Title
戦時下の沖縄県政−昭和十八年知事事務引継書の周辺−
Author(s)
大城, 将保
Citation
沖縄史料編集所紀要(2): 79-122
Issue Date
1977-03-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/7633
Rights
沖縄県沖縄史料編集所
戦
時
下
の
沖
縄
県
政
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昭
和
十
八
年
知
事
事
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大
城
将
保
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 } は じ め に 昭 和 十 二 年 ( 一 九 三 七 ) の 日 中 戦 争 の 勃 発 か ら 昭 和 二 〇 年 ( 一 九 四 五 ) の 敗 戦 に い た る 戦 時 体 制 の 時 期 は 銃 後 国 民 に と っ て も 未 曽 有 の 暗 い 受 難 の 季 節 で あ っ た ( こ こ で は 昭 和 六 年 満 州 事 変 の 勃 発 か ら 十 二 年 ま で は 準 戦 時 体 制 の 時 期 と み る )。 日 本 に と っ て 初 め て の 国 家 総 力 戦 は 前 線 と 銃 後 ( 国 内 ) が 密 接 に つ な が り 、 国 内 の 生 産 力 が 直 接 的 に 戦 局 の 動 向 を 左 右 す る 重 要 な 要 素 と な っ た 。 帝 国 日 本 は 外 に 対 し て は 「 大 東 亜 共 栄 圏 」 の 美 名 の も と に ア ジ ア の 民 衆 を 武 力 侵 略 で 躁 鋼 し 、 内 に 向 っ て は 銃 後 国 民 の 戦 力 化 を は か り 、 精 動 運 動 ( 翼 賛 運 動 ) と 国 家 総 動 員 法 を 二 本 の 軌 条 と し て 、 苛 酷 な 統 制 と 収 奪 と を エ ス カ レ … ト さ せ 、 多 く の 無 告 の 国 民 を 皇 国 の 破 滅 の 道 つ れ に し た 。 こ の 総 動 員 体 制 の 結 末 は 実 際 に 戦 場 と 化 し た 沖 縄 に お い て も っ と も 典 型 的 に そ の 本 質 を あ ら わ に し て い る 。 総 動 員 体 制 に 緊 縛 さ れ た こ の 時 期 の 銃 後 国 民 の 意 識 と 行 動 、 お よ び そ の 生 活 の 実 態 を 些 細 に 観 察 す る こ と は 、 い わ ゆ る 「 大 東 亜 戦 争 」 の 歴 史 的 本 質 を 解 明 す る う え で も 、 総 合 的 な 戦 史 研 究 を 進 め る う え で も 欠 か す こ と は で き な い 。 さ ら に は 、 民 衆 的 な 観 点 か ら 戦 争 体 験 を 歴 史 的 教 訓 と し て 理 論 化 し て い く う え で も 重 要 な 課 題 で あ ろ う 。 と く に 、 「 軍 民 一 体 」 の か け 声 で 県 民 一 般 が 戦 線 に 立 た さ れ る に い た っ た 沖 縄 に お い て は 、 戦 争 完 遂 の 国 策 が い 一79一か に し て 「 お く れ た 沖 縄 」 の 県 民 生 活 の 末 端 ま で 貫 徹 さ れ る に い た っ た の か 、 沖 縄 戦 の 特 質 と 歴 史 的 位 置 づ け を 解 明 す る う え で も 、 そ こ に 至 る 道 程 を 今 い ち ど 省 み る 必 要 が あ ろ う 。 ま た 、 い わ ゆ る 「 戦 前 」 か ら 「 戦 後 」 へ の 転 換 が 本 土 と 比 べ て 事 情 を 異 に す る 沖 縄 の 場 合 、 民 衆 レ ベ ル で の 連 続 的 要 素 と 非 連 続 的 要 素 と を 腋 分 け す る 作 業 を 含 め て 、 沖 縄 戦 前 後 の 精 密 な デ ー タ の 比 較 検 証 は 戦 後 史 研 究 に と っ て 不 可 欠 に な っ て く る 。 し か し 、 沖 縄 の こ の 時 期 の 史 的 研 究 は A 7 の と こ ろ け っ し て 十 分 と は い え な い 。 そ の 理 由 と し て は 次 の よ う な 事 情 が , 指 摘 で き る だ ろ う 。 ① 何 よ り も 資 料 の 不 備 で あ る 。 行 政 資 料 を は じ め と す る 基 礎 資 料 が お お か た 戦 災 で 焼 失 し 、 ま た 当 時 の 資 材 不 足 で 印 刷 発 行 物 の 量 が お さ え ら れ て い た 事 情 に も よ る 。 ② 当 時 要 職 に あ り 指 導 的 地 位 に あ っ た 人 々 が こ の 時 期 に 関 す る 記 録 を ほ と ん ど 発 表 し て い な い 。 沖 縄 戦 に 関 す る 記 録 類 の 数 に 比 べ て 空 白 と い っ て い い 状 態 で あ る 。 ③ 戦 後 の 沖 縄 で は こ の 時 期 に 関 す る 公 式 の 調 査 が ほ と ん ど 行 わ れ て い な い 。 た と え ば 、 「 ア メ リ カ 合 衆 国 戦 略 爆 撃 調 査 団 報 告 書 」 ( 正 木 千 冬 訳 『 日 本 戦 争 経 済 の 崩 壊 』 ) や 『 第 一 回 日 本 統 計 年 鑑 』 に 類 す る 基 礎 資 料 が 沖 縄 に は な い 。 ④ ま た ・ 一 般 に 戦 時 統 制 経 済 は 分 析 が む つ か し く 専 門 家 の あ い だ で も 敬 遠 さ れ る 傾 向 が あ る と い わ れ て い 電 ⑤ さ ら に は 、 こ の 時 期 が 、 フ ァ ッ シ ョ 的 一 元 化 、 画 一 的 統 制 が 最 も 徹 底 さ れ 、 地 域 そ れ ぞ れ の 諸 問 題 が 国 策 の か げ に 埋 没 せ し め ら れ た 時 期 で あ り 、 そ れ だ け に 一 般 に こ の 時 期 に 関 す る 地 域 史 的 研 究 が 不 振 で あ る と い う 事 情 も あ る 。 い ろ い ろ あ る に し て も 、 資 料 の 不 足 が 決 定 的 な 障 害 で あ る こ と は い う ま で も な い 。 沖 縄 の 場 合 、 『 沖 縄 県 統 計 一80一
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 書 』 『 沖 縄 県 勢 要 覧 』 お よ び 地 域 紙 ( 『 琉 球 新 報 』 他 お よ び 『 沖 縄 新 報 』) が い ず れ も 昭 和 十 五 年 で と ぎ れ て い る の は 偶 然 と は い え 象 徴 的 で さ え あ る 。 県 お よ び 市 町 村 の 行 政 資 料 も こ と ご と く 焼 失 し 、 そ の た め 現 在 に い た る ま で 行 政 事 務 処 理 上 さ ま ざ ま な 支 障 を き た し て い る の が 実 情 で あ る 。 昭 和 十 六 年 以 降 の 主 要 な 行 政 資 料 の う ち 現 存 し て い る も の は 管 見 の お よ ぶ か ぎ り 次 の 数 点 に す ぎ な い 。 ① 「 昭 和 十 八 年 知 事 事 務 引 継 書 」 綴
②
『
市
町
村
下
部
組
織
整
備
状
況
』
綴
③
『
昭
和
十
八
年
沖
縄
県
庁
職
員
録
』
④ 『 現 行 沖 縄 県 令 規 集 』 ⑤ 「 昭 和 十 七 年 八 重 山 支 庁 総 務 関 係 書 類 し 綴 ⑥ 『 第 六 二 回 通 常 沖 縄 県 会 速 記 録 』 ( 昭 和 + 六 年 ) ⑦ 『 第 六 四 回 通 常 沖 縄 県 会 議 事 速 記 録 』 ( 昭 和 + 七 年 ) ⑧ 『 昭 和 十 八 年 通 常 沖 縄 県 会 決 議 録 』 ( 付 県 有 財 産 表 他 ) こ の ほ か 、 『 沖 縄 教 育 』 『 文 化 沖 縄 』 『 朝 日 新 聞 』 ( 鹿 児 島 沖 縄 版 ) 『 海 南 時 報 』 『 沖 縄 新 報 』 ( 部 分 ) な ど の 誌 紙 、 『 産 業 組 合 聯 合 会 三 十 年 史 』 ( 昭 和 + 九 年 二 月 ) 「 島 尻 郡 農 会 関 係 資 料 」、 「 振 興 計 画 関 係 資 料 し ( 県 立 図 書 館 山 下 文 庫 ) 、 部 落 常 会 日 誌 類 な ど あ る が 、 い ず れ も 断 片 的 な 資 料 で あ る 。 こ の な か で 、 最 も 資 料 価 値 の 高 い の は 「 昭 和 十 八 年 知 事 事 務 引 継 書 」 で あ ろ う 。 同 資 料 は 、 昭 和 十 八 年 七 月 に 早 川 前 知 事 か ら 泉 新 知 事 に 引 継 が れ た 県 庁 事 務 引 継 書 類 で あ る 。 各 課 ( ま た は 係 ) ご と に 分 掌 す る 行 政 分 野 の 沿 革 と 現 勢 と 課 題 を 報 告 書 と し て ま と め た も の で 、 要 領 を え た 記 述 と 統 計 資 料 を 多 く 用 い て い る 点 で 利 用 価 値 は 高 い 。 一81一「
戦 時 体 制 下 の 県 政 の 状 況 を 知 る う え で 欠 か せ な い 好 資 料 と い え る だ ろ う 。 同 資 料 は 近 く 沖 縄 史 料 編 集 所 で 『 沖 縄 県 史 料 』 の 一 巻 と し て 発 行 さ れ る 予 定 で あ る 。 同 資 料 を 編 集 す る に あ た っ て 、 少 な く と も 同 時 点 の 県 庁 の 機 構 図 を 参 照 し 、 関 連 資 料 に 広 く あ た る こ と は 不 可 欠 の 作 業 で あ る が 、 現 状 は 当 時 の 県 庁 機 構 図 さ え 残 さ れ で な く 、 そ の 作 成 ( 復 元 ) が ま ず 作 業 の 第 一 歩 と な っ た 。 ま た 、 こ の 時 期 の 地 方 行 政 一 般 が 戦 時 体 制 と い う 特 殊 な 条 件 下 に お か れ て お り 、 戦 局 の 悪 化 と 総 動 員 体 制 の 強 化 に と も な っ て め ま ぐ る し く 機 構 改 革 が 行 わ れ て お り 、 こ の 資 料 を 効 果 的 に 利 用 す る に は 当 時 の 時 代 背 景 に つ い て の 一 定 の 予 備 知 識 が 必 要 と さ れ る の で あ る 。 本 稿 は そ の 準 備 作 業 の 中 間 報 告 と い う べ き も の で あ る 。 作 業 に あ た っ て は 、 広 く 戦 時 期 全 般 を 概 観 し 、 そ の 時 期 の 特 徴 を お さ え 、 さ ら に 沖 縄 県 に 固 有 の 特 殊 事 情 と 問 題 点 を 抽 出 す る こ と に 努 め た つ も り で あ る が 、 資 料 の 制 約 と 筆 者 の 能 力 と 、 お ま け に 紙 数 の 関 係 と で 不 備 の 点 が 多 い の は お お べ く も な い 。 乏 し い 周 辺 資 料 を 基 に 「 昭 和 十 八 年 知 事 事 務 引 継 書 の 周 辺 」 と 題 し て 急 ぎ 稿 を ま と め た の は 今 後 同 資 料 が 行 政 担 当 者 、 研 究 者 は じ め 広 く 一 般 に 活 用 さ れ る こ と を 願 っ て や ま な い か ら で あ る 。 一82一
二
県
行
政
機
構
の
変
遷
昭 和 十 二 年 ( 一 九 三 七 〉 七 月 の 日 中 戦 争 ( 日 華 事 変 ) の 勃 発 を 契 機 に 日 本 社 会 は 戦 時 体 制 に 転 換 さ れ た 。 政 府 と 軍 部 は 侵 略 戦 争 を 拡 大 さ せ て い く い っ ぽ う で 、 国 家 総 力 戦 路 線 の 上 に 立 っ て 、 国 内 の 総 動 員 体 制 を 強 化 し て い っ た 。 思 想 ・ 文 化 面 で の 国 民 精 神 総 動 員 運 動 お よ び 翼 賛 運 動 、 政 治 ・ 社 会 面 で の 新 体 制 運 動 ( 大 政 翼 賛 運 動 )、 経 済 ・ 産 業 面 で の 国 家 総 動 員 法 の 発 動 ( 戦 時 統 制 経 済 )、 こ れ ら を 三 つ の 柱 と し て 、 国 民 に 対 す る 際 限 の な い 統 制 と 収 奪 が 強 行戦 時 下 の 沖 縄 県 政 ざ れ て い っ た 。 こ の た め 、 戦 局 の 悪 化 と と も に 国 民 生 活 は 急 速 に 窮 乏 化 し 、 物 資 の 枯 渇 と 労 働 力 の 払 底 は 生 活 崩 壊 の 危 機 に ま で い た ら し め た 。 あ げ く の は て 、 直 接 の 戦 災 に よ っ て 終 止 符 が う た れ た の は い う ま で も な い 。 総 動 員 体 制 は 、 今 な お 「 ソ テ ツ 地 獄 」 の 疲 弊 か ら 脱 し き れ な い 「 後 進 県 」 沖 縄 に も 例 外 を ゆ る さ な か っ た 。 そ れ ど こ ろ か 、 南 進 国 策 に よ っ て 、 貧 し さ ゆ え の 移 民 県 は た ち ま ち 南 進 基 地 の 美 名 を 冠 せ ら れ 「 南 洋 ブ … ム 」 に 拍 車 が か け ら れ た 。 そ の 結 末 は 「 サ イ パ ン 玉 砕 」 に 象 徴 さ れ る 如 き も の で あ っ た 。 総 動 員 体 制 の 極 限 は 戦 場 と 化 し た 沖 縄 に お い て 如 実 に 示 さ れ た 。 「 軍 民 一 体 」 の 軍 事 行 動 は 国 家 総 力 戦 の 縮 図 で あ っ た 。 県 政 史 の な か に 「 戦 場 行 政 」 と い う 特 殊 な 時 期 を 含 む の は お そ ら く 沖 縄 県 だ け で あ ろ う 。 い う ま で も な く 、 「 県 」 そ の も の が 消 滅 し た 例 も ほ か に は な い 。 戦 時 期 の 県 行 政 は 右 の よ う な 総 動 員 体 制 に よ っ て 全 面 的 に 規 定 さ れ て い る 。 県 は 国 策 遂 行 の 下 請 機 関 と な り 、 侵 略 戦 争 の 完 遂 を 絶 対 目 標 と す る 国 家 意 思 を 県 民 生 活 の 末 端 に ま で 貫 徹 さ せ る 上 意 下 達 の 中 間 機 関 で し か な か っ た 。 帝 国 憲 法 下 の 地 方 行 政 は 県 お よ び 市 町 村 の 二 階 級 に 区 分 さ れ る 。 市 町 村 が 国 家 機 関 を も た な い 自 治 団 体 で あ る の に 対 し 、 県 は 地 方 長 官 ( 国 家 官 吏 ) た る 知 事 の 監 督 の も と に お か れ 、 国 家 機 関 ( 官 庁 ) と 地 方 団 体 と い う 二 重 の 性 格 と 機 能 を 併 せ も つ も の で あ っ た 。 知 事 の 権 限 も 、 倒 の 行 政 行 為 と し て の 権 限 と 自 治 団 体 の 長 と し て の 権 限 の 二 本 立 に な っ て い た 。 知 事 は 内 務 大 臣 の 指 揮 監 督 の も と に あ り 、 県 行 政 の 一 般 的 指 導 は 内 務 省 地 方 局 行 政 課 を 通 じ て 行 わ れ た 。 平 時 と い え ど も 県 行 政 が 中 央 に 直 結 し 、 い ち じ る し く 自 治 的 性 格 を 制 限 さ れ て い た の は い う ま で も な い 。 総 動 員 体 制 の 強 化 拡 大 は 地 方 行 政 の 機 能 を い っ そ う 硬 直 化 さ せ た 。 大 政 翼 賛 運 動 ( 新 体 制 運 動 ) と 隣 保 組 織 網 の 確 一83一
立 は 、 地 方 行 政 を フ ァ ッ シ ョ 的 一 元 化 に く み こ み 、 国 ↓ 県 ↓ 市 町 村 ↓ 隣 保 組 織 と い う 上 意 下 達 の 機 構 を 完 成 さ せ た 。 こ の 組 織 網 を 通 し て 国 策 優 先 11 民 意 無 視 の 戦 時 行 政 が 強 行 さ れ て い く の で あ る 。 沖 縄 県 の 場 合 は 昭 和 十 九 年 ( 一 九 四 四 ) 七 月 以 降 、 沖 縄 守 備 軍 ( 第 三 二 軍 ) の 作 戦 目 的 に 地 方 行 政 が 従 属 さ せ ら れ る 事 態 と な り 、 い わ ゆ る 戦 場 行 政 に 移 行 す る に と も な っ て 、 事 実 上 官 民 こ と ご と く が 軍 の 支 配 下 に お か れ る こ と に な る 。 こ の 時 期 数 次 に わ た っ て 実 施 さ れ た 県 行 政 機 構 の 改 組 も す べ て 戦 力 増 強 を 目 的 と し た 一 元 的 統 制 の 強 化 過 程 に ほ か な ら な か っ た 。 具 体 的 に は 機 構 簡 素 化 、 定 員 削 減 、 権 限 移 譲 な ど の 個 々 の 理 由 に 基 づ い て は い た が 、 そ こ に 一 貫 す る も の は 国 策 徹 底 機 構 整 備 の 一 語 に 尽 き る も の で あ っ た 。 戦 時 期 の 県 行 政 機 構 の 改 革 は 次 の 五 段 階 に 分 け る こ と が で き る 。 ① 戦 時 体 制 へ の 移 行 に 伴 う 機 構 強 化 ( 昭 和 + 四 年 ∼ 昭 和 + 五 年 ) ② 税 制 改 革 に 伴 う 機 構 改 革 ( 昭 和 + 六 年 三 月 ) ③ 地 方 行 政 機 構 簡 素 化 令 に よ る 機 構 縮 小 ( 昭 和 + 七 年 + 」 月 ) ④ 地 方 行 政 機 構 整 備 強 化 要 綱 に よ る 機 構 改 革 ( 昭 和 + 八 年 + 一 月 ∼ 翌 年 一 再 ) ⑤ 「 戦 場 行 政 」 へ の 移 行 ( 昭 和 + 九 年 七 月 ) 以 上 の 改 編 過 程 を 一 覧 表 に し た の が 図 表 1 「 戦 時 期 沖 縄 県 庁 機 構 の 変 遷 」 で あ る 。 戦 時 期 の 県 庁 機 構 に 関 す る 資 料 は き わ め て 少 な い 。 『 沖 縄 県 勢 要 覧 』 が 昭 和 十 五 年 版 ま で あ る の で 、 表 中 の 「 昭 和 十 五 年 十 月 現 在 」 ま で は 問 題 は な い が 、 そ れ 以 降 は 公 式 の 機 構 図 は 現 存 し て い な い 。 琉 球 政 府 文 書 課 発 行 『 文 書 だ よ り 』 ( 第 十 号 ・ 一 九 七 一 ) に 「 旧 沖 縄 県 庁 機 構 図 ( ① 昭 和 六 ・ 一 二 ・ 一 現 在 ② 昭 和 一 八 ・ 八 ・ 一 現 在 ③ 昭 和 一 九 ・ 三 現 在 ) 」 が 発 表 さ れ て い る が 、 こ れ だ け で は 連 続 性 が 乏 し く 、 ま た 、 「 未 確 認 資 料 」 と こ と わ っ て あ る 通 り 、 一84一
図 表 1 戦 時 期 沖 縄 県 庁 機i構 の 変 遷 (昭 和15年 ∼ 昭 和20年) 注 : △ 印 は 新 設 ( ) の 数 字 は 設 置 年 月 → 印 は 統 合 、 改 称、 S は 昭 和 の 略 縁 時 期 昭 和 15 年 10 月 現 在 昭 和16年 3 月 ∼ 昭 和17年10月 昭 和17 年11月 ∼ 昭 和18年10月 昭 和19年 3 月 ∼ 昭 和 20年 1 月 ’ 昭 和 20 年 2 月 ∼ 昭 和 20 年 5 月 昭 和20禦 5 月 ∼ 知 事 淵 上 房 太 郎 藩 1 早 川 元 奪 泉 守 紀 品ま 凝 田 叡 知 事 官 房 秘 書 課 文 書 課 知 事 官 房 秘 書 課 文 書 課 △ 官 房 長 (S 17.11> 人 事 課 (S17、 11秘 書 課 → ) 文 書 課 (S17、 11統 計 課 → )官 房 (長) 文 書 課 (振 興 計 画 課) 人 事 課 統 計 課 知 事 官 房 文 書 課 人 事 課 △ 人 事 課 入 事 課 地 方 課 (振 興 課 →) 庶 務 課 庶 務 課 沸 庶 務 課 庶 務 課 振 興 計 画 課 会 計 課 振 興 計 画 課 縄 総 地 方 課 総 地 方 課 △ 商 工言果 教 学 課 会 計 課 県 後 統 計 課 統 計 課 畜 産 課 地 方 課 教 学 課 秀 部 務 部 会 計 課 振 興 計 画 課 精 動 課 (S 15.5 ) 務 部 会 計 課 振 興 計 画 課 △ 税 務 課 (S16.3) △ 振 興 課 (S16.3動 課 →) 内 政 林 務 課 土 木 課 耕 地 課 水 産 課 内 兵 事 厚 生 課衛 生 課 △ 調 査 課 △ 食 料 配 給 課 内 地 方 課 兵 事 厚 生 課 衛 生 課 調 査 課 食 糧 配 給 課 指 導 挺 身 隊 . 部 衛 生 課 政 △ 人 口 課 (S 20.2 特 別i援 護 憲 学 学 務 課 社 事 兵 事 課 社 会 課 学 学 務 課 社 事 兵 事 課 社 会 課 言 農 務 課 (改 称、 農 政 課 → ) △ 教 学 課 (学 務 課 ・ 社 会 教 育 課、 社 育 S 17,1 事 兵 事 政 室 → ) 2費 5 臨 時 軍 事 援 護 課 臨 時 軍 事 援 護 課 1て 課 →) 、 務 社 会 教 育 課 務 社 会 教 育 課 11 総 △ 兵 事 厚 生 課 (S17.11 社 事 兵 事 課、 社 会 課 → ) 部 部 璽 o 部 部 務 部 学 経 済 更 生 課 経 済 更 生 課 務部 △ 農 務 課 農 務 課 一 農 務 課 糖 業 課 、 経 糖 業 課 糖 業 課 経 糖 業 課 経 商 工 課 経 済 耕 地 課 経 耕 地 課 商 工 課 水 産 課 済 部 林 務 課 林 務 課 済 水 産 課 林 務課 済 林 務 課 土 木 課 部 ↓ 宮 18 水 産 課 畜 産 課 済 水 産 課 畜 産 課 土 木 課 耕 地 課 、 商 工 課 商 工 課 部 耕 地 課 部 畜 産 課 11 土 木 課 部 土 木 課 畜 産 課 (S 14.6) 農 政 課 (改 称 、 農 務 課 → ) 復 振 興 計 画 課 振 興 計 画 課 課 △ 食 料 課 (S 16.9) 琶 特 別 高 等 課 特 別 高 等 課 特 別 高 等 警 察 課 特 別 高 等 警 察 課 特 別 高 等 警 察 課 △ 警 務 課 警 務 課 警 務 課 警 務 課 警 務 課 藁 警 保 安 課 警 保 安 課 警 保 安 課 警 警 防 課 警 警 防 課 警 刑 事課 刑 事 課 経 済 保 安 課 経 済 保 安 課 経 済 保 安 課 備 察 衛 生 課 健 康 保 険 課 察 衛 生 課 健 康 保 険 課 察 瑠 事 課 警 防 課 察 刑 事 課 職 業 課 察 刑 事 課 職 業 課 墜 S 警 防 課 (S14.5) 警 防 課 保 険 課 (改 称 、 健 康 保 険 課 保 険 課 保 険 課 2受 部 経 済 保 安 課 (S 14、12) 部 経 済 保 安 課 部 → ) 部 △ 輸 送 課 (S 19.3 保 安 課 → ) 部 輸 送 課 6 △ 職 業 課 (S 17. 11) △ 国 民 動 員 課 (19.3) 国 民 動 員 課 璽 宮 古、 八 重 山 支 庁 ほ か 70機 関 宮 古、 八 重 山 支 庁 宮 古、 八 重 山 支 庁 、 島 尻、 中 頭、 国旦 庸 △ 島 尻 、 中 頭、 国 頭 地 方 事 務 所 (S 17 別 表 地 方 事 務 所、 .7) ほ か △ 国 民 勤 労 動 員 署 (S 19.3> ほ か ① 昭 和16年 3 月 1 日 税 調 改 革 に 伴 う 総 ① 昭 和 17年 11月 1 日 地 方 行 政 機 構 簡 素 ① 昭 和18年 11月 1 日 ∼ 翌 年 3 月 の 間 に ① 昭 和 20 年 2 月11B 臨 戦 体 制 機 構 改 編 務 部 の 機 構 改 革 化 実 施 「 地 方 行 政 機 構 整 備 強 化 案 要 網」 に に よ り 平 常 行 政 事 務 は 全 面 的 に 停 止 備 ② 食 糧 課 → 農 務 課 食 糧 配 給 係、 S17. よ る 機 構 改 革 を 実 施 新 設 の 人 口 課 と 食 糧 配 給 課 に 集 中 o 11 ② 昭 和19年 7 月 8 日 勅 令 「地 方 行 政 食 糧 営 団 設 立 S17.11 構 の 整 備 強 化」 に よ り 官 房 長 を 廃 考 ③ 振 興 計 画 課 は 一 時 知 事 官 房 に 属 し て い た 。
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 図 表 2 昭 和 18 年 沖 縄 県 庁 癬 一 覧 (昭 和18年 8 月 1 日 現 在)
名
.
癬
所
所
所
所
成
張
療
所
所
所
所
所
所
務
校
校
校
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校
難
撫
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灘
欝
騰
号 番 1 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91名
廊
所
所
所
旋
旋
所
遇
所
斡
斡
所
所
所
所
査
張
所
所
所
所
所
所
務
療
所
造
防
遇
阪
京
欝
灘
難
難
灘
謙
号 番 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 琉 球 政 府 文 書 課 『文 書 だ よ り』 第10号 よ り若 干 の 疑 問 点 を 含 ん で い る 。 同 機 構 図 は 『 沖 縄 県 職 員 録 』 ( 昭 和 十 八 年 版 ) お よ び 「 沖 縄 県 庁 処 務 細 則 」 ( 『 現 行 沖 縄 県 令 規 全 集 駈 第 一 類 ) を 基 本 資 料 と し て 集 成 し た も の で あ る が 、 と く に ③ の 場 合 、 時 期 の 特 定 が 実 際 よ り 大 き く ズ レ て い る 。 本 表 は 右 の 諸 資 料 を 参 考 に し つ つ 、 ほ か に 新 聞 資 料 、 回 想 録 、 聞 取 り な ど の 断 片 資 料 を 加 え て 作 成 し た も の で あ る 。 資 料 の 制 約 か ら 本 表 も ま た 「 未 確 認 資 料 」 と こ と わ ざ る を え な い 。 な お 、 『 昭 和 十 八 年 知 事 事 務 引 継 書 』 と の 関 連 か ら 図 表 2 「 昭 和 十 八 年 沖 縄 県 庁 癬 一 覧 」 を 掲 げ て あ る が 、 こ れ は 『 文 書 だ よ り 』 ( 第 十 号 ) か ら と っ た 。 次 に 、 県 行 政 機 構 改 革 の 過 程 を 各 段 階 を お っ て 概 略 的 に み て い く こ と に す る 。 1 、 戦 時 体 制 へ の 移 行 に 伴 う 機 構 強 化 昭 和 十 四 年 ( 一 九 三 九 ) か ら 十 六 年 二 月 迄 の 間 に 庁 内 に 四 つ の 課 が 新 設 さ れ た 。 戦 時 体 制 に 即 応 す べ く 漸 次 的 に 機 構 の 強 化 を は か っ た も の で あ る 。 最 も 早 い の は 警 察 部 警 防 課 ( 昭 和 + 四 年 五 月 ) の 新 設 で あ る 。 従 来 の 警 察 部 長 書 記 室 の 廃 止 と 同 時 に 新 設 さ れ た 。 防 空 監 視 戦 災 救 急 の 指 導 が 主 務 で あ り 戦 時 体 制 を 象 徴 す る 新 課 で あ っ た 。 知 事 事 務 引 継 書 に は 「 沖 縄 県 ハ 地 理 的 関 係 ヨ リ 我 国 南 方 生 命 線 ノ 要 衡 ニ シ テ 防 空 監 視 及 之 二 伴 フ 情 報 通 信 ハ 極 メ テ 重 要 性 ヲ 有 ス ル モ ノ ナ ル ヲ 以 テ 管 内 十 一 ケ 所 二 監 視 哨 ヲ 設 置 シ 海 上 監 視 ノ タ メ ニ 県 有 船 図 南 丸 ヲ 就 役 セ シ ム 」 と あ る 。 防 空 監 視 隊 、 警 防 団 な ど が 同 課 の 管 轄 下 に お か れ て い た 。 畜 産 課 ( 昭 和 + 四 年 六 月 二 ご 百 ) の 新 設 は 農 村 振 興 、 戦 時 食 糧 増 産 運 動 と の 関 連 も 深 い が 、 全 国 的 な 軍 用 馬 需 要 増 の 影 響 を う け て 非 常 時 下 の 農 耕 用 補 充 馬 と し て 沖 縄 産 改 良 馬 が 脚 光 を 浴 び る に い た っ た 背 景 が あ っ た 。 つ ま り 、 軍 事 的 要 請 に よ っ て 農 耕 馬 の 増 産 を は か る た め の 新 課 開 設 で あ っ た 。 畜 産 課 の 新 設 と 同 時 に 国 民 精 神 総 動 員 ( 精 動 ) 事 務 局 が 県 庁 内 に 設 置 さ れ て い る 。 県 下 の 精 動 運 動 は 昭 和 十 二 年 十 一86一 1
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 月 七 日 国 民 精 神 総 動 員 沖 縄 県 実 行 委 員 会 の 始 動 を も っ て 始 る が 、 そ の 事 務 管 掌 は 貯 蓄 奨 励 課 等 が 行 っ て い た 。 こ れ が 、 十 四 年 二 月 九 日 の 「 国 民 精 神 総 動 員 強 化 策 」 閣 議 決 定 に も と つ い て 事 務 局 の 設 置 と な っ た も の で あ る 。 さ ら に 、 翌 年 五 月 精 動 中 央 連 盟 の 改 組 に よ る 機 構 一 元 化 を う け て 精 動 県 実 行 委 員 会 は 精 動 県 本 部 と な り 県 庁 内 の 事 務 局 も 独 立 課 へ と 昇 格 す る こ と と な っ た 。 国 民 精 神 総 動 員 ( 精 動 ) 課 も 翌 年 三 月 の 総 務 部 の 機 構 改 革 で 振 興 課 と 改 称 し 、 さ ら に 十 七 年 十 一 月 の 行 政 簡 素 化 で 地 方 課 に 吸 収 統 合 さ れ る の で あ る が 、 こ れ は 精 動 運 動 が 翼 賛 運 動 に と り こ ま れ 、 部 落 会 ・ 町 内 会 、 隣 保 組 織 を 通 じ て 統 制 と 収 奪 の 推 進 力 と し て 物 質 化 さ れ て い く 過 程 と 対 応 し た 変 遷 で も あ る Q 昭 和 十 四 年 十 二 月 八 日 に 警 察 部 内 に 経 済 保 安 課 が 新 設 さ れ た 。 こ れ は 国 家 総 動 員 法 下 の 全 面 的 統 制 時 代 の 開 始 に 対 応 し た 、 統 制 違 反 の 摘 発 を 役 目 と す る 経 済 警 察 で あ る 。 こ れ に つ い て は 後 に 詳 述 す る 。 2 、 税 制 改 革 に 伴 う 機 構 改 革 昭 和 十 五 年 度 か ら 、 政 府 は 戦 費 調 達 と イ ン フ レ 抑 制 を ね ら い と す る 中 央 ・ 地 方 を 通 じ る 税 制 改 革 を 断 行 し た 。 税 制 改 革 は 要 す る に 大 幅 な 増 税 策 で あ っ た 。 こ の 改 革 に よ り 所 得 税 負 担 者 は 従 来 の 一 八 〇 万 人 か ら い っ き ょ に 二 倍 以 上 の 三 八 五 万 人 に 増 加 し た 。 増 税 額 が あ ま り に 大 規 模 で あ る た め 米 内 首 相 は 施 政 演 説 の な か で 、 戦 時 意 識 の 徹 底 を 強 調 し 国 民 の 協 力 を 要 望 す る 異 例 の 演 説 を 行 っ た ほ ど で あ る 。 税 制 改 革 は 中 央 ・ 地 方 を 通 じ て 実 施 さ れ 、 地 方 分 与 税 の 新 設 ( 地 方 分 与 税 法 )、 小 学 校 教 員 給 与 費 の 県 費 移 管 な ど で 県 財 政 は い っ き ょ に 二 倍 近 く に 膨 張 し た ( 昭 和 + 五 年 当 初 予 算 二 四 三 万 六 八 三 六 円 に 対 し 昭 和 + 六 年 当 初 予 算 は 四 五 四 万 〇 六 九 二 円 )。 こ の た め 、 新 設 の 分 与 税 、 営 業 税 お よ び 税 務 一 般 を 管 掌 す る 税 務 課 の 新 設 を 中 心 に 、 昭 和 十 六 年 三 月 一87一
一 日 に 総 務 部 を 中 心 と し た 機 構 改 革 が 行 わ れ た 。 国 民 貯 蓄 の 奨 励 、 地 方 自 治 体 の 振 興 事 務 を 管 掌 す る 振 興 課 の 新 設 お よ び 精 動 課 の 発 展 的 廃 止 、 地 方 自 治 の 実 地 監 督 ( 町 内 会 ・ 部 落 会 等 の 組 織 指 導 な ど ) を 管 掌 す る 地 方 課 の 組 織 拡 充 な ど も 同 時 に 行 わ れ た 。 ま た 、 機 構 改 革 に 伴 な っ て 同 月 二 六 日 付 で 大 幅 な 入 事 移 動 も 行 わ れ た が 、 こ れ は 同 年 一 月 七 日 付 で 就 任 し た 第 二 五 代 早 川 元 知 事 の 手 に な る 人 事 刷 新 の 意 味 あ い も あ っ た 。 こ れ ら の 一 連 の 機 構 改 革 と は 別 に 、 同 十 六 年 九 月 に 経 済 部 内 に 食 糧 課 が 新 設 さ れ て い る 。 こ れ は 、 昭 和 十 六 年 一 月 国 家 総 動 員 法 の 改 正 お よ び 同 年 四 月 一 日 生 活 必 需 物 資 統 制 令 の 施 行 に よ っ て 消 費 規 制 ー 配 給 制 が 全 面 化 す る に と も な っ て 主 要 食 糧 の 配 給 業 務 を 管 掌 す る た め に 新 設 さ れ た も の で あ る 。 が 、 翌 十 七 年 二 月 食 糧 管 理 法 が 公 布 さ れ 、 県 食 糧 営 団 が 十 一 月 よ り 事 業 開 始 す る に い た っ て 主 要 食 糧 の 集 配 業 務 は 営 団 に 一 括 移 管 さ れ 同 課 は 農 務 課 食 糧 配 給 係 に 縮 小 さ れ て 営 団 の 指 導 監 督 を 分 掌 す る こ と に な っ た 。 統 制 体 制 は 必 然 的 に 官 僚 機 構 の 膨 張 を う な が す 。 県 の 出 先 機 関 の 数 を 例 に と る と 昭 和 十 五 年 の 七 二 機 関 に 対 し 昭 和 十 八 年 は 九 一 機 関 に 増 加 し て い る 。 政 府 内 務 省 は 十 七 年 以 降 一 貫 し て 行 政 簡 素 化 ・ 定 員 削 減 の 方 針 を も っ て の ぞ ん だ が 、 そ れ で も 全 国 の 公 務 員 数 は 昭 和 十 六 年 の 五 九 万 八 〇 〇 〇 入 に た い し 昭 和 十 九 年 に は 八 〇 万 五 〇 〇 〇 人 に ふ く れ あ が っ て い る 。 昭 和 十 六 年 は と く に 時 局 対 応 の 膨 張 期 で あ っ た 。 島 尻 ・ 中 頭 ・ 国 頭 三 郡 の 地 方 事 務 所 の 設 置 も そ の 一 環 で あ る 。 地 方 事 務 所 は 県 と 町 村 の 中 聞 機 関 で あ り 県 の 現 地 実 行 機 関 と い う 性 格 を も っ た も の で あ る 。 大 正 十 五 年 ( 一 九 二 六 ) の 郡 制 廃 止 以 来 右 三 郡 に は 独 自 の 機 関 は 置 か れ て い な か っ た が 、 「 戦 時 下 更 二 地 方 行 政 ノ 敏 活 ナ ル 処 理 ト 施 策 ノ 徹 底 ト ヲ 期 セ ン ガ 為 」 ( 昭 一 七 ・ 四 ・ 一 四 、 知 事 訓 示 ) 新 た な 性 格 を 負 わ さ れ た 地 方 事 務 所 が 昭 和 十 七 年 七 月 一 日 付 で 発 足 し た の で あ る 。 一88一
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 3 、 地 方 行 政 機 構 簡 素 化 に よ る 機 構 縮 小 ( 二 部 制 ) 昭 和 十 七 年 ( 一 九 四 二 ) 十 一 月 一 日 、 政 府 は さ き の 庁 府 県 行 政 簡 素 化 実 施 要 項 に も と づ き 、 府 県 総 務 部 、 学 務 部 を 廃 止 し 、 新 た に 内 政 部 を 設 け て 行 政 の 一 体 簡 素 化 を 実 施 し た 。 さ ら に 沖 縄 を 含 む 十 県 に 対 し て は 経 済 部 を 廃 止 し て 内 政 . 警 察 の 二 部 制 と し た 。 か わ り に 官 房 長 制 度 を 設 け て 知 事 直 轄 事 務 を 拡 張 し た 。 沖 縄 県 の 場 合 、 振 興 計 画 課 が 知 事 官 房 に お か れ た が 如 き で あ る 。 機 構 縮 小 は 同 時 に 定 員 削 減 を と も な っ た 。 官 庁 の 公 務 員 数 を 削 減 し そ の 労 働 力 を 時 局 産 業 と 兵 役 に ふ り 向 け る の が 主 眼 で あ っ た か ら で あ る 。 も ち ろ ん 機 構 縮 小 と 定 員 減 に 対 応 し て 業 務 量 が 減 ら さ れ た わ け で は な い 。 む し ろ 諸 統 制 の 強 化 拡 大 に 比 例 し て 事 務 量 は 増 え て い た 。 東 条 首 相 自 身 が 次 の よ う な 苦 し い 訓 示 を 行 っ て い る 。 「 開 戦 以 来 地 方 庁 の 事 務 は 激 増 し て ゐ る こ と は 政 府 は 充 分 承 知 し て ゐ る が し か も 敢 て 官 庁 員 の 減 員 を 断 行 し 戦 時 適 応 の 行 政 簡 素 化 を 実 施 し た の は 一 に 戦 争 に 勝 つ た め で あ る 」 ( 昭 一 七 ・ 一 一 ・ 一 三 、 臨 時 地 方 長 官 会 議 ) 。 要 す る に 、 精 動 運 動 を 背 景 に し た 労 務 統 制 の 一 環 で あ る が 、 し か し 、 機 構 縮 小 に よ る 影 響 は 単 に 県 庁 職 員 の 労 働 強 化 ( 執 務 時 間 の 一 時 間 延 長 な ど ) に と ど ま る も の で は な か っ た 。 何 よ り も 、 経 済 部 の 廃 止 に よ っ て 沖 縄 県 振 興 事 業 が 打 撃 を う け た 。 県 会 と 各 種 産 業 団 体 と は 振 興 計 画 を た て に と っ て 経 済 部 の 存 置 運 動 を 申 し 合 せ た が 、 す で に 廃 止 は 閣 議 決 定 と な っ た の で 、 県 に 要 請 し て 沖 縄 振 興 調 査 会 を 設 置 、 従 来 の 振 興 計 画 を 再 検 討 し て 戦 時 に 即 応 し ( 2 ) た 手 直 し を 行 わ ざ る を え な く な っ た 。 ち な み に 、 沖 縄 と と も に 経 済 部 が 廃 止 さ れ た 県 は 、 滋 賀 、 奈 良 、 福 井 、 鳥 取 、 徳 島 、 高 知 、 佐 賀 、 宮 崎 、 山 梨 ( 3 ) の 九 県 で あ る 。 い ず れ も 経 済 的 に は 農 業 中 心 の 「 後 進 県 」 で あ る 。 軍 需 偏 重 の 産 業 政 策 か ら す れ ば こ れ ら 農 業 県 一89一 屡 叩 高 西 乱
の 役 割 は 兵 士 . 産 業 戦 士 . 食 糧 の 供 給 地 と し て の 意 味 し か 与 え ら れ な か っ た の だ ろ う 。 沖 縄 の 振 興 計 画 も 非 常 時 下 の 国 策 の ま え に は 大 き く 後 退 せ ざ る を え な か っ た 。 4 、 地 方 行 政 機 構 整 備 強 化 要 綱 に よ る 機 構 改 革 ( 経 済 部 復 活 ) 行 政 簡 素 化 方 針 に も と つ く ド ラ ス チ ッ ク な 機 構 縮 小 は 長 く は 続 か な か っ た 。 戦 局 の 悪 化 に 伴 う 行 政 事 務 の 煩 雑 化 と 現 体 制 の あ い だ に 矛 盾 が 大 き く な っ た 。 昭 和 十 八 年 十 月 十 八 日 、 政 府 は 「 地 方 行 政 機 構 整 備 強 化 案 要 綱 」 を 決 定 し た 。 こ の 要 綱 に も と つ く 地 方 行 政 刷 新 の 骨 子 は 次 の 諸 点 で あ る 。 ① 中 央 各 庁 の 事 務 は 特 殊 な も の を 除 い て 徹 底 的 に 地 方 庁 に 移 譲 し 中 央 各 庁 は 地 方 庁 に 対 す る 企 画 . 指 導 に 任 ず る 。 ② 地 方 行 政 機 構 の 整 備 強 化 の 一 環 と し て 沖 縄 を 含 む 前 記 十 県 の 経 済 部 を 復 活 さ せ
る
。
③
中
央
と
県
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中
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関
と
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て
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地
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「
戦
力 増 強 」 「 食 糧 増 産 」 と い う 二 大 国 策 を 遂 行 す る た め の 地 方 へ の テ コ 入 れ 策 の 一 環 で あ っ た 。 こ の 機 構 改 革 要 綱 に も と つ い て 県 庁 は 昭 和 十 八 年 ( 一 九 四 三 十 一 月 一 日 か ら 翌 年 三 月 ま で の 間 に 漸 次 機 構 の 改 編 を 実 施 し た 。 十 一 月 中 旬 経 済 部 の 復 活 を 皮 切 り に 、 翌 年 三 月 一 日 の 輸 送 課 、 国 民 動 員 課 お よ び 国 民 勤 労 動 員 署 の 設 置 を も っ て 一 応 の 改 革 を 完 了 し た 。 機 構 整 備 強 化 と は い っ て も 、 そ れ は 軍 需 生 産 部 門 へ の 勤 労 動 員 計 画 の ワ ク 内 の こ と で あ る か ら 増 員 ど こ ろ か む し ろ 定 員 削 減 を と も な っ た も の で あ っ た 。 政 府 は 十 九 年 一 月 「 戦 時 官 吏 服 務 令 」 、 同 二 月 「 決 戦 非 常 措 置 要 綱 」 を 発 し 「 職 域 奉 公 」 を 合 言 葉 に 公 務 員 の 労 働 強 化 と 定 員 削 減 を 強 行 し た 。 昭 和 十 八 年 八 月 二 日 、 窮 一 回 九 州 地 方 行 政 協 議 会 が 開 催 さ れ た 。 こ れ 以 降 県 行 政 は 行 政 協 議 会 の 監 督 指 導 を 受 一90一 「け る こ と に な り 、 中 央 権 限 の 地 方 移 譲 を 眼 目 と す る 地 方 行 政 の 刷 新 策 は 軌 道 に の る こ と に な る 。 こ の 改 革 と 関 連 し て 地 方 長 官 の 大 移 動 が 実 施 さ れ 、 沖 縄 で は 昭 和 十 八 年 七 月 一 日 早 川 元 知 事 か ら 第 二 六 代 泉 守 紀 知 事 へ と 交 代 し た 。 ま た 、 地 方 行 政 協 議 会 の 設 置 に と も な い 事 務 連 絡 の た め 県 福 岡 事 務 所 が お か れ た 。 戦 時 下 の 沖 縄 県 政 5 、 戦 場 行 政 昭 和 十 九 年 七 月 八 日 、 政 府 は 勅 令 第 四 四 四 号 ( 地 方 行 政 機 構 の 整 備 強 化 ) を 決 定 、 ① 前 記 十 県 お よ び 東 京 都 を 除 く 全 地 方 庁 の 経 済 二 部 制 、 ② 官 房 長 制 度 の 廃 止 を 含 む 地 方 行 政 機 構 の 整 備 、 に 着 手 し た 。 戦 時 期 の 全 面 機 構 改 革 と し て は 第 四 次 に あ た る 。 経 済 二 部 制 の ね ら い は 、 第 一 部 で 食 糧 関 係 を 管 掌 せ し め る と こ ろ に あ り 、 食 糧 問 題 の 急 迫 を 反 映 し た も の で あ っ た 。 し か し 、 沖 縄 の 場 合 は 事 情 を 異 に し て い た 。 同 じ 月 、 「 サ イ パ ン 玉 砕 」 の 報 が 伝 え ら れ 、 絶 対 国 防 圏 の 破 綻 に よ っ て 沖 縄 を と り ま く 軍 事 情 勢 が 急 変 し た 。 政 府 は 七 月 七 日 の 緊 急 閣 議 で 南 西 諸 島 に 関 す る 「 緊 急 措 置 」 を 決 定 、 老 幼 婦 女 子 の 県 外 引 揚 げ ( 疎 開 ) を 令 達 し た 。 時 を 同 じ く し て 第 三 二 軍 の 主 力 部 隊 が 続 々 と 移 駐 し て き た 。 こ れ を 境 に 県 の 行 政 も 戦 場 化 を 前 提 と し た 緊 急 業 務 に 集 約 化 さ れ た 。 疎 開 命 令 は 、 七 月 中 に 沖 縄 県 内 か ら 本 土 へ 八 万 人 、 台 湾 へ 二 万 人 、 計 一 〇 万 人 の 老 幼 婦 女 子 を 引 揚 げ さ せ る も の で あ っ た 。 人 員 輸 送 に は 陸 海 軍 の 船 舶 を 充 当 し 、 疎 開 者 の 生 活 一 時 金 を 含 む 諸 経 費 は 一 切 国 庫 が 負 担 す る こ と に な っ た 。 政 府 は こ の た め 大 蔵 省 第 二 予 備 金 か ら 一 五 〇 〇 万 円 の 支 出 を 講 じ た 。 県 で は 、 警 察 部 内 に 特 別 援 護 室 を 設 置 し 、 疎 開 先 に も 県 職 員 を 配 置 し て 極 力 疎 開 業 務 の 推 進 に あ た っ た が 、 船 腹 不 足 と 県 民 の 心 理 的 動 揺 か ら 計 画 通 り の 達 成 は 望 め な か っ た 。 結 局 沖 縄 戦 の 開 始 時 ま で に 九 州 方 面 へ 約 六 万 人 、 台 湾 へ 約 二 万 人 、 計 約 八 万 人 を 一91一
送 出 す に と ど ま っ た 。 疎 開 業 務 が 円 滑 を 欠 い た 他 の 理 由 と し て 、 ① 県 に は 強 制 執 行 権 限 が な か っ た こ と 、 ② 処 分 さ れ た 財 産 に 対 す る 保 障 が 十 分 で な か っ た こ と 、 ③ 青 壮 年 者 の 強 制 留 置 に よ っ て 家 族 離 散 の 状 態 を ま ね き 、 生 活 ら 不 安 を は じ め と す る 心 理 的 動 揺 が あ っ た こ と 、 な ど が 指 摘 さ れ て い る 。 戦 場 行 政 の も う 一 つ の 要 素 は 現 地 軍 の 重 圧 で あ っ た 。 サ イ パ ン 失 陥 の 直 後 第 三 二 軍 は 主 力 兵 団 の 沖 縄 配 備 を 開 始 し た 。 ニ カ 月 の 短 期 間 に 約 六 万 七 〇 〇 〇 の 大 部 隊 が 移 駐 し て き た が 、 現 地 の 受 入 態 勢 は 不 十 分 で 軍 民 混 住 の 状 態 の な か で さ ま ざ ま な 問 題 を 惹 起 し た 。 影 響 の 主 た る も の と し て は 、 ① 風 紀 問 題 ② 住 居 へ の 割 込 み ③ 食 糧 問 題 の 深 刻 化 ④ 防 諜 取 締 強 化 に よ る 心 理 的 圧 迫 ⑤ 徴 用 ・ 徴 発 ・ 労 務 動 員 の 強 化 ⑥ 地 方 行 政 へ の 介 入 な ど が あ げ ら れ る 。 厚 生 省 馬 淵 事 務 官 の 報 告 は 「 現 地 軍 と し て は 無 理 と 知 り な が ら 法 制 上 現 地 の 行 政 面 を 担 当 す る 県 庁 に 対 し て 相 当 高 圧 的 態 度 を 以 て 軍 の 要 求 を 強 制 し た の で あ る 。 こ の 間 遺 憾 な が ら 心 な い 一 部 将 兵 の 中 に は 非 戦 斗 員 に 対 し て 弾 圧 的 態 度 に 出 る も の の 数 が 増 加 し た 。 こ れ が た め 当 時 の 風 潮 で 勢 い 県 庁 の 機 能 は 形 式 化 し 、 役 人 は 現 地 軍 に 柳 か も 頭 が 上 ら ぬ た め 反 動 的 に 軍 人 に 対 す る 無 言 の 反 目 が 時 日 の 経 過 と と も に 意 外 に 高 ま っ て 、 何 か に つ け て 小 競 合 ( 6 ) が 行 わ れ る に 至 っ た も の と 考 え ら れ る 」 と 当 時 の 状 況 を 伝 え て い る 。 第 三 二 軍 の 最 終 的 な 作 戦 方 針 は 長 期 持 久 作 戦 で あ り 、 そ の た め 、 現 地 自 給 、 地 方 官 民 の 軍 へ の 協 力 、 防 諜 が と く に 強 調 さ れ た 。 「 極 力 資 材 の 節 用 増 産 貯 蔵 に 努 む る と 共 に 創 意 工 夫 を 加 え て 現 地 物 資 を 活 用 し 一 木 一 草 と 錐 も 之 を 戦 力 と 化 す べ し 」 ( 昭 和 + 九 年 八 月 、 牛 島 軍 司 令 官 訓 示 ) と い う 軍 の 方 針 の も と に 、 食 糧 供 出 、 飛 行 場 ・ 陣 地 工 事 へ の 徴 用 、 軍 用 地 ・ 資 材 の 徴 発 、 県 営 鉄 道 ・ 船 舶 な ど 交 通 機 関 の 徴 用 、 防 衛 召 集 な ど 、 国 家 総 動 員 法 の 極 限 に 達 す る ま で の 根 こ そ ぎ 動 員 が 行 わ れ た 。 県 外 疎 開 に し て も 、 食 糧 確 保 と 敵 占 領 地 区 の 防 諜 ( 無 人 化 ) を ね ら い と し た 軍 の 要 請 が 間 接 的 に せ よ 作 用 し た も の と 思 わ れ る 。 一92一
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 十 月 十 日 の 沖 縄 全 域 へ の 大 空 襲 ( 十 ・ 十 空 襲 ) は 県 行 政 を 麻 痺 状 態 に 陥 れ た 。 戦 災 は 、 県 民 の 一 カ 月 分 の 備 蓄 飯 米 を 焼 失 さ せ 軍 用 船 舶 ( 徴 用 船 を 含 む ) の ほ と ん ど と 民 間 船 舶 八 八 隻 を 沈 め た 。 県 の 政 治 、 経 済 、 文 化 の 中 軸 地 で あ る 那 覇 市 の 九 〇 % が 焼 失 し 、 県 庁 は 長 期 間 普 天 間 の 中 頭 地 方 事 務 所 内 に 疎 開 し た ( + 一 月 三 日 ご ろ 復 帰 し た )。 お ま け に 十 二 月 に は 泉 知 事 が 長 期 上 京 し そ の ま ま 香 川 県 知 事 に 転 任 し た た め 県 行 政 は 空 白 状 態 と な っ た 。 後 任 の 島 田 知 事 が 赴 任 し た の は 翌 年 一 月 末 日 で あ る 。 翌 月 七 日 に は 県 庁 部 課 長 会 議 を 開 い て 戦 場 行 政 の 基 本 方 針 を 確 立 し た ( 狭 義 に は こ れ 以 降 を 戦 場 行 政 と 呼 ぶ )。 戦 場 行 政 の 方 針 は ① 県 民 食 糧 の 確 保 ② 老 幼 婦 女 子 の 北 部 地 区 へ の 緊 急 避 難 の 二 点 に 集 約 さ れ 、 平 常 行 政 事 務 を 全 面 的 に 停 止 し 職 員 を 人 口 課 と 食 糧 配 給 課 に 集 中 さ せ た 。 国 頭 地 方 事 務 所 を 強 化 し 、 塩 屋 署 を 新 設 し 、 土 木 課 の 職 員 を 派 遣 し て 避 難 小 屋 の 築 造 に あ た ら せ る な ど し た が 、 輸 送 手 段 は お お か た 軍 の 徴 用 と な っ て い る た め 人 口 移 動 は 組 織 だ っ た 方 法 は と れ な か っ た 。 二 月 一 日 開 か れ た 緊 急 市 町 村 ( 7 ) 会 議 は も っ ぱ ら こ の 問 題 の 検 討 に あ て ら れ た 。 最 大 の 難 問 題 は 食 糧 の 確 保 で あ っ た 。 軍 か ら は 六 カ 月 分 の 県 民 食 糧 を 確 保 す る よ う に と 要 請 が あ っ た が 当 時 県 内 に は 三 カ 月 分 の 飯 米 の 備 蓄 し か な か っ た 。 県 と 食 糧 営 団 は 台 湾 総 督 府 と の 直 接 交 渉 で 台 湾 米 の 移 入 を は か っ た が 輸 送 船 の 手 当 が つ か な い ま ま 沖 縄 戦 に ま き こ ま れ て し ま っ た 。 そ の 結 果 、 多 く の 県 民 が 飢 餓 線 上 に 放 置 さ れ 餓 死 と 疫 病 死 を 激 増 さ せ た 。 沖 縄 戦 が 始 っ た 直 後 の 三 月 二 五 日 、 県 庁 は 軍 司 令 部 の あ る 首 里 城 肚 周 辺 の 壕 に 移 動 し た 。 五 月 六 日 、 県 庁 は 新 た な 戦 場 行 政 機 構 と し て 「 沖 縄 県 後 方 指 導 挺 身 隊 」 を 編 成 し 、 以 後 、 軍 と と も に 行 動 し 、 六 月 下 旬 南 部 戦 線 に お い て 、 知 事 以 下 約 四 〇 〇 名 の 県 庁 職 員 と と も に 、 明 治 十 三 年 十 二 月 開 庁 以 来 の 沖 縄 県 庁 は 消 滅 し た 。 十 ・ 十 空 襲 直 後 福 岡 の 行 政 協 議 会 事 務 局 の な か に 沖 縄 県 職 員 詰 所 が 設 け ら れ 、 疎 開 者 受 入 、 被 災 者 援 護 の 事 務 一93一
に あ た っ て い た が 、 沖 縄 現 地 と の 連 絡 が 杜 絶 し た 昭 和 二 十 年 ( 一 九 四 五 ) 七 月 十 五 日 、 「 沖 縄 県 関 係 行 政 事 務 内 務 省 措 置 要 領 」 が 発 令 さ れ 、 「 沖 縄 県 事 務 所 」 が 設 置 さ れ た 。 さ ら に 九 月 二 十 日 の 改 編 で 正 式 に 沖 縄 県 庁 の 代 行 機 関 と し て 九 州 地 方 総 監 府 に く み こ ま れ 、 総 監 府 副 参 事 官 が 沖 縄 県 内 政 部 長 兼 任 と な っ た 。 福 岡 事 務 所 は す で に 消 滅 し た 沖 縄 県 庁 に 代 っ て 、 外 地 引 揚 者 、 本 土 疎 開 者 の 援 護 お よ び 帰 還 事 務 に あ た っ た が 、 昭 和 二 一 年 九 月 三 十 日 ( 8 ) 付 を も っ て 廃 止 さ れ た 。 三 、 戦 時 統 制 経 済 下 の 県 民 生 活 1 、 物 価 統 制 県 警 察 部 内 に 経 済 保 安 課 が 新 設 さ れ た の は 昭 和 十 四 年 ( 一 九 三 九 ) 十 二 月 八 日 の こ と で あ る 。 本 格 的 統 制 経 済 ( 戦 時 経 済 ) へ の 移 行 に よ っ て 経 済 事 犯 が 激 増 し 、 こ れ が 取 締 強 化 の た め に 全 国 一 律 に 設 け ら れ た 経 済 警 察 で あ る 。 日 中 戦 争 の 勃 発 を 境 に 日 本 経 済 は 準 戦 時 経 済 か ら 戦 時 経 済 へ と 移 行 す る 。 政 府 ( 第 一 次 近 衛 内 閣 ) は 事 変 勃 発 の 直 後 に 軍 事 費 の 調 達 と 国 際 収 支 の 均 衡 を ね ら い と し て 「 臨 時 資 金 調 整 法 」 と 「 輸 出 入 品 等 臨 時 措 置 法 」 を 立 法 し た が 、 こ の 立 法 を も っ て 戦 塒 統 制 経 済 期 へ の 画 期 と さ れ て い る 。 つ い で 、 経 済 統 制 の 中 枢 機 関 で あ る 企 画 院 が 新 設 さ れ 、 翌 年 か ら 年 次 物 資 動 員 計 画 ( 物 動 計 画 ) が 始 動 し た 。 以 後 、 「 国 民 総 動 員 に よ る 国 家 総 力 戦 」 は 物 動 計 画 の 推 進 に よ っ て 国 民 生 活 の 末 端 に ま で 具 体 化 さ れ 、 統 制 と 収 奪 に よ っ て あ ら ゆ る 物 資 が 戦 争 目 的 に 集 中 さ れ る こ と に な る 。 昭 和 十 三 年 三 月 、 戦 時 統 制 法 規 の 集 大 成 と い わ れ る 「 国 家 総 動 員 法 」 が 成 定 さ れ た ( 四 月 一 日 公 布 )。 同 法 は 労 務 、 物 資 、 賃 金 、 物 価 、 出 版 、 労 組 な ど あ ら ゆ る 経 済 要 素 が 勅 令 等 に よ っ て 統 制 で き 、 無 制 限 に ち か い 統 制 権 限 を 政 一94一
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 府 に 付 与 す る 白 紙 委 任 立 法 で あ っ た 。 そ れ ゆ え 議 会 内 で も 憲 法 擁 護 を た て に と っ た 反 対 論 が 強 か っ た が 軍 部 の 圧 力 で 押 し 切 ら れ た 。 さ す が に 近 衛 首 相 も 「 こ の 法 律 は 万 が 一 に 備 え る も の 、 日 華 事 変 に は 発 動 し な い 」 と 言 明 せ ざ る を え な か っ た が 、 し か し そ の 公 約 は 一 カ 月 を ま た ず に 踏 み に じ ら れ て し ま っ た 。 総 動 員 法 の 発 動 に よ っ て 国 民 生 活 が 直 撃 を 受 け た 第 } 弾 は 昭 和 十 四 年 ( 一 九 三 九 ) 十 月 十 八 日 に 公 布 さ れ た 「 九 ・ 一 八 ス ト ッ プ 令 」 で あ っ た だ ろ う 。 ス ト ッ プ 令 と は 三 月 に 施 行 さ れ た 「 賃 金 統 制 令 」 の 改 正 と 十 八 日 公 布 の 「 価 格 等 統 制 令 」 を さ す が 、 す な わ ち 、 商 品 価 格 、 賃 金 、 地 代 、 家 賃 等 を 一 挙 に 一 カ 月 ま え の 九 月 十 八 日 の 水 準 に 釘 付 け す る と い う 強 硬 措 置 で あ っ た 。 言 う ま で も な く 戦 時 イ ン フ レ ー シ ョ ン の 抑 制 策 で あ る 。 戦 争 全 面 化 に と も な う 戦 費 の 膨 張 と 公 債 の 乱 発 で こ の 時 期 の 物 価 は 急 騰 し つ つ あ っ た が 、 同 年 九 月 の 欧 州 大 戦 の 勃 発 に 拍 車 を か け ら れ て 物 価 は 投 機 的 に 急 騰 し 戦 時 経 済 の 破 綻 に 直 面 す る 事 態 と な っ た 。 こ れ に 慌 て た 政 府 は 抜 打 的 に 価 格 停 止 令 を 発 動 し た の で あ る 。 新 聞 記 者 さ え 探 知 で き な か っ た 抜 打 的 な 強 硬 措 置 は 県 民 生 活 に さ ま ざ ま な 混 乱 を ひ き お こ し た 。 公 定 価 格 と は い っ て も 価 格 は 各 地 区 々 に 凍 結 さ れ た の で あ り 買 溜 め 売 惜 し み が 横 行 し た 。 ま た 、 産 地 価 格 と 消 費 地 価 格 の あ い だ に 逆 ザ ヤ 現 象 が 生 じ 卸 商 が 採 算 割 れ を 蒙 っ て 輸 移 入 が 停 頓 す る 事 態 も ひ き お こ し た 。 こ の た め 価 格 等 統 制 令 第 三 条 は 不 適 正 価 格 是 正 の 権 限 を 県 に 認 め て お り 、 県 の 窓 口 に は 業 者 が 殺 倒 し た 。 県 当 局 と し て も 生 活 物 資 の 市 場 確 保 の た め に は 価 格 値 上 げ を 認 め な い わ け に は い か ず 、 発 令 後 二 ヵ 月 足 ら ず で 素 麺 、 昆 布 、 油 類 な ど に つ い て 九 ( 9 ) ・ 一 八 価 格 を 改 訂 し て い る 。 か く て 、 商 晶 価 格 は な し く ず し 的 に 高 騰 を 続 け 、 お ま け に 闇 価 格 の 横 行 が こ れ に 拍 車 を か け た 。 『 朝 日 経 済 年 史 ( 昭 和 二 + 年 ・ 二 + 一 年 版 ) 』 は こ の ス ト ッ プ 令 に つ い て 次 の よ う に 指 摘 し て い る 。 「 資 本 主 義 経 済 の 法 則 と 国 民 生 活 の 実 態 を 無 視 し た 強 権 的 び ぼ う 策 は ま も な く 破 綻 を き た す こ と に な る 。 軍 需 生 産 増 一95一
強 と 低 物 価 政 策 は し ょ せ ん 調 整 困 難 な 命 題 で あ っ た し。 経 済 統 制 は 必 然 的 に ヤ ミ 取 引 を 誘 発 す る 。 価 格 統 制 と 並 行 し て 物 動 計 画 に 基 づ く 物 資 統 制 も 強 化 さ れ つ つ あ っ た か ら 生 活 物 資 の 不 足 に 悩 む 消 費 者 が ヤ ミ 物 資 に と び つ く の は 自 然 の 勢 い で あ っ た 。 県 の 主 要 移 出 物 産 で あ る 泡 盛 を 例 に と る と 、 九 ・ 一 八 価 格 で 石 一 二 四 円 に 釘 付 け さ れ た 小 売 価 格 が 、 ス ト ッ プ 令 か ら 三 カ 月 後 に は 石 一 七 〇 円 ほ ど の 値 で ヤ ミ 取 引 が 行 わ れ て い る の が 実 勢 で あ っ た 。 そ の た め 県 外 移 出 が 大 幅 に 減 少 し 、 つ い に 経 済 警 察 の 手 入 礼 を う け る と こ ろ と な っ た 。 地 代 、 家 賃 に つ い て も ほ と ん ど 守 ら れ て な い の が 実 情 で あ っ た 。 ち な み に こ の 時 期 の 物 価 指 数 を み る と 、 政 府 が 発 表 し た 数 字 と 、 ヤ ミ 取 引 事 情 を 掛 酌 し て 算 出 さ れ た 森 田 優 三 教 授 の 数 字 と で は か な り の ズ レ が で て く る 。 統 制 に は ヤ ミ が つ き も の で あ る 。 こ れ を 防 圧 し よ う と す れ ば ま す ま す 統 制 を 強 化 拡 大 す る し か な い 。 か く て 悪 循 環 が 起 る 。 昭 和 十 五 年 後 半 か ら 戦 時 イ ン フ レ は い よ い よ 昂 進 し た が 、 艮 本 内 地 消 費 者 価 格 指 数 図 表 3 森 田 指 数 内 閣 統 計 局 生 計 費 農 林 省 小 売 物 価 1937 100 100 100 1938 110 110 117 1939 124 121 133 1940 160 143 156 1941 187 147 161 1942 244 154 170 1943 286 165 185 1944 358 199 227 J。B.コ ー ヘ ン 『戦 時 戦 後 の 日 本 経 済(下 )舌第 47表 よ り そ れ に つ れ て 価 格 統 制 も 一 段 と 拡 大 さ れ て く る 。 昭 和 十 三 年 の 物 価 販 売 価 格 取 締 規 則 に よ り 統 制 価 格 の 一 部 の 指 定 お よ び 認 可 の 権 限 が 知 事 に 与 え ら れ て い る が 、 沖 縄 県 に お け る 指 定 ・ 認 可 の 件 数 は 年 々 増 加 し 、 昭 和 十 八 年 七 月 現 在 ま で に 、 指 定 七 九 件 、 認 可 九 四 件 に お よ ん で い る (『 知 事 事 務 引 継 書 』) 。 ま た 、 全 国 的 に み る と 、 昭 和 十 六 年 四 月 ま で に 、 中 央 で 公 定 さ れ た 品 目 四 万 八 〇 〇 〇 点 、 地 方 の 分 が 四 二 万 点 に ( 10 ) 達 し て い る 。 九 . 一 八 ス ト ッ プ 令 に よ っ て 最 も 打 撃 を 受 け た の は 賃 金 ・ 給 与 生 活 者 と 低 所 得 者 層 で あ っ た 。 物 価 の 高 騰 に も 一 96一
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 か か わ ら ず 賃 金 ・ 給 与 や 社 会 給 付 は 釘 づ け に さ れ た ま ま だ っ た か ら で あ る 。 当 時 の 県 内 新 聞 は そ の 窮 乏 化 の 実 態 を 次 の よ う に 報 じ て い る 。 「 事 変 発 生 以 来 『 太 陽 の な い 人 々 』 が 県 下 に ど の 位 い る か 、 県 社 会 課 で は 本 年 五 月 以 来 県 下 一 斉 に 調 査 し た が 、 こ の ほ ど ま と ま っ た 統 計 に よ る と 十 三 年 三 月 末 現 在 と 十 二 年 度 三 月 末 と 比 較 す る と 、 赤 貧 者 ( 第 一 種 ) は 十 二 年 度 一 、 一 五 〇 世 帯 、 十 三 年 度 二 、 七 〇 四 世 帯 で 新 し く 赤 貧 者 に な っ た の が 実 に 一 、 二 〇 〇 世 帯 と い う 驚 く べ き 激 増 振 り で あ る 」。 「 最 近 の 物 価 高 騰 は 遂 に 貧 困 者 の 生 活 を お び や か し 社 会 問 題 を 惹 起 し で ゐ る が こ れ ら の 貧 困 者 中 に は 俗 称 ヒ ラ バ グ サ を 東 町 で 売 り 捌 き 一 日 僅 か 二 十 銭 程 度 の 収 入 で 漸 く 糊 口 を 凌 い で ( 11 ) ゐ る 者 が あ る 」。 強 権 に よ る 統 制 強 化 は 、 い っ ぽ う で 軍 需 産 業 や 闇 プ ロ … カ ー を 肥 え 太 ら せ 、 結 局 そ の シ ワ 寄 せ は 社 会 的 弱 者 に 集 中 し て く る 仕 組 み に な っ て い た 。 国 家 総 動 員 法 は 統 制 権 限 に つ い て は 弾 力 を も た せ て ご く お お ま か に 規 定 し て い る の だ が 、 そ の 罰 則 に つ い て は 詳 細 に お よ ん で い る ( 全 文 五 十 ケ 条 中 + 八 ケ 条 は 罰 則 規 定 で あ る )。 昭 和 十 四 年 四 月 の 改 正 で こ の 罰 則 は さ ら に 厳 し い も の に な っ た 。 県 経 済 保 安 課 が 取 締 り に あ た る 経 済 事 犯 も 、 統 制 の 拡 大 と 物 資 不 足 の 深 刻 化 に 比 例 し て 増 加 し て い っ た 。 沖 縄 県 の 経 済 事 犯 の 特 徴 と し て は 、 数 少 な い 商 品 生 産 物 で あ る 黒 糖 と 泡 盛 の 価 格 違 反 が 最 も 多 い 。 黒 糖 価 格 違 反 の ご と き は そ の 数 が あ ま り に 彩 し い た め 当 局 も 生 産 者 に つ い て は 違 反 摘 発 を 中 途 で 打 ち 切 ら ね ば な ら な い ほ ど だ っ た 。 ほ か に は 、 生 豚 価 格 違 反 、 密 屠 殺 、 乗 船 切 符 不 正 な ど が 他 府 県 に 比 べ て 特 徴 的 に 多 い 。 『 昭 和 十 八 年 知 事 事 務 引 継 書 』 に 報 告 さ れ た 経 済 保 安 課 の 取 締 状 況 が 次 の 表 で あ る 。 昭 和 十 九 年 三 月 下 旬 、 八 重 山 石 垣 町 で は 八 重 山 警 察 署 の 主 導 で 各 町 内 会 ・ 部 落 会 あ げ て 「 生 活 必 需 物 資 闇 取 引 ( 12 ) 絶 滅 運 動 」 が 展 開 さ れ た 。 こ の こ ろ 、 物 価 行 政 は あ ま り に 繁 雑 化 し 効 率 が 低 下 し た た め 価 格 統 制 の 権 限 は 「 許 可 認 可 等 臨 時 措 置 令 」 ( 昭 一 九 ・ 七 二 八 ) で ほ と ん ど 県 知 事 に 委 譲 さ れ て い た が 、 こ れ を み て も 価 格 統 制 が も は や 重 一97一
要 な 意 味 を も た な く な っ て い た こ と が わ か る 。 公 定 価 格 ど こ ろ か 、 物 そ の も の が 枯 渇 し 、 貨 幣 価 値 は 急 速 に 下 落 し 、 も は や 物 々 交 換 の 時 代 に は い っ て い た 。 石 垣 町 の 闇 取 引 絶 滅 運 動 も 、 実 は 価 格 違 反 の 取 締 が 主 た る 目 的 で は な く 、 食 糧 物 資 の 物 々 交 換 を 取 締 る も の だ っ た 。 物 々 交 換 の 横 行 は す で に 経 済 警 察 の 手 で は ど う に も な ら ぬ ほ ど に 一 般 化 し て い た の で あ る 。 図 表 4 一 ・ 総 取 締 人 員 並 二 検 塞 庭 分 結 果 年 度 別 総 取 締 人 員 拘 留 、 科 糧 、 … h 透 恩、 戒 告 処 分 人 員 事 件 送 致 昭 和 十 三 年 中 三 、 四 六 八 人 三 、 三 二 二 入 九 六 人 昭 和 十 四 年 中 五 、 二 八 四 人 五 、 一 四 五 人 一 三 九 入 昭 和 十 五 年 中 八 、 三 六 七 人 七 、 五 七 六 人 七 九 一 人 昭 和 十 六 年 中 六 、 五 七 〇 人 五 、 一 八 〇 入 八 九 〇 入 昭 和 十 七 年 中 五 、 八 ご 二 人 四 、 五 六 三 人 一 、 二 五 〇 入 昭 和 十 八 年 五 月 迄 一 、 五 一 一 人 六 二 八 人 八 八 三 人 昭 和 十 五 年 中 昭 和 十 六 年 中 昭 和 十 七 年 中 昭 和 十 八 年 五 月 迄 七 八 九 人 八 九 〇 人 、 二 五 〇 人 八 八 一 二 人 「 三 三 七 人 四 七 一 人 六 〇 二 入 五 九 七 人 一 、 慮 罰 ノ 種 類
昭 昭 昭 昭 昭 昭
難 契 鷲 塑
年 年 年 年 年 年
1
1隻
五 中 中 中 中 中 月 別 迄 体 刑 者 一 数 一 二 人 入 罰 金 九 人 一 、 送 致 事 件 慮 分 結 果 五 一 入ー
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物 資 の 流 通 が 停 頓 し 自 給 自 足 態 勢 に 移 行 す る に と も な っ て 、 消 費 者 所 得 は 国 民 貯 蓄 と 租 税 に 吸 収 さ れ る 比 率 が 一98一高 く な っ た 。 戦 時 期 の 大 幅 増 税 は 八 回 に お よ び 、 国 民 貯 蓄 は 年 々 増 加 し て い っ た 。 昭 和 十 八 年 度 沖 縄 県 の 国 民 貯 ( 13 ) 蓄 目 標 額 は 二 五 〇 〇 万 円 で あ っ た が 、 そ の 達 成 率 は 何 と 一 三 〇 パ … セ ン ト に 達 し て い た 。 以 上 の 経 過 の 一 端 か ら も う か が え る よ う に 、 日 本 の 戦 時 経 済 政 策 は 早 い 時 期 か ら 破 綻 し つ つ あ っ た 。 国 民 生 活 を 破 滅 に 追 い こ ん だ 日 本 経 済 の 破 綻 こ そ が 日 本 帝 国 主 義 の 墓 穴 で も あ っ た 。 司 法 省 調 査 課 の 報 告 は 、 日 本 の 敗 戦 が の 原 因 は 軍 事 作 戦 の 敗 北 も さ る こ と な が ら 、 戦 時 統 制 経 済 の 失 敗 と 破 綻 が 最 大 の 要 因 だ と し て い る 。 戦 時 下 の 沖 縄 県 政 2 、 物 資 統 制 昭 和 十 六 年 十 二 月 、 太 平 洋 戦 争 の 開 戦 に よ っ て 対 外 貿 易 は 全 面 的 に 封 鎖 さ れ 、 国 内 の 物 資 は い ち じ る し く 窮 屈 に な っ た 。 物 動 計 画 に よ っ て 軍 需 産 業 へ の 物 資 の 集 中 が 強 行 さ れ て い た か ら 国 民 生 活 は 二 重 の 圧 迫 を 受 け た 。 政 府 は 対 米 開 戦 と 同 時 に 、 総 動 員 法 に 基 づ く 新 た な 経 済 統 制 計 画 を 実 施 に 移 し た が 、 そ の 内 容 は 、 一 、 生 産 計 画 ( 企 業 統 合 な ど )、 二 、 配 給 体 制 の 確 立 ( 配 給 機 構 の 整 備 、 統 制 会 社 の 運 用 、 消 費 規 制 、 戦 時 切 符 制 度 な ど ) 、 三 、 資 源 回 収 、 四 、 貨 物 自 動 車 の 利 用 統 制 、 五 、 中 小 商 工 業 の 許 可 制 と 整 理 統 合 、 六 、 不 要 不 急 産 業 か ら の 労 務 者 の 引 揚 げ 、 な ど で あ っ た 。 こ の う ち 、 国 民 生 活 が 最 も 直 接 に 圧 迫 を 受 け た の は 配 給 統 制 、 と り わ け 切 符 制 で あ っ た 。 J ・ B ・ コ ー ヘ ン は 戦 時 日 本 経 済 を 分 析 し て 、 「 日 本 の 国 民 は 戦 争 の た め に ド イ ツ や イ ギ リ ス や ア メ リ カ の 消 ( 15 ) 費 者 よ り も ひ ど い 目 に あ っ た 」 と 論 定 し て い る 。 そ れ に よ る と 、 ド イ ッ で さ え 生 活 物 資 の 確 保 は 当 初 か ら 戦 争 計 画 の 本 質 的 要 素 と み な さ れ 、 消 費 財 生 産 は 戦 争 の 終 る 八 カ 月 な い し 十 カ 月 前 ま で は 実 質 的 に 戦 争 前 の 水 準 以 下 に 落 ち る こ と は な か っ た 、 と い う の で あ る 。 そ れ に 比 べ 、 日 本 の 場 合 は ま ず 消 費 財 の 削 減 ー 国 民 生 活 の 切 下 げ が 優 先 さ れ た 。 綿 製 品 の 禁 輸 入 を 皮 切 り に 、 一99一
一 部 配 給 統 制 の 実 施 、 物 資 割 当 削 減 、 七 ・ 七 禁 令 ( 薯 移 品 等 製 造 販 売 制 限 規 則 ) に よ る 高 級 製 品 の 追 放 、 そ し て 、 昭 和 十 六 年 ( 一 九 四 一 ) 四 月 一 日 公 布 「 生 活 必 需 物 資 統 制 令 」 へ と 拡 大 さ れ て い く 。 生 活 必 需 物 資 統 制 令 に よ っ て 、 そ れ ま で 一 部 地 方 で 実 施 さ れ て い た 米 穀 の 配 給 制 が 全 国 的 に 実 施 さ れ る こ と に な り 、 四 月 一 日 か ら 六 大 都 市 に お い て 配 給 通 帳 制 が 実 施 さ れ た 。 実 際 に 全 国 一 律 に 配 給 制 に 移 行 す る の は 翌 年 二 月 食 糧 管 理 法 の 公 布 以 後 で あ る 。 が 、 沖 縄 県 の 場 合 は 、 生 活 必 需 物 資 統 制 令 の 公 布 を ま た ず に 、 早 く も 昭 和 十 五 年 四 月 か ら 飯 米 の 配 給 制 が 実 施 さ れ て い た の で あ る 。 『 知 事 事 務 引 継 書 』 に よ る と 、 沖 縄 県 の 年 問 米 穀 消 費 高 は 、 食 糧 米 約 三 十 六 万 石 、 酒 造 用 米 約 二 万 石 、 計 三 十 八 万 余 石 で あ る が 、 こ れ に 対 す る 県 内 生 産 高 は 約 十 三 万 石 に す ぎ ず 、 需 要 の 約 三 分 の 二 に あ た る 約 二 十 万 石 は 県 外 か ら の 移 入 に 頼 ら ざ る を え な か っ た 。 も っ と も 、 こ の 数 字 は 昭 和 十 八 年 の も の で あ り 、 昭 和 十 三 年 の 輸 移 入 数 量 二 四 万 石 と 比 べ る と 約 一 ニ パ ー セ ン ト の 減 で あ り 、 県 内 産 米 の 増 収 と 人 口 減 を 考 慮 に い れ て も 、 需 要 そ の も の が 抑 制 さ れ た 結 果 の 数 字 で あ ろ う 。 と も あ れ 、 沖 縄 県 は 恒 常 的 な 主 食 移 入 県 で あ っ た の で あ る 。 も と も と 日 本 は 食 糧 輸 入 国 で あ る 。 カ ロ リ ー 基 準 で 食 糧 の 二 〇 パ ー セ ン ト は 海 外 に 依 存 し 、 と く に 米 穀 の 二 ニ パ ー セ ン ト を 輸 移 入 に 頼 っ て い た 。 そ れ が 、 戦 争 の 拡 大 に よ っ て 輸 入 が 激 減 し 、 昭 和 十 五 年 に は 輸 入 食 糧 の 占 め る 割 合 は 九 パ ー セ ン ト に 低 減 し た 。 そ の う え 、 昭 和 十 三 年 ∼ 四 年 の 関 西 お よ び 朝 鮮 地 方 の 凶 作 で 米 の 収 穫 高 は 大 き く 落 ち こ み 、 米 穀 需 給 調 節 特 別 会 計 に よ る 余 剰 米 の ス ト ッ ク も 昭 和 十 三 年 度 に は 底 を つ い た 。 「 日 本 の 食 糧 ( 16 ) 事 情 の 悪 化 は 昭 和 十 三 年 に 始 っ た 」 と い わ れ て い る 。 沖 縄 県 で は 、 全 国 的 な 供 給 不 足 に よ っ て 内 地 米 の 移 入 が 杜 絶 し 、 さ ら に 昭 和 十 四 年 十 一 月 か ら 台 湾 米 が 国 家 管 理 に 移 さ れ て 移 入 量 が 激 減 、 県 内 は た ち ま ち 米 飢 饅 に 陥 い っ た 。 県 当 局 は 応 急 措 置 と し て 山 形 県 な ど か ら 県 産 砂 一100一
戦 時 下 の 沖 縄 県 政 糖 と の バ ー タ ー で 飯 米 移 入 に 踏 み き っ た が も ち ろ ん 長 く は 続 か な か っ た 。 那 覇 市 内 の 食 堂 は 営 業 用 の 米 が 底 を つ ( 17 ) い て 開 店 休 業 の 状 態 に な っ た 。 県 で は 昭 和 十 五 年 四 月 か ら 「 沖 縄 県 臨 時 飯 米 配 給 要 綱 」 を 都 市 地 区 を 中 心 に 実 施 に 移 し 切 符 制 に よ る 飯 米 配 給 が 開 始 さ れ た 。 那 覇 市 で は 四 月 二 五 日 か ら 配 給 が 始 っ て い る が 、 一 人 一 日 二 合 に 制 限 さ れ 、 食 堂 な ど の 営 業 用 に は 割 当 が な か っ た 。 こ の 影 響 で 、 甘 藷 は ニ カ 月 間 で 約 七 倍 の 値 に 暴 騰 し 、 飯 米 確 保 の た め 砂 糖 を 横 流 し す る 動 き も あ っ て 砂 糖 販 売 統 制 を 揺 が す 事 態 に ま で な っ た 。 そ の う え 、 昭 和 十 七 年 に は 沖 縄 諸 島 は 四 十 年 来 の 大 旱 害 に 遭 遇 し 、 食 糧 事 情 は い よ い よ 窮 迫 す る こ と に な る 。 配 給 制 実 施 に と も な っ て 県 経 済 部 内 に 食 糧 課 が 設 置 さ れ た 。 昭 和 十 七 年 十 一 月 に は 食 管 法 に 基 づ く 県 食 糧 営 団 が 活 動 を 開 始 し 、 こ れ 以 後 、 県 内 食 糧 の 集 配 は 営 団 を 中 心 に 運 営 さ れ る 。 ち な み に 、 昭 和 十 七 年 度 に 営 団 が 集 荷 し た 供 出 米 は 一 万 四 〇 〇 〇 余 石 、 台 湾 か ら の 移 入 は 約 二 十 万 石 で 、 配 給 米 の ほ と ん ど は 移 入 米 ( 台 湾 米 ) に 依 存 し て い る 状 態 で あ る 。 昭 和 十 八 年 の 『 知 事 事 務 引 継 書 』 に よ る 配 給 状 況 は 次 の 通 り で あ る 。 図 表 5 臼り 一 ケ 月 平 均 配 給 数 量 三 、 二 五 〇 袋 回 配 給 基 準 市 部 通 帳 制 実 施 区 域 ( 那 覇 首 里 市 及 真 和 志 村 ノ 一 部 ) 年 令 別 一 才 ー 四 才 五 才 ! 九 才 一 〇 才 ー 五 九 才 六 〇 才 以 上 一 種 ( 重 労 務 者 ) 四 八 〇 瓦 ( 三 、 二 ) 三 九 〇 ( 二 、 六 ) 二 種 ( 軽 労 務 者 ) 三 七 五 ( 二 、 五 ) 三 三 〇 ( 二 、 二 ) 三 種 ( 普 通 ) 一 二 〇 瓦 ( ○ 、 八 ) 二 二 五 ( 一 、 五 ) 三 〇 〇 ( 二 、 ○ ) 二 七 〇 ( 一 、 八 ) 一101一