818 人 工 知 能 学 会 誌 32 巻 6 号(2017 年 11 月)
表紙解説
─越島 はぐ─
Cover Comment : HAGU KOSHIJIMA
三宅 陽一郎
株式会社スクウェア・エニックス
Youichiro Miyake SQUARE ENIX CO., LTD. [email protected]
Keywords:
art, brain, neuron.図 1 11 月号表紙 作画:越島はぐ
819 表紙解説─越島 はぐ─ 1.は じ め に 今年から毎号,人工知能にちなんだ イラストをそろえることで,多彩な表 紙を楽しんでいただく企画を開催して きました.本年最後となる 11 月号の表 紙は,その絵から清々しい空気感まで 伝わってくる美しいイラストレーショ ンで人気の「越島はぐ」さんを,お迎 えして,特集テーマ「脳科学と人工知 能のフロンティア」に沿って描いてい ただきました.越島さんからコメント をいただいています. 「仮想世界に存在する動物や少女の周 りを,ニューロン間の電気のような光 が弾けているイメージです.」 2.解 説 とても奥深い絵ですので,見る方そ れぞれの見方があって当然良いと思い ますが,著者なりの見方をここに記し ておきます. キャラクタの顔はあえて描き込まず, 素朴な印象が出るようにシンプルに描 かれています.世界の中に立つ,一人 の少女の真摯な姿と内面の世界が表現 されています.その内面はどこまでも 透明で,絵の中からしんとした静けさ さえ伝わってきます.遠景の雲と光は, 一人の少女が向かい合う,混沌とした 外部世界を表しているようです.差し 込む光は,来るべき希望や展望,イン スピレーションのように見て取れます. そして,周りに配置されている動物達 は,少女の知能の中で認識されている 動物達のイメージを表しています.そ れは現実の影であり,影の色を基調と して,脳内のニューロンのスパークに よって彩られています.対象の姿もあ えて描き込まず,素朴な印象に留める ことで,内面の認識空間が見るものに 深淵な迫力をもって迫ってきます.水 平線は光と溶け合っており,ぼんやり と背景にあります.それは床面が表し ている認識空間と,雲の向こうの現実 の空間がどこかでぼんやりと接してい ることを表現しているようです.全体 として見事に少女の内面世界が描かれ ています. 2017年 10 月 10 日 受理