〈論文〉経営者業績予想におけるコストの過小予想に関する実証研究--管理会計からのアプローチ
全文
(2) 第60巻. 1は. 第1号. じ. め. に. 日本 の 証 券 市 場 に上 場 して い る企 業 経 営 者 は,証 券 取 引 所 の 要 請 に応 じて,決 算 短 信 で 次 期 の 売 上 高 や 利 益 につ いて の 業 績 予 想 を 発 表 す る。 業 績 予 想 値 と実 績 値 の 誤 差(以 下, 予 想 誤 差)は,予. 想 値 が 実 績 値 を上 回 る と い う意 味 で 楽 観 的 傾 向 に あ る こ とが 知 られ て お. り,こ れ は,株 価 を 維 持 した り資 金 調 達 を 有 利 に進 めた りす るた め に,経 営 者 が 楽 観 的 な 予 想 を恣 意 的 に公 表 す る結 果 だ と従 来 の 研 究 で は説 明 され て きた 。 しか し,近 年 の 研 究 で,経 営 者 予 想 は社 内の 利 益 計 画 や 予 算 と連 動 して い る こ とが 明 ら か にな りつ つ あ る。 次 年 度 の 利 益 計 画 の 策 定 に お いて,今 年 度 利 益 が 業 績 の ベ ン チマ ー ク と して 意 識 され るな ら,経 営 者 は,今 年 度 利 益 を 上 回 る よ う に利 益 目標 を 設 定 し,売 上 高 と コ ス ト(2>につ いて 予 算 を 組 む はず で あ る。 本 研 究 で は,利 益 目標 や 予 算 と い う観 点 か ら,業 績 予 想 誤 差 を分 析 す る と い う立 場 を と る。 分 析 で は,利 益 で はな く売 上 高 と コ ス トに注 目す る。 利 益 へ と集 約 され る前 の 売 上 高 と コ ス トの 方 が よ り多 くの 情 報 を持 つ た めで あ る。 事 実,利 益 予 想 の 楽 観 性 は,売 上 高 予 想 が 実 績 値 よ りも大 き いか,コ. ス ト予 想 が 実 績 値 よ りも小 さ いか,あ. る い は これ ら二 つ が 同. 時 に作 用 した結 果 で あ るの か の いず れ か で あ る。 本 研 究 の 目的 は,経 営 者 業 績 予 想 に関 す る研 究 に貢 献 す る こ とを 目指 して,コ. ス ト予 想. と売 上 高 予 想 との 関 係 を分 析 し,コ ス ト予 想 誤 差 に関 す る知 見 を 提 供 す る こ と に あ る。 コ ス ト予 想 は,売 上 高 予 想 と利 益 予 想 の 差 額 と して 経 営 者 業 績 予 想 か ら取 り出す 。 分 析 の 焦 点 は,売 上 高 の 増 減 に対 す る コ ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 に 当て られ る。 この コ ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 は,コ ス ト予 想 誤 差 に影 響 を 与 え,結 果 的 に利 益 予 想 誤 差 に影 響 を 与 え る。 分 析 で は,管 理 会 計 領 域 で 使 用 され る コ ス ト分 析 技 術 を取 り入 れ,コ. ス トを 売 上 高 の 関. 数 と して モ デル 化 し,回 帰 分 析 を通 じて この モデ ル を推 定 す る。 これ に よ って,先 行 研 究 に お け る予 想 誤 差 率 の 平 均 値 に基 づ く分 析 と比 較 して,よ. り多 くの 情 報 を 分 析 に取 り込 む. こ とが 可 能 に な る。 本 稿 の 構 成 は以 下 の 通 りで あ る。 第2節. に お いて,業 績 予 想 にお け る経 営 者 バ イ ア ス に. 関 す る研 究 を レ ビュー す る と 同時 に,利 益 計 画 や 予 算 と い う従 来 と は異 な る観 点 か ら経 営 者 業 績 予 想 を検 討 し,コ ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 に関 す る仮 説 を 設 定 す る。 第3節 で は,分. ②. 厳 密 に は 「費 用 」 で あ るが,管 理 会 計 の 伝 統 に 従 って 「コ ス ト」 と本 稿 で は呼 ぶ 。 -108(108)一.
(3) 経営者業績予想 にお けるコス トの過小予想 に関す る実証研究(安 酸) 析 モ デ ル を 提 示 す る。 第4節 で は,分 析 に投 入 す るデ ー タを 説 明 す る と同 時 に記 述 統 計 量 を 示 す 。 第5節 で は,仮 説 検 証 に先 立 つ 予 備 的 考 察 を 展 開 す る。 第6節 で は,仮 説 を 検 証 す るた め に行 った 分 析 の 結 果 を 示 す 。 第7節 で は,本 研 究 で の 発 見 事 項 を 考 察 す る と同 時 に,本 研 究 の 経 営 者 業 績 予 想 研 究 へ の 貢 献 と限 界 につ いて 述 べ る。. 2コ. 2.1経. ス ト増減率 の予想誤差 に関する仮説設定. 営者 業 績 予 想 に 見 られ る バ イ ア ス. 経 営 者 業 績 予 想 に関 す る研 究 の 主 要 な 関 心 の 一 つ は,予 想 値 と実 績 値 の 誤 差 に見 られ る 経 営 者 バ イ ア ス に あ る。 こ のバ イ ア ス は,「 株 価 水 準 を維 持 す る た め に」 経 営 者 が 「都 合 の よ い業 績 予 想 値 を恣 意 的 に公 表 す る」 結 果 で あ る と説 明 され た り(円 谷2011,144), 株 式 発 行 や 融 資 に よ る資 金 調 達 を 有 利 に進 あ るた あ に,将 来 の 業 績 見 込 み を 経 営 者 が 恣 意 的 に良 く見 せ る結 果 で あ る と説 明 され る(清 水2007)。 経 営 者 バ イ ア スの 存 在 に関 す る実 証 的 検 証 は,予 想 誤 差 を 前 年 度 実 績 額 や 株 式 時 価 総 額 で 調 整 した 予 想 誤 差 率 の 分 析 を 通 じて 行 わ れ る。 経 営 者 が 予 想 を 中 立 的 に行 うな ら,予 想 誤 差 率 の 平 均 値 はゼ ロか ら乖 離 しな い と期 待 され るが,現 実 の デ ー タの 分 析 は予 想 誤 差 率 の平 均 値 が ゼ ロか ら乖離 す る こ とを示 して い る。 例 え ば,利 益 予想 誤 差率 を ク ロス セ ク シ ョ ナル に分 析 した 阿 部(2010)は,利. 益 予 想 誤 差 率 の 平 均 値 に基 づ く分 析 か ら利 益 予 想 に楽. 観 性 が 存 在 す る こ とを 示 して い る。 も っ と も,利 益 予 想 を 年 度 毎 に分 析 した 乙 政 ・榎 本 (2007)は,予. 想 値 が実 績 値 を 下 回 る とい う意 味 で,利 益 が過 小 に あ る い は保 守 的 に 予 想. され る年 度 が あ る こ と を発 見 して い る。 ま た,Mandeetal.(2003)やOta(2006)は, 前 年 度 が 赤 字 の 場 合 や 財 務 状 態 が 悪 化 して い る場 合 に,利 益 予 想 が 楽 観 的 にな る傾 向 を 発 見 して い る。Katoetal.(2009)は,期. 初 の 予 想 値 は楽 観 的 で あ る が,予 想 値 が期 末 に. か けて 下 方 修 正 され る傾 向 を 発 見 して い る。 バ イ ア スの 存 在 は,質 問 票 調 査 に よ って も確 か あ られ て い る。 円谷(2009)に (上場 企 業3,944社 対 象,1,260社. 回 答)に. よれ ば,27.7%の. 企 業 で公 表 され た業 績 予 想 値 と. 社 内 の業 績 目標 値 が異 な る と い う結 果 が 報 告 され て い る。 日本IR協 査(上. 場 企 業3,739社 対 象,1,122社. 多 い」 と い う 回答 が30.6%あ. 回答)で. 本IR協. 議 会 の2010年 の 調. は,「 慎 重 な 予 想 値 を 作 成 ・公 表 す る こ とが. り,「 外 部 公 表 値 よ り も楽 観 的 な(チ. 標 が 社 内で 定 あ られ て い る」 と い う回 答 が25.3%あ (3)日. よ る調 査. 議 会 の 調 査 に つ い て は 次 のURLを -109(109)一. ャ レ ンジ ングな),別. った と報 告 され て い る(3)。. 参 照 さ れ た い 。https://www.jira.or.jp/. 目.
(4) 第60巻 2.2社. 第1号. 内 の 予算 目標 と業 績 予 想. も っ と も,質 問 票 調 査 は,業 績 予 想 が 組 織 内部 の 利 益 計 画 や 予 算 と密 接 に連 動 して い る こ と も明 らか に しつ つ あ る。 日本IR協 社 回答)に. よ れ ば,74.1%の. 議 会 の2011年 の調 査(上 場 企 業3,644社 対 象,1,032. 企 業 で 「社 内 の年 次 予 算 を べ 一 ス に 」 予 想 値 が作 成 さ れ,. 70.4%の 企 業 で 「各 事 業 部 門 が 報 告 す る数 値 を 基 に 」 予 想 値 が 作 成 され て い る(4)。中 條 (2009)に. よ る調 査(新 興 市 場 上 場 企 業793社 対 象,156社. 回答)に. よれ ば,業 績 予想 値 の. 作 成 方 法 と して,「 各 事 業 部 門 な どの予 算 を積 み上 げ る」 方 法 が圧 倒 的 に支 持 さ れ て い る。 す で に取 り上 げ た 円谷(2009)に. よ る調 査 で は,回 答 企 業 の72.3%で 公 表 され る利 益 予 想. と社 内 の業 績 目標 が一 致 して い る。 黒 川 ほか(2009)に 345社 回 答)に. よ れ ば,90.2%の. よ る調 査(上 場 企 業3,933社 対 象,. 企 業 で 「予 想 情 報 は,子 会 社,各 事 業 所 の 予 想 数 値 を 積. み 上 げ て作 成 」 さ れ て い る。 こ の こ とか ら,黒 川 ほ か(2009,45)は,「. 予 想 数 値 は,会. 社 の 事 業 目標 や 計 画 を会 計 数 値 化 した もの 」 で あ る と述 べ て い る。. 2.3利. 益 確 保 を 目的 と す る 社 内 予算 か ら見 た業 績 予 想. 大 多 数 の 企 業 で,業. 績 予 想 が 予 算 を べ 一 ス に 作 成 さ れ る な ら ば,利. 算 目標 と 実 績 値 の 差 異 と し て,利 関 す る 先 行 研 究 は,利. 益 目標 あ る い は 予. 益 予 想 誤 差 を 説 明 す る こ と も可 能 で あ る 。 利 益 目 標 に. 益 の 分 布 形 状 に 関 す る 分 析 か ら,前. 年 度 利 益 や 利 益 ゼ ロ が(5),企. 業 が 達 成 す べ き 利 益 の ベ ン チ マ ー ク と し て 意 識 さ れ て い る こ と を 明 らか に し て い る (BurgstahlerandDichev1997;Degeorgeetal.1999;須 質 問 票 調 査 に よ っ て も,ベ al.2005,2006;須. 田 ・首 藤2000;野. ン チ マ ー ク の 達 成 圧 力 の 存 在 が 確 か め られ て い る(Grahamet. 田 ・花 枝2008)。. 回 る こ と を 嫌 う 。 こ れ は,ベ. 経 営 者 は,実. 価 の 急 速 な 低 下 や 経 営 者 報 酬 の 減 額 な どが 観 察 され て. い る(Bartovetal.2002;SkinnerandSloan2002;首 こ れ らの 先 行 研 究 か ら,赤. 際 の利 益 が これ らの ベ ン チ マ ー クを 下. ンチ マー クを 下 回 った 場 合 の ペ ナル テ ィー が 存 在 す るた めで. あ る 。 こ の ペ ナ ル テ ィ ー と して,株. 増 大,あ. 間2004)。. 藤2007;浅. 字 計 上 企 業 は,赤. 野2009)。. 字 を 脱 す る た め に コ ス ト削 減 ま た は 売 上 高. る い は そ の 両 方 に つ い て チ ャ レ ン ジ ン グ な 予 算 目 標 を 立 て る と 考 え ら れ る が,予. 算 目 標 を 基 に 予 想 値 が 作 成 さ れ る な ら ば,予 い 。 ま た,前. 想 は 結 果 的 に 楽 観 的 な も の と な る か も しれ な. 年 度 の 利 益 水 準 が 業 績 の ベ ン チ マ ー ク と して 意 識 さ れ る な ら ば,前. 較 して コ ス ト削 減 ま た は 売 上 高 増 大,あ. (4)脚. 注(3)を 参 照 さ れ た い 。. (5)こ. の 他 に も,ア. 年 度 と比. る い はそ の 両 方 につ いて 予 算 目標 が 立 て られ る と. ナ リス ト予 想 と 経 営 者 予 想 が 業 績 の ベ ン チ マ ー ク と し て 知 ら れ て い る 。 -110(110)一.
(5) 経 営 者 業 績 予 想 にお け る コス トの 過 小 予 想 に関 す る実 証 研 究(安 酸) 考 え ら れ る 。 こ の 場 合 も ま た,予. 2.4仮. 想 は 結 果 的 に 楽 観 的 な も の と な る か も しれ な い 。. 説 設 定:利 益 確 保 を 目 的 と す る売 上 高 と コ ス トの予 算 目標. 今 年 度 ⑰ 期)の. 利 益 額 が次 年 度 ⑰+1期)で. 達 成 す べ き利 益 水 準 の ベ ンチ マ ー ク と. して 意 識 され るな ら,次 年 度 の 売 上 高 の 増 大 が 予 想 され る状 況 と減 少 が 予 想 され る状 況 で は,次 年 度 の 利 益 計 画 とそ の 下 で の 予 算 内 容 は異 な る はず で あ る。 次 年 度 の 売 上 高 の 増 大 予 想 の 下 で は,利 益 獲 得 機 会 を 最 大 限 に利 用 す るた め,売 上 高 の 増 大 に合 わ せ て コ ス トを 追 加 的 に負 担 し利 益 を 増 大 させ る こ とが 合 理 的 な 意 思 決 定 で あ る。 この 一 方,次 年 度 の 売 上 高 が 減 少 す る と い う予 想 の 下 で は,業 績 の ベ ン チマ ー ク と して の 今 年 度 の 利 益 を 次 年 度 で 達 成 す るた あ に コ ス トの 大 幅 削 減 が 必 要 で あ る。 この 場 合,次 年 度 の コ ス ト削 減 率 の 目 標 は,売 上 高 が 増 大 す る場 合 の コ ス トの 上 昇 率 よ りも絶 対 値 で 見 て 大 き い値 で な けれ ば な らな い。 さ もな けれ ば,今 年 度 並 み の 利 益 を 次 年 度 で 達 成 す る こ と はで きな い。 こ の一 方 で,3.3節 で 詳 し く取 り上 げ る よ うに,コ. ス ト変 動 に 関す る 近 年 の 実 証 研 究 で. は,売 上 高 の 減 少 時 にお け る コ ス ト減 少 率 の 絶 対 値 は,売 上 高 の 増 大 時 の コ ス ト増 加 率 の 絶 対 値 よ りも小 さ い こ とが 発 見 され て い る。 これ は,売 上 高 の 減 少 時 に,コ ス トが 十 分 に 減 少 しな い こ とを 意 味 す る。 この 発 見 に基 づ け ば,売 上 高 の 増 大 時 よ りも,売 上 高 の 減 少 時 に コ ス ト予 想 誤 差 が 大 き くな る こ とが 予 想 され る。 さ ら に,こ の 原 因 は,売 上 高 の 増 大 時 の コ ス ト増 加 率 の 予 想 誤 差 よ りも,売 上 高 の 減 少 時 の コ ス ト減 少 率 の 予 想 誤 差 の 方 が 大 き い こ と に あ る と考 え られ る。 以 上 の 考 察 か ら,次 の 仮 説 が 導 か れ る。. 仮 説:売 上 高 の 増 大 予 想 の 下 で の コ ス ト増 加 率 の 予 想 誤 差 よ りも,売 上 高 の 減 少 予 想 の 下 で の コ ス ト減 少 率 の 予 想 誤 差 の 方 が 大 き い。. 3コ. 3.1利. 益 予 想 誤 差 の分 解. ス ト予 想 誤 差 の 説 明 モ デ ル. 売 上 高予 想 誤 差 と コ ス ト予 想 誤 差. 経 営 者 に よ る利 益 予 想 は,(1)式 の よ う に表 現 され る。. 砿. (1). 一s∫,cる. た だ し,E毒S毒Cる. は,そ. れ ぞ れ 第 乞企 業 の 経 営 者 に よ って 予 想 さ れ た'期 -111(111)一. の 利 益 額,.
(6) 第60巻 売 上 高,コ. ス トで あ る 。 こ の 一 方 で,財. 第1号. 務 諸 表 の 中 で 報 告 さ れ た 利 益 は,(2)式. の よ う に表. 現 され る。. (2). 罵rS芸rCる. た だ し,Eる,Sエ,,Cる. は,そ. ス ト で あ る 。 な お,本 "f. orecasted"値. れ ぞ れ 第 ∫企 業'期. の報 告 され た 実 際 の 利 益 額. 稿 で の 各 変 数 の 右 肩 の 添 え 字 ∫ と7は,そ. と 報 告 さ れ た"reported"値. 売 上 高,コ. れ ぞ れ予想 され た. で あ る こ とを 示 す 。. 利 益 予 想 誤 差 は(1>式 か ら(2>を 引 い て,(3>式. の よ う に表 現 され る。. Eる 一Eる 一(sる 一sの 一(c{rcの. 利 益 予 想 誤 差(Eる 一Eの. (3). は,売 上 高 予 想 誤 差(sる 一Sの. と コス ト予 想 誤 差(Cる 一Cる). に よ って 説 明 され る。 利 益 予 想 が 正 確 で あ った と して も,売 上 高 予 想 と コ ス ト予 想 が 必 ず し も正 確 で は な い こ と は(3)式 か ら 明 ら か で あ る 。 例 え ば,S{,=90,畷 .班`=30で. あ る が,緩'=60,C芸'=30で. 利 益 予 想 誤 差 ゼ ロ(Eる. あ っ て も.醍`=30で. 一Eる 一 〇)が,経. オ=60の. 場 合,. あ る。 こ の よ う な 場 合,. 営 者 予 想 に 関 す る 研 究 の 結 論 を ミ ス リ ー ドす る. こ と も明 らか で あ る。 利 益 予 想 誤 差 ゼ ロ は偶 然 で あ る。 この よ うな 問 題 が 生 じるの は,売 上 高 予 想 誤 差 と コ ス ト予 想 誤 差 の 集 約 され た 値 が 利 益 予 想 誤 差 で あ り,集 約 の 過 程 で 売 上 高 と コ ス トに関 す る情 報 が 失 わ れ るた めで あ る。 利 益 予 想 誤 差 へ と集 約 され る以 前 の 売 上 高 と コ ス トに関 す る予 想 誤 差 の 方 が,利 益 予 想 誤 差 よ りも経 営 者 の 業 績 予 想 に関 す る多 くの 情 報 を 含 ん で い る はず で あ る。 した が って,経 営 者 業 績 予想 を扱 お うとす れ ば,利 益 へ と集 約 され る以 前 の売 上 高 と コス トに注 目す る こ とで, よ り多 くの 情 報 に基 づ く分 析 が 可 能 にな る。. 3.2平. 均 値 に 基 づ く予 想誤 差 分 析 の 問題 点. しか しな が ら,利 益 予 想 誤 差 を 売 上 高 予 想 誤 差 と コ ス ト予 想 誤 差 に分 解 し,誤 差 の 絶 対 額 を調 整 す るた め に 売 上 高 予 想 誤 差 率(Sる 一Sの/緩,と. コ ス ト予 想 誤 差 率(Cる 一Cる)/. Cる の 平 均 値 を 求 め,そ れ らを検 討 して も,そ れ ほ ど有 益 な 情 報 は得 られ な い。 例 え ば, 上 の数 値 例 が 任 意 の 企 業 ゴ,任 意 の'期 につ い て 当 て は ま る とす る と,売 上 高 と コス トの 予 想 誤 差 率 の平 均 値 はそ れ ぞれ0.5と1.0と な るが,売 上 高 と コ ス トは過 大 に予 想 され た と 一112(112)一.
(7) 経営者業績予想 にお けるコス トの過小予想 に関す る実証研究(安 酸) い う以 上 の情 報 は得 られ な い。 しか も,利 益 予 想 の楽 観 性 あ るい は保 守 性 に関 す る情 報 は, これ らの平 均 値 か ら得 る こ とが で き な い。 この 一 方,利 益 予 想 誤 差 率(-Eる 一Eる)/罵,の 平 均 値 に注 目す る従 来 か らの ア プ ロー チを と って も,コ ス トと売 上 高 に関 す る情 報 は得 ら れ な い。 事 実,上 の 数 値 例 で の 利 益 予 想 誤 差 率 の 平 均 値0か. ら,そ の 背 後 にあ る売 上 高 と. コ ス トの 予 想 誤 差 に関 す る情 報 を 得 る こ と はで きな い。 現 実 に 目を 向 け る と,決 算 短 信 にお いて 利 益 予 想 と売 上 高 予 想 が 同 時 に発 表 され る こ と で,間 接 的 に コ ス ト予 想 が 発 表 され る と も いえ る。 上 の 数 値 例 で いえ ば,利 益 予 想 誤 差 率 の 平 均 値 が0で. あ り,売 上 高 予 想 誤 差 率 の それ が1.0で あ る こ と は,コ ス トが 過 大 に 予 想. され た こ とを 示 唆 す る。 事 実,コ. ス ト予 想 誤 差 率 の 平 均 値 は0.5で あ る。. しか し,平 均 値 に基 づ くア プ ロー チで は,コ ス トの 過 大 予 想 が 生 じる次 の 二 つ の 理 由を 区 別 で きな い。 す な わ ち,① 経 営 者 が 売 上 高 と コ ス トの 間 に存 在 す る はず の 関 係 を 正 確 に 把 握 し,売 上 高 の 増 加 に伴 う コ ス トの 増 加 を 正 確 に予 想 して い るが,売 上 高 の 増 加 を 過 大 に予 想 した た め に,コ ス トも過 大 に予 想 した こ と に コ ス トの 過 大 予 想 は起 因 す るの か,あ る い は,② 経 営 者 が 売 上 高 の 過 大 予 想 を 行 った だ けで な く,売 上 高 と コ ス トの 関 係 を 正 確 に予 想 して いな い こ と に も起 因 す るの か につ いて 区 別 す る こ とが で きな い。 した が って, コ ス ト予 想 誤 差 率 の平 均 値 が0.5で あ る こ とは,実 績 値 との 比 較 に お い て コ ス トの過 大 予 想 を 意 味 す るが,売 上 高 の 過 大 予 想 と関 連 付 けて 分 析 す れ ば,コ ス トの 過 大 予 想 を 意 味 し な いか も しれ な い。 しか し,平 均 値 に基 づ くア プ ロー チで は,コ ス トの 増 加 予 想 を 売 上 高 の 増 加 予 想 と関 連 付 けて 分 析 す る こ とが で きな い。 この よ うな 問 題 が 生 じるの は,予 想 誤 差 率 の 平 均 値 を 求 め る過 程 で,売 上 高 と コ ス トと の 間 に存 在 す る はず の 関 係 に関 す る情 報 が 失 わ れ,売 上 高 と コ ス トの 予 想 誤 差 率 が そ れ ぞ れ 独 立 の 情 報 と して 扱 わ れ るた め で あ る。 しか し,経 営 の 原 理 か ら見 て,売 上 高 の 増 大 に 伴 う経 営 資 源 の 消 費 量 の 増 大 は,経 営 資 源 の 消 費 量 の 貨 幣 測 定 額 で あ る コ ス トを 増 大 させ る はず で あ る し,こ の 原 理 を 反 映 す る会 計 の 原 則 か ら見 て も,売 上 高 と コ ス トは個 別 的 あ る い は期 間 的 に対 応 して い る。. 3.3コ. ス トの実 際変 化 率 モ デ ル. 平 均 値 に基 づ くア プ ロー チの 限 界 を 克 服 し,売 上 高 と コ ス トの 間 に存 在 す る関 係 を 分 析 に取 り込 む た めの 一 つ の技 術 は,売 上 高 と コス トの関 係 を 関 数 と して表 現 す る こ とで あ る。 これ に関 連 す る近 年 の 管 理 会 計 領 域 で の コ ス ト変 動 研 究 は,コ ス トの 変 動 を 売 上 高 の 変 動 の 関 数 と捉 え 説 明 しよ う とす る こ とで 発 達 して い る。 そ こで 用 い られ る コ ス ト分 析 の 基 本 一113(113)一.
(8) 第60巻. 第1号. 的 な 回 帰 モ デ ル は,Andersonetal.(2003)に. 伽C雛. 1一 紹+β. た だ し,Cる はS毎. とSlオ は,そ. くS裏,_1の. 鋼. よ る(4)式 で あ る 。. れ ぞ れ 第 ゴ企 業'期. 場 合 に1を. (4). ・ 磯1+嬬. 取 り,そ. の 報 告 さ れ た コ ス ト と 売 上 高 で あ る 。D1ア. の 他 の 場 合 に0を. 取 る ダ ミ ー 変 数 で あ る 。 εエ,は誤. 差 項 で あ る。 (4)式 の コ ス ト変 化 率Zη(C匠 ノCる 一1)と 売 上 高 変 化 率Zη(Sエ ノS芸,-1)が 対 数 と な っ て い る の は,係. 数 が 弾 性 値 と して 解 釈 で き る た め と(6),推 定 に 潜 在 的 に 伴 う不 均 一 分 散 の 問 題 を. 緩 和 で き る た め で あ る(7)。ダ ミ ー 変 数Dが. は,売. 上 高 の 減 少 時 に お け る コ ス ト減 少 率 を. 推 定 す る た め に 用 い ら れ る 。 係 数 が 弾 性 値 と して 解 釈 で き る こ と か ら,DD7=0の β{は 売 上 高1%の. 増 大 に 対 す る コ ス ト増 加 率 で あ る 。 こ れ に 対 し て,DD7=1の. β行 縄 は 売 上 高1%の. 場 合, 場 合,. 減 少 に 対 す る コ ス ト減 少 率 で あ る。. 先 行 研 究 に よ る(4)式 の 推 定 の 結 果,β 畜く0で. あ る こ とが 多 くの 研 究 で報 告 さ れ て い る. (Andersonetal.2003;Balakrishnanetal.2004;Callejaetal.2006;平 2006;安. 酸 ・梶 原2009)。. β{+硝. は,売. こ の 発 見 は,売. 井 ・椎 葉. 上 高 が 減 少 す る 場 合 の コ ス ト減 少 率 の 絶 対 値. 上 高 が 増 大 す る 場 合 の コ ス ト増 加 率 の 絶 対 値. す る(8}。コ ス ト変 動 に 見 ら れ る こ の よ う な 現 象 は,コ. β{よ. り も小 さ い こ とを 意 味. ス トの 下 方 硬 直 性(coststickiness). と 呼 ば れ る(Andersonetal.2003)。. 3.4コ. ス トの 予 想 変 化 率 モ デ ル. (4)式を 基 に,経. 営 者 が 予 想 す る コ ス ト増 減 率 を 表 わ す モ デ ル を(5)式 の よ う に 定 式 化 す る。. ∵∵ ∵勲蹄 婆難 論1隷 謝 を 意 味 して い る。 例 え ば,山 本(1995)を 参 照 され た い 。 (7)回 帰 式 に推 定 に伴 う潜 在 的 な 不 均 一 分 散 の 問 題 を 緩 和 で き るの は,真 数 間 の 大 小 関 係 が 対 数 変 換 に よ って 縮 小 され るた あ で あ る。 つ ま り,相 対 的 に小 さな 値 が 対 数 変 換 に よ って 相 対 的 に大 き な 値 に変 換 され,逆 に,相 対 的 に大 きな 値 は 対 数 変 換 に よ って 相 対 的 に小 さな 値 に変 換 され るた め で あ る。 (8)こ の 理 由 と して,売 上 高 の 減 少 時 に コ ス ト調 整 が 遅 れ る こ とか ら コス トが 下 方 硬 直 的 に な る と い う説 明 と,将 来 の 売 上 高 の 増 大 に備 え た 経 営 資 源 の 保 持 か ら コス トが 下 方 硬 直 的 に な る とい う 二 つ の 説 明 が 存 在 して い る.詳 し くは,安 酸 ・梶 原(2009),安 酸(2012b)を 参 照 さ れ た い。 一114(114)一.
(9) 経 営 者 業 績 予 想 にお け る コス トの 過 小 予 想 に関 す る実 証 研 究(安 酸). 伽C籍 1一 αア+(β{+β鋤. た だ し,砿 オと 緩 彦は,そ. ・♂ ηS摯1+・. (5) る. れ ぞ れ 第 ゼ企 業 オ期 の 予 想 され た コ ス トと売 上 高 で あ る。DD∫. は 寓 オ〈 ㌶ 一1の場 合 に1を 取 り,そ の 他 の 場 合 に0を 取 る ダ ミー 変 数 で あ る。 ε{オ は誤 差 項 で あ る。(4>式 と同 様,β{は 予 想 され る売 上 高1%の コ ス ト増 加 率 で あ る。 ま た,βf+陽. 増 大 に対 して経 営 者 が 予 想 す る. は予 想 され る売 上 高1%の. 減 少 に対 して 経 営 者 が 予. 想 す る コ ス ト減 少 率 で あ る。 以 下 で は,用 語 上 の 混 乱 を避 け る た め に,βfと βでを1%の の 売 上 高 の変 化)に 対 す る 「コ ス ト増 加 率 」 と 呼 び,研+縄 減 少(マ. イ ナ ス1%の. 売 上 高 の 増 加(プ. ラス1%. と β{+β畜を1%の. 売上 高の. 売 上 高 の 変 化)に 対 す る 「コ ス ト減 少 率 」 と呼 ぶ 。 また,こ れ らを. 総 称 して 「コ ス ト増 減 率 」 とす る。. 3.5(4)式. と(5)式. に よ る コ ス ト予 想 誤 差 の 表 現. コ ス ト 予 想 誤 差 を(4)式. と(5)式. か ら 説 明 し よ う 。DD∫. -D1)γ)一(0,0),(1,1),(1,0),(0,1)の4パ (0,0)の. と1)1)γ. の 組 み 合 わ せ は(1)1)∫,. タ ー ン あ る が,ま. 場 合 か ら 検 討 し よ う 。 な お,単. (z)z)ア,z)1)γ)=(0,0)の. ず(1)-D∫,-D1)γ)一. 純 化 の た め αγ一 〇,α ∫-0と. 場 合 に お け る(4)式. を 見 る と,コ ス ト予 想 誤 差 は ♂ η(cる/Cの. す る。. と(5)式 を 図 示 し た の が 図 表1で. で あ り,β弘 蘇. あ る。 こ れ. 緩 ρ 緩 ρS芸,_1か ら説 明 され. る こ とが わか る。 経 営 者 が正 確 に コス ト増 加 率 を 予 想 して い る な らば β{一 繕 で あ る。 こ の 場 合,コ. ス ト予 想 誤 差 伽(Cる/Cの. は,売 上 高 予 想 誤 差 伽(S{ノSの. に よ って説 明 され. る。 しか し,経 営 者 が正 確 に コス ト増 加 率 を 予 想 して いな い な らば βで≠ βfで あ り,コ ス. 図 表1(1)以DD「)=(0,0)の. 場 合 に お け る コ ス トの 予 想 誤 差. ZηCる,伽C要, 」L ,卜. zηcf,' '. β{一βf,//. -zηc∫. 、. ''. '. '. '. '. ''. '. '. /. βf一罵 β1 一 〇の場 合 に観 察 され る コス トの 予想 誤 差. ' '. ' '' ''. '`. '. '. 一1,ZηC痘 曜,-1)一1). '. ' '. 、. @S島. ∫ され る. ㎡ '. zηcる. ら生 じる. '. ''. ''. /. β{一β{≠0か. 驚コス プ1 トの 予想 誤 差. ''. く. (c∫ノcの. ''. 八. ♂ ηs裏鴻. ηS毒一lzηs毎. 一 伽(sニノs裏、-1)一 一115(115)一. ノ. ♂ ηs詳zηs夏,zηsる. 伽(sる/sの. ). 圃, ♂ηS島. (4)式 (5)式.
(10) 第60巻. 第1号. ト予 想 誤 差 は,売 上 高 予 想 誤 差 だ けで な く,βでと 研 の差 に よ って も説 明 され る。 これ は, 売 上 高 予想 が正 確 な場 合 を 考 え れ ば 明 らか で あ る。 寓,一 緩 オで あ って も,β{≠ 研 の場 合, コ ス ト予 想 誤 差 が 生 じる。β{≠ 耕 の場 合,コ. ス ト増 加 率 が 過 大 に予 想 さ れ るな ら図 表1. が 示 す よ う に β{〉 β{で あ り,過 小 に予 想 さ れ る な らβで〈 β{で あ る。 関 数 を用 い て売 上 高 と コス トとの 関係 を分析 に取 り込 む この ア プ ロー チ の主 要 な 利 点 は, この ア プ ロ ー チが 利 益 予 想 誤 差 の 原 因 につ いて の よ り詳 細 な 知 見 を もた らす と期 待 で き る 点 に あ る。 す なわ ち,売 上 高 の 増 減 に対 す る コ ス トの 増 減 を経 営 者 が どの よ う に予 想 して い るの か を分 析 で き るの で あ る。 βでと 研 へ の 注 目か ら,利 益 予 想 誤 差 に つ い て も情 報 が得 られ る。 β{=糾. で あ る な ら,. 利 益 予 想 誤 差 は 売 上 高 予 想 誤 差 に よ って生 じ る。β{〉 βf(βイ〈 βPは コ ス トの過 大 予 想 (過小 予 想)を 意 味 す るた め,保 守 的 な(楽 観 的 な)利 益 予 想 につ な が る。 続 い て,(Z)Z)∫,Z)Z)γ)=(1,1)の な らば β{+陽 一 研+陽. 場 合,経. で あ る。 ま た,コ. 営 者 が 正 確 に コ ス ト減 少 率 を 予想 して い る. ス ト減 少 率 が 過 大 に 予 想 され る な ら βf+房 〉. β1+陽 で あ り,過 小 に予 想 され るな ら βf+砺 く 耕+β1で あ る。 この 関 係 を 図示 し,コ ス ト減 少 率 の 過 小 予 想 を示 した 図 が 図 表2で. 図 表2(D以. あ る。. 刀D「)ニ(1,1)の. 場 合 に お け る コ ス トの 予 想 誤 差. 1ηc義,1畷. z・(s淑)τ,'. zηS島. 伽s. 人. 、. !. ピ. ▲. プ π. LZηs∫ 7z. ''. ,`,. '' '' '' ''. ' '. 伽C∫z. '' ''. ,'. (圃. 、-1,」・Cる一1). '' ''. ' '' '' ''. '. ''. 〉. 凋. z・(cる/cの. ♂ ηcる. 3.6売. (4)式 (5)式. 上 高 の 変 化 の 方 向 予 想 の 正 確 さ と(4)式 と(5)式. コ ス トの 下 方 硬 直 性 の 存 在 を 仮 定 す る と,(1)-D∫,DD7)=(1,0),(0,1)の 仮 に 経 営 者 が コ ス トの 下 方 硬 直 性 の 存 在 を 加 味 して コ ス トを 予 想 した と して も,実 味 す る 必 要 が な か っ た,あ. る い は,売. 慮 せ ず コ ス トを 予 想 した が,実. 場 合, 際 は加. 上 高 が 増 大 す る と 予 想 して コ ス トの 下 方 硬 直 性 を 考. 際 は 売 上 高 が 減 少 し コ ス トの 下 方 硬 直 性 が 生 じた こ と か ら 一116(116)一.
(11) 経 営 者 業 績 予 想 にお け る コス トの 過 小 予 想 に関 す る実 証 研 究(安 酸) コ ス ト予 想 誤 差 が 拡 大 す る 可 能 性 を 排 除 で き な い 。 こ れ は,(Z)が,Z)Z)7)=(1,0), (0,1)の. 場 合,コ. 因 す る の か,あ. ス ト予 想 誤 差 は,売. る い は,コ. 味 す る 。 した が っ て,分 (1,0),(0,1)の. 3.7経. 上 高 の 変 化 の 方 向 性 が 誤 って 予 想 され た こ と に起. ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 に 起 因 す る の か を 識 別 で き な い こ と を 意 析 は,売. 上 高 の 変 化 の 方 向 予 想 が 正 確 で は な い(D-D!,-DD7)=. 場 合 を 除 い て 行 う必 要 が あ る 。. 営者 に よ る コ ス トの変 動 率 の予 想 と係 数 の大 小 関係. これ まで の 考 察 に基 づ いて,コ. ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 と,(4)式 と(5)式の 係 数 の 大 小 関 係. を 絶 対 値 に変 換 して 整 理 した 表 が 図 表3で. 図 表3コ. あ る。. ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 と(4)式と(5)式の 係 数 の 大 小 関 係. 予想 売上高. 実際 売上高. (.0以Dが). 増大. 増大. (0,0). β{一. 減少. 減少. (1,1). βf一 トβ6=βf+β. 増大 減少. 減少 増大. (0,1) (1,0). も っ と も,(4)式. 経 営 者 は コ ス ト増 減 率 を正 確 に予 想. 経 営 者 は コ ス ト増 減 率 を過 大 に予 想. βfβ{〉 ≡. βτ βf一 トβ6>βf一. 経 営 者 は コ ス ト増 減 率 を過 小 に予 想 β{<β. トβ≡. βf+β 畜 く. τ βf一 トβ;. NANANA NANANA. と(5)式 を 回 帰 分 析 に よ っ て 推 定 す る 場 合,そ. の 比 較 は 統 計 上 意 味 を な さ な い 。 そ こ で,こ. れぞれの式の係数の推定値. れ ら の 係 数 を 比 較 可 能 に す る た め に,(5)式. か. ら(4)式 を 引 い て 次 の(6)式 を 導 く。. 磯. 一α+(βイ+β 鋤. た だ し,α=α. ・ 嵯1-(βT+β. ・嵯1煽. (6). アーα乙 επ=ε る 一 ε毎 と す る。. (6)式 は コ ス ト予 想 誤 差 ♂ η(cf/Cの が 集 約 さ れ た 式 で あ る た め,図 は,(6)式. 鋼. 表3に. を 説 明 す る 回 帰 モ デ ル で あ る と 同 時 に,(4)式. と(5)式. 要 約 した コ ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 と 係 数 の 大 小 関 係. の 推 定 値 に も 当 て は ま る 。 た だ し,(6>式 の β{と β菟の 符 号 は(4)式 と は 逆 に 推 定 さ. れ る。 仮 説 の 検 証 は,(一DD∫,D-D7)=(0,0)の (1)1)∫,DDγ)=(1,1)の. 場 合 に 推 定 さ れ る 係 数 の 差 の 絶 対 値 よ り も,. 場 合 に推 定 さ れ る係 数 の 差 の 絶 対 値 の 方 が 大 き い とい う関 係 の. 確 認 を 通 じて 行 う 。 な お,実. 際 の 係 数 の 比 較 は,(6)式. 述 の(9)式 の 推 定 を 通 じて 行 う 。 -117(117)一. に コ ン トロ ー ル 変 数 を 組 み 込 ん だ 後.
(12) 第60巻. 4サ. 4.1サ. 第1号. ンプルと記述統計量. ンプ ル. 分 析 に用 い るデ ー タ は1997年 度 か ら2010年 度 の 東 京 証 券 取 引 所 一 部 ・二 部 上 場 企 業 の 連 結 財務 デ ー タ で あ る。 業 績 予想 デ ー タ に は,決 算 短 信 で 公 表 され る連 結 業 績 予 想 を用 い る。 業 績 予想 で は コス ト情 報 は 公表 さ れ な いが,売 上 高 予 想 と利 益 予想 が公 表 され る こ とか ら, これ らの 差 額 と して コ ス ト予 想 を算 出 した 。 利 益 予 想 と して は経 常 利 益 予 想 を 用 いた 。 売 上 高 と経 常 利 益 の 差 額 を 分 析 対 象 とす る こ と は,経 常 的 な 経 営 活 動 か ら生 じる コ ス トを 分 析 対 象 とす る こ と を意 味 す る。 な お,営 業 利 益 を 用 いな いの は,営 業 利 益 予 想 が2007年 か らの 公 表 で あ るた め,十 分 な サ ンプル 数 が 確 保 で きな いた めで あ る。 純 利 益 予 想 を用 いな いの は,臨 時 的 ・突 発 的 に発 生 す る特 別 損 失 を売 上 高 予 想 と利 益 予 想 の 差 額 と して の コ ス ト予 想 か ら排 除 す るた めで あ る。 デ ー タ は,日 経NEEDSFinancialQUESTを. 通 じて収 集 した。 分 析 は 売 上 高 と コス ト. そ れ ぞ れ の 前 年 度 比 率 を用 い て 行 うた め,そ. れ ら を前 年 度 比 率 に変 換 し,各 変 数 の上 下. 0.25%を 外 れ値 とみ な し分 析 か ら除外 した 。 こ の結 果,予 年 の デ ー タ が,実 績 デ ー タ に つ い て は30,193企 業/年. 想 デ ー タ につ い て30,192企 業/. の デ ー タ が得 られ た。 これ らの 予 想. デ ー タ と実 績 デ ー タか ら構 成 され るサ ン プル を 「初 期 サ ン プル 」 と呼 ぶ 。. 4.2限. 定 サ ンプ ル. (4)式 と(5>式 の 暗 黙 の 仮 定 は,売. 上 高 と コ ス ト と の 間 の 正 の 相 関 関 係 で あ る。 「初 期 サ ン. プ ル 」 に 含 ま れ る 売 上 高 の 増 大(減. 少)時. に コ ス トが 減 少(増. 加)す. る と い う デ ー タ は,. 売 上 高 の 増 大 時 に観 察 され る(4)式と(5)式の 厨 と β{を 小 さ い値 と して 推 定 す る結 果 につ な が る。 同 じ く,売 上 高 の減 少 時 に観 察 され る 画+鳥. と β{+寓 を 小 さな 値 と して 推 定 す る. 結 果 につ なが る。 そ こ で,(4)式 =0(つ. と(5)式 の 仮 定 と サ ン プ ル の 整 合 性 を 保 つ た あ に,実. ま り ,S三,>S芸,_1)の. 場 合 に はCる>Cる_1,ま. S毎 一1)の 場 合 に は 砿,〈C芸`-1予 に はC{'>Cる. 想 値 に つ い てD1)∫=0(つ. 一1ま た は1)1)∫-1(つ. ま り,S{'〈Sエ,-1)場. 条 件 を デ ー タが 満 た す 必 要 が あ る。 -118(118)一. 績 値 に つ い てD1ア. た は1)1ア=1(つ. ま り,S舞. く. ま り,S{、>S乙`-1)の. 場合. 合 に はC{'〈C匠,-1と. い う.
(13) 経 営 者 業 績 予 想 にお け る コス トの 過 小 予 想 に関 す る実 証 研 究(安 酸) さ ら に,図. 表3に. 要 約 した よ う に,売. D1ア)=(0,0)と,売 に の み,(4)式. 上 高 の 増 大 が 予 想 さ れ 実 際 に増 大 し た 場 合(Dが,. 上 高 の 減 少 が 予 想 さ れ 実 際 に 減 少 し た 場 合(DD41)D7)=(1,1) と(5)式 の 係 数 を 解 釈 で き る 。 そ の た め,さ. た は(1,1)と. い う条 件 を デ ー タ が 満 た す 必 要 が あ る 。. 初 期 サ ン プ ル を 構 成 す る デ ー タ の 中 で,こ. れ らの 条 件 を 満 た す デ ー タの み か ら構 成 され. る サ ン プ ル を 「限 定 サ ン プ ル 」(restrictedsample)と は,予 想 デ ー タ に つ い て20,177企 企 業/年(初. 4.3記. ら に(DD∫,DD7)=(0,0)ま. 業/年(初. 期 サ ン プ ル の66.9%),の. 呼 ぶ こ と に し よ う。 限 定 サ ン プ ル. 期 サ ンプ ル の66.8%),実. 際 デ ー タ に つ い て20,149. デ ー タ か ら構 成 さ れ る 。. 述統計量. コ ス ト予 想 誤 差 に関 す る分 析 は限 定 サ ン プル を 用 いて 行 う こ とか ら,限 定 サ ン プル を 基 に して,ま ず,(6)式 を 導 出す る元 とな った(4)式と(5)式の 変 数 に関 す る記 述 統 計 量 を 図 表4 パ ネ ルAか. らパ ネ ルCに. 示 す 。 コ ス トの 予 想 変 化 率 と 実 際 変 化 率 は,そ. れ ぞ れ[(C{ノ. C芸オ ー1)-1]と[(Cる/C芸,-1)-1]と. して 計 算 さ れ る。 売 上 高 に つ い て も 同様 で あ る。 経. 常 利 益 の 予 想(実 際)変. ∫企 業'期. 化 率 は,第. の予 想 額(実. 際額)か. ら'-1期. の実 際 額. を 引 い た値 を,オ 期 末 の総 資産 額 で 除 して 求 め た。 続 い て,パ ネ ルDに 示 す の は,(6)式 の 被 説 明 変 数 で あ るZη(Cる/Cる)に つ い て の 記述 統 計量 で あ る。 た だ し,対 数 に変 換 され る 前 の(Cる/Cの. か ら1を 減 じた[(Cる/Cの. 一1]に よ って 示 す。. まず,限 定 サ ン プル 全 体 を 要 約 した パ ネ ルAか. ら は,コ ス トの 予 想 変 化 率 と実 際 変 化 率. の 平 均 値 の差 は 一〇.05%で あ る が,統 計 上 は 有 意 で はな い こ とが 読 み取 れ る。 これ は,コ ス トが 正 確 に予 想 され て い る こ とを 意 味 す る。 この 一 方,売 上 高 を 見 る と,予 想 変 化 率 と 実 際 変 化 率 の平 均 値 の差 は0.34%で あ り,統 計 上 も有 意 で あ る。 これ は売 上 高 が過 大 に予 想 され て い る こ とを 示 唆 す る。 また,経 常 利 益 を 見 る と,予 想 変 化 率 と実 際 変 化 率 の 平 均 値 の 差 が α40%で あ り統 計 上 も有意 で あ る。 これ は経 常 利 益 が 楽 観 的 に予 想 され て い る こ とを 意 味 す る。 した が って,経 常 利 益 の 楽 観 的 予 想 は,売 上 高 の 過 大 予 想 が 原 因 で あ る と 推 測 で き る。 売 上 高 の 増 加 と減 少 に関 す る情 報 を 取 り入 れ て パ ネ ルAを 分 割 した パ ネ ルBと パ ネ ルC か らは,よ. り詳 細 な情 報 が 得 られ る。(D1)!,D1ア)=(0,0)の. 場 合(売 上 高 の増 大 が 予. 想 され 実 際 に売 上 高 が増 大 した 場 合)を 要 約 したパ ネ ルBか ら,コ ス トの予 想 変 化 率 の 平 均 値 が9.75%で (9)仮. あ る の に対 して,コ ス トの 実 際 変 化 率 の平 均 値 は11.28%で. に,Cる=100の. 場 合,. コ ス ト予 想 変 化 率 が9.75%で -119(119)一. あ る(9)。ま た,. あ る こ と はcf`+1=109.75を. 意 味 す る/.
(14) 第60巻 図 表4限 パ ネ ルA限. 第1号. 定 サ ンプ ル に 関 す る 記 述 統 計 量. 定 サ ン プル 全 体 コ ス. ト(a). 売 上 高(b). 平均値 4,64(14.16) 4.69(16.83). 予想変化率 実際変化率. 平均値 5.34(15.12) 4.99(17.61). N 20,911 20,911. 経 常 利 益(c). 平均値 0.90(2.94) 0.49(3.63). N 20,904 20,904. ,1)1ア)=(0,0)の. 場 合. コ ス. ト(a). 売 上 高(b). 平均値 9.75(12.72) 11.28(14.58). 予想変化率 実際変化率. 平均値 10,64(13.95) 11.96(15.03). 旦 14,903 14,903. 経 常 利 益(c). 平均値 1.18(2.55) 1.04(3.18). 旦 14,908 14,908. ,1)1ア)=(1,1)の コ ス. ト(a). 売 上 高(b) 旦. 予想変化率. 一8.04(8,40). 6,008. 実際変化率. 一11.66(9.16). 6,008. 一7 -12. 平 均 値 の 差(d)3.62***t=41.23. 経 常 利 益(c). 平均値. 旦. ,86(8,32). 5,996. .33(9.95). 5,996. 平均値 0.19(3.65) -0 .88(4.27). 4.47***t=43.46. 平均値ω. (D∠)∫,Z)が)=(0,0)の. 旦. 5,941. 1.07***t=23.02. 一1. (8.06). 場合. 21,023. .00***. 14,984. (7.08). t=10.89. のZ)∫,D∠ ノ)=(1,1)の. 旦. 平 均 値 〔f). 0.61***. t=-17.26. 平 均 値 の 単 位 は%で あ る。()内. は標 準 偏 差 で あ る.Nの. 旦. 4.58*** (8.92) t=39.95. 6,039. 単 位 は 企 業/年 で あ る。. して,実 際 変 化 率 は[(C財Cる. (b)予 想 変 化 率 は[(sf/Sl`-1)-1]と. して,実 際変 化 率 は[(S翻Sl,-1)-1]と. (C)予 想 変 化 率 は(Ef、E島 た だ し,.4s毎. 一1)/.4欽彦と し て,実 際 変 化 率 は(場. は 第 乞企 業'期. 均 値 の 差 に つ い て はt検. (e)[(cf/Cの. 一1]と. 均 値=0を. 場合. 平 均 値 〔f). (a)予 想 変 化 率 は[(C∫ ノCる一1)-1]と. (f)平. 旦 5,941. ス ト予 想 誤 差 率e〕. 限 定 サ ンプ ル 全体. (d)平. 14,929. 場 合. 平均値. パ ネ ルD:コ. 旦 14,929. 0.14***t=5.32. 平 均 値 の 差(d)-1.52***t=-19.57-1.32***t=-14.98 パ ネ ルC:(1)D∫. 20,870. 0.40***t=17.60. 平 均 値 の 差(d)-0.05t=-0.740.34***t=4.79 パ ネ ルB:(1)D∫. N 20,870. 一1)-1]と. して 計 算 した 。 して 計 算 した。. 一罵,-1)/.4銃 、と して 計 算 した。. の 期 末 総 資 産 額 で あ る。. 定 を 適 用 し た 。***0.1%水. 準で有意。. して計 算 した。. 帰 無 仮 説 と す る 一 標 本 のt検. 定(one-samplet-test)を. 適 用 し た 。***0.1%水. 準で. 有意。. 売 上 高 の 予 想 変 化 率 の平 均 値 が10.64%で は11.96%で. あ る 。 こ の 結 果 か ら,コ. あ る の に対 して,売 上 高 の実 際 変 化 率 の平 均 値. ス ト も 売 上 高 も実 績 値 と の 対 比 に お い て 過 小 に 予 想. され て い る と い え る。 しか し,経 常 利 益 は過 大 予 想(平 均 値 で1.18%の 予想 変 化 率 に対 し て1.04%の \ 一・方,コ. 実 際 変 化 率)と. な っ て い る 。 売 上 高 が 過 小 に 予 想 さ れ て い る こ と を 考 慮 す れ ば,. ス ト実 際 変 化 率 が11.28%で. あ る こ と はC∫`+1=111.28で 一120(120)一. あ る こ と を意 味 す る。.
(15) 経 営 者 業 績 予 想 にお け る コス トの 過 小 予 想 に関 す る実 証 研 究(安 酸) こ れ は,売. 上 高 の 増 加 に 伴 う コ ス トの 増 加 率 が 過 小 に 予 想 さ れ て い る こ と を 示 唆 す る 。. (DD∫,DDつ=(1,1)の. 場 合(売. を 要 約 し た パ ネ ルCか べ て(プ. ら は,コ. ラ ス 方 向 に)過. が 一8.04%で. 上 高 の 減 少 が 予 想 さ れ 実 際 に 売 上 高 が 減 少 し た 場 合). ス ト,売 上 高,経. 績 値 と の 対 比 に お い て,す. 大 に 予 想 さ れ て い る こ と が わ か る 。 コ ス トの 予 想 変 化 率 の 平 均 値. あ る の に 対 し て,コ. ス トの 実 際 変 化 率 の 平 均 値 は 一11.66%で. 売 上 高 の 予 想 変 化 率 の 平 均 値 が 一7.86%で は 一12.33%で. 常 利 益 が,実. あ る の に 対 して,売. 上 高 の実 際変 化 率 の平 均 値. あ る 。 経 常 利 益 は 楽 観 的 に 予 想 さ れ て お り(平. 率 に 対 し て0.88%の. 実 際 変 化 率),こ. れ は,売. あ る 。 ま た,. 均値 で一 ト0.19%の. 予想変 化. 上 高 の 減 少 に 伴 う コ ス トの 減 少 率 が 過 大. に 予 想 さ れ て い る こ と を 示 唆 して い る 。 売 上 高 の 増 加 と 減 少 に 関 す る 情 報 を 取 り入 れ た パ ネ ルBとCか す る 情 報 が,コ. ス ト予 想 誤 差 に 対 して パ ネ ルAと. しか し,こ. 場 合)経. 常 利 益 が楽 観 的 に予 想. ス トの 増 大 は 過 小 に 予 想 さ れ て い る こ と が 示 唆 さ れ る と 同 時 に,. 売 上 高 の 減 少 予 想 の 下((1)が,1)Z)γ)=(1,1)の れ る こ と か ら,コ. 上 高 の 増 減 に関. は異 な る追 加 的 な 情 報 を 持 つ こ とが わ か. る 。 売 上 高 の 増 大 予 想 の 下 で((1)1)∫,1)1)γ)=(0,0)の さ れ て い る こ と か ら,コ. ら は,売. 場 合)で. も経 常 利 益 が 楽 観 的 に 予 想 さ. ス トの 減 少 が 過 大 に 予 想 さ れ て い る こ と が 示 唆 さ れ る 。. れ ら を 集 約 す る と パ ネ ルAが. う に 見 え る 。 さ ら に,売. 示 す よ う に,コ. ス トは 正 確 に 予 想 さ れ て い る よ. 上 高 予 想 誤 差 と 経 常 利 益 予 想 誤 差 の 関 係 を 説 明 す る 上 で,売. 上高. の 増 減 に 伴 う コ ス ト増 減 率 が 重 要 な 役 割 を 担 っ て い る こ と も 示 唆 さ れ る 。 こ れ は(4)式 と(5) 式,し. た が っ て(6)式 に お い て,売. 上 高 の 増 減 に 関 す る 情 報 を ダ ミー 変 数 で 取 り込 み,係. 数. で コ ス ト増 減 率 を 表 す こ と の 有 効 性 を 示 して い る 。. バ ネ ルDは,[(C訂. ノCの 一1]と して 計 算 した コ ス ト予 想 誤 差 率 を示 して い る。 これ は,. (6)式左 辺 の 伽(C{ノCる)に 0.61%で. あ る が,売. 4.58%で. あ る。. 図 表5は,初. 対 応 す る。 限定 サ ンプ ル 全 体 の コス ト予 想 誤 差 率 の 平 均 値 は. 上 高 の 増 大 予 想 の 下 で の そ れ は1.00%,売. 期 サ ン プ ル を 用 い て,予. て 階 級 の 幅 を0.5%と. 想 デ ー タ,実. して 度 数 表 を 作 成 し,各. た も の で あ る 。 こ れ を 見 る と,売. 上 高 の 減 少 予 想 の下 で は. 績 デ ー タ 共 に,売. 上 高 変 化 率 に関 し. 階 級 の コ ス ト変 化 率 の 平 均 値 を プ ロ ッ ト し. 上 高 の 減 少 予 想 時 の コ ス ト変 化 率 の 予 想 を 表 す グ ラ フ が,. 売 上 高 が 実 際 に 減 少 す る 場 合 に 報 告 さ れ た コ ス トの 変 化 率 を 表 す グ ラ フ よ り も 下 に あ る こ と が 傾 向 と し て 読 み 取 れ る。 こ れ は,コ. ス トの 減 少 予 想 の 下 で,コ. コ ス ト減 少 率 の 予 想 誤 差 が 拡 大 す る こ と 示 唆 して い る 。 ま た,こ も整 合 的 で あ る。 -121(121)一. ス トが 過 小 に 予 想 さ れ, の 傾 向 は,本. 稿の仮説 と.
(16) ※ 予 想 デ ー タ 数 は30,192で (90.6%)の. あ る 。 こ の う ち 売 上 高 予 想 変 化 率(横. ※ 実 績 デ ー タ 数 は30,193で (86.8%)の. あ る 。 こ の う ち 売 上 高 実 際 変 化 率(横. 本 研 究 の 関 心 は,(4)式 係 数 の 推 定 に お い て,(4)式. 範 囲 に27,369. 軸)-20%か. ら+20%の. 範 囲 に26,216. 備 的 考 察. の(研+β1・D-Dり. の 純 利 益 が 赤 字 で あ る 場 合 に1を. と る ダ ミー 変 数Nθ ρ_易 一1と,事. 1999,2000…2010)で. と(5)式 の(βf+β6・D-D∫)に. あ る が,こ. れ らの. と(5)式 に コ ン トロ ー ル 変 数 を 加 え た 回 帰 モ デ ル を 推 定 す る 。 追. 加 す る コ ン トロ ー ル 変 数 は,'-1期. あ る 。N2g _-EHの. 追 加 は,前. の 過 小 な 予 想 か ら生 じ る か も し れ な い 。F耳. の場 合 に だ し,オ ー. 年 度 利 益 が 赤 字 の 場 合 に利 益 予 想 が. 結 果 に 基 づ く。 楽 観 的 な 利 益 予 想 は コ ス ト の 追 加 は,利. 守 的 な 事 業 年 度 も あ る と い う 先 行 研 究(乙. る い は 保 守 的 な 利 益 予 想 は,事. と り,他. 業 年 度 を 識 別 す る ダ ミ ー 変 数F耳(た. 楽 観 的 に な る と い う 先 行 研 究(Ota2006)の. れ ば,保. ら+20%の. デ ー タ が含 まれ て い る。. 5予. 0を. 軸)-20%か. デ ー タ が含 まれ て い る。. 益 予 想 が楽 観 的 な事 業 年 度 も あ. 政 ・榎 本2007)に. 基 づ く。 楽 観 的 あ. 業 年 度 に よ っ て コ ス ト予 想 が 悲 観 的 で あ っ た り保 守 的 で あ っ. た りす る た め か も しれ な い 。. 一122(122)一.
(17) 経 営 者 業 績 予 想 にお け る コス トの 過 小 予 想 に関 す る実 証 研 究(安 酸) (4)式 と(5)式 にNθg _E,-1と.F}7を. 加 え た 式 を,そ. 舜1-〆+(β1+馴)・ 伽C艶. 畷1+β. 1一 凶(β{+β鋤. れ ぞ れ(7)式 と(8)式 と す る。. 拳瓢1+、. ・ 伽譜1+融. (7). 鑑 β籍隅. 姐1+、. (8). 端 β春咄. 初 期 サ ン プ ル と 限 定 サ ン プ ル は パ ネ ル ・デ ー タ と して 扱 う こ と が 可 能 で あ る こ と か ら,初 期 サ ン プ ル と 限 定 サ ン プ ル を 用 い て(7)式 と(8)式 を 固 定 効 果 モ デ ル に よ っ て 推 定 した 結 果 を 図 表6に. 要 約 す る(lo)。 な お,Nθg. _E彦一1とF}7に. つ い て推 定 され た係 数 は省 略 した。. 4.2節 で の 予 想 通 り,限 定 サ ン プル に基 づ く跳 と β{の 推 定 値 は,初 期 サ ンプ ル に基 づ く訊 とβ{の 推 定 値 よ りも大 き い。 また,限 定 サ ンプル に基 づ く禽+尾 値 は,初 期 サ ンプル に基 づ く画+鳥 ル が,売. 準 で 有 意)は,コ. 図 表6予. 勿C艶. とβ{+寓 の推 定 値 よ り も大 き い。 これ は限 定 サ ン プ. 上 高 と コ ス トの 変 化 の 方 向 が 一 致 す る デ ー タ か ら の み 構 成 さ れ る た め で あ る 。. (7)式の β菟く0(0.1%水. 伽C艶. と β畜+β畜の 推 定. 1一弗+β. 刎. ス トの 下 方 硬 直 性 の 存 在 を 示 す 証 拠 で あ る。. 備 的 分 析(7)式. と(8)式の 推 定 結 果. 吻 譜1+β ひ鵬1+,期. 1一許(βで+β 卿)・ 嵯1+β. 拳瓢1+、. (8). 端 βを幅. (7)式の 推 定 結 果 初 期 サ ン プル. (7). 叫. (8)式の 推 定 結 果 限 定 サ ンプル. 初 期 サ ン プル. 限 定 サ ン プル. 箆・. 0.007***. 0.007***. 箆∫. 0.002*. 0.001. β{. [5.90] 0.902***. [5.40] 0.914***. β{. [2.03] 0.925***. [0.81] 0.947***. [235.39] -0 .140***. [247.97] -0 .082***. [296.77] -0 .029***. [315.02] -0 .044***. [-21.76] 0.843 30,192. [-12.92] 0.904 20,149. [-5.06] 0.863 30,193. [-7.86] 0.922 20,177. 寓 αのR2 N *5%水. 準で有意. []内. はt値. ,***O.1%水. 寓 αのR2 N. 準で有意。. ㈲(7)式 と(8)式 の 推 定 方 法 に は,デ ー タ を パ ネ ル ・デ ー タ と し て 扱 う 固 定 効 果 モ デ ル 推 定,ラ ンダ ム 効 果 モ デ ル 推 定,デ ー タ を プ ー ル ・ デ ー タ と し て 扱 うOLS推 定 の3つ が あ る。 これ らの 推 定 方 法 に つ い て,F検. 定,Hausman検. 方 法 の 選 択 を 行 っ た 。F検. 定,BreuschandPagan検. 定 とHausman検. 定 か ら,固. -123(123)一. 定 を 通 じ て,事. 後的に推定. 定 効 果 モ デ ル が支 持 さ れ た。.
(18) 第60巻 ま た,(8)式. の β看〈0(0.1%水. 準 で 有 意)は,経. る こ と を 意 味 す る 。 こ れ は,コ も っ と も,(7)式. 第1号 営 者 が コ ス トの 下 方 硬 直 性 を 予 見 し て い. ス トの 下 方 硬 直 性 に 関 す る 研 究 に と っ て 新 た な 発 見 で あ る。. と(8)式 の 係 数 の 推 定 値 の 比 較 は 統 計 上 意 味 を な さ な い 。 そ こ で,こ. れ ら. の 係 数 を 比 較 可 能 に す る た め に 次 の(9>式 を 導 入 す る し よ う 。. 6コ. 6.1(7)式. と(8)式 か ら(9)式 の 導 出 と そ の 推 定 値. (9)式 は,(7)式. 磯. ス ト予 想 誤 差 の 分 析. と(8>式 と 同 様 の コ ン トロ ー ル 変 数 を(6>式 に 追 加 した 式 で あ る 。. 一α+(β{+β 鋤)・ 磯. 一(β{+鯛 ・. 儲+融 6.2(9)式. の 推 定 方 法 と 多 重共 線 性 の 影響 の確 認. 収 集 し た デ ー タ は パ ネ ル ・デ ー タ で あ る こ と か ら,(9>式 ル 推 定,ラ. (9). 卿,斯F版. ン ダ ム 効 果 モ デ ル 推 定,デ. の 推 定 方 法 に は,固. 定 効 果 モデ. ー タ を プ ー ル ・デ ー タ と し て 扱 うOLS推. 定 の3. つ が あ る。 しか し,推. 定 方 法 の 選 択 に 関 して 事 前 に 十 分 な 知 識 を 我 々 は 持 た な い 。 そ こ で,. F検 定,Hausman検. 定,BreuschandPagan検. を 行 っ た 。F検. 定 とHausman検. 図 表7は,固. 定 か ら,固. 定 を 通 じ て,事. 定 効 果 モデ ル が 支 持 され た 。. 定 効 果 モ デ ル に よ る(9)式 の 推 定 結 果 を 要 約 した 表 で あ る 。(9)式 の 推 定 に お. け る 問 題 は,♂ η(Sる/S芸,_1)と い 相 関 関 係 が あ り,推. ♂ η(S毎/S芸,_1)の. 間 にPearsonの. 最 大 値 は,♂ η(Sl/Sl、-1)に. の 目 安 は,10程. 相 関 係 数 で0.84と. い う強. 定 結 果 が 多 重 共 線 性 の 影 響 を 受 け る 可 能 性 で あ る 。 そ こ で,多. 線 性 の 診 断 に し ば しば 適 用 さ れ るvarianceinflationfactor(以 VIFの. 後 的 に推 定 方 法 の 選 択. 下,VIF)を. 重共. 算 出 した。. 対 す る6.27で あ っ た 。 多 重 共 線 性 の 診 断 に お け るVIF. 度 で あ る と し ば し ば 言 わ れ る(ll>。こ れ を 基 準 と す れ ば,(9)式. の推 定 結 果 は. 深 刻 な多 重 共 線 性 の 影 響 を 受 けて いな い と いえ よ う。 ま た,(7)式. と(8)式 を 初 期 サ ン プ ル と 限 定 サ ン プ ル を 用 い て 推 定 した 結 果(図. 式 の 推 定 結 果(図. q1)多. 表7)を. 表6)と(9). 比 較 し て も,係 数 の 符 号 お よ び 統 計 的 有 意 性 に 変 化 は な か っ た 。. 重 共 線 性 の 診 断 をVIFを. 用 い て 行 う場 合 の 基 準 を100と. p.144)。 -124(124)一. す る 見 解 も あ る(Afifietal.2011,.
(19) 経 営 者 業 績 予 想 にお け る コス トの 過 小 予 想 に関 す る実 証 研 究(安 酸). この 結 果 か ら も,(9)式 の 推 定 結 果 が 深 刻 な 多 重 共 線 性 の 影 響 を 受 けて いな い と いえ る。. 6.3(D1×1)D「)ニ(0,0)の. 場合. 売 上 高 の 増 大 が 予 想 さ れ(D1)!_0)実 こ う 。 図 表7を. 際 に 増 大 した 場 合(Dが. 見 る と,β{-0.823,画. 一 一 〇.841で. あ り,共. (6)式 は(5)式 か ら(4)式 を 引 い て 導 出 さ れ た た め,(6)式. 一 〇)か ら検 討 し て い. に0.1%水. 準 で 有意 で あ る。. に コ ン ト ロ ー ル 変 数 を 加 え た(9)式 の. 研 の 符 号 は(7)式 を 独 立 に 推 定 し た 結 果 と は 逆 に 推 定 さ れ る 。 そ こ で,混 に β{扇. の 絶 対 値 に 注 目 す る と,β{〈. 制 約Ho:β{=一 -29. βD∫.Hl:βf≠. .05で あ り,H。. は0.1%水. β{1で あ る。 こ れ を 儲. 一β1に 対 す るF検 準 で 棄 却 さ れ る.し. る と主 張 で き る。 これ は図 表3よ. 乱 を 避 け るた め. す る た め に,次. の線形. 定 を 行 っ た 。 こ の 結 果,F(1,17789). た が っ て,β{1<1β. τ(β イ<一. βり で あ. り,売 上 高 の 増 大 予 想 の 下 で,経 営 者 が コ ス ト増 加 率 を. 過 小 に予 想 して い る こ とを 意 味 す る。. 図 表7固. 磯. 一・+(β 細. 定 効 果 モ デ ル に よ る(9)式の 推 定 結 果. 蜘s艶1-(β1+β. 推 定 値. t値. 一 〇 .002. 箆. 一1. 0.823***. β{ -0. 寓. -0. β1. -5. .038***. .84 13.45. 0.001. β、. .71. .16. -209. .841***. ・ ♂ ・s艶1+脚&1+Σ1㌦ 推. 183.67. 0.083***. β1. 刎. 定. t値. 値. 一 〇. .001. β2002. β2003. 0.000. β2004. 0.002. β2005. 0.002 0.000. β2006. 0.79. -0. β2007. -0. .002*. β1999. 0.000. 0.00. β2000. 0.007***. 5.29. β2009. 0.001. β2001. 0.002. 1.96. β2010. 0.015***. αのR2. 圃+%. β2008. .005***. 一 〇. .85. -0. .72. 1.51. 1.35 -0. -2. -4. .00. .10. .24. 0.85. 11.45. 0.799. N. 20,902. *5%水. 準 で 有 意 ,***0.1%水. OLS推. 定 と ラ ンダ ム効 果 モ デル 推 定 の結 果 は省 略 した。. 準で有意。. 6.4(0以DO「)=(1,1)の 続 い て,売. 場合. 上 高 の 減 少 が 予 想 さ れ(1)1ソ=1)実. し よ う。 β畜一 一 〇.038,β1-0.083で 式 と は 逆 に 推 定 さ れ る た め,こ. あ り,共. 際 に 減 少 し た 場 合(1)1)γ=1)を に0.1%水. れ ら の 推 定 結 果 は,コ 一125(125)一. 検 討. 準 で 有 意 で あ る 。 β1の 符 号 は(7). ス トの 下 方 硬 直 性 が 確 か に 存 在 し,.
(20) 第60巻. 第1号. 経 営 者 が それ を予 見 して い る こ とを 意 味 す る。 β{+寓 め,混. 一 〇.785,β{+魂. 一 一 〇.758で あ る 。 厨+鳥. 乱 を 避 け る 目 的 で β{+寓. と 跳+魂. あ る 。 こ れ を 確 認 す る た め に,次 陽 ≠ 一(β1+β1)に は0.1%水. 対 す るF検. の 符 号 は(7)式 と は 逆 に 推 定 さ れ る た. の 絶 対 値 に 注 目 す る と,1β{+寓>1厨+鳥. の 線 形 制 約Ho:β{+房. で. 一 一(β{+β5)θs.H1:β{+. 定 を 行 っ た 。 こ の 結 果,F(1,17789)=40.05で. 準 で 棄 却 さ れ る 。 し た が っ て,研+房. る と主 張 で き る。 これ は図 表3よ. 〉 βf+陽(βf+β. あ り,Ho. 畜〉 一β{一 βの で あ. り,売 上 高 の 減 少 予 想 の 下 で,経 営 者 が コ ス ト減 少 率 を. 過 大 に予 想 して い る こ と を意 味 す る。. 6.5仮. 説 の検 証. す で に 述 べ た よ う に,仮. 説 の 検 証 は,(DD∫,-D1ア)=(0,0)の. の 差 の 絶 対 値 よ り も,(1)が,DD7)=(1,1)の. 場 合 に推 定 され る係 数 の差 の 絶 対 値 の 方. が 大 き い と い う 関 係 の 確 認 を 通 じて 行 う 。 こ の た め に は,コ 符 号 で は な く,絶. 場 合 に推 定 され る係 数. ス ト増 加 率 と コ ス ト減 少 率 の. 対 値 と して の 予 想 誤 差 の 大 き さ に 注 目 して,推. 定 され た 係 数 の 大 き い方. か ら小 さ い 方 を 引 い た 値 に 統 計 的 な 差 が あ る か ど う か を 検 定 す れ ば よ い 。 具 体 的 に は 、(1)1)∫,D1ノ)=(0,0)の. 場 合,β{-0.823,βll-0.841で. ト増 加 率 に 関 す る 予 想 誤 差 の 絶 対 値 は β{1と 寓. 一 β{=0.Ol8で. 厨. あ る。 コ ス. の 大 き い 方 か ら小 さ い 方 を 引 い て. あ る 。 こ の 一 方,(一D1)∫,D1ア)=(1,1)の. 場 合,β{+β. β1+β 三 一 〇.758で あ る。 コ ス ト減 少 率 に 関 す る 予 想 誤 差 の 絶 対 値 は,同 ら小 さ い 方 を 引 い て β{+寓. 一1寓+β. 菟1=0.027で. 引=0.785,. じ く大 き い 方 か. あ る 。 こ れ ら の 結 果 は,売. 上高 の増大. 予 想 の 下 で の コ ス ト増 加 率 の 予 想 誤 差 よ りも,売 上 高 の 減 少 予 想 の 下 で の コ ス ト減 少 率 の 予 想 誤 差 の 方 が 大 き い と い う仮 説 と整 合 的 で あ る。 も っ と も,仮. 説 検 証 に は,β. 卜1β{-0の18と1β{嘱. 一 β{璃. 的 な 差 が あ る か ど う か を 確 認 す る 必 要 が あ る 。 そ こ で,次 研+β. 畜+β1+β 畜"s.Hl:一. F(1,17789)=3.96で. の 線 形 制 約Ho:一. β1一β{≠ β{+β 畜+β1+β 畜に 対 す るF検. あ り,Hoは5%水. の 方 が 大 き い と い う 仮 説 が,統. β{一β{一. 定 を 行 っ た(12)。 こ の 結 果,. 準 で 棄 却 さ れ る 。 こ れ は,売. で の コ ス ト増 加 率 の 予 想 誤 差 よ り も,売. 一 〇の27の 間 に 統 計. 上 高 の増 大 予想 の 下. 上 高 の 減 少 予 想 の 下 で の コ ス ト減 少 率 の 予 想 誤 差. 計 的 に も支 持 され る こ と を示 す 証 拠 で あ る。. q2)コ ス ト増 加 率 と減 少 率 に 関 す る予 想 誤 差 を 比 較 す るた め,増 加 率 の 誤 差 が0.018,減 差 が0.027に な る よ う次 の仮 説 を設 定 す る。 Ho:一. βτ一βf-(βf+β. 畜)一(一 βf一 β葺)器.Hl:一 一126(126)一. βf一βf≠(βf+β. 畜)一(一 βf一β葺). 少率 の誤.
(21) 経 営 者 業 績 予 想 にお け る コス トの 過 小 予 想 に関 す る実 証 研 究(安 酸). 7考. 7.1主. 察 と 結 論. 要 発 見事 項 と そ れ に対 す る考 察. これ ま で の 分 析 か ら,売 上 高 の 増 大 予 想 の 下 で は1β{〈. 画. で あ り,売 上 高 の増 大 に. 伴 う コ ス ト増 加 率 は 過 小 に 予 想 さ れ て い る こ と が 発 見 さ れ た 。 ま た,研 1βll=一 α018で あ る こ と は,売 上 高 の増 大 予 想 が た とえ 正 確(S{,=Sの て も,前 年 度 比 で1%の. 売 上 高 の増 加(プ ラス1%の. で 算 出 さ れ る コ ス ト予 想 誤 差 が 一 〇.018%生 こ の 一 方,売. じ る こ と を 意 味 す る(13)。. に 予 想 さ れ て い る こ と が 発 見 さ れ た 。 ま た,β{+β. (マ イ ナ ス1%の. 、-Sの. で あ った と し. 売 上 高 の変 化)に 対 して,(C{ノC芸,). 上 高 の 減 少 予 想 の 下 で は β{+β6>β{+β1で. 売 上 高 の 減 少 予 想 が 正 確(緩. 一. あ り,コ. ス ト減 少 率 は 過 大. 引 一 禽+鳥=0.027で. で あ っ た と し て も,前. あ る こ と は,. 年 度 比 で1%の. 売上 高の減少. 売 上 高 の 変 化)に 対 して,コ ス ト予想 誤 差 が 一〇.027%生 じ る こ とを意 味. す る。 図 表8は,前. 年 度 の 純 利 益 が 赤 字 の 場 合 の 影 響 と事 業 年 度 の 影 響 を ダ ミー 変 数 を 通 じて. 取 り除 いた 後 の(コ. ン トロー ル した 後 の)(9)式 の 推 定 結 果 を 図 示 した もの で あ る。 図 表 が. 示 す よ う に,売 上 高 の 増 大 予 想 時 にお け る コ ス ト増 加 率 の 過 小 予 想,売 上 高 の 減 少 予 想 時 にお け る コス ト減 少 率 の 過大 予想 と い う発 見 は,売 上 高 の 増 大 予想,減 少 予 想 に関 わ らず, 常 に コス トが過 小 に予 想 され る こと を意 味 す る。 これ は,利 益 予想 の楽 観 性 の 原 因 とな る。 また,こ の 発 見 は,図 表4パ ネ ルAが 示 す よ う に,コ ス ト予 想 誤 差 が ゼ ロで あ って も経 常 利 益 予 想 が 楽 観 的 で あ る こ と と整 合 的 で あ る と 同時 に,経 営 者 利 益 予 想 が 楽 観 的 な 傾 向 に あ る と い う先 行 研 究 と も整 合 的 で あ る。 さ らに,前 年 度 利 益 が 赤 字 の場 合 に利 益 予 想 が 楽 観 的 に な る と い うOta(2006)の. 研. 究 結 果 や,利 益 予 想 が 楽 観 的 な 事 業 年 度 も あれ ば,保 守 的 な 事 業 年 度 もあ る と い う乙 政 ・ 榎 本(2007)の. 研 究 結 果 に基 づ いて,前 年 度 利 益 が 赤 字 の 場 合 と年 度 を コ ン トロー ル した. 後 に本 研 究 の 発 見 が な され た こ と も見 逃 して はな らな い。 これ らの 要 因 を コ ン トロー ル し て も,コ ス トの 過 小 予 想 を もた らす コ ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 が 存 在 して い る。 仮 説 の 通 り,売 上 高 の 減 少 予 想 の 下 で の コ ス ト減 少 率 の 予 想 誤 差 の 方 が,売 上 高 の 増 大. 叫. 一S隅. 合S編. 叫(β{+β;*・DD「)]・ 崎. 説/S鮎 卸. で ある・ したが ・て・(9)式は吻. 酔 惚 卿1+Σ1㌦ 一127(127)一. 鱗+%と. εll-・+[(β 隅 な る・.
(22) 第60巻 図 表8(9)式. 第1号. の推定結果の図示 β{一 III. βて=-0.018 1. (z・c{ルcの ▲ 1β{璃. A. 一 〇.027. β{ =0. (♂・s毒 一1,. .841. ♂・cる一1). 、// A !. ノ ''. '. '. ノ. ノ. '. '. ノ ノ'. β{-0.823. ). '. 圃. 、. ''. A. zηS痘. '. +β1-0.758 '. AA. '. レ/. β{+β 畜一 〇.785. ※ 図 表7よ. り α=-0.002で. あ る が,t検. 定 よ り α=0を. 棄 却 で き な い 。 そ の た め,原. 点を通 る. 関 数 と し て(9)式 を 描 い て い る. 予 想 の 下 で の コ ス ト増 加 率 の 予 想 誤 差 よ り も大 き い こ と を 示 す 証 拠 も発 見 さ れ た 。 β卜. β{一. αOl8と. β{璃. 一 βτ+β菟1-0つ27と. の 差 は0.009で. 売 上 高 予 想 が 正 確 で あ った と して も,前 年 度 比 で1%の り も,1%の. 売 上 高 の 減 少 が予 想 され る状 況 の方 が,コ. あ り,こ. れ は,た. とえ. 売 上 高 の 増 大 が 予 想 され る状 況 よ ス ト予 想 誤 差 が0.009%大. きい こ. と を意 味 す る。 しか も,コ ス ト増 減 率 の 予 想 誤 差 は常 に コ ス トを 過 小 予 想 す る よ う に作 用 す る こ とか ら,こ の 差 は,売 上 高 の 減 少 予 想 の 下 で,利 益 予 想 が よ り楽 観 的 にな る よ う に 作 用 す る。 これ は,利 益 のベ ンチ マ ー ク と して の'-1期 る状 況 で も確 保 す るた め,'期. の利 益 を,孟 期 の 売上 高 の 減 少 が 予 想 され. の利 益 計 画 に お いて 大 幅 な コ ス ト削 減計 画 が立 て られ るが,. コ ス トは下 方 硬 直 的 で あ る こ とか ら,こ の 状 況 で の 大 幅 な コ ス ト削 減 は達 成 困 難 で あ る こ と に よ る と解 釈 で き る。. 7.2本. 研 究 の 経 営 者業 績 予 想研 究 へ の貢 献 と 限界. 本 研 究 で は,経 営 者 業 績 予 想 に お いて,利 益 確 保 を 目指 す 経 営 者 が 利 益 目標 を 設 定 し, その 下 で 予 算 編 成 を行 う と い う想 定 か ら コ ス ト増 減 率 に関 す る仮 説 を 設 定 し,仮 説 を 支 持 す る結 果 を得 た 。 この 時,経 営 者 が 都 合 の よ い業 績 予 想 値 を恣 意 的 に公 表 した り,資 金 調 達 に備 え て 業 績 見 込 み を よ く見 せ た りす る と い う経 営 者 バ イ ア スの 議 論 を 出発 点 と して い な い。 これ は,経 営者 業 績 予 想 の研 究 おい て,利 益確 保 を 目的 とす る利益 計 画 や 予算 とい っ た管 理 会 計 の 視 点 か ら分 析 を展 開 す る こ との 有 効 性 を示 して い る。 事 実,経 営 者 業 績 予 想 一128(128)一.
(23) 経営者業績予想 にお けるコス トの過小予想 に関す る実証研究(安 酸) に関 す る近 年 の 質 問 票 調 査 が 示 す よ う に,多. くの 場 合,業 績 予 想 は予 算 を べ 一 ス に作 成 さ. れ て い る。 経 営 者 業 績 予 想 研 究 に対 す る本 研 究 の 貢 献 と して,管 理 会 計 の 視 点 か ら研 究 を 展 開 す る こ との 有 効 性 を 示 した 点 を まず 挙 げ る こ とが で き る。 も っ と も,経 営 者 業 績 予 想 に関 す る質 問 票 調 査 は,利 益 計 画 や 予 算 と異 な る値 が 業 績 予 想 と して 公 表 され る場 合 が あ る こ と も示 して お り,本 研 究 が 出 発 点 とす る利 益 計 画 や 予 算 か ら は業 績 予 想 を 完 全 に は説 明 で きな い こ と も事 実 で あ る。 これ を 本 研 究 の 限 界 と して 指 摘 して お く必 要 が あ る。 経 営者 業 績 予 想 研 究 に対 す る本 研 究 の も う一 つ の貢 献 は,分 析 技 術 に 関す る貢献 で あ る。 例 え ば,図 表4パ ネ ルDを 見 る と,売 上 高 の 減 少 予 想 の 下 で の コ ス ト予 想 誤 差 率 の 平 均 値 は4.58%で あ り,こ れ は コス トの 過 大 予 想 を 意 味 す る。 図 表4パ 少 予 想 の 下 で,コ. ネ ルCで は,売 上 高 の 減. ス トだ けで な く売 上 高 も過 大 に予 想 され て い る こ とが 読 み 取 れ る。 コ ス. トの 過 大 予 想 は,売 上 高 の 過 大 予 想 に起 因 す るか も しれ な い。 さ ら に,こ れ と同 時 に,経 常 利 益 予 想 が 楽 観 的 で あ る こ とか ら,予 想 され る売 上 高 の 減 少 に伴 って,コ. ス トが 大 き く. 減 少 す る と予 想 され て い る可 能 性 も あ る。 しか し,こ れ ら は事 後 的 な 解 釈 に過 ぎず,し か も平 均 値 に基 づ くア プ ロー チ で は検 証 で きな い。 な ぜ な ら,こ の ア プ ロー チで は,売 上 高 と コ ス トの 予 想 誤 差 率 はそ れ ぞ れ 独 立 し た 情 報 と して 扱 わ れ るた め,二 つ の 情 報 を 相 互 に関 連 付 けて 分 析 で きな い。 この こ と は, 図 表4パ. ネ ルAか. らパ ネ ルCで,「. 平 均 値 の差 」 の 検 定 が そ れ ぞ れ 独 立 に行 わ れ る こ とを. 見 れ ば明 らか で あ る。 これ に対 して,関 数 に基 づ くア プ ロー チで は,(4)式 と(5)式を 集 約 した ⑥ 式(し た が って (7)式と(8)式を 集 約 した(9)式)か ら明 らか な よ う に,売 上 高 と コ ス トの 関 係 が 関 数 で 表 現 さ れ,し か も,図 表4パ ネ ルAか. らパ ネ ルCの 売 上 高 と コ ス トの 「平 均 値 の 差 」 の 算 出 に必. 要 な情 報 で あ るCる,CひC芸H,Sん,SひS二H,1)1)乙1)-Dγ. が,一. 全 て処 理 され る。 こ の式 の 推 定 結 果 か ら,1β{+β 畜一 漸+駕. つの回帰式 の中で. 一 〇の27が 得 られ る。 これ. は,平 均 値 の 分 析 か ら は得 る こ とが で きな い経 営 者 業 績 予 想 に内 在 す る売 上 高 と コ ス トの 関 係 に つ い て の追 加 的 な情 報 で あ る。1β{+β引 一 厨+駕 高 の 減 少 予 想 が 正 確 で あ る と す る と,つ 想 を 取 り除 い た と して も,1%の 予 想 誤 差 が 一 〇.027%生 こ の 他 に も,関. ま り,図. 表4パ. 一 〇の27が 意 味 す る の は,売 上 ネ ルCで. 見 られ る売 上 高 の 過 大 予. 売 上 高 の 減 少 に 対 して コ ス トは 過 小 に 予 想 さ れ,コ. ス ト. じ る こ と で あ る。. 数 に 基 づ く ア プ ロ ー チ を 通 じて,売. 過 小 に 予 想 さ れ る 傾 向 に あ る こ と や,売. 上 高 の 増 大 予 想 の 下 で も,コ. 上 高 の 減 少 が 予 想 さ れ る 場 合 に,コ. 一129(129)一. ス トが. ス ト予 想 誤 差.
図
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定義 3.2 [Euler の関数の定義 2] Those quantities that depend on others in this way, namely, those that undergo a change when others change, are called functions of these
[CHT] Clozel, L., Harris, M., and Taylor, R., Automorphy for some ℓ-adic lifts of automorphic mod ℓ Galois representations, Publ.. A., and Levinson, N., Theory of ordinary
To be specific, we evaluate the expected profits and variance of profits risk of the fashion supply chains, fashion retailers, and manufacturers under 1 the currently implemented
当第1四半期連結累計期間における業績は、売上及び営業利益につきましては、期初の業績予想から大きな変
[CHT] Clozel, L., Harris, M., and Taylor, R., Automorphy for some ℓ-adic lifts of automorphic mod ℓ Galois representations, Publ.. A., and Levinson, N., Theory of ordinary