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2.地域(在宅)医療・かかりつけ薬局推進

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- 90 - 2.地域(在宅)医療・かかりつけ薬局推進 1)薬局の求められる機能とあるべき姿

分担研究者  吉山  友二  北里大学薬学部  教授

目的

医療の高度化・複雑化、少子高齢社会の進 展に加え、院外処方率が65%を超えるなど 薬剤師を取り巻く環境が大きく変化してい る中、薬局と医療機関が連携してチーム医 療を推進し、医師等の負担軽減、安心・安 全な医療の提供を実現すること、また、近 年「一般用医薬品離れ」、「処方せん調剤偏 重」の傾向にある薬局が、本来あるべき地 域の医薬品供給拠点としての役割を再認識 し、地域における在宅医療の提供と薬局・

薬剤師の医薬品の供給・セルフメディケー ション支援を実施できるようになること等 が、薬局が地域における医療提供施設とし て、住民の健康確保に責任をもつことにつ ながるものと考えられる。

そこで、在宅医療・かかりつけ薬局推進分 担研究班として、本来あるべき「かかりつ け薬局機能をもった在宅医療提供薬局」を 推進するための新たな基準(薬局の求めら れる機能とあるべき姿)を作成し評価する こと、および作成した新たな基準における 薬局のあるべき姿の実現状況や実現するた めに必要なことを薬局の開設者・管理者へ のアンケート調査等を通じて把握すること を目的とする。

1)「薬局の求められる機能とあるべき姿」 

報告書 方法

(1)「薬局の求められる機能とあるべき姿」

の作成

  「薬局業務運営ガイドライン」(平成5年 4 月  厚生労働省)、「安心と希望の医療確 保ビジョン」(平成20年6月  厚生労働省)、 チーム医療の推進について(チーム医療の 推進に関する検討会報告書」(平成 22 年 3 月  厚生労働省)、「日本再興戦略」(平成 25 年 6月)、等をもとに、近年の社会情勢 の変化を踏まえた望ましい形のかかりつけ 薬局を推進するための指針として「薬局の 求められる機能とあるべき姿」を作成した。

在宅医療・かかりつけ薬局推進分担研究班 の全体会議を6回開催し、研究活動方針の 具体的指針、研究進行状況の確認及び研究 者間の調整を行った。さらに、小グループ 会議、メール会議、電話会議を適宜開催し た。

薬局・薬剤師に求められる機能に関する基 本的な考え方として、

① 最適な薬物療法を提供する医療の担い 手としての役割が期待されている

② 医療の質の確保・向上や医療安全の確保 の観点から、医療機関等と連携してチーム 医療に積極的に取り組むことが求められる

③ 在宅医療において、地域における医薬品 等の供給体制や適切な服薬支援を行う体制 の確保・充実に取り組むべきである

④ 医薬品や医療・衛生材料等の提供拠点と しての役割に留まらず、後発医薬品の使用 促進や残薬解消といった医療の効率化につ いて、より積極的な関与も求められる

⑤ セルフメディケーションの推進のため に、地域に密着した健康情報の拠点として

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91 積極的な役割を発揮すべきである

⑥ 患者の治療歴のみならず、生活習慣も踏 まえた全般的な薬学的管理に責任を持つべ きである

ことを念頭におき、薬局が備えるべき基本 的体制及び薬学的管理のあり方について、

確保すべき又は取り組むべき項目を示した。

(2)作成した「薬局の求められる機能とあ るべき姿」の評価

①有識者に対するヒアリング調査

実施期間:2013年10月22日(火)〜2013 年10月25日(金)

評価対象:1)で作成した、かかりつけ薬局 機能をもった在宅医療提供薬局を推進する ための新たな基準案「薬局の求められる機 能とあるべき姿」を評価対象とした。

評 価 者:学識者3名、薬局開設者6名、

病院薬剤部長2名、消費者代表1名の計12 名から評価を受けた。

評価方式:基準案について、評価者個別に インタビュー調査を実施した(一部グルー プインタビュー形式を含む)。

結果

(1)「薬局の求められる機能とあるべき姿」

の作成

「薬局の求められる機能とあるべき姿」を 作成した(資料参照)。

(2)作成した「薬局の求められる機能とあ るべき姿」の評価

①有識者に対するヒアリング調査

(1)全体的な評価

・基準案については「薬局が今後目指すべ き姿」として概ね同意が得られた。

・各論として「1.薬局が備えるべき基本 的体制について」については、在宅医療の 推進、休日・夜間等における緊急時等への 対応の強化、後発医薬品の使用促進、健康 情報拠点としての役割強化等を実践するた めに当然必要な体制であるとの指摘を受け た。地域における医薬品供給体制の整備の 観点から、他の薬局との連携強化の重要性 を指摘する意見が多くみられた。地域に密 着した薬局機能を基に職能団体との連携を 深め、保健医療、薬事衛生、環境衛生に対 する役割を強化することが求められるとと もに、薬剤師としての能力向上に資する生 涯学習への積極的な取組、その効果評価が 重要であるとの指摘もあった。

・次に「2.薬局における薬物療法(薬学 的管理)の実施について」については、薬 剤師による薬学的管理の一環として医師に 対する疑義照会及び処方提案の実践が非常 に重要であるとの指摘があった。また、在 宅医療の取組の推進や後発医薬品の使用促 進は当然推進すべきものであり、特に前者 については、他職種との情報共有がその推 進の要であるとの意見があった。さらに、

処方せん調剤に経営の軸足を置きがちな薬 局の現状を踏まえ、地域住民全体を対象と する健康情報拠点としての役割達成に向け た取組の推進(その前提としての第1類医 薬品を含む一般用医薬品の販売の充実)が 求められた。

(2)各識者からの主な意見

① 学識者

・基準案に示す薬局のあるべき姿を実現す るためには、地域の薬局間の連携の充実が

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92 前提となる。地域の薬剤師会が中心となっ てこの連携を推進し、医師会や歯科医師会 等と協力することにより、薬局による在宅 医療の推進、休日・夜間等における緊急時 等への対応の強化、後発医薬品の使用促進、

健康情報拠点としての役割強化等が可能と なる。また、薬局の連携を支えるための流 通制度等社会システムのあり方の検討が今 後必要となるものと考えられる。

② 薬局開設者

・基準案は薬局が今後実現すべきものであ ることはいうまでもない。今後は、患者と の信頼関係をより確固たるものとして、か かりつけ薬局の機能を強化するとともに、

在宅医療の取組を推進するべきである。ま た、薬局の連携体制を推進することで、地 域医療へ貢献する体制を構築すべきである。

③ 病院薬剤部長

・在宅医療の推進のためには病院薬剤師と 薬局薬剤師の連携(薬薬連携)が非常に重 要である。しかしながら、退院時の地域移

行の際に、患者に関する情報共有はあまり 進んでいないのが現状である。今後は、病 院薬剤部と薬局の定期的な共同研修の実施 等により、患者情報の共有化を進めるとと もに、相互の業務内容の理解に努める必要 がある。

④ 消費者代表

・地域の健康情報拠点として薬局に期待す るところは大きい。しかしながら、薬局の 機能を地域や患者はまだあまり理解できて いないのが現状である。今後は、薬局の機 能、薬剤師の職能に関する情報発信に努め、

その業務の「見える化」を進めることで、

地域における薬局の役割をより明確にする ことが求められる。

  なお、厚生労働省医薬食品局総務課は、

本報告書を各都道府県における適切な医薬 分業及びかかりつけ薬局機能の強化のため に活用するよう通知した(参考資料)。

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(資料)(資料)

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(参考資料)

(参考資料)

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2.地域(在宅)医療・かかりつけ薬局推進分担研究班

2)セルフメディケーションの推進に資する薬局のあり方について 分担研究者:  長谷川  洋一  名城大学薬学部

【研究目的】

  地域包括ケアシステムの構築に当たり、

薬局薬剤師が、かかりつけ医を中心とする 多職種と連携して地域住民の医療・保健に 積極的に関与することが求められている。

そのような中、薬局が、本来のかかりつけ 機能を十分発揮できるようにするために、

地域住民の健康保持・増進に貢献する健康 情報拠点としての薬局に求められることに ついて、薬局の実態調査を実施し、「薬局の 求められる機能とあるべき姿」の報告書に 基づき、健康情報拠点として考えられる役 割、機能を検討する。

【方法】

1.薬局における健康情報提供状況等に関 する実態調査

    本来あるべき「かかりつけ薬局機能を もった健康情報拠点薬局」を推進するため に、薬局における健康情報等の提供状況や、

要指導医薬品・一般用医薬品等の取扱状況 等を把握することを目的として実施した。

1)調査対象

      公益社団法人日本薬剤師会のセルフ メディケーション・サポート薬局(969件)

及び保険調剤・サポート薬局(1,023 件)

の計1,982件を母集団として、計1,000 件

(セルフメディケーション500件、保険調 剤500件)を無作為抽出して調査対象とし た。

2)調査方法

調査方法:対象薬局の開設者又は管理薬剤 師による自記式アンケート調査

    郵送発送・FAX回収(調査票について は、別紙1参照)

調査基準日:平成26年7月1日(火)

実施時期:平成 26年7月31 日(木)〜9 月3日(水)

3)回収状況

図表1-1  回収状況

調査票種類 発送数 回収数 回収率

セルフメディケーション・サポート薬局 500件 223件 44.6%

保険調剤・サポート薬局 500件 277件 55.4%

合    計 1,000件 500件 50.0%

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104 2.健康情報拠点として考えられる役割の 検討

  分担研究班の全体会議を6回開催し、

平成25年度に公表した「薬局の求められ る機能とあるべき姿」を踏まえ、平成 26 年度の調査結果をもとに、議論した。

【結果】

1.薬局における健康情報提供状況等に関 する実態調査

調査結果の概要を別紙2に示す。

2.健康情報拠点として考えられる薬局の 役割の検討 

「薬局の求められる機能とあるべき姿」に おける役割と地域包括ケアシステムにお いて今後担うべき薬局の役割を踏まえる と、健康情報拠点としての薬局の基本的な 機能は以下のことが考えられる。

・調剤による薬剤の提供はもとより、要指 導医薬品・一般用医薬品等の適正な使用に 関する助言や健康に関する相談、情報提供 を積極的に行う。

・かかりつけ医を中心とした多職種連携の 中で地域に密着した健康情報の拠点とし ての機能を果たす。

・国民の病気の予防や健康づくりに貢献し ている。

また、上記の機能を果たすために具体的に 求められることとしては、調査結果等を踏 まえ、以下の事項が考えられる。

構造・設備等

○  地域住民が要指導医薬品・一般用医薬 品等の適正な使用に関する助言や健康に

関する相談をしやすい環境を作るために は、相談窓口が求められるのではないか。

さらには、健康に関する相談、情報提供等 における患者・薬局利用者とのやりとりが 他の薬局利用者に聞こえないように、パー ティション等で区切るなど、プライバシー に配慮した相談窓口の設置が求められる のではないか。

○  地域住民に薬局で健康情報を相談し ていることを認識してもらうためには、要 指導医薬品・一般用医薬品等の適正な使用 に関する助言や健康に関する相談を積極 的に行っている旨の掲示が求められるの ではないか。

○  近隣の医療機関にあわせた開局時間 では、地域における健康情報拠点として機 能を果たすことが困難であるため、薬局は、

一定時間以上の開局が求められるのでは ないか。

    さらに、平日仕事をしている者等

の相談に応じるためには、土日も含めて一 定時間以上の開局が求められるのではな いか。

○  患者・薬局利用者にとって顔が見える 薬剤師になるためには、患者・薬局利用者 に、薬剤師の氏名、開局時間以外も含めた 直接連絡がとれる連絡先を知らせること

(例えば、名刺の交付)が求められるので はないか。

医薬品、衛生材料の供給体制

○  地域住民が要指導医薬品等について 相談しやすい環境をつくるためには、薬局 における相談や受診勧奨の実績と要指導 医薬品の取扱い数との相関関係を踏まえ て、要指導医薬品等については、一定数以

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105 上の品目数1の取扱いが求められるのでは ないか。

○  衛生材料、介護用品等の提供の拠点と しての役割を果たすために、薬局における 相談の実績と衛生材料、介護用品の取扱い 数との相関関係や現状の薬局における取 扱い数を踏まえて、衛生材料等についても、

一定数以上の品目数 1の取扱いが求めら れるのではないか。

薬剤師の資質

○  要指導医薬品・一般用医薬品等の適正 な使用に関する助言や健康に関する相談、

情報提供を行うために、一定の基準を満た す研修を修了した薬剤師が常駐し健康相 談等に応じることが求められるのではな いか。

○  薬局の管理者(管理薬剤師)は、その 薬局に勤務する薬剤師等を監督しその薬 局の構造設備及び医薬品等の管理等を行 う立場であることから、一定以上の実務経 験等が求められるのではないか。

健康相談・健康づくり支援

○  薬局利用者・患者の健康相談に対して 継続的に相談に乗るためには、薬局は過去 の要指導医薬品等の販売内容や相談内容 の記録や保存が求められるのではないか。

○  地域住民は日頃からテレビや新聞で

「健康」に関する様々な情報にさらされて いる。健康相談に適確に対応するためには、

1  例えば、受診勧奨を含めた薬の選択や 健康に関する相談対応の実績と薬局に おける取扱い品目数の相関関係を考慮 し、要指導医薬品等については600品 目、衛生材料等については100品目が 考えられるのではないか。

薬局は日頃からこれらの情報を収集して 評価することが求められるのではないか。

○  国、地方自治体、関連学会等は、ポス ター掲示、パンフレット配布などにより健 康への啓発活動を行っており、薬局はこの 啓発活動に協力することが求められるの ではないか。

○  地域住民に対して、薬局が健康に関す る取組の情報発信をすることが求められ るのではないか。

○  要指導医薬品等の服用についてもお 薬手帳の活用が求められるのではないか。

かかりつけ薬局としての機能

○  薬局は、かかりつけ医を中心とした地 域包括ケアシステムを構築していく中で、

在宅医療への積極的な参画、面分業による 処方箋応需体制の整備など、例えば、調剤 報酬上における基準調剤加算の要件のよ うな、いわゆるかかりつけ薬局の機能を備 えていることが求められるのではないか。

地域における連携体制の構築

○  地域において、かかりつけ医を中心に 多職種と連携するためには、医療、介護、

行政等と円滑な連携ができるような受診 勧奨や紹介等を適切に行うことが求めら れるのではないか。

○  地域住民に対し、医療、介護、行政の 適切な相談窓口を案内するために、連携先 リスト及びマップの作成、共有が求められ るのではないか。

○  地域において、関連団体と連携するた めには、地域の医師会、歯科医師会、薬剤 師会等との活動又は事業に参加し、地域保 健医療に貢献していることが求められる

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106 のではないか。

その他

○  無薬局町村にて出張健康相談や在宅 薬剤管理指導を行っている場合には役割 や機能において一定の配慮が求められる のではないか。

参照

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