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古典概念に基づく量子測定過程の分析

白井仁人(Hisato Shirai)

一関工業高等専門学校

本研究では、現在の量子測定理論とは異なり、測定器を(量子力学的な系ではなく)

古典的な系と見なすアプローチにより量子力学の測定過程を分析する。その目的は物 理量の概念について議論することにある。

現在、物理学(特に量子力学基礎論)の分野では、測定技術の向上に伴い、量子測 定理論が著しく発展し、不確定性関係を含め連続測定などにおける測定精度に関する 議論が活発に行われている。しかし、そうした研究だけで、測定過程に関する量子力 学の解釈や物理量の概念など、哲学的に重要な問題を十分に議論することは難しい。

その第一の理由は、物理学は検証可能な事柄だけを扱うべきだという認識を物理学者 が持っているため、検証不可能な内容を含む哲学的な問題を扱えないからである。第 二の理由は、量子測定理論が量子力学の枠組みの中での議論であり、そのために量子 力学の解釈を扱えないということがある。つまり、量子力学の枠組みの中から量子力 学を説明できない。

このように、量子測定理論にもとづいて量子力学の測定過程に関する哲学的問題を 議論することは難しいが、それではどのようなアプローチを取れば、量子力学の解釈 問題や物理量の概念について議論できるだろうか。我々はそのために次のようなアプ ローチ法を取る。それは、ボーアらが主張したように測定器を古典的な系として扱う 方法である。本研究の目的は、その立場から測定過程について再分析することである。

これは既にボーアの時代から行われてきたことであるが、本研究では特に位置の測定 方法と運動量(やスピン)の測定方法を詳細に分析する。

分析、考察、結論は以下のようにまとめられる。

1.測定過程は、検出、 スペクトル分解、 転写、準備の4つの過程から成る。

2.どのような測定を行うかにより必要な過程は異なる。

3.どのような測定でも検出の過程を必ず含む。検出は測定に不可欠な要素である。

4.物理量の転写(相互作用)は必ずしも測定に不可欠な過程ではない。

5.位置測定は検出だけで行える。その意味で最も基本的な測定は位置測定である。

6.運動量やスピンなどの値はスペクトル分解後の位置の測定結果から導出される。

7.我々が直接測定している物理量は常に位置である。(運動量は直接測定できない。 8.したがって、量子力学の解釈を考える場合、位置概念に基礎を置き、他の物理量

(運動量など)を2次的な概念と考える方が自然である。(少なくともそのような 解釈はここでの分析結果と整合的である。

以上の結果はわれわれが提案してきた「運動量の統計解釈」を支持する。

参照

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