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児童養護施設職員のバーンアウトに対する予防的コーピングとセルフケアの有効性

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Academic year: 2021

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(1)児童養護施設職員のバーンアウトに対する. 予防的コーピングとセルブケアの有効性  学校教育学専攻 臨床心理学コース.    M10058J     鶴田有紀 1.はじめに  近年,児童養護施設職員のバーンアウトによる 離職が問題となっている。児童養護施設職員のス トレスに関する調査から,『職場内の人間間関係』 『職場の労働条件』『子どもとの関わり』に負担を. 1、「子どもとの関係」「同僚との関係」「職場環.  境」における,ストレス場面と事後の対処方略,.  対人援助職のメンタルヘルスの問題に関心が向 けられるのに伴い,対人援助者のセルブケアの重 要性が指摘されている。セルブケアが心身の健康 維持のための日常的な取り組みであるのに対し, さらに予防的な側面を強調したものとして,予防 的コーピングが挙げられる。児童養護施設職員の 予防的コーピングやセルブケア方略といった視点 からバーンアウトを検討した研究はわが国におい.  事前の対処努力に関する質問。 2.日常的なセルブケア方略に関する質問。 アンケート結果 1.ストレス場面(全回答数:75項員)  子どもとの関係から「子どもの問題行動」「子 どもに思いが伝わらない」等5場面,同僚との関 係では,「ディスコミュニケーション」「仕事の分 担方法」等の5場面,職場環境では,「勤務体制」 等の3場面が抽出された。 2.予防的コーピング(全回答数:75項目)  ストレス場面に対する事前の対処努力として,  「関係性」r子どもへの対応」「仕事の工夫」r子 ども理解」「情報の共有」の5つに分けられた。 3.事後コーピング(全回答数:78項目). ては見られない。.  ストレスを感じたときの対処として,r問題解. 感じている職員が多く,その中でも『子どもとの 関わり』に最もストレスを感じていることが示さ れた(堀場,2010)。.  そこで,本研究では,第一にセルブケア方略と予. 決」「思考の変化」「クールダウン」の3つに分け. 防的コーピング,事後コーピングが児童養護施設 職員のバーウトに与える影響,第二に職員の子ど もの暴言・暴力に対するスキルがバーンアウトお よび予防的コーピングやセノレプケア方略に与える 影響を検討することを目的とする。. られた。. 4.セルブケア方略(全回答数:28項目).  セルブケア方略は「身体的健康」とr精神的健 康」の2つに分けられた。 作成した尺度 (項目の一部を提示する) [予防的コーピング尺度(13項目)]. 2.予備調査 日的:児童養護施設職員のセルブケア方略,予防 的コーピング,事後コ]ビングに関する尺度作成。. ・日頃から子どもと過ごす時間を増やす. 調査協力者:A県とB県の児童養護施設直接処遇 職員15名(3施設×5名)。 調査時期:2011年5月∼7月 調査手続き:自由記述式のアンケートを実施。そ の結果を,臨床心理学を専攻する大学院生4名で. ・問題解決のために話し合う機会を持つ. KJ法を行い,セルブケア方略,予防的コーピング, 事後コーピングに関する尺度を作成。 【質問紙の構成】. ・フェイスシート(性別,年齢,勤務年数,職種) ・質問項目. ・事前に子どもの特徴を理解しておく   など [事後のコーピング尺度(14項目)]. ・まず心を落ち着かせる         など [セルブケア尺度(7項目)]. ・しっかり休息をとる. ・趣味を楽しむ            など 3.本調査 日的. ①児童養護施設職員のセルブケア方略や予防的  コーピング,事後コーピングがバーンアウトに  与える影響を調べる。. 一124一.

(2) ②児童養護施設職員の子どもの暴言・暴力に対す.  るスキルがバーンアウトおよび予防的コーピ  シグやセルブケアに与える影響を調べる。. アとバーンアウトの関係を検討するために,各ス トレス対処の各因子得点を説明変数とし,バーン アウトの各因子得点の合計を日的変数とした重回 帰分析(強制投入法)を行った。. 調査協力者:A県,C県,D県,皿県の児童養護 施設直接処遇職員422名 調査時期:2011年9月中旬∼10月.  その結果,「バーンアウト(合計)」に対して,. 調査方法璽閲抵錘査. 事後コーピングの「積極的対処」(β….18),セル. ①フェイスシート(性別,年齢,勤務年数,1年  以内の子どもからの暴言・暴力経験の回数,子  どもの暴言・暴力に関する研修等への参加回数,  子どもの暴言・暴力への対応の自信度) ②予防的コーピングやセルブケア方略,事後コr  ビングに関する尺度(予備調査で作成した尺度) ③GHQ・12(中川ら,1981) ④バーンアウト尺度(田尾・久保,2008) 仮説 ①予防的コーピングやセルブケア方略を行ってい  る職員は,バーンアウトになりにくい。 ②子どもの暴言暴力への対応スキルが高い職員は,  バーンアウトになりにくい。. ブケアの「気分転換をする」(β=.17)は負の影. 4.結果. 予防的コーピングの「子どもへの支援」(β=・.31),. 響力を示した。また,一方で,事後コーピングの r自己内対処」(β=.23)とセルブケアのr身体 を休ませる」(β=.13)は正の影響力を示した(R ・=.33,久6,273)=13.29,一ρく.001)。. ④暴言曇カに関する項目とバーンアウトとの関係.  暴言暴力に関する項目とバーンアウトとの関係 を検討するために,「子どもからの暴言暴力の経験」 「子どもの暴言暴力に関する研修」「子どもの暴言. 暴力に対する自信度」の各項員の得点を説明変数 とし,バーンアウトの各因子得点の合計を目的変 数とした重回帰分析(強制投入法)を行った。  その結果,「バーンアウト(合計)」に対して,. r子どもからの暴言暴力の経験」(β=.21)は有. ①調査協力者:返信のあった302名から(回収率 71.6%),欠損値のある者28名を除き,最終的に. 意な正の影響力を持つ一方で,「子どもの暴言暴力 に対する自信度」(β=一.29)は有意な負の影響力. 274名を分析対象とした(有効回答率64.9%)。. を持っていた(沢2:.16,F(3,273)=12.40,ρく.001)。. ②使用尺度の因子分析 ・予防的コーピング:天井効果の見られた2項目. 5.総合考察. ・事後コーピング:天井効果の見たれた!項目を 除き,因子分析(主因子法,バリマックス回転) の結果,2因子(「積極的対処」α=.78,「自己内.  本調査から,予防的コーピングのr子どもへの 支援」とセルブケアのr気分転換」を多く行うこ とは,バ]ンアウトを抑制する一方で,セルブケ アの「身体を休ませる」はバーンアウトを促進す る可能性が示唆された。また,予防的コーピング の「職員同士の関係作り」はバ]ンアウトとの関 連は見られなかった。よって,仮説①は部分的に. 対処」α=.65)が抽出された。. 立証された。. ・セルブケア尺度:因子分析(主因子法,プロマ ックス回転)の結果,2因子(「身体を休ませる」.  次に,r子どもからの暴言暴力に対する自信度」. α:.87,「気分転換をする」α=.65)が抽出され. しかし,「子どもからの暴言暴力に関する研修の参. を除き,因子分析(主因子法,バリマックス回転) の結果,2因子(「子どもへの支援」α:.85,「職員. 同士の関係作り」α=.83)が抽出された。. は,バーンアウトを低減させることが示唆された。. た。. 加回数」は,バーンアウトとの間に関連が見られ. ・バーンアウト尺度:フロア効果の見られた3項 目を除き,因子分析(主因子法,バリマックス回. なかった。よって,仮説②は部分的に立証された。. 転)の結果,3因子(r脱人格化」α・・.79,r個人 的達成感の後退」α=.76,「情緒的消耗感」α=.78). が抽出された。. ・精神的健康度:因子分析(主因子法・プロマッ クス法)の結果,2因子(「不安・抑うつ」α=.80, 「活動障害」α=.78)が抽出された。. ③各ストレス対処とバーンアウトとの関係  予防的コーピング,事後コーピング,セルブケ. 6.今後の課題と展望 今後の課題として,ストレス場面や職員のタイプ 別による研究モデルの検討があげられる。また,. 今後の研究の展望として,予防的コーピングの変 遷とバーンアウトの関係を明らかにするために, 縦断的研究が考えられる。.           主任指導教員 有園博子             指導教員 有園博子. 一125一.

(3)

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