博士(獣医学)干早 豊 学位論文題名
PATHOLOGICAL STUDIES ON ALIMENTARY lVIYCOSIS IN CATTLE
(牛の消化器真菌症に関する病理学的研究)
学位論文内容の要旨
成 牛 お よ び 子 牛の 消化 器真菌 症に 関す る掘 告は 多数 なさ れて いる が, その 多 く は 虹 例 報 告 に とど まり ,その 発生 宰お よび 病巣 の分 ねに 閲す る系 統的 報告 は ほとんどなされていない.
成 牛 の 消 化 器 負菌 症, とくに 前胃 およ び第 四胃 にお ける 真菌 疝の 病理 発生 に
| 幻し ては ,多く の自 然発 生例 から .穀物の多絵あるいは過食によるルーメン・
ア シ ド ー シ ス . 分娩 時の ストレ スに よる ル― メン 停滞 が重 要な 發凶 と毒 えら れ ている.子牛の消化器真蘭疝については,細飼料の 輸餌1,下痢に対づ る抗生物 貿 の牡u投り 処酋 等が 亜盤 な蛍 凶と 位買 づ り られ てい る. しか し.いずれも自 然 発 生 例 か ら の 考察 にと どまり .実 験的 に牛 の消 化器 真前 症の 病理 発生 を考 察 した報告はなされていない.
本 研 究 で は , 過去10年 間の牛 の剖 検例 の中 から ,成 牛お よぴ 子牛 の消 化器 真 菌 症 を 遨 び . そ の発 生状 況.病 変の 特徴 なら びに 分柘 を中 心に 検索 した .そ し て , そ の 病 理 発 生 に つ い て 緬 羊 を 用 い ′ こ 実 験 的 研 究 を 行 っ て 加 え た . 1. 最 初 に7カ 月 齢 以 上 の 若 齢 牛 お よ び 成 牛 の 其 菌 症 に つ い て検 索 し た ・ こ れ ら に お け る 深 在 性 臭 繭 症 は ,10ヰ 閤 に わ たっ て剖検 した692例中45例 ( 6.5%) に認 めら れ′ こ. 消化 器真 繭症 は,こ れら4S例 の深 在性 真菌症例中38例
(84.4% ) に 認 め ら れ , 仝 剖 検 例 中5.5% の 発 生 を 示 し た .38Wで み ら れ た 輿 菌 病 栄 は . 第 一 胃(73.7%), 第三 胃(71.1%) ,第 四胃 (34.2% ). 第二 胃
(21.1% ) . 大 腸 (15.8% ) . 第 三・ 四 胃 口 部 (7.9% ) お よ ぴ舌 (2.6% ) の 顧 に 認 め ら れ ,第 一胃 と第三 胃に おけ る発 生が 高か った .繭 胃と 第四 胃が 共 に侵された典菌症は12例(31.6%)に認められた・
消 化 器 輿 菌 症 例中 ムコ ール症 は36例(94.7%) に, アス ベル ギル ス症 は12例
(31.6% ) に 認 めら れた .ムコ ―ル 癌と アス ペル ギル ス症 の壷 梭感 染は ,10{9
(26.3% ) に 認 め ら れ た .10例 の うち8例 は ムコ ―ル とア スベ ルギ ルス の混 合
感染病栄を持っていた・
肉 眦 的 にIユ , 限 局竹 、 出 血竹 壊 弛 栄が 全 例 にajい てみ ら れ た .病1lp緩I織 学的 に は , ム 二 亅 ‥ ル 紅 の 初 ! 引 ( 急 性 ) 病 栄 で は , 繭肖 粘 職 上皮 の 変 性 およ び 剥 鯔. 嗣 部 に お り る 灯 中 球 の 浸 潤を 伴 っ た菌 糸 の 不規j! |」 な 増 触が 認 め ら れた . さ らに . 覇 急 竹 の 病 栄 で は , #1験 固 有 脳 , 粘 駁 下 織 も し く は 筋 艢 に 及 ぶ 著Llfな 壌 死 が み ら れ ,xli験 岡 有 層 と粘 膜 下 綴に は 出 血. 多 数 のIf11怜 , 菌 糸 の亅 醤 殖 ,好 中 球 とり ン パ 球 の 浸 潤 が 認 め ら れ た . 薗 糸 は 粘 朕 矧 有 層 か ら 粘 腴 下 織 , 鰯 層 に 不 規1川 に 侵 入 し , 血 管 顰 に も 侵 人 づ る 傾1向 を 示 し た . 血 管 内 の 薗 糸 は 不 規 則 に 増 触 し , rfiJ伶形成 を付′ っていた .ムコ 一ールの 繭糸は 隔顰を持たづ^,網i人で,輙jはィ−10
〃mと不均一 であっ ・/こ. 閑糸の 塑1. エ義やく ,PAS染色およ びグL‑Jコツ卜 (GHS)染 色 で 灯 染 し ′ こ .Iぬ 胃 , 第 四 胃 . 人 腸 お よ び 舌 に ぉ い て は . 慢 性 病 巣 と し ての 肉 芽 腫 性 も し く は 化 膿 他 . 肉 芽 駈 竹 瓶 栄 が 認 め ら れ た . 肉 芽 贓 竹 病 栄 は , 類 上 皮 細 胞 と 臣 細 胞 のJ円 抽 を 舗 徼 と し , 菌 糸 を 貧 食 し て い る 多 核 臣 細 胞 お よ びAsteroid bodyの形成がみられた.
アスベル・t ルスj轟の初1恥像では,【蘭糸が荊肖の変們粘腴において.料;腴・『rIjに 斗iIJし て珊 鋤 し てい丿 こ.さ らに,騨J股lfljから深部 へか1丿ては ,麗1織の食 竹と壊 死 をfVい な が らmぬ に ゛Mく ・ 蜘 蚰 し て い た . 鍛 凶I| 曾 と 人 腸 に お い て は, 粃 麟 か ら 粘| 焚 下 綴も し く は筋 艢 ヘ ,か け て 広 範な 出 血 竹. 壊 死 楽が 認 め られ ,菌糸 は壊死 巣 の 巾 に 灯 中 球 の 浸 嗣 を 伴 い 敵 在 し ・ て い た . ま た , 菌 糸 は し ば し ば 血 管 壁 に 一 方 向 か ら 侵 入 し , 腔 内 お よ び 対 側 の 壁 を 貫 く 傾 向 を 示 し た . ム コ ― ル 症 に お け る と 同 様 に , 血 管 内 で は 菌 糸 と 其 に 血 栓 形 成 が み ら れ た . 病 栄 内 の 菌 糸 は , 3.2一 ー4.8ルmの 均 一 な 幅 を 永 し ,PAS染 色 とGHS染 色 に 強 染 し た . ま た , 菌 糸はY字状の二分校を示し,しばしば放射状に増殖していた.
以 上 の 消 化 器 典 菌 錨ニ38例は , 臨 床的 に ル ―メ ン ・ ア卜 ニ ー − (81.6% ) , 乳虜 炎,(63.2%),ダ ウナ一症 候る¥ (S7.9%)Jゞよび分娩(50.0%)を示し′こ.ホ 症 の 病 鍔 ! 発 生 を 考 え る う え で , こ れ ら の 病 態 か ら 導 か れ た で あ ろ う ル ー メ ン ・ ア シ ド ー シ ス と 感 染 に 対 す る 抵 抗 性 の 低 下 は , 成 牛 の 消 化 器 典 菌 症 の 垂 發 な 先 駆要凶と考えられた・
2. 次 に 予 牛 (6カ 月 齢 以 . ト ) に お け る 消 化 器 典 繭 虹 に つ い て 検 索 し た . . こ れ ら に お1丿 る 深a竹 爽 繭 症 は .8u倹 例406例 【 い19例 (4.7% ) に 認 め ら れ た . こ れ ら19例 の 深 在 忸 典 繭 疝 の う ち12例 (63.2% ) に 消 化 器 典 繭 虹 が み ら れ ,こ れ は 仝剖 検 例 【113.O% の 発 生串 . ぐ あっ た . 消化 器 典 繭虹 の 病栄 は.第 , 胃 (50.O% ) , 第 エ肖 (SO.O% ), 小 腸 (33.3% ) , 第 凹Iコ (25.O%) , 第 王 肖(16.7%)の髄に認められた.
以上の12例の消化る真菌抗におけるムコ―ル症の発生は11例(91.7%)と高 い発生宰を示した.一方,アスベルギルス症は5例(41,7%).カンジダ症は 1例(9.3%) にみられた .ムコール とアスベル ギルスの混 合感染は,4例(
33.3%)に認められた.
剖検畤,多数例の荊胃内に乾草もしくは敦輜憧の内容物と乾酪物を含み,醸 醉臭゛を放つ詑状物かみられた.軽度病変として,限局忸出血竹墳死が餉胃と第 四胃粘段に認められた.さらに進展した病栄では,大きな出血性壌死巣と潰瘍 かみられた.小腸では.やや隆起する出血性壊死栄と溌瘍か認められた.ムコ ール症とアスベルギルス症の粗犠学的所見は,成牛における病巣と類似してい た.
1例の子牛にみられた第三胃のカンジダ痘では,偽菌糸と分生子の増殖を伴 う不全角化.角化亢進およぴ粘膜上皮の剥離が認められた.偽薗糸はPAS染色 によってのみ検出された.
以上の子牛の消化器真菌症の病理発生として,下痢に対する抗生物質の軽口 投 与 お よ び 不 適 当 な 早 期 鎹 乳 が ー つ の 重 要 な 先 駆 要 因 と 考 え ら れ た . 真菌学的検索により,成牛の前胃病栄からはAbsidia堅)ryIbi fe ra.Hucor pusillus,Rhizopus nlgrIcanS,子牛の前胃病巣かIらはAbS|dIaCOry■bIfera, Hucor pusillus, Aspergillus fu■ igatusが 分 離 さ れ た . 3.緬羊に50.o/kg/体重の小麦を投与し,実験的にル−、メン・アシドーシス を作出した.そしてこの状況下で,乳牛の第三胃ムコ―ル症病巣より分讎した Absid ia corlcribi feraの胞子(2X10')を第一胃内に接種した.
この結果 ,Absidia coryIbiferaを接種した4例の緬羊全例に,前胃粘膜表 層の剥離およぴ粘巌固有層から筋層へかけての壊死巣を認めた.肉芽匿性病巣 が3例の粘段下巌く認められた.び謾性出血および好中球の浸司を伴う壊死巣 が.2例の第四胃粘駁に認められた.全ての病巣は真薗の増殖を伴い,牛の自 然発生例と同様のムコール病巣か再現された.
以上の実験轄果は,AbsidlaCOry爾biferaかル―メン・アシドーシスによっ ―――‐ニー‐―−−――ー
て導かれた前胃粘験の変性上皮へ侵入することを示し.ルーメン・アシドーシ スは 繭 胃お よ ぴ第 四 胃の 貞 薗症 に おけ る 重要 な 先 駆要 因 と毒 え られ た.
学 位論文審査の要旨
学位論文題名
I'ArrII()1,()(;ICAI, STUDIES ON ALIHL't.NTARY AIYC()SIS IN CATTI,I! ( 牛 のi!j化 器 典 謀f7帝 にf瑚 す るT J:llltl,j{:的 研 究 )
典iXiiiii| ま 日 和見 感 染 の ー つ で あ り 、 そ の病 理 発 生 は 複 雑 で あ る ‥q.1おif者 | ま 牛
の iilj化 ;jx典 j謝 癌 の 発 ±1ニ 氷 、 病 変 のfl. ぶ 微 と 分 布 、 li^J:JlI! . 発 生 に つ い て の 研 究 を 行 つ た ‥
発 ±L率 は 過 型 そ10 ド | | |tJのz| ニ の7お 翼 | ! 巧 乍j別 例 を 、6か 月I冷 以 ‐ | 二Iの 子zlニ (A7洋 ) と 、7か J.J齢J災 ..1. . . の ぞf齢 ′ |. . .J| 覧 ′I∴ (Ijljf) に //J、 け 、 キ ル き 哉7| ヰ 変 の イJ. カItに よ っ てI弸Aした 、そ の ネig果 、 消 化器 真 菌 症 は 、 ^ 群 で は12/40・6例 (3,0% ) に 、B群 で は38/692例
(5.5リ6) に ; 泌 め ら れ た . 、 朋f| ム | 学 的 に は1|1|jイ 洋 と も に ム コ ー ル (M)71i: がJl. に びIj的 に 多 く ( ^7洋7例 ,B7洋26例 ) 、 次い でM症 と ア ス ペ ル ギ ルス ( ^ ) 症 の 合 わP(A群 イ 例 、Bi洋
1( 】 例 ) で 、qt別 ! の ハ ヲ 1ピ は Ij腓 の 2例 の み に ; 綣 め ら れ た . . な お 、 ^I;pで は 八71ifと カ ン ジ ダ 症 の 合 ル ト が1例 に 認 め ら れ た ガ ル 化Z驚 の 翻5位 別 の 検 索で は 、1iIi7洋 と も 前 百
f ̄fのf盪 染が 主1ホ を な し て い た (AIほ50% ,Iji洋7イ % ) ,
荊tキ 地j; 灯 変 のfI. ぶ 微 は 、 カ ヰ 厩f仆 を 仆 っ た 急 ・ ピ1: な ぃ し 弧 急 ド | : の 滲 ;It0| : 炎 と 、 慢 ゼ | : の
|/′ ミJ湖cJJl. . 阯 炎 で あ っ た が 、fl巻 にj丙 厩f仆 の .IfIL偽 1/、Jへ の 侵 製 とJfl・L栓 形 成 が た1: | 三lさ れ た
ま た 、Mと ハ を 共 有し た 病 巣 も 散 見 さ れ た 。 微 生物 学 的 検 索 を 行 っ た 前 胃 の病
A3jj¥ C) tt‑t. Absicli{1(!!!rymbi[c.ra,Mucc,r pusillus, pergi I lus fumi8a tusカく分瑚1されt̲ ci
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bircraを 接 価 し た 。 ニ の キ 古 来 、t三l然 例 同 様 のf尚 化 器 ( めUW) 真i織 チ 記 が 作 |l. |lで き 、 IMの ホも ヒ発生 に対 する先 駆的 要1鬪の ーっ が;.f||l三拠 づけら れた ‥
J浸 |・ ・のよ うに 、Il| ヨ||f杵1ま′1・.の捫lj化黼:rl;1讐i71i:のf『,ゞぞfを、Jfう艫´ッ的笈化を」|k侃に 1リ ・Jら か に し た ‥ こ の 成 果1ま 典1翁 あi・ ミ の 疫 学 、j丙pI! 発 ′ ― | ; . の 角 ポIリnこ 貢 献 す る と こ ろ が 大 きい。 よっ て齋査 員一 同は、 千早 艶氏 が、恥 士( 獣I褒学 )の 学他を 受け
る に十分 な資 格を有 する ものと ;泌 めた´