rhe Patar"r,"[ff::/","ciety
oJrapan
轟 剰 鯰
化 イ
= 75, 18‑23, 2004種多様性研究 と古生物学 :間 隙性貝形虫類 を例 として
塚越 哲
静 岡大学理学部生物地球環境科学科
Species diversity and Paleontology:an example ofinterstitia1 0)stracoda
Akira Tsukagoshi
Deparmlent Of Biolog and Geosciences,Faculty of Sciences,Shizuoka Univ∝ siサ
,Oya 836,鋤
izuoka 422¨8529(satukag@ipc.shizuoka.ac.jp)
Abstract.
Our recognition on speci.es diversity is very limited, because the knornm species which have the scientific name are probably only 1 to 2% of all the species that inhabit the eanh. The interstitial fauna is not well-knownin
general butit
contains more than 20 phyla including interstitial Ostracoda. Although research on interstitial Ostracoda started in the 1930's, only seven species have yet been repotted from Japan. The small number of species recognized is merely dependent on the slow progress of research. The lack of recognition of interstitial Ostracoda is so prominent that out of the 19 species identified from two localities by the authot, only one species has been reported in the previous literature. This indicates that the interstitial Ostracoda is the least studied fauna in Japan.But
the Ostracoda has the potential possibilityto
estimate the geohistoryof
interstitial animals because the Ostracoda is only taxon which is preserved as fossil.Understanding
of
species diversityis
oneof
the main problems weface.
Descriptionof
species forms the basementof
it.Key words:
interstitial fauna, species diversity, living fossil, optimum zo'ne, Ostracoda, Crustacea は じめ に地球上 にいる生物 は
,種
数 に して一体何種 くらい になる のだろ うか?こ
の単純 な疑 間について,実
は私 たちはほとん ど解 を持たないでい る。学名 をつ けて 「種」 と私 たち が認識 してい るものは
,20世
紀末 の時点で,動
植物合 わせ て 180万 種 ともいわれてい るが,で
は実在す る種 の数 とな る と,全
く見当がつかない.何
人 かの生物学者 によって,その概数 の算出が試み られてい るが
,そ
の結果 は研究者 に よってまちまちで,数
千万 と答 える者 もいれ ば,ま
た10億以上 と答 える者 もい る とい う。19世 紀 までは
,深
海 に生物 は存在 しない と考 え られていたが,深
海調査 が進 む ととも に,そ
こには私 たちの知 らない彩 しい生物 が生息す ること が明 らかになった。同 じよ うに,極
地方 の氷塊 中,地
下の岩石 中
,熱
水噴出 口周辺 な ど,私
たちが全 く予想 していな かった環境 にも,多 くの生物 の生息が知 られ るよ うにな り, 学名 のついてい ない生物種 (未記載種)は
かつて我々が想 像 もしてい なかった数 にのぼるであろ うことがわかつてき た。また同時に,地
球環境 と生物 は密接 な関係 を築 き上 げ てい ることも明 らかにな り,生
物抜 きで地球環境 は語れ な い ことに多 くの科学者 が気づいてきた。そ して,地
球上 に 生息す る生物の存在 は,地
球 を 「ガイ ア」 とい う新 しい概 念 で呼ぶべ きである とい う認識 を確立 させ るまでに至つた。す なわ ち
,地
球 は単 なる物理化学的な機械論・還元論 だけ で理解 できるものではな く,そ
こに生 きる多 くの生命体 に よって地球環坑 の恒常性が維持 され,ま
た変革 され る一つの生命 システム として理解すべ きであるとい う「ガイア理 論」 の登場 である。生物 多様性 に関す る問題 は
,単
に生物 学者 の興 味 に とどま らず,そ
れが人類全体 の問題 として と らえ られ るまでになって きてい る。それ は,折
か らの地球 環境 問題 が,人
類 を含 むすべての生物 の問題 であ り,人
類 は多 くの生物 と共存 しない限 り生 き延 びて行 くことはでき ない こ とに気づいたか らでもある。しか し冒頭 にも述べた よ うに,「
地球上 に どんな生物種 が どれ だけ存在す るのか」について は,現 在 の ところ私 たちは高々1‑2%程度 の解 しか 持 たないので ある。 この よ うな現状 か ら
,こ
こlo年 程で生 物種 の多様性 を知 るための国際的 なプ ロジェク トがい くつ も立 ち上 げ られ,ま
た これ に呼応す るよ うに国内で もプ ロ ジェク トが立 ち上 げ られてい る。た とえば 日本学術会議動 物学研究連絡委員会が立 ち上 げてい る 「ガイア リス ト21計 画」 もその1つ
である。分類学者 を育てなが ら,生
物種 の 記載 を効率化 して生命科学全体 のボ トムア ップを試 み よ うとい うものである。
ここでは
,こ
の よ うに変化 してきた学界 の中で,古
生物 学 とその研究者 は この世界 的な潮流 に対 して,ど
んな立場 にあ り,何
ができるのか,に
ついて間隙性貝形虫研究 を例 に とつて考 えてみたい。間 隙 性 生 物 の 多様 性 研 究
間隙性生物 とは
,堆
積物粒子の隙間を満たす水の中で生 活す る生物群 をさす。海水,陸
水 を問わず,こ
の間隙水中辟轟攀轟轟藝轟轟轟趾攀趾蜀霞
種 多様性研究 と古生物学 :│
撃
]ま難難 撃 ヨ 撃 翻蠅
:鏃趙言
,IHMF-\3* - E
EI.ffJT.,iEv!)*.^E(\+erce'al,2000it,iJH).l:l:E''_
*'+}*|+|sj*.srn,;'
___U!*"t,,hr* s ;;:;;;;.;:jj:, Noono"lthu" | ; 'i, t,;,;.i ";.;.;.
Cytherom :]:::::策 31::::1
2:撓
脚類。
3:貝形 虫類。
4:軟甲類
.5,6:撓脚類 .7:線 虫類 .8, 一
:言:::言 :::言::::::::2:撓
脚類。
3:貝形 虫類。
4:軟甲類
.5,6:撓脚類 .7:線 虫類 .8, 一
眩 栃 蝙
9:端脚類。
10,11:等脚類
.12:昆虫類 . ̲
鐵 :3俯
に棲む生物 の存在が知 られてい る (図 1)。 伊藤 (1985)に
̲
難難曇 難
よれ ば
,間
隙水 中に生 きる動物 の研究 は,1900年
代 に入 つ一
てか ら開始 された とい う。草分 け的な存在 である ドイツの
難難き 曇 轟
てか ら開始 された とい う。草分 け的な存在 である ドイツの Relnaneは,1930年前後 か ら
,低
潮線 下の砂底 中に生息す る生物 を報告 し
,こ
れ を̀MesOpsammon',す
なわ ち 「砂 間に[
生物」 と呼んだ (ex.Remane,1936)。 また同 じ頃
,イ
ギ リ後│
スの Nicholls(1935)は
,撓
脚類 (Copepoda)の研究 の中生
で
,初
めて ̀intersitial fauna'す なわ ち 「間隙性動物群集」とし̀
とい う言葉 を用いた。
安! その後
,間
隙性生物 については記載研究 が少 しずつ進展い
し
,現
在 まで に20以 上 の動物門 (Phylum)が報 告 され てい数 ′ る。現在
,私
たちが認識 してい る動物 門は,全
体 で50門 程様十 度
(研
究者 によ り多少異なる)と考 え られてい る。ただ し,
う。この数 には
,絶
滅 した化石 分類群 も含 まれ るため,現
生すなし
るものに限定す ると
,約
35の 動物 門が地球上 に存在す るとSchmikOv(1975)が
紀伊半 島・ 田辺湾 か ら2新
種 を記載 :曇馨馨:言量警::考 え られてい る。 これ か らす ると
,間
隙水 中 とい う狭 い隠した こ とに始 ま る。そ の後
Hiruta(1983:広
島),Hiluta :ダ
肇]]魯曇嚢棲 的環境 に全動物門の半数以上の多様性 が保 たれているこ
(1989,1991:01路 ),山
田 ほ か (2001:キ シ ナベ ツ)に
葬撃撃II警璧嚢 とになる。間隙性生物 の研究 の歴史が比較的新 しい ことをよって
,4地
点 か ら7種 の報告 があるのみ に とどま り,表
在難書き]量量萎 勘案すれ ば
,研
究 の進展 にあわせ て さらに多 くの動物 門が性 の貝形 虫類 の研究 と比較 して大 き く立 ち遅 れてい る。
ilま
まミ:量量箋 発 見 され る可能性 は非常に高い.
誌ま妻1認彗妻日本における間隙性物 硼 究は 脚 獄 にキール大
礫 鵬 徴 と慟 様式
趾 聾 趾 学 の
Remaneを
訪れ た北海道大学の内田亨 によって もた
間隙性 貝形 虫類 の特徴 として
,一
般 的 に体 サイズが小 さ]]肇
まま:曇言難らされたという。しかしその後 ,ま とまった形で日本産問 いことが第一にあげられる。成体の大きさは ,大 型のもの
II肇肇ヨ ま 彗言 肇
隙性生物 の研究 が世 に出ることはなかった。 日本 における
で体長500μ
m程
度,小
型 の ものでは200μmに
満 たない もの ]]肇肇盤暑量嚢 間 隙性 生物 の主要分類群 の存在 と生態 について は,伊
藤も あ る。大 型 の も の は
,系
統 的 に大 型 種 が多 い分類 群]藝
彗::よ量3妻(1985)に よって広 く紹 介 され
,そ
の生物 多様 性 研 究 につ(Bairdoidea)│こ
属 す る もの で あ り,嵩
一 系統 内で ご罪書 にヨ:肇
:::]言
肇, i+ +.qr +!s,+ iE rs.i
ot"t"kb"'is | "; ;;;;;';'; ; ;;
{3iarlolqslqq4!!{4e qyt*oi' rr ,,l,:*:l;i,l;i-i:*
-- --
--- - iiiioii{te,itae panocyn* E ,;,1:;;I; ili.:.I
0191911111ゞ:響191,
いての高いポテ ンシャルが示 されたことが
,日
本人研究者小型 であ る。一般 に大型 の ものは
,側
方 向 に扁平であ り, I]撃
肇lil]萎
に よる今 日の研究 の直接的な動機付 け となつてい る。小型 の ものは体軸方 向 に伸長 す る傾 向が あ る (図2)。 ま
]]撃
奨}撃曇量彗た
,背
甲は表面装飾 に乏 し く,滑
らかで ある。蝶番構造 に I]罰]暮ま量量萎 複雑 な歯式 は発達 しない。多 くの種 で眼が欠落す る。移動 ]]墨華ま業墨筆間隙性貝形虫類の自然史 複雑な歯式は発達しなレ ヽ .多 くの種で眼が欠落する。移動 雲 認藷
1暮轟
速度 はきわ めて速 く
,体
長 の害J合
か らす る と,表
在性種 のまま動詳弩:攀
研究概況
数倍 か ら10倍 以上 の速 さで移動す るものもある。
華罰]:まま:肇
間隙性 貝 形 虫類 の最初 の研 究 は,Klie and Pyrmont(1936)
化石 75号 塚越
哲
図2.下翔(A―D)および瀬底 産(E―
T)の
間 隙性 貝 形 虫類 のSEM写
真(渡辺,2002MS;赤江,200拙
昼 よ り引用).A:Pθ
ヶθψ げ″ θ4たα Hl■ta,1983(LV)。B:幽ワε印ゐχθθθκεttα
Sp l(LV).CiPα
″αθοわα″οqνr/7θκSp l(LV).D:Pα
″θqァ′ただsp.1(LV)。E:Pθ
ヶι(ψ̀i"θ
ガθα Hil■lta,1983 (LV).F:Pθ ″̀こ
p̀Sp(LV).G:Иχ
̀′
力θノわ
̀7=ノ腸 sp.(LV).H:/″ θ力お′′οθみθたs sp l(RV).I:ズ ″θ力お″ο
̀力ι′ιs sp.2(RV).」 :Pasθ′ル
sp.1(RV).K:
Pasι〃α sp 2(RV).L:Pas̀〃 α sp.3(LV).卜 1:0″′οソめα″″ノα Sp.(RV)。 N:」物7ικわχθσθ″θttα sp 2(LV).O:Cvllleroidea sp l(RV)。 P:CメherOidea sp 2(RV)。Q:Cθらα4θ qソr77̀″sp.(LV)。
R:Pα
″αθθわα′θqνr/7̀″Sp 2(RV).S:Pα
″ソθcァ/77θ″ sp 2(RV).T:Pα ″νθqソ′ルκ sp 3(LV)。 RV:7野殻 。LV:左 殻.
種 多様性研究 と古生物学 :間 隙性員形 虫類 を例 として
16spp'lSittd./1 00cc
濶
灘臨
時
8:49汀線
││1111111111111111:│││││││
Rtt P″voげ
濃
crc叩 2□ 豚
"9ガlCrc sP 32004T‑3月
2spp・2933ittd./1 00cc
4spp'5?ind./l$0cc
下鶏
キナシベツ
鯖 波堤 か らの欝 離綿)
図 3.下 口にお ける間隙性貝形虫類
4種の最適帯
(渡辺
,2002MSより改変).横軸 に基準 とす る防波堤か らの距離
(左が海側
),縦軸 に
1年間の平均個体数
(堆積物
1,000 ccあた り)を 示す。汀線 に垂直 な ライ ン上で
,ほぼ等間隔に
8カ所 か ら試料 を定期採集 して個体 数 の平均値 を とる と
,各種 ごとに最 も個体数 の多 くなる場所が異 な る。
う 52423
∬ ダ
摯 遭 鋒 S 轟 筆 攣 O 囁 響 苺
22.3 海側
111 13.1 …
…
T露
胃
図 4.瀬 底 で見 られた同属異種 の最適帯
(赤江,200肌 偲 よ り改変
).大潮 の 日に
,満潮時
,半潮時
,干潮時の
3回,汀線付近で堆積物 を定 量採集 してその個体数 を数 えた。 横軸 は基準点か らの距離
,縦軸 は 堆積物
1,000 ccあた りの個体数 を表す
.同属異種 同士の
3つのペ ア
(6種)の最適帯 に注 目すると
,同属異種 は干潮時の汀線付近 と半潮 時の汀線付近の二箇所 にそれぞれ最適帯をもつて棲み分けている。
図
5。間隙性員形 虫類 の個体数密度 と種数。キシナベツ
,下田
,瀬底 にお ける堆積物
100 ccあた りの個体数 を円柱で表す。キシナベ ツ での個体数密度が極 めて高い。
1地点か ら産 出す る種数では
,瀬底 が極 めて多い。
生息環境 と生態
間隙性貝形 虫類 は
,世
界的 に見て海水域 と陸水域 の両方 か ら産出報告があるが,こ
れ までの筆者 らの 日本周辺 にお け る調査 では,淡
水 域 (本栖湖,柿
田川),汽
水 域(浜
名 湖)か
らはまだ産 出せず,海
水 域 のみ か ら産 出 してい る。また
,海
水域 で も内湾泥質域 か らは産出せず,砂
〜砂礫浜 に限 られている。 これは,生
活空 間 とな る間隙の大 きさや 酸 素 供 給 量 に依 存 して い る た め と考 え られ る。渡 辺(2002MS)は ,間
隙性 貝形 虫類 の生息 は,底
質 の粒度 に大 き く依存 し,粒
径21よ りも細 かい粒度 の底質 には生′認しな い こ とを示 した。また,下
田市大浦海岸砂浜 において4種
(図 2A―
D)の
間隙性 貝形 虫類 の値体数頻度 を定点観演1し,季節的 に個体数 が変動す るとともに
,汀
線 か らの距離がつ くる環境勾配 (たとえば堆積物粒度,一
日の うちでの冠水 時間等)に
よって互い に異 なる最適帯 をもつ ことを明 らか に した (図3)。 また,赤
江(2003MS)は
沖縄 。瀬底 島に おいて, 1地
点 にお ける汀線 に垂直な観測線上 に16種 (図 2E―T)を
確 認 した。 この 中の3属は複数 の種(2種 )を
擁 し,こ
の同属異種 間ではその最適帯が異 なるとい う近縁種 間での棲 み分 けの様子 が観察 され,生
態 的な形質置換が起 きてい る と考 え られ る (図4)。種 多様llaと進イな系統
日本 におけるFF5隙性員形虫類 の種多様性 についての研究 は
,既
に述べたよ うにまだ研究 の絶対量が乏 しく,そ
の群 集 の地域差 を検討 で きる段 階にはないが,山田ほか(2001)
に よる北海道・キシナベ ツ,渡
辺(2002MS)に
よる静岡 。 下 田,赤
江(2003MS)に
よる沖縄 。瀬底 島による各報告 を個 体 数
潮時 12115汀 線 時‐15:401汀線
N Anchisrroclrelessp. f [] polycope japonica
Y4 Anchistrocheles sp. 2 K roly"op" rp.
登ぬ││││││:││う│││││̀│●18■ 1111111̀
辮 辮 機 器肇 難 鰈撃 彗馨 藝争 轟撃 隷
22理 20/1615И
基準点からの開雛(浦
化石 75号
比較す ると
,そ
の概略 を知 ることができる。3つ
の地点で 堆積物 の単位体積 (100cc)あ た りに生′急す る個体数 と種数 は,釧
路 において2,933個 体/2種 ,下
田において57個 体/4 種,瀬
底 島において15個 体/16種 であった (図5)。 一般的 に貝形虫類 は高緯度では多様性が低いが個体数密度が高 く,低緯度ではその逆の傾 向が見 られ るが
,間
隙性種 ではその 傾 向が更 に顕著 である。 まだ3地点 のみか らの比較 ではあ るが,共
通種 は非常 に少 ない。 唯一,Himta(1983)が
瀬 戸 内海 か ら報告 したぇヵσΨθブψθ″Jσαが下 田と瀬底 島 とに 共通 してい るだけである。全体 として間隙性員形虫群集 は 地域 固有性が高い と思われ るが,こ
れ を確 かめるためには中間地域 の群集 を知 る必要がある。
前述 したよ うに
,世
界 の間隙性員形虫類 は,現
在17科 に分 類 されているが,その うち表在性の分類群 と同一上科 を構成 す るものは4科
である。ただし問隙性員形虫類 は,い
ずれ も 高次分類上の重要形質 を含む背 甲の蝶番構造や表面装飾が極 端 に単純化 しているため,表在性分類群 との比較 をす る上で 困難な点が多い。これ らの形質以外 を使 って評価すれば,表
在性分類群 との系統関係 ももつ と調確 になると思われ る。
間隙性員形 虫類 の中には
,遺
存 的 な分類群 も含 まれ る。McKenzie(1975)が
深 海 か ら報 告 し た 遺 存 的 分 類 群 勁ripαηθ惚 属 も これ に含 まれ る こ とが指 摘 され て い る (Danie10pol andい、utgs,1992)。
赤 江(2003MS)に
よ っ塚越
哲
―
貫
鰊 2
図
6.Иχ
̀′
力θ ノ ιθ
ttι肋 属 の
2種。
AC:″χ♂
7/7ιブ レ轡
̀〃
α
ακ
/ブθ α
B五鍵
s,1997(kig野 ,1997より引月 ).DI:
ズχθ
ttιルι ば
̀施sp(赤江
,2003MSより引用
).A:右殻 を内側 か ら透過型光学顕微鏡 で撮影
(正基準標本
)。B:右
殻 を外佃
1から瓢 Mで 撮影 。
C:左殻 を内偵
1から鉦 Mで 撮影 .D:右 殻 を内側 か ら透過型光学顕微鏡 でスケ ッチ .E:左 殻 を外狽
1から SEMで 撮影 .F:右 殻 を外側 か ら SEMで 撮影 .G:右 殻 を除去 して軟体 部 を露 出 させ SEMで 撮影
.H:第二触角 を透過型光学顕微鏡 でスケ ッチ
.I:月同部 を透過型光学顕微鏡 で スケ ッチ
.スケールバー
1:A̲Gに対 して
100Hlll。 2:H,Iに対 して
4帥馳
.て報告 され た瀬底 島産 間隙性貝形 虫類 16種 の うち
7種
も,ま た別 の 遺 存 的 な 系 統 に含 ま れ る も の で あ る。特 に Иχθ力′gノ施電θル sp.は
,北
極海 の水深1,000mの堆積物 中か らその背 甲が発見 されたもの と同属異種 である。背 甲形質 の原始性 は発見者Brig5(1997)に
よって指摘 されてい る が,瀬
底 島産 の種 か らは,そ
の軟体部がついたもの (すな わ ち生体)が
採集 され,二
叉型付属肢,明
瞭 な胴部体節 な どが鶴察 され,軟
体部か らも 「生 きた化石」的な状態が追 認 され た (図6)。 この よ うな系統 的 に密接 に関連 してい る と考 え られ る種 が,地
理 的にも環境的 にも懸隔のある場 所 で生息 してい る現象 は,深
海や海底洞窟 に棲む生物間に も見 られ るため,問
隙性生物 の成 り立 ちや分散 な どと何 か 共通性 を示す ものであるのかもしれ ない。間隙性貝形虫類 は石灰化 した背 甲を持つため
,間
隙性生 物 の中で唯一化石 に残 る分類群 である。POkO呼 (1989)が ボヘ ミアの白亜紀 の地層 か ら報告 したPγsθ肋 属 の種 は,後 に現生 の同属異種 が発見 されたことによって,間
隙性種 で あ る こ とがわ か っ た (Danie10pol and WOutgs,1992)。 同 様 に 日本 か らも化石 問隙性貝形虫類の報告例がある。Yttima(1987)が 報告 した渥美層群産の化石貝形虫群集 には
,そ
の形態から明らかに問隙性種 と判断できるものが含まれて いる。問隙性生物の歴史性については
,貝
形虫類以外 には 全 く手がか りがないが,こ
れまで2世 紀 にわたって報告 され た化石貝形 虫群集 中にはまだ多 くの間隙性種 が含 まれて い ることが予想 され
,こ
れ によって間隙性生物の地史的情 報 が蓄積 されれ ば,間
隙性生物全体 の 自然 史 に関す る理解は格段 に進展す るであろ う。
間 隙 性 貝 形 虫 類 か ら考 え る こ と
ここで貝形虫類 を例 に とって
,間
隙性生物 について概説 したが,伊
藤 (1985)も指摘 してい る通 り,生
物 は人 間が 理解 し易い よ うに,「 間隙性」 と「非間隙性」 との2つ
の カテ ゴ リー に厳密 に分 かれ て存在 してい るわけではない。ここで紹介 した貝形虫類 にも,厳密 な生活様式 を調べれ ば,
ある ときは表在性的な行動 をとる場合 もあると考 えられ る。
眼 をもつ分類群 な どは特 にその可能性 が高い。 た とえば,
潮汐や昼夜 といったサイ クル によって
,砂
の隙間か ら堆積物表面 に現れ るものもあるか もしれ ない。
間隙性貝形 虫類 の研究 を通 してわかつたことは
,皮
肉に も 「わか らない ことが彩 し くある」 とい うことである。 し か しまた,堆
積物粒子 の間隙水 中には,私
たちが 目にして い る表在性 の生物群 とはまった く別 の,巨
大 な未知 の動物 群 が存在 してい ることもわかった。 これ らを前 にして言 え るこ とは,ま
ず種 の記載(厳
密 には標本 の記載)が
急務である とい うことであ り,また記載の重要性 は,PokO呼
(1989)
やYttima(1987)の
研究例 か らも明 らかであるよ うに,記
載 こそが新 しい学 問に発展す るポテ ンシャル を持 ってい る とい うことでる。記載 は生物 の多様性 を知 らせ る最 も基本 的かつ重要な手段 である。そ して生物学者 の多 くが記載 を 疎 ん じる風潮 にあ る今,古 生物学者 こそ記載 を最 も重視 し,
その手法 に熟達 した研究者集 団であるといえる。
高 々一つの種 を記載す るための労力 が並大抵 のものでは ない ことは
,経
験者 な ら誰 もが知 ることである。研究 の効 率 が叫 ばれ る昨今では,記
載 とい う時間 のかか る仕 事 は, 若 い研究者 か らは敬遠 されて しま うか もしれ ない。しか し,記載す ることを通 して 「モ ノを見 る 目」が磨 かれ ることは 確 かであ り
,特
に形態 を重視す る古生物学の世界 では,記
載 の重要性 を次の世代 に伝 えていかなければな らないであ ろ う。同時 に
,記
載 のス ピー ドア ップを図 るために,こ
れ までの記載 のスタイル を根本的に変 える約束事 を世界 レベ ル で見直す時期 に来てい ることもまた確 かで,そ
のための模 索 もしなけれ ばな らない。生物 の分類 が出来 る研究者 の 急増 は残念 なが ら当分期待 できないが
,未
記載種 の発 見数 は これか らも増加 の一途 をた どることは間違 いない。謝 辞
本稿 は
,渡
辺聡君 (2002年 静 岡大学理学部卒業
)と
赤 江美紀 さん (2003年 静 岡大学理学部卒業)の 2人
の卒業研究 のデー タに基づいてい る。野外調査 にあたって は
,筑
波 大学下 田臨海実験セ ンターお よび琉球大学熱帯生物 圏研究 セ ンター瀬底実験所 のスタ ッフに大 きな便宜 を受 けた。 こ こにあつ く御礼 を申し上 げる。また,本
研究 の一部 は平成 14‑16年度文部科学省科学研 究費補助金 。萌芽研究 「日本産 海生間隙性貝形 虫類 (甲殻類)の
分類,生
態 お よび時空分 布 に関す る基礎研究」(課
題番号4654179)に
よってまかな われてい る。文献
赤江美 紀
,200誂
健.沖
縄 産 間 隙性 貝 形 虫類 (甲殻類:節
足動 物)の分類 と生態 。静 岡大 学理 学 部 生物 地 球環 境 科 学科卒業 論 文,68p.
BrttgS,■
.WM,1997.И
χθ′みθめθぼ̀JFa(Ostracoda,Cluttacea,a new gellus of marttnally septate cladocopid ostracods from the centml AIctic Ocean.説 フ′4α′グ 饉CrOpα′ὰθん
"ゐ gy,16,109120.
Danielopol,D.L.alld Wouters,K,1992E170111tiolla7(Paleo)Blolo野
of lllla五ne interstiual ostacoda.Gιθゎブθ
s,25,207‑211
Himta,S,1983.A ne、v species of the gellus Pο ″θ̀p̀Sars fi‐Om the lnlalld Sea of」 apan(ostracOclai Cladocopinω .PЮ
̀̀̀dι
tt Q′
腸̀ 説ηακὼ&フεたヶ 9FめぇSた″α′たZOθ′θtty,26,1‑10.
Hiruta,S.1989.Anぃv species of manne llltersthia1 0siacoda of the gellusル7̀Ю′òθθθεみα Haltmalan froln Hokkaido,」apan.PЮ θι
̀沸″gs ぽ 乃̀J物,α ω
̀S9θたケqノ昴Sた77Zα″θ Zοο
:o9,39,29‑36.
Hi■lta,S.1991.A nav species of marille lllterst責 ia1 0siacOda of tlle gellus Psαz777θ (ァ滋θ″Klie flom HOl■aido,」apan.Zθο;οgicα′胸J̀4θ
8, 113‑120. ̀,
伊藤 立則,1985.砂の隙間 の生 き物 たち.241p"海鳴社
Klie,V.W.and Pyrlnol■ t,B.,1936.Ostracodell der Famihe C,■ ∝idae aus Sal■d lllld ttell Юn Helgolalld.κノιル″」隆 3reψだι力2″g̀″ ム3, 49‑72.
Nttnzie,K.G,1975.助 ″ar7θr"and the classiicdion Of pOdOcObid Ostracoda:a reptt tO SChom± ov and Crl‐
amm(1974).cr′
s"̀̀αれα,29, 222‑224.Nicholls,A.G.,1935.Copepods from tlle interst量ねl fauna of sandy beach.
」a ″ηα′グ ルθル角′滋̀Bわ′θgたα′И∬θθわ′ノθκ q′r77̀じ4ηノた″κ″g̀ο172,
20,379‑405
Pよ
OIけ ,V・,1989.P′ss̀〃α α4J Sαripαηcrra(OSiacOda,Crustacea)in the Lower TuЮnian of Bohemia,Czecllos10■ 7akia● cas(pお′印iZ′4̀″αんgノブ α Gθθ′ogノノ,34,225‑234.
Remalle,A,1936.1′
b′θbり′ο―aθtt α わ"肋れSn.g.n sp.,ein eig】lartigeS B57ozoon des Meeressalldes.zθ θJagお
̀乃̀rИ″cig̀r,113,161‑167.
Scho■lttcⅣ,E.I., 1975 0stracod falma of the interstithl zone m the vicinity of the SetO 1/1anne Biological Laborato7.Pπ b′ノσα″οκsげrF7θ
S̀ゎ 几わ′シ
̀Bわ:θgica′Zαらθ′αゎ7,22,1‑30.
lVard,」.V.,S/1alard,F.,Stanford J A.and Go∬er,T.,2000.Llterstitial aqtlatic falma of shal10w llnconsolidated sedilnents, partictda■ y
l、rporheic biotopes./7zヽVilllens,H.,Culver,D.C.and Htulphreys,W:
F.,ι漁.,Sνbrι″認κθακ Eσθッsた
s,41‑58.EIswier,Amsterdam.
渡辺
聡
,2002A/1S下
田産 間 隙性 貝 形 虫類 (甲殻類:節
足 動 物)の
分類 と生態
.静
岡大学理 学 部生 物 地球 環境 科 学科卒 業論 文,43p Yaiilna,M,1987.Plei■
ocene Ostracoda fl‐om the Atsumi Peninsuh,Centd Japan.ル
αttαθ′われs α4″Proθ̀θ
dingsゲ
腸̀Pα
′αιοκゎゐgノθα′Sθθたケ 9/屁ηαι 力υW S̀′たs,(146),49‑76.
山 田守雄 ・蛭 田員一・堀 一道,2001.北海 道東 部 太 平洋 岸 キ シナベ ツ海岸 の海 産 間隙動 物 につ いて
.環
境 教育研 究,4,3341.種 多様性研究 と古生物学 :間 隙性貝形 虫類 を例 として
(2003年10月 3日