論文内容要旨
論文題名:脳卒中患者における身体失認の静止立位課題への影響
専攻領域:精神障害リハビリテーションとケア領域
氏名:阿部 真理奈
論文内容
【目的】最近,脳のニューロイメージング研究では,姿勢制御には脳内空間地図が重要であ ると指摘された.しかし,脳内空間地図の障害である身体失認と姿勢制御についての研究は 少ない.本研究の目的は,脳卒中患者における身体失認の静止立位課題への影響について検 証することである.
【方法】対象は,閉眼で静止立位保持が30秒可能な脳卒中患者45名とした.静止立位課題 は,開眼・閉眼の二条件で各30秒測定した.測定肢位は対象者の肩幅程度の開脚立位とし 裸足で実施した.身体動揺は足圧分布計を用いて総軌跡長を測定した.データ解析には,身 体失認を有する患者の開眼と閉眼の総軌跡長を比較するために Wilcoxon 符号付順位和検 定を用いた.身体失認を有する患者と有していない患者の開眼・閉眼それぞれの総軌跡長と 総軌跡長のロンベルグ率を比較するためMan-Whitney検定を用いた.なお有意水準は 0.05 とした.
【結果】身体失認を有する患者は開眼・閉眼時の総軌跡長の差が有意に延長した (p=0.001). また,身体失認を有する患者は有していない患者よりも開眼・閉眼それぞれの総軌跡長が有 意に延長した(p=0.001).身体失認を有する患者は有していない患者よりも総軌跡長のロン ベルグ率が有意に増大した(p=0.0045).
【結論】身体失認を有する患者は視覚条件に関わらず総軌跡長が延長する傾向にあった.こ れは,脳内空間地図が姿勢制御には重要であることを示し,身体失認は姿勢制御の問題に関 わる要因として捉えるべき障害の1つであることが示唆された.