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コラーゲン・ゲルを使用した、腺上皮細胞と間質細胞の無血清培養による、ヒト子宮内膜 in vitro モデル再構成の試み

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Academic year: 2021

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全文

(1)

コラーゲン・ゲルを使用した、腺上皮細胞と間質細

胞の無血清培養による、ヒト子宮内膜 in vitro モ

デル再構成の試み

著者

石井 新

発行年

1989-03-24

URL

http://hdl.handle.net/10422/1717

(2)

氏名・(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文題目 いし い 石 井 医学博士 医博第50号 あらた

斬(滋賀県)

学位規則第5条第1項該当 平成元年3月24日 コラーゲン・ゲルを使用した、腺上皮細胞と間質細胞の無血清培養によ る、ヒト子宮内膜in vitroモデル再構成の試み 審 査 委 員 主 副 副 査 査 査 教 教 教 授 授 授 服 吉 挟 部 田 間 隆 吾 章 則 信 忠 論 文 内 容 の 要 旨 〔目 的〕 ヒト子宮内膜を用いた培養系においては未だ形態、機能共にin vivoでの性質を再現できた ものは確立されていない。本研究では、コラーゲン。ゲル上およびゲル内にヒト正常子宮内膜上 皮細胞を培養し、またゲル内に間質細胞をゲル上に上皮細胞を同時培養することによりヒト子宮 内膜のin vitroモデルの再構成を試み、そのエストロゲン、プロゲステロンに対する反応をP AS染色にてglycogen産生を指標に検討した。 〔方 法〕 使用した組織は正常周期をもつ婦人から子宮頸郡上皮内癌および良性疾患の診断の下に摘出さ れた子宮から得られた内膜で、内膜日付珍で二日以上のずれのあったものは除外した。 1)上皮組織と問質細胞との分離。 無菌的に摘出された組織を細切し、0.25%typeIコラゲナーゼにて消化。増殖期内膜は opening size38pの、分泌期内膜はopening sizel06pのステンレス・スティール製節 にて濾し分け、分離を行った。

2)培地の調整。

無血清培地とし以下のものを混じ基本培地とした。

EagleのMEM,      epidermal growth factor lOng/ml, transferrinlOJLg//hl,  insulin lOpg/hl, cholera toxinlOng/ml, bovine serum albumin fraction V5mg//hl, HEPES lOmM

ー12−

(3)

3)コラーゲン・ゲルの調整。 (a)CellmatrixI−A (b)10倍濃度のEagleのMEM (C)0.05N N云oH水溶液100mlにNaHCO32.2gとHEPES4.77gを加えた緩衝液 を用意し、a:b:C=8:1:1となるようにa+b,(aヰb)+Cの順に混合して使用した。こ れを35mプラスチック・カルチャー・ディッシュ中に注入し37。C、10分間インキュベートし てゲル化した。ゲル内で培養する場合はa,b,C混合液に少量の細胞浮遊液を混合し、その後で ゲル化した。ゲル上培養、および上皮細胞と間質細胞との同時培養の場合は培養2日目にディッ シュからゲルを剥離し培地中にゲルを浮遊させ、浮遊コラーゲン・ゲル法とした。 以上の操作はすべて無菌的に行った。 観察は位相差顕微鏡、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡を用いて行った。 〔結 果〕 ゲル上培養では極性をもった「層の円柱上皮層の形成が見られた。ゲル内培養では「層の円柱 上皮に囲まれた球形ないし楕円体の腺腔構造が形成された。これらは電顧的に、細胞間のtight junction,desmosome,細胞自由面のmicrovilliが認められ、上皮細胞であることが確認 された。ゲル上の培養では基底膜の形成も認められた。上皮細胞と問質細胞との同時培養ではゲ ル上に一層の上皮細胞層が形成され、その直下のゲル内に間質細胞集団が形成されてin vivo における被覆上皮と間質細胞層とに良く似た構造をとった。しかし、光顕的、電顕的に変性に陥 っている細胞も認められた。ホルモン反応性に関してはゲル内、ゲル上、および間質細胞の有無 に係わらず上皮細胞の細胞質内にPAS陽性部分が認められ、アミラーゼ消化法でglycogen であることが証明されたが、エストロゲン、プロゲステロン添加に対して形態学上明らかな変化 は認められなかった。間質細胞も脱落膜細胞化などの変化を示さなかった。 〔考 察〕 コラーゲン・ゲルを使用することによってヒト子宮内膜上皮細胞を円柱上皮としての三次元構 造を保ったまま培養することに成功した。特にゲル内の培養では腺としての立体的構造も形成さ れた。また、上皮細胞をゲル上に間質細胞をゲル内に同時培養することにより子宮内膜のin vi− troモデルの再構成も可能であることも示され、上皮細胞が間質細胞層の構成を誘導している可 能性が示唆された。しかし、この培養系では形態学的にはホルモン反応性は確認できず、問質細 胞も上皮細胞のホルモン反応性に直接影響を与えていないようである。この系で子宮内膜上皮細 胞がホルモン反応性を示さない原因として考えられることは、培養細胞をもちいた研究において は避けることのできない細胞の分離までの操作、をのぞけば、(1)培地の組成、(2)細胞外基質の組 成、(3)上皮細胞と間質細胞との相互作用であろう。 〔結 論〕 コラーゲン・ゲルを用いて無血清培養することによりヒト正常子宮内膜上皮細胞を円柱上皮と しての三次元構造を保ったまま培養することができ、腺構造の再現も可能である。また、ゲル上 −13−

(4)

に上皮細胞を、ゲル内に間質細胞を同時培養することにより子宮内膜のin vitroモデル再構成 の可能性も示された。 しかし、ホルモン反応性の再現には至らなかった。この再現のためには更に、培地の組成、細 胞外基質の組成、上皮細胞と間質細胞との相互作用を検討する必要があると思われる。 学位論文審査の結果の要旨 この研究は、子宮の内膜上皮と問質細胞を無血清培地で、コラーゲン・ゲルの上と中という特 殊な状況下で培養し、in vivoの子宮内膜に近い組織構築を形成せしめる方法を確立し、また、 この培養条件下で得られた組織の特性をホルモン感受性の観点から調べようとしたものである。 研究は、形態学的な方法によっている。 著者は、正常の性周期をもつ婦人の子宮内膜から、機械的な細切とコラゲナーゼ処理で上皮細 胞と間質細胞を分離し、独自に調整したコラーゲン・ゲルと無血清培地を用い、1)ゲル上に上 皮細胞のみを培養、2)ゲル内に上皮細胞のみを培養、3)ゲル内に問質細胞、ゲル上に上皮細 胞を同時に分離培養した。その結果、1)では「層の上皮層、2)では球形ないし楕円形の腺腔 構造物、3)では上に上皮層、下に問質という2層構造物の形成が見られた。いずれの培養でも 上皮細胞は極性を示し、tight junctionやdesmosome、また、basement membrane の形成が見られた。これらのことは、本方法が子宮内膜細胞の培養に適していることを意味して いる。特に、3)の同時培養では、上皮細胞層とその直下で集団をなす問質細胞層が形成され、in vivoの子宮内膜の構築によく似た構造が得られ、培養条件下で、上皮と問質の相互作用が再現 された。一方、上皮細胞の機能的な特性が、細胞のグリコーゲン合成能から検討された。上皮細 胞は、材料の採取時の性周期における日付とは無関係に、常にグリコーゲンを合成、蓄積してい た。本培養法で得られた上皮組織で、エストロゲンとプロゲステロン添加によるグリコーゲン合 成能の変化が調べられたが、ホルモンによる明らかな変化は観察されず、将釆の検討課題とされ た。 本研究は、形態的ならびに機能的にin vivoを模した子宮内膜組織の培養に成功したもので、 今後、子宮内膜の研究、また、婦人科領域をはじめとする癌細胞の研究などに有用な手段となり 得ると考えられ、医学博士の学位を授与するに値するものと認められる。 −14−

参照

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