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覆工コンクリートのラップ部の充てんについて 安藤ハザマ

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Academic year: 2022

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(1)土木学会第72回年次学術講演会(平成29年9月). Ⅵ‑157. 覆工コンクリートのラップ部の充てんについて 安藤ハザマ. 正会員. 安藤ハザマ. 正会員. 小池. 悟. 安藤ハザマ. 正会員. 多宝. 徹. 安藤ハザマ. 正会員. 坂本. 守. 1.はじめに. ○小野里みどり. 吹上げ口. 山岳トンネルにおける覆工の天端部分のコンクリート打込み. 75cm 程度. 妻板側. は,通常,吹上げ方式により施工される.天端部のコンクリー ラップ側. トの吹上げ口は,先行して打設したブロックのコンクリートと の境界から 75 cm 程度の位置に設置されることが多い(図-1 参 照).そこからコンクリートを型枠内部に圧送し,ラップ側,妻 板側にコンクリートを流動させる. 今回,筆者らは,ラップ側の充てん性やコンクリートの品質 に着目して,実物大の模擬型枠を用いた実験を行った.本稿で. 図-1. は,実験を通じて得られた知見を報告する.. 吹上げ方式による打設模式図. 2.実験概要 実験に用いた型枠はトンネルの覆工コンクリートの天端部を 実物大で模擬したものであり,延長方向に 3 m の型枠と 10.5 m の型枠の 2 種類を用いた(図-2 参照).内型枠はトンネル現場の セントルを再現し,外型枠は地山を模した.外型枠の天端部に. 延長 3 m × 幅4 m 図-2. はアクリル製の観察窓を設けた.外型枠と内型枠の間は型枠セ パレータで緊縛し,型枠の変形を抑制した.表-1 に実験ケース. 表-1 実験ケース. の一覧を示す.. CASE 1-1. 延長 3 m の型枠では,筆者らが実際のトンネル現場で採用している. CASE 1-2. 各種対策工の有効性の確認を行った(CASE 1-2).また,比較のために. CASE 2. 延長 10.5 m × 幅 5 m 型枠概要図. 実験ケースと実験の目的 使用型枠. 実験目的 ラップ側無対策の場合 の確認 L=3.0 m ラップ側各種対策を行 った場合の効果の確認 L=10.5 m 全体打設中のラップ側 の充てん状況の確認. 対策を行わない打込みの再現を行った(CASE 1-1).CASE 1-1 では,コ ンクリートの充てんおよび締固めに,内型枠の窓から手動のバイブレ ータのみを用いた.また,コンクリートのスランプは一般的な仕様書 配合の 15 cm とした.CASE 1-2 では,ラップ部にエア抜き孔(3 カ所) と伸縮バイブレータ(4 本;写真-1 参照)を設置し,打設中,適宜作動さ せてその効果を確認した.また,コンクリートのスランプは 18 cm とした. 写真-1. 延長 10.5 m の型枠での実験(CASE 2)は,ラップ部に最終的. 伸縮バイブレータ. にとどまるコンクリートの投入時期,締固め過程,充てん状況 を確認する目的で実施した.. ③. ②. また,各 CASE ともに,生コンクリートの単位量ごとに異なる色. ① 吹上げ口. で着色し,コンクリートの投入順序をトレースできるようにした. 写真-2. 3.実験結果. ラップ部の充てん状況(CASE 1-1). 写真-2 に CASE 1-1 のラップ部のコンクリートの充てん状況を示す.コンクリートは①,②,③の順番で打ち 込んだ.①を打ち込んだ段階では,吹き上げ口から投入されたコンクリートは吹上げ口周辺に滞留し,山になる. キーワード 連絡先. 山岳トンネル,覆工,コンクリート,ラップ側,吹上げ方式 〒305-0822 茨城県つくば市苅間 515-1. 安藤ハザマ技術研究所. ‑313‑. TEL029-858-8813.

(2) 土木学会第72回年次学術講演会(平成29年9月). Ⅵ‑157. そのコンクリートを手動バイブレータを用いて横断方向に流動させ,コンクリート表面をレベルにした.②~ ③を打ち込んだ段階では,手動バイブレータがラップ側まで届かなくなるため使用できず,吹上げ口から投入 されたコンクリートの圧送圧でコンクリートを押し込むのみとなった.天端のアクリル窓の観察からは,吹上げ 口から投入されたコンクリートが,任意の方向に重なりあって充てんされていく状況を確認した.また,時間 差で重なったコンクリートはそれぞれ外型枠に密着し,型枠と投入されたコンクリートの間に大きなエアだまりを 形成する様子も確認した.写真-3 に CASE 1-1 と CASE 1-2 の充てん状況を示す.エア溜まりの発生箇所は天 端最上部とは限らず,吹上げ口から少し距離の離れた肩部に形成されていた.このことから,エア溜まりによ る未充てん部が発生する位置を特定するのは難しく,エア抜き孔のみによる対応だけでは対策として不十分で あるといえる. CASE 1-2 では,コンクリートの投入完了まで継続的に伸 縮バイブレータを作動させることにより,吹上げ口から重 なり合って充てんされていくコンクリートの表面を常にレ CASE1-1. ベルにした.これにより,コンクリートと外型枠の間に形. CASE1-2 充てん状況(CASE 1-1,CASE 1-2). 写真-3. 成されるエア溜まりを天頂部に集約し,天端部に設置した エア抜き孔で確実に空気を抜くことができることわかった. 写真-4 に CASE 2 の硬化コンクリートを上部から撮影し. ①. ③. ②. ラ ッ プ 側. た状況を示す.①~⑤の数字は生コン車毎(4 m 3 )の打込み 順序を示している.硬化コンクリートの観察からラップ部. ⑤. ④. 吹上げ口. の天端は 2 台目のコンクリートが充てんしており,最後(5. ③. ①. 台目)に打ち込んだコンクリートと吹上げ口の近傍で接す ることがわかった.図-3 に打込みの際のコンクリート充て. 写真-4. 側に向かって流動している様子がわかるが,4,5 台目のコ ンクリートが流動している間はラップ部に滞留した 2 台目 のコンクリートに大きな圧力を加えることはない.5 台目の 打込み開始時点で,吹上げ口近傍に設置した圧力計(No.3). 妻 板 側 充 て ん 確 認. 妻 板 側. No3. 60. でおおむね充てんされるが,打込みの早い段階で完全に充. 写真-4 から 4,5 台目のコンクリートは吹上げ口から妻板. ラ ッ プ 側. 70. 充てん検知システムの作動状況から,ラップ部は 1~2 台目. No2. No1. 妻 板 加圧充てん 閉 鎖. 吹上げ口. 50 圧力(KPa). と妻板側でほぼ同じタイミングであることがわかった.. 硬化コンクリート上面(CASE 2). 80. ん圧力の経時変化を示す.打込み時のアクリル窓の観察,. てんされることはなく,完全に充てんされるのはラップ側. 妻 枠 側. 振動デバイス 充てん確認. 圧力計設置位置. 40 30. ③8.0m3 20. ④12.0m3. ⑤16.0m3. ②4.0m3 ①0.0m3. №1 №2 №3. 10 0. 0. 20. 40. 60. 80. 100. 経過時間(分). 図-3. コンクリート充てん圧力の経時変化. の値は,12 kPa 程度でコンクリートの自重 8 kN/m2(=0.35 m×23 kN/m3)の 1.5 倍程度に過ぎない.妻板部のコ ンクリートが完全に充てんされる直前に,圧力計の値が大きく上昇しはじめ,ラップ側肩部の振動デバイスで 充てんを確認した時点では 30 kPa まで上昇していた. 4.まとめ 実験により,対策をとらずに打込みを行うと,ラップ側肩部にエア溜まりが形成される状況を確認した.ま た,伸縮バイブレータを用いてエア溜まりを天頂部に集約し,天端部に設置したエア抜き孔で空気を抜くこと で,ラップ側のコンクリートを確実に充てんできることを確認することができた. さらに,ラップ側が完全に充てんされるのは,妻板側が充てんされるのとほぼ同じタイミングであることが わかった.今回の実験は,縦断方向の型枠勾配を水平で実施したが,登り勾配で打設する場合は,充てん性は よりよくなると考えられる.一方で,下り勾配で打設する場合は,例えば 3%勾配であるとラップ側と妻板側 の高低差は 30 cm 程度にもなるので,ラップ部の充てんにより注意を払う必要があると考えられる.. ‑314‑.

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