す。
測定し続けなければ何も見えてこない
科学の立場から研究したことを、実践の場で応用するのは難しい。し かし、実践の中で測定をし続けていると、実践の場でなければ得られな いデータや知見が得られます。一方、実践の中で、勝つための工夫をし ていると、いままで研究されて常識となっていたものが通用しなくなる こともあります。そういう時はそのアイデアに対して後から基礎研究が 必要になってきます。 滑走法に関しても、基礎的な研究が必要です。昨今、イメージトレー ニングに関しては、脳科学などの基礎研究が進んでいますので、これら の分野の研究によるアプローチも期待しているところです。 常圧低酸素トレーニングにおいても、当初は滞在中一晩中つきっきり で観察が必要なくらい心配でしたが、現在はその必要はありません。こ の低酸素装置は現在日本に100台ぐらいが利用するようになっていま すので、さまざまなデータが集まれば、さらに新しいことが分かると思 います。 可能な限りの測定をしながら挑戦しなければなりません。 あるスポーツ科学誌に私のことが「それでも私は測り続ける」という タイトルで紹介されました。 最後に、測り続けた例をもう一つ紹介して終わりたいと思います。 私は練習中の心拍数をずっと測定していました。一般的に強いトレー ニングをすれば心拍数は上がり、楽なトレーニングをしている時の心拍 数は低いというのは常識です。しかし、本当に疲れてくると、強いトレ ーニングをしても心拍数が上がらなくなることがあるのです。 「どうしたんだ、今日は」と聞くと「がんばっているのですが、心拍数 が上がりません」と言うのです。そこで、選手がきつくて嫌がったあの オールアウト実験時の心拍数と持続時間との関係を調べ直してみると、 運動が長く持続できているときは心拍数が高く、短いときは心拍数も低 いレベルで頭打ちになっているのです。こういうことも実践の場で測定 し続けなければ気がつかなかった知見です。 「測定し続けている中に新たな発見がある」と同時に「測定し続けなけ れば何も見えてこない」。スポーツ科学の実践とはこういうことではな いかと思います。ご清聴有り難うございました。 【著書】 『スピード・スケーチングの科学的研究』真島英真ほか、日本ス ケート連盟 1967/06 『身体運動の科学Ⅱ』(スキー回転技術に関する筋電図学的研究) 杏林書院 1976/09 『身体運動学概論』浅見俊雄ほか編(第Ⅲ部・第9章打つ)大修 館書店 1976/10 『体育学実験・演習概説』(第3章資料整理 2.図表の書き方) 大修館書店 1979/05 『子どもの適正運動量』石河利寛編(漸増負荷に対する子供の呼 吸循環応答)杏林書院 1981/04 『日常生活に生かす運動処方』青木純一郎、前嶋孝、吉田敬義編 (3章運動の効果2. 生理学的効果)杏林書院 1982/11 『勝つためのイメージトレーニング法』ごま書房 1991/12 『高地トレーニング―ガイドラインとその医科学的背景―』(Ⅰ競 技種目別ガイドライン5スケート競技スピードスケート、Ⅱ ガイドラインのスポーツ医科学的背景5スケート競技スピー ドスケート) 日本体育協会 2002/03 『トレーニングによるからだの適応―スポーツ生理学トピックス ―』平野裕一、加賀谷淳子編(Ⅱ部スポーツにおける体力ト レ ー ニ ン グ 11章 低 酸 素 ト レ ー ニ ン グ) 杏 林 書 院 2002/11 『トレーニング生理学』芳賀脩光、大野秀樹編(31章 スポーツ 種目別トレーニング 10.スピードスケートのトレーニン グ) 杏林書院 2003/01 『高所トレーニングの科学』浅野勝己、小林寛道編(第Ⅲ部 模 擬環境下の高所トレーニング 10章 スピードスケート選 手のための低酸素トレーニング) 杏林書院 2004/10 『成 功 す る た め の イ メ ー ジ ト レ ー ニ ン グ』 ゴ マ ブ ッ ク ス 2005/09 『乳酸をどう活かすか』八田秀雄編(9章血中乳酸濃度をどう活 かすか~スピードスケート~) 杏林書院 2008/03 『高地トレーニングの実践ガイドライン』青木純一郎、川初清典、 村岡功編(5章 スケート競技・スピードスケートの高地ト レーニング、7章 低酸素施設の利用 [3] スピードスケート 選手のための低酸素施設を利用したトレーニング)市村出版 2011/03 【学術論文】 「スピード・スケーティングの生理学的研究―スピード・スケー ト選手のオフシーズンにおけるトレーニングに伴なう呼吸循 環機能の変化」日本体育協会スポーツ科学研究報告 1967 「スピード・スケーティングの生理学的研究―スピード・スケー ティングにおける滑走時の脚筋筋電図 日本体育協会スポー ツ科学研究報告」1967 「スピード・スケーティングの生理学的研究―スピード・スケー ティングにおける滑走時の足圧の変化― 日本体育協会スポ ーツ科学研究報告」1968 「スピード・スケーティングの生理学的研究―女子スピード・ス ケート選手の呼吸循環機能 日本体育協会スポーツ科学研究 報告」1968 「種々の距離走における酸素摂取量と酸素負債との割合について ― 長 距 離 選 手 の 場 合」 順 天 堂 大 学 保 健 体 育 紀 要11 1968/12 「陸上競技長距離選手の合宿練習効果に対する補助手段としての ビタミン E、C 複合剤の効果について」順天堂大学保健体育 紀要12 1969/12 「ダグラスバック法における呼吸採取のための三方コック操作の 無線化」順天堂大学保健体育紀要12 1969/12 「スピード・スケーティングの生理学的研究―無線搬送筋電図に よるスピード・スケート滑走技術の解析」日本体育協会スポ ーツ科学研究報告 1969 「スピード・スケーティングの生理学的研究―寒冷環境下におけ るビタミン C 及び E の有酸素的運動能力に及ぼす影響」日 本体育協会スポーツ科学研究報告 1969 「スピード・スケーティングの生理学的研究―スピード・スケー ト高校選手におけるインターバル滑走時の心拍数、酸素摂取 量及び酸素脈の変化」日本体育協会スポーツ科学研究報告 1969 「スピード・スケーティングの生理学的研究―筋電図と16ミリ映 画撮影によるスピードスケート500m 滑走技術の解析」日 本体育協会スポーツ科学委員会 1970 「スピード・スケーティングの生理学的研究―スピード・スケー ト競技選手のウォーミングアップに伴なう心拍数、直腸温及 び皮膚温の変化」日本体育協会スポーツ科学研究報告 1970 「スピード・スケーティングの生理学的研究―短距離および長距 離インターバル滑走の生理学的検討」日本体育協会スポーツ 科学研究報告 1970 「スピード・スケーティングの生理学的研究―スピード・スケー トにおける日本選手と外国選手の体力の比較」日本体育協会 スポーツ科学研究報告 1971 「スピード・スケーティングの生理学的研究―インターバル滑走 トレーニング処方に関する研究」日本体育協会スポーツ科学 研究報告 1971 「ビタミン E の耐寒性能に及ぼす影響」東京教育大学体育学部ス ポーツ研究所報9 1971/12 「最 大 酸 素 摂 取 量 の80% お よ び65% ト レ ー ニ ン グ の Performance、最大酸素摂取量、血中乳酸濃度および心拍 数に及ぼす効果」体育科学1 1973/05 「模擬動作によるスキルの分析」体育の科学24/7 1974/07 「トレーニング効果の再現性について」体育科学2 1974/10 「運動に対する心拍数・血圧・呼吸数の反応の年齢別特性に関す る研究」体力科学26 1977/12 「自転車競技―自転車競技選手の体力およびアイソキネティッ ク・トレーニングによるパワーアップに関する研究」昭和 54年度日本体育協会スポーツ医・科学研究報告 No. Ⅱ 競 技種目別競技力向上に関する研究―第3報― No.15 自転 車競技 1979 「ロード競技に関する研究、1.チームロードレースにおける生 化学的反応、2.一流自転車競技選手の体力」昭和55年度 日本体育協会スポーツ医・科学研究報告 No. Ⅱ 競技種目 別競技力向上に関する研究―第4報― No.22 自転車競技 1980 「日・米・英・新西蘭自転車競技選手の体力および自転車エルゴ メータによるパワートレーニングの効果」昭和56年度日本 体育協会スポーツ医・科学研究報告 No. Ⅱ 競技種目別競 技 力 向 上 に 関 す る 研 究 ― 第5報 ― No.25 自 転 車 競 技 1981 「スピード・スケート選手の氷上トレーニングへの移行に伴う身 体諸機能の変化」日本体育協会スポーツ科学研究報告4. 1981 「自転車競技選手の体力および脚パワートレーニング、団体追い 抜競技のペース配分、水分摂取について」昭和57年度日本 体育協会スポーツ医・科学研究報告 No. Ⅱ 競技種目別競 技 力 向 上 に 関 す る 研 究 ― 第6報 ― No.26 自 転 車 競 技 1982 「女子自転車競技選手の体力特性および長距離練習時の心拍数お よび直腸温」昭和58年日本体育協会スポーツ医・科学研究 報告―第7報― No.24 自転車競技 1983 「自転車競技選手の体力、長距離練習時の給食、フレーム仕様設 定について」昭和59年度日本体育協会スポーツ医・科学研 究報告 No. Ⅱ 競技種目別競技力向上に関する研究―第8報 ― No.17 自転車競技 1984 「自転車競技選手の体力(7)およびロードレースの直前食」昭 和60年度日本体育協会スポーツ科学研究報告 No. Ⅱ 競技 種目別競技力向上に関する研究―第9報― No.21 自転車 競技 1985 「フローテーションによるリラクゼーション効果」専修大学社会 体育研究所報31 1985/09 「自転車競技選手の体力(8)および4000m 追い抜競技に関す る研究(2)」昭和61年度日本体育協会スポーツ医・科学研 究報告 No. Ⅱ 競技種目別競技力向上に関する研究―第11 報― No.10 自転車競技 1986 「自転車競技選手の体力(9)および1,000m タイムトライア ル・4,000m 団体追い抜競技に関する研究」昭和62年度日 本体育協会スポーツ科学研究報告 No. Ⅱ 競技種目別競技 力 向 上 に 関 す る 研 究 ― 第11報 ― No.9 自 転 車 競 技 1987 「スピードスケート選手の体力特性とパフォーマンス」Japan Journal of Sports Sciences 6/11 1987/11 「スピードスケート選手におけるイメージ・トレーニング中の皮膚抵抗値、心拍数および脳波の変化について」専修大学体育 紀要12 1989/03