすべての元素について,塩酸溶 液での陰イオン交換樹脂への挙動(Dvは分配比,このように酸濃度と分配比の関 係を周期律表上に一覧で示した図は便利なので各種の系について作成されている)
や,各種溶媒およびエチルエーテルへの抽出のさいの挙動,蒸留法をその揮発可能 な化合物とともに示し,またFe(OH)3,La(OH)3によるScavengingについて既知 のデーターを図式化しみやすくした。これらの方法を組合わせ用いることにより放 射性核種の分離精製が行なわれる。
Ⅳ−11放射線分解作用に対して無機イオン交換体は,有機イオン交換体よりも 強いことがよく知られており,強放射性核種の分離への応用が考えられている。1 例として,タングステン酸ジルコニウムカラムを用いての,アルカリ金属の分離例
を示す。イオン半径小で水和されやすいLiの方がイオン交換能は少な<,さきに溶 離し,一方もっともイオン半径大で水和されに<b,Csはイオン交換能大で濃いN砿
濃度の液でないと溶離されない。
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硝酸溶液からの諸元素の陰イオン交換
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138
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Ⅳ−12Dowex50を用いて,ウランの中性子照射で生成した核分裂生成 物の相互分離を行なったものである。塩酸溶液で樹脂に吸着したものを,シュウ酸 でUを,つづいてクエン酸アンモニウムのpHを変化させることにより希土類,アル カリ土類元素を溶離している。これらはいずれも溶離液中の陰イオンと金属イオン の錯形成の安定性を利用したものである。
Ⅳ−134fおよび5f軌道への電子の充填のため性質が非常に類似しているラ ンタニドおよびアクチニドの各元素の相互分離は大変困難である(上図参照)。し かしながらα−ヒドロキシイソ酪酸アンモニウム((CH3)2C(()H)COONH4)はこれ ら元素と錯形成を行ない,各元素間にわずかな安定性の違いをつくる(pH3附近で 安定度の差は最大)。それゆえこの試薬をイオン交換の溶離液として用いれば,ラ ンタニド(中央図),アクチニド(下図)の各元素の分離が可能になる。陽イオン 交換樹脂を用いた場合,いずれも錯形成しやすい原子番号の大きい元素(イオン半 径は小)の方から順に溶離してくる。この方法は102,103番元素の生成発見のさ い,その確認に用いられた。
Ⅳ−14溶媒抽出法は,操作が比較的容易であり,迅速に行なえるためや,各元 素に特有な抽出法が確立されてきているので,放射化学的分析法によく用いられる。
通常は各種分離法を組み合わせて相互分離するが,こ、では,核分裂生成物(照射 後一年)相互の分離を,溶媒抽出法のみで行なってお'),比較的分離困難なRuJ<aZr
‑Nbがきれいに分離されている。
140
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Ⅳ−12陽イオン交換樹脂による核分裂生成物の分離
Ⅳ−13
ラ ン タ ニ ド , ア ク チ ニ ド の
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Ⅳ−14溶媒抽出法による核分裂生成物の分離
Ⅳ−15二座配位以上で金属と錯形成を行なう溶媒抽出用試薬として,放射化学 方面にしばしば使用されるものを(ジチソ.ン,アセチルアセトン,オキシン,TTA) その構造式と配位結合に使用される電子位置をあわせて示した。
Ⅳ−16ジチソ.ンによる2'oBi(RaE)抽出の抽出率(%)をpHの関係をもとに調 べたもので,塩酸溶液ではpHlでジチソ.ンとBiの中性化合物が形成され,ほず完全 に有機溶媒中に抽出される。硝酸溶液では2規定でも抽出は良好であるが,pHが高 い領域では抽出率が下がってきている。
Ⅳ − 1 7 イ オ ン 会 合 抽 出 系 の 一 つ で あ る 。 金 属 錯 体 陰 イ オ ン が 高 分 子 の ア ミ ン (Tri‑octyl‑amine等々)と塩をつくり,有機溶媒に溶ける。すなわち生成した塩 はイオン対として凝集体あるいはミセルを形成し,その塩の分子の親有機性の部分 は有機溶媒の方を向き,イオン的な部分はミセル構造の中心となり,有機溶媒から 遮断されるようになる。この原理に基ずく金属イオンの抽出曲線で,陰イオン交換 樹脂に対する挙動(Ⅳ−10)に類似し,液状陰イオン交換体とも考えられる。
Ⅳ−18キレート試薬として有効なβジケトンの1種にあたるTTA(Thenoyl trifluoroacetoneⅣ−15参照)は,金属イオンと六員環のキレーート錯体をつくり,
金属は有機溶媒に抽出される。抽出種は反応の平衡定数に関係してお'),通常の金 属ではpH領域で錯形成する。数種の金属イオンの抽出曲線をこ、に示すが、pH変化
を利用して抽出逆抽出をくりかえすことにより目的元素の精製ができる。
Ⅳ−19キレート系抽出において,もし試薬濃度を一定に保てば,ある系におけ る金属の分配はpHの函数となる。すなわち,、を金属の荷電数とすれば,錯体の生
成定数Km=了蒜祭器W試薬の解離定数Kr=‑皿識畏コ型L,錯体の 分配係数Pn=器鵲÷,試薬の分配係数Pr=‑鵠苦kすれば,抽出率は
E = な の で , こ れ に 上 の 4 式 を つ か い E = 1
(1/Pm)+[H+)"誌rm(面器5丁)。 (ただしK=諒而(Pr/i<r佃R)。)n) Pmは大きし、ので分母第1項は無視できればE篝K(㎡零丁ソl:なり,Eの変化を
あらわす抽出曲線の勾配は,もっぱら、によってきまること、なる。同じpH,nで はKが支配的である。
Ⅳ−20溶媒和にもとずく抽出は,A+b・TBP(溶媒)‑=A・(TBP)bで D=(A(TBP)n)/(A].(TBp)bとなり,分配比とTBP濃度の対数の関係をとれ ば,その傾斜から抽出種の溶媒和の数が求められる。この図からAm(III)には3つの,
V(W)およびZr(N)には2つの,HNO3には1つのそれぞれTBPが溶媒和して有機相 に 抽 出 さ れ て い る こ と が わ か る 。
Ⅳ−21キレート剤のうちEDTA(Ethylenediaminetetraaceticacid)は6 座配位子であ'),各種金属イオンと配位結合して,リング状構造を有する錯体を形 成する。Ca‑EDTA錯体を示しておいたが,安定な錯体であll,抽出分離のマス
キ ン グ 剤 と し て E D T A は よ く 用 い ら れ る 。
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朝C︑/NN
HNN
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ⅣI胴キレート系抽出剤 月℃︒﹄↑×山&駅
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4 N 2 N pH
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0 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 1 1 1 2
高分子アミンーHCI系の抽出;HCI(N() Ⅳ − 1 8 T T A に よ る 抽 出 pH
Ⅳ − 1 7
100 6
j︑︒&副﹄KJ
n = 4= 4
80 n = 2、 = 2
n = 1
、 = 1
こ0毛.﹄↑×の承
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n = 2 n = 2
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n = 2
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0 3 4 5 6 7 8 P H
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2− 2−
CO
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CCCC/︑/︑+N2十N爪/側l肋︑/H
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Ⅳ−21Ca‑EDTAの構造
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Ⅳ − 2 4 パ ル ス カ ラ ム の 動 作 特 性
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Ⅳ−22核燃料は原子炉に装入されて多数の核分裂反応が起る(燃焼する)にし たがって,核分裂生成物が増加し,これらが吸収する中性子の数が増加するため (III‑31参照),ある程度燃焼(burnup)したあと再処理により,再び使用可能なU, Rlなどを核分裂生成物から回収する必要がある。使用ずみ核燃料は放射能が強いた め,遠隔操作で処理する必要がある。大規模な一般的処理法として,Purex,Redox, Thorex法がある。(a)Purex法と(b)Redox法:Pu,Uを回収精製するとき,
いずれも溶媒抽出法((a)はケロシンにTBPを溶かしたもの,(lb)はHexone)で,
まづPu(W,W)U(VI)を抽出後,還元剤でPu(N)→P(III)反応を起させてのち,同 様の抽出溶媒でUとPuの分離を行なっている。(b)にアクチニド元素の酸化還元電位と,
これら元素の酸化還元剤としてしばしば用いられる反応の電位も示してある。例えば HNO2在存中ではPu(N)に,Fez+存在下ではPu(III)になっている(Ⅶ−6参照)。
232Thの中性子捕獲反応に引続くβ壊変により生ずる233U(III‑62参照)は,核燃料 として有用である(III‑36)。核燃料物質のThやF.Pからの233Uの回収は,(c)T1,orex 法で行なわれる。このプロセスも溶媒抽出法より成I),ThとUの分離は0.24M硝酸 溶液でUのみかTBPに抽出されることを用いている。その他の処理法として,(d) TTA‑chlation法があり,硝酸溶液でTTA‑Benzene溶液にPu(W)が抽出され,
Uと分離可能なことを利用したものである。以上はいわゆる湿式法とよばれる処理 法であるが,(e)に示したような試料を溶液化しない乾式法も,再処理操作を簡単 化するため考えられている。すなわち燃料を粉砕したあと,塩素ガスで塩素化し,
分留操作でF.PをU,Puから除去している。
Ⅳ‑23およびⅣ−24核燃料再処理に用いられる溶媒抽出操作で,水溶液と有機 溶媒との良好な混合が高除染や高収率でのU,Puの回収には必要となる。現在のと ころ,よく用いられているパルスカラムによる抽出装置の図とその動作特性を示す。
パルス発生器よりでた振動を利用し,水溶液と有機溶媒を充分混合し,かつ連続的 に抽出操作を行ない得る。
P u r e x 法 再 処 理 工 程 か ら 発 生 す る 廃 棄 物
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液 体 廃 棄 物 処 理 処 分 系 綻 図
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焼却炉の処理系統図.原研東海研
Ⅳ‑25およびⅣ−26目的とする金属陽イオンを一度錯化し,陰イオンとして陽 極に移動させ,その途中で故意にこの錯イオンを分解して,もとの金属イオンにも どす。このため解離したイオンは再び逆方向にもどろうとして,この部分が押し合 い巾の狭いゾーンを形成,いわゆる〔焦点化〕(濃縮化)が起り,この効果のつりあ う位置が定常状態となり検出される。すなわちpHと錯化剤の濃度勾配を利用し,電 気泳動する錯イオンの錯安定度の差によって分離しようとする方法である。ろ紙の 中心より陰極側にA,B,C,D,Eのような錯化剤を,陽極側に錯体解離剤をしませ,
中心に核分裂生成物を含む溶液をつけ,Ⅳ‑25の装置中で冷媒(CCl4等)で冷却 しつ、電気泳動させる。泳動後オートラジオグラフをとり,黒化位置の放射能から 核種を決定する。その例をⅣ‑26に示す。
Ⅳ−27放射性物質を用いた交換反応速度研究は,検出が容易にできるためよく される。こ、では放射性Pb(II)と非放射性Pb。の交換反応速度を,種々の温度中で 測定してお'),温度依存性があることを示している。はやい交換反応を利用し,放 射性トレーサーによる化学種の分析法が考案されている(同位体交換分析)。
Ⅳ−28ガス化が,容易な放射性物質を含む化合物の同定や分離定量などに用い られる。しばしば,3HJ<a'4Cを含む有機化合物の分析に用いられるが,充填剤をつ めたカラム中を試料を気体状態にして(ヒーターなどを使用して気化させる)Heな どの担体ガスを用いてとおし,クロマト分離を行なわせる。分離後の検出定量は非 放射性成分は熱伝導セルで,放射性成分はカウンターチューブて計数する。なお得 た有機物を燃焼させ,H2やCO2の状態でアンスラセンカラムなどを通し放射能測定も 行なう。
Ⅳ−296Li(n,cI)3H反応で作られたホ、ソトなトリチウム(3H)は,共存する有機 化合物のHと置換したりして,標識化合物をつくりうる。こ、て・は,イソラク酸
(CH3)2CHCOOHとLiClの混合物を炉内照射し,得られた試料をⅣ‑28のガスクロ マトク.ラフ装置で分離後,成分ガスの熱伝導セルによる測定(細い線)のほか,ト リチウムの放射能を測定(ギザギザの太い線)したものである。トリチウムラベル されたエチレン,プロパン,アセチレンが生成している。このようにして有機物の ホットアトム化学的研究がなしうる。
Ⅳ−30Aはガスクロ後Conductivityの測定により得られた結果であり,それぞ れa,b,c,dの量を示している。同一試料がトリチウムラベルされておれば,
Ⅳ‑28の放射能検出器でトリチウムを検出でき,Bのようなピークを得ることがで きる。A,Bの比較から,水素原子の置換速度なども測定可能になる。
Ⅳ−312'oBi(RaE)を用いれば,放射能検出により微量ビスマスの電解析出に 関する挙動を調べることができる。水銀へのBiの析出は,ほ、.一定の析出電位で,
すみやかに行なわれるが,金へのBiの析出は電圧依存性を示す(Ⅳ‑35参照)。
Ⅳ−36核実験にもとずく放射性降下物をそのま、γスペクトルにとると,本図 に示した雨水試料の例でもわかるように,主要な核種の同定は容易にできるが,特 定核種の定量は困難である。化学分離を行なえば,目的核種のみを精度よく定量で きる。このさいの化学分離操作は,完全にかつ収率よく行なう必要がある。こ、に い ろ ん な 分 離 法 す な わ ち 沈 殿 法 , 溶 媒 抽 出 法 , イ オ ン 交 換 法 を 組 み 合 わ せ て 放 射 性 降下物の分析を行なうさいの分離スキムをあげてお<('4。Baは娘の140Laの生長か ら定量することを右下に示すが,点線に付記の140Laは誤りで,140Baの減衰を示 し,その位置もや、下すぎる)。
なお、下に月の石についての放射化学分離の例を示す。各核種の測定器および測定 結果については第Ⅵ章Ⅵ‑21参照。
月 の 石 と 放 射 化 学
蕊{蕊i蔚鮨学と菫籔336:61WO)
そ の 他 全 上 8 1 9 〜 8 3 4 参 照
皇蝋鐘̲側Ⅱ(土識斗のみ)
ヨ ¥ 響トラップ鋼製容器
國旦嘉豊‑SO3白煙
(脳::鰯)‐
N2気流中歩
HF+HNO3 担 体
芳溌豊蠅悪1Pb)
留熱固
蒸加乾
留 出 物
H2SO4
溶 液 残 留 物 層 喧
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、加熱 HCIガス
炭 酸 塩幅 | | 上 澄上 澄 み エ ー テ ル 抽 出
鶚÷畿禧]F。
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9MHCI
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溶 解遡州 陰イオ
陰イオン交換
H2S
沈 殿 上 澄 み
(PbS) 高pH 乾 固
沈 殿 0.l%H202
1MHCI
上 澄 みみ (Ca2]
王 水 溶 解 陽イオン交換
0.1%H202,IMHCI
*カーブ
0.8*〜2.7本〜3.7本;4.5*〜5.5*;6*〜'0本
そ の 他 の 金属元素
S c R E E
容積 N a B e N i A I
(Ti)(Mg)Mg Cr (Ti)(Mn)(15%)
誘導肱射{ │披師の肱9.│化学分離 V
Cr (75%)
152
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=̲/言、」 Ⅳ − 3 6 種 々 の 分 離 法 を 組 合 せ た 放 射 性 降 下 物 の 分 析 シ
(猿橘.坪田一「牝坐の舘域 16.34(1962)1
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0 . . 5 1 . 0 1 . 5 M e V
液浸シンチレーションカウンター による天水のγスペクトル
Ⅳ−36短寿命核種は医学的診断などに利用されるが,原子炉がすぐ利用できな いので,必要に応じミルキングにより放射性核種を親核種(Cow)から分離できれば 便利である。この点に関し,既知のデーターをもとに,親核種(PLparents)一娘核 種(Ddaughter)の関係を検討し,実例を実用面も考慮してまとめた。それぞれの半 減期を後付核種一覧表から読みとられよ。Sは安定核種(Stable)。
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