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アスナプレビル 緒言 Page 2 1 諸言アスナプレビル (BMS ) は C 型肝炎ウイルス (HCV) の非構造蛋白 3(NS3) プロテアーゼを阻害することにより HCV RNA の複製を阻害する低分子阻害薬 ( 直接作用型抗ウイルス薬 ) である HCV NS3 プ

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(1)

CTD 第2部

2.6 非臨床試験の概要文及び概要表

2.6.1 緒言

(2)

1 諸言 アスナプレビル(BMS-650032)は、C 型肝炎ウイルス(HCV)の非構造蛋白 3(NS3)プロテ アーゼを阻害することによりHCV RNA の複製を阻害する低分子阻害薬(直接作用型抗ウイルス 薬)である。HCV NS3 プロテアーゼは NS3 の N 末端ドメインにコードされる 181 のアミノ酸か ら成るセリンプロテアーゼであり、また、酵素反応に必要な補因子であるNS4A 蛋白とヘテロ二 量体酵素を形成し、ウイルス複製に必要な成熟したウイルス蛋白産生のための HCV ポリ蛋白プ ロセシングに関与する。 本薬の化学構造式を図1-1 に示す。 図1-1 アスナプレビルの化学構造式 H H N N O O H N CH3 CH3 CH3 H O O CH3 O N NH O S O O Cl H O H H3C H3C H2C CH3 アスナプレビルはジェノタイプ1a, 1b, 2a の NS3 及びジェノタイプ 2b, 3a, 4a の NS3 プロテアー ゼ配列をコードしたハイブリッドレプリコンをnM 濃度で阻害した。 本薬はHCV に高い選択性を有し、HCV と近縁の GB ウイルス B の NS3 プロテアーゼ及びヒト の各種セリン又はシステインプロテアーゼに対しては、ほとんどあるいは全く活性を示さなかっ た。また、アスナプレビルは HCV 非構造蛋白 5A(NS5A)複製複合体阻害薬であるダクラタス ビル塩酸塩(BMS-790052)等の他の直接作用型抗ウイルス薬との併用により、相加又は相乗的な 相互作用を示した。

アスナプレビルの非臨床プロファイルを、in vitro 薬理試験、in vitro 及び in vivo安全性薬理試験、

非臨床薬物動態試験、毒性試験並びにトキシコキネティクス試験等により検討した。 アスナプレビルは、C 型慢性肝炎患者に対する新規治療法としてダクラタスビルとの併用によ り開発が進められ、予定されているアスナプレビルの効能・効果(案)及び用法・用量(案)は 以下のとおりである。 【効能・効果】 セログループ1(ジェノタイプ 1)の C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変における次のいずれか のウイルス血症の改善 • インターフェロン療法が不適格の未治療あるいは不耐容の患者 • インターフェロン療法で無効となった患者

(3)

【用法・用量】

通常、成人にはアスナプレビルとして1 回 100 mg を 1 日 2 回経口投与する。

(4)

CTD 第 2 部

2.6 非臨床試験の概要文及び概要表

2.6.2 薬理試験の概要文

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用語及び略語一覧

略号・用語 定 義

A alanine アラニン

ASV asunaprevir, BMS-650032 アスナプレビル

AUC area under the plasma concentration-time curve 血漿中濃度曲線下面積

BMS Bristol-Myers Squibb ブリストル・マイヤーズ スクイブ社

BVDV bovine viral diarrhea virus ウシウイルス性下痢ウイルス

C cystein システイン

Cardif Caspase recruitment domain adaptor inducing IFNβ IFNβ プロモーター活性化蛋白

CC50 50% cytotoxic concentration 50%細胞毒性濃度

Cmax highest observed plasma concentration 最高血漿中濃度

D aspartic acid アスパラギン酸

DCV daclatasvir, BMS-790052 ダクラタスビル

DMSO dimethyl sulfoxide ジメチルスルホキシド

E glutamate グルタミン酸

EC50 50% effective concentration 50%有効濃度

FRET fluorescent resonance energy transfer 蛍光共鳴エネルギー移動

G glycine グリシン

GBV-B GB virus B GB ウイルス B

H histidine ヒスチジン

HCV hepatitis C virus C 型肝炎ウイルス

HEK-293 embryonic kidney cell line 胎児腎細胞株

HeLa cervical cancer cell line ヒト子宮頸癌細胞株

hERG human ether-a-go-go-related gene ヒトether-a-go-go 関連遺伝子

HIV human immunodeficiency virus ヒト免疫不全ウイルス

HCoV human coronavirus ヒトコロナウイルス

HRV human rhinovirus ヒトライノウイルス

HuH-7 human hepatoma cell line ヒト肝細胞癌細胞株

I isoleucine イソロイシン

IC50 concentration of drug required to inhibit by 50% 50%阻害濃度

IFNα interferon-alfa インターフェロンα

IFNβ interferon-beta インターフェロンβ

IRF-3 interferon regulatory factor 3 インターフェロン調節因子3

JFH-1 Japanese fulminant hepatitis 1 -

K lysine リジン

Ki inhibition constant 阻害定数

L leucine ロイシン

M methionine メチオニン

MRC5 lung fibroblast cell line 肺線維芽細胞株

MT2 human T cell line ヒトT 細胞株

nM nanomolar ナノモル

N asparagine アスパラギン

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略号・用語 定 義

NS4A nonstructural protein 4A of HCV HCV 非構造蛋白 4A

NS5A nonstructural protein 5A of HCV HCV 非構造蛋白 5A

NS5B nonstructural protein 5B of HCV HCV 非構造蛋白 5B

P proline プロリン

pM picomolar ピコモル

PPE porcine pancreas elastase ブタ膵エラスターゼ

Q glutamine グルタミン

R arginine アルギニン

RNA ribonucleic acid リボ核酸

RT-PCR reverse transcriptase polymerase chain reaction 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応

S serine セリン

T threonine スレオニン

μM micromolar マイクロモル

V valine バリン

(7)

目次

1 まとめ ... 7 2 薬効を裏付ける試験 ... 10 2.1 酵素活性及び特異性 ... 10 2.2 抗HCV 活性 ... 11 2.3 細胞毒性 ... 12 2.4 作用機序 ... 12 2.5 耐性 ... 13 2.6 併用試験 ... 16 3 副次的薬理試験 ... 18 4 安全性薬理試験 ... 19 4.1 受容体/イオンチャネル結合及び酵素アッセイ ... 19 4.2 心血管系 ... 19 4.3 中枢神経系 ... 22 4.4 呼吸系 ... 23 5 薬力学的薬物相互作用試験 ... 24 6 考察及び結論 ... 25 7 参考文献 ... 26

(8)

表一覧

2.1-1 In vitro におけるアスナプレビルの主要 6 種の HCV ジェノタイプを有する組換え HCV NS3/4A プロテアーゼに対する効力 ... 10 表2.1-2 In vitro におけるアスナプレビルのセリン及びシステインプロテアーゼに対する効 ... 11 2.2-1 HCV レプリコンアッセイにおけるアスナプレビルのジェノタイプ網羅性 ... 11 2.3-1 多様な起源のヒト細胞株に対するアスナプレビルの細胞毒性 ... 12 2.5-1 アスナプレビル耐性レプリコンの遺伝子型及び表現型解析 ... 14 2.5-2 遺伝子工学的 HCV 変異レプリコンのアスナプレビル感受性及び複製能 ... 15 2.6-1 HCV レプリコンにおけるアスナプレビル併用試験 ... 16 2.6-2 アスナプレビルとダクラタスビルとの併用効果 ... 16 4.2-1 アスナプレビル投与後のアスナプレビルの平均血漿中濃度 ... 21

(9)

図一覧

3-1 アスナプレビル(BMS-650032)による HCV NS3/4A を介した IFN 反応抑制の阻害

(10)

1 まとめ アスナプレビル(BMS-650032)は、C 型肝炎ウイルス(HCV)の非構造蛋白 3(NS3)プロテ アーゼに対する低分子阻害薬(直接作用型抗ウイルス薬)である。組換え酵素を用いたin vitro 試 験において、アスナプレビルは主要な6 種の HCV ジェノタイプを有する 9 種の分離株由来の NS3 プロテアーゼ活性を、50%阻害濃度(IC50)0.3~320 nM で阻害した。最も強力な阻害作用はジェ ノタイプ1 において認められ、IC50の平均値は約0.9 nM であり、一方、ジェノタイプ 2a, 2b 及び 3a のプロテアーゼの感受性は低く、IC50値はそれぞれ15, 78 及び 320 nM であった。アスナプレ ビルは近縁関係にあるGB ウイルス B(GBV-B)の NS3 プロテアーゼ及び一連のヒトのセリン又 はシステインプロテアーゼに対してはほとんどあるいは全く活性を示さなかった。 アスナプレビルはジェノタイプ1a 及び 1b のサブゲノム HCV レプリコンの複製を 50%有効濃 度(EC50)1.2~4 nM で阻害した。ジェノタイプ 4a の NS3 プロテアーゼドメインをコードしたハ イブリッドレプリコンに対するEC50値は、1.8~7.6 nM の範囲であった。ジェノタイプ 2b 及び 3a の NS3 配列をコードしたハイブリッドレプリコンに対する活性は低下し、その EC50値はそれぞ れ0.48 μM 及び 1.16 μM であった。また、アスナプレビルはジェノタイプ 2a の感染性 HCV の複 製をEC50値39 nM で阻害した。この値はジェノタイプ 2a のサブゲノムレプリコンアッセイで観 察されたEC50値230 nM に比べて 1/6 であったことから、感染性 HCV に対する活性はサブゲノム レプリコンアッセイに比べて6 倍強力であることが示唆された。 アスナプレビルのジェノタイプ 1b レプリコンに対する EC50値が40%ヒト血清存在下では 6.5 倍に増大し、その活性は軽度に低下した。アスナプレビルは HCV の複製を選択的に阻害し、同 属のペスチウイルス属であるウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)に対する EC50値は12 μM、 また、HCV とは関連のない RNA ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1、ヒトライノ ウイルス(HRV)及びヒトコロナウイルス(HCoV)に対する EC50値はそれぞれ14 μM, 100 μM 超及び100 μM 超であった。アスナプレビルの種々のヒト細胞株に対する細胞毒性を検討した結 果、50%細胞毒性濃度(CC50)値は11~38 μM の範囲であり、ジェノタイプ 1 の HCV レプリコ ンで観察されたEC50値に比して2750 倍以上高く、その治療係数は著明に大きいものであった。 組換え酵素を用いた作用機序解明試験において、アスナプレビルは NS3/4A プロテアーゼ複合 体の活性を競合的な様式で阻害した。即ち、アスナプレビルは酵素の活性部位において基質と競 合する阻害薬の特徴を有していた。ジェノタイプ1 の 3 種の HCV 分離株の NS3/4A プロテアーゼ について算出された阻害定数(Ki)は0.24~1.0 nM の範囲であった。 アスナプレビル存在下でHCV サブゲノムレプリコン細胞を培養した結果生じた耐性を同定し、 その特徴について検討した。耐性化したジェノタイプ 1a レプリコンの NS3 プロテアーゼドメイ ンの遺伝子解析の結果、活性部位アミノ酸残基の3 ヵ所に置換が認められた。これらは R155K(ア ルギニンがリジンに置換)、D168G(アスパラギン酸がグリシンに置換)及び I170T(イソロイシ ンがスレオニンに置換)であった。ジェノタイプ 1a の組換えレプリコンにおける R155K 及び D168G は中等度の耐性を示したが(EC50値が野生型のそれぞれ21 倍及び 14 倍)、I170T は軽度の 耐性を示したのみであった(EC50値が野生型の5 倍)。これら 3 ヵ所のアミノ酸残基に置換を有 するレプリコンでは複製障害が認められた。ジェノタイプ 1b レプリコンでは、NS3 プロテアー

(11)

ゼの168 番目のアスパラギン酸の、アラニン(A)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、バリン(V) 又はチロシン(Y)への置換が耐性の原因であることが確認された。ジェノタイプ 1b の組換えレ プリコンにおける D168 のこれらアミノ酸への置換は、中等度~高度な耐性を示したが(EC50値 が野生型の16 倍~280 倍)、本置換を有するレプリコンでは複製障害が認められた。 ジェノタイプ1a 及び 1b の HCV 感染患者において検出された、他の NS3 プロテアーゼ阻害薬 による耐性変異に対するアスナプレビルの活性を検討した交差耐性試験の結果、本薬のジェノタ イプ 1a の変異に対する活性は 1/713~1/0.4 に、また、ジェノタイプ 1b の変異に対しては 1/2801/0.4 に低下した。 自然免疫反応を評価する細胞培養試験において、HCV NS3/4Aによるインターフェロンβ(IFNβ) プロモーター活性化蛋白(Cardif)の切断は、レチノイン酸誘導遺伝子 I と相互作用する Cardif の作用を阻害し、その結果、下流のインターフェロン調節因子3(IRF-3)経路の不活化及びそれ

に続くIFN 産生の阻害を引き起こす。アスナプレビルは HCV NS3/4A による Cardif の切断を阻害

し、IFN 誘導遺伝子の転写を復活させる。これらのデータは、アスナプレビルによる NS3/4A プ ロテアーゼ活性の阻害作用が、HCV ウイルスの複製を減少させるのみでなく、自然免疫反応を回 復させる可能性があることを示唆している。 ジェノタイプ1b の HCV サブゲノムレプリコンシステムを用いた薬剤併用試験において、アス ナプレビルはインターフェロン α(IFNα)又はリバビリン、あるいは他の抗 HCV 薬との併用に より相加又は相乗の相互作用を示した。ジェノタイプ1a のサブゲノムレプリコンシステムを用い た試験でも、アスナプレビルと IFNα 併用により同様な相互作用が認められた。いずれの併用に おいても、抗ウイルス活性の拮抗や細胞毒性の増強はみられなかった。アスナプレビル、IFNα 及NS5A 複製複合体阻害薬であるダクラタスビル塩酸塩(以下、ダクラタスビル)の 3 剤長期併 用試験では、ジェノタイプ1a の野生型レプリコンも NS3 プロテアーゼ耐性置換である R155K を 有するレプリコンも同様にHCV RNA の複製が抑制された。以上の結果は、アスナプレビルが選 択的なHCV NS3 プロテアーゼ阻害薬であり、他の抗 HCV 薬との併用投与が可能であることを示 している。 アスナプレビルの臨床第2/3 相用量は、軟カプセル 100 mg 1 日 2 回投与又は錠剤 200 mg 錠剤1 日 2 回投与である。第 3 相試験では軟カプセルが用いられたが、初期の臨床試験(第 2 相試 験を含む)で用いた錠剤と同様の曝露量であることが確認されている(2.7.2.3.3.1)。第 2/3 相用 量における定常状態でのアスナプレビルの曝露量(以下、ヒト曝露量)は、最高血漿中濃度(Cmax) 0.419 μg/mL、血漿中濃度曲線下面積(AUC)3.69 μg•h/mL であった(CTD 5.3.5.1.1)。

In vitro 及び in vivo での心血管系安全性薬理評価を安全性薬理試験で実施し、また、in vivo での

心血管系、中枢神経系及び呼吸系の安全性薬理評価を主要な毒性試験の一部として実施した。ア スナプレビル単剤又はダクラタスビルとの併用投与で実施した結果、アスナプレビルはヒト曝露

量のin vitro 試験で 1500~22680 倍、また、in vivo 試験で 36~430 倍でも影響を及ぼさなかったこ

とから、本薬がヒトの心血管系、中枢神経系及び呼吸系に対して有害事象を引き起こす可能性は 低いことが示唆された。

(12)

あり、NS5A 阻害薬であるダクラタスビルを含む他の抗 HCV 薬との併用投与により、C 型慢性肝 炎患者に対する新規治療法となることが示唆された。

(13)

2 薬効を裏付ける試験 2.1 酵素活性及び特異性 HCV NS3 プロテアーゼは NS3 の N 末端ドメインにコードされるセリンプロテアーゼである。 本蛋白は補因子であるNS4A 蛋白とともにヘテロ二量体酵素を形成している1)。NS3/4A プロテア ーゼ複合体に対するペプチド類似阻害薬のデザインは、その酵素が基質ペプチドから放出される C 末端側産物ではなく、N 末端側産物によるフィードバック阻害を受けやすいという知見によっ て決定された。アスナプレビルに代表される BMS の阻害薬は、効力と選択性のいずれをも最大 化するように、最適化したトリペプチド阻害薬の中心部を利用している。アスナプレビルのHCV ジェノタイプに対する網羅性を評価するため、主要な6 種のジェノタイプの HCV NS3 プロテア ーゼに対するIC50値を調べた。その結果、IC50値は0.3~320 nM の範囲であった(表 2.1-1)。ア スナプレビルのin vitro 効力を既承認の NS3/4A プロテアーゼ阻害薬であるテラプレビルを対照に 評価した2)。アスナプレビルのin vitro 効力は、ジェノタイプ 2b 以外の試験したすべてのジェノ タイプに対し、全般的にテラプレビルよりも優れていた。 表2.1-1 In vitroにおけるアスナプレビルの主要 6 種のHCVジェノタイプを有する組換え HCV NS3/4Aプロテアーゼに対する効力 ジェノタイプ(株) アスナプレビル IC50nM) テラプレビル IC50nM) 1a(BMS) 1.8 ± 0.2 12 ± 2 1a(H77) 0.7 ± 0.06 33 ± 7 1b(J4L6S) 0.3 ± 0.02 22 ± 6 2a(HC-J6) 15 ± 1.2 95 ± 17 2b(HC-J8) 78 ± 2.0 12 ± 1 3a(S52) 320 ± 13 537 ± 4 4a(ED43) 1.6 ± 0.1 12 ± 1 5a(SA13) 1.7 ± 0.2 38 ± 3 6a(HK-6A) 0.9 ± 0.09 86 ± 2 出典:CTD 4.2.1.1.1 プロテアーゼの基質特異性決定基は、一般的に切断部位に隣接する側鎖と定義される 3)。自然 状態のHCV NS3/4 プロテアーゼ複合体のトランス切断基質は、易切断結合の P1 位にシステイン 残基が存在するという厳密な必要条件を示す。この特殊な必要条件により、高い選択性を有する HCV プロテアーゼ阻害薬を開発することが可能となる。体内には多くのプロテアーゼが存在する ため、治療薬としてデザインされたプロテアーゼ阻害薬については選択性が重要なものとなる。 アスナプレビルのHCV NS3/4 プロテアーゼ複合体に対する選択性を、構造的及び機序的に関連す る複数のプロテアーゼに対する阻害作用を評価して検討した(表2.1-2)。アスナプレビルは、HCV と近縁関係にあるGBV-B の NS3 プロテアーゼ及びヒトのセリン又はシステインプロテアーゼに 対し、ほとんどあるいは全く活性を示さなかったことから[アスナプレビルのジェノタイプ 1aBMS 株)の HCV NS3 プロテアーゼに対する効果と比較した場合、その選択指数は 21200 倍以 上]、本薬がHCV NS3 セリンプロテアーゼに対して選択的であることが示された。In vitro におけ るアスナプレビルの選択性は、BMS-697372(テラプレビルの P1 プロピル官能基位光学異性体の

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混合物)よりも優れていた。 表2.1-2 In vitroにおけるアスナプレビルのセリン及びシステインプロテアーゼに対する 効力 プロテアーゼ アスナプレビル IC50μM) BMS-697372 IC50μM) HCV 1a NS3/4A(BMS 株) 0.001 ± 0.0002 0.020 ± 0.002 GBV-B NS3/4A 21.2 ± 5.5 7.7 ± 0.01 Human Sputum Elastase > 50 3.2 ± 0.11

PPE > 50 5.6 ± 0.3

Human Chymotrypsin > 50 44.6 ± 8.2 Human Cathepsin B > 50 1.7 ± 0.18

PPE:Porcine pancreas elastase(ブタ膵エラスターゼ) 出典:CTD 4.2.1.1.1 2.2 抗HCV活性 アスナプレビルのHCV RNA の複製に及ぼす影響を評価するため、HCV レプリコンシステム4) を用いた。本薬のジェノタイプ1a, 1b, 2a の HCV レプリコン及びジェノタイプ 2b, 3a, 4a の NS3 プロテアーゼ配列をコードしたハイブリッドレプリコンに対する活性を検討した結果を表 2.2-1 に示した。レプリコンにおける抗 HCV 活性及び算出された治療係数について、アスナプレビル はジェノタイプ1a, 1b 及び 4a のレプリコンに対し、テラプレビルよりも強力な作用を示した。一 方、ジェノタイプ2b, 3a のハイブリッドレプリコンに対するアスナプレビルの効果は、テラプレ ビルと同等であった。 表2.2-1 HCVレプリコンアッセイにおけるアスナプレビルのジェノタイプ網羅性 HCV レプリコンジ ェノタイプ(株)

Stable Cell Line or

Transient Assay 検出法 アスナプレビルEC50nM)

テラプレビル EC50(nM) 1a(H77) Stable Cell Line Luciferase 4.0 ± 0.3 995 ± 11 1b(Con 1) Stable Cell Line Luciferase 1.2 ± 0.3 427 ± 3 1b(Con 1) Stable Cell Line FRET 2.9 ± 0.5 573 ± 21 2a(JFH-1) Stable Cell Line FRET 230 ± 74 229 ± 32 3a(S52) Stable Cell Line Luciferase 1162 ± 274 2731 ± 188 2a(JFH-1) Transient Luciferase 67 ± 23 108 ± 12 2b(HC-J8) Transient Luciferase 480 ± 104 1236 ± 96 1b(Con 1) Transient Luciferase 1.3 ± 0.1 266 ± 77 4a(ED43) Transient Luciferase 1.8 ± 0.2 1137 ± 223 1b(Con 1) Stable Cell LineCC50nM) Fluorescence 27000 ± 2000 > 100000

治療係数 - - 9300 > 175

治療係数=ジェノタイプ 1b(Con 1)レプリコン細胞における CC50 / EC50 (FRET) 出典:CTD 4.2.1.1.1 及び CTD 4.2.1.1.6

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アスナプレビルの感染性HCV ジェノタイプ 2a(JFH-1)ウイルス5)に対する抗ウイルス活性を

検討した。アスナプレビルはEC5039 nM でウイルス産生を阻害し、テラプレビルの EC50値で

ある116 nM よりも強い活性を示した(CTD 4.2.1.1.1)。

アスナプレビルのウイルス特異性を評価するため、様々なウイルスに対する検討を行った。細 胞培養試験において、アスナプレビルはBVDV(EC50 = 12 μM)、HIV-1(EC50 = 14 μM)、HRV(EC50

> 100 μM)及び HCoV(EC50 > 100 μM)に対してほとんどあるいは全く活性を示さなかった(CTD 4.2.1.1.1)。 抗ウイルス薬の臨床効果は血清蛋白との結合によりしばしば減弱する。そこで、アスナプレビ ルの抗ウイルス活性に及ぼす血清蛋白結合の影響を調べるため、40%ヒト血清を含む培養液中に おいてレプリコンアッセイを実施した。その結果、アスナプレビルのジェノタイプ 1b(Con 1) レプリコンに対する EC50値が、40%ヒト血清を含まない標準的なアッセイの場合と比較して 6.5 倍に増大したことから、本薬の抗ウイルス活性はヒト血清により軽度にしか変化しないことが示 唆された。BMS-697372 の抗ウイルス活性も、アスナプレビルの場合と類似した変化であったEC50値が6.8 倍に増大)。 2.3 細胞毒性 アスナプレビルの細胞毒性を解剖学的に異なる起源のヒト細胞株を用いて検討した。4~6 日間 培養後に CC50 値を測定した。結果の概略を表 2.3-1 に示した。アスナプレビルの細胞毒性は BMS-697372 と同程度であったが、HCV ジェノタイプ 1a(H77)レプリコンに対する EC50値との 比から算出した治療係数は、本薬の方が著明に高かった(2750 以上)。 表2.3-1 多様な起源のヒト細胞株に対するアスナプレビルの細胞毒性 細胞株 解析 由来組織 アスナプレビル (μM) BMS-697372 (μM) HCV ジェノタイプ 1a レプリコン(H77) EC50 肝 0.004 ± 0.0003 0.995 ± 0.011 HuH-7 CC50 肝 25 ± 5.2 49 ± 14 HepG2 CC50 肝 38 ± 4.6 19.3 ± 1.1 MT2 CC50 T リンパ球 34 ± 2.8 19.1 ± 0.6 MRC5 CC50 肺 32 ± 5.0 - HeLa CC50 子宮頸部 19 ± 0.5 65 ± 17 HEK-293 CC50 胎児腎 11 ± 2.1 78 出典:CTD 4.2.1.1.1 2.4 作用機序 アスナプレビルの作用機序について、組換え酵素アッセイを用いて複数のHCV ジェノタイプ 1 分離株の NS3/4A プロテアーゼ複合体で検討した。純粋な組換え NS3/4A プロテアーゼ複合体に 対し、アスナプレビルは競合的阻害薬の速度論的パラメータの特徴を示した(CTD 4.2.1.1.2)。こ れは、最大酵素代謝回転率が一定の間、基質に対するみかけのMichaelis-Menten 定数が増加した Lineweaver-Burke プロットにより確定された。試験したウイルス株により、Ki値は0.24~1.0 nM

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の範囲を示した。この競合的阻害様式は、その後に実施したX 線結晶構造解析によって裏付けら れた(CTD 4.2.1.1.2)。アスナプレビルは NS3 プロテアーゼドメインの活性部位である S4 から S1’ 結合部位6)を占拠していた。これらのサブサイトは、通常HCV の基質によって占有されると考え られる。 2.5 耐性 アスナプレビルの耐性機序を把握するため、HCV サブゲノムレプリコンシステムを用いて臨床 で発現する耐性置換の特定及びその特徴を明らかにした。また、テラプレビル及びboceprevir(NS3 プロテアーゼ阻害剤、国内未承認)といったNS3 プロテアーゼ阻害薬の臨床での耐性変異をジェ ノタイプ1a 及び 1b のレプリコンに発現させ、アスナプレビルの阻害作用に対する感受性を評価 した。 表現型解析の結果、ウイルス学的ブレイクスルーを起こしたジェノタイプ1a レプリコンの感受 性は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を対照とした野生型細胞の場合の約 1/49~1/11 であった。 耐性レプリコン群のNS3 及び NS4A 蛋白の遺伝子型解析の結果、NS3 プロテアーゼドメイン内に

多数の非保存的変化がみられた。これらの置換は、T40A, Q41E, V51A, R62K, D79E, T95A, I114V,

R123G, R155K, D168G, I170T, N174Y, L175P 及び G176E であった(表 2.5-1)(CTD 4.2.1.1.3)。表

現型解析の結果、ウイルス学的ブレイクスルーを起こしたジェノタイプ1b レプリコンの感受性は、

DMSO を対照とした野生型細胞の場合に比べて約 1/400~1/170 に低下した(CTD 4.2.1.1.2)。耐性

レプリコン群のNS3 及び NS4A 蛋白の遺伝子型解析の結果、NS3 プロテアーゼドメイン内に非保

存的変化がみられた。これらの置換は、Q41R, Q80R, Q86R, P89L, Y105C, D168A/G/H/V/Y, E173G

及びE176G であった(表 2.5-1)(CTD 4.2.1.1.2)。発現した置換の多くは、本薬の結合部位周辺に

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2.5-1 アスナプレビル耐性レプリコンの遺伝子型及び表現型解析 HCV レプリコン株 EC50EC50, nM 値の変化倍率) プロテアーゼ置換主要なNS3 頻度a 阻害薬周辺残基b 1a(H77) 6.5 ± 2.2(1) - - アスナプレビルの EC50 値の10 倍の濃度で発現 した1a 変異(Colony 1) 91 ± 39(13) V51A 1/9 D79E 1/9 T95A 1/9 R155K 8/9 R155K I170T 1/9 I170T アスナプレビルの EC50 値の10 倍の濃度で発現 した1a 変異(Colony 2) 77 ± 26(11) Q41E 1/9 R62K 1/9 I114V 1/9 D168G 3/9 D168G I170T 4/9 I170T N174Y 1/9 アスナプレビルの EC50 値の30 倍の濃度で発現 した1a 変異 315 ± 72(49) T40A 1/10 R123G 1/10 R155K 4/10 R155K I170T 5/10 I170T L175P 1/10 G176E 1/10 1b(Con 1) 3(1) Q41R - Q86R - アスナプレビルの EC50 値の10 倍の濃度で発現 した1b 変異 590-1100(197-367) Q41R 6/10 Q86R 10/10 D168G/A/H 5/10;1/10;1/10 D168G/A/H E173G 1/10 E176G 1/10 アスナプレビルの EC50 値の30 倍の濃度で発現 した1b 変異 510-1200(170-400) Q41R 7/12 Q80R 1/12 Q80R Q86R 10/12 P89L 1/12 Y105C 1/12 D168V/G/A/Y 7/12; 3/12; 1/12; 1/12 D168V/G/A/Y a 比は配列を決定したクローン総数に対する観察されたアミノ酸置換の2 つの別々の RT-PCR 反応から得られた プラスミドクローン数を示す。 b 結合したアスナプレビルの最も近くで同定されたアミノ酸残基の位置は、別々のクローンで観察された。 出典:CTD 4.2.1.1.2 及び CTD 4.2.1.1.3 アスナプレビル耐性レプリコンは、NS5A 阻害薬のような HCV の複製サイクルにおける他のウ イルス蛋白を標的とするHCV 阻害薬に対する感受性を維持している(CTD 4.2.1.1.2)。このこと は、複数のウイルス蛋白を標的とする薬剤と組み合わせることにより、アスナプレビルによる治 療中に発現し得る耐性ウイルスに対しても治療が期待できることを示唆している。 HCV NS3 プロテアーゼに結合したアスナプレビルのコンピューターモデルを用いた解析の結 果、Q80, R155, D168 及び I170 のアミノ酸における置換が酵素活性部位の近傍において優先的に 認められた。これらの置換は、いずれも種々のNS3 プロテアーゼ阻害薬の耐性に関連することが 以前に報告されている7)8)9)。D168 は切り出された NS3/4A プロテアーゼ複合体とアスナプレビル のX 線結晶構造において、酵素活性部位の S2 及び S4 ポケットの間に存在している。D168 のア

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ラニン、グリシン、バリン又はチロシンのようなアミノ酸残基への置換は、アスナプレビルのP2 イソキノリン部分との相互作用に重要なR155 との塩橋の形成を妨害することが予測された(CTD 4.2.1.1.2)。構造解析の結果、I170 のアミノ酸がアスナプレビル結合時の R155 と D168 の塩橋関係 周辺のポケット形成部分であるR155 の頭部基と相互作用を有することが示された10)。I170 がよ り極性の高いスレオニンへ置換されることにより、R155 の周辺環境を変化させると考えられ、そ の結果、アスナプレビルの P2 イソキノリン部分との相互作用が軽度に減少した。変異を有する レプリコンの作製により、アスナプレビル耐性におけるこれらの置換の役割が裏付けられた(表 2.5-2)(CTD 4.2.1.1.6 及び CTD 4.2.1.1.3)。 表2.5-2 遺伝子工学的HCV変異レプリコンのアスナプレビル感受性及び複製能 NS3 変異レプリコン 複製能 アスナプレビル EC50(nM) 野生型の EC50に対す る変化倍率 テラプレビル EC50(nM) NS5A 阻害薬 EC50(pM) 1a(H77) 100 0.76 ± 0.3 1 181 ± 87 4.8 ± 0.6 1a-V36A 89 2.3 ± 0.7 3 2689 ± 241 1a-V36L 137 1.8 ± 0.6 2 1248 ± 427 1a-V36M 171 1.5 ± 0.5 2 2989 ± 1813 1a-T54A 39 0.33 ± 0.1 0.4 847 ± 209 1a-T54S 36 0.74 ± 0.2 1 664 ± 150 1a-Q80K 119 2.5 ± 1 3 152 ± 75 1a-R155K 7 16 ± 11 21 860 ± 256 3.6 ± 0.4 1a-V36M + R155K 5 42 ± 19 55 > 6900 3.1 ± 1.3 1a-D168G 2 11 ± 4 14 133 ± 76 4.4 ± 1.2 1a-D168V 33 283 ± 4 373 162 ± 10 1a-Q80K + D168V 46 542 ± 111 713 130 ± 37 1a-I170T 12 3.6 ± 2 5 647 ± 202 3.4 ± 0.3 1b(Con 1) 100 0.86 ± 0.3 1 176 ± 41 1b-V36A 124 1.6 ± 0.6 2 933 ± 281 1b-V36L 77 0.65 ± 0.1 1 395 ± 19 1b-T54A 101 0.35 ± 0.1 0.4 718 ± 31 1b-T54S 15 1.6 ± 0.3 2 > 3353 1b-Q80K 139 5.6 ± 1 6.5 ND 1b-Q80L 98 0.86 ± 0.1 1 167 ± 14 1b-Q80R 12 4.0 ± 1.7 5 121 ± 19 1b-A156S 120 5.9 ± 0.9 7 2515 ± 624 1b-A156T 17 5.4 ± 1 6 > 10000 1b-A156V 3 17 ± 2 20 > 10000 1b-D168A 37 109 ± 19 127 21 ± 4 1b-D168G 29 13 ± 4 16 56 ± 12 1b-D168V 29 241 ± 17 280 42 ± 7 1b-D168Y 2 205 ± 29 238 71 ± 43 1b-V170A 96 1.6 ± 0.4 2 699 ± 237 出典:CTD 4.2.1.1.6 及び CTD 4.2.1.1.3 アスナプレビルに対するレプリコンの耐性プロファイルは、テラプレビルや boceprevir につい て報告されているものとわずかに異なる(CTD 4.2.1.1.2)7)8)。テラプレビルやboceprevir の耐性 レプリコンでは、V36 及び A156 のアミノ酸残基に変化がみられた。臨床試験において報告され1 ヵ所又は 2 ヵ所の重要なアミノ酸置換2)を含むように遺伝子操作した薬剤耐性レプリコンに 対する交差耐性データを表2.5-2 にまとめた(CTD 4.2.1.1.6)。概して、アスナプレビルはテラプ

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レビルに比べて良好な耐性プロファイルを示した。一方、A156 のアミノ酸残基に変異を有するレ プリコンに対するテラプレビルの効力は、アスナプレビルに比べて著明に低下した。 2.6 併用試験 テラプレビルの臨床試験において、C 型慢性肝炎患者にテラプレビルを単剤投与した場合には、 高い頻度で耐性が発現した 8)。HIV 治療と同様に、C 型慢性肝炎治療においても併用療法により 耐性発現を効果的に防御できると考えられる。アスナプレビルが他の抗 HCV 薬と併用投与が可 能か否かHCV レプリコンシステムを用いて検討した。 HCV ジェノタイプ 1b のレプリコン細胞をアスナプレビルと IFNα 又はリバビリン、あるいはダ クラタスビルや と併用した場合、相加又は相乗 効果が認められた(表2.6-1)(CTD 4.2.1.1.1 及び CTD 4.2.1.1.4)。アスナプレビルとダクラタスビ ルとの併用による代表的な実験結果を表2.6-2 に示した(CTD 4.2.1.1.1)。 表2.6-1 HCVレプリコンにおけるアスナプレビル併用試験 IFNα (IFNα-2b) リバビリン ダクラタスビル ダクラタスビルIFNα + ダクラタスビル + 相加又は相乗 相加 相加又は相乗 相加又は相乗

併用効果の判定:アスナプレビルの単独及び他剤との併用時のEC50, EC75及びEC90を求め、イソボログラム法 にて併用係数(Combination index)を算出するとともに各併用係数の信頼区間を求めた。信頼区間の下限が 1 を超えた場合を阻害効果、上限が1 以下の場合を相乗効果、区間に 1 を含む場合を相加効果と判定した。 出典:CTD 4.2.1.1.1 及び CTD 4.2.1.1.4 2.6-2 アスナプレビルとダクラタスビルとの併用効果 ASV EC50 (nM) DCV EC50 (nM) Molar Ratio a, DCV to ASV Combination Indicies (confidential interval) 結果

EC50 EC75 EC90

0.5 0.005 1 : 250 (0.57, 0.73)0.65 (0.60, 0.84)0.72 (0.60, 1.04)0.82 相加効果相乗/ 1 : 625 (0.69, 0.86)0.77 (0.65, 0.89)0.77 (0.60, 0.99)0.80 相乗効果 1 : 100 (0.51, 0.63)0.57 (0.52, 0.70)0.61 (0.52, 0.84)0.68 相乗効果 a 併用試験におけるアスナプレビルに対するダクラタスビルのモル比 ASV:アスナプレビル、DCV:ダクラタスビル

EC50及びEC75で相乗効果、EC90で相加効果が認められた。 出典:CTD 4.2.1.1.1

HCV ジェノタイプ 1a のレプリコン細胞にアスナプレビルと IFNα を併用した場合、HCV ジェ

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4.2.1.1.5)。検討したすべての併用試験において相加又は相乗効果が認められ、抗ウイルス活性の 拮抗は認められなかった。これらの結果から、アスナプレビルは他の抗HCV 薬との併用により、 C 型慢性肝炎に対する有効な治療薬となる可能性が示唆された。 ジェノタイプ1a-NS3 の野生型レプリコン及びジェノタイプ 1a-NS3-R155K の NS3 プロテアー ゼ阻害薬耐性レプリコンに、アスナプレビルとダクラタスビル及びIFNα を長期間(25 日間)併 用すると、いずれのレプリコンの複製も同等に抑制された(CTD 4.2.1.1.6)。これらの結果は、ア スナプレビルとダクラタスビル及びIFNα の投与レジメンが、テラプレビルや boceprevir を含む治 療法が無効であったC 型慢性肝炎患者において、HCV RNA の複製を抑制できる可能性を示唆し ている。

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3 副次的薬理試験 HCV の持続感染は、HCV が宿主免疫を回避し IFNα/β のウイルス防御に拮抗する能力を反映し ている。HCV NS3 プロテアーゼは、IRF-3 の活性化及び正常な核内転位を阻害し、その結果、IFN 誘導遺伝子の転写を著明に減少させる。アスナプレビルは HCV NS3 プロテアーゼによる Cardif の切断を阻害することによりIRF-3 活性化の抑制を阻害し、HCV NS3 プロテアーゼを介した IFN 誘導遺伝子の転写抑制を用量依存的に回復させた(図3-1)(CTD 4.2.1.1.2)。 図3-1 アスナプレビル(BMS-650032)によるHCV NS3/4Aを介したIFN反応抑制の阻 害 出典:CTD 4.2.1.1.2

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4 安全性薬理試験 ICH S7A ガイドラインで推奨される心血管系、中枢神経系及び呼吸系の各指標に及ぼすアスナ プレビルの影響について、一連のin vitro 及び in vivo 安全性薬理試験を実施し、また、単回投与 毒性及び反復投与毒性試験の一部として評価した。In vitro 試験では受容体及びイオンチャネルの リガンド結合並びに酵素活性の相対的阻害を評価した。心血管系については、hERG/IKr 電流及び 心筋イオンチャネル、ウサギプルキンエ線維の活動電位、摘出ウサギ心臓に及ぼす影響をin vitro 試験で評価し、麻酔下ウサギを用いた単回投与試験及びイヌを用いたテレメトリー試験により心 血管系パラメータに及ぼす影響をin vivo で評価した。アスナプレビルの曝露量がサルに比べてイ ヌの方が高かったため、安全性薬理試験にはイヌを用いた。アスナプレビルの代謝プロファイル が毒性試験に用いた動物種及びヒトにおいて質的に類似しており、また、ヒトに特有の代謝物も 検出されなかったことから、代謝物の安全性薬理試験は実施しなかった。 4.1 受容体/イオンチャネル結合及び酵素アッセイ アスナプレビルの多様な受容体、酵素及びイオンチャネルへのリガンド結合阻害作用をin vitro 試験において評価した(CTD 4.2.1.3.1)。アスナプレビル 10 μM(7.5 μg/mL)の 37 種類の薬理学 的標的(受容体、酵素、イオンチャネル、セカンドメッセンジャー及び取込み部位)に対する作 用をアッセイパネル(MDS Pharma Screen)を用いて評価した。 これらの試験において、アスナプレビルは評価した広範な薬理学的受容体、イオンチャネル、 トランスポーター又は酵素に対して相互作用を示さなかった。本質的に蛋白を含まないこれら試 験におけるアスナプレビル10 μM(7.5 μg/mL)の濃度は、第 2/3 相用量投与時のヒトでのアスナ プレビル遊離体(以下、ヒト遊離体)のCmax(0.005 μg/mL)(CTD 5.3.5.1.1)の 1500 倍である ことから、本薬がヒトにおいて有害事象を引き起こす可能性は低いことが示唆された。 4.2 心血管系 アスナプレビルの心筋カリウムチャネル(hERG/IKr)、ナトリウムチャネル(SCN5A)及び L 型カルシウムチャネル電流並びにウサギプルキンエ線維活動電位に及ぼす影響を in vitro 試験で 検討した(CTD 4.2.1.3.2)。イオン電流の測定は、ホールセルパッチクランプ法を用いて実施し、 プルキンエ線維活動電位は標準的微小電極法を用いて記録した。組換えイオンチャネル[hERG、

ナトリウム(SCN5A)及び L 型カルシウム(Cav1.2)]は胎児腎細胞株(HEK-293)に安定発現さ

せた。 hERG アッセイでは、アスナプレビルの 10 及び 30 μM(7.5 及び 22.5 μg/mL)を試験に用いた。 本薬の効果は最大末尾電流の阻害測定により算出した。ナトリウムチャネルアッセイでも同様に 10 及び 30 μM を用い、その効力を最大内向き電流の阻害測定により算出した。ナトリウムチャネ ルに及ぼすアスナプレビルの頻度依存性効果を、1 及び 4 ヘルツ(Hz)の 2 つの刺激頻度を用い て評価した。L 型カルシウムチャネルアッセイでは、アスナプレビルの 30 μM を試験した。カル シウムチャネルに及ぼす影響は、最大内向き電流の阻害測定により算出した。アスナプレビルの

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再分極に及ぼす影響を検討するため、摘出ウサギプルキンエ線維の活動電位を記録した。ウサギ プルキンエ線維アッセイでは、アスナプレビルの3, 10 及び 30 μM(2.2, 7.5 及び 22.5 μg/mL)を 試験した。活動電位パラメータとして、静止膜電位、オーバーシュート、最大立ち上がり速度、 50%及び 90%再分極までの時間(それぞれ APD50及びAPD90)測定した。 アスナプレビルは心筋イオンチャネルに対して軽度な阻害作用を示した。本薬は10 及び 30 μM で、hERG カリウム電流をそれぞれ 8.2%及び 20.6%阻害し、IC50値は30 μM 超であった。アスナ プレビルは10 及び 30 μM で、心筋ナトリウム電流を 1 Hz 刺激頻度で 26.6%及び 65.9%、また、4 Hz 刺激頻度の場合では 29.8%及び 71.6%阻害した。さらに、アスナプレビルは L 型カルシウム電 流を30 μM で 18.3%阻害した。ウサギプルキンエ線維アッセイにおいて、アスナプレビルは 30 μM 以下の濃度では活動電位持続時間及び他の活動電位パラメータに影響を及ぼさなかった。 以上より、アスナプレビルは10 μM で hERG/IKr、ナトリウム及び L 型カルシウム電流を軽度 に阻害し、また、30 μM でプルキンエ線維活動電位パラメータには影響を及ぼさなかった。ヒト 遊離体Cmax が 0.005 μg/mL(CTD 5.3.5.1.1)であることから、上記の軽度なイオンチャネル阻害hERG)はヒト遊離体 Cmax の 1500 倍という高濃度で認められたものであり、また、ヒト遊離Cmax の 4500 倍という高濃度でも活動電位持続時間に影響を及ぼさなかったことから、本薬が ヒトの心電図に影響を及ぼす可能性は低いことが示唆された。 摘出ウサギ心臓における電気生理学的試験では、アスナプレビルを大動脈の逆行性灌流により 注入し、右心房を3.5, 4, 4.5 及び 5 Hz でそれぞれ 30 秒間刺激した(CTD 4.2.1.3.3)。500 Hz にお ける心房電位図、心電図及び冠灌流量を継続的に記録した。洞房結節機能を洞結節回復時間及び 心拍数測定により評価した。アスナプレビル10 μM(7.5 μg/mL)の処置時間を短時間(20 分)及 び長時間(60 分)とし、いずれもアスナプレビル処置前及び灌流中 10 分間隔で解析を行った。 試験終了時に心房内及び心室内のアスナプレビル濃度を測定した。 摘出ウサギ心臓において、アスナプレビル10 μM(7.5 μg/mL)を 60 分以下で灌流した場合の 心房及び心室のアスナプレビル濃度はそれぞれ93.4 μM(69.9 μg/mL)及び 151.5 μM(113.4 μg/mL) であったが、洞房結節機能や冠動脈灌流量に本薬に関連した変化は認められなかった。これら心 房内及び心臓内のアスナプレビル濃度は、ヒト遊離体Cmax のそれぞれ 13980 倍及び 22680 倍と いう高濃度であったことから、上記の結果は、本薬がヒトに心血管系の作用を引き起こす可能性 が低いことを示唆するものである。 麻酔下ウサギを用いたin vivo の心臓電気生理学的試験において、アスナプレビルを漸増法によ り静脈内投与した(CTD 4.2.1.3.4)。成熟雄性ウサギをプロポフォールとフェンタニルで麻酔した。 溶媒[ポリエチレングリコール400(PEG 400):エタノール= 9:1]又はアスナプレビル 3, 10 及30 mg/kg の 5 分間持続投与中、継続的に心内電位図、体表面心電図及び血圧を記録した。加え て、心拍数、動脈血圧、洞結節回復時間及び心電図パラメータを各用量の持続投与前後に測定し た。各用量の持続投与終了後に血液を採取してアスナプレビルの血漿中濃度を測定し、30 mg/kg の投与終了60 分後に心臓及び肝臓を採取した。 アスナプレビル3, 10 及び 30 mg/kg の静脈内持続投与後、アスナプレビルの曝露量は用量依存 的に増加した。30 mg/kg 投与終了直後及び投与終了 60 分後の平均血漿中濃度は、それぞれ 180

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μg/mL 及び 27.4 μg/mL であった。アスナプレビルの血漿に対する心臓の平均濃度比が 1.2 であっ たことから、本薬の心組織への蓄積は少ないことが示された。アスナプレビル30 mg/kg 以下の用 量(血漿中濃度は180 μg/mL 以下)では、心電図パラメータに影響はみられなかったが、軽微で 一過性の用量依存的な血圧上昇が認められた(各用量でそれぞれ投与前値に比して 10%、21%及24%の上昇)。アスナプレビル持続投与後の平均血漿中濃度は 15~180 μg/mL であり、ヒト曝 露量Cmax 0.419 μg/mL(CTD 5.3.5.1.1)の 36~430 倍であった。 イヌにおける単回経口投与心血管系テレメトリー試験(CTD 4.2.1.3.5)では、テレメトリー装 置を装着した雌雄各3 匹のイヌに溶媒[60% PEG 400、40% d-α トコフェロールポリエチレングリ コール 1000 コハク酸]を投与して対照とし、1 日後にアスナプレビルの 100 mg/kg を投与した。 心拍数、全身動脈血圧(収縮期、拡張期及び平均血圧)、左心室圧(収縮期及び拡張末期圧)、左 心室圧導出パラメータ(+dp/dt, −dp/dt)、心電図パラメータ(P 波持続時間、PR, RR, QRS 及び QT 間隔)、身体活動及び深部体温を溶媒又はアスナプレビルの投与前及び投与およそ21 時間後にそ れぞれ 1 時間継続的に観察した。心電図上の QT 間隔を、試験前の基準値から得られた個々の QT-RR 相関を基に算出した心拍数の 80 拍/分(QTc)で補正した。追加のパラメータとして、ア スナプレビルの投与4 時間後及び 8 時間後の臨床症状及び血漿中濃度を評価した。 アスナプレビルの投与4 時間後における血漿中アスナプレビル濃度は雌に比べて雄で低かった。 アスナプレビルの平均血漿中濃度を表4.2-1 に示した。 4.2-1 アスナプレビル投与後のアスナプレビルの平均血漿中濃度 用量(mg/kg) 投与後の時間 アスナプレビルの濃度μg/mL(μM) 雄 雌 平均 100 4 時間 43.7 (58.4) 70.4 (94.0) 57.0 (76.2) 100 8 時間 16.8 (22.4) 30.8 (41.2) 23.8 (31.8) 出典:CTD 4.2.1.3.5 アスナプレビル投与に関連した臨床所見は、糞の変化(無形便、液状便、血性便及び粘液便) のみであり、3 日間の観察では、各日最高で雌雄各 2 例に認められた。 心拍数、全身血圧及び左心室圧、心電図の各種波形間隔(QTc 間隔を含む)、身体活動及び深部 体温にアスナプレビルの投与に関連した変化はみられなかった。 以上、アスナプレビルは100 mg/kg(投与 4 時間後の平均血漿中濃度は 57 μg/mL、各個体では 35.2~73.4 μg/mL)では、イヌの心血管系に影響を及ぼさなかった。 本試験における投与4 時間後のアスナプレビルの血漿中濃度(57 μg/mL)は、イヌの 9 ヵ月間 反復経口投与毒性試験(CTD 4.2.3.2.6)の 100 mg/kg/day における Cmax(50.3 μg/mL)と同等で あった。テレメトリー試験における投与4 時間後の血漿中濃度はほぼ定常状態の Cmax であるこ とから、イヌの心血管系テレメトリー試験における無作用量でのCmax は、ヒト曝露量 Cmax の 120 倍であった。 イヌの反復投与毒性試験においてもアスナプレビルの心血管系に及ぼす影響を検討した。その 結果、イヌの1 ヵ月間反復経口投与毒性試験(CTD 4.2.3.2.5)で 300 mg/kg/day まで、9 ヵ月間反

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復経口投与毒性試験(CTD 4.2.3.2.6)で 100 mg/kg/day までの用量を投与しても心拍数及び心電図

に本薬投与に関連した変化は認められなかった。イヌの 1 ヵ月間反復投与毒性試験における

300 mg/kg/day 及び 9 ヵ月間反復投与毒性試験における 100 mg/kg/day 投与時の AUC は、それぞれ ヒト曝露量(AUC:3.69 μg•h/mL)CTD 5.3.5.1.1)の 375 倍及び 82 倍、Cmax はヒト濃度(Cmax: 0.419 μg/mL)(CTD 5.3.5.1.1)の 263 倍及び 120 倍であった。 健康被験者への単回投与(1200 mg 以下、AI447001 試験)及び反復投与(600 mg 以下 1 日 2 回14 日間、AI447003 試験)並びに C 型慢性肝炎被験者に単回投与(600 mg 以下、AI447002 試 験)及び反復投与(600 mg 以下を 3 日間、AI447004 試験)した臨床試験において、バイタルサ インや心電図に一貫した変化あるいは臨床的に関連した傾向は認められなかった。また、健康被 験者を対象としたthorough QT 試験(AI447025 試験)において、アスナプレビル軟カプセル 300 mg 1 日 2 回の 10 日間反復投与では QTc 間隔に臨床上懸念される変化はみられなかった。 また、アスナプレビルをダクラタスビルとラット(CTD 4.2.3.2.3)又はサル(CTD 4.2.3.2.8 及CTD 4.2.3.2.9)に反復併用投与した場合でも、本薬投与に関連した心血管系への影響は認めら れなかった。 以上、アスナプレビルが心血管系に影響を及ぼす可能性は低いことが示された。唯一認められ た心血管系の作用は、ヒト遊離体Cmax の 1500 倍の濃度で認められた軽度な hERG 阻害作用及び ヒト曝露量Cmax の 36 倍以上の濃度で認められた麻酔下ウサギの血圧上昇であった。また、本薬 は高曝露量でも、プルキンエ線維活動電位持続時間(ヒト遊離体Cmax の 4500 倍)、ウサギ摘出 心臓試験での心電図(ヒト遊離体Cmax の最大 22680 倍)、イヌの単回経口投与毒性試験(ヒト曝 露量Cmax の 120 倍)、最長 9 ヵ月間の反復経口投与毒性試験(ヒト曝露量 AUC の最大 82 倍)及 びサルにアスナプレビルとダクラタスビルを最長3 ヵ月間投与した併用投与毒性試験における心 血管系パラメータ(ヒト曝露量AUC の最大 18 倍)のいずれに対しても影響を及ぼさなかった。 4.3 中枢神経系 アスナプレビルの中枢神経系に及ぼす影響を評価するための独立した安全性薬理試験は実施し

なかった。有色Long-Evans ラット及び白色 Sprague Dawley ラットに[14C]アスナプレビルを投与

した試験において、本薬の脳組織内濃度は定量下限未満であった(CTD 4.2.2.3.3)。本結果と一致 し、マウス(CTD 4.2.3.1.1)及びラットの単回経口投与毒性試験(CTD 4.2.3.1.2)、ラットの 1 ヵ 月間(CTD 4.2.3.2.2)及び 6 ヵ月間反復経口投与毒性試験(CTD 4.2.3.2.4)、イヌの 1 ヵ月間(CTD 4.2.3.2.5)及び 9 ヵ月間反復口投与毒性試験(CTD 4.2.3.2.6)において、中枢神経系の臨床症状や 神経組織の組織学的所見にアスナプレビル投与に関連した変化は認められなかった。 また、アスナプレビルは、イヌの1 ヵ月間反復経口投与毒性試験(300 mg/kg/day 以下)及び 9 ヵ月間反復経口投与毒性試験(100 mg/kg/day 以下)において、行動及び運動、末梢及び中枢神経 機能に影響を及ぼさなかった。 さらに、アスナプレビルの反復併用投与毒性試験において、本薬とダクラタスビルをラット (CTD 4.2.3.2.3)又はサル(CTD 4.2.3.2.8 及び CTD 4.2.3.2.9)に投与した場合でも、アスナプレ ビル投与に関連した中枢神経系の影響は認められなかった。

(26)

上記の安全性薬理評価の結果、ヒト曝露量AUC 及び Cmax(CTD 5.3.5.1.1)のそれぞれ最大 375 倍及び最大263 倍の高い曝露量でも薬剤投与に関連した影響は認められなかったことから、本薬 がヒトの中枢神経系に対して有害事象を惹き起こす可能性は低いと考えられた。 4.4 呼吸系 アスナプレビルの呼吸系に及ぼす影響を評価するための独立した安全性薬理試験は実施しなか った。マウス及びラットの単回経口投与毒性試験(CTD 4.2.3.1.1 及び CTD 4.2.3.1.2)、ラットの 1 ヵ月間及び6 ヵ月間反復経口投与毒性試験(CTD 4.2.3.2.2 及び CTD 4.2.3.2.4)又はイヌの 1 ヵ月 間及び9 ヵ月間反復経口投与毒性試験(CTD 4.2.3.2.5 及び CTD 4.2.3.2.6)において、呼吸系の臨 床症状にアスナプレビル投与に関連した変化は認められなかった。 イヌの9 ヵ月間までの反復経口投与試験(CTD 4.2.3.2.6)において、100 mg/kg/day 以下の用量 では、呼吸数及び肺音(胸部聴診による判断)あるいは動脈血酸素飽和度(パルス酸素濃度計に より測定)に本薬投与に関連した影響はみられなかった。 また、アスナプレビルとダクラタスビルをラット(CTD 4.2.3.2.3)又はサル(CTD 4.2.3.2.8 及CTD 4.2.3.2.9)に反復併用投与した場合でも薬剤投与に関連した呼吸系の影響は認められなか った。 上記の呼吸器系に対する評価の結果、ヒト曝露量AUC 及び Cmax(CTD 5.3.5.1.1)のそれぞれ 最大375 倍及び最大 263 倍の高曝露量でもアスナプレビル投与に関連した影響は認められなかっ たことから、本薬がヒトの呼吸系に対して有害事象を惹き起こす可能性は低いと考えられた。

(27)

5 薬力学的薬物相互作用試験 HCV 感染患者の治療には、異なる HCV 蛋白を選択的に標的とする抗ウイルス薬の併用療法が 必要と考えられる。ウイルスゲノムが宿主細胞に組み込まれて宿主の免疫反応を回避しながら共 存するHIV とは異なり、HCV 感染患者ではウイルスを完全に排除できる可能性がある。しかし、 HCV ではウイルス増殖の回転率が速く、また、RNA ポリメラーゼの校正機構が欠如しているた め、遺伝子配列の不均一性は増大している。よって、HCV 感染患者には極めて類似はしているが 異なるHCV が存在しており、それにより HCV が免疫監視を逃れ、また、HCV 感染患者の大多 数における持続感染を構築する1 つの機序と推測される。このことを考え合わせると、HCV 治療 においては、複数の抗HCV 薬との併用投与を考慮すべきである。2.6 に記載したように、アスナ プレビルをダクラタスビル等の異なる作用機序を有する抗 HCV 薬と併用投与した場合、相加又 は相乗効果が認められた。

(28)

6 考察及び結論 アスナプレビルは6 種の主要な HCV ジェノタイプを有する細胞系の HCV NS3/4A プロテアー ゼ複合体に対して強力な阻害作用を示した(IC50値0.3~320 nM)。最も強力な作用はジェノタイ プ1 の NS3 プロテアーゼに対するものであった(Ki値0.24~1.0 nM)。アスナプレビルは複数の セリンプロテアーゼに対してほとんどあるいは全く活性を示さなかった。このような選択性は、 HCV 感染患者における非特異的な副作用の軽減に重要と考えられる。 ジェノタイプ1 及び 4 の NS3 プロテアーゼを有する HCV レプリコンに対し、アスナプレビル はテラプレビルに比べて著明な阻害作用を示した(EC50値1.2~7.6 nM)。アスナプレビルの細胞 培養試験における治療係数は大きく、また、本薬の抗ウイルス活性は蛋白結合により軽度な影響 を受けたのみであった。 アスナプレビルはNS3/4A プロテアーゼ複合体を競合的に阻害した。これは本薬が NS3 プロテ アーゼの活性部位を占有していたX 線結晶構造解析の結果によって裏付けられた。 耐性株の分離と遺伝子解析の結果、アスナプレビルに対するNS3 の耐性はジェノタイプ及びそ のサブタイプに依存することが示された。ジェノタイプ1a のレプリコンでは、主に R155K が認 められ、一方、ジェノタイプ1b のレプリコンでは、D168 のアミノ酸置換が発現した。テラプレ ビルの第3 相試験2)で特定されたNS3 プロテアーゼの一連のアミノ酸置換に対し、アスナプレビ ルは様々な程度の交差耐性を示した(EC50値が野生型の1 倍未満~55 倍)(CTD 4.2.1.1.6)。 アスナプレビルはHCV NS3 プロテアーゼによる IRF-3 シグナル伝達経路における構成成分で あるCardif の切断を阻害し、下流の IFN 誘導遺伝子の転写を用量依存的に回復させた。これらの 結果は、アスナプレビルのNS3 プロテアーゼ活性阻害が HCV の複製を低下させるとともに宿主 の自然免疫反応を回復させる可能性を示唆している。 アスナプレビルをIFNα 又は異なる HCV 蛋白の選択的阻害薬と併用した場合、相加又は相乗的 な効果を示した。また、C 型慢性肝炎患者において、アスナプレビルとダクラタスビルの併用投 与が可能であることが示されている11)。HCV ジェノタイプ 1a の野生型レプリコン及びテラプレ ビル耐性アミノ酸配列を有するレプリコンに対し、アスナプレビルはダクラタスビル及び IFNα との3 剤併用で、いずれのレプリコンの複製も同等に抑制した。

In vitro 及び in vivo における心血管系安全性薬理評価を安全性薬理試験で実施し、また、in vivo

における心血管系、中枢神経系及び呼吸系の安全性薬理評価を主要な毒性試験の一部として実施 した。アスナプレビルの単剤投与又はダクラタスビルとの併用投与によるこれら非臨床試験の結

果は、ヒト曝露量の1500~22680 倍(in vitro 試験)又は 36~430 倍(in vivo 試験)に相当すると

考えられることから、本薬がヒトの心血管系、中枢神経系及び呼吸系に対して有害事象を引き起 こす可能性は低いことが示唆された。 以上、アスナプレビルは HCV NS3 プロテアーゼに対する強力かつ選択的な低分子阻害薬であ り、HCV RNA の複製を阻害する。前述の非臨床薬理試験の結果から、本薬は NS5A 複製複合体 阻害薬であるダクラタスビルを含む他の抗HCV 薬との併用投与により、C 型慢性肝炎患者に対 する新規治療法となる可能性が示唆された。

(29)

7 参考文献

1) Failla C, Tomei L, De Francesco RJ. An amino-terminal domain of the hepatitis C virus NS3 protease is essential for interaction with NS4A. J Virol 1995; 69:1769-1777.

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11) Lok AS, Gardiner DF, Lawitz E, et al. Preliminary Study of Two Antiviral Agents for Hepatitis C Genotype 1. New Engl J Med 2012; 366:216-224.

(30)

CTD 第2部

2.6 非臨床試験の概要文及び概要表

2.6.3 薬理試験概要表

(31)

目次

1 薬理試験:一覧表 ... 3 2 効力を裏付ける試験 ... 5 3 副次的薬理試験 ... 8 4 安全性薬理試験 ... 9 5 薬力学的薬物相互作用試験 ... 12

(32)

1 薬理試験:一覧表

Table 2.6.3.1: Pharmacology

Overview Test Article: Asunaprevir (BMS-650032) Type of Study Test System Method of Administration Testing Facility Study No./ Document Control

Number Location in Dossier

Primary

Pharmacodynamics Recombinant HCV genotype NS3/4A protease FRET-based assays monitoring proteolytic cleavage In vitro BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1 Recombinant serine and cysteine protease assays

monitoring proteolytic cleavage In vitro BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1 Luciferase reporter or FRET signaling assays measuring

HCV RNA replication in HuH-7 cells constitutively or transiently expressing HCV (hybrid) replicons representing HCV genotypes 1 through 4

In vitro BMS 930023123

930057191 CTD 4.2.1.1.1 CTD 4.2.1.1.6

FRET signaling assay measuring HCV RNA replication in

the presence of human serum In vitro BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1 Proliferation assays against a panel of cell lines In vitro BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1 Luciferase reporter assay measuring HCV RNA replication

of infectious virus in HuH-7 cells In vitro BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1 Luciferase reporter and survival assays monitoring

replication of non-HCV RNA viruses In vitro BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1 Recombinant HCV NS3/4A protease FRET-based assays

monitoring proteolytic cleavage in the presence of different substrate concentrations

In vitro BMS 930023124 CTD 4.2.1.1.2

Cell culture passage of HCV replicons in the presence of ASV; luciferase activity monitored in HuH-7 cells either constitutively or transiently expressing emergent HCV replicon resistance variants

In vitro BMS 930023124

930035268 CTD 4.2.1.1.2 CTD 4.2.1.1.3

HCV replicon stable cell line and transient cell-based assays to monitor activity against NS3 protease clinical resistance variants

In vitro BMS 930023124

930057191 CTD 4.2.1.1.2 CTD 4.2.1.1.6 HCV replicon cell-based assays to monitor effects of

combining HCV inhibitors of different mechanisms In vitro BMS 930023123 930029019 930033004

CTD 4.2.1.1.1 CTD 4.2.1.1.4 CTD 4.2.1.1.5 Secondary

Pharmacodynamics Western immunoblotting measuring Cardif proteolytic cleavage In vitro BMS 930023124 CTD 4.2.1.1.2 Safety Pharmacology NA In vitro DT07078/ CTD 4.2.1.3.1 Receptors, enzymes,

ion channels, and transporters

(33)

Overview Test Article: Asunaprevir (BMS-650032) Type of Study Test System Method of Administration Testing Facility Study No./ Document Control

Number Location in Dossier

Cardiovascular,

Electrophysiology Human/HEK 293 cells and hERG channel In vitro BMS DT07089/ 930023617 CTD 4.2.1.3.2 Human/HEK 293 cells and sodium channel (SCN5A) In vitro BMS DT07089/

930023617 CTD 4.2.1.3.2 Human/HEK 293 cells and L-type calcium channel In vitro BMS DT07089/

930023617 CTD 4.2.1.3.2 Rabbit/cardiac Purkinje fiber In vitro BMS DT07089/

930023617 CTD 4.2.1.3.2 Dog/Beagle Oral (capsule) BMS DS07001/

930021202 CTD 4.2.1.3.5 Rabbit/isolated heart In vitro BMS DT07013/

930023505 CTD 4.2.1.3.3 Rabbit/NZW Intravenous BMS DT06116/

930023510 CTD 4.2.1.3.4 Respiratory and

Neurologic Mouse/Crl:CD1 (ICR) Oral (gavage) BMS DM07027/ 930024006 CTD 4.2.3.1.1 Rat/Crl:CD (SD) Oral gavage BMS DM07024/

930024094 CTD 4.2.3.2.2 Rat/Crl:CD (SD) Oral gavage DM08025/

930039270 CTD 4.2.3.2.4 Rat /Crl: CD (SD) Oral gavage BMS DS08126/

930035562 CTD 4.2.3.2.3 Cardiovascular,

Neurologic, and Respiratory

Dog/Beagle Oral (capsule) BMS DM07020/

930024088 CTD 4.2.3.2.5 Dog/Beagle Oral (capsule) DM08026/

930038894 CTD 4.2.3.2.6 Rat /Crl: CD (SD) Oral gavage BMS DS08126/

930035562 CTD 4.2.3.2.3 Monkey/Cynomolgus Oral (gavage) BMS DS08143

930035546 CTD 4.2.3.2.8 Monkey/Cynomolgus Oral (gavage) BMS DM09008

930039780 CTD 4.2.3.2.9

Abbreviations: ASV = asunaprevir (BMS-650032), BMS = Bristol-Myers Squibb, CD = caesarean derived, FRET = Fluorescence resonance energy transfer, HCV = hepatitis C virus, HEK-293 = Human embryonic kidney cells, hERG = Human ether–a-go-go, L = long-lasting, NA = Not applicable, NZW = New Zealand White, NS3 = nonstructural protein 3, NS3/4A = nonstructural protein 3/nonstructural protein 4A, RNA = ribonucleic acid, SCN = sodium channel, SD = Sprague Dawley

(34)

2 効力を裏付ける試験

Table 2.6.3.2: Primary Pharmacodynamics

Test Article: Asunaprevir (BMS-650032)

In Vitro

Type of Study Test System Noteworthy Findings Testing

Facility Report No. Location in Dossier

Anti-HCV NS3

protease activity Measured activity against purified recombinant HCV NS3/4A protease by monitoring the cleavage of a FRET-labeled peptide substrate loosely based on a cleavage site of authentic polyprotein

ASV exhibited IC50 values of 0.3 to 320 nM against purified NS3/4A protease enzyme complexes generated from 9 strains representative of each of the 6 major genotypes. In a survey of 3 strains representative of GT-1, the compound exhibited IC50 values ranging from 0.3 to 1.8 nM. GT-2 and GT-3 representatives were least susceptible (IC50 values ranging from 15 to 320 nM). GT-4, GT-5, and GT-6 representatives exhibited IC50 values ranging from 0.9 to 1.7 nM.

BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1

Selectivity for HCV

NS3 protease Measured activity of respective purified recombinant proteases by monitoring the cleavage of their respective substrates

ASV exerted minimal to no activity against the closely related viral serine protease, GBV-B NS3 protease, and a panel of 10 human serine and cysteine proteases.

BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1

Anti-HCV activity in

cell culture Measured luciferase or FRET signals in HuH-7 cells either constitutively or transiently expressing HCV (hybrid) replicons

ASV exhibited EC50 values ranging from 1 to 230 nM against HCV replicons representing GT-1a, GT-1b, and GT-2a. Against GT-2b and GT-3a NS3 protease replicon hybrids, ASV exhibited EC50 values of 0.48 μM and 1.2 μM, respectively. Against genotype 4 NS3 protease replicon hybrids, ASV exhibited EC50 values ranging from 1.8 to 7.6 nM.

BMS 930023123

930057191 CTD 4.2.1.1.1 CTD 4.2.1.1.6

Human serum effect on

anti-HCV potency Measured HCV RNA replication in HuH-7 cells constitutively expressing subgenomic HCV replicons

ASV activity was moderately attenuated in the presence of 40% human serum (6.5-fold increase in EC50 value against a replicon representing genotype subtype 1b).

BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1

Cytotoxicity Proliferation assays against a panel

of cell lines CC50 values ranging from 11 to 38 μM were obtained against 6 human cell lines derived from T-cells, liver, lung, cervix, and kidney cells.

BMS 930023123 CTD 4.2.1.1.1

Anti-HCV viral

activity in cell culture Measured HCV RNA replication in HuH-7 cells infected with a full length infectious virus construct

ASV exhibited an EC50 value of 39 nM against HCV infectious virus representing a genotype 2a strain.

表 2.5-1  アスナプレビル耐性レプリコンの遺伝子型及び表現型解析 HCV レプリコン株  ( EC EC 50 , nM  50 値の変化倍率) 主要な NS3  プロテアーゼ置換 頻度 a 阻害薬周辺残基 b 1a(H77)  6.5 ± 2.2(1)  -  -  アスナプレビルの EC 50 値の 10 倍の濃度で発現 した 1a 変異(Colony 1)  91 ± 39(13)  V51A  1/9 D79E 1/9 T95A 1/9  R155K  8/9  R155K  I170T  1
Table 2.6.3.1:  Pharmacology
Table 2.6.3.2:  Primary Pharmacodynamics
Table 2.6.3.2:  Primary Pharmacodynamics
+4

参照

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