日 本 と ドイ ツ の エ コ ス ク ー ル 国 際 シ ンポ ジ ウ ム2007
報 告 書
日 本 政 府 は 、 昨 年6月 ドイ ツ で の 主 要 国 首 脳 会 議 (G8) に お い て 、2050年 ま で に 世 界 全 体 の 温 室 効 果 ガ ス 排 出 量 を 半 減 す る こ と を 提 案 し、 こ の 提 案 は 、G8の 首 脳 文 書 に 盛 り込 ま れ ま し た 。
ま た 、12月 に は 、 国 連 気 候 変 動 枠 組 み 条 約 第13回 締 約 国 会 議 (COP13) が 、 バ リ 島 で 開 催 さ れ 、 京 都 議 定 書 に 続 く2013年 以 降 の 地 球 温 暖 化 防 止 の 国 際 的 な 新 た な 枠 組 み づ く り に 向 け た 議 論 が 始 ま っ た と
こ ろ で す 。
更 に は 、 本 年7月 の 北 海 道 洞 爺 湖 で の 主 要 国 首 脳 会 議 (G8) で は 、 気 候 変 動 問 題 を は じめ と す る 環 境 問 題 が 重 要 課 題 の 一 つ で あ り、 議 長 国 で あ る 日本 の 役 割 が 大 変 重 要 に な っ て い ま す 。
こ の よ う に 地 球 規 模 の 環 境 問 題 が 世 界 共 通 の 課 題 と して 大 き く提 起 さ れ 、 議 論 が 進 め られ て い る こ と か ら、 今 後 、 日本 の 学 校 に お い て も こ れ ま で 以 上 に 、 「環 境 負 荷 の 低 減 や 自 然 と の 共 生 を 考 慮 し た 学 校 施 設 」 い わ ゆ る エ コ ス ク ー ル づ く り及 び 環 境 教 育 の 推 進 が 求 め ら れ て い ま す 。
こ の よ う な 観 点 か ら 、 こ の 度 の エ コ ス ク ー ル 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム で は 、 「子 ど も と 環 境 」 を テ − マ に 、 国 立 教 育 政 策 研 究 所 が 主 催 、 ドイ ツ 文 化 セ ン タ ー 、 東 京 工 業 大 学 及 び 早 稲 田 大 学 の 共 催 に よ り開 催 さ れ
ま した 。
当 日 は 、 教 育 関 係 者 、 建 築 関 係 者 、 学 生 の 方 々 を 中 心 に 参 加 者 約210名 と 定 員 を 上 ま わ る 盛 況 ぶ りで 、 最 初 に 千 葉 大 学 の 木 下 勇 教 授 の 司 会 進 行 で 、 私 の 主 催 者 挨 拶 、 ドイ ツ文 化 セ ン タ ー 所 長 のDr. ウ − ヴ ェ ・
シ ュ メ ル タ ー 氏 の 共 催 者 代 表 挨 拶 が 行 な わ れ ま した 。
前 半 は 、 シ ュ ト ゥ ッ トガ ル ト大 学 教 授 で 建 築 家 の ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー 氏 が 、 環 境 先 進 国 ドイ ツ に お け る 「子 ど も た ち が つ く る エ コ ス ク ー ル な ど 」 に つ い て 基 調 講 演 。 続 い て 、 こ ど も 環 境 学 会 会 長 並 び に 日 本 建 築 家 協 会 会 長 の 仙 田 満 氏 が 、 日本 に お け る 「子 ど もの た め の 環 境 づ く り」 に つ い て 基 調 講 演 を 行 っ て い た だ き ま した 。
後 半 は 、 早 稲 田 大 学 の 卯 月 盛 夫 教 授 の コ ー デ ィ ネ ー トに よ る パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ンが 行 わ れ 、 建 築 家 で 夫 人 の バ ー バ ラ ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー 氏 、 シ ー ラ カ ン ス K&H 株 式 会 社 代 表 取 締 役 の 工 藤 和 美 氏 、 杉 並 区 教 育 委 員 会 の 井 口 順 司 氏 、 国 立 教 育 政 策 研 究 所 の 新 保 幸 一 文 教 施 設 研 究 セ ン タ ー 長 も加 わ っ て 、 「日 独 両 国 に お け る エ コ ス ク ー ル づ く り」 に つ い て 、 活 発 な 討 論 が 展 開 さ れ ま した 。
本 報 告 書 は 、 当 日 の 講 演 資 料 等 を も と に 、 基 調 講 演 や パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ンの 模 様 を 可 能 な 限 り忠 実 に 再 現 した も の で す 。 本 報 告 書 を 広 く関 係 の 皆 様 に ご 覧 い た だ き 、 今 回 の 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム で 紹 介 さ れ た 知 見 が 、 今 後 の エ コ ス ク − ル づ く り及 び 環 境 教 育 の 推 進 へ の 取 組 に お 役 立 て い た だ け れ ば 、 主 催 者
と して こ れ に ま さ る 歓 び は あ り ま せ ん 。
平 成20年 1月
国立教育政策研究所長 近藤 信 司
目 次
は じ め に
Ⅰ . 挨 拶 … … … … ……………… … ・3
1. 開 会
木 下 勇 (千 葉 大 学 教 授 工 学 博 士 ) 2. 主 催 者 挨 拶
近 藤 信 司 (国 立 教 育 政 策 研 究 所 長 ) 3. 共 催 者 代 表 挨 拶
Dr. ウ ー ヴ ェ ・シ ュ メ ル タ ー (ドイ ツ 文 化 セ ン タ ー 所 長 )
Ⅱ . 基 調 講 演 ……… ・11
1. ドイ ツ の エ コ ス ク ー ル
〜 子 ど も た ち が つ く る エ コ ス ク ー ル な ど 〜
ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー (シ ュ ト ゥ ッ トガ ル ト大 学 教 授 ) 2. 子 ど も の た め の 環 境 づ く り
仙 田 満 (こ ど も環 境 学 会 会 長 、 日 本 建 築 家 協 会 会 長 、 放 送 大 学 教 授 、 元 日 本 建 築 学 会 会 長 )
Ⅲ . パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ン ……… … 63 日 本 と ドイ ツ の エ コ ス ク ー ル づ く り
プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン1 環 境 を 考 慮 した 学 校 施 設 (エ コ ス ク ー ル ) の 現 状 新 保 幸 一 (国 立 教 育 政 策 研 究 所 文 教 施 設 研 究 セ ン タ ー 長 )
プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン2 学 校 の 事 例
工 藤 和 美 (東 洋 大 学 教 授 、 シ ー ラ カ ン ス K&H㈱ 代 表 取 締 役 ) プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン3 杉 並 区 の 取 組 み
井 口 順 司 (杉 並 区 教 育 委 員 会 庶 務 課 長 )
ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー (シ ュ ト ゥ ッ トガ ル ト大 学 教 授 、 建 築 家 ) バ ー バ ラ ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー (PLUS+ 建 築 計 画 研 究 所 、 建 築 家 ) 仙 田 満 (こ ど も環 境 学 会 会 長 、 放 送 大 学 教 授 他 )
Ⅳ . 閉 会 の 挨 拶 ……… … … ・ 97
新 保 幸 一 (国 立 教 育 政 策 研 究 所 文 教 施 設 研 究 セ ン タ ー 長 )
主催者挨拶 近藤 信司
国立教育政策研究所長
共催者代表挨拶 Dr. ウ ー ヴ ェ ・ シ ュ メ ル タ ー ド イ ツ 文 化 セ ン タ ー 所 長
基 調 講 演 ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー シ ュ ト ゥ ッ ト ガ ル ト大 学 教 授 テ ー マ : ド イ ツ の エ コ ス ク ー ル
〜 子 ど も た ち が つ く る エ コ ス ク ー ル な ど 〜
基 調 講 演 仙 田 満
こ ど も環 境 学 会 会 長 、 放 送 大 学 教 授 他
テ ー マ :子 ど も の た め の 環 境 づ く り
司 会 木下 勇
パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ン
テ ー マ : 日 本 と ド イ ツ の エ コ ス ク ー ル づ く り
プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン
井 口 順 司
杉 並 区教 育 委 員 会 庶 務 課 長
卯 月 盛 夫
早 稲 田 大 学 教 授 工 学 博 士 (コ ー デ ィ ネ ー タ)
会 場 の 模 様
I. 挨 拶
1. 開 会
木 下 勇 (千葉大学教授工学博士)
司 会 (木 下 ) :お 待 た せ い た し ま し た 。 こ れ か ら 「日本 と ドイ ツ の エ コ ス ク ー ル 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム 2007」 を 開 催 さ せ て い た だ き ま す 。
私 は 、 本 日 、 司 会 を 務 め ま す 木 下 勇 と 申 し ま す 。 ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん を ご 紹 介 した 縁 で 司 会 を 務 め せ て い た だ き ま す 。 千 葉 大 に 勤 め な が ら、 今 回 、 共 催 して い ま す 東 京 工 業 大 学 の 教 育 環 境 創 造 研 究 セ ン タ ー の 非 常 勤 講 師 も して い る 縁 で 、 こ の 場 を 皆 様 と ご 一 緒 で き る こ と を う れ し く思 っ て い ま す 。 主 催 者 挨 拶 の 前 に 五 つ ほ ど の お 願 い が ご ざ い ま す 。 ま ず 、 封 筒 の 中 の 資 料 を 確 認 した い と 思 い ま す 。 き ょ う の シ ン ポ ジ ウ ム の 資 料 、 追 加 の 講 演 資 料 と して ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん の ス ラ イ ドの 資 料 、 受 講 者 ア ンケ ー ト、 基 調 講 演 質 問 表 、 カ ラ ー 用 紙 、 き ょ う の 主 催 者 で あ る 国 立 教 育 政 策 研 究 所 の パ ン フ レ ッ トが あ る と思 い ま す 。 お 願 い の 一 つ は 、 ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん と 仙 田 満 さ ん の 基 調 講 演 の あ と の 休 憩 時 間 の と き に 、 質 問 等 が あ り ま した ら質 問 票 に 書 い て い た だ い て 、 会 場 の 出 入 口 に あ る 質 問 票 回 収 箱 に 付 箋 を 貼 っ た ま ま 出 して い た だ き た い と い う こ と で す 。 あ と で 整 理 して パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ンで 使 わ せ て い た だ き ま す 。 二 つ 目 に 、 シ ン ポ ジ ウ ム の 最 後 に 、 ア ン ケ ー トを 出 入 口 に あ る ア ンケ ー ト 回 収 箱 に 入 れ て い た だ き た い と 思 い ま す 。 よ ろ し く お 願 い しま す 。 三 つ 目 に 、 カ ラ ー 用 紙 は 、 パ ネ ル デ ィ
ス カ ッ シ ョ ンで コ ー デ ィ ネ ー タ の 卯 月 盛 夫 さ ん が 使 い ま す が 、 こ れ も最 後 に 回 収 箱 に 返 して い た だ け た ら と 思 い ま す 。 四 つ 目 は 、 携 帯 電 話 の 電 源 を 切 る か 、 マ ナ ー モ ー ドに 設 定 す る よ う に お 願 い し ま す 。 五 つ 目 に 、 同 時 通 訳 の レ シ ー バ ー は1チ ャ ン ネ ル が 日 本 語 、3チ ャ ン ネ ル が ドイ ツ 語 で す が 、 シ ン ポ ジ ウ ム の 最 後 に ス タ ッ フ が 受 付 で 回 収 し ま す の で 、 持 ち 帰 らな い で くだ さ い 。 ぜ ひ と も よ ろ し く お 願 い し ま す 。
そ れ で は 、 改 め ま して 、 主 催 者 と して 国 立 教 育 政 策 研 究 所 の 近 藤 信 司 所 長 よ り ご 挨 拶 申 し上 げ ま す 。 近 藤 所 長 、 よ ろ し くお 願 い し ま す 。
2. 主 催 者 挨 拶
近 藤 信 司 (国立教育政策研究所長)
皆 さ ん 、 こ ん に ち は 。 た だ い ま ご 紹 介 い た だ き ま した 国 立 教 育 政 策 研 究 所 長 の 近 藤 で ご ざ い ま す 。 こ こ 数 日 、 寒 い 日が 続 い て お り ま し た が 、 今 日 は 暖 か く、 天 気 も こ の シ ン ポ ジ ウ ム を 祝 福 して くれ て
い る の か な と 思 い ま す 。 今 日 は よ くお い で くだ さ い ま した 。 あ りが と う ご ざ い ま す 。 一 言 ご 挨 拶 を 申 し 上 げ た い と 思 い ま す 。
こ の た び は 、 自 国 の 憲 法 (ドイ ツ 基 本 法 ) に 「国 に は 、 次 世 代 の た め に 自 然 を 守 る 責 任 が あ る 」 と 明 記 さ れ て い る、 環 境 先 進 国 と い わ れ る ドイ ツ か ら、 エ コ ス ク ー ル づ く りの パ イ オ ニ ア と も い う べ き ヒ ュ ー ブ ナ ー ご 夫 妻 を お 招 き し、 日本 か ら も こ ど も 環 境 学 会 会 長 の 仙 田 満 先 生 は じ め 有 識 者 の 方 々 を お 招 き し、
ドイ ツ 文 化 セ ン タ ー 、 東 京 工 業 大 学 、 早 稲 田 大 学 と の 共 催 で 「日 本 と ドイ ツ の エ コ ス ク ー ル 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム2007」 を 開 催 す る 運 び と な り ま して 、 主 催 者 と して た い へ ん 喜 ん で い る と こ ろ で ご ざ い ま す 。 少 しか た い 話 に な っ て 恐 縮 で す が 、 日本 の エ コ ス ク ー ル を め ぐ る 取 り組 み に つ い て お 話 を さ せ て い た だ き ま す 。 平 成9年 度 か ら、 エ コ ス ク ー ル 整 備 を 促 進 す る た め に 、 文 部 科 学 省 、 経 済 産 業 省 、 農 林 水 産 省 、 環 境 省 と 協 力 して 、 公 立 学 校 を 対 象 と した パ イ ロ ッ ト ・モ デ ル 事 業 を 実 施 して き て お り ま す 。 平 成 19年5月 ま で に688校 を 認 定 す る と と も に 、 す べ て の 公 立 学 校 の 約3割 に 当 た る9257校 で 、 な ん らか の 形 で エ コ ス ク ー ル 整 備 が 行 わ れ た と い う 現 状 で ご ざ い ま す 。
しか しな が ら 、 昨 今 、 地 球 規 模 の 環 境 問 題 が 世 界 共 通 の 課 題 と して 大 き く提 起 さ れ て お り、 今 後 は 、 こ れ ま で 以 上 に 、 環 境 負 荷 の 低 減 や 自 然 と の 共 生 に 配 慮 し た 学 校 施 設 、 い わ ゆ る エ コ ス ク ー ル づ く り と か 環 境 教 育 の 推 進 が 求 め られ て お り ま す 。
そ う い っ た 観 点 か ら 、 こ の 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム は 、 「子 ど も と 環 境 」 を テ ー マ に し た 、 ドイ ツ の エ コ ス ク ー ル づ く り と 日本 の 子 ど もた ち の 環 境 づ く り に つ い て の 基 調 講 演 、 両 国 の エ コ ス ク ー ル の 事 例 紹 介 の パ ネ ル デ ィ ス カ ッ シ ョ ンか ら、 今 後 の 日本 の エ コ ス ク ー ル の 新 た な 視 点 を 学 ぶ こ と が で き る 意 義 あ る も の と 考 え て い る と こ ろ で す 。 限 られ た 時 間 で す け れ ど も 、 ぜ ひ こ の シ ン ポ ジ ウ ム を 楽 しん で い た だ け た
ら と 思 っ て お り ま す 。
最 後 に な り ま し た が 、 ドイ ツ の 著 名 な 詩 人 で あ る フ リー ド リ ッ ヒ ・フ ォ ン ・シ ラ ー は 、 そ の 詩 「歓 喜 に 寄 す 」 の 中 で 、 「歓 び は 自然 を 動 か す 強 い バ ネ 。 歓 び こ そ は 大 宇 宙 の 時 計 仕 掛 け の 歯 車 を 回 す も の 」 と う た っ て い ま す 。
「子 ど もた ち の 歓 び 」 に 勝 る も の は あ り ま せ ん 。 本 日 、 こ の 国 際 シ ン ポ ジ ウ ム の 成 功 が 、 日 本 の み な らず 世 界 の 子 ど も た ち の た め の 環 境 づ く り に 貢 献 す る と と も に 、 日本 と ドイ ツ の 教 育 ・文 化 交 流 の 進 展 に 寄 与 す る こ と を 心 か ら祈 念 い た し ま して 、 簡 単 で す が 、 主 催 者 の 挨 拶 と さ せ て い た だ き ま す 。 あ りが
と う ご ざ い ま した 。
司 会 :近 藤 所 長 、 あ りが と う ご ざ い ま した 。
引 き続 き ま して 、 ドイ ツ 文 化 セ ン タ ー 所 長 の ウ ー ヴ ェ ・シ ュ メ ル タ ー 博 士 よ り、 共 催 者 を 代 表 して ご 挨 拶 申 し上 げ ま す 。
シ ュ メ ル タ ー 博 士 、 よ ろ し くお 願 い し ま す 。
3. 共 催 者 代 表 挨 拶
Dr. ウ ー ヴ ェ ・ シ ュ メ ル タ ー (ドイ ツ 文 化 セ ン タ ー 所 長 )
木 下 先 生 、 あ りが と う ご ざ い ま す 。
近 藤 様 な ら び に ご 出 席 の 皆 様 、 国 立 教 育 政 策 研 究 所 の 友 人 の 皆 様 、 ドイ ツ 文 化 セ ン タ ー の 友 人 の 皆 様 、 ドイ ツ 文 化 セ ン タ ー 所 長 と して 、 本 日、 こ の よ う に す ば ら し い エ コ ロ ジ カ ル な 天 気 の 下 、 か く も 多 数 の 皆 様 を お 迎 え す る こ と は 、 私 に と り ま して 大 き な 喜 び で す 。 皆 様 を 心 よ り歓 迎 申 し上 げ ま す 。
「エ コ ロ ジ ー 」 「環 境 保 護 」 「エ コ ス ク ー ル 」 と い う テ ー マ は 、 ドイ ツ な らび に ヨ ー ロ ッパ で こ こ 数 十 年 の 間 に た い へ ん 重 要 な 役 割 を 果 た す よ う に な り、 世 界 が 注 目 す る テ ー マ と な り ま した 。 環 境 保 護 と い う テ ー マ は 、 今 日 カ ギ と な る テ ー マ と して 世 界 を 動 か し、 生 物 学 的 な 意 味 の み な らず 平 和 政 策 と い う 意 味 で も世 界 を 動 か す 力 に な っ て い ま す 。
「環 境 保 護 」 「エ コ ロ ジ カ ル な 行 動 」 「エ コ ロ ジ カ ル な 生 活 」 と い う 意 識 は 学 校 で 育 ま な け れ ば な り ま せ ん 。 こ れ は 教 育 の 一 環 と して 受 け 入 れ られ な け れ ば な らず 、 子 ど もた ち の 意 識 を 高 め 、 メ ン タ ル な 部 分 に お け る 教 育 の ひ と つ の 分 野 と して 、 学 校 と 家 庭 で 進 め られ る べ き もの と 考 え ま す 。
した が っ て 、 本 日 は 、 専 門 家 と して ヒ ュ ー ブ ナ ー ご 夫 妻 を ドイ ツ か ら お 招 き し、 こ の 分 野 で 日 本 を 代 表 す る 専 門 家 の 方 々 と お 話 し い た だ け る こ と を た い へ ん う れ し く思 っ て お り ま す 。 日 本 側 か ら は 仙 田 教 授 が 同 じテ ー マ に つ い て 日本 側 の 事 例 を ご 紹 介 くだ さ る こ と で し ょ う。 本 日 の シ ン ポ ジ ウ ム が 興 味 深 く、
実 りあ る もの に な る こ と を 心 よ り祈 念 い た し ま す 。
司 会 :あ りが と う ご ざ い ま す 。 こ の 企 画 は 、 昨 年 、 私 が ドイ ツ 文 化 セ ン タ ー に ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん の 本 を 持 っ て い っ て 相 談 した こ と か ら始 ま っ た わ け で す 。 今 回 、 招 聘 と 会 場 の 準 備 な ど 、 い ろ い ろ な 面 で ご 協 力 い た だ い て お り ま す 。 あ りが と う ご ざ い ま す 。
全 体 の 流 れ を も う 一 度 確 認 した い と思 い ま す 。 開 催 が 少 し遅 れ ま した け れ ど も、 基 調 講 演 を 時 間 ど お り13時20分 か ら 始 め さ せ て い た だ き ま す 。 ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん 、 仙 田 さ ん の お 話 の あ と 、15時40分 か ら20 分 間 ほ ど 休 憩 を 予 定 して お り ま す の で 、 そ の 間 に 質 問 等 を 出 して い た だ け た ら と 思 い ま す 。 後 半 の 第2 部 で は パ ネ リ ス トの 皆 さ ん と デ ィ ス カ ッ シ ョ ン を し ま す が 、 そ の コ ー デ ィ ネ ー トは 卯 月 さ ん に お 願 い し
ま す 。 デ ィ ス カ ッ シ ョ ンは17時50分 ま で に 終 え て 、18時 閉 会 と した い と 思 い ま す 。 進 行 の 中 で 変 更 が あ り ま し た らお 許 し い た だ き た い と 思 い ま す 。
Ⅱ. 基 調 講 演
司 会 :そ れ で は 、 基 調 講 演 の 部 に 入 り た い と 思 い ま す 。 基 調 講 演 を して い た だ き ま す ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん は 、 ドイ ツ を 代 表 す る 学 校 建 築 の 建 築 家 で も あ り、 日本 で もペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん の 作 品 を 紹 介 す る、 『子 ど も た ち が 学 校 を つ く る (Kinder Bauen Ihre Shule) 』 が 来 年 夏 に 出 版 さ れ る 予 定 で す 。 そ の 本 に あ る ゲ ル ゼ ン キ ル ヘ ンの 総 合 学 校 は 、 日本 の 文 部 科 学 省 に あ た る ドイ ツ の 教 育 ・ 科 学 省 の ホ ー ム ペ ー ジ に も 「未 来 の 学 校 」 と して 紹 介 さ れ て い ま す 。 そ う い う 面 で も非 常 に 注 目 さ れ
る 建 築 家 で あ り、 作 品 は い ろ い ろ な 大 き な 意 味 を 持 っ て い ま す 。 ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん は そ れ だ け で は な くて 多 彩 な 顔 を 持 っ て い ま して 、 特 に 環 境 に 関 心 の あ る 建 築 家 に は 「太 陽 旋 回 住 宅 」 な ど で も 知 られ て い ま す 。 そ の 前 に は 「カ ー サ ・ ノバ 」 と い う プ レ フ ァ ブ ユ ニ ッ トを 考 案 さ れ 、 建 築 生 産 の 面 で も知 られ る 方 で す 。 そ して 、 ユ ー ザ ー 参 加 、 ク ラ イ ア ン ト参 加 の 展 開 を して 、 青 少 年 施 設 で も、20年 経 っ て も子 ど もた ち の 落 書 き や 破 壊 行 為 が な い と い う、 す ば ら し い 建 物 の 建 設 過 程 で 、 青 少 年 参 加 展 を 行 っ て い ま す 。
後 ろ の ほ う に ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん の 著 作 や 作 品 集 が 置 か れ て い ま す が 、 イ ギ リ ス の 建 築 家 で あ り評 論 家 で あ る ピ ー タ ー ・ブ ラ ンデ ル ・ジ ョー ン ズ が ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん の 作 品 集 を ま と め て い ま す 。 そ れ が 『社 会 過 程 と して の 建 築 (Building as Social Process) 』 で 、 独 英 併 記 で 書 か れ て い ま す が 、 「建 築 が 社 会 を 変 え て い く。 つ く っ て い く」 と い う こ と を 提 案 し て 実 践 して い る と い う こ と で は 世 界 で 唯 一 で は な い か と ピー タ ー ・ブ ラ ンデ ル ・ジ ョー ン ズ も 書 い て い ま す 。 そ う い う 面 で 非 常 に 多 彩 で あ り、 社 会 に い ろ い ろ な 大 き な 提 案 を さ れ て い る 建 築 家 で す 。
そ れ で は 、 ペ ー タ ー ・ ヒ ュ ー ブ ナ ー さ ん 、 よ ろ し くお 願 い し ま す 。
基 調 講 演1
ド イ ツ の エ コ ス ク ー ル
〜 子 ど も た ち が つ く る エ コ ス ク ー ル な ど 〜
ペ ー タ ー ・ヒ ュ ー ブ ナ ー (シュトゥットガルト大学教授)
は じ め に
皆 様 、 こ ん に ち は 。 き ょ う は 東 京 で 私 の 建 築 活 動 に つ い て お 話 し さ せ て い た だ き ま す こ と を た い へ ん う れ し く思 っ て お り ま す 。 皆 様 、 よ う こ そ お 越 し くだ さ い ま した 。 こ れ か ら皆 様 と も た い へ ん 興 味 深 い 議 論 を さ せ て い た だ け れ ば と 思 っ て お り ま す 。
ス ラ イ ド2
ス ラ イ ド3
ス ラ イ ド4
ま ず 初 め に 、 生 後3週 間 の 私 の 孫 で す 。 こ れ か ら将 来 に 向 け て 必 要 な もの が 育 ま れ て い くの で し ょ う。 見 る こ と 、 手 で 触 れ る こ と と い っ た 五 感 が あ り ま す ね 。
我 々 は 、 子 ど も と 一 緒 に 参 加 型 で 学 校 を つ く っ て い き ま す が 、 子 ど も は 我 々 と 考 え 方 が 違 い ま す の で 、 私 は 、 子 ど もの ニ ー ズ に 応 え な が ら 建 築 を して い ま す (ス ラ イ ド2) 。
孫 は2歳 に な り、 だ ん だ ん 自 立 して い き ま す 。 ど う い っ た 将 来 に な る か わ か らず 、 不 安 に か られ る 将 来 か も しれ ま せ ん が 、 彼 女 は こ れ か ら 将 来 に 向 け て ど ん ど ん 成 長 して い き ま す 。 そ の た め に は 建 築 が 大 き な 役 割 を 担 って い か な け れ ば な らな い わ け で 、 建 築 を 変 え て い か な け れ ば な り ま せ ん (ス ラ イ ド3、4) 。
子 ど もの た め の 建 築 を して い く と き に 重 要 な こ と は 、 子 ど も は ど れ だ け 大 き な もの か 、 ど う い っ た 意 味 を 持 つ の か 、 と い う こ と で す 。 た と え ば 、 実 際 に 子 ど も た ち の 体 力 や 体 格 を よ く しな け れ ば な り ま せ ん
(ス ラ イ ド5、6) 。
生 き て い くた め に は 、 当 然 の こ と な が ら衣 服 や 家 が 必 要 に な り ま す 。 昔 は 人 間 は も っ と 厚 い 皮 膚 を 持 ち 、 毛 が 体 中 を 覆 っ て い ま した が 、 そ れ が な くな る と 、 衣 服 と 家 が 必 要 と な っ て き ま す 。 ま た 、 精 神 的 に も 社 会 的 に も 家 が 必 要 に な り、 家 が 最 も重 要 な 存 在 に な り ま す 。 そ う い う こ と で 人 間 は 家 に 住 む こ と が で き る よ う に な り ま す (ス ラ イ ド7) 。 そ して 、 徐 々 に こ う い っ た よ う な 建 築 が な さ れ ま す 。 将 来 の 学 校 で
す が 、 こ れ は た い へ ん 有 名 な ス イ ス の 学 校 で す (ス ラ イ ド8) 。
私 の 孫 が 将 来 に 向 か っ て 夢 を 持 っ て 生 き て い け る よ う な 学 校 を つ く っ て い か な け れ ば な らな い わ け で す が 、 こ う い っ た 荒 涼 と した 感 じの 学 校 もつ く られ て い ま す 。 疎 外 感 を 生 む よ う な コ ン ク リー トの 学 校 で 、 ど こ が 入 口 な の か わ か らな い 。 建 築 家 で あ り評 論 家 で あ る ア レ キ サ ン ダ ー が 言 っ て い る こ と と ま っ た く反 対 の 学 校 が 実 際 に は ドイ ツ で もつ く ら れ て い ま す 。 こ う い っ た 背 景 か ら、 私 は 「子 ど も に や さ し
い 建 築 」 を し よ う と した の で す 。
美 的 な 建 物 を つ く り、 簡 単 な 形 態 に して 、 しか し、 人 間 的 な も の は ま っ た くな くな っ て し ま っ て い る わ け で す が 、 残 念 な が ら 、 こ う い っ た 建 物 を つ く っ た 建 築 家 は 建 築 の 賞 を 受 け て い ま す 。
こ の よ う な 殺 風 景 な 学 校 で す 。 こ れ が 入 口 で す 。 ど こ が 入 口 な の か わ か ら な い よ う な 学 校 で す 。 塀 が あ っ て 、 こ こ に ま た 入 口 が あ っ て 、 も う 一 つ こ こ に 入 口 が あ り ま す 。 「入 口」 と 書 い て あ る か も しれ ま せ ん け れ ど も 、 ど う や っ て 開 け た ら い い の か もわ か り ま せ ん 。 こ の 棒 を 上 げ て 入 口 を 開 け て 入 っ て い か な け れ ば い け な い と い う よ う な 非 人 間 的 な 構 造 に な っ て い ま す 。 で す か ら、 我 々 は 、 子 ど もの た め に 、
ま っ た く反 対 の もの を つ く っ て い か な け れ ば な り ま せ ん (ス ラ イ ド9〜13) 。
ス ラ イ ド5スライド6 ス ラ イ ド7
ス ラ イ ド8 ス ラ イ ド9スライド10
ス ラ イ ド11 ス ラ イ ド12 ス ラ イ ド13
こ れ は 典 型 的 な 学 校 の 廊 下 だ と 思 い ま す 。 ま っ た く生 き る 喜 び が な く な っ て し ま う よ う な 廊 下 で す
(ス ラ イ ド14)。
こ の 階 段 も 非 人 間 的 な 光 が 使 わ れ 、 左 も右 も上 も下 も す べ て コ ン ク リー トで 囲 ま れ た 非 人 間 的 な 空 間 に な って い ま す (ス ラ イ ド15)。
私 の 孫 の ミア ち ゃ ん で す が 、 彼 女 に と っ て ど う い っ た もの が い い 廊 下 な の か 、 ど う い っ た もの が い い 学 校 な の か 、 と い う こ と を 考 え て い き ま す と 、 私 は 現 状 を 理 解 す る こ と が で き ま せ ん 。 こ れ か らの 子 ど も に と っ て 、 ま っ た く違 っ た 建 築 が 必 要 で 、 そ の た め に は た く さ ん の 可 能 性 が あ る と 思 い ま す (ス ラ イ
ド16)。
ドイ ツ 語 で はerfassen( 理 解 す る 、 つ か む ) と い い ま す が 、 人 間 の 手 は 最 も よ い 手 段 で あ り、 こ の 手 を 用 い て 建 物 を つ く る こ と が で き ま す 。 そ して 、 手 を 用 い る こ と に よ っ て 、 何 が い い もの な の か 、 と
い う こ と を 感 じ取 る こ と が で き ま す (ス ラ イ ド17)。
非 常 に よ い も の と は 、 こ う い っ た ダ ン ボ ー ル で は な い で し ょ う 。 こ れ は メ キ シ コ シ テ ィの ホ ー ム レ ス の 住 ま い で す (ス ラ イ ド18)。
プ ロ ジ ェ ク ト :青 少 年 の 家
人 間 は 粘 土 を 使 っ て 、 手 を 用 い て 空 間 を つ く る こ と が で き ま す (ス ラ イ ド19)。
我 々 は 様 々 な プ ロ ジ ェ ク トを 行 っ て き ま した 。 ヨ ー ロ ッパ 、 ア フ リ カ 、 日 本 で もそ う で し ょ う け れ ど も、 手 で 粘 土 や 石 を 使 い ま す 。 青 少 年 は 自 分 た ち の 手 で 「青 少 年 の 家 」 を つ く っ て い ま す (ス ラ イ ド20
ス ラ イ ド14 ス ラ イ ド15 ス ラ イ ド16
ス ラ イ ド17 ス ラ イ ド18
〜22)。
イ ギ リ ス の 建 築 家 で あ る ワ ル タ ー ・ゼ ー ガ ー が 言 う よ う に 、 素 人 で も最 も 小 さ な 工 具 を 使 う だ け で 家 を つ く る こ と が で き ま す (ス ラ イ ド23)。
私 の 大 学 で30年 ほ ど 前 か ら教 え 始 め た の で す が 、 青 少 年 は 消 費 す る こ と を 知 っ て い ま す し、 い ろ い ろ な こ と を 知 っ て い ま す 。 我 々 の 社 会 は 消 費 社 会 に な っ て い ま して 、 デ ジ タ ル 化 し、 コ ン ピ ュ ー 夕 が あ り、
プ レイ ス テ ー シ ョ ンが あ り、 テ レ ビ が あ り、 モ ノ が 氾 濫 して い ま す が 、 青 少 年 は 「つ く る 」 こ と を 知 ら な い と思 い ま す 。 手 を 使 っ て 、 人 間 的 な もの を 使 っ て 、 社 会 的 な 観 点 か ら何 か を つ く っ て い く こ と を 知
らな い わ け で す 。
私 は 、 大 学 を 辞 め た あ と も、 こ れ を や っ て い か な け れ ば い け な い と思 い ま し た 。 脳 科 学 者 、 心 理 学 者 、 人 間 行 動 学 者 な ど が 様 々 な 経 験 を して い ま す け れ ど も 、 何 か を 行 う こ と と 感 じ る こ と に は 大 き な 相 関 関 係 が あ り ま す 。
そ こ で 、 我 々 は 、1980年 に シ ュ ト ゥ ッ トガ ル トで30人 の 学 生 と 一 緒 に 学 生 寮 を つ く り ま した (ス ラ イ ド24〜26) 。
ス ラ イ ド19 ス ラ イ ド20 ス ラ イ ド21
ス ラ イ ド23 ス ラ イ ド24
ス ラ イ ド25 ス ラ イ ド26
私 の こ う い っ た プ ロ ジ ェ ク トを 、 建 築 家 の ピ ー タ ー ・ブ ラ ンデ ル ・ ジ ョー ン ズ さ ん が 著 書 で 紹 介 して い ま す 。 学 生 に 学 生 寮 を つ く らせ る と い う 活 動 は 非 常 に す ば ら し い もの で あ る と 評 価 さ れ た わ け で す
(ス ラ イ ド27、28) 。
「つ く る 」 と い う こ と は 、 た だ 単 に 技 術 的 な プ ロ セ ス で は あ り ま せ ん 。 学 生 が グ ル ー プ 内 で の チ ー ム ワ ー ク で 社 会 的 な 行 動 や 社 会 的 な 能 力 を 勉 強 して い く場 に も な る わ け で す 。 世 界 の 至 る と こ ろ で 、 家 を つ く る こ と は コ ミュ ニ テ ィの 中 で 行 う 活 動 に な って い き ま す 。 人 間 は 自 分 の 家 を つ く っ て き ま した が 、 つ く りた い 、 や りた い 、 自 分 の 家 を 持 ち た い 、 と い う こ と は 人 間 の 持 っ て い る 能 力 で あ り、 潜 在 的 な 本 能 で あ り、 人 間 は だ れ で あ っ て も、 自 分 の 手 で 自 分 の 家 を つ く る 能 力 を 備 え て い る と 思 い ま す 。 当 然 、 う ま い 人 も下 手 な 人 も い る か も しれ ま せ ん け れ ど も 、 こ れ が 我 々 の 本 能 だ と 思 い ま す 。 二 人 の 日本 人 が 参 加 した 青 少 年 の 家 を つ く る プ ロ ジ ェ ク トは 、 多
くの 日 本 人 の 注 目 を 浴 び て い ま す 。 青 少 年 の 家 は 青 少 年 が 協 力 して つ く る の で 、 資 金 は そ れ ほ ど 要 らな い し、 破 壊 行 為 も ま っ た く行 わ れ ま せ ん で し た 。 「私 た ち が 愛 情 を も って つ く っ た 」 と い う メ ッ セ ー
ジ を こ の 家 が 発 して い る わ け で す 。
プ ロ ジ ェク ト :ゲ ル ゼ ン キル ヘ ンの 総 合 学 校
ドイ ツ で は プ ロ イ セ ンの 時 代 、 学 校 は 「教 え 込 む 場 所 」 と 理 解 さ れ て い ま し た 。 日 本 で も お そ ら く 同 じだ っ た と 思 い ま す が 、 プ ロ イ セ ン の 時 代 は 、 学 校 は 規 律 や ル ー ル を 学 ぶ 場 所 で した 。 今 の 考 え 方 は か な り違 っ て き て い る と 思 い ま す 。
私 の 孫 の ミア ち ゃ ん で す が 、 自 立 し、 自 己 形 成 の た め に 学 校 と い う 場 が あ る と 考 え られ て い ま す 。 こ の よ う な 学 校 は 、 今 は 「生 活 の 場 」 に な っ て い ま す (ス ラ イ ド30)。
た と え ば 、 ゲ ル ゼ ンキ ル ヘ ンの 学 校 で は 特 別 な 形 の プ ロ ジ ェ ク トが 行 わ れ ま した 。 こ れ に つ い て は 、 あ と で ま た お 話 し さ せ て い た だ き ま す け れ ど も、 国 際 コ ンペ が 行 わ れ 、 我 々 は 優 勝 す る こ と が で き ま した 。 我 々 は 、 た い へ ん 勇 気 の あ る モ ッ トー を 掲 げ ま し た 。 つ ま り、6年 間 、 学 校 の 教 室 を つ く る と き に 「生 徒 が 建 築 に 参 加 す る 」 と い う モ ッ トー を も って コ ンペ に 参 加 した わ け で す 。 非 現 実 的 な 考 え 方 だ った の か も しれ ま せ ん が 、 我 々 は 、 コ ンペ か ら40年 後 の 未 来2034年 に 向 け て 、 数 十 年 後 に 向 け て 生 徒 の 参 加 が 必 要 で あ る と 思 っ た の で す 。 そ の 中 で 「環 境 が ど れ だ け
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ス ラ イ ド30
重 要 な の か 」 と い う こ と を 教 え て い こ う と した わ け で す 。 そ して 、 参 加 した 生 徒 の 一 人 が 未 来 の 自 分 に つ い て 、 「僕 は 学 校 を 卒 業 して 、 環 境 の 仕 事 を す る よ う に な り、40年 後 ヨ ー ロ ッパ 環 境 賞 を 受 賞 す る 。」
と 宣 言 して い ま す 。 我 々 は 、 子 ど も た ち に 環 境 の 大 切 さ を 教 え る と と も に 、 将 来 の 夢 と 目 標 を も た せ て 40年 後 の2034年 の 未 来 図 を も っ て プ ロ ジ ェ ク トに 臨 み ま し た 。
子 ど もが 、 孫 が 、 そ の 子 ど もが 、 孫 の 孫 が 本 当 に 環 境 的 な 存 在 に な っ て い く た め に は 、 調 和 を しな が ら 自 然 と 一 緒 に 暮 ら して い か な け れ ば な り ま せ ん 。 そ の 将 来 の た め に も、 我 々 は 自 然 を 保 存 して い か な け れ ば な り ま せ ん 。
我 々 の プ ロ ジ ェ ク トで は900人 の 子 ど も が6年 間 参 加 し ま した 。 具 体 的 に ど う い う 形 で や っ て い っ た の か と い う こ と で す け れ ど も、 ま ず 初 め に 我 々 が や っ た こ と は 、 自 分 た ち の モ デ ル を1:10の 縮 尺 で 粘 土 で つ く る こ と で す 。 粘 土 は 、 か な り昔 か ら使 わ れ て い る 原 始 的 な 材 料 か も しれ ま せ ん が 、 粘 土 を 一 度 手 に す る と 、 本 当 に 心 地 よ く肌 に や わ らか い 材 料 だ と い う こ と を 理 解 して い た だ け る と 思 い ま す 。 我 々 は 、 こ の 粘 土 を 使 っ て 人 形 を つ く り、 こ の 人 形 が 生 徒 な の で す 。 自 分 た ち が1:10の 縮 尺 の 自 分 た ち を 粘 土 で つ く っ て い っ た わ け で す 。30人 の 子 ど も は 、 自 分 た ち で つ く っ た と い う こ と で 、 す ご く 自 負 を 感 じて い ま した 。2時 間 と い う 短 時 間 で こ れ だ け の もの が で き 上 が っ た わ け で 、 子 ど も は こ れ で か な り 自
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ス ラ イ ド35 ス ラ イ ド36
ス ラ イ ド37
信 を つ け ま し た 。 「う ま く い っ た な 」 と 感 じ て い た よ う で す 。 自 分 た ち の 手 で 何 か を つ く り上 げ 、 成 し 遂 げ た 、 と い う こ と で 満 足 感 に 満 ち て い ま した 。 こ れ は 最 善 の 教 材 で あ り教 育 だ と 思 い ま す 。 子 ど も に
「自 分 た ち で 何 か が で き る 」 と い う こ と を 教 え て い く こ と は た い へ ん 重 要 な こ と だ と 思 い ま す (ス ラ イ ド31〜37) 。
次 の ス テ ッ プ と して 、 そ れ で は1:1の 人 形 を ど う や って つ くれ ば い い の か と い う こ と で 、 み ん な で ア イ デ ア を 出 して 、 そ れ を す べ て 黒 板 に 描 い て い き ま し た 。 ア イ デ ア の い くつ か は 抽 象 的 な も の で あ り、
ま た 具 体 的 な も の で もあ り ま した 。 実 際 に ど う い っ た コ ンセ プ トに な っ て い くの か と い う ア イ デ ア を み ん な で 出 し合 い ま した (ス ラ イ ド40、41) 。
木 を ど う や っ て 使 え ば い い の か と い う こ と で 、 み ん な 、 ほ と ん ど 建 築 学 科 の 学 生 の よ う で す 。 ま ず 初 め に 木 を 使 っ て1:10の 縮 尺 で モ デ ル ハ ウ ス を つ く り ま し た 。 み ん な 、 本 当 に 満 足 し、 す ご く う ち と け た 雰 囲 気 に な り、 しか し、 子 ど も た ち は10歳 で し た が 、 真 面 目 に プ ロ ジ ェ ク トに 取 り組 ん で い き ま し た 。 図 工 が 不 得 意 の 女 の 子 も い ま しが 、 全 員 の チ ー ム ワ ー ク で モ デ ル ハ ウ ス を つ く る こ と が で き ま した 。 こ れ が ゲ ル ゼ ンキ ル ヘ ンの 学 校 で す (ス ラ イ ド45〜51) 。
ス ラ イ ド40 スライド41ス ラ イ ド45
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そ れ か ら、 時 間 を か け て 階 段 と か 家 具 もつ く っ て い き ま した 。 み ん な 、 子 ど もた ち が や っ た わ け で す
(ス ラ イ ド52〜54) 。
こ れ が 完 成 した 建 築 物 の モ デ ル で す 。 こ の 建 物 を 目 に して 、 我 々 建 築 家 は こ れ を 実 用 化 しな け れ ば い け な い と い う こ と に な り、 五 つ の 建 物 を 並 べ 、 そ れ ぞ れ が ど こ に 属 す る もの か 、 ど の よ う な 組 み 合 わ せ が い い か と い う こ と を 考 え ま した (ス ラ イ ド55〜59) 。
こ の ワ ー ク シ ョ ッ プ の と き は5人 の 建 築 家 が 参 加 し、 私 が 代 表 と い う こ と で 、5人 が そ れ ぞ れ 分 か れ て 、 子 ど もた ち の グ ル ー プ と 一 緒 に さ ら に 検 討 を 重 ね 、 実 際 に 建 築 可 能 な 計 画 に ま と め て い き ま し た 。 一 つ 一 つ の ク ラ ス に 建 築 家 が つ い て
、 生 徒 の 考 え 方 を 多 少 は 誘 導 し、 ま と め て い く と い う 役 割 を 果 た し ま した 。
そ の あ と に 必 要 な こ と は 具 体 的 な 職 人 の 作 業 で 、 生 徒 は 軽 作 業 や 棟 上 げ 式 に 参 加 し ま し た 。 こ れ は 大 講 堂 の 棟 上 げ 式 で す (ス ラ イ ド60〜62) 。
建 築 の 進 展 自体 、 本 当 に 生 き 生 き と した プ ロ セ ス で し た 。 生 徒 や 両 親 の 参 加 を 得 て 、 「自分 の 世 界 が い ま こ こ に 生 ま れ つ つ あ る。 そ こ に 参 加 を して い る ん だ 」 と い う 意 識 を 持 て た こ と が 最 も大 事 だ っ た と
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思 い ま す 。 職 人 の 仕 事 も す ぐ近 くで 見 ま した し、 お じ い ち ゃ ん も 来 て くれ ま し た (ス ラ イ ド63〜67) 。 ゲ ル ゼ ンキ ル ヘ ンで は 、 生 徒 は 階 段 な ど を ち ょ っ と 手 伝 っ た だ け で 、 基 本 的 に は 職 人 が つ く っ て くれ
ま した 。 そ れ 以 前 に 、 完 全 に 子 ど も た ち が 自 分 で つ く っ た ケ ー ス も あ り ま す 。 こ の ケ ー ス の 場 合 は 、 子 ど もた ち が 全 部 を や っ た わ け で は あ り ま せ ん け れ ど も、 「自 分 た ち の も の 」 と い う 感 覚 を 持 つ こ と が で き ま し た 。 つ ま り、 計 画 の 段 階 で 生 徒 を 積 極 的 に 参 加 さ せ た こ と で 、2年 間 、 実 際 に 現 場 で 苦 労 して 働 か せ る こ と を しな くて も 、 建 物 と の 間 の ア イ デ ンテ ィ テ ィ を 実 現 す る こ と が で き ま した 。
こ れ は ドイ ツ の や り 方 で す け れ ど も、 「庭 」 が 非 常 に 大 事 な 役 割 を 持 っ て い ま す 。 校 庭 は 非 常 に 重 要 で 、 日本 で は こ の 点 は ち ょ っ と 違 っ て い る と 思 い ま す 。 日本 の ほ う が 進 ん で い て 、 生 徒 が 植 物 の 手 入 れ な ど を して い る よ う で す が 、 こ れ か ら ドイ ツ は そ う い っ た 点 で も っ と 進 ん で い くべ き だ と 思 い ま す 。 こ の 学 校 は 本 に もな っ て い る 建 物 で す け れ ど も、 潜 水 艦 の よ う な 小 さ な 形 に な っ て い ま す 。 こ の 本 は 地 下 鉄 で 読 め る 程 度 の 本 で す の で 、 ぜ ひ ご 覧 くだ さ い (ス ラ イ ド68)。
こ れ が 全 体 図 で 、 こ こ が 中 央 で す 。 い ま 示 し た と こ ろ が そ れ ぞ れ の 学 年 の 教 室 に な って い ま す (ス ラ イ ド69)。
スライド60ス ラ イ ド61スライド62
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日 本 か ら新 しい 友 人 が ゲ ル ゼ ンキ ル ヘ ン に 来 て くだ さ い ま した 。 同 じ建 築 家 の 友 人 と して 、 同 僚 と して 、 こ こ で つ く られ た 学 校 が い か に 生 き 生 き と 存 在 して い る か と い う こ と を 見 て くだ さ っ た の は 、 我 々 に と って 初 め て の こ と で 、 た い へ ん う れ し く思 い ま した 。 当 初 、
こ れ は ユ ー トピ ア 的 な 考 え 方 で あ る と 言 わ れ た もの が 、 子 ど もの 力 を 信 じ る こ と に よ っ て 実 現 した わ け で す (ス ラ イ ド70)。
こ れ は 平 面 図 で 、 そ れ ぞ れ の 棟 が ど う 配 置 さ れ て い る か と い う こ と が わ か り ま す 。 中 に 目 抜 き 通 りの よ う な 形 で 建 物 が 配 置 さ れ て い ま す が 、 こ れ は ドイ ツ で モ デ ル 的 な 意 味 を 持 って い ま して 、 街 が つ く られ て い る よ う な 構 成 に な っ て い ま す (ス ラ イ ド71)。
ル ー ル 地 方 は 、 か つ て は 炭 鉱 産 業 が 非 常 に 重 要 で した が 、 ビ ス マ ル ク 時 代 に は ゲ ル ゼ ンキ ル ヘ ンの 人 口 の3割 ぐ ら い が トル コ 人 で 、 子 ど も も3割 以 上 が トル コ 人 の 子 ど も た ち で し た 。 そ こ で 、 トル コ 人 、 ドイ ツ 人 、 イ ス ラ ム 教 徒 と い っ た 様 々 な 背 景 を 持 っ た 人 た ち を 統 合 す る よ う な 、 多 文 化 ・多 宗 教 の プ ロ テ ス タ ン トの 学 校 を つ く る こ と に な り ま した 。 さ ら に 「環 境 に 配 慮 す る 」 と い う コ ンセ プ トを も っ て つ く られ た の が こ の 学 校 で す 。
具 体 的 に 記 述 さ れ て い る 歴 史 な ど の ほ か に、 そ こ に 沼 が あ る と か 、 学 校 で 起 き て い る こ と を 子 ど もた ち が 日 々 体 験 して 、 学 校 と い う 建 物 の 中 で 子 ど も た ち が 自 分 の 命 を 営 ん で い く と い う こ と に 成 功 した
と 思 って い ま す 。
学 校 と い う 場 所 は 、 子 ど も に と っ て 「二 番 目 の 故 郷 」 で 「自 宅 と 同 じ よ う な 感 覚 を 持 て る 場 」 で あ る べ き だ と 考 え ま した 。 「自 宅 に い る よ う な 気 に な る 」 建 物 が 正 しい 建 物 で あ る と 考 え て い ま す 。 休 暇 で い ろ い ろ な と こ ろ に 行 き ま す と、 「家 に い る 」 と い う感 覚 は な か な か つ か み に く い の で す け れ ど も 、 学 校 や 幼 稚 園 は 一 日の う ち の 長 い 時 間 を 過 ご す と こ ろ で す の で 、 そ う い っ た と こ ろ で あ れ ば こ そ 、
自 宅 に い る よ う に 感 じ られ る 建 物 が 大 事 だ と 考 え ま した 。
こ の 建 物 は 、 大 量 生 産 品 で は な く、 そ れ ぞ れ の 個 人 の 希 望 が 満 た
さ れ る よ う な 建 物 に な っ て い ま す 。 た と え ば 、 私 の 趣 味 に 合 っ た 私 の た め だ け の 洋 服 が 欲 し い わ け で す が 、 建 物 に つ い て も 同 じ で す 。 で す か ら 、 「建 物 は 個 性 的 で あ る べ き だ 」 と い う 考 え が こ こ で 非 常 に 重 要 な 意 味 を 持 っ て い ま す 。 多 民 族 で 多 文 化 で 、 様 々 な 宗 教 の 子 ど も た ち が 集 ま る と こ ろ で あ る と 考 え た わ け で す 。
こ の 学 校 は 、 一 つ の 大 き な 建 物 で は な く、 い くつ か の 棟 に 分 か れ て い ま す 。 こ れ は シ テ ィ ホ ー ル (公 会 堂 )、 こ れ は 市 役 所 、 市 の 公 会 堂 み た い な 役 割 を 果 た す も の で 、 た と え ば 、 トル コ 人 の 両 親 が 集 ま っ
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ス ラ イ ド76
て 、 子 ど も と 一 緒 に 何 か を し ま す 。 次 の 建 物 は 食 堂 で 、 い ち ば ん 右 側 の 棟 で は よ く音 楽 を す る こ と も あ り ま す (ス ラ イ ド76)。
私 の 事 務 所 の ス タ ッ フ の シ ロ タ ア キ コ さ ん は 、 私 の と こ ろ で 建 築 を 学 ん で い ま す が 、 「本 当 に 個 性 的 な 街 を つ く っ て い くた め に は 」 と い う こ と で い ろ い ろ な こ と を 考 え ま した 。 何 が 必 要 か と い う と 、 大 き な プ ロ ジ ェ ク トで あ っ て も小 さ な 部 分 に 分 割 して い く と い う 積 極 的 な 勇 気 で あ り、 そ れ 以 外 の も の は そ れ ほ ど必 要 な い と い う こ と で す 。 つ ま り、 大 き な プ ロ ジ ェ ク トの 場 合 に は 一 つ の 大 き な 建 物 を つ く っ て し ま い が ち で す が 、 そ う で は な くて 、 そ れ を 細 か く分 け て 、 私 の 事 務 所 に は た く さ ん の ス タ ッ フ が い ま す の で 、 一 人 一 人 の 建 築 家 が そ れ ぞ れ の 部 分 を 担 当 し て 、 「こ こ は 君 の 家 だ 」 と い う 意 識 で 、 そ れ ぞ れ の 責 任 に よ っ て つ く っ て い き ま す 。
そ の よ う に して 全 体 の 建 物 が で き た わ け で す が 、 シ テ ィ ホ ー ル も あ れ ば 、 劇 場 もあ れ ば 、 市 役 所 も あ り ま す 。 薬 局 に は 薬 品 が 置 い て あ り、 実 験 室 で は 物 理 の 実 験 を や っ た り、 ア ト リエ で 芸 術 的 な 作 品 を つ く っ た り し ま す 。 こ の 学 校 の 中 に は 、 有 り と 有 ら ゆ る 様 々 な 機 能 の 部 屋 が 配 置 さ れ て い て 、 普 通 の 学 校 の よ う に 同 じ よ う な 部 屋 が 単 に 並 ん で い る と い う 構 成 と は ま っ た く違 い ま す 。 そ う い う こ と に よ って 独 特 の 雰 囲 気 が 生 ま れ て い ま す 。
一 つ 一 つ の 棟 を 見 ま す と、 そ れ ほ ど費 用 の か か る 建 築 物 で は あ り ま せ ん 。 しか し、そ れ らが き ち ん と 配 置 さ れ る と 、 ひ と つ の 完 成 した 街 に な る と い う こ とで す 。 こ の 建 物 の 中 に 入 っ た 人 は 、 様 々 な 機 能 を 持 っ た 街 の 中 に 入 っ た よ う な 気 分 に な りま す 。 しか し、 事 実 は そ れ ほ ど お カ ネ を か け て は い な い 学 校 で す 。 こ こ は 劇 場 の 部 分 で す 。
学 校 に 入 る と 「学 校 の 中 の 外 」 に な り ま す 。 つ ま り、 学 校 の 中 で あ っ て も屋 外 の 広 場 と い う ス ペ ー ス に な り ます 。 で す か ら、 学 校 の 中 に入 っ た と い う 感 覚 で は な くて 「人 々 が 暮 ら して い る 場 」 に 入 っ た と い う 感 じを 持 ち ま す 。 街 の 暮 ら しの 中 心 は 市 場 が 開 か れ る 広 場 で 、 こ こ が い ち ば ん 大 事 な と こ ろ で 、 広 場 に 接 す る 街 の 様 々 な 部 分 に 対 して 常 に 開 か れ た ス ペ ー ス に な っ て い ま して 、 こ こ か ら ど の 部 分 に も入 っ て い く
こ と が で き ま す (ス ラ イ ド77)。
こ の 広 場 の 上 に 、 あ と か ら考 え られ た も の で す が 、 ナ イ トパ ー ジ の た め に つ く られ た 開 口 部 が あ り ま す 。 テ キ ス トで 、 ど う い っ た 理 論 に な って い る の か と い う こ と が わ か り ま す が 、 こ れ に よ って 夜 間 の 換 気 の ナ イ トパ ー ジ が 図 られ る わ け で す (ス ラ イ ド78)。
ま た 、 学 校 の 外 断 熱 に は20cmの 厚 さ が 必 要 で あ る こ と が ドイ ツ の 法 律 で 決 ま って い ま して 、 そ う し ま す と 、 暖 房 の 費 用 は そ れ ほ ど か か り ま せ ん 。 子 ど もた ち の 発 す る エ ネ ル ギ ー だ け で 十 分 に 暖 か い の で 、 暖 房 は そ ん な に 必 要 は な い の で す が 、 体 育 館 な ど 換 気 を す る 必 要 性 が あ り ま す 。 室 内 の 換 気 の た め の エ ネ ル ギ ー を ど う 節 約 で き る か と い う こ と に な り ま す と 、 自 然 換 気 を 図 る と い う こ と に な り ま す 。 つ ま り、
ス ラ イ ド77
ス ラ イ ド78
必 要 な 熱 エ ネ ル ギ ー の 節 約 に つ い て は 十 分 に 手 当 て が で き る わ け で す 。 そ の 次 に 大 事 な こ と は 建 物 の 照 明 で す 。 あ ま り電 気 を 使 わ ず に 十 分 な 明 る さ を 確 保 す る こ と を 考 え な け れ ば な り ま せ ん 。 こ の 建 物 は 、 こ う い う ふ う に 機 能 して い ま す 。 ま ず 、 建 物 の 下 か ら空 気 を 入 れ て 、 建 物 に は 太 陽 が 降 り注 ぎ 、 換 気 筒 に よ って 自 然 の 換 気 が 図 られ 、 内 部 の 空 気 は 上 か ら逃 げ て い く と い う 構 造 に な っ て い ま す 。 自 然 の メ カ ニ ズ ム が い か に う ま く働 くか と い う こ と は 、 自 然 を よ く見 て い れ ば わ か り ま す (ス ラ イ ド79)。
こ こ は オ ア シ ス の よ う な 場 で す け れ ど も、 我 々 の 建 物 が こ う い っ た 形 で つ く られ て 、 椅 子 が 出 して あ る と い う 構 造 に な っ て い れ ば 、 本 当 の 街 の 中 の 様 子 を こ こ に 写 し取 っ て い る と い う 感 じ に な り ま す 。 つ ま り、 規 則 的 に 配 置 す る と軍 隊 の よ う に 秩 序 正 し くな りす ぎ ま す の で 、 も っ と 自 由 に 並 べ て い ま す (ス ラ イ ド80)。
こ れ は 学 校 の 上 の 方 の 階 で す が 、 イ タ リ ア の トス カ ー ナ の よ う な 雰 囲 気 が あ っ て 、 外 か らの 採 光 が 十 分 に 図 ら れ て い ま す 。 生 徒 も先 生 も お 互 い に 邪 魔 を し な い で 、 そ れ ぞ れ の ク ラ ス の 活 動 が で き る よ う に 、 そ れ ぞ れ の 教 室 が 非 常 に う ま く区 切 られ て い ま す 。 こ れ は13年 前 か ら こ の よ う に な っ て い ま す (ス ラ イ
ド81、82) 。
日 本 で は カ ー テ ンだ け の 仕 切 りで 、 そ れ は す ば ら し い と思 い ま す 。 ドイ ツ で も子 ど も た ち が 日 本 の よ う で あ れ ば 、 も っ と 上 手 に 勉 強 が で き る と 思 う の で す け れ ど も、 ま だ ま だ 離 れ て い る と 思 い ま す 。 こ れ は 食 堂 で 、 椅 子 と テ ー ブ ル の 配 置 は 、 南 ドイ ツ の バ イ エ ル ン風 の レ ス トラ ンの よ う な 感 じに つ く っ て い ま す (ス ラ イ ド83、84) 。
こ れ は 図 書 室 で 、 木 を た く さ ん 使 っ た 建 物 で す 。 木 は 環 境 に 優 し い 材 料 で す し、 省 エ ネ と い う 点 で も 非 常 に 優 れ て い ま す 。 ア ル ミニ ウ ム は 高 す ぎ ま す し、 鉄 筋 は 価 格 的 に は 中 間 と い わ れ ま す が 、 木 を 使 う こ と に よ っ て 非 常 に 多 くの エ ネ ル ギ ー を 節 約 で き ま す 。 と い う の は 、 木 の 場 合 は 建 材 の 製 造 に か か る エ
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ス ラ イ ド82 ス ラ イ ド83 ス ラ イ ド84
ネ ル ギ ー が 一 切 必 要 な い か らで す (ス ラ イ ド85、86) 。 こ れ は 講 堂 で す (ス ラ イ ド87、88) 。
こ れ を 見 ま す と 、 い い 学 校 は い い 街 の よ う な もの で 、 い い 建 物 は 常 に 同 じ特 徴 を 持 って い る こ と が わ か り ま す 。 様 々 な 場 が 組 み 合 わ さ っ て で き て い る と い う こ と で す 。
我 々 の 建 築 事 務 所 は 、 環 境 建 築 と い う こ と で 、 非 常 に 低 コ ス トの 建 築 物 を 実 現 す る と い う こ と で よ く 知 られ て い ま す 。 こ う い っ た 設 計 を 実 現 す る た め に は 、 か な り工 夫 を しな け れ ば な り ま せ ん 。 と い う の
は 、 木 材 の 長 さ は 、 た と え ば20mと か 限 られ て い ま す の で 、 大 き な 講 堂 を 力 学 的 に 支 え る た め に は ど う す る か と い う こ と を よ く考 え な け れ ば な り ま せ ん 。 日 本 の 方 々 と も い ろ い ろ デ ィ ス カ ッ シ ョ ンを し ま した (ス ラ イ ド89)。
こ れ は プ ロ テ ス タ ン ト用 の 礼 拝 場 と い う こ と で は な くて 、 瞑 想 の 部 屋 と 考 え て 、 ア ラ ブ 風 の グ リ ー ン に して い ま す 。 ドイ ツ の 学 校 の 場 合 、4週 間 ぐ ら い す る と 、 き れ い な 部 屋 で も落 書 き で 汚 くな っ て し ま う の が 普 通 で 、 校 内 暴 力 も あ り ま す 。 しか し、 こ の 部 屋 は 特 別 な 部 屋 で な け れ ば い け な い と い う 位 置 づ け で し た (ス ラ イ ド90、91) 。
ス ラ イ ド85 ス ラ イ ド86 ス ラ イ ド87
ス ラ イ ド88 ス ラ イ ド89 ス ラ イ ド90
ス ラ イ ド91 ス ラ イ ド92 ス ラ イ ド93
こ れ は 物 理 の 授 業 を 受 け て い る と こ ろ で す 。 上 を 見 ま す と 、 大 き な 部 屋 で あ っ て も、20mの 木 材 で 十 分 に 解 決 で き る こ と が わ か り ま す (ス ラ イ ド92)。
こ れ は シ ロ タ ア キ コ さ ん が 設 計 した 音 楽 室 で す 。 木 は そ ん な に 分 厚 い もの で は な く、 長 さ も限 られ て い ま す (ス ラ イ ド93)。
こ れ は 工 作 室 で 、 ア フ リカ 風 の デ ザ イ ンで す 。 こ の 内 部 を 見 ま す と、 工 作 に 非 常 に適 し た 空 間 が 広 が っ て い ま す (ス ラ イ ド95)。
こ れ は 体 育 館 で す 。 こ れ ま で た く さ ん の 体 育 館 を つ く り ま した け れ ど も、 フ ラ ン ク フ ル トの あ る 学 校 で 最 初 に つ く り ま し た 。 換 気 の 方 式 は 、 あ る事 務 所 と協 力 して や り ま し た 。 外 気 が 床 か ら取 り込 ま れ て 、 上 か ら 出 て い く と い う 構 想 で した 。 屋 根 の 上 に 出 て い る の は 自 然 採 光 の た め で は な くて 、 建 物 内 の 空 気 を 暖 め て 、 床 の ほ う か ら く る 冷 た い 空 気 を 上 か ら吸 い 出 す と い う よ う な 煙 突 効 果 を 求 め た もの で す 。 そ の よ う に して 自 然 の 換 気 を 図 っ た わ け で す (ス ラ イ ド96)。
床 を 見 る と 、 下 か らの 空 気 の 取 り込 み 口 が あ り ま す 。
上 に 梁 が あ り ま す が 、 体 育 館 全 体 は 、 こ の 梁 が あ る こ と に よ っ て 三 つ に 分 割 す る こ と が で き ま す 。 こ の よ う な や り方 を す る こ と に よ っ て 、 非 常 に 静 か な 体 育 館 が 実 現 し ま した 。 光 が 直 接 目 に 入 る と 、 球 技 の 集 中 力 が 途 絶 え る こ と が あ り ま す け れ ど も 、 そ う い っ た こ と を 防 げ ま す 。 ドイ ツ で は 靴 を 履 い た ま ま 体 育 館 に 上 が っ て い い の で す 。 日 本 と は 違 い ま す ね (ス ラ イ ド97〜99) 。
こ れ が 換 気 の 原 理 で 、 環 境 に 優 しい もの で す 。 地 面 の パ イ プ か ら取 り込 ま れ る 外 気 が 床 の ほ う か ら入 っ て 、 建 物 全 体 に カ ー テ ンの よ う に 広 が っ て い き ま す 。 上 の 空 気 は 暖 め られ 、 煙 突 効 果 で 下 の 空 気 が 上 に 吸 い 寄 せ られ る と い う 形 で 換 気 が 図 られ ま す 。 非 常 に 簡 単 な 原 理 で す (ス ラ イ ド100)。
温 度 に つ い て 説 明 して お き ま す と、 冬 は 外 気 が −10℃ に な り ま す が 、 上 か ら は −4℃ で 出 て い き ま す 。
ス ラ イ ド95 ス ラ イ ド96 ス ラ イ ド97
ス ラ イ ド98 ス ラ イ ド99 ス ラ イ ド100
で す か ら、 特 に 暖 房 を して い な くて も、 か な り暖 か くな って い ま す 。 夏 は30℃ の 空 気 が 取 り込 ま れ 、 上 か ら出 て い く と き は24℃ に な っ て い ま す 。 で す か ら、 外 の 空 気 が30℃ 以 上 に な っ て い て も、 体 育 館 の 中 の 空 気 は と て も心 地 よ い もの に な っ て い ま す 。 も ち ろ ん 新 鮮 な 空 気 で も あ り ま す 。
も う一 度 ま と め ま す と 、 こ れ が 体 育 館 、 こ れ が 各 教 室 で す 。 教 室 は 、 コ ンペ で そ れ ぞ れ の 建 築 家 が つ く る こ と を 考 え 、5ク ラ ス 分 が 一 つ の 棟 に つ く られ て い ま す 。97年 に 設 計 し、98年 に 最 初 の5教 室 が 完 成 し ま した 。5年 間 、 こ の 棟 の 中 で ず っ と 同 じ ク ラ ス で い る わ け で す (ス ラ イ ド101)。
学 校 を 外 側 か ら見 る と 、 デ ン マ ー ク の 休 暇 村 の よ う な 様 相 で す 。 非 常 に 多 彩 で あ る こ と が ポ イ ン トで 、 ど の ク ラ ス も そ れ ぞ れ 個 性 的 で す 。 タ ワ ー が つ い て い る 部 屋 もあ れ ば 、 三 角 屋 根 が つ い て い る 部 屋 も あ り ま す 。 ア ト リエ 風 の ク ラ ス もあ れ ば 、 飛 び 出 し窓 の あ る ク ラ ス も あ り ま す 。 ど の ク ラ ス に も太 陽 光 発 電 を 備 え て お り、 パ ネ ル で エ ネ ル ギ ー を ど れ だ け つ く っ た か と い う こ と を 常 に ウ ォ ッチ す る こ と が で き ま す 。 一 日 の エ ネ ル ギ ー 創 出 量 が わ か る よ う に な っ て お り、 水 の 循 環 な ど も 全 部 授 業 で 取 り上 げ る こ と に よ っ て 、 エ コ ロ ジ ー と エ ネ ル ギ ー の 関 係 を 授 業 の 中 に そ の ま ま 取 り 込 む こ と が で き ま す (ス ラ イ ド 102〜108) 。
ス ラ イ ド101 ス ラ イ ド102 ス ラ イ ド103
ス ラ イ ド104 ス ラ イ ド105 ス ラ イ ド106
ス ラ イ ド107 ス ラ イ ド108