Title
那覇都心部消費者の日常の購買行動
Author(s)
田村, 三智子
Citation
沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL
OF LAW & ECONOMICS(8): 85-93
Issue Date
2007-03-31
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/5980
沖縄大学法経学部紀要第8号 【調査報告】
那覇都心部消費者の日常の購買行動
Questionnairesurveyofconsumerbehaviorindailyshopping
田村三智子 TAMURAMichiko キーワード:消費者調査、購買行動、小売業態 Lはじめに 1980年代に減少し始めた小売業者数は、その後も減少傾向が続き、1999年と2003年の比較でも、 減少している。特にその他小売店やその他スーパー、専門店では減少が大きい。それでも、大型店 が売上を伸ばしつづければ、小売業全体としては販売額が伸びる結果になるが、1999年と2003年の 比較をみると、総合スーパーにも一時の勢いがなくなっているといえる。(表1) 表1小売業者数と年間販売額 99年 」=業全体140688413000579241102231039410167 3943629188246331522468329121 スーハー1166998852992053331110064 N33381370351109569285638059209 395614177010558154871607210378 トフクストア109171466413432136951700912420 その他スーハー7766765011837097261029010580 9218017758478417679667329906 31816136147011361753072376911 その他」-店33322230669311125103069264 (出典)経済産業省「商業統計表」 このように、厳しさの続く小売業の現状であるが、沖縄県の消費者は小売業にどのように接して いるのかを調べるため、2003年7月12日(土)、13日(日)に、那覇都心部を訪れた人に、日常の購買 行動を尋ねた。具体的には、最寄品は-ヶ月に何回、-回当たり平均いくらで、どこで何時に購入 しているかなどである。しかし、残念ながら、この第1回那覇都心部消費者行動調査では回答者数 が少なかったため、翌2004年7月10日(士)、11日(日)に第2回那覇都心部消費者行動調査を行い、 第1回調査と同様に、那覇都心部を訪れた人に日常の購買行動を尋ねた。その結果、二年間のサン プル数を合計すると、534のサンプル数となった。 本稿では、この調査結果をもとに、那覇都心部を訪れた人の日常の購買行動と、業態の使い分け -85- 業態 1999年 事業所数2003年 前回比(%) 一店舗あたりの年間商品販売額(万円)1999年 2003年 前回比 小売業全体 M06,884 1,300,057 9241 10,223 10,394 l0L67 百貨店 394 362 91.88 2463,315 2,246,832 91.21 総合スーパー 1,670 L668 99.88 529,920 533,311 10064 専門スーパー 33,381 37,035 110.95 69,285 63,805 92.09 コンビニエンスストア 39,561 41,770 105.58 1M87 16,072 103.78 ドラッグストア 10,917 14,664 134.32 13695 17,009 l24b20 その他スーパー 77667 65,011 83.70 9,726 10,290 105.80 専門店 921,801 775,847 84.17 6,796 6,732 99.06 中心店 318,161 36L470 113.61 7,530 7,237 69.11 その他小売店 3,332 2,230 66.93 11,125 10,306 92.64那覇都心部消費者の日常の購買行動 について明らかにする。 Ⅱ那覇都心部消費者行動調査結果報告 1.調査概要 1.1.調査日時と調査場所 2003年7月12日(土)、13日(日)におこなった第1回那覇都心部消費者行動調査は、国際通りの那 覇OPAとパレットくもじ、新都心の天久りうぼう楽市の3ヶ所に調査地点を設置し、調査地点に 訪れた来街者を対象にした来街地ベース調査である。 調査地点に設定した那覇OPAは、国際通りのほぼ中央に位置し、テナント総数57店(物販49店 /飲食・サービス8店)、テナント売場面積5,024㎡の、若者をターゲットとしたファッションビルで ある。国際通りのもう1つの調査地点であるパレットくもじは、娯楽施設であるパレット市民劇場
や那覇市民ギャラリーと、百貨店であるリウボウとが連結している廷面積55,77911fの複合施設であ
る。リウボウは、那覇○PAに比べると顧客の年齢層が高く、商品の価格帯も高い。 新都心の調査地点である天久りうぼう楽市は、すべての店舗を一直線に配置した、オープンモール型 のショッピングセンターである。商業施設はスーパーマーケットりうぼうと百円館を中心に構成され、 沖縄初進出のスボーツデポをはじめ、全国展開の家電や衣料専門店、飲食店などが出店している。第2回那覇都心部における消費者行動調査は、国際通りの沖縄三越、パレットくもじ、新都心の
天久りうぼう楽市、あつぶるタウンロープおきなわ)の4ヶ所に調査地点を設置した。第1回調
査と異なるのは、国際通りの調査地点を、那覇OPAから沖縄三越に移動させたことと、新都心に
新たにあつぶる夕ウンを加えたことである。新たに調査地点に設定した「沖縄三越」は、前年度に調査地点に設定していた那覇OPAの斜め
向かいにあり、国際通りのほぼ中央に位置している。売場面積11,784㎡の百貨店で、顧客の年齢層
は高く、また商品の価格帯も高い。第1回調査後に新都心に開店した、あつぶる夕ウンは、店舗延べ床面積12,08511fの3階建てビル
であり、1階にコープおきな わあっぷるタウンと玩具専門 店トイザらス(売場面積 2,3407㎡)が核店舗として開 店しており、中華料理や沖縄 そば、和食、イタリア料理店、 居酒屋といった飲食店や、ハ ローワーク那覇、コープの旅 行センター、写真館、子供向 け美容室など、17テナントが 2,3階に入居する複合施設 である。 二年間の調査地点5カ所を 示したのが、図1である。 図1那覇都心部と調査地点 -86-沖細大学法経学部紀要第8号 12.調査日時とサンプル数 調査年とサンプル数は、表2のとおりである。 年度により、消費者行動に変化が生じたり、調査場所の違いにより、差が生じることはあると思 うが、本稿では二年に渡る調査結果を合計し、534サンプルで分析する。 表2調査年とサンプル数 サンプル数パーセント 第1回調査(2003年) 第2回調査(2004年) 189 345 354 646 △□ 一一一一口 l 534 100.0 1.3.サンプルの概要 あきらかに観光客とみられる人は避けたことから、回答者の95%以上が沖縄県内の居住者であ り、調査地点が那覇市中心部であったこともあり、553%が那覇市内の居住者であった。(図2) 性別でみると、男性338%、女性66.2%となっている。(図3) 沖純県外司 3.6% 528 図2居住地別来街者比率 34 図3男女別来街者比率 また、年齢別にみると、10~20歳代がもっとも多く67.7%、ついで30~40歳代で19.4%、50歳以上 は128%となっている。(図4) 職業別にみると、学生がもっとも多く43.2%、ついで勤め人24b1%、パート・アルバイト11.0%と なっている。(図5) 車の所有にみると、自分専用の車を所有している人は319%、家族共用の車を所有している人は 30.6%、車を持っていない人は37.5%であった。(図6) -87-
那覇都心部消費者の日常の職買行動 50歳以上 30~40歳代 19.4% 530 図4年齢別来街者比率 その他 9.1% ̄、 パー 19 図5職業別来街者比率 7 図6車の所有別来街者比率 2調査結果 2.1.購買頻度 -ケ月あたりの購買頻度をみると、全体では一般食品がもっとも多く7.7回、ついで生鮮食品6.6 回、外食64回となっている。
性別にみると、女性では一般食品がもっとも多く84回、ついで生鮮食品72回となるが、男性では
外食がもっとも多く7.6回、ついで一般食品6.1回である。 年齢別にみると、10~20歳代では一般食品がもっとも多く81回、ついで外食6.7回であるが、30~40歳代と50歳以上では生鮮食品がもっとも多く、それぞれ10.1回と87回、ついで一般食品7.5回と7.1
回となっている。(図7) -88-沖縄大学法経学部紀要第8号 (回/-ヶ月あたり) 086420 086420 086420 1 1
函一
7.7 6.6 64 2.2 18 2.2 18 1E1E 1口△ 1.こ■
函[’-1
UDB 生鮮食品一般食品家電日用品身の回り品外出着普段着外食鬮昨
8.4 Lこ 571121鰯牌繩
1.81.8 1ヨ。Ⅲ〒燭「TJjW1Fl
階編
生鮮食品一般食品家電日用品身の回り品外出着普段着外食'01閂,L“
□10~20歳代 田30~40歳代 □50歳以上 =刊7.1ロ50歳以上|烏575フ
44 ○1 2〔〒i;ijiH
1-7闇iKtt
1,_瀞ijl;iil些i
■
生鮮食品一般食品家電日用品身の回り品外出着普段着外食 図7-ヶ月あたりの1青買頻度 22-ケ月あたりの平均購買額 一ヶ月あたりの平均購買額は、全`体でみると、家電がもっとも多く、80万円となっており、 で生鮮食品L7万円、外出着1.5万円となる。 つい 性別にみると、外食以外の項目において、男性より女性の購買額の方が上回っていることがわか る。 年齢別にみると、10~20歳代に関しては、その経済力を反映してか、特に家電や食品において購 買額が少ないが、外食に関しては、年齢によって差がないのが特徴的である。(図8) 2.3.購買先 主な購買先をみると、生鮮食品、一般食品、日用品では圧倒的にスーパーマーケットが多く、家 電では大型専門店、身の回り品、外出着、普段着では郊外型ショッピング・センター、モールが多 いことが分かる。また、一般食品では、コンビニエンスストアが3割近くを占め、身の回り品や外 出着、普段着では、百貨店があらわれる。(図9) -89-[
□全休 TT 6.6ロ
一蕊一 …》鍵告iザニ]
「吟鰄了ijlPfiFiliF
□10~20歳代■30~40雄代 i=50歳以.。‘耶湖都心部消費者の日常の購買行動 (円/-ヶ月あたり) 万 08642 1 |画’ 8m LZ
F1)畠
d臣 1.1坐,l-Jl-|‘高r-,
0.7 0 生鮮食品一般食品家電日用品身の回り品外出着普段着外食 万 万 086420 086420 8.8露呂
68 1.9ilB1liiiil
060.8坐!L:斫鰄HiiWI鵲
」、16 厩ド燕1 1貢7t;冠10.807 生鮮食品一般食品家電日用品身の回り品外出蒲普段着外食 [1.9 13.1卜
ロ10~20歳代 、30~40歳代 □50歳且卜 顕行 qU2蔦iiiiiil
型,7些嚴「糖,Ii盤里墜I鵲of
;i蕊i3
0.70.70.80.70.70.8 (必L2,野 生鮮食品一般食品家電日用品身の回り品外出着普段着外食 図8-ケ月あたりの平均購買額!
礫洲』|函祠
L8N困鬮||、
生鮮食品 3.3 77-3 6-} ̄Ⅶ
〆 ‐「  ̄国
一般食品 dq4dq4 28.0 0.:] ‐’1-,34
M& 1.0 偶 8. 家電 78.0 4 日用品 610 70.5 4 身の回り品 114.2 23.9 二坪一」嘩懲轍
、 56.3 外出精 17.6 185 58.0 普段蒲 11.0 17.8 □百貨店 □スーパーマーケット □市場 、郊外型ショッピング・センター、モール ■コンビニエンスストア □その他 □大型専門店 ■近隣商店街 図'9主な購買先 90灘回-匹=二二一一'11;ililillo
J”/
____-------,一一-三コN、
博國|リ
ヅ~こ…ミーー一I麺勤
/ ̄了=-1-弾
M,函】 ̄ ̄
八//f-
ljfl、壇_」u---=」?:_
蝿函顕llI2
---一一通--1鑿ilLF;
竺三潮、國
饒塞霧国劇二三蕊
/噸.霊慰fh
L1LqL」|
園
5[Fi
勺。蝿
輸凶
1J.I □10~20歳代 ■30~40歳代 ロ50歳以に.…側癩ri艶鑪漂禦.,
~田、■、~ 、n,棚 //,写り/ 11-0’’58,0,7.83-3「nnh沖縄大学法経学部紀要第8号 また、主な外食先をみると、ファミリーレストランがもっとも多く41.2%、ついでファーストフー ド店30.4%となっている。(図10) 0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100% 30.4 12.1 全体 12.3 412 3.9 0.2 。軽食店。屋台囚ファーストフード店ロファミリーレストラン□高級料理店因大衆食堂□その他 図10主な外食先 2.4.時間帯 購買および外食の時間帯については、全体でみると生鮮食品、 ̄般食品、日用『 多く、家電、身の回り品、外出着、普段着は、午後の時間帯が多いことが分かる。 また、外食は夜の時間帯が多い。(図11) 全体でみると生鮮食品、一般食品、日用品は夕方の購買が (%) 088088088088088088088088 8128128128128128128128i2 lE1l--L- 生鮮食品一般食ロ叩家電製品日用品身の回り品外出着普段着外食 --5zkザ
r」二,|’
[
20.1 F一宗可 7.9 - 0.6!
JLJqJ■
19.7 1? ̄召〒了] 17.4 82 59℃I
圖
24.2 關灘濃蕊鬮 F=--=。10,5 5.8 0.0 z17.9 223 8.7 Fテテコ  ̄■
》
0.0 J1.・37.5361]||フ1
0.0 }卜
Jやf,LJ 359F~|_且Z
□
4.4 - 0.0 5F蛭i’}
33.8I団
8.6 47■■
0.5 430 23.83101,llll
9 02 夜 (十九時~) 午後 (十二時~十七時) (十七時~十九時) 夕方 早朝 (~八時) (八時~十二時) 午前中 図11購買および外食の主な時間帯 -91 形’2212.3謬彦Xll30414W、213.912-1那凋都心部消費者の日常の臓買行動 3.消費者の業態使い分け 財団法人地域流通経済研究所の熊本市の女性の購買行動調査Iによれば、生鮮食料品と総菜。弁当
は、自宅・職場から近い食品スーパーが圧倒的に強く、家電は大型専門店が、化粧品はドラッグス
トアが、ファッション品の購入場所ではGMS、ショッピングセンターが百貨店に肉薄してきている という。この結果のうち、那覇での調査とほぼ同時期に行われた2003年9月の調査結果と、那覇市の消費者
を比べてみたい。より比較しやすいように、女性に限定し、生鮮食品と家電、外出着を取り上げる。 0102030405060708090 143.0 臓擁蕊騨灘i識i灘鍵El143 生鮮食品 177.5 123.3=7Ⅱ
.Ⅶ35. 家電製品 1815 '17.0 1674 1674 1428 ファッション品 116.7 246 曰百貨店團総合 スーパー 函ホームセンター・ディスカウント ストア □大型 専門店 □スーパーマーケット u一般□生協専門店 図12熊本市女性の主な購入場所 0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100% 3J 8 04|iii麹
田1.8i鍔W
生鮮食品 76.1~| ̄'一十一l-lL-
--十一 、Ⅶ ---22-Cl5WD#函
家電製品 77.6 、ID 11 11 ---トーl-l-l-LldI4
函ルュュ闇
-'---
I ~ 32 58.2 外出着 19.9 15.2 【0 □百貨店図ショッピング ・センター 、モール □大型ロスーパー 専門店マーケット 回コンビニエンス ストア ■近隣ロ市場□その他 商店街 図13那覇市女性の主な購入場所I財団法人地域流通経済研究所「ファッション品の1購入場所で「GMSoSC」が「百貨店」に迫
る1-第6回熊本市の女性の購買行動調査く概要>-」2006年11月、
http://www。ik・Orjp/pdf/pressO611koubaipdf 92-蝮.愛こ二口■口謝
臘函il ̄
題 152沖縄大学法経学部紀要第8号 図12は熊本市女性の主な購入場所である。地域流通経済研究所の調査では、購入場所は複数(2 つまで)で、那覇市調査は単回答なので、単純に比較することはできないが、それでも、図の那覇 市女性の主な購入場所と比べると、おもにファッション品において、差異が見られる。この差異が なにから生まれるのかを調査するため、今後は店舗選択理由も調査する必要があろう。 ちなみに、地域流通経済研究所の調査によれば、ファッション品の店舗選択理由として最もおお いのが、「商品が豊富」であり、ついで「品質がよい」、「価格が適当」の順になっている。 Ⅲ、今後の課題 少子高齢化の影響で、消費者が変わってきている。車社会の発展による、商圏拡大に向けた店舗 の大型化一辺倒の戦略から、今後は高齢者増加と人口減少に対応した、小商圏型の小売業態への進 出や戦略転換が必要となろう。 その現状を把握するためにも、購買頻度や購買額、購買先だけでなく、その購買先を選択した理 由も調査することが必要である。地域の特色がより色濃く出る小売業を対象とするため、実際にア ンケート調査を行い、地元消費者の生の声を聞くことは、非常に有益なことである。 引き続き調査を行い、那覇市消費者の特徴と、その特徴に合致する小売業態を探ることが、今後 の課題である。 -93-