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場所打ち杭の無溶接工法による施工報告 Construction report of Cast-in-place pile by Non welding method

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Academic year: 2022

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場所打ち杭の無溶接工法による施工報告

Construction report of Cast-in-place pile by Non welding method

東日本高速道路㈱ 北海道支社 ○正 員 上原隆三 (Ryuzo Uehara) 東日本高速道路㈱ 北海道支社 村上和行 (Kazuyuki Murakami) 東日本高速道路㈱ 北海道支社 松田拓也 (Takuya Matsuda)

1. はじめに

平成 24 年度道路橋示方書の改訂に伴い,場所打ち杭 の鉄筋かごの組立てに際して,形状保持のための溶接を 行ってはならないと規定された.これは,溶接により鉄 筋断面減少等の欠陥が生じるおそれがあり,施工の品質 確保が困難になるためである.これにより,これまで鉄 筋かごの形状を溶接固定で保持していたものを特殊金物 による固定やなまし鉄線・補強鉄筋・鋼材を配置して堅 固となる鉄筋かごを組立なければならないこととなった.

本論文では,北海道横断自動車道 余市~小樽間の建 設事業における鉄筋かごの組立てに際して,溶接を用い ない施工方法(以下,「無溶接工法」という.)で実施 した現場での施工報告を行うものである.

2. 固定金具の特徴

鉄筋かごの組立や加工は鉄筋加工工場で実施されてお り,無溶接工法においても加工工場で製作され,さまざ まな無溶接工法が存在し,工法ごとに固定方法,固定箇 所,固定金具や形状等に違いがある.

その中で小樽工事事務所管内の工事で実施した無溶接 工法における固定金具の例を示す.(写1.3)

① A工法

鉄筋かごの主筋と帯鉄筋を固定する金具がプレート形 状のものにU型フックで固定される構造となっている.

写真-1 固定金具(A 工法)

写真-2 固定金具(A 工法)設置状況

② B工法

鉄筋かごの主筋と帯鉄筋を曲げ加工された丸鋼で固定 する構造となっている.

写真-3 固定金具(B 工法)

写真-4 固定金具(B 工法)設置状況

3. 施工段階での課題抽出

(1)施工時の変状

平成26年3月に小樽工事事務所管内において,無溶 接工法(A工法)を初めて用いて場所打ち杭(φ1500, 23m)を施工した.施工時に鉄筋かごの天端部を確認し ていたところ,鉄筋かご建込み後に鉄筋天端が回転

(180°)を伴いながら沈下(約 600mm)する現象が確 認された.そのため鉄筋かごを引き上げて確認したとこ ろ,鉄筋かご先端付近で主筋の僅かな変形と結束線の緩 みが確認された.

(2)鉄筋かごの載荷試験

鉄筋かごの沈下及び回転が生じた原因として考えられ たのが,鉄筋の自重等による主筋継ぎ手部のズレや主 筋・帯筋のズレであった.ただ,場所打ち杭の施工は,

ケーシング内の地下水中での施工であることから,実際 にケーシング内で生じている変状を直接目視で確認出来 ない.そのため,この変状発生のメカニズムの解明なら びに鉄筋かごの補強方法を検討するため,水中ポンプで 水位を下げたケーシング内に鉄筋かごを建て込み,天端 部に段階的に荷重をかけ変形状況を確認する載荷試験を 行った.(写5)

平成27年度 土木学会北海道支部 論文報告集 第72号

E-08

(2)

写真-5 載荷試験の状況(6t載荷時)

(3)試験の結果

試験の結果,主筋の継ぎ手部にはズレ等の発生はなか ったが,主筋が変形し鉄筋かご全体の長さが短くなって いることが確認された.また,この主筋の変形によって,

鉄筋かごにねじれが生じていることが確認されたため,

この鉄筋かご全体のねじれが,鉄筋かご天端部の沈下及 び回転の原因であることが判明した.なお,試験では目 視で確認し易くするため主筋4本を緑色に着色し試験を 実施している.(写6,7)

写真-6 ケーシング孔内の状況(6t載荷時)

写真-7 試験後の鉄筋かごの状況

鉄筋かごにねじれが生じた要因としては,金具で固定 している主筋と組立筋及び帯筋との交差部分で金具が変 形し形状が保持されなかったことが要因と考えられる.

すなわち,これまでの溶接による固定では生じにくか った僅かな変位が固定金具では生じ,鉄筋かご全体とし て見た場合,主筋への偏芯が大きくなり,鉄筋かご全体 のねじれ変形が生じたものと思われる.

4. 固定金具の改善

今回の現場では,載荷試験により得られた鉄筋かごの 変状に対する対策として,金具本体の改善及び固定金具 での固定箇所の増設を検討した.

まず,固定金具の改善(A工法)についてであるが,

これまでの固定金具では,プレートの穴が片側一方向で のたすき固定となっていたため,僅かな変位でも同じ方 向に変位が生じやすく,結果として主筋と帯筋のズレが 発生し鉄筋かご全体のねじれが生じることから,固定金 具について新たに逆方向にたすき固定できるよう金具を 改良し,これを交互に設置することで同方向への偏芯が 生じにくい構造とした.(図1)

次に,これまで点付け溶接にて主筋・帯筋ともにほぼ すべての箇所で固定されていたものであるが,固定金具 の採用にあたっては,固定金具での固定箇所を限定して おり,固定金具以外の箇所は番線での固定としている.

この固定金具の使用箇所について当初は,約1割を固 定金具で固定していたが,試験の結果を踏まえて,固定 箇所を倍以上に増加することで鉄筋かごの変形対策を講 じた.これまでの状況を表1にまとめる.

なお,これらの対策により,結果として全ての場所打 ち杭の鉄筋かごについて,問題は生じなかった.

図-1 固定プレートの変更(A 工法)

表-1 鉄筋かご補強状況

片方向のたすき 固定を変更し両 方向とした

設置箇所 設置ピッチ

当初施工 D19@300

最上段12箇所(1/2)

中断   8箇所(1/3)

下段   4箇所(1/6)

2.4m~3.0m 沈下 600mm 回転 180°

載荷試験

D19@150

⇒外側補強 鉄筋の追加

最上段12箇所(1/2)

中断   8箇所(1/3)

下段   4箇所(1/6)

2.4m~3.0m

(6t載荷時)

沈下 690mm 回転 270°

本施工 D19@300

最上段24箇所(1/1)

中断  24箇所(1/1)

下段  24箇所(1/1)

※金具のたすき方向を千鳥配置

1.5m~2.1m 沈下 0mm 回転 0°

※杭長10mによる試験結果

無溶接金具 帯鉄筋

区分 施工結果

平成27年度 土木学会北海道支部 論文報告集 第72号

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5. 固定金具以外の対策

これに続く他の現場では,固定金具以外にも工場加 工・組立及び現場搬入・現場施工時に着目して以下の対 策を行った.

(1)工場加工時

載荷試験結果及び補強結果を踏まえ,施工者・加工会 社等と調整し固定箇所数を定めて加工を行った.(表 2)

なお,施工についても問題は生じなかった.

表- 2 無溶接金具の設置状況

図- 2 鉄筋かご概略

(2)鉄筋かご組立及び現場搬入時

鉄筋かごを加工工場で組立後に天井クレーンで吊上げ 固定金具に変位が生じないか確認した.確認の結果,鉄 筋のネジ節同士の噛み具合により固定金具の緩みが発生 する場合があることが分かった.

また,ねじれが発生する場合には番線結束箇所にも一 定のゆるみが生じることが分かった.

そのため,補強鉄筋を追加配置するとともに,現場搬 入時に再度締め付け確認を行うこととした.

(3)現場施工時

施工現場においても鉄筋かご建込後に変形が生じない か確認計測を実施した.

① 沈下計測

鉄筋かごの沈下計測方法は,鉄筋かご据え付け時に主 筋各段にスチールテープを固定しテープの深さ方向の距 離を読みコンクリート打設とケーシング引き抜きの影響 で鉄筋かごが沈下していないことを確認した.

図- 3 沈下計測方法

②回転変位計測

回転変位の計測方法は据え付けた鉄筋かごの上部に目 印を付け,かご全体が回転しないかをX,Yの距離を計 測することにより確認した.確認の結果約 20mm 程度 の回転が見受けられたが影響のない変位であると判断し た.

図- 4 回転変位計測方法

6. 今後の課題

無溶接工法の固定金具は各メーカーで開発されている が,固定方法や固定箇所数等さまざまである.また,工 事ごとの施工者により採用する工法もさまざまである.

今回,各状況に合わせた試験を実施したが,無溶接化 工法は,固定金具の数・固定方法・固定位置・現場搬入 後の再締め付けが重要になってくる事が分かった.

無溶接工法の固定金具は,場所打ち杭の鉄筋を保持す るための仮設材であるため,工法自体に「標準」を設け るのは難しいが,標準的な固定方法や配置個数について 一定の基準は必要であると考える.

また,設計段階においても特に杭長が長く,主筋に段 落としを設ける経済設計を行う場合には,設計上の鉄筋 量に加えて施工上必要となる補強鉄筋や無溶接工法の検 討も必要になると思われる.

項目 A工法 A工法 B工法

杭径・杭長 φ1.5m L=28.5m

φ1.5m L=12.5m

φ1.5m L=17.5m 主筋本数 上部:48本

下部:32本 上部:48本 上部:34本 下部:17本

固定段数 22段 7段 7段

固定個数 主筋1/2箇所 主筋1/2箇所 主筋全箇所

平成27年度 土木学会北海道支部 論文報告集 第72号

参照

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