九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
Necroptosis in pancreatic cancer promotes
cancer cell migration and invasion by release of CXCL5
安藤, 陽平
http://hdl.handle.net/2324/4110407
出版情報：九州大学, 2020, 博士（医学）, 課程博士 バージョン：
権利関係：© 2020 Ando et al. This is an open access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License
（別紙様式２）
氏 名 安藤 陽平 論 文 名
Necropotesis in pancreatic cancer promotes cancer ce ll migration and invasion by release of CXCL5 論文調査委
員
主 査 九州大学 教授 加藤 聖子 副 査 九州大学 教授 馬場 英司 副 査 九州大学 教授 小川 佳宏
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
ネ ク ロ プ ト ー シ ス は receptor-interacting serine/threonine-protein kinase-3 (RIPK3) や mixed lineage kinase domain-like (MLKL)な ど の 分 子 に よ っ て 制 御 さ れ 、 ネ ク ロ ― シ ス の よ う に 内 因 性 分 子 の 放 出 を 伴 う プ ロ グ ラ ム 細 胞 死 の ひ と つ で あ る 。 癌 に お け る そ の 役 割 に つ い て は 促 進 的 ・ 抑 制 的 様 々 な 報 告 が あ る が 、 膵 癌 に お け る そ の 役 割 に つ い て は 明 ら か で は な い 。 申 請 者 は 膵 癌 に お け る ネ ク ロ プ ト ー シ ス が 癌 の 進 展 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 し た 。 ヒ ト 膵 癌 組 織 で は RIPK3、MLKL が 高 発 現 し て お り 、 特 に MLKL は 癌 の 浸 潤 先 端 で 強 く 発 現 し て い た 。MLKL、RIPK3 を 高 発 現 し た 膵 癌 細 胞 に 対 し て 薬 剤 を 用 い て ネ ク ロ プ ト ー シ ス を 誘 導 す る こ と が で き た が 、 そ の 上 清 は 癌 細 胞 の 遊 走 ・ 浸 潤 を 促 進 し た 。 ネ ク ロ プ ト ー シ ス を 起 こ し た 細 胞 上 清 中 で は C-X-C motif chemokine 5 (CXCL5)の濃度が有意に上昇しており、
その受容体であるC-X-C-motif chemokine receptor-2 (CXCR2)は膵癌細胞で高発現し ていた。薬剤や RNA 干渉でCXCR2を抑制すると、ネクロプトーシスによる癌細胞の遊 走・浸潤促進効果は阻害された。本 研 究 に よ り 、 膵 癌 の 浸 潤 先 端 に お け る ネ ク ロ プ ト ー シ ス が CXCL5 の 放 出 と 、そ の 受 容 体 CXCR2 を 介 し て 癌 細 胞 の 遊 走・
浸 潤 を 促 進 し て い る 可 能 性 が 明 ら か に な っ た 。
以上の成績はこの方面の研究に知見を与えた意義ある成果であると考えられる。本論 文は共著者10名以上のため、まず申請者の役割・貢献度を尋ね、本人が主導的役割を 果たしていることを確認した後、本論文について研究目的、方法、実験成績などについ て説明を求め、各調査委員より専門的な観点から論文内容や関連した事項について 種々質問を行い、いずれについても適切な回答を得た。よって、調査委員合議の結果、
試験は合格とした。
