中学生の性意識の実態調査
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(2) 北海道教育人学紀要(教育科学編)第56巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.56,No.2. 平成18年2月 February,2006. 中学生の性意識の実態調査. 秋田 和子・芝木芙沙子*・笹嶋 由美*. 八尾市立西山本小学校 串北海道教育人学教育学部旭川校 臨床医科学・看護学教室. AStudyonSexConsciousnessofJuniorHighSchooIStudents AKITAKazuko,SHIBAKIMisako*andSASAJIMAYumi* YaoNishiyamamotoElementarySchool *DepartmentofClinicalScienceandNursing.AsahikawaCampusHokkaidoUniversityofEducationAsahikawa. 要 旨 近年,インターネットや携帯電話の急速な普及により,性に関する情報が氾濫するなど,性に関する意識 や価値感が多様化し,子ども達を取り巻く家庭環境や社会環境は大きく変化している.. また,薬物乱用,売買春やその類似行為,性感染症や人工妊娠中絶などの性に関する社会問題で「低年齢 化」が叫ばれている.そこで,身体的・精神的にも発達が著しい思春期にある中学生の性意識の実態を明ら かにし,今後の学校や養護教諭のよりよい指導役割,家庭や地域との連携に生かしたいと考え調査を行った.. 調査は,無記名自己記入式の質問紙調査方法により行い,統計解析はズ2検定を用いた. 調査から,マスメディアが子ども達の性知識や性意識に及ぼす影響は大きいことがうかがわれた.子ども 達がインターネットや携帯電話を利用する機会はこれからも増えると考えられる.このことから,子ども達 がマスメディアからの誤った性情報を取り入れる以前からの系統的で発達段階に応じた性教育が必要と考え られ,学校・家庭・地域が連携し,子どもの実態に即し一貫した性教育を行うことが重要と考える.養護教 諭は,学校・家庭・地域全体のコーディネータとしての役割が期待され,さまざまな情報を収集すると共に 子ども達や保健室以外と積極的に関わり信頼関係を築くことが重要と考える.. Ⅰ.はじめに 学校教育は,児童生徒等の人格の完成,豊かな. て生理的側面,心理的側面,社会的側面などから 総合的にとらえ,科学的知識を与えるとともに, 児童生徒等が生命の大切さを理解し,また,人間. 人間形成を目的とし,生命尊重,人格の尊重,人. 尊重,男女平等の精神に基づく正しい異性観をも. 権尊重など民主主義の基本的な理念である人間尊. ち,望ましい行動をとれるようにすることによっ. 重の精神に基づいて行われるものである.このた. て,人格の完成,豊かな人間形成に資することを. め,性教育も人間の性を人格の基本的な部分とし. 目的として行われてきた1).. 31.
(3) 秋田 和/一・芝木芙沙/一・笹鳩 山芙. しかし,実際の学校での性教育は,一部の熱心 な教育者や養護教諭に任され,さらに,教育力リ. る.. 中学生の性教育や生徒の性意識についての研究. キュラムや教師の研修・教材などは位置付けられ. は,東京都幼稚園・′ト・中・高・心障性教育研究. ていないのが現状である2).今,社会では性教育. 会4)の研究や大井ら5)の研究があるが,高校生の. に対する論議が盛んに行われ,マスコミ等でも話. 研究よりは数が少ない.しかし,性に関する社会. 題になっている.しかし,この性教育の分野はそ. 問題などで「低年齢化」が叫ばれており,身体的・. の関心の高さから,情報のみが先行し学校教育現. 精神的にも発達が著しい思春期にある中学生の性. 場の実践者(教師)には,「何をいつ」,「どのよ. 意識の実態を明らかにし,今後の学校や養護教諭. うに」という実践上の混乱や悩み等の諸問題が山. のよりよい指導役割,家庭や地域との連携に生か. 積みしている3).. したいと考え,調査を行った.. また,近年,インターネットや携帯電話の急速. な普及などにより,性に関する情報や産業などが 氾濫するなど,性に関する意識や価値観が多様化 し,子ども達を取り巻く家庭環境や社会環境は大 きく変化している.そのような中で,子ども達の. 体格が向上すると共に性的な成熟も早まっている 傾向があり,子ども達の心身の発達は,性的成熟 と社会的成熟にギャップが生じアンバランスと. Ⅰ.調査対象および方法 旭川市内の中学校1校に在籍する全生徒461名 を対象とし,2004年11月に調査を行った.. 調査は,無記名自己記入式の質問紙調査方法に より行った.. 対象者に対する倫理的配慮として,調査票の冒. なっている.また,薬物乱用,売買春やその類似. 頭に対象者に対して,回答は無記名としプライバ. 行為,性感染症や10歳代の人工妊娠中絶などが増. シーは保護されること,アンケートヘの参加は強. 加し,性に関する健康問題も深刻化している1).. 制ではなく無理に続けたり答えたくない質問に答. これらの実態を考えると,子ども達の発達段階 に応じた性に関する集団指導や個別指導を行うた. えたりする必要はないことを明記した. 統計解析はズ2検定を用いた.. め,性に関する教育力リキュラムや教師の研修・ 教材研究などの校内体制を整え,教師間の連携を 密にし,学校全体で全教育活動を通して指導の充 実を図る必要がある.また,家庭や地域との連携 も不可欠である. このような中で,養護教諭は,専門性を生かし,. Ⅱ.結 果 1.調査対象の概要. アンケートの回収数は437部であり,回収率は 94.8%であった.性別での回答率(回答数)をみ. 性教育の計画立案や教職員の研修などに積極的に. ると,男子94.0%(220名),女子95.6%(217名). 協力することが望まれる.また,児童生徒等の様々. であり,学年別では,1年生96.5%(141名:男71. な訴えに対して,性に係る問題の観察,その背景. 名,女70名),2年生92.9%(143名:男75名,女. の分析,解決のための支援や関係者との連携など. 68名),3年生95.0%(153名:男74名,女79名). を進め,児童生徒等の心身両面にわたる健康相談. であった.. 活動を実施することについて,積極的な役割が期. 待されている1).平成10年に教育職員免許法が改. 2.性情報について. 正され,養護教諭が「保健」の授業を担当する教. 1)性知識の認知度(表1). 諭または講師となり得るよう制度的措置が提示さ. 性に関する用語19項目について,意味を知って. れ,養護教諭のもつ専門的な知識や技能を教科に. いると答えた者が最も多かった用語は,「ストー. 生かし,性教育を行うなどの役割も期待されてい. カー」で87.0%(380名)であり,次いで「セク. 32.
(4) 中学生の性意識の実態調査. 表1 性知識の認知度 名(%). 生 別. 全体. 男子. 女子. n=220. n=217. n=437. 知ってる 聞いた知らない ストーカー. セクハラ 精子 卵子. 380. 35. 2 184. セックス 援助交際 射精 月経 エイズ 避妊 初社. 知ってる聞いた知らない. 2 196 12. 0. 121 14. ワギナ 精通 二次性徴. 3年. 検定 知ってる 聞いた知らない. n=153. 知ってる 聞いた知らない. 1 119 12. 0 140. 9. 1. (85.8)(9.別(0.7) (83.2)(8.4). (91.5)(5.9)(0.7) *. (82.2)(10.5)(2.3) (77.7)(12.7)(3.6) (86.6)(8.3)(0.9) 347. 55 10 169. 32. 6 178. 23. (75.9)(15.6)(4.3) (78.3)(11.2)(1.4) (91.5)(5.2)(1.3). 102. 4. (79.4)(12.6)(2.3) (76.8)(14.5)(2.7) (82.0)(10.6)(1.8). 96. ***. (77.8)(12.4)(3.7) (70.9)(15.0)(6.8) (84.8)(9.7)(0.5). 21. 152. 30. 18. 184. 19. 3. 39. 33 170 18 16 164. 107. 19. 2. 138. 8. 3. **. 27. 13. 106. 19. 2. 138. 8. 1. ***. 92. 37. 7. 115. 13. 1. 131 15. 2. ***. (65.2)(26.2)(5.0) (80.4)(9.1)(0.7) (85.6)(9.8)(1.3). ***. 96. (76.9)(11.2)(4.8) (69.1)(13.6)(8.2) (84.8)(8.8)(1.4) 334. 5. (68.1)(19.1)(9.2) (74.1)(13.3)(1.4) (90.2)(5.2)(0.7). (77.3)(14.9)(2.3) (71.4)(19.5)(2.7) (83.4)(10.1)(1.8) 49. 28. (72.3)(19.9)(3.5) (74.8)(13.3)(1.4) (90.2)(5.2)(2.0). 23. 13. 102. 17. 7. 138. 9. 1. ***. (68.1)(16.3)(9.2) (71.3)(11.9)(4.9) (90.2)(5.9)(0.7). 98. 21 17. 21 12 106 10 10 130. 8 11 *. (76.4)(8.9)(7.6) (77.3)(8.2)(7.3) (75.6)(9.7)(7.8) (69.5)(14.9)(8.5) (74.1)(7.0)(7.0) (85.0)(5.2)(7.2) 85 31 14 96 22 6 134 13 2 *** **. 315. 66. 22 143. 44 14 172. 22. 8. (72.1)(15.1)(5.0) (65.0)(20.0)(6.4) (79.3)(10.1)(3.7). 280. 64. 61. 111. 38. 50. 169. 26. 11. (60.3)(22.0)(9.9) (67.1)(15.4)(4.2) (87.6)(8.5)(1.3). ***. 62. (64.1)(14.6)(14.0) (50.5)(17.3)(22.7) (77.9)(12.0)(5.1). 274. 66. 64. 122. 35. 45. 152. 31 19. ***. 72. (62.7)(15.1)(14.6) (55.5)(15.9)(20.5) (70.0)(14.3)(8.8). 260. 65. 76. 80. 53. 63. 180. 12. 13. 62. 99. 58. 42. 142. 43. 20. 69. 111. 81. 29. 84. 134. 40. 27. 62. 148. 41. 36. 113. 140. 26. 35. 95. 23. 11. 123. 16. 10. ***. 33. 90. 20. 16. 112. 19. 15. **. 34 82. 25 19 93. 27. 23 *. (60.3)(9.2)(24.1) (57.3)(17.5)(13.3) (60.8)(17.6)(15.0). ***. 63. 35. 33. 78. 36. 13. 100. 30. 16. ***. (44.7)(24.8)(23.4) (54.5)(25.2)(9.1) (65.4)(19.6)(10.5). ***. 43. (49.2)(15.8)(25.4) (36.8)(13.2)(38.2) (61.8)(18.4)(12.4). 181. 27. 85 13. ***. (55.1)(23.1)(14.2) (45.0)(26.4)(19.1) (65.4)(19.8)(9.2). 215. 40. (51.1)(19.1)(23.4) (62.別(14.0)(11.2) (73.2)(12.4)(9.8). (59.5)(14.9)(17.4) (36.4)(24.1)(28.6) (82.9)(5.5)(6.0). 241 101. 25. (44.0)(17.7)(28.4) (66.4)(16.1)(7.7) (80.4)(10.5)(6.5). 25. 58. 83. 25. 19. 89. 19. 34. ***. (30.5)(17.7)(41.1) (58.0)(17.5)(13.3) (58.2)(12.4)(22.2). ***. (41.4)(14.2)(33.9) (18.6)(16.4)(51.4) (64.5)(12.0)(16.1) 178 58 156 94 30 73 84 28 83. (37.6)(12.8)(39.0) (37.8)(16.1)(32.2) (48.4)(13.7)(30.7). (40.7)(13.3)(35.7) (42.7)(13.6)(33.2) (38.7)(12.9)(38.2). (23.4)(12.1)(54.6) (42.7)(18.2)(25.2) (54.9)(9.8)(28.1). マスターベーション 性感染症. 2年. n=143. *. 336. ペニス. 1年. 検定 n=141 知ってる 聞いた知らない. (87.0)(8.0)(0.5) (83.6)(10.5)(0.9) (90.3)(5.5). 出会い系サイト 3 8 65 10 157 43 6 181 2 4 * 受精. 23. 学 年. ***. 24. ***. (33.6)(18.1)(38.4) (25.0)(15.9)(46.8) (42.4)(20.3)(30.0). 1ノ10. 102. 1ノ17. 61. ノ11. 91. 79. 61. 56. 18. 83. 41. 35. 48. 82. 26. 37. ***. (17.0)(12.8)(58.9) (28.7)(24.5)(33.6) (53.6)(17.0)(24.2) 10 38 ノ18 ノ17 35 ノ12 53 29 57. ***. (32.0)(23.3)(33.6) (27.7)(18.6)(41.4) (36.4)(28.1)(25.8) 135 87 162 61 43 86 74 44 76. (28.4)(27.0)(34.0) (32.9)(24.5)(29.4) (34.6)(19.0)(37.3). (30.9)(19.9)(37.1) (27.7)(19.5)(39.1) (34.1)(20.3)(35.0) 22 42 316 10 23 157 12 19 159. (24.1)(19.9)(45.4) (26.6)(22.4)(35.0) (41.2)(17.6)(31.4) 5 9 110 9 17 95 8 16 111. *. (5.0)(9.6)(72.3) (4.5)(10.5)(71.4) (5.5)(8.8)(73.3) (3.5)(6.4)(78.0) (6.3)(11.9)(66.4) (5.2)(10.5)(72.5) *P<0.05 **P<0.01***P<0.005. ハラ」82.2%(359名),「精子」79.4%(347名). は学年が進むごとに徐々に多く,「受精」「セック. であった.意味を知っていると答えた者が最も少. ス」(共にP<0.005),「精子」(P<0.01),「セ. なかった用語は,「二次性徴」で5.0%(22名)で. クハラ」「ペニス」「月経」「精通」(共にP<0.05). あり,次いで「精通」30.9%(135名),「ワギナ」. が1・2年生に対し3年生に意味を知っている者. 32.0%(140名)であった.. が有意に多かった.. 性別では,「卵子」「受精」「援助交際」「射精」「月 経」「エイズ」「避妊」「初経」「性感染症」「ワギナ」. 2)性知識の情報源(表2) 性知識の情報源では,「授業・教科書」が68.0%. (共にP<0.005),「セックス」(P<0.01),「セ. クハラ」「出会い系サイト」(共にP<0.05)が. (297名)と最も多く,次いで「友だち」67.5%(295. 女子に意味を知っている者が有意に多く,男子に. 名),「先輩・年上の人」31.8%(139名)の順であっ. 意味を知っている者が有意に多い用語はなかっ. た. 性別では,男子は「授業・教科書」が最も多く,. た. 学年別では,「卵子」「出会い系サイト」「援助 交際」「エイズ」「避妊」「マスターベー. ション」「性. 感染症」(共にP<0.005),「射精」(P<0.01). 次いで「友だち」だったが,女子は「友だち」が 最も多く,次いで「授業・教科書」であった.「雑 誌」,「マンガ」(共にP<0.005),「養護教諭」,「母」. 33. 知ってる.
(5) 秋田 和/一・芝木芙沙/一・笹鳩 山芙. 表2 性情報源. 表3 生活全般の悩み 名(%). 性 別. 全体 n=437. 学 年 1年 2年 3年. 男子女子 n=220n=217 検定. 96 107. 授業・教科書 友だち. 先輩・午上の人 雑誌. マンガ. 90. *. (67.5) (61.8)(73.3) 139 71 68. 37 28. ***. 四 35. 70 ***. 30. (24.0) (15.9)(32.3). その他. 26. 55 ***. 32. 友だち. 43. 47. 性格. 19. 44 46 (20.6) (20.0)(21.2) 43. 28. 43 **. 健廉・病気. (13.5)(19.6)(28.1) 24 26 26. 33. 家族. ( 23. 24. ***. (4.3)(9.8)(17.6) 15. (10.5) (5.9)(15.2). 21 10. 田 11 28 ** (8.9) (5.0)(12.9) 7 10. (10.6)(9.8)(6.5) 4 4 9. (3.9) (3.2)(4.6) 6 10. (2.8)(2.8)(5.9) 3 4 9. (3.7) (2.7)(4.6). n=141n=143n=153 検定. 95 100 122 *. (72.5) (68.6)(76.5). (67.4)(69.9)(79.7) 29. ***. (25.2) (11.8)(38.7). 48. 54. 30. (23.3) (21.8)(24.9). 42. 33. 39. (21.3)(23.1)(25.5) 32. ***. (20.8) (9.5)(32.3). 田 30. 39. (20.6)(27.3)(27.5). 32. 27. (22.7)(22.4)(17.6). 54 **. 24 27 33 (17.0)(18.9)(21.6). (19.2) (13.6)(24.9). 55 ***. (16.5) (7.7)(25.3). 27 24 21 (19.1)(16.8)(13.7). 31 28. 21 23 15. (13.5) (14.1)(12.9). (14.9)(16.1)(9.8) 9 10 14. *. (. ( 8. 9 10 (4.3) (4.1)(4.6) 3. 3. 2. (1.4) (1.4)(1.4). 心配・悩みなし (10.1) (14.1)(6.0). 5. 6. (5.7)(3.5)(3.9) 3. 1. (1.4)(2.1)(0.7) 15 14 15 **. (10.6)(9.8)(9.8) *P<0.05 **P<0.01***P<0.005. (2.1)(2.8)(5.9) 9. 3. 3. (2.7) (4.1)(1.4). (1.4) (1.4)(1.4). からだの変化 その他. (10.6)(14.7)(6.5) 15 14 10. 男子女子 n=220n=217 検定. 田 17 男女交際. 学 年 1年 2年 3年. 151 166. ***. **. 携帯電話のサイト. お金. (21.3)(22.4)(28.1). (10.8) (10.5)(11.1). 父. 41 61 *. (29.8)(28.7)(11.8). インターネット. つきあっている人. 顔・スタイル. (19.9)(18.2)(35.9). (. 兄弟姉妹. 89 116 *. (26.2)(28.7)(39.9). (24.9) (13.6)(36.4). テレビ・ビデオ. 母. 勉強・進学. (63.8)(62.2)(75.8). (31.8) (32.3)(31.3). 54. 養護教諭. 94 *. (68.1)(74.8)(61.4). 学校の先生 本. 全体 n=437. n=141n=143n=153 検定. 140 157. 性 別. 3. 4. の順であった.その他については,「部活動のこと」. 5. (2.1)(2.8)(3.3). 3. 2. 2. と答えた者が4名いた.. 2. (1.4)(1.4)(1.3) 1. 3. *. (0.9) (0.5)(1.4). (2.6). 性別では,男子は「勉強・進学」が最も多く,. 次いで「お金」であり,女子は「勉強・進学のこ. *P<0.05 **P<0.01***P<0.005. と」が最も多く,次いで「顔・スタイル」であっ (共にP<0.01),「友だち」(P<0.05)は男子 より女子が有意に多かった. 学年別では,1・2年生は共に「授業・教科書」. た.「顔・スタイル」,「友だちとのこと」,「男女 交際」(共にP<0.005),「性格のこと」,「家族. とのこと」(それぞれP<0.01,P<0.05)は女. が最も多く,次いで「友だち」であり,3年生で. 子が有意に多く,「心配・悩みはない」は男子が. は「友だち」が最も多く,次いで「授業・教科書」. 有意に多かった(P<0.01).. であった.「授業・教科書」は1・3年生に対し 2年生が有意に多かった(P<0.05).「友だち」, 「先輩・年上の人」(共にP<0.05),「雑誌」(P. <0.005)は1・2年生に対し3年生が有意に多. 学年別では,1年生は「勉強・進学のこと」が 最も多く,次いで「友だちとのこと」で,2・3 年生は「勉強・進学のこと」が最も多く,次いで 「顔・スタイル」であった.「勉強・進学のこと」. く,「学校の先生」は3年生に対し1・2年生が. は1・2年生に対し3年生が有意に多かった(P. 有意に多かった(P<0.005).「インターネット」,. <0.05).. 「本」は,それぞれ徐々に多くなっていた(それ. ぞれP<0.005,P<0.01).. 2)性に関する不安や悩み(表4). 男女とも同様の項目について聞いたが,「声変 3.′む配事・悩み事について. わり」「射精」は男子のみ,「胸のふくらみ」「月経」. 1)生活全般の悩み(表3). は女子のみに聞いた.全体では,「身長」が34.8%. 心配事や悩み事では,「勉強・進学のこと」が 72.5%(317名)と最も多く,次いで「顔・スタ イル」25.2%(110名),「お金」23.3%(102名). 34. (152名)と最も多く,次いで「体重」34.1%(149 名),「にきび」28.1%(123名)の順であった. 性別では,男子は「心配・悩みはない」が最も.
(6) 中学生の性意識の実態調査. 表4 性に関する不安や悩み 性 別. 全体 n=437. 身長 体重 にきび. 恋愛 周F)の臼. 学 年 1年 2年 3年. 男子女子 n=220n=217 検定. 43. 性器. 四 41 82 ***. 37. (27.0)(28.0)(29.4). 田 22 66 *** (20.1) (10.0)(30.4). 28 31 29 (19.9)(21.7)(19.0). 田 18 50 * * (15.6) (8.2)(23.0). (12.8)(18.9)(15.0). 18. 田 11 33 ***. 27. 先輩・午上の人 養護教諭. 6. 4. 2. 23 19. その他. 2. 2. 37. (57.5)(54.3)(69.8) 22 16 24. (48.4) (56.7)(45.9) 4 12. (55.0)(45.7)(45.3) 3 3 10. (12.5) (13.3)(12.2). (7.5)(8.6)(18.9) 1 14. 4 5 6 (10.0)(14.3)(11.3). (11.7) (3.3)(14.3). 3. ( 0. (2.3). 3 (3.1). 3. 3. 4. 4. (7.5)(11.4)(7.5). 6. (7.0) (10.0)(6.1) 0 8. 4. (15.0)(11.4)(5.7). 4 **. 5 *. 5. 1. 3. (12.5)(2.9)(5.7) *. (. ( 0. 1. 2. (2.9)(3.8) *P<0.05 **P<0.01***P<0.005. 2. (1.4)(1.4)(1.3) ***. (22.7) (33.6)(11.5). 65. (3.3). (1.4) (1.8)(0.9). 心配・悩みなし. 14. (61.7) (46.7)(66.3) 17 45. つきあっている人 *. 0. 男子女子. (8.6) (23.3)(4.1). 兄弟姉妹. (0.7)(0.7)(4.6). 0. 1年 2年 3年 n=40n=35n=53 検定. 田 7. 父. ( 3. n=30n=98 検定. 6. 14 13 13. (2.1) (1.4)(2.8). 学 年. *. (9.9)(9.1)(8.5) 7 8 19. 24 *. 名(%). 性 別. 23. 13 14 17. 28 **. 田 10. 母. (9.2)(9.8)(11.1). (9.2) (5.5)(12.9). (. 友だち. 69. (28.1) (18.6)(37.8). 3 2 (1.1) (1.4)(0.9). 声変わF). 62. (30.5)(25.9)(45.1) 38 40 45. マスターベーション その他. 43. ***. (10.1) (5.0)(15.2). 発毛. 47. (30.5)(32.9)(40.5). (34.1) (15.9)(52.5). 四 12. 全体 n=128. n=141n=143n=153 検定. 152 69 83 (34.8) (31.4)(38.2). 友だちとの違い 男女交際. 表5 性に関する悩みの相談相手. *. 3)性に関する悩みの相談状況. (23.4)(28.0)(17.0). 心やからだの悩みについて誰かに相談したこと. 田 (10.9). が「ある」者は29.3%(128名),「ない」者は59.5%. ロ. 射精 (1.8). 月経 胸のふくらみ. (260名),「覚えていない」者は8.0%(35名),「無 (18.0). 回答」は3.2%(14名)であった.. (8.8). 性別では,相談したことがある者は,男子13.6% *P<0.05 **P<0.01***P<0.005. (30名)に対し女子45.2%(98名)と女子が有意 多く,次いで「身長」であり,女子は「体重」が. に多かった(P<0.005).. 最も多く,次いで「身長」であった.「体重」,「に. 学年別で差はなかった.. きび」,「恋愛」,「周りの人の臼が気になる」,「友. 性に関する悩みを相談したことがある者128名. だちとの違い」(共にP<0.005),「男女交際」,「発. に,誰に相談したか聞いたところ,「友だち」が. 毛」(それぞれP<0.01,P<0.05)は女子が有. 61.7%(79名)と最も多く,次いで「母」48.4%. 意に多く,「心配・悩みはない」は男子が有意に. (62名),「先輩・年上の人」12.5%(16名)の順. 多かった(P<0.005).男子の「声変わり」は,. であった.その他は,「病院」や「カウンセラー」. 2年生に対し1・3年生が有意に多かった(P<. と専門家を答えた者や,「掲示板」と答えた者が. 0.01).. 学年別では,1年生は「身長」「体重」が共に 最も多く,2年生は「身長」が最も多く,次いで 「にきび」「心配・悩みはない」であり,3年生. いた.. 性別では,男子は「母」が最も多く,次いで「友 だち」であり,女子は「友だち」が最も多く,次 いで「母」であった.「父」,「学校の先生」は男. では「体重」が最も多く,次いで「身長」であっ. 子が有意に多く(それぞれP<0.01,P<0.05),. た.「性器」,「マスターベー ション」は1・2年. 女子に多いものはなかった.. 生に対し3年生が有意に多く(共にP<0.05), 「心配・不安はない」は1・3年生に対し2年生 が有意に多かった(P<0.05).. 学年別では,1・2・3年生共に「友だち」が 最も多く,次いで「母」であった.「つきあって. いる人」は1・2年生に対し3年生が有意に多 かった(P<0.05)(表5).. また,性に関する悩みを相談したことがある者. 35.
(7) 秋田 和/一・芝木芙沙/一・笹鳩 山芙. 128名に,相談して解決したか聞いたところ,全. 表6 性に関して知りたいこと. 体では「解決した」58.6%(75名),「解決しなかっ. 全体. た」5.5%(7名),「よくわからない」33.6%(43 名),「無回答」2.3%(3名)であった. 性別,学年別共に差はなかった.. 性に関する悩みを相談したことがない者260名 に,その理由を聞いたところ,「不安や悩みがな. n=437. 輿性のこころ. 四 38. 1年 2年 3年 男子女子 n=220n=217 検定. 71 *** 48. n=141n=143n=153 検定. 29 33 47 (20.6)(23.1)(30.7). (24.9) (17.3)(32.7) 52. *. 生命の人切さ. (17.7)(20.3)(30.1). 恋愛. 30 27 28 (21.3)(18.9)(18.3) 20 21 32. ***. (19.5) (10.5)(28.6). 性感染症. 名(%). 学 年. 性 別. 田 26 47 * (16.7) (1 .8)(21.7) 田 17. (14.2)(14.7)(20.9). 38 **. 19 14 22 (13.5)(9.8)(14.4). いから」が45.4%(118名)と最も多く,次いで「自. 男女交際. 分で解決できるから」24.6%(64名),「相談する. セックス. のがはずかしい」13.1%(34名),「誰に相談すれ. 結婚. ばいいかわからない」12.3%(32名),「相談相手. 受精・妊娠・出産田 10 23 * ( 女性のからだの 田 11 13. (. 什柵みや働き (5.5) (5.0)(6.0). (3.5)(5.6)(7.2). がいない」4.2%(11名),「時間がない」2.7%(7. (12.6) (7.7)(17.5) 21 32. **. (12.1) (9.5)(14.7). (10.6)(6.3)(19.0) 10 11 21. *. (9.6) (6.8)(12.4). (7.1)(7.7)(13.7) *. 5. 8 11. 名)の順であった.. 性別では,男子は「不安や悩みがないから」が 54.2%(90名)と最も多く,次いで「自分で解決 できるから」23.5%(39名),「相談するのがはず ** *. かしい」7.8%(13名)の順で,女子は「不安や. *P<0.05 **P<0.01***P<0.005. 悩みがないから」が29.8%(28名)と最も多く, 次いで「自分で解決できるから」26.6%(25名),. 0.01),「結婚」,「受精・妊娠・出産」,「マスター. 「相談するのがはずかしい」「誰に相談すればい. ベーション」(共にP<0.05)は女子が有意に多. いのかわからない」が共に22.3%(21名)の順で. く,「知りたいことはない」は男子が有意に多かっ. あった.「相談するのがはずかしい」,「誰に相談. た(P<0.005).. すればいいのかわからない」(共にP<0.005), 「相談する相手がいない」(P<0.05)は女子が. 学年別では,1年生は「知りたいことはない」 が最も多く,次いで「異性への気持ち・恋愛」で,. 有意に多く,「不安や悩みがないから」は男子が. 2年生は「知りたいことはない」が最も多く,次. 有意に多かった(P<0.005).. いで「異性のこころ」であり,3年生では「異性 のこころ」が最も多く,次いで「生命の大切さ」. 4.性に関して知りたいこと 1)性に関して知りたい内容(表6) 全体では,「知りたいことはない」33.4%(146 名)が最も多かった.知りたいことで最も多かっ たのは「異性のこころ」24.9%(109名),「生命 の大切さ」22.9%(100名),「異性への気持ち・. であった.「セックス」,「避妊」(共にP<0.01), 「受精・. 妊娠・出産」(P<0.05)は1・2年生. に対し3年生が有意に多く,「生命の大切さ」は 学年が進むにつれて徐々に多かった(P<0.05).. 「知りたいことはない」は1・2年生に対し3年 生が有意に少なかった(P<0.05).. 恋愛」19.5%(85名)の順であった.. 性別では,男子は「知りたいことはない」が最 も多く,次いで「生命の大切さ」であり,女子は. 「異性のこころ」が最も多く,次いで「異性への 気持ち・恋愛」であった.「異性のこころ」,「異. 2)性に関する質問を最初に誰にするか 全体では,「友だち」が50.3%(220名)と最も 多く,次いで「自分で調べる」16.9%(74名),「母」 7.3%(32名),「先輩・年上の人」2.7%(12名),. 性への気持ち・恋愛」(共にP<0.005),「性感. 「養護教諭」2.5%(11名),「学校の先生」1.4%. 染症(エイズを含む)」,「男女交際」(共にP<. (6名),「つきあっている人」0.9%(4名),「父」. 36.
(8) 中学生の性意識の実態調査. 0.7%(3名),「兄弟姉妹」0.5%(2名)の順で. 学年別では,差はなかった.. あった.. 自分の性に生まれてよかったと思う者が,好き. 性別では,男子は「友だち」が48.2%(106名). な人がいる者では69.0%(136名)に対し好きな. と最も多く,次いで「自分で調べる」22.7%(50. 人がいない者では56.4%(88名)と好きな人がい. 名),「母」「先輩・年上の人」共に3.2%(7名). る者の方が有意に多かった(P<0.05).. の順で,女子は「友だち」が52.5%(114名)と. 好きな人の有無と性自認について性別で分ける. 最も多く,次いで「母」11.5%(25名),「自分で. と,男子では,差はなかった.女子では,自分の. 調べる」11.1%(24名)の順であった.「母」が. 性に生まれてよかったと思う者が,好きな人がい. 女子に有意に多く(P<0.005),「自分で調べる」. る者では63.0%(68名)に対し好きな人がいない. が男子に有意に多かった(P<0.01).. 者では32.8%(22名)と好きな人がいる者の方が. 学年別では,1・2・3年生共に「友だち」が 最も多く,次いで「自分で調べる」であった.「母」. は,1・2年生に対し3年生が有意に少なかった (P<0.05).. 有意に多かった(P<0.005). 交際相手の有無と性自認について性別で分ける. と,男子では,差はなかった.女子では,自分の 性に生まれてよかったと思う者が,交際相手のい る者では67.5%(27名)に対し交際相手がいない. 5.性意識について. 者では43.9%(72名)と交際相手がいる者の方が. 1)好きな異性について. 有意に多かった(P<0.05).. 全体では「いる」45.1%(197名),「いない」35.7% (156名),「わからない」16.5%(72名),「無回答」 2.7%(12名)であった. 性別,学年別共に差はなかった. 交際状況は,全体では「いる」14.4%(63名), 「いない」79.2%(346名),「わからない」3.4% (15名),「無回答」3.0%(13名)であった.. 性別では,交際している者が,男子10.5%(23 名)に対し女子18.6%(40名)と女子が有意に多 かった(P<0.05). 学年別では,交際している者は,1年生9.9%(14. 名),2年生10.5%(15名),3年生22.2%(34名). 6.射精・月経について 1)射精. 射精の有無について男子220名に聞いたところ, 全体では「ある」19.1%(42名),「ない」29.5% (65名),「わからない」41.4%(91名),「無回答」 10.0%(22名)であった.学年別では,「ある」. と回答した者が1年生7.0%(5名),2年生10.7% (8名),3年生39.2%(29名)と1・2年生に 対し3年生が有意に多かった(P<0.005). 精通があった時期は,「′ト学4年生より前」2名,. 「小学4年生」1名,「小学5年生」3名,「小学. と1・2年生に対し3年生が有意に多かった(P. 6年生」8名,「中学1年生」18名,「中学2年生」. <0.05).. 1名,「覚えていない」9名であった.. 精通があった時,最初に誰に話したかについて 2)性自認. 自分の性に生まれてよかったかについては,全 体では「思う」61.6%(269名),「思わない」10.5% (46名),「わからない」26.8%(117名),「無回答」 1.1%(5名)であった. 性別では,よかったと思う者が,男子74.5%(164. 名)に対し女子48.4%(川5名)と男子が有意に 多かった(P<0.005).. は,「誰にも話してい. ない」が30名と最も多く,. 次いで「友だち」9名,「父」「母」「学校の先生」 1名の順であった.. 精通前から射精を知っていたかについては,全 体では「知っていた」20名,「知らなかった」15名, 「覚えていない」7名であった. 精通の時期との関係をみると,′ト学4年生まで. は3名中2名,小学校高学年では11名中2名,中. 37.
(9) 秋田 和/一・芝木芙沙/一・笹鳩 山芙. 学生では19名中1年生12名の者が,精通の前から. は50.0%(5名),′ト学校高学年では80.7%(88名),. 知っていた.. 中学生では80.9%(38名)の者が,初経の前から. 精通の前から射精を知っていた者の知識の情報 源は,全体では「友だち」が13名と最も多く,次. 知っていた.. 初経前から月経を知っていた者の知識の情報源. いで「本」8名,「先輩・年上の人」「マンガ」共. は,「母」が56.1%(78名)と最も多く,次いで「授. に6名の順であった.. 業・教科書」53.2%(74名),「友だち」41.0%(57. 精通があった時の気持ちをたずねたところ,「覚. 名)の順であった.学年別では,「雑誌」,「友だち」. えていない」5名,「特に何も思わなかった」4. が2・3年生に対し1年生が有意に多かった(そ. 名,「びっくりした」「何だろうこれ?」共に2名. れぞれP<0.005,P<0.01).「先輩・年上の人」,. などの記述があった.. 精通の前から射精を知らなかった者の気持ち は,「びっくりした」2名,「あまりわからなかっ. 「本」が2・3年生に対し1年生が有意に多かっ た(共にP<0.05).. 初経があった時の気持ちをたずねたところ,. たがたまにおもらしっぼいのが時々あった」「後. 「びっくりした」34名,「気持ち悪かった」19名,. で精通であったと知った」「切なかった」「無気力. 「いやだった」15名,「めんどくさい」11名,「お. な気持ちになった」「何か病気になったのかと思っ. なかが痛かった」10名,「大人に近づいたと思った」. た」などであった.. 8名,「うれしかった」「こわかった」共に5名,「何 があったかわからなかった」4名,「不安だった」. 2)月経. 「最悪だった」「痔かと思った」「前から月経を知っ. 月経の有無については,「ある」が81.1%(176. ていたので,別にびっくりしなかった」共に3名. 名),「ない」6.9%(15名),「わからない」9.7%. 「性器に傷があるかと思った」「いらない」「ど. (21名),「無回答」2.3%(5名)であった.学 年別では,「ある」と回答した者が1年生77.1%(54. 名),2年生76.5%(52名),3年生88.6%(70名). うしたらいいのかわからなかった」共に2名など の記述があった.. 初経前から月経を知らなかった者の気持ちは,. と1・2年生に対し3年生が有意に多かった(P. 「気持ち悪かった」6名,「びっくりした」5名,. <0.01).. 「何だろうこれは?」「おなかが痛かった」「不安. 初経があった時期は,「′ト学4年生より前」0.6%. だった」共に2名,「こわかった」「いやだった」「こ. (1名),「′ト学4年生」5.1%(9名),「′ト学5. んなの子どもを産む人だけにあればいいと思っ. 年生」21.0%(37名),「′ト学6年生」40.9%(72. た」「痔かと思った」「しばらく誰にも言えなかっ. 名),「中学1年生」19.3%(34名),「中学2年生」. た」などであった.. 5.1%(9名),「中学3年生」2.3%(4名),「覚 えていない」5.7%(10名)であった.. 初経があった時,最初に誰に話したかについて は,「母」が88.6%(156名)と最も多く,次いで 「友だち」4.0%(7名),「兄弟姉妹」1.7%(3 名)の順であった.. 初経前から月経を知っていたかについては,全 体では「知っていた」79.0%(139名),「知らなかっ た」14.2%(25名),「覚えていない」6.3%(11名), 「無回答」0.6%(1名)であった.. 初経の時期との関係をみると,小学4年生まで. 38. 7.インターネット・携帯電話について 1)インターネットの利用状況. インターネットの利用状況は,「自分専用で利 用している」11.9%(52名),「家族と共同で利用 している」60.9%(266名),「家以外(学校やお 店など)で利用している」23.1%(101名),「そ の他」1.6%(7名),「利用したことはない」3.9% (17名),「無回答」1.8%(8名)であった. 性別では,差はなかった. 学年別では,「家以外(学校やお店など)で利.
(10) 中学生の性意識の実態調査. 用している」が1年生19.9%(28名),2年生31.5%. (45名),3年生18.3%(28名)と1・3年生に 対し2年生が有意に多かった(P<0.05).. 「マスメディアでよく取り上げられる用語」「性. 行動に関する用語」は認知度が高かった.「子ど もと性実態調査」6)でも,. 「ストーカー」が中学生. の84.0%,「セクハラ」が中学生の7割以上が知っ 2)携帯電話の利用状況. 携帯電話の利用状況は,「自分専用で利用して. ていると回答しており,′ト学生を対象とした我々. の調査7)でも同様の傾向であった.これらの用語. いる」34.6%(151名),「家族と共同で利用して. が社会的にも注目されており,マスメディアでも. いる」14.6%(64名),「その他」2.5%(11名),「利. 多く取り上げられていることから認知度が高かっ. 用したことはない」45.5%(199名),「無回答」2.7%. たと考えられる.中学校で学習することになって. (12名)であった. 性別では,自分専用で利用している者が,男子. いない「ストーカー」や「セクハラ」が,中学校 で学習することになっている「精子」や「卵子」. 26.8%(59名)に対し女子42.4%(92名)と女子. よりも認知度が高いことからも,マスメディアが. が有意に多かった(P<0.005).. 子どもに及ぼす影響は大きいことが示唆された.. 学年別では,自分専用で利用している者が,1 年生16.3%(23名),2年生37.1%(53名),3年. 保健体育と理科の授業で扱われる「精子」「卵子」 「受精」の意味は7割以上の者が知っていた.し. 生49.0%(75名)と徐々に多くなっていた(P<. かし,保健体育で扱われる「精通」「ワギナ」「マ. 0.005).. スターベーション」「初経」の認知度は低かった ことから,主要5教科である理科の影響が特に強. 3)出会い系サイト 出会い系サイトに興味があるかについては,「興 味を持ったことはない」82.2%(359名),「接続. いと考えられる.このことは,性に関する指導は. 主に保健体育で行われるが,他教科との関連を持 たせるとさらに効果的であることが示唆される.. または電話をしてみたいと思った」2.7%(12名),. 性知識の認知度は,性別や学年間で差がみられ,. 「接続または電話をしたことがある」1.8%(8名),. マスメディアの影響が大きいことからも,学校や. 「接続または電話をして異性と知り合ったことが. 家庭は子ども達の性知識に関する相互理解を図り. ある」1.4%(6名),「その他」1.1%(5名),「よ. 連携して指導していく必要があると考える.養護. くわからない」7.8%(34名),であった.. 教諭としては,学校と家庭の橋渡し役,養護教諭. 性別では,接続または電話をして異性と知り. から見た子ども達の実態の情報提供や問題提起,. 合ったことがある者が,男子はいなかったのに対. 保健室の機能を生かした子ども達への性知識の提. し女子2.8%(6名)と女子が有意に多かった(P. 供の場所づくりなどの役割が期待される.. <0.05). 学年別では,共に差はみられなかった.. その他については,「違うサイトを見ていたの に勝手に接続されてしまった」という者がいた.. 2)性知識の情報源. 性知識の情報源は,「授業・教科書」が全体で 68.0%と最も多く,次いで「友だち」が67.5%で あり,石沢ら8)の調査でも「学校の授業」51.0%. Ⅳ.考 察. と最も多く,次いで「友達」43.0%と同様であっ た.「友だち」では,男子の61.8%に対し女子は. 1.性情報源について. 73.3%と多く,女子がより友人から情報を得てい. 1)性知識の認知度. た.しかし,友だちからの情報が必ずしも正しい. 全体を適して,「ストーカー」「セクハラ」「肘. とは限らず,誤った情報を信じてしまう恐れがあ. 会い系サイト」「セックス」「援助交際」といった. る.授業・教科書を情報源としている者も多いこ. 39.
(11) 秋田 和/一・芝木芙沙/一・笹鳩 山芙. とから学校での指導の影響は大きく,学校教育で. や家庭は子ども達の悩みに耳を傾け共に解決して. の性教育の指導内容の検討やカリキュラムの体系. いこうとする姿勢が望まれる.. 化を行うことによって,性に関する正しい知識を. 心やからだに関する悩みである「顔・スタイル」. 身に付けさせることができると考える.また,友. 25.2%,「男女交際」16.5%,「からだの変化」4.3%. だちとの関係の中から,相互に正しい情報や知識. は,全体でそれぞれ第2位,第6位,第9位であっ. が学びあえるピアサポート的な教育方法の具体的. た.「顔・スタイル」「男女交際」については,思. な実践の工夫も必要である8).. 春期に入ると異性への関心が高まり異性によく思. 子ども達にとって最も身近な存在である「母」. われたい,異性とつきあいたいという欲求が生じ. は8.9%,「父」は2.7%と,両親から情報を得て. るためと考えられる.しかし,からだの変化につ. いるものが少なく,家庭での性教育がほとんど行. いて悩む者は他の項目と比べると低い傾向にあ. われていないことが示唆される.それに対し,「雑. り,′ト学生を対象とした我々の調査7)でも第7位. 誌」24.9%,「マンガ」24.0%,「本」20.6%,「テ. と同様であった.思春期にある中学生は,性に関. レビ・ビデオ」17.4%,「インターネット」10.8%. する悩みだけではなく生活全般においてさまざま. と両親よりもマスメディアが子ども達の性情報源. な悩みを抱えており,学校や家庭はこの現状をふ. となっている.「携帯電話のサイト」は1.4%とわ. まえ対応していかなければならないと考える.. ずかであり,東京都性教育研究会4)の調査でも 「ケ一夕イ電話など」が3.3%であったが,携帯. 電話の普及と共にこれから増えることが予想され. 2)性に関する不安・悩み 「体重」は男子15.9%に対し女子52.5%と女子. る.このように,マスメディアを情報源としてい. に多く,大井ら5)の調査でも「体重」が男子22.9%. る者が多く,子ども達の性知識や性行動に与える. に対し女子46.2%と女子に多く同様であった.平. 影響も大きいと考えられ,学校や家庭は,専門機. 井9)によると,肥満を訴える多くは思春期の女子. 関との連携や性に関する研究会や学習会などに積. に特有の脂肪沈着であることは年齢の平均値に対. 極的に参加し,子ども達に正しい知識を与えてい. して肥満の%を越えないことからも判断され,肥. くと共に,止しい情報選択の方法を指導していく. 満恐怖症でマスコミの影響が強く及んでいるとし. ことが早急に望まれる.そして,養護教諭は専門. ている.マスメディアは痩せている方が美しいと. 的知識を持つ者として,子ども達にはもちろん他. ゆがんだボディイメージを持たせる恐れがあり,. 教師や家庭に情報を提供すると共に,専門機関と. さまざまなダイエット方法が特集されている.成. の連携のパイプ的役割として期待されると考え. 長期である中学生がゆがんだボディイメージを持. る.. ち,間違った無理なダイエットを続けると,思春. 期やせ症や月経停止になることも考えられる.正 2.′む配事・悩み事について. しいボディイメージが持てるよう学校や家庭での. 1)生活全般の不安・悩み. 配慮や身長・体重での評価を行わないことが重要. 「勉強・進学」が72.5%と最も多く,′ト学生を. であり,特に養護教諭は健康診断を行う立場にあ. 対象とした我々の調査7)でも同様であり,1年生. るため,専門的知識からアドバイスしていくこと. 67.4%,2年生69.9%,3年生79.7%と学年が進. が期待される.. むにつれ多かった.受験や高校進学への不安から. 「周りの目が気になる」が男子8.2%に対し女. と考えられる.現代の中学生のほとんどが高校へ. 子23.0%,「友だちとの違い」が男子5.0%に対し. 進学し,受験戦争や過度の期待・プレッシャーの. 女子15.2%と共に女子に多く,自我のめざめに. 中で生活していることがうかがわれる.勉強や進. よって周囲の目を気にしたり,自分と友だちを比. 学への不安は深刻なものもあると考えられ,学校. 較したりしてしまうことが示唆され,女子に強い. 40.
(12) 中学生の性意識の実態調査. ことがわかる.二次性徴による心やからだの変化. る必要があり,家庭・学校・地域の専門機関など. には個人差があるという知識を与えるだけではな. の連携が重要と考える.. く,子どもが実感として受け止められる指導が必. 相談して解決した者は58.6%と満足度は高い傾. 要であり,男女での悩みの違いや時期に差がある. 向にあった.これは,誰かに打ち明けることによ. ことを配慮することが大切である.そのためには,. り発散され,情緒的に安定することが考えられ,. ひとりひとりの発達段階にあわせた個別指導が望. 学校や家庭は相談しやすい環境を作り,養護教諭. ましく,学校と家庭の連携が重要である.養護教. も専門的知識や保健室の機能を生かし相談しやす. 諭は,個人の発育発達を見極め,個別指導を行い. い環境を整えることが必要と考える.. やすい立場にあり,養護教諭が中心となって行う ことが効果的と考える.. 相談しない理由は「相談するのがはずかしい」 「誰に相談すればいいかわからない」「相談相手 がいない」が女子に多く,′ト学生を対象とした我々. 3)相談状況. 学年差はなかったが,相談経験がある男子. の調査7)でも同様であった.女子は相談したい気. 持ちはあるが,羞恥心や相談相手の確保ができて. 13.6%に対し女子45.2%と女子に多く,′ト学生を. いないことから相談しないことがうかがわれる.. 対象とした我々の調査7)でも同様であった.男子. 子どもの身近にいる保護者や教員が性に関する相. は性に関する悩みを自分の中にしまい込んでいる. 談のよき相手となれるよう,普段から会話をする. 様子がうかがえる.. などのコミュニケーションを取って信頼関係を築. 相談相手は,「友だち」が61.7%と最も多く,. き,相談しやすい環境づくり,悩みに答えられる. 大井ら5)の調査でも同様であった.中学生にとっ. よう性に関する知識を身につけておかなければな. て友人の果たす役割は大きいことがわかる.「学. らないと考える.. 校の先生」10.2%,「養護教諭」11.7%と教員に. 相談する者は1割程度であり,相談相手として教. 3.性に関して知りたいこと. 員の存在は薄い傾向であった.中学生にとって友. 1)性に関することで知りたいこと. 人の果たす役割は大きいが,思春期にある中学生. 知りたいことでは「異性のこころ」が全体で. の悩みは深刻かつ複雑になることが考えられ,身. 24.9%と最も多く,東京都性教育研究会4)の調査. 近な大人である親や教員の役割が期待される.そ. でも同様であった.′ト学生を対象とした我々の調. のため,日頃からのコミュニケーションで信頼関. 査7)では ,「異性の気持ち」が11.2%であったこ. 係を築き,話しやすい雰囲気や場所・時間の確保. とから,中学生期から急速に異性への関心が高ま. を行う必要があると考える.. ると考えられる.. 性に関する悩みを「父親」に相談する者が,男 子23.3%に対し女子4.1%と男子に多かったが, 「母親」に相談する者が男子56.7%,女子45.9%. 「生命の大切さ」は22.9%と「異性のこころ」. に次いで多く,石沢ら8)の調査でも「命の大切さ」 が36.0%と最も多かった.近年,少年による殺人. と共に多かったことから,父親の性に関する相談. 事件・暴力行為・いじめ・自殺・薬物乱用・人工. 相手としての役割不足がうかがわれ,特に男子に. 妊娠中絶,売買春など,自分や他人の生命や身体. 対しての父親の性教育への積極的な参加が望まれ. を大切にできない行動が子どもに増加しているこ. る.. とから関心が高かったと考える.生命尊重に関し その他で「病院」「カウンセラー」に相談する. ては中学校の道徳で扱われているが,子どもや保. と回答した者がおり,専門機関への相談も有効で. 護者のニーズにあわせ,性教育を含めた全教育活. あると考える.子ども達の性に関する悩みに,い. 動で行っていく必要があると考える.. つでも的確なアドバイスを与えられる体制を整え. 二次性徴の現れる頃から性に関することへの関. 41.
(13) 秋田 和/一・芝木芙沙/一・笹鳩 山芙. 心が高まり,現在の学校教育では扱われていない. ′ト学生を対象とした我々の調査7)では47.3%とほ. ものへの関心もあった.学校や家庭でその関心に. ぼ変わらない傾向であった.. 答える体制が整っていなければ,子どものフラス トレーションはたまり友人やマスメディアからの. 交際相手がいる者は,全体で14.4%であり,1. 年生9.9%,2年生10.5%,3年生22.2%と1・. 誤った情報を信じてしまう場合も考えられる.性. 2年生に対し3年生に多かった.′ト学生を対象と. 教育の指導計画を立てる時,子どもや保護者の関. した我々の調査7)では9.0%であり,中学生にな. 心やニーズに配慮しながら発達段階に応じたもの. り学年が進むごとに増加傾向にある.東京都性教. を考えなければならない.保健室は心やからだに. 育研究会4)の調査では,交際相手への意識は1990. 関することを知る場であり,養護教諭は子どもの. 年∼1999年の問に「親友」が激減し,「恋人」「結. こうした関心やニーズを聞きやすい立場にある.. 婚相手」と考えている生徒が増加していることか. ′トさな疑問でも日頃から耳を傾け,他の教員や家. ら,性行動に対する判断力や意志決定能力を高め. 庭に伝えていく重要な役割が期待される.. るよう具体的な指導が望まれるとしている.. 2)性に関する質問を最初に誰にするか 全体では「友だち」が50.3%と最も多かったが,. 2)性自認. 自己の性を肯定している者は,男子74.5%に対. ′ト学生を対象とした我々の調査7)では,全体で. し女子48.4%と男子に多く,東京都性教育研究会4). 18.4%であり,中学生期になると友だちとの関係. の調査でも同様であった.自己の性を肯定する女. も親密になり,性に関することを友だちに相談す. 子が男子よりも少ないのは,月経があることや,. るようになると考えられる.. 「男は仕事,女は家庭」などといった伝統的な性. 「養護教諭」は2.5%,「学校の先生」は1.4%. 役割観によるものと考えられるが,本調査の初経. と低く,′ト学生を対象とした我々の調査7)でも同. があった時の気持ちでも,「女に生まれたことが. 様の傾向であった.本調査の情報源として授業・. 嫌になった」「子どもを産む人にだけあればいい. 教科書とした者が約7割と最も多かったが,教員. と思った」など女性や母性に否定的な意見があっ. に質問する者がほとんどいなかった.. た.最も身近にいる同性の母親や女性の多い養護. 性に関する疑問に対し,友だちに質問したり自. 教諭が,同じ女性として共感し,自己の性を肯定. 分で調べたりすることによって正しい答えが得ら. 的に受け止められるような月経指導や個別指導を. れるとは限らない.家庭は,何でも話せる雰囲気. 行うことが必要と考える.. づくりや質問に答えられるよう保護者の準備を整. 好きな人がいる者69.0%に対しいない者. えておく必要がある.学校でも,子どもが自ら学. 56.4%,女子で交際している者67.5%に対し交際. ぼうとする授業づくりや質問しやすい雰囲気づく. していない者43.9%と,好きな人がいる者や交際. りが大切であり,ゆっくり話せる時間や場所を確. している者に自己の性を肯定している者が多かっ. 保し,子どもからの質問を受け止める教員の積極. た.好きな異性や交際相手がいることにより,自. 的な姿勢が望まれる.また,保健室には心やから. 己の性を肯定し思春期における人間形成に影響を. だに関する専門的な本や資料があるので,子ども. 与えていることが示唆された.このことから,相. が調べられる場として活用すると効果的と考える.. 手の気持ちを思いやり,自己の性も肯定できるよ うな異性への好意と男女交際のあり方について学. 4.性意識について. 校や家庭でも日頃から会話していくことが有効と. 1)好きな異性の有無と交際状況. 考える.. 好きな異性がいる者は,全体では45.1%と約半 数であり,大井ら10)の調査でも同様であった.. 42. 女子はもちろん男女共に自己の性に肯定感が持 てるよう,学校教育全体や家庭での教育が必要と.
(14) 中学生の性意識の実態調査. 考えるが,性同一性障害などもあることから,性. 達の成長という喜ばしいことであるのに,精通と. を強調するだけではなく自分は生まれてよかった. 初経の家庭での扱いは大きく違うことがわかる.. と自己肯定感を高められるような配慮が必要と考. 精通経験によっで性的快感を知るようになり,射. える.. 精に関する悩みも出てくると考えられるので,男 子にも身近な大人に話しやすいよう配慮が必要と. 5.射精・月経について. 射精・月経のあるものはそれぞれ19.1%,. 考える. 射精知識の情報源は,「友だち」が最も多く,. 81.1%であり,3年生女子では88.6%とほとんど. 次いで「本」であったが,月経知識の情報源は,「母」. の者に月経があった.東京都性教育研究会4)の調. が最も多く,次いで「授業・教科書」であった.. 査でも,射精がある男子は1年生25.6%,2年生. 男子に対する射精指導はほとんど実施されてな. 54.7%,3年生59.4%であり,月経がある女子は. く,女子に比べると学校や家庭など身近な大人か. 1年生75.8%,2年生90.5%,3年生95.0%と3. ら教えてもらうこともない傾向にあった.. 年生の女子のほとんどは月経があり同様であっ. 精通・初経があった時どのような気持ちであっ. た.射精があるかわからない者が41.4%と男子が. たか自由記述で質問したところ,男子では「覚え. 多かったのは,性知識で射精・精通・マスター. ていない」,「特に何も思わない」という回答が多. ベーションで男子の認知度が低いためや月経と. く,精通を特別なものとして受け止めていないこ. 追って特別な処置が必要ではないことなどの要因. とがうかがわれた.しかし,「気持ち悪かった」. が考えられる.そして,女子には学校で月経指導. と嫌悪感を書いた者もいた.また,精通が来る前. を実施していることが多く母親から月経について. に射精を知らなかった者の記述では,「びっくり. 教わることも多いが,男子には保健の授業以外で. した」と驚きや「後で精通であったと知った」な. 射精について学ぶ機会がないことも理由の一つと. どの精通を認識していないもの,「何か病気になっ. 考える.したがって,女子だけではなく男子にも. たのかと思った」と不安感などがあった.このよ. 射精指導なるものを行い,同性である父親や男性. うに,精通が来る前から射精を知らなかったこと. 教員による積極的な性に関する指導の参加が望ま. により,「病気」といった認識の誤りがみられ,. れる.. 無知による悩みも出てくる可能性が考えられる.. 精通・初経の時期では,精通経験は18名と中学 1年生がピークで,初経初来は40.9%と′ト学6年 生がピークで,1年ほどの時期的なずれがあり,. 東京都性教育研究会4)の調査も同様であり,精 通・初経の時期は女子に早い傾向があった.. 精通・初経があった時最初に誰に話したかにつ. したがって,男子に対しても精通経験以前からの 射精指導なるものを学校や家庭で行うことが必要 であると考える. 女子では,「気持ち悪かった」,「こわかった」,「不 安だった」,「いらない」などの否定的な回答が目 立った.また,「どうして女の人だけなのか」,「女. いては,女子では88.6%の者が母親に話している. に生まれて損した」などの自己の性を否定する回. のに対し,男子では誰にも話さない者が30名と最. 答や「子どもを産む人にだけあればいいと思った」. も多かった.これは,月経には適当な処置や生理. などの母性を否定する回答があった.堀井ら11). 用品が必要となることや,同性として普段から月. は,このような心理状態をもたらす一因として,. 経について母親と話していることなどが理由と考. 月経痛の発現があり,思春期に月経を肯定的に理. えられる.同性である父親に話したと回答した男. 解させ,月経痛をはじめとする随伴症状に適切に. 子は1名であり,ここでも父親の役割不足がうか. 対処できる,セルフケアの教育をすることが重要. がえる.. としている.また,月経痛が器質的な疾患による. 精通・初経という同じ二次性徴であり,子ども. ものも考えられるので,養護教諭としては必要が. 43.
(15) 秋田 和/一・芝木芙沙/一・笹鳩 山芙. あれば専門機関の受診を勧めるなどの対処も必要 と考える.「うれしかった」などの肯定的な回答. 2)出会い系サイト 興味がない者が全体で82.2%であった.東京都. も少数あったが,初経が来る前に月経を知らな. 性教育研究会4)の調査でも同様に,ほぼ80%が出. かった者では,このような肯定的な回答はみられ. 会い系サイトヘの興味はないと回答している.し. ず,不安や嫌悪感,母性を否定する回答が目立っ. かし,「接続または電話をしてみたいと思った」. た.初経を迎えた時に肯定的な気持ちを持つため. 2.7%,「接続または電話をしたことがある」1.8%,. には,初経が来る前から月経を知っておくことが 必要であることが示唆された.. このように,男女共に精通・初経経験以前に射. 「接続または電話をして異性と知り合ったことが. ある」1.4%と少数ではあるが出会い系サイトに 興味のある者がいた.また,その他で「違うサイ. 精・月経指導を行うことが望まれるが,二次性徴. トを見ていたのに勝手に接続されてしまった」者. には個人差があり集団での指導には限界があると. もおり,興味の有無に関わらず出会い系サイトに. 思われる.そのため,学校での集団指導にあわせ. 関わってしまうケースがある.. て教員や保護者による個別指導が有効であると考. 出会い系サイトを利用した犯罪が急増したこと. える.特に,男子には父親や男性教員といった同. から,「インターネット異性紹介事業を利用して. 性の先輩の役割が期待される.養護教諭としても,. 児童を誘引する行為の規制等に関する法律」が平. 専門的知識を持つ者として,子ども達の発達段階. 成15年9月13日から施行されており,この法の制. に応じた指導を積極的に行っていくことが期待さ. 定により子ども達が犯罪に巻き込まれないように. れる.. なることが期待されるが,学校や家庭としても出 会い系サイトの問題について積極的に取り組まな. 6.インターネット・携帯電話について. ければならないと考える.. 1)利用状況. インターネットは,利用経験がない者が3.9%. とほとんどの者が何らかの形で利用したことが あった.自分専用で利用している者が11.9%,家. Ⅴ.まとめ 旭川市内の中学校1校に在籍する437名を対象. 族と共同で利用している者が60.9%と7割以上が. とし,中学生の性意識について調査を行ったとこ. 自宅で利用していた.. ろ,次のような結果が得られた.. 携帯電話は,自分専用で利用している者が. 1)性知識に関して「ストーカー」「セクハラ」「出. 34.6%,家族と共同で利用している者が14.6%と. 会い系サイト」「援助交際」の意味を知って. 約半数の者が利用していた.. いる者はそれぞれ87.0%,82.2%,77.3%,. インターネットによる情報は膨大であり,望ま. 64.1%と認知度が高かった.これらの用語は. なくても情報が入ってくることはしばしばであ. マスメディアで多く取り上げられており,子. る.また,性に関する情報が氾濫しており,正し. どもに及ぼす影響は大きい.. い知識が得られるとは限らない.今後,子ども達. 2)性に関する情報源は,「授業・教科書」が. の携帯電話利用率はさらに高くなることが考えら. 68.0%と最も多く,学校での指導の影響は大. れ,インターネットを利用する機会はこれからも. きい.学校教育での性教育の指導内容の検討. 増えると考えられる.学校や家庭は早急にイン. やカリキュラムの体系化を行うことによっ. ターネットの情報選択の指導やインターネットに. て,性に関する正しい知識を身に付けさせる. よる犯罪に巻き込まれないよう配慮しなければな. ことができると考える.. らないと考える.. 3)性に関する悩みを「父親」に相談する者が, 男子23.3%に対し女子4.1%と男子に多かっ. 44.
(16) 中学生の性意識の実態調査. たが,「母親」に相談する者が男子56.7%,. い者が3.9%とほとんどの者が何らかの形で. 女子45.9%と共に多かったことから,父親の. インターネットを利用したことがあった.携. 性に関する相談相手としての役割不足がうか. 帯電話の利用状況は,自分専用で利用してい. がわれる.. る者が34.6%,家族と共同で利用している者. 4)その他で「病院」「カウンセラー」に相談す ると回答した者がおり,専門機関への相談も. が14.6%と約半数の者が利用していた.. 11)子ども達がインターネットを利用する機会は. 有効と考える.子ども達の性に関する悩みに,. これからも増えると考えられ,学校や家庭は. いつでも的確なアドバイスを与えられる体制. 早急にインターネットの情報選択の指導やイ. を整える必要があり,家庭・学校・地域の専. ンターネットによる犯罪に巻き込まれないよ. 門機関などの連携が重要と考える.. う配慮しなければならないと考える.. 5)「生命の大切さ」を知りたい者は22.9%であっ. 12)出会い系サイトに興味を持ったことがない者. た.生命尊重に関しては道徳で扱われており,. が全体で82.2%であったが,「接続または電. 子ども達や保護者のニーズにあわせ,性教育. 話をして異性と知り合ったことがある」者が. を含めた全教育活動で行っていく必要があ. 1.4%,「接続または電話をしたことがある」. る.. 者が1.8%,「接続または電話をしてみたいと. 6)自己の性を肯定している者は,好きな人がい. 思った」者は2.7%と少数ではあるが興味の. る者69.0%に対しいない者56.4%,女子で交. ある者がいた.出会い系サイトを利用した犯. 際している者67.5%に対し交際していない者. 罪が急増しており,学校や家庭でも「出会い. 43.9%と,好きな人がいる者やつきあってい. 系サイト」の問題に積極的に取り組まなけれ. る者に多かった.好きな異性や交際相手がい. ばならないと考える.. ることにより,自己の性を肯定し思春期にお ける人間形成に影響を与えていることが示唆 された.. 以上のことから,子ども達がマスメディアから の誤った性情報を取り入れる以前からの系統的で. 7)射精知識の情報源としては,「友だち」がと. 発達段階に応じた性教育が必要と考える.そのた. 最も多く,次いで「本」であった.男子に対. めには,子ども達に接する学校・家庭・地域が連. する射精指導なるものはなされておらず,学. 携し,子ども達の実態に則し一貫した性教育を行. 校や家庭など身近な大人から教えてもらうこ. うことが重要と考える.また,ピアカウンセリン. ともない傾向にあった.. グ手法を用いた性教育やライフスキルトレーニン. 8)精通があった時の気持ちでは,精通に無関心. グを組み入れた性教育なども有効と考える.養護. な回答や認識していない回答,嫌悪や不安の. 教諭は,学校・家庭・地域全体のコーディネータ. 回答があった.このことから,男子に対して. としての役割が期待され,さまざまな情報を収集. も精通経験以前からの射精指導を学校や家庭. すると共に子ども達や保健室以外と積極的に関わ. で行う必要があると考える.. り信頼関係を築くことが重要と考える.. 9)初経があった時の気持ちでは,否定的な回答 が目立った.自己の性や母性を否定する回答 もみられ,その一因として月経痛が考えられ. 今回の調査は,1校のみの調査のため,今後対 象校を増やしての調査検討が必要である.. 稿を終えるにあたり,調査にご理解とご協力を. る.初経指導や月経指導では,月経痛に対す. 賜りました校長先生をはじめ,諸先生方および生. るセルフケアの方法もあわせて行うと効果的. 徒の皆様に心より感謝いたします.. と考える.. 10)インターネットの利用状況は,利用経験がな. 45.
(17) 秋田 和/一・芝木芙沙/一・笹鳩 山芙 271284,2004. 文 献 1)文部科学省:学校における性教育の考え方,進め方,. 1,ぎょうせい,東京,1999 2)上田邦枝:効果的な性教育を行うための要因分析一. 中学生の性行動を触発する潜在的意識と性教育の ニードから一,看護教育研究収録,26:379,2000 3)北海道性教育研究会:第33回北海道性教育研究大会 札幌大会要項:10,2004 4)東京都幼稚園・小・中・高・心障性教育研究会:2002 年調査 児童生徒の性,学校図書,東京,1999. 8)石沢敦子,佐光恵子,矢島まさえ:中学2年生とそ の保護者の性に関する意識調査一性教育における看 護専門職の役割,上武大学看護学研究紀要,2: 8388,2004 9)平井信義:思春期の性の悩み,小児科,1説7):643647, 1977 10)大井仲子,小原ルリ子ほか:中学生の男女交際,母 性衛生,36(1),165172,1995 11)堀井節子・桝本妙子,福本忠:短大生の月経と性教 育に関する意識,京都府立医科大学看護学科紀要,12 :4954,2002. 5)大井仲子ら:中学生の性意識と性知識,母性衛生,36 (1):156164,1995 6)斎藤剛史:性教育,中学教員の4剖が「自信ない」 相模原市教育研究所が「子どもと性実態調査」,内外. 教育:67,2001 7)秋田和子,伊東久見子ほか:′卜学生の性意識の実態 調査,北海道教育大学紀要(教育科ヴ編),55(1):. 46. (秋田 和子 八尾市立西山本′ト学校 元旭川校大学院生). (芝木美沙子 旭川校助教授) (笹鴫 由美 旭川校教授).
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