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はじめに

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Academic year: 2021

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比 較 司 法 制 度 研 究 会

――トルコ民事訴訟法の改正動向――

一 はじめに 出口雅久 二 ハカン・ペクチャニテス トルコにおける民事訴訟法改正の概略 本間学(訳) 三 ディーター・ライポルド トルコ民事訴訟法改正――ドイツから見た若干の考察―― 出口雅久(訳) 四 松本博之 トルコにおける民事訴訟法改正について ――日本法からの若干のコメント―― 五 ハカン・ペクチャニテス トルコ強制執行法・開始手続 出口雅久(訳) 六 ディーター・ライポルド トルコにおける強制執行に関する開始手続 ――ドイツから見た若干の比較法的な考察―― 出口雅久(訳)

は じ め に

2013年 5 月20日より26日まで立命館大学法学部にトルコ・イスタンブール・ガラ タサライ大学法学部ハカン・ペクチャニテス教授を招聘し,トルコ民事訴訟法の改 正動向について下記のような比較司法制度研究会を開催した。 まず第一回目の研究会は, 5 月22日に本学の学生向けにトルコ強制執行法・開始 手続に関する講演会を開催し,本学学生諸君と直接トルコ人法学研究者と学術交流 を行う貴重な機会を提供していただいた。また,その際に,本学客員教授として来 日されていたフライブルク大学法学部ディーター・ライポルド教授には,近代的な 法秩序において強制執行の要件および効果的な開始手続の形成に関して生じる若干 の基本問題について学部学生向けに噛み砕いて比較法の観点から的確なコメントを 頂くことができた。 358 (358)

(2)

第二回目の研究会は, 5 月25日に研究者・実務家向けに「トルコにおける民事訴 訟法(仲裁法を含む)改正の概略」について学術研究会を開催していただき,その 際には,松浦馨教授,松本博之教授,徳田和幸教授,加波眞一教授,田中宏治教 授,植松真生教授,本間学准教授,舘野俊彦判事補,在大阪神戸ドイツ総領事館フ ロリアン・イェーガー領事,その他多数の院生・学生が参加し,活発な討議が展開 された。本研究会において日独両民事訴訟法の比較法的な観点からのコメンテー ターとしてご協力いただいたディーター・ライポルド教授および松本博之教授に心 より御礼申し上げる次第である。また,スイス法やオーストリア法の影響によりド イツ民事訴訟法と少なからず専門用語を異にしている「トルコ民事訴訟法の改正の 概略」に関する講演原稿を明解に翻訳していただいた本間学准教授にも感謝申し上 げたい。 今回,日本を初めて訪問されたハカン・ペクチャニテス教授について簡単にご紹 介しよう。ペクチャニテス教授は,1956年にトルコ東部 Ercis/Van に生まれ, 1978年にイスタンブール大学法学部を卒業後,1979年イズミール・エーゲ大学法学 部助手に就任にしている。1982年から1984年までドイツ学術交流会奨学金給付生と してフライブルク大学法学部アルブレヒト・ディックマン教授の下で在外研究をさ れた後,1986年イズミール・エーゲ大学法学部准教授に昇進し,1991年に再びアレ キサンダー・フォン・フンボルト財団研究員としてフライブルク大学法学部で在外 研究をされ,1997年にはイズミール・エーゲ大学教授に昇進している。その間に, フランクフルト,トリア,ギーセンなどでも在外研究の経験がある。その後,イズ ミール・ドクツ・エリリュール大学法学部教授を経て,2004年よりイスタンブー ル・ガラタサライ大学法学部教授に招聘され,現在に至っている。ペクチャニテス 教授は,最近の民事訴訟法,強制執行法,ADR,仲裁法などの改正作業委員会で も座長として指導的な役割を果たされてきたトルコ民事訴訟法学界を代表する法学 研究者であり,来年2015年 5 月にはイスタンブールで開催される世界訴訟法会議を 主宰する大会責任者でもある。 実は,私は,ハカン・ペクチャニテス教授と同じくフライブルク大学法学部にド イツ学術交流会およびアレキサンダー・フォン・フンボルト財団の奨学金給付生と して留学した経験があり,ペクチャニテス教授とはドイツ法系民事訴訟法担当者会 議等において幾度かお会いする機会があったが,とりわけ2010年にハイデルベルク 大学法学部で開催された世界訴訟法会議の際に,日本・トルコ間の学術交流の推進 について協議する機会を得た。その後,私は二回ほどイスタンブールにペクチャニ テス教授を訪問し,ドイツ,スイス,オーストリアの民事訴訟法学者とのかなり積 比較司法制度研究会 はじめに(出口) 359 (359)

(3)

極的な学術交流の進展やトルコの経済・文化の発展状況に鑑みて,わが国にとって も,トルコの民事裁判制度について正確な情報を得ることは極めて重要であると考 え,今回の比較司法制度研究会に関する具体的なプランを企画するに至った次第で ある。 トルコは,イスラム諸国の中でも歴史的にも極めて親日的な国の一つであると言 われている。ペクチャニテス教授の本務校であるガラタサライ大学法学部の建物 は,アジア側を一望できる風光明媚なボスポラス海峡沿いの大陸側に位置してお り,海峡を渡る主要な交通手段である鉄橋や市内の地下鉄は日本の技術で建設され たものである。私自身も,ドイツの学会等で知り合ったトルコの研究者の招聘でイ ズミール・ドクツ・エリリュール大学法学部,イスタンブール・マラマラ大学法学 部,イスタンブール大学法学部などで学術講演会を開催した際には,トルコ人研究 者の皆様方からとても暖かい歓迎を受けた。トルコの主要な大学の法学者の多くが ドイツ,スイス,オーストリアなどで大陸法を研究しており,現在は,欧州連合に 加盟する目的のために司法制度全体の法整備を急ピッチで進めている。トルコは, アラブ語圏ではないが,穏健派イスラム教徒として他のイスラム諸国との政治的, 経済的,文化的に太いパイプを有しており,大陸法を基調とした司法制度を有する トルコとわが国との法学分野での学術交流は今後より一層重要となるものと確信し ている。今回,日本とトルコとの学術交流の推進にとって極めて有意義な研究会を 開催できたことに,改めて関係各位の皆様方に心より御礼申し上げる次第である。 最後に,本学会誌への掲載についてご快諾いただいた諸先生方にこの場を借りて 心より感謝申し上げる次第である。なお,本稿は,平成24年度財団法人民事紛争処 理研究基金・題目「トルコにおける最新民事訴訟法改正と ADR」 および平成25年 度科学研究費છ課題番号 : 22402013「民事訴訟原則におけるシビルローとコモン ローの収斂」の研究成果の一部である。 平成26年 3 月31日 立命館大学法学部教授

出 口 雅 久

立命館法学 2014 年 1 号(353号) 360 (360)

参照

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