南硫黄島の陸産貝類群集の多様 性
和 田慎 一 郎1、 千 葉 聡2*
Diversity in lan d snail communities on Minami-Iwo-To Island
Shinichiro WADA1 & Satoshi CHIBA2*
1.首 都 大 学 東 京 理 工 学 研 究 科(〒192‑0397東 京 都 八 王 子 市 南 大 沢) TokyoMetropolitanUniversity,SchoolofScience&Engineering,Minami‑OsawaHachi('ji,Tokyo
l92‑0397
2.東 北 大 学 東 北 ア ジ ア 研 究 セ ン タ ー(〒980‑8576宮 城 県 仙 台 市 青 葉 区 川 内41) Toho㎞University,CenterforNonheastAsianStU(lies,TohokUUniversity,41Kawauchi,Miyagi,980‑8576
*schiba@cneas .tohokU.acjp(authorfbrcorrespondence)
要 旨
2017年6.月 に南 硫 黄 島 の 陸産 貝類 の調 査 を行 な っ た。調 査 に よ っ て得 られ た 新 しい 知 見 に基 づ い て 種 構 成 の見 直 しを行 い 、イ オ ウジ マ ノ ミガイ な ど新 記 録 種 を含 め て合 計14種 を見 出 した 。今 回 新 た に 記 録 され た種 の うち 、 リュ ウキ ュ ウノ ミガ イ 属 の1種 は 、未 記 載 の 固有 種 と考 え られ る。 島 の地 点 ご との標 高 に対 して 陸 貝 が示 す 種 多様 性の 勾配 パ ター ンは 、 中間 の標 高 で 最 大 に な る とい うベ ル 型 を示 した。 これ は他 の 地域 か ら南硫 黄 島 に移 住 定着 した 種 が 、 そ の 故 郷 の 生 息 環 境 と類 似 した 環 境 にか な り限 定 され て分 布 す る結 果 で あ る と考 え られ る。 実 際 、 頂 上 を 中心 と して 高 標 高 の 地 点 に は、 北 ユ ー ラ シ ア に分 布 の 中心 を もつ 北 方 系 の種 が 優 占 し、低 標 高 の 地 点 に は熱 帯太 平洋 系 の種 が優 占 して い た。
小 笠 原群 島 の 島 に比 べ て 、 島 が形 成 され て か ら時 間 を経 て い な い た め に、 種 の 分 布 が 祖 先 集 団 か ら引 き継 い だ 生息 環 境 へ の選 好 性に 強 く制 約 され て い る と考 え られ る。 地 上 性 、 樹 上 性 とい った 生 活 形 に つ い て も、多 くの種 は他 地 域 の集 団や 近 縁 種 と違 い を示 して い なか った が 、コ ダマ キバ サ ナ ギガ イ は 、 北 海 道 の祖 先 集 団 に対 し、劇 的 な ニ ッチ の 拡 大 と形 態 の 多様 化 を示 した 。 ま た エ リマ キガ イ は、 低 い 標 高 の地 点 で地 上 性か ら樹 上性 へ の ニ ッチ シ フ トを生 じて い た 。 同 じ島 で 、 種 に よ りニ ッチ 保 守 性 の 違 い を生 じて い る要 因や 、 ニ ッチ 分化 を 生 じて い るプ ロセ ス の解 明 は 、 今 後 の 課 題 で あ る。 なお コ ダ マ キバ サ ナ ギ ガ イ に は 生殖 腺 に 多型 が あ り、他 個 体 と交 配 す る タイ プ と 自殖 す る タイ プ が 含 まれ て い た。 この 多型 の存 在 が 、 島 へ の 定着 や 多様 化 と どの よ うに関 わ るの か を解 明 す る こ と は今 後 の課 題 で あ る。 な お今 回 、南 硫 黄 島 の 陸 貝 の 生 息密 度 な どの 状 況 は 、 前 回 の 調 査 時 と は大 き く異 な って い た 。 群 集 構 成 や 密 度 が 時 間 的 に 大 き く変動 して い る可 能性 が あ り、 今 後 の 長 期 的 な 視 野 に基 づ く調 査 が 望 まれ る。
キー ワー ド 小 笠 原 諸 島、 火 山列 島、 環 境 勾 配 、 進 化 、 適 応
1.は じめ に
生 物 の種 分 化 や 性質 の多 様 化 のプ ロセ ス を知 る うえで 、特 に好 ま しい 系 の 条 件 は 、第 一 に小 さ く単 純 な 閉鎖 系 で あ る こ と、第 二 に 明確 で 単純 な環 境 の 差 異 が 存 在 す る こ とで あ る。海 洋 島 は第 一 の 条 件 を満 たす うえ に 、適 応 放 散 の よ うな劇 的 な 多様 化 が頻 繁 に 見 られ る こ とか ら、 進 化 や 生 態 研 究 の 中心 的 な場 とな っ て き た。 な か で も成 立 して 間 もな い独 立 した火 山島 は 、 生 物 の 多 様 化 の 初 期 過 程 を知 る うえ です ぐれ たモ デ ル 系 とな る。 次 に 、 第 二 の 条件 を満 た す 系 と して 、 緯 度 勾 配 や標 高 勾 配 が あ る。
例 え ば孤 立 した 山塊 の生 物 群 集 に 見 られ る性 質 や 多様 性の標 高 勾 配 は 、 種 分 化 や 群 集 形 成 のす ぐれ た モ デ ル で あ る。 南 硫 黄 島 は こ の2つ の条 件 を とも に満 たす 類 まれ な場 所 で あ る。 従 来 、 海 洋 島で 行 わ れ た 陸産 貝 類 の研 究 事 例 は多 く、 進 化 研 究 に大 きな 貢 献 を果 た して きた が(Murrayetal.,1993;CoWie, 1995;Parent&Crespi,2009;Chiba&Cowie,2016)、 新 しい火 山 島 で の研 究 事 例 は少 ない 。 ひ とつ の 山の 標 高 に対 す る 陸 貝 の種 多様 性の 勾配 は 、 ア フ リカ 中央 部 の 山岳 地 や ボ ル ネ オ の キナ バ ル 山な どい くつ か の研 究 事 例 が あ る が(Tattersfieldetal.,2006;Liewetal.,2009;Wronskietal.,2015)、 わず か に1㎞ とい う小 さな空 間 ス ケー ル で 、約1000mに もお よぶ 標 高 差 につ い て調 べ られ た 事 例 は ない 。本 調 査 は 、 こ れ らの南 硫 黄 島 のユ ニー ク な条 件 に 注 目 し、 多様 化 の初 期 過 程 お よび 環境 勾 配 と種 や性 質 の 多 様性 、 進 化 の 関係 につ い て 明 らか にす る こ とを 目的 と して 行 った 。
南 硫 黄 島 の陸 産 貝 類 は35年 前 の 学術 調 査 で3種 が記 録 され た の ち(波 部 、1969・1983)、2007年 に 行 われ た本 格 的 な陸 貝 調 査 に よ り、13種 が 記 録 され た(千 葉 、2007)。 こ の調 査 で得 られ た未 記 載 種 と 考 え られ た 種 の うち、 コ ダマ キバ サ ナ ギガ イ(VeM'gokodamai)が 記載 され た(Nekolaetal.,2018)が 、 他 の種 につ い て は 、他 地 域 の類 縁 種 の調 査 が進 ん で い な い こ とや 、 南硫 黄 島 の試 料 の 不 足 の た め に、
ま だ記 載 が な され て い な い。 コダ マ キバ サ ナ ギ ガ イ に つ い て は 、 南硫 黄 島 の ほか には 、 北 海 道 東 部 の 山地 帯 に のみ 分 布 して お り、 北 方 系 の 種 で あ る こ とが わ か っ て い る(Nekolaetal.,2018)。 南 硫 黄 島 の 成 立 後 、北 海 道 か ら長 距 離 分 散 に よ り移 住 して き た と考 え られ 、新 しい 環境 で適 応 進 化 が どの よ うに 起 こ る か を知 るた め の 良い 材 料 で あ る。
前 回 の南 硫 黄 島 の調 査 後 、 ノ ミガ イ 類 や エ リマ キガ イ な ど小 笠 原 諸 島 の 微 小 貝 の 研 究 が 進 み 、分 類 が整 理 され た(千 葉 ほ か 、2012)こ とか ら、 南硫 黄 島 の 陸 貝種 構成 に つ い て 、 再 検討 が 必 要 で あ る。
例 え ば従 来 、形 態 か らタマ ゴナ リエ リマ キ ガ イ と分 類 され て きた タイ プ は 父 島 で 記 載 され た 後 、 絶 滅 した と考 え られ た。 しか し同 じ形 態 を もつ タ イ プ が 南硫 黄 島 で 再発 見 され た 後 、 母 島 で も発 見 され た た め 、 これ らの遺 伝 的角斬 を行 っ た と ころ 、 そ の形 態 的 な 特徴 は 異 な る系 統 で 平 行 的 に生 じた もの で あ る こ とが わ か り、 タ マ ゴナ リエ リマ キ ガ イ はエ リマ キガ イ の シ ノニ ム とな っ て い る(Nekolaetal., 2018)。 以 上 の経 緯 か ら、種 構 成 につ い て の基 礎 的 晴報 を得 る こ とも 、南 硫 黄 島 の調 査 に 際 して は必 要 で あ る。 そ こで こ う した種 構 成 の調 査 を 改 め て行 うと と もに 、種 多様 性 の 形成 過 程 や 、 多様 性進 化 の 初 期 過 程 を解 明す る こ とを 目的 と して 、2017年6.月 に 南硫 黄 島 の 学術 調 査 隊 に 参加 し、南 硫 陸 貝 調 査 を行 っ た の で 、 そ の結 果 につ い て報 告 す る。 ま だ 一部 の デ ー タの み の解 析 に と どま って い るた め、 本 報 告 は あ くまで も現 時 点 で の 予 報 で あ る。
500m
図1.南 硫 黄 島 と 登 頂 ル ー ト。 黒 丸 は 本 報 告 で 扱 う 陸 貝 調 査 地 点 。 Figure1.AmapofMinami‑lwolslandwithacl㎞bingroute.Closedcirclesindicatesurveysites.
2.方 法
陸貝 の調 査 は 、2017年6月15日 一16日 お よび6月20日 一22日 の期 間 に行 った 。本 報 告 で 扱 う調 査 地 点 を 図1に 示 した 。登 山ル ー ト沿 い に調 査 地 点 を選 び 、種 構成 お よび 種 ご との個 体 数 、生 息 環 境 、 付 着 基 質 を記 録 した。 それ ぞれ の 地 点 で新 発 見 の種 や 、 同 定 に 注 意 を要 す る種 、 遺伝 的 な解 析 を要 す る種 は 、捕 獲iして 持 ち帰 った 。 なお 主 要 な調 査 地 点 は、 ル ー ト沿 い に標 高 に換 算 して お よそ100mお き に設 置 した。 各 地 点 は約100m2の 範 囲 と し、 そ の 中 に4か 所 の1m方 形 区 を設 置 して15分 間 の定 量 調 査 を行 っ た。 同 じ標 高 に2地 点 つ つ 調 査 地 点 を設 定 した が 、半 分 の地 点 で は解 析 が 終 了 して い な い た め 、今 回 の報 告 書 で は 、1地 点 つ つ の結 果 につ い て 記 す 。各 標 高 で設 定 した 調 査 地 点 内で の定 量 調 査 の修 了後 、各 地 点 で調 査 地 の範 囲 を広 げ て 、広 く調 査 を行 い 、 分布 す る種 の 詳 細 調 査 を行 った 。 な お 標 高200m以 下 の地 点 は 、登 山ル ー ト上 に調 査 地 点 を設 置 で き な か った た め、 島 の南 東 部 に位 置 す る崩 壊 地(通 称 アカ パ ラ)に 設 置 した 。
なお 頂 上 部 お よび そ の付 近 にお い て は、他 地 点 と同一 の調 査 を行 った の ち、特 に火 口お よび そ の 周 縁 部 で 、よ り詳 細 な調 査 を実 施 した 。樹 木 上 お よび 草 地に て 、径1㎜ メ ッシ ュ のふ るい を用 い て 、陸 貝 の調 査 を行 っ た。
各 調 査 地 点 で種 ご と に生 活 形 を記 録 され た基 質 上 の位 置 か ら、 地 上 性 と樹 上 性 の違 い に 区分 した。
そ して これ を 同種 の地 点 間で 比 較 す る と とも に、 他 地 域 の もの と比 較 を行 っ た 。
採 取 した試 料 の一 部 は現 地 にて100%な い し70%濃 度 のエ タ ノー ル 液 浸 標 本 と し、他 は生 か した ま ま の状 態 で持 ち帰 っ た。70%液 浸 標 本 は形 態 解 析 及 び剖 見 に供 し、 生 殖 腺 、 歯 舌 の観 察 を行 った 。 生 貝 につ い て は 、生 活 史 や 繁 殖 行 動 の観 察 に供 した 後 、剖 見 や 遺伝 子解 析 に供 した。100%液 浸 標 本 は遺 伝 子 解 析 に用 い た 。 ミ トコ ン ドリアDNA(コ ダ マ キ バ サ ナ ギ ガ イ に つ い て は16SrRNA遺 伝 子 領 域 、 それ 以 外 の種 につ い て はCOI遺 伝 子領 域)お よび核DNA(ITSお よび28SrRNA遺 伝 子 領 域)の 分 析 を行 い 、塩 基 配 列 の近 縁 種 問や 同種 の南 硫 黄 島 内お よび南 硫 黄 島 と他 地 域 間 で の 比 較 を行 っ た 。
これ らの試 料 は研 究 終 了後 、 東 北 大 学 総 合 学 術 博 物 館 に収 蔵 予 定 で あ る。
表1.南 硫 黄 島 の 陸 産 貝 類 リ ス ト。 島 内 に お け る 分 布 タ イ プ と 生 物 地 理 グ ル ー フ.も 示 す 。 Table1.SpecieslistoflandsnailsfoundonMinami‑lwoIsland.Habitatuse,disUibutiontypeandbiogeographical
groupstowhicheachspeciesbelongsareshown.
Achathelldaeハ ワ イマ イ マ イ科
Eksmkskhakoyinanum,イ オ ウ ジ マ ノ ミガ イ Lame//deaogasawaranaオ ガ サ ワ ラノ ミガ イ
Lame//deasp.ト ウ ガ タノミガ イ属 の1種
lo!nate//destrJtonfト ライオ ン ノミガ イ
Paefbellahataknaハ タイ ノミガ イ
Pacfbelhspリ ュ ウ キ ュウ ノ ミガ イ属 の1種
Vertghdaeキ バ サ ナ ギ ガ イ科
Vertgokodama1コ ダ マ キ バ サ ナ ギ ガ イ
Vertgodedeeolaエ リマ キ ガ イ
GastrOCOρtabonhenslSボ ニ ンス ナ ガ イ
Punctdaeナ タネ ガ イ科
Punotumsp.ナ タネ ガ イ属 の1種
Euconuldaeシ タラ科 AtPoonoohhηys"7eohtz/5
∠amρ!00γ5飴!iah∂ 吻 ∂n∂
Ltaldettabo/7he/75β
Vtrhdaeハ リガ イ科
〃∂躍∂伯 〃hu50uh
マキ ス ジベ ッコウ ハ ハ ヒメベ ッコゥ ボニ ンキ ビ
ヒメコハ クガイ
生活形 島内分布 生物地理
南硫黄島 他地域 タイプ グループ 樹上
樹上/地上 樹上/地上 樹上/地上 樹上/地上
樹上
樹上 樹上/地上 樹上/地上 樹上/地上
中間域 中間域 中間域 海 浜 性 中間域 中間域
樹上/地上 樹上 高地性 樹上/地上 地上 中間域
地上 地上 海浜性
樹上
上上上也也也⊥工⊥〜土
地上
小笠 原一 大東 小笠原 小笠原 小笠原 火 山列 島 火 山列 島
疑
刺藍ノ4
高地 性 東 北ア ジア
地 上 その 他 小笠原
地 上 中間域 小笠原
地 上 その 他 小笠 原一 大東
地上 高地 性 広域
1 「
3
5
、
、
6
・・〜・}・㌧
噛ヂ
鰯
2
'協
、 一
・le縁
4
6
や 、 ◎
亀 ㌔
メ
7
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、嫁 、菟
a
11
礎
8
凝戦
10∵」 ・t・h
臨遵︑
喰罵︑メ鉾
, も・6'∴'.∴.て,㌔︑し・・∴.雀
湯 ⑨ : ! 悩
響 い酒 穿
4隔ド
図2.調 査 に よ り 捕 獲 さ れ た 種 、1.イ オ ウ ジ マ ノ ミ ガ イ 、2.オ ガ サ ワ ラ ノ ミ ガ イ 、3.ト ウ ガ タ ノ ミ ガ イ 属 の1種 、4.ト ラ イ オ ン ノ ミ ガ イ 、5.ハ タ イ ノ ミ ガ イ 、6.リ ュ ウ キ ュ ウ ノ ミ ガ イ 属 の1種 、7.コ ダ マ キ バ サ ナ ギ ガ イ 、8.ボ ニ ン ス ナ ガ イ 、9.ナ タ ネ ガ イ 属 の1種 、10.マ キ ス ジ ベ ッ コ ウ 、ll.ハ ハ
ヒ メ ベ ッ コ ウ 、12.ボ ニ ン キ ビ(エ リ マ キ ガ イ と ヒ メ コ ハ ク は 示 し て い な い)
Figure2.Speciesoccurredinthesurveys.1.Elαsmiαsla'taiw(〜 ノimanum,2.‑LamellideaogcL∫awarana,3.‑Lamellidea sp.,4.T()matellidestrγoni,5.Pacificellahataiana,6.Pαc哲cθZZαsp.,7.VeM'gokOdamai,8.Gαstrocoptaboninensis,
9.1)tZnctumsp.,10.NiponochlamyslineolamS,ll.‑Lamproqystishahay'imana,12.‑Liardetiaboninensis
3.結 果
3‑1.陸 産 貝 類 の密 度 お よび 種 構 成
前 回 の調 査 で は標 高500m以 下 の 地 点 で は 陸 貝 は 誰 録で きな か っ た が 、今 回 の調 査 で は標 高120m 以 上 の地 点 で 陸 貝 が 記 録 され た 。 特 に200m以 上 の地 点 で は、 個 体 数 も多 く、 登 山ル ー ト沿 い の ほ と ん どの地 点 で 陸貝 の生 息 が認 め られ た。 個 体 密 度 は 、 島 の 中腹 域 と 山頂域 で 大 き くな る とい う傾 向が 認 め られ た 。
前 回 の調 査 で は13種 が 記 録 され た が 、 今 回 の 調 査 の 結 果 で は 、 そ の うち キ バ サ ナ ギ ガ イ 属 の2種 は 同一 種 で あ る こ とが判 明 した。 過 去 の調 査 で ナ カ ダ ノ ミガ イ と して記 録 され た 種 は 、 今 回 の 調 査 の 結 果 、オ ガサ ワ ラ ノ ミガイ で あ り、前 回 の調 査 で ノ ミガ イ と され た種 は 、 ハ タイ ノ ミガ イ で あ る こ と が わ か った 。 前 回 記 録 され た もの の 、 種 名 が 不 明 で あ った べ ッ コ ウマ イ マ イ類2種 の うち の1種 は、
今 回採 集 され たマ キ ス ジベ ッ コ ウに対 応 す る。 しか し極 め て稀 で あ り、本 種 の 分類 につ い て は さ らな る検 討 を要 す る。 ま た 、前 回 の調 査 で古 い死 殻 か ら ヒメベ ッ コ ウ属 の 不 明 種 と され た 種 は 、 今 回 ボ ニ
ン キ ビ と同 定 した もの で あ る。 一 方 、 前 回 を含 め過 去 の調 査 で は 対応 す る もの が な い 種 と して 、 イ オ ウジマ ノ ミガ イ 、 リュ ウキ ュ ウノ ミガ イ 属 の1種 が記 録 され た。 こ の うち リュ ウ キ ュ ウ ノ ミガ イ 属 の 1種 は、火 山列 島や 琉 球 列 島 で も過 去 に記 録 され た こ との な い 種 で あ り、未 記 載 種 と考 え られ る。以 上 か ら、今 回 の調 査 で記 録 され た 種 は計14種 とな る(表1、 図2)。
標 高 に よ る種 構 成 の特 徴 は以 下 の よ うで あ る。
・標 高200m以 下
標 高200m以 下 の地 点 で は 、 ボ ニ ン スナ ガイ と トライ オ ン ノ ミガ イ が記 録 され た 。 ボニ ンス ナ ガ イ は レキ 下 に生 息 し、 トライ オ ン ノ ミガ イ は 主 に タ コ ノキ葉 上 に生 息 して い た 。 た だ し陸 貝 の生 息 が 認 め られ た の は 、 島 の東 南部 の崩 落 地 の ご く限 られ た 地 点 だ けで あ り、 登 頂 ル ー ト沿 い に は、 陸 貝 の生 息 は認 め られ な か っ た。
・標 高210m〜420m
標 高200m付 近 よ り、 ノ ミガイ 類 を 中心 に 陸貝 の密 度 は高 くな り、 タ コ ノ キ葉 上 に、 トライ オ ン ノ ミガイ とハ タイ ノ ミガイ が群 生 してい た 。 固有 種 と考 え られ る トウガ タ ノ ミガ イ 属 の1種 も標 高300 m付 近 か ら、頻 繁 に落 葉下 な い し土 壌 中 に生 息 が 認 め られ た 。 標 高400m地 点 で は 、イ オ ウ ジマ ノ ミ ガイ が オ オ タ ニ ワタ リ葉 上 に認 め られ た。 前 回 の調 査 で は 頂 上 で の み 記 録 され た コ ダマ キバ サ ナ ギガ イ が 、 ご く少 数 な が ら標 高400m地 点 か らも記 録 され た。 エ リマ キガ イ も これ よ り上 部 の地 点 で 記 録 され た が 、 そ の分 布 下 限 に 当 た る標 高420m地 点 で は樹 上 性 を示 し、他 の地 点 で落 葉 下 に生 息 して い た こ と と対 照 的 で あ っ た。
・標 高500mコ ル 〜600m
標 高500m付 近 か ら、 オ ガ サ ワ ラ ノ ミガイ のオ オ タ ニ ワ タ リな どの葉 上 で の 出現 頻 度 が 高 ま った 。 ノ ミガ イ類 の密 度 は 高 い が 、 オ ガ サ ワ ラ ノ ミガ イ 、 ハ タイ ノ ミガ イ が優 占 し、 そ の 大 半 を 占 めた 。 ハ ハ ヒメベ ッ コ ウは どの地 点 で も生 息 が認 め られ た 。 イ オ ウ ジマ ノ ミガ イ は 標 高500mよ り上 部 で は認 め られ な か っ た。
・標 高720m〜820m
標 高700m付 近 か ら、コダ マ キバ サ ナ ギ の 生 息密 度 が急 速 に 高 ま っ た。コダ マ キ バ サ ナ ギ は標 高820m 以 上 で特 に多 く、群 集 で優 占 してい た。 固有 種 と考 え られ る リュ ウ キ ュ ウ ノ ミガ イ 属 の1種 が 限 られ た地 点 で高 い生 息 密 度 を示 した。
・頂 上 お よび そ の周 辺
頂 上 と火 口内 の ス ス キ原 で 、 高密 度 の 陸 貝 の 生 息 が認 め られ た。 ふ るい を用 い た 詳 細 調 査 の 結 果 、 火 口内 の ス ス キ原 と外 輪 山 上 の林 内 の エ ダ ウチ ヘ ゴや コブ ガ シな ど葉 上 か ら、 い ず れ も高 密 度 で コ ダ マ キバ サ ナ ギ ガイ 、オ ガサ ワ ラ ノ ミガ イ 、 ハ タイ ノ ミガ イ 、 ナ タネ ガ イ の1種 の生 息 が示 され た 。 こ
れ らの いず れ の地 点 で も 、陸 貝 の 総 個 体密 度 は 、1平 方 メー トル あた り20匹 を超 え て い た。 林 内 の落 葉 中 に は 、 コダ マ キバ サ ナ ギ ガ イ の ほ か 、 ヒメ コハ クガ イ が 場 所 に よ って 群 生 して い た 。 頂 上 周 辺 は 個 体 数 は 多 い もの の 、1地 点 あ た りの種 数 は 必 ず し も多 くな か った 。 定 量 調 査 で は多 様 性 は著 し く高 い わ け で は な い が 、緩 斜 面 で あ るた め 、広 域 に わ た っ て 詳 細 な 調 査 が 可 能 で あ り、 場 所 に よ って は詳 細 調 査 の結 果 、 トライ オ ン ノ ミガ イや ボ ニ ンス ナ ガ イ な ど も ご く低 頻 度 な が ら出現 す る。 そ れ らの記 録 を総 合 す る と、頂 上 周 辺 の地 点 の記 録 をす べ て あわ せ て 、ll種 が 記 録 され た 。
0
98765432
・︒のΦ⊆̀り=・︒9Φ8 10654321
×Φで二﹀岩﹂Φ﹀も・,迎りΦαの
0 0
200 400 600 800 1000
200 400 600 800 1000
図3.標 高 と 種 数(A)お よ び 種 多 様 性
指 数(S㎞pson指 数)の 関 係
Figure3.Arelationshipbetweenaltitudeand speciesrichnessandspecies(liversityindex (Sinpsonindex).
Altitude(m)
3‑2.種 グル ー プ と他 地 域 との比 較
今 回 の調 査 で小 笠 原 群 島 に も分 布 す るイ オ ウジ マ ノ ミガ イ 、 ボ ニ ン キ ビ、 マ キス ジベ ッ コ ウ、 オ ガ サ ワラ ノ ミガ イ が記 録 され た こ とか ら、 南硫 黄 島 の 陸 貝 群集 は 、 前 回 の 調 査 で 考 え られ た よ りは、 小 笠 原群 島 の要 素 を有 して い る。 ま た 、 これ らの種 は 北硫 黄 島 に も分布 して お り、 南 硫 黄 島 の陸 貝 群 集 の種 構 成 は 北硫 黄 島 に最 も近 い。 た だ し、 現 時 点 で 南硫 黄 島 の 固 有 種 と考 え られ る種 が 、 依 然 と して 3種 分 布 す る こ とが 示 され た 点 は(固 有 率21.4%)、 注 目す べ き結 果 で あ る。 種 構 成 はハ ワイ マ イ マ イ 科 とキバ サ ナ ギ カイ 科 、シ タ ラ科 だ け で80%以 上 を 占 めて お り、海 洋 島 で あ る小 笠 原 群 島 と比 べ て も 著 し く不 調 和 な種 構 成 とな っ てい る。
南 硫 黄 島 の陸 貝 をそ の分 布 か ら区分 す る と、以 下 の よ うに大 き く4タ イ プ の グル ー プ に分 け る こ と が で き る。
(1)高 地 性種:コ ダ マ キバ サナ ギ ガイ とナ タネ ガイ の1種 、 ヒメ コハ クガ イ を含 む 。 これ らは分 布 を 島 の 中腹 ま で広 げ て はい る も の の、 そ の分 布 の 中心 は 山頂 部 に あ る。
(2)海 浜 性種:低 標 高 地 に 出現 す るボ ニ ン スナ ガイ と トライ オ ン ノ ミガ イ で あ り、これ らは小 笠 原 群 島 で も海 浜 部 を 中 心 に分 布 す る種 で あ る。 た だ し トライ オ ン ノ ミガ イ は 中腹 域 に も多 く生 息 し、 い ず れ
も詳 細 調 査 で は ご く稀 な が ら山頂 域 に も記 録 され た 。
(3)中 間 域 分布 種:500mコ ル を 中 心 に 、 島 の 中腹 に特 に優 占 してい る種 群 で あ る。 イ オ ウ ジマ ノ ミガ イ 、ハ タイ ノ ミガイ 、 トウガ タ ノ ミガ イ の1種 、エ リマ キ ガイ が含 まれ る。 イ オ ウ ジマ ノ ミガ イ は、
北 硫 黄 島 にお い て も 島 の 中腹 の 限 られ た 標 高 だ け に分 布 し、 共 通 した 分 布 上 の 特 徴 を示 す 。
(4)そ の 他:低 標 高 地 を 除 き 、いず れ の地 点 で も出現 す る種 、あ る い は極 めて 稀 な種 で 、明 瞭 な標 高 に よる分 布 の違 い が認 め られ ない も ので あ り、 上 記 以 外 の 種 が 該 当す る。
標 高 に対 す る種 多 様 性 の 関係 は、種 数 、多 様 度 指標(S㎞pson指 数)の い ず れ にお い て も、 島 の 中標 高 域 で最 大 に な る とい うベ ル 型 のパ ター ン を示 した(図3)。 これ は 上記4タ イ プ の 異 な る温度 、湿 度 へ の選 好 性 を もつ グル ー プ が 、 限 定 され た 標 高 の 範 囲 に分 布 す る結 果 で あ る と判 断 され る。
次 に近 縁 種 ない し同種 の他 地 域 の分 布 様 式 か ら生 物 地 理 的 な 区分 を行 うと次 の よ うに な る。
(1)東 北 ア ジ ア グル ー プ:南 硫 黄 島 を特 徴 づ け る種 で あ り、小 笠 原 諸 島 に は分 布 せ ず 、 本 土 か ら東 北 ア ジ ア地 域 に分 布 す る北 方 系 の種 群 で あ る。 コ ダマ キバ サ ナ ギガ イ とナ タネ ガ イ の1種 を含 む 。 (2)小 笠 原 グル ー プ:小 笠 原群 島(一 部 伊 豆 諸 島 の最 南 部 を含 む)の 固有種 との共 通 種 ない しそ の 近 縁 種 か らな るグル ー プ で あ る。 ボ ニ ンス ナ ガ イ 、 ハ ハ ヒ メベ ッ コ ウマ イ マ イ 、 マ キス ジベ ッコ ウ、 ト ライ オ ン ノ ミガイ 、オ ガ サ ワ ラ ノ ミガ イ 、 トウガ タ ノ ミガ イ の1種 で あ る。
(3)小 笠 原 一 大 東 グル ー プ:小 笠 原 諸 島 と大 東 諸 島 とい う、 広 範 囲 の海 洋 島 に 分布 す る種 群 で あ る。
イ オ ウジマ ノ ミガイ 、 エ リマ キガ イ 、 ボニ ン キ ビを含 む 。
(4)火 山列 島 グル ー プ:北 硫 黄 島や 硫 黄 島 に共 通 種 な い し近 縁 種 群 が 分 布 す るが 、 火 山列 島 以 外 には 知 られ て い ない 種 群 で あ る。 ハ タイ ノ ミガ イ 、 リュ ウ キ ュ ウ ノ ミガ イ の1種 が 該 当す る。
(5)広 域 グル ー プ:北 方 ユ ー ラ シ ア に分 布 す る種 だ が小 笠 原 群 島 に も分 布 す る種 で 、 ヒ メ コハ クが 該 当す る。従 来 本 種 と され る も の は 同胞 種 を含 む 北 方 系 の 種 群 と考 え られ 、遺 伝 子 角斬 が 未 着 手 の た め、
南 硫 黄 島 の種 が小 笠 原 群 島 の も の と同種 で あ るか は不 明 で あ り、 北 方 由来 の 別 種 の 可 能 性 もあ る。
これ らの種 を系 統 レベ ル で生 物 地 理 的 な 区分 を行 うと、 山頂 域 を 中心 に分布 す る高 地性 種 、 す なわ ち東 北 ア ジ ア グル ー プ と広 域 グル ー プ は、北 ユ ー ラ シア に分 布 す る北 方 系 で あ る。一 方 、海 浜性 種(ト ライ オ ン ノ ミガ イ とボ ニ ンス ナ ガ イ)は 、 南太 平洋 に 分布 の 中心 を もつ 熱 帯 太 平 洋 系 で あ る。 中 間域 分 布 種 す な わ ち 、小 笠 原 、 大東 、火 山列 島 に分 布 す る上 記(2)一(4)のグル ー プ の種 は 、北 方 系 のエ リマ
キ ガイ を 除 き 、す べ て 熱 帯 太 平 洋 系 で あ る(図4)。 一方 、小 笠 原 群 島 で優 占す る東 南 ア ジ ア 〜 日本 南 部 に起 源 を もつ 熱 帯 ア ジ ア系 は、南硫 黄 島 で は確 実 に それ に含 まれ る と言 え る種 は 見つ か らな か っ た。
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図4.5つ の生物腱 グル̲プの標譜 鵬 羅 分布
Figure4.RelationshipsbetweenaltitUdeandfbequenciesofindividualsbelongingtofivebiogeograPhicgroupsof
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3‑3.生 活 形
ノ ミガ イ 類 で は、 標 高320m地 点 で 、 いず れ の種 も樹 上 性 か ら地 上 性 に シ フ トした 点 を除 け ば、 場 所 に よる生 活 形 の大 き な違 い は認 め られ な か っ た。 ま た トライ オ ン ノ ミガ イ や オ ガ サ ワ ラ ノ ミガ イ 、 イ オ ウジ マ ノ ミガ イ の 生活 形 は 、小 笠 原 群 島 の 同種 個 体 群 と同 一 で あ った 。 ハ ハ ヒ メベ ッ コ ウや ボニ ン スナ ガイ は 、い ず れ の地 点 で も地 上 性で あ り、 小 笠 原 群 島 の 同種 個 体 群 と同 じ生 活 形 で あ っ た 。
コダマ キバ サ ナ ギ ガイ は後 述 の よ うに 、いずれ の地点で も、樹 上性 、地上 性が見 られた。北海道 の 同種 集 団 は樹 上 性で地 上 に は 見 られ な い こ とか ら、 南硫 黄 島 で利 用 ニ ッチ の 拡 大 が 生 じて い る と考 え られ る。エ リマ キガ イ は 高 標 高 地 で は 、常 に地 上 性で落 葉 下 に 出現 した が 、分 布 の 下 限 で あ る標 高420m 地 点 で は 、樹 上 性で あ っ た。 小 笠 原 群 島 で は エ リマ キ ガ イ は 、 ご くま れ にオ オ タニ ワ タ リの葉 上 に見
られ る こ とは あ る も の の 、 ほ とん ど常 に地 上 性で あ る。
3‑4.コ ダマ キバ サ ナ ギガ イ の多 様 性
・形 態 的 多 様 性
山頂 付 近 で は コ ダマ キバ サ ナ ギガ イ が 優 占 し、前 回 の 調 査 に よ って 示 され た の と同 様 に 、コブ ガ シ、
エ ダ ウチヘ ゴな どの樹 上 に 多数 が 生 息 して い た ほ か 、 落葉 下 に も生 息 が認 め られ た 。 また 前 回 は調 査 を行 わ な か っ た ス ス キ 草原 に て調 査 を行 っ た 結果 、 多数 の コダ マ キバ サ ナ ギガ イ が 、 ス ス キ の葉 上 や 根 元 に生 息 してい る こ とが わ か った 。
これ らは著 し く形 態 の 多様 性に 富 ん で お り、 同 一種 とは 思 えな い ほ ど形 態 の 異 な る タイ プ が 含 まれ て い た。 樹 上 の タ イ プ は殻 が薄 質 で殻 口内 唇 の 突 起 が 弱 く、 螺 層 の 縫 合 が 弱 い の に対 し、 地 上 で 見 つ か る タ イ プ は 、小 型 で殻 が厚 く、殻 口内 唇 の 突 起 が発 達 す る傾 向 が あ った 。 ス ス キ草 原 で 見 つ か る タ イ プ は殻 形態 の 多様 性が 高 く、殻 高 が 高 くな る傾 向 が あ り、 特 に著 しく細 長 い 個 体 も見 出 され た(図 5)。
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図5.頂 上 周 辺 に お け る コ ダ マ キ バ サ ナ ギ ガ イ の 形 態 的 多 樹 曳 ス ケ ー ノレは1㎜
Figure5.MorphologicaldiversityofVertigokodamai.A scalebai=1mm
コダマ キバ サ ナ ギ ガ イ の 南硫 黄 島個 体 群 とそ の 起源 と考 え られ る北海 道集 団(日 高 、 阿 寒 、 占冠) の殻 形 態 を比 較 した と ころ 、 北海 道 で は集 団 内 、集 団 問 と も大 きな 形 態 変 異 と形 態 差 は認 め られ なか っ た の に対 し、南 硫 黄 島 の個 体 群 は殻 高や 殻 口の形 状 な ど、 殻 の 形 態 の 多様 性が 著 しく高 ま って い る ほ か 、殻 口内唇 の突 起 が弱 くな っ て い た。 北海 道 集 団 と南硫 黄 島集 団 の 違 い は 、 形 態 だ け に基 づ く従 来 の分 類 に従 うな ら、 別 種 と され る に十 分 な レベ ル で あ る。
・遺 伝 的 変 異
核 お よび ミ トコ ン ドリアDNAの 分 析 の結 果 、前 回 と同様 、南 硫 黄 島集 団 と北 海 道 集 団 の 問 に大 き な遺 伝 的差 は認 め られ な か っ た。 島 の頂 上 の地 点S10‑12お よびMO9か ら、各 地 点10個 体 つ つ 分 析 を 行 っ た結 果 、南 硫 黄 島 の集 団 問 お よび 異 な る タイ プ の 間 に遺伝 的 な 差 異 は見 い だ され ず 、 い ず れ も 同 一 の遺 伝 子 型 に属 した
。 従 っ て遺 伝 的 に は 、 これ らは い ず れ も 同一 種 の 変 異 で あ り、 異 な る住 み 場 所 に生 息 す る こ とに よ る適 応 を反 映 した も ので あ る。
・生 殖 腺 の特 徴
次 に南 硫 黄 島 の コダ マ キバ サ ナ ギ ガ イ の頂 上集 団 に つ い て 、解 剖 を行 い 生 殖 腺 の観 察 を行 った 。 そ
の結 果 、生 殖 腺 の 形 態 と繁 殖機 能 に 多 型 が認 め られ た(図6)。 調 べ た25個 体 中18個 体 は雄 性 生 殖 器 (penis)を も って お らず 、 雄 と雌 の 生殖 器 官 を と もに備 えて い るの は7個 体(28%)で あ っ た。
比 較 の た め北 海 道 の 日高 の集 団 につ い て 、生 貝 を採 取 し、生殖 腺 を調 べ た結 果 、得 られ た9個 体 中、
雄 性生 殖 器 を備 え て い た個 体 は見 い だ され なか った(0.0%)。 南 硫 黄 島 集 団 の 方 が 、北 海 道 集 団 よ りも 雄 性 生 殖 器 を持 つ 個 体 の頻 度 が高 い とい う結 果 で は あ るが 、北海 道 集 団 の調 べ た個 体 数 が少 な い た め 、 現 段 階 で は統 計 学 的 に有 意 な差 とは言 え ない 。
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図6.コ ダ マ キ バ サ ナ ギ ガ イ の 生 殖 腺 の 多 型 。Euphallic(A)とaphallic(B) Figure6.PolymorphismsingenitalmorphologyinVentgokodamai.Eupha‑c(A)andaphalhc(B)
4.考 察
4‑1.前 回調 査 との比 較
前 回 の調 査 結 果 と今 回 の結 果 の大 き な違 い は 、 島 の 中腹 域 お よび そ れ 以 下 の 地 域 で 、 高 い 密 度 で 陸 貝 が記 録 され た こ とで あ る。 前 回 、 これ らの地 域 で は500mコ ル 地 点 を除 き、 ほ とん ど、 あ るい は全
く陸貝 を見 る こ とが で き な か った 。 と ころ が今 回 は 、500mコ ル 地 点 の み な らず 、標 高300m‑400mに か け て の地 点 で も、 ノ ミガ イ類 が タ コ ノキや オ オ タニ ワ タ リの葉 上 に群 生 して い る状 況 が 見 られ た 。
この違 い の理 由 は2点 考 え られ る。
まず 第 一 に、登 山ル ー トが 前 回 と多 少 異 な り、300mよ り上 の地 点 で は 、よ り密 生 した 比 較 的 湿 度 の 高 い森 林 内 を通 過 した 点 で あ る。 林 床 の 落葉 層 の発 達 も良 く、 陸 貝 の 生 息 に と って 良 好 な地 点 が 、 ル ー トに な っ て い た 可能 性 が あ る。 今 回 のル ー トは 、 頂 上 ま で ほぼ 林 内 を通 過 して お り、 全 体 的 に比 較
的条 件 の似 た環 境 を調 査 す る こ とがで きた 点 が 理 由で あ る と考 え られ る。
第 二 に 、前 回 の調 査 は 台風 の 直撃 を受 け た後 で あ っ た た め 、林 冠 が 消 失 して お り、 林 内が い ず れ の 場 所 も著 し く乾燥 した状 態 とな っ て い た。 今 回 は 台 風 が訪 れ て お らず 、 林 冠 が 閉 じ、 林 内、 落 葉 層 と も湿 潤 な状 態 とな っ て い た。 この環 境 条件 の違 い が 、 陸 貝 の 生 息 状 況 に違 い を もた ら した と考 え られ る。
第 一 の点 か ら指 摘 され るの は 、調 査 地 点 は 陸 貝群 集 の ご く一 部 を見 て い る にす ぎず 、 依 然 と して 陸 貝群 集 の全 貌 は ま だ 明 らか に な っ て い な い とい うこ とで あ る。 同 じ標 高 で も地 点 に よ り群 集 は大 き く 変 化 す る可能 性 が あ り、 同 一標 高 内 で の ハ ビ タ ッ トの 変化 とそ れ に対応 した 群 集 の 変 化 を知 る こ とが 今 後 の課 題 で あ ろ う。
第 二 の点 か ら想 定 され るの は 、 陸 貝群 集 は環 境 変化 に よ り時 間 的 に大 き く変 動 して い る可 能 性 が あ る とい う こ とで あ る。700mよ り上 部 で は雲 霧 帯 のた め、環 境 の変 化 は大 き くな く安 定 して い る と考 え られ る が 、 それ 以 下 は頻 繁 な撹 乱 が 起 こ り、個 体数 が 大 き く増 減 して い る可 能 性 が 高 い 。 長 期 的 なモ ニ タ リン グ に よ り、群 集 の日寺問変 動 を知 る こ とが 今 後 の 課 題 で あ る。
4‑2.陸 産 貝 類 の多 様 性分 布
標 高 に対 す る種 の多 様 性 のパ ター ンが 、 標 高400m〜700mの 、 中標 高 の地 域 で 最 大 とな って い た 。 同様 な 中 間 の標 高 で の 陸 貝種 数 の増 大 を示 す パ ター ンは 、 キ ナ バ ル 山や タ ンザ ニ ア の 例 が 知 られ て い る。 これ らは 中標 高 の地 域 が最 も陸 貝 の 生 息 に適 した 環境 で あ る こ と、 お よび 高 標 高 地 と低 標 高 地 に 住 む 種 が混 じ り合 うこ とが理 由 で あ る と され る(Tattersfieldetal.,2006)。南硫 黄 島 の ケ ー ス は 、そ れ ぞ れ の種 が 島 内 で分 化 した種 で は な く、他 か ら移 住 して きて そ れ ぞ れ の標 高 の 範 囲 に定 着 して い る種 で あ る こ とか ら、 こ の種 多 様 度 の標 高 勾 配 は、 高 地 性か ら海 浜 性ま で 大 き く4つ に 区分 され る種 グル ー プ の分 布 の重 な り方 を反 映 して い る と考 え られ る。 種 ご と に生 息 可 能 な標 高 が 異 な って い る場 合、 ひ とつ の 山 に お い て ラ ンダ ム に種 が構 成 され た群 集 は 、 中間 的 な標 高 で 種 数 が 最 大 に な る とい うパ ター ン(中 領 域 効 果)を 示 す はず で あ る。 島 の 中腹 で は 、 中間 域 分布 種 に加 え、海 浜 性 種 と高 地 性種 の分 布 の末 端 が重 な っ て い るた め 、種 の 多様 性が 最 大 に な る と考 え られ る。 分布 末 端 で は ご く低 頻 度 で 個 体 が見 出 され るが 、 これ が そ の場 所 に 定住 して い るの か 、 偶発 的 な もの な の か は不 明 で あ る。 ノ ミガ イ 類 は メ ジ ロ な どの鳥 に運 ばれ て 移 動 す る こ とが 知 られ て お り(Wadaetal.,2012)、 島 内 で標 高 を ま た い だ散 布 が起 き てい る可 能 性 が あ り、分布 末端 は この プ ロセ ス に よっ て維 持 され て い る可 能 性 が あ る。
小 笠 原 群 島 で は母 島 に お い て標 高 と陸 貝 の種 多様 性の 関係 が調 べ られ て い る。 母 島 で は 本 来 、 陸 貝 の種 多 様 性 は標 高 に対 し、 単 純 な 正 の 相 関 を示 して い た と考 え られ(ChibaetαL,2009)、 これ は南 硫 黄 島 の ケー ス とは異 な る。 こ の違 い の理 由 のひ とつ は、 母 島 の 標 高 が460mし か ない 点 で あ ろ うが 、 も うひ とつ の理 由 は 、母 島 の場 合 、標 高 勾配 を創 り出 して い る種 の 多 くが 、 母 島 で 種 分 化 した 種 で あ る とい う点 で あ る。母 島で は湿 度 が 高 く、陸貝 の生 息 に とって 好 適 な高 標 高 地 で 種 分 化 が 起 こ った 結 果 、 正 の標 高 勾 配 が形 成 され た と考 え られ る。 一 方 、 南硫 黄 島 の よ うに島 の 形 成 が 新 しく、 島 内で 十 分 な 種 形 成 に至 っ て い な い場 所 で は 、移 住 定着 した種 が 、 そ の 故 郷 の 生 息 環 境 と類 似 した 環境 にか な り限 定 され て分 布 す る結 果 、 中領 域 効 果 が あ らわれ て 、種 多様 性が標 高 に対 しベ ル 型 の パ ター ン を示 す と
考 え られ る。
4‑3.ニ ッチ 保 守1生
南 硫 黄 島 で は頂 上 で北 方 系 の種 が優 占 し、低 標 高 地 で は熱 帯 太 平 洋 系 の 種 が優 占 して い る こ と は、
そ の分 布 に祖 先 系統 の 生 息環 境 が反 映 され て い る こ と を示 して い る。 この こ と は、 ニ ッチ 利 用 が 生 理 的 な性 質 に制 約 され てい る こ とを示 して い る。 こ の よ うなニ ッチ 保 守 性(Wiens&Graham,2005)は 、 生 活 形 に も認 め られ る。 ノ ミガ イ類 や ハ ハ ヒメ ベ ッ コ ウな ど、 ほ とん どの 種 は、 地 上 性 か 樹 上 性 か と い う生 活 形 を小 笠 原 群 島 の 同種 と変 えて い な い。 トライ オ ン ノ ミガ イ や オ ガ サ ワ ラ ノ ミガ イ は、 母 島 な どで は タ コノ キ 、オ オ タ ニ ワ タ リの葉 上 に特 に多 く生 息 す るが 、こ の点 も南 硫 黄 島で 共 通 して お り、
住 み 場 所 の変 化 は検 出 で き な い。 一般 的 に新 しい海 洋 島 で は 、 定 着 して い る種 が 少 な くニ ッチ が 空 い てお り、競 争 相 手 に な る種 が 乏 し く、捕 食 者 も乏 しい の で 、 ニ ッチ 開 放 が 起 こ り、 本 土 の祖 先 集 団 よ り も幅 広 い生 活 形 を と る と考 え られ て い る。 と こ ろが 、 これ らの 陸 貝 は この よ うなニ ッチ 開放 を生 じ て い る証 拠 は得 られ ず 、 む しろ そ の ニ ッチ利 用 は 、祖 先集 団 と同 一 の もの に制 約 され て い る と考 え ら れ る。
これ に対 して 、 ニ ッチ 開放 な い しニ ッチ シ フ トを 生 じて い る と考 え られ る事 例 が 、 エ リマ キガ イ と コダマ キバ サ ナ ギ ガ イ に認 め られ る。 エ リマ キ ガ イ は 、同属の コダマ キバサナ ギガイが少 ない 中腹域 に 多 く、 ま た そ の分 布 の 下 限 で は樹 上性 で あ る。 一 方 、 コダ マ キバ サ ナ ギガ イ が 多 い 高 標 高 地 で は地 上 性 とな り、特 に コダ マ キバ サ ナ ギ ガ イ の密 度 が 高 い 頂 上 付 近 には 極 めて 少 な い 。 こ の こ とは 島 の 中 で 、種 問 の相 互 作 用 に よ り利 用 ニ ッチ の変 化 が 生 じて い る可 能 性 を示 唆 して い る。
北 海 道 で は樹 木 表 面 の地 衣 類 や 樹 皮 下 だ け で 見 られ る コダ マ キ バ サ ナ ギガ イ が 、 南 硫 黄 島で は樹 木 の 葉 上 の み な らず 落 葉 下や ス ス キ 草原 に も進 出 して い る こ とは 、 ニ ッチ 開 放 の 例 と考 え られ る。 北 海 道 で は 、 草地 に は 同属 の他 種(ク シ ロキバ サ ナ ギ ガ イ な ど)が 生 息 し、 コ ダマ キバ サ ナ ギガ イ は生 息 し な い の で 、南 硫 黄 島 で は 同 一 の種 が ニ ッチ利 用 を広 げ 、本 土 な ら他 種 が 占 め るニ ッチ も 占 めて い る こ とが わ か る。 南 硫 黄 島 の コダ マ キバ サ ナ ギ ガ イ が示 す 著 しい 形 態 の 多 様 性 も、 この ニ ッチ 利 用 の拡 大 を反 映 した もの で あ ろ う。 実 際 、 ス ス キ 草原 で 見 出 され る極 端 に細 長 い タイ プ は、 そ の形 態 が 北 海 道 の草 地 に生 息す るク シ ロキバ サ ナ ギ ガ イ な ど と良 く似 て お り、 一 方 、 木 性 シ ダ な どの 大 き な葉 に付 着 して い る卵 型 の タイ プ は 、北 海 道 の林 内で フ キ の葉 に付 着 して い るVertigocircumlabiataに 形 態 が類 似 して い る。 これ ら異 な る ニ ッチ を 占 め る タイ プ の 間 に、 ミ トコ ン ドリアDNAの レベ ル で差 が検 出で き な い こ とか ら、 これ らは ご く短 い期 間 に 分化 した と思 わ れ る。 適応 放 散 の 初 期 の 過 程 を示 して い る 可能 性 が 高 い。 これ らの タ イ プ 問 に遺 伝 的 な 交 流 が どの 程 度 生 じて い るの か 、 種 分 化 が 起 こ りつ つ あ る の か を知 る た め 、今 後Mig‑seqな どを用 い た詳 細 な遺 伝 子 解 析 を行 う予 定 で あ る。
4‑4.繁 殖 様 式
陸産 貝 類 の生 殖 腺 に は まれ に雄 性器 官 の有 無 に 関す る 多型 が認 め られ る。 雄 性生殖 器(penis)を も つ タイ プ(euphallic)と 、そ れ を欠 失 した タイ プ(apha皿c)で あ る(Barker,2001)。Euphallicは 他 個 体 と交 尾 を行 い 、精 子 の 交換 を行 うが 、aphalhcは 交 尾 を行 うと きは 常 に雌 とな る。 しか し精 子 をつ く る
こ とが で き る た め 、主 に 自殖 を行 い 、交 尾 を 行 うこ とは少 な い(Barker,2001)。 キバ サ ナ ギ ガイ 属 で も 、 この生 殖 腺 の多 型 が生 じる例 が知 られ て い る(Pokrys2ko,1990)。 南 硫 黄 島 の コ ダマ キバ サ ナ ギ ガイ で この生 殖 腺 の 多型 が 見 られ た こ とは 、 この種 が遠 距 離 分 散 を経 て 定 着 に成 功 した こ とや 、 そ の後 のニ ッチ多 様 化 と関係 してい る可 能 性 が あ る。Aphallicは 交尾 をせ ず 、一 個 体 で繁 殖 で き る た め 、分 散 、定 着 に有 利 で あ り、 ま た新 しい 環 境 へ の進 出 に有 利 で あ る(Schlag&Read,1992)。 しか し、一 旦 定 着 に 成 功 す る と、近 親 交配 を避 け る こ とが で き る点 で 、euphalhcの 方 が有 利 とな る。以 上 の 点 か ら、こ の多 型 が生 じて い る こ とは 、定 着 に前1」なaphalicが 、そ の 後 の 近 親 交 配 の リス クに 関 して有 利 なeuphalhc へ の 変 化 の途 上 を示 して い る可 能 性 が あ る。 実際 、祖先 の北海道集 団 では、調べ たすべて の個 体が aphallicで あ っ た こ とは 、 この プ ロセ ス を支 持 して い る。 しか し調 査 した北 海 道 集 団 は十 分 で は な く、
この仮 説 の検 証 に は 、北 海 道 の よ り多 くの個 体 、 集 団 を調 べ る必 要 が あ る。
4‑5.ま とめ
南 硫 黄 島 の 陸産 貝類 相 の特 徴 は 、冷 帯 由 来 の種 が 高標 高 の 地 点 に、熱 帯 由来 の 種 が 低 標 高 の 地 点 に 優 占 し、標 高差1000mの 斜 面 で 出会 い 混 合 して い る こ とで あ る。異 な るニ ッチ 保 守 性 を もつ 種 が 限 定 され た分 布 を もつ こ とが 、種 多様 性の標 高 に 対 す る勾 配 を創 り出 した 主 な 要 因 で あ る。 ニ ッチ 保 守 性 は海 洋 島 の生 態 系 の研 究 で は 、種 間 関係 に 比 べ て あ ま り言 及 され る こ と は多 く ない が 、 海 洋 島 の生 物 進 化 や 多様 化 パ タ ー ンを理 解す る うえで 、 重 要 で あ る。 しか し一 方 で 、 な ぜ 同 じ島 にニ ッチ 保 守 性 を 示 さず 、柔 軟 な ニ ッチ拡 大や シ フ トを 生 じて い る種 が い るの か 、 そ の 違 い を もた ら して い る理 由 は 明 らか で は な い。 なぜ 特 定 の 系統 が適 応 放 散 を示 し、他 の 系 統 が そ う した 多 様 化 を示 さ ない のか とい う 問題 を理 解 す る うえ で 、 これ らの ケ ー ス は鍵iとな る知 見 を与 えて くれ る可 能 性 が あ る。 今 後 の遺 伝 子
レベ ル の解 析 が 、 この 問題 を理 解す る うえで 必 要 で あ ろ う。 た だ し、 南 硫 黄 島 にお い て 、 前 回 の調 査 時 の状 況 とは大 き く異 な る状 況 が 陸 産 貝類 相 に認 め られ 、 群集 構 成 や 密 度 が 時 間 的 に大 き く変 動 して い る 可能 性 が あ る。 従 っ て短 期 的 な調 査 だ けで は 、観 察 され た パ ター ンの 解 釈 を誤 る危 険 性が あ る。
今 後 の長 期 的 な視 野 に基 づ く調 査 が望 まれ る。
5.謝 辞
本調査 は、東京都 、公 立大学法人 首都 大学東京 お よび 日本放 送協会の三者 が連携 に関す る協定 を結 び実施 した ものであ る。本稿 の執筆 にあた り、平野 尚浩氏(東 北大)に は情報提 供と ともに、 同定 に 際 して御助力 いただいた。 山崎大志氏(東 北大)に は遺伝 子解 析お よび コダマ キバサナ ギガイ の北海 道集 団の調査 に御協力 いただいた。最後 に南硫 黄島調 査隊の全隊員お よび隊のサポー トをいただいた 全 ての方 々に厚 く御礼 申 し上 げる。
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S Y
Diversity in land snail communities on Minami-Iwo-To Island
Shinichiro WADAI & Satoshi CHIBA2*
1. Tokyo Metropolitan University, School of Science & Engineering, Minami-Osawa Hachioji, Tokyo, 192 —0397 2. Tohoku University, Center for Northeast Asian Studies, Tohoku University, 41 Kawauchi, Miyagi, 980 —8576
* [email protected] (author for conespondence)
A survey of land Mollusca on Minami-Iwo-To Island was conducted in June 2017. Information on land snail fauna was revised and 14 species were recorded. Among these species, Lamellidea sp. seems to be a new species endemic to the island. A graph of species diversity in relation to the altitude of the survey sites exhibited a hump- shaped curve, supporting the hypothesis of mid-domain effects, with individual species distributed within a limited range of altitudes and showing niche conservatism. Species derived from northern Eurasia dominated at high altitude sites, while those from the tropical Pacific were observed at low altitude sites. Although many of the observed species showed niche conservatism in terms of habitat use, Vertigo kodamai showed expanded habitat use on the island, and V. dedecola showed habitat shifts at low altitudes. These patterns may reflect the initial stages of adaptive divergence of these species. Polymorphisms in genital morphology, including aphallism and euphallism, were found in V.
kodamai populations, suggesting that reproductive traits potentially contribute to the success of long distance dispersal and extension of habitat use. Characteristics of snail populations (e.g., density) observed in the present survey were largely different from those seen in previous surveys, implying temporal changes in the structure and composition of the island snail community on the island.
Key words
Adaptation, Environmental gradient, Evolution, Kazan Islands, Ogasawara Islands.