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二層構造を有する繊維中の低分子拡散I. : 理論的考察

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Academic year: 2021

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(1)231. 二層構造を有する繊維中の低分子拡散I.理論的考察. 福田光完ホ (平成4年9月30E]受理) 1.緒言 繊維中の低分子拡散は実用上重要な問題である。例えば,染色は動的な視点からみれば 染料分子が繊維中を拡散する現象であり,吸湿は大気中の水分子の繊維中への拡散,また 乾燥は反対に繊維中の水分の大気中への拡散現象と見なすことができる。通常繊維へのこ のような低分子拡散は, Fick型を仮定して解析される場合が多い。従って,そこで得られ る拡散定数は, -様な構造を持つ円柱状繊維に対しての値である。しかし,実際には繊維 が-様な構造であることはむしろ少なく,厳密にはFick型を適用することは誤りである。 本研究で対象とする"二層構造を有する繊維"とは,特殊な繊維ではない。羊毛は,キュー ティクルと呼ばれる表皮構造を持っており,内部とはきわだって異なる性質を示す言わば 天然の二層構造繊維である。また合成繊維においてはスキン・コア構造を持つ場合が多く, スキン層ではコア層より分子が配向しているのが通常である。また2種の繊維の長所を発 現させるために,表層と内部層と異なる材質を用いた特殊な加工を行った繊維も知られて いる。光ファイバーの中で最も実用化されているコア・クラッド型は,まさに内部と表層 が異なる材質からできている。かつてCrank"はスキン・コア構造のある繊維に対する染 料の拡散を扱っているが,その解析は近似的な数値計算であり,それ以降も厳密な解は, 筆者の知る限り導かれていない。また, Carslaw & Jaeger2'は,同軸二層円筒体に対す る,熱伝導方程式をラプラス変換によって求める方法を示しているが,現実には二層以上 の円筒体に対しては,数学的な処理が大変であるため一般的ではない。 Carslaw & Jaeger以降Tittleによって示された熱伝導方程式の解法3,4)は, Orthogonalexpansion techniqueと呼ばれ,多層円筒体に対しても比較的計算が容易であり,あらゆ る境界条件に対して満足する解を得ることができる。熱伝導方程式は,拡散方程式と数学 的に等価である。本研究ではまず,彼らの方法を基本として,上で述べたような二層構造 を有する繊維に対し,拡散方程式の解および低分子総量の時間依存性に関する式を示す。 実際の計算結果については続編において総合的に示す予定である。 2.理論 [2 - 1.二層構造繊稚内における濃度分布] 図1に示すように表層および内部層からなる十分長い同軸二層円筒体を考える。表層と 内部層の界面は媒体的に連続であり,拡散を阻害する要素はないとする。内部層および表 層における濃度は,半径方向の位置および時間の関数であるのでそれぞれGO, t),およ びGO, t)で表されるが,以後簡単にCl,およびC2と記す。またDlおよび刀2を,それぞ れ内部層,表層の拡散定数とし,内部層の半径をa,円筒体外部(繊維)の半径をbとす ると内部層および表層での拡散方程式は,それぞれ式(1-a)および式(1-b)で与えられる。 '兵庫教育大学第5部(生活・健康系教育講座).

(2) 232. 1∂G +--. ∂2G. r∂r. ∂Ta. ♂. a. (ir. ∂C2 ち. ′. 1∂G Dl ∂t l∂G. 0 ≦r≦a, t>0. U-a. a≦r≦b, t>.Q. (1-b). III. r-a, r-bでの境界条件は,繊維をとりまく雰囲気中(r≧b)の濃度をCutとすると a-a tin. Dlうγ - D2票 o2 - Com. r-a,. 」>o. (2). r-a,. 」>o. (3). r-b,. 」>0. (4). である。最初,内部層および表層での濃度が一定, a,であるとすると,初期条件として C¥-Co. 0≦r≦a, t-0. c/2 - Co. a≦r≦b, t- Q. 図1二層構造を有する繊維モデルDi, D2はそれぞれ内層および表層の拡散定数, a′ bはそれぞれ内層および繊維の半径O となる。ここでG'-G-C。ut. Ci'-Ct-CmとおけばCi', Ciも拡散方程式を満たし, 以下のような形で表される3,4) G'n=lX,サ(r)・exP(-Di乱l) a-」An n=lX2nO)・exp(-D:湖nl).

(3) 二層構造を有する繊維中の低分子拡散. 233. ここで Xin(r) - J。(βtar). X2nO) - Bn [Jo(/32nr) +CnYo(/8far)] となる。 Joは, 0次のBessel関数, Yoは, 0次のNeumann関数である。 B。およびCnは, 以下に示すように境界条件(3)および(4)より求められる定数である。まず,境界条件(4) は,第1種境界条件を満たすから, X2n(fe) - Bn [J。(β*,ォ+CnY。(β*,ォ] - o. (8). Bn≠0であるから Jo(β2nォ+0,7,,(β*6) - 0. (9). すなわち. Jo (β*ォ. cn. (10). Yo (」サ,ォ. 次に境界条件(2)より Jo (βォ) - Bn [J。 (β2na) + G,Yォ(βIn(til. Jo (ySina). Bn. [J。 (β!na) +cny。 (β,a)]. となる。一方β1。, β2。は,境界条件(3)より Dlβ.ォ/! (βi。a) - Aβ2nBn [J, (β&a) + CnY, (β*,a)] (13) を満たす解である。なおa, a,とβln, β2。とは,. Dl朗- aβ∃n. (14). の関係を持っ。さて,式(6-a), (6-b)におけるAnは, C。 - C。 C。utとおくと. /co'Jo(Olnr-) rdr+ j"co'Bn [Jo(/32nr) + 0,Yo(^2nr)] rdr 0. a. fjicβhr)rdr+}B2n[</( 0. で表される.与えられたBnおよびCnを代入し整理すると. An. Jl(β.o). 2CO'Ji(βina)HJo( dβ,a){. aβ Jl(βnd)+Jl(β,a) {. aπβ2n〟 J.(β ,a). 4. d調(βma). (aπβ2, /02調(βma) (16). となる。ただし d-. (17).

(4) 234. /I-J。 (βfca) Yo (βfc6) - J。 (β*.W Fo (β2na). (18). である。 β上n, β2nは,式(13)を書き直すと以下の式を満たす解となるo d-Ji(βサa) W(β*,a) yサ(β*.ォ-Jo(β*.ォY,(βina) - J。.(βInfl) U (β2nd) Y。 (β,ォーJo (β*.ォYi (β2na)} (19). 従って,最終的に表層および内部層内の濃度分布を示す式は G'-EA, n=lJo(β,nr)・exP(-D,飢l) J. (β,a) G' U(β*r) Y。(β!n6) SA. n-l Jo(β*.&) Yi(β,r)}・exp (-a離。t). (20-a). (20-b). で与えられる。ここでGは,定数と考えているので, A。項内のG'をA。項の前にだして 改めてAn-C。A'と書き換え,さらにa*-a-C。ut, 02 -C2 C。u C。 - C。-c。utを代入すると式(20-a)、 (20-b)は,. G-CO a -Co C2 Co. c。M -a. =1-2An' n=i蝣Jo(β,r)・exP(-A離nt). (21-a). -1-1A.' n=l些旦逆U(βサ,r)yo(β*,&)〟 Jo(β2nb)Ye(β2nr)}・exp(-fl那t)(2Lb). 以上で二層構造円筒体に対する拡散方程式の解,即ち繊維内における濃度分布をしめす式 が求められた。こやらの解は簡単のため初期繊維内における濃度(CO)を定数としたo Lかしもし, Gが半径rの関数である場合,式(15)におけるAnを,数値積分する必要 がある。しかし実際の拡散実験においては,試料を絶乾にした後にある一定の蒸気圧の低 分子を導くことによってスタートする場合が多い。 (染料拡散においても同様の実験条件 が考えられる。)このような場合には最初,繊維内の濃度が0であるから式(21-a)およ び式(21-b)においてG- 0とすればよい。 式(21-a)および式(21-b)は,それぞれa-0あるいはa-bとした場合,よく知 られた均一円筒体の濃度分布を示す式になるoこれについては, [追加]に示した。 [2-2.中空繊維内における濃度分布] 上で示した方法を用いれば,図1において内部層がない場合,即ち中空繊維に対する濃 度分布式が簡単に計算できる。拡散方程式(1-b)に対し,中空部分(0 ≦r≦a)におけ る濃度を繊維をとりまく雰囲気の濃度と等しく,かつ最初,繊維内の濃度が一定, C。, であるとすると,境界条件は a - c。ul. r-a, r-b, 」>O. Cz- Co. a≦r≦6, t- 0.

(5) 二層構造を有する織維中の低分子拡散. 235. となる。さらに, G'-G-C。utとおけばG'も拡散方程式を満たし,式(7-b)が成り立 つ。上に示した境界条件より Bn [Jo (5&a)+CnYo (/32na)J -0 BB [J。 (β2nb)+CJ, (β*,ォ] -0 Bn≠0であるから Jo (β2na) +C,Y。 (β>.no) -0 Jo (β2nft)+CnY。 (β*.ォ-0 従ってC。は Jo (β2nd) J。 (βtォ. c,--. Yo (β2ォa) Y。 (β.6). Jo(β,a) Y。(β,ォ-Jo(βサ,b) Yサ(β2na) -0. これがβ2。の満たす条件である。 b. /cvBn [Jo(j8*,r) + Cn yo(/32nr)] rdr a. Effl. (30). b. JB芝[J。(β2nr) +an(β2nr)P rdr a. となり,これを整理すると Co'. Bn. 2.. 1. β2n πβ yサcβ.ォ. Yo (β2r, a). l ^^^^^^^H. ㌢(忘. Ⅵ(β*,&) ykβ2nd) Co'. Bnβ2n (忘) [. Y.(β2nb)+Y。 (β ,a). (30"). Yo(β*ォyo(β2nfiO. 式(28)の関係を用いると Co'πJo (β>.no) (31). Bn U(β2na)+J。(β*,ォ]. Co'πJ. (β2nd). [c/.(β2nr) +. n-l J。tβ2na)+J。(β・サ6) an. cβ. ,/蝣)]・exp. (-Aβ召U). (32).

(6) 236. 式(28)で与えられるC。,および02 - 02 G。ut* CO - Co C。utを代入すると, Coが定 数の場合には Ci Co. Cut -CO. πJo (βina) 1-∑ -1 J。(β2na) +J。(β2サォ. [J。(β*,r) y.(β,r) +. Jo(β*,ォMβ2nr)]・exp {-D2β召U) (33). [2 - 3.二層構造繊維中の拡散物の総量] 表層および内部層での拡散低分子の重量はそれぞれ a. M.t - 2πJG'rdr ≦r≦a 0 b. M.t - 2πJG'rdr ≦r≦b a. 上式を,最初,繊維内には拡散物は存在しない,即ちG-0として計算すると aMi.t=πa2CL ̄2πCou蝣2An' n-l瓦 ̄ォ/.(βlna)exp(-」>!Pit) (35-a). J.(βma). M2,t=π(62-a2)aut-2πcoutXAn' n-1. 〝β2。. Jl(β,o). 2. :言・i./.'i. Jo (PiuO). }・exp(-aβ至nt). (35-b). t--の場合には,繊維内の濃度は一様にCLtになるから M(-) -M,(-) +M,(-) (36). -πVCM. 時間tにおける重量をM (i) - Mu+Mtilで表すと,最終的に求める式は M (t) ML-l. J. (βInfl). --14ZAn n=l. exp (-AβIt) (37). fibl β召nπ. ただし前にも示したようにdおよびFLは,それぞれ式(16),式(17)で与えられる。. [追加] a-0の場合 aが極めて小さい(a-0)のときJo(β a) -1, Ji(β.na)であるから式(16) は. A。. 2C。'2/aπβ2n〟d aβ (2, πβ>.サuy. Co'u n. (A-1).

(7) 二層構造を有する破綻中の低分子拡散. 237. となる。さらに式(19)にJo(β,a) -1, Ji(βtao)を代入すると Jo(/32n&)・Yi(j8fca). -. (A-2). 0. となるが, a-0のときYl(β&a)一一COとなるのでこの式が成立するには明らかに. Jo(β.ォ- 0. (A-3). でなければならない。すなわちこれがβ2nの値の条件となる。 式(A-1), (A-3)を式(20-b)に代入すると Oi - ∑Co'πFL・. Jo(β&r) Y。(β,ォ e x p (-」>2 β茎u) (A-4). n-l. ここで一般に Jo(βfc6) Yi(βhォ-Jl(β*,ォyサ(β2nb) - - 2/(πβ*,ォ が成り立っので式(A-2)を用いて. Yo(B^b). (A-5). πβtbJi(β*.ォ. となり,従って a. ∑G' RBI. 2J,{Biur). bβ Ji(β,6). exp(-Aβ∃nl). (A-6). 02 - C2 C。utサC。 - C。-v-'。uであるからCoが定数の場合には C2 、Co. ニ2Jo(βznrj. 1-∑. -1 bβ2nJl(βサ,w. C-out 」-o. e x p (-.ft β召U) (A-7). 上式は,通常の円筒体に対する式と一致する。 a-bの場合 上の関係はa-bとした場合にも簡単に導くことができる。式(18)においてa-bとお くと. H^^^^Hi. (A-8). であるから式(19)は J.(β.a) o!Ji (βta o). U(β*,a) Y。(β2na) -c/。(β*,a) 7i(β2na)} - 0 (A-9). となる。上式において Jo(βno)Fi(/Sna)-J,(βサa) Y.(β.a) - -2/(πβna). が常に成り立つので.

(8) 238. (A-10). Jo(βina) - 0 でなければ式(A-9)は成立しない。従ってA。は 2CO' ES. (A-ll). aβ Ji(β-a). このAnを式(20-a)に代入すると G'. 2J。(βu,r) ≡ (.,''. exp(-A離nt). (A-12). n-l ̄v aβ.ォ/.(β..a). ここでCi - Ci G。utサC。 - C。-GutであるからGが定数の場合には Ci. C。ニ2J。(βinD -1-∑. c。nt-C。 n-l βォ/l(β.a. e x P (-」>,都nt) (A-13). となる。すなわちこの場合もa- 0とした場合と同様に,均一円筒体に対するFick型拡散 式の解を導くことができる。.

(9) 二層構造を有する繊維中の低分子拡散. 239. References. 1. J. Crank and S. M. Godson, Phil. Mag. (7), 38, 794 2. H. S. Carslaw and J. C. Jaeger "Conduction of Heat in Solids", Second Ed. (1959) Chap. 13, Oxford University Press 3. C. W. Tittle, J. Appl. Phys. 36, 1486-1488 (1965) 4. M. N. Ozisik "Boundary Value Problems of Heat Conduction", (1968) Chap. 6, International Textbook Co.. 5. J. Crank "The Mathematics of Diffusion" Second Ed. (1975), Chap. 5 and Chap. 9. Oxford University Press.

(10) 240. Diffusion in a bicomponent core-sheath fiber I. Theory Mitsuhiro FUKUDA The diffusion equation of low molecular weight substances into a coaxial cylinder of dual components was formulated and solved by using the orthogonal expantion technique. The result can be applied to the analysis of the diffusion in a bicomponent (different chemical components) core-sheath fiber or a fibrous material with skm-core structure..

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参照

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