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論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨の公表
学位規則第 8 条に基づき、論文の内容の要旨及び論文審査の結果の要旨を公表する。
○氏名 森嶋 真(もりしま たくま)
○学位の種類 博士(スポーツ健康科学)
○授与番号 甲 第 1045 号
○授与年月日 2015 年 3 月 31 日
○学位授与の要件 本学学位規程第 18 条第 1 項 学位規則第 4 条第 1 項
○学位論文の題名 健康増進をねらいとした低酸素環境での運動の効果に関する研究
○審査委員 (主査)後藤 一成(立命館大学スポーツ健康科学部准教授)
家光 素行(立命館大学スポーツ健康科学部教授)
橋本 健志(立命館大学スポーツ健康科学部准教授)
徳山 薫平(筑波大学大学院人間総合科学研究科教授)
<論文の内容の要旨>
本論文は、中程度の低酸素環境が健康増進に及ぼす影響を検討することを目的とした。
この目的を達成するために、まず、低酸素環境での安静時や運動時における代謝・内分泌 動態や食欲調節の変化を検討し(研究課題 1, 2)、次いで、低酸素環境で実施するトレーニ ングの効果を検討した(研究課題 3-1, 3-2)。
研究課題 1 では、健常男性 8 名を対象に、中程度(酸素濃度 15.0%)の低酸素環境での安 静時における代謝・内分泌応答を、特に、食後の血中グルコース濃度や食欲調節に関わる 内分泌動態の観点から検討した。その結果、食後の血中グルコース濃度や食欲調節に関わ る内分泌動態には、低酸素環境と通常酸素環境で有意な差はみられなかった。
研究課題 2 では、肥満男性 8 名を対象に、中程度の低酸素環境での運動が代謝・内分泌 動態に及ぼす影響を検討した。その結果、食後の血中グルコース濃度や主観的食欲の変化 には、低酸素環境と通常酸素環境で有意な差はみられなかった。しかし、低酸素環境の運 動は、通常酸素環境での運動と比較して、運動中および運動終了後の安静時に糖利用を亢 進させることが明らかになった。
研究課題 3-1 では、軽度の肥満男性 20 名を対象に、低酸素環境で行う週 3 回・4 週間に わたるトレーニングの効果を、生活習慣病リスクに関連する複数の観点(最大酸素摂取量、
内臓脂肪面積、糖・脂質代謝、食欲調節、血管硬化度)から検討した。その結果、低酸素
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環境でトレーニングを継続した群では、トレーニング後に食後の血中グルコース濃度の上 昇が有意に軽減された。また、その効果は、通常酸素環境でトレーニングを継続した群に 比較して、有意に大きいことが認められた。一方で、低酸素環境でトレーニングを継続し た群では、全身の体脂肪量や内臓脂肪面積の有意な低下は認められなかった。
研究課題 3-2 では、軽度の肥満男性 21 名を対象に、中程度の低酸素環境で行うトレーニ ングを週 3 回・4 週間にわたり継続する群(4 週間群)と週 6 回・2 週間にわたり継続する 群(2 週間群)におけるトレーニング効果の相違を検討した。その結果、両群ともに、ブド ウ糖負荷後における血中グルコース濃度の変化にはトレーニング前後で有意な変化はみら れなかった。しかし、4 週間群では、ブドウ糖負荷後における血清インスリン濃度の上昇の 程度がトレーニング後に有意に抑制された。
上述の結果から、軽度の肥満者において、中程度の低酸素環境での運動は通常酸素環 境での運動と比較して糖代謝を一過性に亢進させること、および低酸素環境でのトレーニ ングを継続することにより糖代謝の改善に対する効果を期待できることが明らかになった。
<論文審査の結果の要旨>
本研究により、中程度の低酸素環境で行う運動(トレーニング)が糖代謝の改善を中心 とした健康増進に有効であることを新たに示唆された点において、本論文から得られた知 見の学術的な意義はきわめて高いと評価できる。また、今後、耐糖能異常を示す疾患者や 2 型糖尿病患者に対する応用も期待されることから、社会的意義も高い。
本論文の審査に関して、2015 年 1 月 28 日(水)9 時 00 分〜10 時 30 分インテグレーシ ョンコア 2 階大会議室において公聴会および口頭試問を開催し、学位申請者による論文内 容の説明の後、一般参加者からの質疑応答を行った。その後、審査委員会にて学位申請者 に対する口頭試問を行った。各審査委員から、低酸素環境下での糖代謝の亢進と食欲応答 との関連の有無、トレーニング期間や対象者(女性、有疾患者など)が異なった際に予想 される結果、エネルギー代謝の評価方法の詳細などに関する質問がなされたが、いずれの 質問に対しても学位申請者の回答は明快かつ適切であった。また、本論文は国際誌に掲載 された 4 編の副論文をまとめたものであり、この点も高く評価できる。
以上の論文審査と公聴会および口頭試問の結果を踏まえ、本論文は博士の学位に値する 論文であると判断した。
<試験または学力確認の結果の要旨>
本論文審査の主査は、当該学位申請者と、本学大学院スポーツ健康科学研究科スポーツ健 康科学専攻博士課程後期課程在学期間中に、先行研究の調査、実験計画の立案、実験の実
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施、投稿論文の執筆、その他の研究指導などを通じ、日常的に研究討論を行ってきた。ま た、本論文提出後、主査および副査はそれぞれの専門性をもとに論文の内容について評価 を行った。
当該学位申請者は、本学学位規定第 18 条第 1 項該当者であり、論文内容および公聴会・
口頭試問での質疑応答を通して、学位申請者が十分な学識を有し、博士学位に相応しい学 力を有していることを確認した。また、スポーツ健康科学分野の研究者や高度専門職業人 にふさわしい専門的な研究能力を十分に身につけており、本分野の次世代のリーダーとな りうる資質も有すると判断できる。
以上の観点を総合し、学位申請者に対し、本学学位規程第 18 条第 1 項に基づいて、「博 士(スポーツ健康科学 立命館大学)」の学位を授与することが適当であると判断する。