九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
テレビジョン信号のハードコピー化に関する研究
奥田, 治雄
https://doi.org/10.11501/3063830
出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
i ノ
テ レ ビ ジ ョ ン 信 号 の
ハ ー ド コ ピ ー 化 に 関 す る 研 究
奥 田 治 雄
目 ミ欠 ペ ー ジ
第 l章 序 論
1. 1 研 究 の 目 的 と 意 義 1. 2 研 究 の 背 景
1. 3 解 決 す べ き 課 題 1. 4 論 文 の 構 成
ー よ
t i n L
にυワt
第 2章 基 礎 的 事 項 1 1
2 . l ま え が き 1 1
2 . 2 ハ ー ド コ ピ ー の 画 質 評 価 1 1
2 . 2 . 1 画 質 評 価 の 因 子 1 1
2 . 2 . 2 階 調 再 現 性 1 2
2 . 2. 3 鮮 鋭 性 1 3
2 . 2 . 4 色 再 現 性 1 7
2 . 2 . 5 ノイズ, 妨 害 1 8
2 . 2 . 6 そ の 他 の 評 価 1 8
2 . 3 ハ ー ド コ ピ ー の 入 力 と し て の T V信 号 2 0
2 . 3 . 1 T V信 号 の 性 質 2 0
2 . 3 . 2 現 行 T Vと ハ イ ビ ジ ョ ン 2 0
2 3 . 3 T V信 号 の 階 調 特 性 2 2
2 . 3 . 4 T V信 号 の 色 再 現 範 囲 2 3
2 . 3 . 5 T V信 号 の ノ イ ズ , 妨 害 2 4
2 . 3 . 6 A D T V方 式 の ハ ー ド コ ピ ー へ の 適 合 性 2 5
2 . 4 プ リ ン タ の 現 状 2 6
2 . 4. 1 プ リ ン タ の 分 類 2 6
2 . 4. 2 光 点 走 査 方 式 プ リ ン タ 2 8
2 . 4. 3 熱 転 写 方 式 プ リ ン タ 3 0
2 . 4. 4 イ ン ク ジ ェ ッ ト 方 式 プ リ ン タ 3 1
2 . 5 あ と が き 3 2
‑1 ‑
第 3章 T Vお よ び 画 像 表 示 媒 体 の 画 質 比 較 と プ リ ン ト 方 式 の 検 討 3 3 4. 4. 2 記 録 走 査 線 間 隔 と 走 査 線 補 聞 の 回 数 6 0
3 . 1 まえカTき 3 3 4. 4. 3 画 像 出 力 に よ る 確 認 6 2
3 . 2 T V画 像 の 画 素 数 , 階 調 数 お よ び 情 報 容 量 3 3 4. 5 あとカTき 6 4
3 . 2 . l T V画 像 の 画 素 数 3 3
3 . 2 . 2 画 像 サ イ ズ 3 5 第 5章 濃 度 変 調 に お け る 階 調 再 現 の 検 討 6 5
3 . 2 . 3 実 効 的 階 調 数 の 算 出 方 法 3 5 5 . 1 ま え が き 6 5
3 . 2 . 4 量 子 化 ノ イ ズ の 濃 度 依 存 性 の 計 算 3 6 5 . 2 階 調 特 性 の 効 率 的 制 御 方 法 の 検 討 6 5
3 . 2 . 5 ラ ン ダ ム ノ イ ズ の 濃 度 依 存 性 の 測 定 3 8 5 . 2. l 階 調 再 現 の 考 え 方 6 5
3 . 3 . 6 階 調 数 と 情 報 容 量 の 算 出 4 0 5 . 2 . 2 調 子 再 現 図 に よ る 階 調 再 現 6 8
3 . 3 画 像 表 示 媒 体 の 画 素 数 , 階 調 数 お よ び 記 録 密 度 4 1 5 . 3 C R T階 調 特 性 の 直 線 化 の 検 討 6 9
3 . 3 . 1 2値 化 処 理 の 分 類 4 1 5 . 3 . 1 ア ナ ロ グ 方 式 と デ ィ ジ タ ル 方 式 6 9 3 . 3 . 2 2値 化 処 理 画 像 の 画 質 比 較 4 3 5 . 3 . 2 パ ル ス 変 調 に よ る 駆 動 方 式 の 比 較 7 0
3 . 3 . 3 画 素 数 の 比 較 4 4 5 . 3 . 3 パ ル ス 数 変 調 の 駆 動 条 件 7 1
3 . 3 . 4 画 像 表 示 媒 体 の ノ イ ズ の 濃 度 依 存 性 4 6 5 . 3 . 4 多 値 パ ル ス 数 変 調 に よ る 画 像 特 性 7 4
3 . 3 . 5 表 現 可 能 な 階 調 数 と 記 録 密 度 の 計 算 4 7 5 . 4 あ と が き 7 7
3 . 4 プ リ ン ト 方 式 の 選 択 4 8
3 . 5 あ と が き 4 9 第 6章 濃 度 変 調 に お け る 色 再 現 の 検 討 7 8
6 . 1 ま え が き 7 8
第 4章 濃 度 変 調 に お け る 画 素 形 成 の 検 討 5 0 6 . 2 色 再 現 性 評 価 に 関 す る 基 礎 的 事 項 7 8
4. 1 ま え が き 5 0 6 . 2 . l 均 等 色 空 間 に よ る 色 差 の 評 価 7 8
4 . 2 標 本 化 信 号 の 再 現 過 程 5 0 6 . 2 . 2 色 再 現 の た め の 従 来 の 方 法 7 9
4. 2 . 1 理 想 補 間 フ ィ ル タ 特 性 と 再 現 誤 差 の 要 因 5 0 6 . 3 無 彩 色 の 再 現 8 3
4 . 2 . 2 画 素 補 間 に よ る 再 現 誤 差 の 減 少 5 2 6 . 3 . 1 " 見 積 り 濃 度 " の 提 案 8 3
4. 2 . 3 画 像 再 現 に 関 す る 誤 差 の 評 価 式 5 3 6 . 3 . 2 実 測 濃 度 と 見 積 り 濃 度 の 関 係 と 分 光 濃 度 特 性 8 3
4. 3 プ リ ン タ の モ デ ル 化 5 4 6 . 3 . 3 無 彩 色 発 色 す る 各 色 材 の 濃 度 8 6
4. 3 . 1 実 験 機 の 構 成 5 4 6 . 3 . 4 グ レ イ バ ラ ン ス 法 の 効 率 的 実 現 8 8
4. 3 . 2 階 調 特 性 と 広 が り 関 数 5 5 6 . 4 有 彩 色 の 再 現 9 0
4. 3 . 3 広 が り 関 数 に 関 す る 線 形 性 5 7 6 . 4 . 1 無 彩 色 再 現 の 条 件 下 で の 色 再 現 9 0
4 . 4 走 査 線 補 間 数 の 決 定 5 8 6 . 4. 2 記 憶 色 を 重 視 し た マ ス キ ン グ 法 9 1
4. 4. 1 走 査 線 妨 害 の 定 量 化 5 8 6 . 4. 3 ダ イ ナ ミ ッ ク マ ス キ ン グ 法 に よ る 補 正 9 5
‑2 ‑
6 . 4. 4 色 補 正 結 果 9 7 8 . 2 . 7 ト リ ニ ス コ ー プ 変 形 型 プ リ ン タ の 特 長 と の 問 題 点 1 4 0
6 . 5 あ と が き 9 8 8 . 3 小 型 高 性 能 C R Tプ リ ン タ 1 4 1
8. 3 . 1 基 本 仕 様 1 4 1
第 7章 画質調整, 強 調 の た め の 信 号 処 理 の 検 討 1 0 1 8. 3 . 2 記 録 原 理 と 構 成 1 4 1
7 . l ま え が き 1 0 1 8 . 3 . 3 特 性 1 4 5
7 . 2 動 き 適 応 型N T S Cデ コ ー ド 1 0 1 8 . 3 . 4 小 型 高 性 能 C R Tプ リ ン タ の 特 長 1 4 7
7 . 3 ノ イ ズ 軽 減 1 0 4 8 . 4 熱 転 写 方 式 ハ イ ビ ジ ョ ン プ リ ン タ 1 4 7
7 . 3 . 1 従 来 か ら の 方 法 1 0 4 8 . 4. 1 開 発 の 目 的 1 4 7
7 3 . 2 動 き 位 置 補 正 に よ る ノ イ ズ 軽 減 1 0 4 8 . 4. 2 記 録 原 理 と 構 成 1 4 8
7. 3 . 3 実 験 結 果 1 0 5 8 . 4. 3 ヘ ッ ド 密 度 と 画 像 サ イ ズ の 検 討 1 4 9
7 . 4 二 重 像 妨 害 の 除 去 1 1 0 8 . 4. 4 ハ イ ビ ジ ョ ン ハ ー ド コ ピ ー シ ス テ ム 1 5 2
7. 4. 1 二 重 像 の 発 生 機 構 と こ れ ま で の 対 策 1 1 0 8 . 4. 5 画 像 特 性 1 5 3
7 . 4. 2 劣 化 の 少 な い 二 重 像 除 去 方 法 1 1 1 8 . 4. 6 熱 転 写 方 式 ハ イ ビ ジ ョ ン プ リ ン タ の 特 長 と 問 題 点 1 5 6
7 . 4. 3 実 験 結 果 1 1 2 8. 5 あ と が き 1 5 8
7 . 5 画 素 密 度 変 換 1 1 5
7 . 6 そ の 他 の 処 理 1 1 8 第 9章 結 論 1 5 9
7 6 . l 階 調 変 換 1 1 8
7 . 6 . 2 輪 郭 強 調 1 2 0 謝 辞 1 6 3
7 . 6 . 3 色の修整, 変 換 1 2 2
7 . 7 あ と が き 1 2 4 参 考 文 献 1 6 4
第 8章 プ リ ン タ の 具 体 設 計 1 2 5 付 録 l C R Tの 空 間 周 波 数 特 性 の 測 定 方 法 1 7 2
8 . l ま え が き 1 2 5 付 録 2 ハ ー ド コ ピ ー の 印 刷 , 出 版 で の 利 用 状 況 1 7 3
8 . 2 ト リ ニ ス コ ー プ 変 形 型 C R Tプ リ ン タ 1 2 5
8 . 2 . 1 開 発 の 目 的 と 基 本 仕 様 1 2 5
8 . 2 . 2 記 録 原 理 と プ リ ン タ の 構 成 1 2 6
8 . 2. 3 記 録 時 間 の 検 討 1 3 1
8. 2 . 4 発 光 ム ラ の 補 正 1 3 4
8 . 2 . 5 階 調 再 現 と 走 査 線 補 間 1 3 6
8 . 2 . 6 特 性 1 3 8
‑4 ‑ 一 5‑
M
1 茸主 ~ 冒命1. 1 研 究 の 目 的 と 意 義
近 年 , 衛 星 放 送 を は じ め と す る ニ ュ ー メ デ ィ ア の 実 用 化 な ど テ レ ビ ジ ョ ン (以下 T Vと 略 す ) 視 聴 環 境 の 多 様 化 に と も な っ て , T V番 組 が 貴 重 な 画 像 情 報 源 で あ る と い う 認 識 が 高 ま り つ つ あ る . 現 行 T Vの 5倍 以 上 の 情 報 量 を 持 つ ハ イ ビ ジ ョ ン の 試 験 放 送 も 開 始 さ れ た . こ う し た 状 況 の 中 で , 電 子 ス チ ー ル カ メ ラ , マ ル チ メ デ ィ ア 対 応 パ ソ コ ン , 電 子 カ タ ロ グ ,
C T
や 内 視 鏡 映 像 な ど の 電 子 化 さ れ た 医 用 画 像 , ハ イ ビ ジ ョ ン ギ ャ ラ リ ー な ど , T V画 像 を 静 止 画 と し て も よ り 積 極 的 に 利 用 し た い と い う 要 求 が 強 ま っ て い る . T V静 止 画 像 は 放 送 の 送 り 手 に と っ て も 出 版 , 広 報 , 保 存 用 資 料 な ど 放 送 番 組 の 新し い 用 途 を 開 き , 番 組 制 作 手 法 を 拡 大 す る も の と し て 期 待 さ れ て い る . 本 研 究 は こ の よ う な T V信 号 の ハ ー ド コ ピ ー 化 に 関 す る も の で あ る . ハ ー ド コ ピ ー と は 電 子 化 さ れ た 画 像 信 号 を 紙 な ど の 上 に 画 像 と し て 固 定 化 し て 再 現 し た も の で あ る . 特 に T V信 号 を 入 力 す る ハ ー ド コ ピ ー を ビ デ オ ハ ー ド コ ピ ー と 呼 ん で お り , ブ ラ ウ ン 管 等 の デ ィ ス プ レ イ 端 末 上 の 画 像 と 異 な り , い つ で も ど こ で も エ ネ ル ギ ー を 必 要 と せ ず に 見 る こ と が で き , 保 存 や 他 の 画 像 と 比 較 が 容 易 に で き る と い う 特 長 を 持 っ て い る . こ の た め 上 記 の よ う な 社 会 的 要 求 , 放 送 局 側 の 期 待 に 応 え る 可 能 性 を 持 つ も の と し て , 電 気 , 情 報 , 通 信 , 印 刷 , 写 真 , 色 彩 な ど 画 像 に 関 わ る 多 く の 分 野 で 注 目 を 集 め て い る .
従 来 , ハ ー ド コ ピ ー に 関 す る 研 究 は , 印 刷 や 写 真 な ど 静 止 し た 画 像 の 作 成 を 目 的 と す る 分 野 が 中 心 と な っ て 行 っ て き た . T V信 号 は 画 像 信 号 と し て は 特 殊 な 性 質 を 持 っ て い る に も 関 わ ら ず , 入 力 信 号 と 画 像 形 成 の 間 の 整 合 性 は 十 分 と は 言 い 難 か っ た . 解 像 度 , 階 調 , 色 再 現 な ど T V信 号 の 特 性 を 考 慮 し た 信 号 処 理 , プ リ ン タ の 開 発 に つ い て は ほ と ん ど 手 が つ け ら れ て い な か っ た . こ の よ う 現 状 で ビ デ オ ハ ー ド コ ピ ー が 新 し い ニ ー ズ に 応 え る の は 困 難 で あ り , 画 質 向 上 を 図 る こ と が 緊 急 か つ 重 要 な 課 題 で あ る .
本 研 究 は , ビ デ オ ハ ー ド コ ピ ー 作 成 に つ い て , 入 力 と す る T V信 号 の 特 性 を ハ ー ド コ ピ ー 作 成 の 観 点 か ら 評 価 す る こ と で 目 標 と す る 画 像 特 性 を 明 確 に し , 画 質 向 上 の た め の 新 し い 信 号 処 理 の 手 法 を 導 き だ し , そ れ ら の 結 果 に 基
‑1 ‑
計 算 割 出 力 フ ァ ク シ ミ リ
プ ロ ワ
パ ソ コ ン 画 像 コ ン ビ ュ ー タ グ ラ フ ィ ク ス
画 像
﹁ニ
一ピ
一 一ォ コ一 周一
;
一戸上聞レ‑ ・ 回 ︐
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一ピ 円一 印プ 医 用 2値 白 黒 画 像l
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12値 カ ラ ー 画 像、 │(マルチカラー )
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│
多 値 白 録 画 像w
│キネレコト̲T̲Y̲ナ閉ー
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多 値 カ ラ ー 画 像|伝送写真ト明~~_I!~~_~̲ ぅ 、
( I
フ ル カ ラ ー )T V画 像 の 応 用 範 囲 づ い て 高 性 能 な プ リ ン タ を 開 発 す る こ と を 目 的 と す る .
を 拡 大 し た い と い う 要 求 に ハ ー ド コ ピ ー が 応 え る こ と が で き る ご と を 具 体 的 に 示 し た と こ ろ に 本 研 究 の 大 き な 意 義 が あ る と 考 え ら れ る .
研 究 の 背 景 1 . 2
感 動 的 な 情 景 を い つ ま で も 残 し た い と い う 人 類 の 欲 求 は 絵 画 や 彫 刻 と な っ さ ら に 映 画 や T Vが 開 発 さ 1 9世 紀 の 写 真 の 発 明 に つ な が っ た .
て発展し,
放 送 局 か ら 毎 秒 約 3 0 な か で も T Vは,
動 画 像 の 表 示 が 可 能 と な っ た . れ,
今 日 で は 世 界 中 の 殆 ど の 地 域 で 受 信 が フ
枚 の 映 像 が 休 む こ と な く 送 り 出 さ れ ,
ハ ー ド コ ピ ー の 変 遷 図 1. l
番 組 の 1枚 1枚 が 意 識 さ れ る こ と は ほ と し か し な が ら ,
可 能 と な っ て い る .
ビ デ オ ハ ー ド コ ピ ー は こ の よ う な T V 見 ら れ 方 は 一 過 的 で あ る .
んどなく,
5 0年 代 に 開 発 さ れ た キ ネ レ コ ー デ イ ン ゲ l 9
ハ ー ド コ ピ ー の 起 源 は , 画 像 を 固 定 化 し た い と い う ニ ー ズ に よ っ て 出 現 し た .
キ ネ レ コ は T V映 像 を 映 画 に 変 換 す る も に 遡 る 乙 と が で き る .
( キ ネ レ コ ) 出 力 し
コ ン ビ ュ ー タ に 係 わ る 技 術 用 語 で あ り , は本来,
ハ ー ド コ ピ ー "
一 枚 一 枚 の フ ィ ル ム 上 に 固 定 化 さ れ た 画 像 は 透 過 型 で は あ る が 直 接 見 ( ス ラ イ ド 写 真 ので,
た い デ ー タ を 端 末 装 置 に よ っ て 記 録 媒 体 上 に 主 と し て 反 射 型
キ ネ レ コ 広 い 意 味 で の ハ ー ド コ ピ ー と 見 な す こ と が で き る .
る こ と カTでき,
固 定 化 し た 画 像 を 意 味 す る . の 可 視 像 と し て 再 現 ,
の よ う な 透 過 型 で な い )
毎 秒 3 0枚 で 画 像 装 置 は 業 務 用 に 開 発 さ れ 画 質 管 理 に も 注 意 が 払 わ れ た が ,
ソ フ ト コ ピ ー " と 対 こ の 言 葉 は デ ィ ス プ レ イ 装 置 上 に 表 示 さ れ た 一 過 性 の "
形 成 を 行 う た め 高 速 な 信 号 処 理 を 必 要 と し 高 画 質 化 に は 限 界 が あ っ た . また,
を な す も の で あ る .
画 像 サ イ ズ は 映 画 フ ィ ル ム の フ ォ ー マ ッ ト で 制 限 さ れ た . ハ ー ド コ ピ ー は 計 算 機 か ら 出 力 さ れ る 文 字 や 線 画 を 意 味 し て い た が ,
当初,
面 の 写 真 受 像 管 (
C R T )
ハ ー ド コ ピ ー を 得 る 最 も 簡 易 な 方 法 と し て は , ワ ー プ ロ 画 像 の よ う な 2値 像 を 記 録 し た 画 像 一 般 を
フ ァ ク シ ミ リ , その後,
古 く か ら 新 聞 ・ 雑 誌 な ど の 報 道 写 真 用 と し て 利 用 さ れ て き た . 撮 影 が あ り ,
2値 の カ ラ ー 画 像 (マルチ 中 間 調 を 持 つ 多 値 の 白 黒 画 像 ,
含 む よ う に な り ,
処 理 が こ の 方 法 は 現 像 処 理 を 要 す る た め プ リ ン ト の 即 時 性 は 制 限 さ れ た が ,
へ と 進 歩 し て き た . 近 年 さ ら に 多 値 の カ ラ ー 画 像 ( フ ル カ ラ ー )
カ ラ ー ) ,
こ の 制 限 は な く な っ た . 簡 易 な イ ン ス タ ン ト カ ラ ー フ ィ ル ム の 出 現 に よ り ,
電 子 複 写 機 に よ る コ ピ ー 画 像 の よ う に 画 像 情 報 の 取 り 込 写 真 や 印 刷 物 ,
は,
C R T管 面 撮 影 が 本 格 的 に 使 用 さ れ た 最 初 の 例 は 19 7 2年 の ミ ュ ン ヘ ン オ み か ら 出 力 ま で の 聞 に 電 気 信 号 を 介 さ な い も の ま で 拡 大 し て 解 釈 さ れ る こ と
最 近 で は ハ ー ド コ ピ ー 化 せ ず に 直 接 網 点 入 り の 印 刷 用 写 リ ン ピ ッ ク で あ る .
lに ハ ー ド コ ピ ー の 進 歩 し て き た 変 遷 を 示 す . 図 1.
も あ る .
緊 急 時 に は 現 在 で 真 原 稿 と し て し ま う 直 接 製 版 方 式 も 開 発 が 進 ん で い る が ,
黒 の 2値 以 外 に 写 真 の よ う に 中 間 調 を 表 現 で き る も 白,
図 に 示 す よ う に ,
オ リ ン ピ ッ ク 以 外 で も 大 き な ス ポ も C R T管 面 撮 影 に よ る 写 真 が 使 わ れ る .
ビ デ オ ハ ー ド コ ピ ー も ピ ク の は ピ ク ト リ ア ル ハ ー ド コ ピ ー と も 呼 ん で い る .
9 8 5年 8月 の 日 航 機 墜 落 ー ツ イ ベ ン ト や 重 大 事 件 時 に 用 い ら れ て お り , 1
文 字 や 線 画 を 対 象 と し た こ れ に 対 し て ,
ト リ ア ル ハ ー ド コ ピ ー に 含 ま れ る .
2に 図 1.
1年 1月 の 湾 岸 戦 争 の 様 子 な ど 例 は 限 り な い .
9 9 事 故 や l 混 同 の お
本 論 文 で は , ハ ー ド コ ピ ー は ド キ ュ メ ン タ ル ハ ー ド コ ピ ー と 呼 ぶ .
1 9 8 4年 ロ サ ン ゼ ル ス オ リ ン ピ ッ ク 時 に 新 聞 で 使 わ れ た 例 を 示 す . ビ デ オ ハ ー ド コ ピ ー の こ と を 単 に ハ ー ド コ ピ ー と 呼 ぶ ご
そ れ が な い か ぎ り ,
JnU
円 ︒
と と す る .
図 1. 2 放 送 番 組 撮 影 に よ る 報 道 写 真 の 例
家 庭 に ハ ー ド コ ピ ー 装 置 が 導 入 さ れ た 例 と し て は , 1 9 7 1年 に 松 下 電 器 よ り 発 売 さ れ た ス ナ ッ プ シ ョ ッ ト カ メ ラ が あ る . こ れ は T V受 像 機 に 内 蔵 し た プ リ ン タ に より, ド ラ イ シ ル パ 紙 ( 後 述 ) に 白 黒 の ハ ー ド コ ピ ー を 作 成 す るもので, 講 座 番 組 , 料 理 番 組 あ る い は 学 校 放 送 な ど で 内 容 の メ モ を と る よ う な 用 途 が想 定 さ れ て い た . そ の 後 も プ リ ン ト 方 式 は 変 わ っ た が , 同 様 な 目 的 で 装 置 が開 発 さ れ た . し か し , 画 質 や ラ ン ニ ン グ コ ス ト あ る い は 使 用 目 的 が 限 ら れ る 等 の 理 由 か ら い ず れ も 大 き く 普 及 す る に は 至 ら な か っ た .
一方, 1 9 7 0年 代 中 ご ろ か ら , コ ン ビ ュ ー タ に よ る 画 像 処 理 や 画 像 生 成 ( C G) が盛 ん にな る と 共 に , そ の 出 力 端 末 と し て の プ リ ン タ が ア メ リ カ を 中 心 と し て 切 望 さ れ る よ う に な っ て き た . こ の 要 望 に 応 え る た め , 従 来 か ら の ド キ ュ メ ン ト 記 録 用 プ リ ン タ の 多 値 化 ・ カ ラ ー 化 が は か ら れ た が , さ ら に CR T管 面撮 影 方 式 を 発 展 さ せ た C R Tプ リ ン タ が 開 発 さ れ る に 至 っ た . こ の C R Tプリ ン タ は 出 力 媒 体 で あ る イ ン ス タ ン ト カ ラ ー フ ィ ル ム の 特 性 向 上 もあ り , 初 め て の フ ル カ ラ ー プ リ ン タ と し て ご の 分 野 で 一 定 の マ ー ケ ッ ト を 確保 す る よ う に な っ た .
以 上 の 背景により, 1 9 8 0年 代 前 半 に は ハ ー ド コ ピ ー の 作 成 は 可 能 に な っ て い た . し か し , 画 質 , 取 り 扱 い 性 , 装 置 の 大 き さ , 経 済 性 等 の 問 題 も あ り, 一般 的 に認 知 さ れ 普 及 す る に は 至 ら ず , よ り 高 性 能 な シ ス テ ム の 開 発 が 望 ま れ て い た.
残念 水 泳 女 子200"(,.平泳き決勝。4位 で ゴ ー ル し た 長 崎 宏 子 一
=ジャパンプールのN H Kテ レ ビ か ら
(1984年 ロ サ ン ゼ ル ス オ リ ン ピ ッ ク 時 の 朝 日 新 聞 よ り )
図 1. 2か ら 明 ら か な よ う に , 管 面 撮 影 方 式 で は 画 像 の 内 容 や 速 報 性 が 重 視 さ れ る た め , 画 質 は あ ま り 問 題 に さ れ な い . 画 質 は 受 像 機 の 調 整 項 目 で あ
a且宮
1. 3 解 決 す べ き 課 題
研究 の 範囲 を 明 確 に す る た め に , 被 写 体 が テ レ ビ カ メ ラ で 撮 像 さ れ て プ リ ン タ で ハ ー ドコ ピ ー と し て 出 力 さ れ る ま で の 処 理 の 流 れ を 図 1. 3に 示 す . TV信 号 の ハ ー ド コ ピ ー 化 に 関 す る 研 究 に は プ リ ン タ 本 体 の 開 発 だ け で な く 伝送 ま た は V T Rに記 録 さ れ た 信 号 を 受 け 取 っ た 後 の す パ て の 信 号 処 理 が 含
まれる.
通 常 我 々 が利 用 で き る T V信 号 は 輝 度 信 号 に 色 信 号 が 多 重 さ れ た コ ン ポ ジ ッ ト 信 号 で, 現 行 T VはN T S C信 号 , ハ イ ビ ジ ョ ン で は M U S E信 号 で あ る. プ リ ン タ 本 体 に 入 力 で き る の は R G B信 号 の よ う な コ ン ポ ー ネ ン ト 信 号 である の で, 受 像 側 で は 最 初 に コ ン ポ ジ ッ ト 信 号 を コ ン ポ ー ネ ン ト 信 号 に デ る " 明 る さ " , " コ ン ト ラ ス ト " , " シ ャ ー プ ネ ス " , " 色 あ し い ' , " 色 の
濃 さ " な ど を そ の ま ま 利 用 し て 調 整 し て い る に 過 ぎ な い . こ の た め ハ ー ド コ ピ ー と し て 利 用 す る に は 以 下 の よ う に 問 題 が 多 い .
1 ) 解 像 度 や コ ン ト ラ ス ト が 十 分 で な い . 2 ) 走 査 線 や シ ャ ド ウ マ ス ク が そ の ま ま 出 る .
3 ) 管 面 が 球 状 で あ る た め 焦 点 の 合 う 位 置 が 限 ら れ る .
4 ) カ メ ラ の シ ャ ッ タ ー に よ る 露 出 期 間 と T V信 号 が 同 期 し な い と , 帯 状 の 暗 い 部 分 ( シ ャ ッ タ ー パ ー ) が 現 れ る .
5 ) カ ラ ー の 場 合 に は 色 調 が 変 わ る .
f K J
形 状 や 密 度 に 対 す る 条 件 が 明 ら か に さ れ て い な い .
3 ) 望 ま し い 階 調 特 性 と , そ れ を 実 現 す る た め の 方 策 が 明 ら か で な い . 4) T V信 号 を 入 力 信 号 と し て 写 真 フ ィ ル ム に 画 像 を 形 成 す る 場 合 の 色 再
現 手 法 に つ い て 検 討 さ れ て い な い .
5 ) 画 質 調 整 , 強 調 の た め の ハ ー ド コ ピ ー に 適 し た 信 号 処 理 法 と そ の 効 果 に つ い て 明 確 に な っ て い な い .
穴 〉
送 像 側 信 号 処 理 受 像 側 信 号 処 理 記録.伝送
プ リ ン タ 本 体
被 写 体 号 一信一
r
‑ r ‑ n r J‑ b
ネ
‑W
日
本‑
3
川J‑f
︑
3‑ nk
ハードコピー
図 1. 3 ハ ー ド コ ピ ー 作 成 に お け る 処 理 の 流 れ 従 来 , 特 殊 な 性 質 を 持 つ T V信 号 と ハ ー ド コ ピ ー と の 整 合 性 に つ い て 深 く 検 討 さ れ る こ と は な く , プ リ ン タ の 設 計 に 入 力 信 号 の 特 性 が 考 慮 さ れ る こ と は ほ と ん ど な か っ た . ハ ー ド コ ピ ー の 高 画 質 化 の 要 求 に 応 え て い く に は , 要 素 技 術 に つ い て さ ら に 研 究 を 進 展 さ せ る だ け で な く , そ れ ぞ れ を 横 断 的 に 取
り 扱 う こ と が 不 可 欠 と 考 え ら れ る . コ ー ド ( 復 調 ) し な け れ ば な ら な い . R G B 信 号 に 対 し て は T V信 号 自 体 あ
る い は 伝 送 , 記 録 お よ び プ リ ン タ 本 体 で の 画 質 劣 化 を 補 う た め の 補 償 , 補 正 , さ ら に 見 た 目 の 印 象 を 改 善 さ せ る た め の 画 質 調 整 , 強 調 が 必 要 に な る . プ リ ン タ 本 体 で は プ リ ン ト 方 式 に 依 存 し た 信 号 処 理 を 行 い , ス タ イ ラ ス で 画 素 形 成 に 必 要 な エ ネ ル ギ ー に 変 換 し , ハ ー ド コ ピ ー と し て 再 現 す る .
以 上 の 流 れ に 沿 っ て ハ ー ド コ ピ ー を 作 成 す る に は テ レ ビ ジ ョ ン 画 像 工 学 , 電 子 ・ 情 報 工 学 , 写 真 ・ 印 刷 工 学 , 色 彩 学 , 機 械 工 学 な ど 多 く の 分 野 が 関 わ
り , 研 究 項 目 は 多 岐 に わ た る . 主 な 項 目 を あ げ る と 以 下 の よ う に な る . 1) T V 信 号 の 特 性 の 評 価
2
) 画 質 の 調 整 , 強 調 の た め の 信 号 処 理 3 ) 階 調 再 現 や 色 再 現 の た め の 信 号 処 理 4 ) 画 素 形 成 法5 ) プ リ ン タ 製 作 の た め の 光 学 お よ び 機 構 技 術 6 ) プ リ ン タ の コ ン ビ ュ ー タ 制 御 技 術
7 ) ハ ー ド コ ピ ー 画 質 の 測 定 , 評 価 手 法
1) T V 信 号 の 特 性 が ハ ー ド コ ピ ー 作 成 の 観 点 か ら 調 べ ら れ て い な い た め , プ リ ン タ に 求 め ら れ る 特 性 が 明 確 で な い .
2) T V信 号 の 情 報 を 損 失 な く 表 示 す る た め の 画 素 形 成 に つ い て , 画 素 の
‑ 6 ‑
1. 4 論 文 の 構 成
以 下 に , 本 論 文 の 構 成 を 示 す .
第 2章 で は , ハ ー ド コ ピ ー 作 成 に お け る 画 質 評 価 手 法 に つ い て ま と め , 第 3章 以 下 で の 議 論 で 使 用 す る 用 語 を 統 一 し , 単 位 や 定 義 の 明 確 化 を は か る . ま た . ハ ー ド コ ピ ー の 入 力 信 号 で あ る T V信 号 の 規 格 に つ い て 整 理 し , 鮮 鋭 性 に 関 わ る 信 号 帯 域 幅 や 走 査 線数 が 通 常 の 画 像 信 号 に 比 し て 十 分 で な く , ノ イ ズ , 走 査 線 構 造 な ど の 各 種 妨 害 が 動 画 を 見 る 場 合 以 上 に 問 題 と な る こ と を 指 摘 す る. こ の 解 決 の た め に , ハ イ ビ ジ ョ ン や 新 し く 提 案 す る A D T V方 式 の 採 用 が き わ め て 有 効 で あ る こ と を 示 す . さ ら に , プ リ ン タ の 現 状 に つ い て 調 査 す る .
第 3章では, T V信 号 と 画 像 表 示 媒 体 の 画 質 に つ い て 横 断 的 に 比 較 し , 研 究 の 対 象 と す る プ リ ン ト 方 式 に つ い て 選 択 す る . ま ず , ハ ー ド コ ピ ー の 画 像 サ イ ズ に つ い て 考 察 し , T V 信 号 の 画 素 数 , 視 覚 特 性 お よ び 用 途 を 考 慮 し て テ ロ ッ プ な い し キ ャ ビ ネ サ イ ズ が 適 当 で あ る と 導 き 出 す. また, T V信 号 の 実 効 的 な 階 調 数 の 算 出 方 法 を 提 案 し , ノ イ ズ の 濃 度 依 存 性 の 測 定 結 果 を も と に 階 調 数 と 情 報 容 量 を 与 え る . つ ぎ に 画 像 表 示 媒 体 の 表 示 能 力 に つ い て 考 察 する. ま ず 2値 化 処 理 画 像 に つ い て ハ ー ド コ ピ ー を 作 成 し , 画 質 上 の 問 題 点
‑ 7 ‑
こ の な か で 特 に , 次 の こ と が 問 題 点 と し て 残 っ て お り 解 決 し て 行 か ね ば な ら ない.
に つ い て 指 摘 す る . つ ぎ に ,
2
値 化 画 像 , 印 刷 , イ ン ス タ ン ト フ ィ ル ム お よ び 染 料 拡 散 熱 転 写 媒 体 に つ い て 画 素 数 を 計 算 し , ノ イ ズ の 濃 度 依 存 性 に つ い て 測 定 し , 表 現 可 能 な 階 調 数 と 記 録 密 度 を 算 出 す る . T V信 号 と 画 像 表 示 媒 体 に 関 す る 以 上 の 検 討 結 果 に 基 づ き , ハ ー ド コ ピ ー 作 成 に 使 用 可 能 な プ リ ント 方 式 は 現 状 で は 猿 度 変 調 型 に 限 ら れ る こ と を 明 ら か に す る .
第
4
章 で は , 濃 度 変 調 型 プ リ ン タ に お け る 画 素 形 成 の 手 法 に つ い てCRT
プ リ ン タ を モ デ ル と し て 検 討 す る . ま ず , ハ ー ド コ ピ ー 作 成 が 標 本 化 画 像 信 号 の 再 現 で あ る と い う 観 点 か ら , プ リ ン タ に 求 め ら れ る 補 間 フ ィ ル タ 特 性 に つ い て 明 確 に し , 鮮 鋭 性 が 低 下 せ ず , 走 査 線 構 造 の よ う な 妨 害 の 少 な い 記 録 を 行 う た め に は 走 査 線 補 聞 が 有 効 で あ る こ と を 理 論 的 に 導 き 出 す . つ ぎ に , プ リ ン タ で の 画 素 形 成 に お け る 各 段 階 の 階 調 特 性 ( 階 調 に 関 す る 入 出 力 特 性 ) お よ び 空 間 周 波 数 特 性 に つ い て 測 定 し , 画 像 再 現 過 程 の 主 要 部 分 が 線 形 性 の 成 立 す る 系 と 見 な せ る こ と を 確 か め る . ま た , 線 形 性 の 成 立 す る 部 分 に お け る 記 録 ド ッ ト の 広 が り 関 数 が , ガ ウ ス 分 布 あ る い は s e c h ( ハ イ パ ボ リ ッ ク セ カ ン ト ) 関 数 で よ く 近 似 で き る ご と を 明 ら か に す る . さ ら に , 妨 害 の 少 な く な る 走 査 線 補 間 条 件 を 見 い だ す た め に 走 査 線 妨 害 を 雑 音 と 見 て 実 効 値 で 定 量 化 す る 評 価 手 法 に つ い て 提 案 し , 他 の 雑 音 と の 比 較 に よ り 記 録 す る 走 査 線 間 隔 と 補 間 回 数 が 決 定 で き る ご と を 導 き 出 す .
第 5章 で は 濃 度 変 調 型 プ リ ン タ に お け る 階 調 再 現 の 手 法 に つ い て
CRT
プリ ン タ を 例 と し て 検 討 す る . ま ず , 階 調 特 性 を 効 率 的 に 制 御 す る た め の 方 法 に つ い て 考 察 す る . ハ ー ド コ ピ ー 作 成 の 各 段 階 の 階 調 特 性 は 多 く の 場 合 入 出 力 が 比 例 せ ず , 一 般 的 数 式 で の 表 現 は 困 難 で あ る . こ の た め , 所 望 の 階 調 特 性 を 得 る た め の 補 正 特 性 を 解 析 的 に 得 る こ と が で き な い . そ こ で 新 た に 各 段 階 の 階 調 特 性 を 結 合 さ せ た 調 子 再 現 図 の 使 用 に つ い て 提 案 し , 補 正 特 性 を 図 的 に 得 る 手 法 に つ い て 導 き 出 す . つ ぎ に , 階 調 再 現 に お け る 非 線 形 要 素 を 減 ら す こ と を 目 的 に ,
C R T
の 階 調 特 性 の 直 線 化 に つ い て 検 討 す る . こ の た め に はCRT
の ガ ン マ 特 性 ( 駆 動 電 圧 に 対 し て 発 光 出 力 が 比 例 し な い ) を 考 慮 す る 必 要 の 無 い デ ィ ジ タ ル 駆 動 方 式 が 有 利 と 判 断 し , 各 種 変 調 方 式 の 得 失 に つ い て 比 較 す る . そ の 結 果 , 入 出 力 が 完 全 に 比 例 す る PN M ( パ ル ス 数 変 調 ) が 有 利 で あ る こ と を 明 ら か に す る . ま た , 記 録 時 間 の 短 縮 化 を 目 指 し て パ ル‑ 8 ‑
ス 振 幅 を 高 , 低 2種 類 に す る 方 式 に つ い て 考 案 し , 滑 ら か な 階 調 を 得 る た め の 方 策 に つ い て 提 案 す る . さ ら に デ ィ ジ タ ル 駆 動 方 式 は ア ナ ロ グ 駆 動 方 式 に 比 べ て 空 間 周 波 数 特 性 も 向 上 す る こ と を 明 ら か に す る .
第 6章 で は 写 真 フ ィ ル ム に 画 像 を 出 力 す る 濃 度 変 調 型 プ リ ン タ に お け る 色 再 現 の 手 法 に つ い て 検 討 す る . ま ず , 無 彩 色 T V信 号 を 無 彩 色 画 像 と し て 発 色 さ せ る 方 法 に つ い て 考 察 す る . 一 般 的 に 反 射 型 記 録 媒 体 は 色 の 合 成 に 関 し て 線 形 性 は 成 立 し な い が , こ れ が 成 立 す る 仮 の 濃 度 と し て " 見 積 り 濃 度 " を 定義し, こ の 見 積 り 濃 度 を 用 い て 効 率 的 に 無 彩 色 を 再 現 さ せ る た め の 手 法 に つ い て 導 き 出 す . こ の た め に 見 積 り 濃 度 と 実 際 に 測 定 さ れ る 濃 度 の 対 応 関 係 や , 見 積 り 濃 度 に よ る 媒 体 の 分 光 特 性 の 測 定 方 法 に つ い て 新 し く 提 案 す る . つ ぎ に , 無 彩 色 再 現 の 条 件 を 基 準 と し て , マ ス キ ン グ 法 (3原 色 濃 度 聞 の 線 形 行 列 演 算 で 色 を 補 正 す る 手 法 ) に よ り , 肌 色 の よ う な 彩 度 の 低 い 記 憶 色 を 精 度 良 く 再 現 さ せ る 手 法 に つ い て 提 案 し , 行 列 係 数 の 効 率 的 算 出 法 に つ い て 明 ら か に す る . さ ら に , 高 彩 度 色 の 再 現 性 向 上 を 目 指 し , 入 力 T V信 号 値 に 応 じ て マ ス キ ン グ 係 数 行 列 を 変 化 さ せ る ダ イ ナ ミ ッ ク マ ス キ ン グ 法 に つ い て 提 案 す る . こ の 結 果 , 従 来 の マ ス キ ン グ 法 に 比 し て わ ず か な 処 理 量 の 増 加 で 再 現 誤 差 が 大 幅 に 減 少 し 画 質 向 上 に き わ め て 有 効 で あ る こ と を 実 験 的 に 確 認 す る .
第 7章 で は , 従 来 動 画 用 の 映 像 処 理 装 置 に 任 せ ら れ て い た 画 質 調 整 , 強 調 の た め の 信 号 処 理 や , 動 画 で は あ ま り 問 題 と さ れ な か っ た 妨 害 の 除 去 の た め の 手 法 に つ い て 検 討 し , 画 質 改 善 の 効 果 を 実 際 の ハ ー ド コ ピ ー に よ り 示 す . 最 初 に
NTSC
信 号 の デ コ ー ド に 関 し て , ソ フ ト ウ ェ ア に よ る 動 き 適 応 型 フレ ー ム 間 処 理 に つ い て 提 案 し , 従 来 の 方 式 よ り も 妨 害 が 大 幅 に 減 る こ と を 示 す . つ ぎ に ノ イ ズ 軽 減 に つ い て , 被 写 体 の 動 き を 補 正 し な が ら 加 算 平 均 化 す る こ と に よ り 鮮 鋭 性 を 落 と す こ と な く 軽 減 す る 方 法 に つ い て 提 案 す る . また,
通 常 の 画 像 に 比 し て 違 和 感 の 著 し い 飛 び 越 し 走 査 に 起 因 す る 二 重 像 に つ い て , そ の 発 生 機 構 に つ い て 考 察 し , 効 率 的 に 除 去 す る た め の 手 法 に つ い て 明 ら か に す る . さ ら に , 現 行 T V信 号 を ハ イ ビ ジ ョ ン 用 プ リ ン タ で 出 力 す る 場 合 な ど で 必 要 と な る 画 素 密 度 変 換 の 方 法 に つ い て 検 討 す る . 2倍 程 度 に 密 度 を 上 げ る 場 合 に は , 1次 元 に お け る 直 線 補 間 に 相 当 す る 双 1次 補 間 が 信 号 処 理 の
‑9 ‑
演 算 量 が 少 な く 実 用 的 に き わ め て 有 効 で あ る こ と を 明 ら か に す る . ま た , 階 調 変 換 , 輪 郭 強 調 , 色 調 整 な ど に つ い て , ソ フ ト ウ ェ ア 信 号 処 理 の 採 用 で 精 度 良 い 調 整 が 可 能 と な り 大 き い 画 質 改 善 効 果 が 得 ら れ る こ と を 示 す .
第 8章 で は , 前 章 ま で の 検 討 に 基 づ い て ト リ ニ ス コ ー プ 変 形 型 C R Tプリ ン タ , 小 型 高 性 能 C R Tプ リ ン タ お よ び 熱 転 写 方 式 ハ イ ビ ジ ョ ン プ リ ン タ に つ い て 具 体 設 計 を 行 う . ト リ ニ ス コ ー プ 変 形 型 プ リ ン タ は ハ ー ド コ ピ ー 作 成 の 基 本 デ ー タ 採 取 を 目 的 に 試 作 す る . 高 機 能 , 高 精 度 の 信 号 処 理 実 験 が 容 易 に 行 え る よ う フ レ ー ム メ モ リ と コ ン ピ ュ ー タ を 導 入 し て い る . 光 源 用 C R T に は R, G, B単 色 の 偏 平 C R Tを , 記 録 媒 体 に は 4X 5イ ン チ サ イ ズ の イ ン ス タ ン ト フ ィ ル ム を 新 た に 開 発 し て い る .
C R T
発 光 の ム ラ の 補 正 等 の 信 号 処 理 を 施 す こ と で 現 行 T Vの 高 画 質 な 出 力 が 可 能 に な っ て い る . 一 方 , 小 型 高 性 能 C R Tプ リ ン タ は 印 刷 用 写 真 原 稿 作 成 な ど の 実 用 化 を 目 指 し て 開 発し て い る . 光 源 に は 多 色 塗 り 分 け 型 カ ラ ー 偏 平 C R Tを 新 た に 開 発 し て い る . 光 路 の 折 り 曲 げ や 結 像 レ ン ズ の 移 動 に よ る 副 走 査 の 採 用 で 机 の 上 に 置 け る 程 度 に 小 型 化 を 達 成 し て い る . また,
C R T
駆 動 に デ ィ ジ タ ル 方 式 を 採 用 し て 信 号 処 理 の 精 度 を 向 上 さ せ , 解 像 度 が 高 く な っ た こ と に よ り ハ イ ビ ジ ョ ン の 記 録 も 可 能 に な っ て い る . さ ら に , 熱 転 写 方 式 プ リ ン タ は キ ャ ビ ネ サ イ ズ へ の ハ イ ビ ジ ョ ン の 記 録 と 画 質 の よ り 一 層 の 向 上 を 目 指 し て 開 発 し て い る . 記 録 ヘ ッ ド 密 度 と 画 像 サ イ ズ が 固 定 と い う 条 件 の も と で ハ イ ビ ジ ョ ン 画 像 の 好 ま し い 出 力 フ ォ ー マ ッ ト に つ い て 考 察 す る . 適 切 な 画 質 改 善 処 理 を 施 す こ と に よ り 写 真 画 像 と 同 等 以 上 の 画 質 が 得 ら れ る こ と を 示 す .第 9章 で は T V信 号 の ハ ー ド コ ピ ー 化 に 関 す る 研 究 成 果 に つ い て 総 括 し , 結 論 と 今 後 に 残 さ れ た 課 題 に つ い て 述 べ る .
M
2 :j!事E 三 基 破 産 自 勺 司 . 工2. 1 ま え が き
ハ ー ド コ ピ ー の 画 質 の 目 標 は テ レ ビ カ メ ラ で 撮 像 し た 被 写 体 を で き る だ け 忠 実 に 再 現 す る こ と で あ る . こ の た め に は 画 質 の 正 確 な 評 価 が 不 可 欠 に な る . 従 来 か ら の 画 像 表 示 手 段 で あ る 写 真 , 印 刷 , 映 画 , T Vで は 多 く の 評 価 手 法 が 確 立 さ れ て い る が , ハ ー ド コ ピ ー は 出 現 し て か ら の 時 聞 が 浅 く , 画 質 評 価 に つ い て は 十 分 に 解 明 さ れ て い な い . 便 宜 的 に T V系 や 写 真 系 な ど の 評 価 手 法 が 使 わ れ て い る が , そ れ ぞ れ の 系 で の 評 価 用 語 や 単 位 が 異 な る た め 混 乱 が 見 ら れ る .
そこで,
2 . 2
節 で ハ ー ド コ ピ ー の 画 質 評 価 に 使 用 す る 用 語 , 物 理 評 価 式 お よ び そ れ に 用 い る 単 位 に つ い て 明 確 に し , そ れ ぞ れ に つ い て で き る だ け 統 一 化 を は か る . そ し て , 階 調 特 性 , 鮮 鋭 性 , 階 調 数 に 関 す る こ れ ま で の 研 究 結 果 に つ い て ハ ー ド コ ピ ー 作 成 の 立 場 か ら の 見 直 し を 行 い , 目 標 特 性 を 明 ら か に す る . 2. 3節 で は T V信 号 の 性 質 を 整 理 し , 現 行 T Vお よ び ハ イ ビ ジ ョ ン の 特 性 に つ い て 横 断 的 に 評 価 す る . ま た , 新 し い 高 精 細 度 T V方 式 と し て A D T V (Advanced Definition TV) に つ い て 言 及 す る . 2. 4節 で は プリ ン タ の 現 状 に つ い て 述 べ , 特 性 の 比 較 を 行 う .
2. 2
ハ ー ド コ ピ ー の 画 質 評 価 (2・1]2. 2. 1 画 質 評 価 の 因 子
画 質 と は 画 像 表 示 手 段 の 品 質 を 示 す 言 葉 で , 画 像 表 示 シ ス テ ム を 設 計 す る 上 で の き わ め て 重 要 な 要 素 で あ る . 画 質 を 評 価 す る 手 法 に つ い て は , 写 真 , 印 刷 , 映 画 , T Vの 分 野 で 研 究 が 進 ん で い る . 動 画 と 静 止 画 , 自 己 発 光 体 と 反 射 型 パ タ ー ン , 画 像 の 大 き さ な ど 画 像 媒 体 に よ り 観 視 の 条 件 が 大 き く 異 な
る が , 基 本 的 に は 次 の 4つ の 因 子 で 評 価 さ れ る .
1 ) 階 調 再 現 性 2 ) 鮮 鋭 性
3 ) 色 再 現 性
4 ) ノ イ ズ , 妨 害 の 程 度
‑10 ‑ 41ム 句1ム
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な お , 反 射 率 と 呼 ば れ る も の に は 視 感 反 射 率 の 他 に , 分 光 反 射 率 あ る い は 特 定 の 波 長 や 帯 域 に 対 す る 反 射 率 な ど が あ る . 本 論 文 で は 視 感 反 射 率 の こ と
を 単 に 反 射 率 と 記 す . ま た , 濃 度 に も 反 射 率 と 同 様 に 分 光 濃 度 あ る い は 特 定 の 波 長 や 帯 域 に 対 す る 濃 度 が 定 義 さ れ が , 特 に 断 ら な い 場 合 は 視 感 反 射 率 を 式 (2. 1) に 代 入 し た 値 を 濃 度 と 呼 ぶ ご と に す る . さらに, ス ラ イ ド 写 真 の よ う な 透 過 型 媒 体 で は , 式 (2. 1) で r を 透 過 率 tに 置 き 換 え た 透 過 濃 度 が 定 義 さ れ る . 同 様 に T V信 号 の 輝 度 信 号 値 や R, G, B信 号 値 を 式 (2 .
1 ) の rに 代 入 し て 濃 度 表 現 す る こ と も あ る . ハ ー ド コ ピ ー の 画 質 評 価 は 研 究 途 上 で あ り 確 立 さ れ た 手 法 が あ る わ け で は
な い が , 評 価 の 因 子 は 他 の 画 像 表 示 手 段 と 大 き く 変 わ る こ と は な い と 考 え ら れ る .
2. 2. 2 階 調 再 現 性
画 像 の 光 の 強 度 に 関 す る ( 特 に 低 い 空 間 周 波 数 域 で の ) 再 現 性 を 階 調 再 現 ま た は 中 問 調 再 現 , 調 子 再 現 と い う .
ハ ー ド コ ピ ー は , テ レ ビ カ メ ラ で 被 写 体 を 撮 像 し プ リ ン タ で 可 視 像 と し て 出 力 す る ま で に , い く つ か の 過 程 を 経 て 作 成 さ れ る . こ れ ら の 過 程 で は 例 え ば テ レ ビ カ メ ラ の 光 → 電 変 換 特 性 や , 後 述 す る C R Tプ リ ン タ に お け る C R Tの 電 → 光 変 換 特 性 や 写 真 フ ィ ル ム の 露 光 量 → 写 真 濃 度 特 性 , 熱 転 写 プ リ ン タ に お け る サ ー マ ル ヘ ッ ド の 電 気 エ ネ ル ギ ー → 色 素 の 濃 度 へ の 変 換 特 性 が 関 与 す る . こ れ ら の 諸 変 換 特 性 を 総 称 し て " 階 調 特 性 " と い う . テ レ ビ カ メ ラ や C R Tの 階 調 特 性 は ガ ン マ 特 性 , 写 真 フ ィ ル ム の 階 調 特 性 は H ‑ D特 性 あ る い は D‑ 1 0 g E特 性 と も 呼 ば れ る . さ ら に , ハ ー ド コ ピ ー シ ス テ ム 全 体 の 入 出 力 特 性 即 ち 被 写 体 の 光 → ハ ー ド コ ピ ー 濃 度 の 変 換 特 性 も ま た 階 調 特 性
と い わ れ る .
各 階 調 特 性 を 定 量 的 に 記 述 す る に は , 入 出 力 量 の 表 現 法 を 規 定 す る 必 要 が あ る . 被 写 体 か ら の 光 は 通 常 , 輝 度 L (註
o
) ま た は 反 射 率 r (0豆 r豆 1) が 用 い ら れ , r = k L (k:定 数 ) で あ る . ま た ハ ー ド コ ピ ー に 関 し て は 反 射 率 r(0
壬 rS1
) と ( 光 学 ) 濃 度D
(孟o
) が よ く 用 い ら れ る . ご れ ら に 用 い る 反 射 率 は 視 感 反 射 率 の こ と で C 1 Eの 3刺 激 値 の Yに 等 し い . r とDの 問 に は
(2. 1)
D = !oglo(l/r) = ‑!Og10(r)
の 関 係 が あ る .
ハ ー ド コ ピ ー の 理 想 的 な 階 調 特 性 と し て は , 被 写 体 の 反 射 率 と 再 現 画 像 の 反 射 率 が 一 致 し た も の と 考 え る こ と が で き る . ご の 場 合 の 階 調 特 性 は 入 出 力 の 傾 き が lの 直 線 と な る . と こ ろ が , 被 写 体 の 輝 度 ( ま た は 反 射 率 ) の ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ は 1: 数 千 に 達 す る の に 対 し , ハ ー ド コ ピ ー の 反 射 率 の ダ イ ナ ミ ッ ク レ ン ジ は
1 : 1 0 0
( 黒 か ら 白 ま で の 濃 度 幅 が2
) を 越 え る の は ま れ‑12 ‑
2.0
制 d.log(L)・2.2
情 苔1.0
戸 外 の シ ー ン
出
d.log(L)ー2.7
ポ ー ト レ ー ト
0.0
1 0 9 (L[被 写 体 輝 度J)
図 2. 1 好 ま し い と さ れ る 階 調 特 性
2 . 2 . 3
鮮 鋭 性鮮 鋭 性 と は 画 像 の シ ャ ー プ さ を 表 す 主 観 的 な 言 い 方 ぺ あ る . 物 理 的 に は 解 像 力 , ア キ ュ ー タ ン ス , 空 間 周 波 数 特 性 ,
M T F(Modulation Transfer
円ペ
υ
司a
i
Function) , 広 が り 関 数 な ど を 用 い て 評 価 す る . 本 論 文 で は 主 に 以 下 で 述 ペ るM T Fと 広 が り 関 数 を 使 用 す る .
あ る 系 のM T Fは , 空 間 周 波 数 ν(0 豆 ν 豆 ∞ ) の 1次 元 正 弦 波 入 力 に 対 す る 出 力 振 幅 の 比 で 定 義 さ れ る . 空 間 周 波 数 を 電 気 系 に お け る 信 号 周 波 数 に 対 応 さ せ る と , 周 波 数 特 性 に 相 当 す る の が 空 間 周 波 数 特 性 で あ る . M T Fは 電 気 信 号 の 振 幅 周 波 数 特 性 に 相 当 し , M T F特 性 あ る い は 解 像 度 特 性 な ど と も 呼ぶ. ま た , 解 像 で き る 最 高 空 間 周 波 数 を 空 間 解 像 度 ま た は 単 に 解 像 度 と 呼 ん で い る . M T Fは 空 間 周 波 数 Oに お け る 値 で 規 格 化 す る の が 慣 例 に な っ て
2. 1 各 種 空 間 周 波 数 単 位 の 変 換 表
いる.
~
サQ イクルp /mm/mm 本立/mm/mm サイクル/度 本/高T V本 本/幅 現 行信 号 周 波 数TV HDTV MHzQ p /mm
1 2 .0175d 2h 2w .0252h .0687h サイクル/mm
立/rnm
. 5 l .00873d h w .0126h .0344h 本/mrn
h h h h
サイクル/度 57.3/d 114.6/d l 114.6‑ 114. 6‑ 1. 44‑ 3.94‑
d d d d
本/画面高 d w
.5/h l/h .00873‑ l 一 . 0126 . 0344
T V本 h h
d h
本 / 画 面 幅 .5/w l/w .00873‑ 1 .00943 .0193 w W
信 号 周 波 数 d
34.7/h 79.5/h . 693‑ 79.5 106.0 l
現 行TV MHz h
信 号 周 波 数 d
14.6/h 29.1/h .254‑ 29.1 51. 7 ー l
HDTV MHz h
鮮 鋭 性 はM T Fの 形 に 関 係 す る . ハ ー ド コ ピ ー が 被 写 体 を 忠 実 に 再 現 し た も の で あ る な ら , 視 覚 の 受 け る 鮮 鋭 感 は 被 写 体 を 見 た 場 合 と 変 わ ら な い は ず で あ る . し た が っ て , ハ ー ド コ ピ ー に は 視 覚 が 解 像 で き る 空 間 周 波 数 ま で フ ラ ッ ト な M T Fを 持 つ こ と が 求 め ら れ る .
空 間 周 波 数 は 単 位 距 離 当 た り の サ イ ク ル 数 で 表 現 す る の が 妥 当 と 考 え ら れ る. こ の よ う な 表 現 に お け る 単 位 は サ イ ク ル/ m mあ る い は Qp (ラインピ 1)/
m mであるが, 白 と 黒 の ペ ア に 対 し て 2本 と 数 え る 且(ライン) / m mま た は 本 / m mも 用 い ら れ る . 一 方 , T V系 で は 単 位 距 離 を 絶 対 的 な m mで な く , 画 面 高 さ と す る の が 通 例 で あ る . 空 間 周 波 数 の 単 位 は T V本 ( 白 黒 ペ ア を 2本 と 数 え る ) と 呼 ば れ , 画 面 垂 直 方 向 ば か り で な く 水 平 方 向 に も 用 い ら れ る . た だ し , 後 述 す る ハ イ ビ ジ ョ ン の よ う な ア ス ペ ク ト 比 ( 画 面 の 縦 横 比 ) の 大 き な 画 像 に 対 し て は 水 平 方 向 の 空 間 周 波 数 は 画 面 幅 当 た り の 本 数 で 表 現 す る 場 合 も あ る . さ ら に , 視 覚 特 性 を 表 す 場 合 に は 単 位 角 度 (1度 ま た は 1分 )
当 た り の サ イ ク ル 数 を 空 間 周 波 数 の 単 位 と し て 用 い る . 空 間 周 波 数 に は , こ の よ
う に 分 野 に よ っ て 異 な っ た 単 位 が 使 用 さ れ る た め こ れ ら の 聞 の 関 係 を 整 理 し た . 図 2. 2に 示 す よ う に 画 面 高 さ と 画 面 幅 を そ れ ぞ れ h
ハ ー ド コ ピ ーIhmm 寸仁一一一一一一一一一
‑ d i h e ‑ ‑
一一一一!一一一つI I
画 面 高「
視 距 離視 点
で の 視 距 離 を d m mと し た と き の 上 記 各 単 位 の 変 換 関 係 を 表 2. 1に 示 す . 本 論 文 で は ハ ー ド コ ピ ー の 主 要 な 用 途 と し て 保 存 用 資 料 , 番 組 制 作 の 素 材 あ る い は 印 刷 用 写 真 原 稿 な ど を 想 定 し て い る . こ の 場 合 , ハ ー ド コ ピ ー は 手 に 取 っ て 見 ら れ , 視 距 離 dは 軽 く 手 を 伸 ば し た 距 離 と な る . 以 後 は 視 距 離 を 4 0 0 m mとして, ま た , 空 間 周 波 数 の 単 位 に は 原 則 と し て ハ ー ド コ ピ ー に 対 し て は Q p / m mを, T V 信 号 に は T V本 を 使 用 し て 議 論 を 進 め る こ と と する.
M T Fは 階 調 特 性 が 非 線 形 で あ る 場 合 に も 便 宜 的 に 定 義 さ れ る . そ の 際 に は 出 力 値 は 実 測 し た 出 力 値 を 階 調 特 性 の 逆 特 性 で 補 正 し 入 力 側 に 換 算 し た 値 と す る . た と え ば C R Tの 入 力 は カ ソ ー ド ( ま た は 第 1グ リ ッ ド ) 電 圧 , 出 力 は 発 光 量 で あ る が , 階 調 特 性 に 非 線 形 の ガ ン マ 特 性 え あ る た め , ガ ン マ 特 性 の 逆 特 性 で 発 光 量 を 入 力 側 の 電 圧 に 換 算 し た 値 を 出 力 値 と す る . ま た , 写 m m, w m mと し , 画 像 ま 図
2 . 2
視 距 離 , 画 面 高 , 画 面 幅 の 関 係‑14 ‑ ﹁ 円υ
司lム
L S F
を フ ー リ エ 変 換 し た 結 果 は 空 間 周 波 数 特 性 に な る .L S F
が 中 心 位 置 に 対 し て 対 称 形 で あ る 場 合 に は 空 間 周 波 数 特 性 に は 位 相 項 が な く な り , L SF
の フ ー リ エ 変 換 はM T F
と な る . フ ー リ エ 変 換 の 性 質 か ら , ハ ー ド コ ピ ー 作 成 に お け る い く つ か の 段 階 が 線 形 と 仮 定 で き る と き , そ れ ら の 全 体 のM T
F
は 各 段 階 のM T F
の 積 に な る .2 . 2. 4
色 再 現 性色 再 現 に は そ の 目 的 に よ っ て 分 光 的 色 再 現 , 測 色 的 色 再 現 , 正 確 な 色 再 現 , 対 応 色 再 現 , 等 価 色 再 現 , 好 ま し い 色 再 現 が あ る (2・5] 本 論 文 に お い て は 測 色 的 色 再 現 を 目 標 と す る . す な わ ち , 被 写 体 と 再 現 さ れ た 色 の
C 1 E
標 準 表 色 系 に お け る 3刺 激 値 を そ れ ぞ れ X i,Y " ZiとXo, YO, Z。として,真 フ ィ ル ム で は 出 力 の 濃 度 に 対 し て 特 性 曲 線 を 用 い て 入 力 側 の 露 光 量 に 換 算 し た 値 (" 有 効 露 光 量 " と 定 義 さ れ る (2・3] ) を 出 力 値 と す る .
M T F
測 定 に お い て 正 弦 波 入 力 が 困 難 な 場 合 に は 矩 形 波 状 の 入 力 で 代 用 す る . 矩 形 波 入 力 に 対 す る 出 力 振 幅 の 比 は C T F (Contrast Transfer Func‑tion) と 定 義 さ れ る . 空 間 周 波 数 νに お け る
CTF
は 式 (2 . 2)
に 示 す Coltmanの 修 正 式 (2. 4] に よ りM T F
と す る .π C T F ( 3 ν ) CTF(5ν) MTF(ν)= ‑ {CTF(ν) + 一
4 3 5
CTF(7ν) +
7
( 2 . 2 )
2次 元 の 空 間 周 波 数 特 性 の 評 価 に は サ ー キ ュ ラ ー ゾ ー ン プ レ ー ト (C Z P ) を 使 用 す る . C Z P は 水 平 , 垂 直 方 向 の 位 置 座 標 (X, y) に お け る 2次 元 空 間 周 波 数 が (X, y) に 比 例 す る よ う な 同 心 円 状 の パ タ ー ン で あ る . 従 っ てC Z P像 を ハ ー ド コ ピ ー 化 し て , 原 点 か ら あ る 方 向 の 振 幅 変 化 を 観 察 す る と , そ の 方 向 の 空 間 周 波 数 特 性 が 知 れ る . ま た , ハ ー ド コ ピ ー 形 成 に お い て 周 期 的 な 妨 害 が 発 生 す る と C Z Pと ビ ー ト が 発 生 し モ ア レ と な る の で 視 覚 的 に 確 認 で き る .
空 間 周 波 数 特 性 が 空 間 周 波 数 領 域 で の 画 像 表 示 系 の 応 答 を 表 わ す の に 対 し て , 広 が り 関 数 は 空 間 領 域 で の 画 像 表 示 系 を 表 現 す る . す な わ ち , ハ ー ド コ ピ ー 作 成 の 各 段 階 に お け る , 広 が り が き わ め て 微 少 な 点 入 力 δ(x,y) に 対 す る 応 答 を , そ れ ぞ れ の 段 階 の " 点 広 が り 関 数 "
P S F
(Point Spread Function) と 定 義 す る . P S Fも (X, y) の 関 数 と な る . また, M T Fと 同 様 に 階 調 特 性 が 非 線 形 の 場 合 に は , 応 答 は 入 力 側 に 換 算 し た 値 で 表 現 す る 必 要 が あ る . 画 素 形 成 に お い て P S Fは 等 方 的 ( 点 対 称 ) ま た は 直 交 す る 2 方 向 で 1次 元 対 称 で あ る こ と が 多 い .ミ ク ロ 濃 度 計 の よ う な 1次 元 走 査 を 行 う 測 定 器 で P S Fを 測 定 す る の は 困 難 で あ る . こ の た め . 点 入 力 の 代 り に き わ め て 細 い 線 入 力 に 対 す る 応 答 が 測 定 さ れ る . こ の 応 答 は " 線 広 が り 関 数 " L S F (Line Spread Function) と 定 義 さ れ る .
P S F
が 対 称 形 の 場 合 に はLS F
はPS F
の1
次 元 積 分 に な る .L S F
は 電 気 系 に お け る イ ン パ ル ス 応 答 に 相 当 す る .電 気 系 で イ ン パ ル ス 応 答 の フ ー リ エ 変 換 が 周 波 数 特 性 と な る の と 同 様 に ,
‑ 1 6 ‑
﹁l
il il i‑
‑J
V A V 4 η L
﹁Illi‑‑L
﹁│
│l l1 11
﹂1
V A v
‑ q L
﹁I
ll i‑
‑ ー し
の 関 係 を 満 た す こ と が 目 標 と な る . ここで, 3刺 激 値 は C 1 Eの 標 準 の 光 C (以 下, C 光 源 と 記 す ) を 照 明 光 と し た と き の 分 光 反 射 率 を 用 い て 測 定 す る も の と す る . 図 2. 3に C光 源 の 相 対 分 光 分 布 を 示 す .
3刺 激 値 X, Y, Z は T V信 号 の R, G, B信 号 値
と の 間 に 式 (
2 . 4)
に 示 す 関 係 が あ る .(2. 3)
‑ U
ザム﹁
100
件
H 友 50
E
0
400 500 600
波 長 (nll)
700
図 2. 3 C光 源 の 相 対 分 光 分 布
ηt
句Eム
2. 2. 6 そ の 他 の 評 価
以 上 の 他 に 画 質 に 関 わ る 要 素 と し て 階 調 数 ( 表 現 で き る 階 調 の 数 ) , 総 画 素 数 , 画 像 サ イ ズ , ア ス ペ ク ト 比 な ど が あ る . さ ら に 画 質 を 総 合 的 に 評 価 し よ う と す る 試 み も あ る .
階 調 数 に 関 し て は 視 覚 で 識 別 可 能 な 階 調 数 と の 比 較 で 評 価 で き る . Roetlingは 視 覚 の 空 間 周 波 数 特 性 を 用 い て 空 間 周 波 数 νと 識 別 可 能 階 調 数 L の 関 係 を 以 下 の 式 で モ デ ル 化 し た [2・7)
(2. 4)
色 再 現 性 は 再 現 色 の 範 囲 を x y色 度 図 上 に 描 い て 評 価 す る . 色 度 座 標 X,
yは三刺 激 値 X, Y, Zに 対 し て 式 (2. 5) で 定 義 さ れ る .
x =
Xx
+y
+z
y
y =
x
+y
+z
(2. 5) L = 1010・exp(‑0.138ν){l‑exp(‑O.lν)}+1 L=
200x y色 度 図 で 示 さ れ る 色 の 範 囲 は 彩 度 の 高 い 色 で 決 定 さ れ , 彩 度 の 低 い 色 は 色 度 図 の 中 央 部 に 位 置 す る . 豊 か な 色 調 を 表 現 す る た め に は 高 彩 度 色 か ら 無 彩 色 ま で 連 続 的 に 再 現 で き る こ と が 求 め ら れ る . す な わ ち , 階 調 再 現 性 と 色 再 現 性 は 密 接 に 関 連 す る .
(ν>
5.45
サイクル/度) (ν 壬5.45
サイクル/度)(2. 7)
こ こ で νの 単 位 は サ イ ク ル / 度 で あ る . 式 C2. 7) を 図 2. 4の 図 示 し た . 図 で は 空 間 周 波 数 の 単 位 に つ い て 視 距 離 4 0 0 m mで の Qp /m mと サ イ ク ル / 度 を 併 記 し た . こ の 特 性 は プ リ ン タ に 求 め ら れ る 視 覚 特 性 か ら 見 た 解 像 度 と 階 調 数 の 目 標 特 性 に な る .
こ の 他 に , ハ ー ド コ ピ ー 画 像 を 総 合 的 に 評 価 す る 尺 度 と し て 情 報 容 量 が あ る . 情 報 容 量 は 式 (2. 8)
2. 2. 5 ノ イ ズ , 妨 害
ハ ー ド コ ピ ー 作 成 で は , 画 像 形 成 の 各 段 階 で ノ イ ズ や 妨 害 が 付 加 さ れ る . ラ ン ダ ム ノ イ ズ に 対 し て は 電 気 信 号 の S / Nと 同 様 に , そ れ ぞ れ の 段 階 の 出 力 レ ベ ル の 平 均 値 と ノ イ ズ の 実 効 値 の 比 に よ り 評 価 で き る . こ れ を 画 像
S /
Nと 定 義 す る . 写 真 フ ィ ル ム で は 均 一 に 露 光 し た 試 料 を ミ ク ロ 濃 度 計 で 走 査 し た と き の 平 均 濃 度 に 対 す る 変 動 ( ゆ ら ぎ ) が ノ イ ズ と な る . こ の ノ イ ズ の 標 準 偏 差 σD は R M S粒 状 度 と 定 義 さ れ る . 平 均 浪 度 を Dと し た と き R M S 粒 状 度 は 式 (2. 6)で 計 算 で き る .
で 定 義 さ れ る [2・8 )
1 = N'log2 (M) (2.8)
こ こ で N は 単 位 面 積 Clmm2)当 り の 画 素 数 , Mは 画 素 と 同 じ 面 積 の ア パ ー チ ャ で 濃 度 を 測 定 し た と き の 識 別 可 能 な レ ベ ル 数
( 階 調 数 ) で あ る . 情 報 容 量 の 単 位 は ピ ッ ト /m m2 で あ る . 情 報 容 量 は 画 像 表 示 媒 体 に と っ て は 単 位 面 積 に 記 録 可 能 な ピ ッ ト 数 を 示 す こ と に な る の で 記 録 密 度
と も 呼 ば れ る .
の4/
﹃│
﹂
︒ ︐
h︑1J一
n u
n υ
/
ak
n
や む
=
l一n
﹁ll﹂
=
D
σ
(2. 6)
σD は 濃 度 計 の 走 査 ア パ ー チ ャ に も 依 存 す る の で , R M S粒 状 度 を 示 す と き に は 必 ず ア パ ー チ ャ の 大 き さ を 併 記 す る .
写 真 フ ィ ル ム に お い て は ノ イ ズ の 原 因 と な る の は 主 に 銀 粒 子 の 粒 状 性 で あ る. Selwynは 粒 子 の 面 積 が ア パ ー チ ャ の 面 積 Aに 比 べ て 十 分 に 小 さ い と き は Aの 平 方 根 と R M S粒 状 度 の 積 は 一 定 で あ る こ と を 示 し た [2・6) こ の 知 見 は ハ ー ド コ ピ ー の 評 価 に も 適 用 で き る .
‑18 ‑
50 語 冨 樫 20 縦
~ 民 10
竃 5
2
2 6 10
[ ! p/
・ ・ ]
4 8
空 間 周 波 数 ( 視 距 麓 400..)
図 2. 4 空 間 周 波
3
と 識 別 可 能 階 調 数 の 関 係Q υ
噌BA