戦 時 下 の 沖 縄 県 政
空 念 仏 に 終 っ た こ と を 示 し て お り、 翼 賛 運 動 が ど こ ま で 民 衆 の 心 を と ら え て い た の か を 測 る 指 標 と も な る だ ろ う
。 昭 和 十 七 年
(一 九 四 一) 五 月 十 五 日、 東 条 内 閣 は 大 政 翼 賛 会 の 機 能 刷 新 を 断 行 し た。 そ の 内 容 は 次 の よ う な も の で あ っ た
。
① 各 種 国 民 組 織
(産 業 報 国会
、 農 業 報 国 会、 大 日 本婦 人 会、 青 少 年 団 な
)ど の 指 導 事 務 を 行 政 各 庁 か ら 同 会 へ 移 譲、
② 選 挙 刷 新、 貯 蓄 奨 励、 物 資 節 約 お よ び 回 収、 健 民 等 国 民 運 動 の 指 導 事 務 を 同 会 へ 移 譲
③ 国 民 錬 成 機 関 の 移 譲、
④ 部 落 会
・ 町 内 会 等 を 大 政 翼 賛 会 の 指 導 す る 組 織 と す る。
⑤ 同 会 の 監 督 は 総 理 大 臣 が あ た り、 各 種 組 織 と 運 動 は 各 主 管 大 臣 が 指 導 す る
。
⑥ 同 会 の 経 費 は 国 庫 補 助 お よ び 寄 附 金 と す る。 要 す る に、 隣 組 組 織 を は じ め と す る す べ て の 国 民 組 織 を 事 実 上 大 政 翼 賛 会 に 統 合 し、 こ れ を 政 府 お よ び 天 皇 制 官 僚 が 統 轄 す る 仕 組 み で あ る
。 い い か え れ ば
「、 上 意 下 達
」 の フ ア ッ シ ョ 的 一 元 的 統 制 機 構 の 総 仕 上 げ で あ る。 こ
れ を 図 で 示 す と 下 の よ う な 系 統 図 に な る。 昭 和 十 九 年
(一 九 四 四) 七 月
、 サ イ パ ン 失 陥 の 責 任 を 負 っ て 東 条 内 閣 が 退 陣 し た 後
、 こ れ を 承 け た 鈴 木 内 閣 は 官 制 的 な 国 民 運 動 を 改 革 す べ く、 翼 賛 会
、 翼 賛 政 治 会、 政 府 合 同 に よ る 国「 民 運 動 中 央 本
」部 な る も の を 発 足 さ せ た。 し か し、 太 平 洋 戦 争 末 期 の 空 襲 と 飢 餓 地 獄 と 強 制 労 働 に
常 会 関係 組 織 図 図 表 7
大 政翼 賛 会中 央 本 部 国 中 央 協 力 会議 一
(内 務 省)
陣 吟 す る 一 般 民 衆 に と っ て は も は や 運 動 の 大 前 提 た る 臣「 道 実
」践 と い う 理 念 そ の も の が 空「 樽 を た た
」く よ う な 空 々 し い も の で し か な か っ た
。 そ の 衝 に あ た る 内 務 省 自 身 が 一 般 民 心 の 動 向 に つ い て 次 の よ う に 報 告 せ ざ る を え な く な っ て い た
「。 食 糧 の 不 足、 闇 物 価 の 横 行、 並 に 二 重 生 活 等 に 基 き ま す る 生 活 は、 戦 局 の 熾 烈 化 と 共 に 益 々 困 窮 を 加 へ つ
・ あ り ま し て
、 彼 等 は 依 然 深 刻 な る 不 平 不 満 を 吐 露 す る と 共 に 具 体 的 に は 職 場 放 郷 し て 物 価 獲 得 に
( 46
)
狂 奔 し
、 或 は 賃 上 要 求 争 議 の 増 加 と な り、 或 は 又 怠 業 と も な っ て 現 は れ て ゐ る の で あ り ま
」す 察 せ ら れ る 如 く、 国 民 運 動 中 央 本 部 が 呼 号 し た 国 民 運 動 の 実 態 に つ い て も
、 次 の
『 朝 日 年 鑑
』
(昭 和 二
+ 年 版) の 短 い 記 述 を も っ て こ と 足 り る で あ ろ う
「。 東 条 圧 制 の 反 動 と し て 国 民 運 動 が と り あ げ ら れ た こ と は 必 然 的 な も の で あ っ た が、 国 民 は 上 か ら の 命 令 に 服 従 す る こ と に 慣 ら さ れ
、 さ ら に 翼 賛 会、 翼 政 会 と も に 国 民 よ り 遊 離 し た 存 在 で し か な く、 下 か ら 盛 上 る 運 動 に は 大 き な 期 待 を 寄 せ る べ く も な か っ た
。 か く て 国 民 運 動 中 央 本 部 な る も の は
、 何 ら 強 力 な 運 動 の 主 体 と は な り 得 ず
、 や が て 情 勢 の 緊 迫 化 と と も に、 国 民 運 動 は 国『 民 義 勇
』隊 に 強 化 さ れ て ゆ く の で あ っ た
」。 昭 和 二 十 年
(晶 九 四 五) 六 月 二 三 日 公 布 さ れ た 義 勇 兵 役 法 に よ り、 大 政 翼 賛 会 お よ び 傘 下 諸 団 体 は 解 散 さ れ、 か わ っ て
、 男 子 十 五 歳 以 上 六 十 歳 以 下
、 女 子 十 七 歳 以 上 四 十 歳 以 下 の 国 民 は 国 民 義 勇 戦 闘 隊 に 再 編 成 さ れ る こ と に な っ た こ。 の 国 民 義 勇 隊 は 本「 土 防 衛 態 勢 の 完 備 を 目 標 と し、 当 面 喫 緊 の 防 衛 及 び 生 産 の 一 体 的 飛 躍 強 化 に 資 す る と と も に
、 状 勢 急 追 し た 場 合 に は 武 器 を 執 っ て 起 つ の 態 勢 へ 移 行 せ し め る た
」め 戦 闘 隊 と し て 編 成 さ れ る も の で
、 つ ま り は 足 腰 の 立 つ す べ て の 国 民 を 軍 の 統 率 下 に く み い れ 本 土 決 戦 の 時 至 れ ば 皇 軍 の 死 の 道 ず れ に し よ う と す る も の だ っ た。 本 土 に お い て は そ の 計 画 は 結 果 的 に 生「 産
」 の 段 階 で 終 止 符 が う た れ た の で あ る が
、 ひ と り 沖 縄 県 に お い て は す で に 同 法 成 定 の 三 か 月 も 前 に 実 験 ず み で あ っ た。 言 い か え れ ば
、 国 民 義 勇 隊 の 構 想 は 沖 縄 戦 に お け
一120一
戦 時 下 の 沖 縄 県 政
る 軍「 民 一
」体 の 戦 闘 参 加 を モ デ ル に し た と も 推 測 さ れ る の で あ る。 沖 縄 戦 に お い て、
日 本 軍 は 何 ら 法 的 根 拠 も な く 義 勇 隊
、 学 徒 隊、 女 子 挺 身 隊 な ど を 第 一 線 に か り だ し 死 の 道 ず れ と し た
。 あ ま つ さ え
、 一 般 住 民 に 対 し て
、 食 糧 掠 奪
、 壕 追 い だ し
、 マ ラ リ ア 地 帯 へ の 強 制 立 退 き
、 投 降 阻 止
、 集 団 自 決 の 強 要、 集 団 虐 殺 な ど の 蛮 行 を は た ら い た
。 こ れ ら の 行 為 は
、 戦 時 国 際 法 が 規 定 す る 非 戦 関 員 保 護 の 義 務 を 自 国 の 国 民 に 対 し て さ え 躁 醐 し た こ と を 意 味 し て い ゐ
。 そ れ に も か か わ ら ず、 政 府 と 軍 部 は 沖 縄 戦 に お け る 軍「 民 一 体
」 の 形 態 に 法 的 規 準 を 付 与 し、 こ れ を 全 国 的 規 模 に 敷 衛 し よ う と 計 画 し た の で あ る
。 逆 に 言 え ば、 沖 縄 戦 に お け る 日 本 軍 の 戦 時 国 際 法 に 違 反 す る 行 為 は、 義 勇 兵 役 法 の 立 法 に よ っ て 基 本 的 に は 公 的 に 追 認 さ れ た こ
( 47)
と に な る の で あ る
「。 国 民 義 勇 隊 の 編 成 は
、 日 本 フ ァ シ ズ ム の 国 民 動 員 体 制 の 極 限 の 形 態 で あ っ た
」 と 言 わ れ る ゆ え ん で あ る
。
〔注
〕
(1
) 中 村 隆 英 日『 本 の 統 制 経 済
』 三 頁
(2
) 朝『 日 新 聞
(鹿 児 島 沖 縄 版 ご 昭 一 七
・ 九
・ 一
〇。 以 下
『 朝
日 新 聞
』 と す る。
(3
) 毎『 日 年 鑑
( 昭 和 二 十 年 版
』) 天 三 頁
(4
) 同 右
(5
) 馬 淵 新 治
「 住 民 処 理 の 状
」況 沖『 縄 作 戦 に お け る 沖 縄 島 民 の 行 動 に 関 す る 史 実 資 料
』
(陸 上 自 衛 隊 幹 部 学 校
)
= 頁
(6
) 同 右 一 八 頁
(7
) 浦 崎 純 消『 え た 沖 縄 県
』 六 六 頁
(8
) 沖 縄 県 事 務 所 沖「 縄 県 特 別 行 政 資 料
」( 昭 和 二 十 一 年 五
14 13 12 11 10 9 15(
) 16(
)
月 八 日)
『 琉 球 新 報 軸 昭 一 而隅
・ 一 一一
・ 一 ハ⊥ 前 掲
『 日 本 の 経 済 統 制
』 一
〇 七 頁
『 琉 球 新 報
』 昭
} 四
・ 五
・ 一 二
『 海 南 時 報
』 昭 一 九
・ 二
・ 二 三
『 朝 日 新 聞
』 昭 一 九
・ 五
・ 二 粟 屋 憲 太 郎
「 国 民 動 員 と 抵 抗 し
岩『 波 講 座 日 本 歴 史
』 21
近 代 8 一 九 二 頁
」
・ B
・ コ ー ヘ ン
、 大 内 兵 衛 訳
『 戦 時 戦 後 の 日 本 経 済
』η 一 二 五 頁 同 右 一 六 八 頁
一121一