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<FOCUS> 徐々に明確化する景気減速 ~ 原油価格下落はプラス要因だが 減速傾向が徐々に鮮明化米国経済の減速を示唆する指標が増えている 先週公表された小売売上高も 足元の米国個人消費が一段と減速していることを示唆する内容だった 4 月の小売売上は前月比 +.5% と 月の同 +1.3% をピーク

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Academic year: 2021

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三菱東京UFJ銀行 経済調査室ニューヨーク駐在情報

The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ, Ltd. Economic Research Group (New York) Toshiki Iwaoka 岩岡 聰樹 Managing Director & Chief Economist +1(212)782-5701, tiwaoka@us.mufg.jp 出張等のため来週の Weekly は休刊とさせて頂 きます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 May 18, 2011 徐々に明確化する景気減速~原油価格下落はプラス要因だが。。  米国経済の減速を示唆する指標が増えている。先週公表された小売売上高も、足元の米国 個人消費が一段と減速していることを示唆。ガソリン売上や食品が高い伸びを示したが、 その他は全般的に冴えない結果となり、エネルギー・食料品価格の上昇によりその他の消 費が抑制される姿がはっきりみてとれる。実質ベースでみた小売売上は急減速ともいえる 動きになっている。  家計の消費マインドも低水準で横這いとなっている。5 月の消費者センチメント指数(速 報)は先月から改善を示したが、依然、一進一退の域を出ていない。ガソリン価格が、心 理的節目とされる 1 ガロン=4 ドル台まで急上昇したことが家計のマインドを冷やしてい ることは間違いない。  雇用面では、非農業部門雇用者数が 3 ヶ月連続で 20 万人台の増加を示していることは明る い材料。ただし、雇用者数は景気の遅行指標ないし一致指標であり、足元の数字から雇用 の増加ペースが加速する局面に入ったとみるのは早計。先行指標であるコンファレンス・ ボード雇用トレンド指数は、先行きの雇用の増加ペースが鈍化する可能性を示唆している。  一方、5 月に入ってからの原油価格の急落は、先行きの個人消費や景気にとってプラスの 材料となるはずだ。ただ、問題は、このところの原油価格とガソリン価格はやや乖離が目 立っている点。今後、ガソリン価格が明確に下落し、個人消費のサポート材料となるか注 視が必要。  もう一つの問題は、原油価格の調整が目先の株価の重石になる可能性がある点。昨年秋以 降の株価上昇は、原油価格高騰を背景としたエネルギー関連株の過熱によって支えられて いた面が少なからずあったためである。今年後半から来年にかけて米国経済が明確な自律 回復軌道に復するためには、原油価格及びガソリン価格の低下が進む必要があるが、超金 融緩和が長期化するなか、そうしたシナリオの実現性は必ずしも高くないのかもしれない。 <FOCUS> <経済指標コメント> 4 月の小売売上高は前月比+0.5%へ鈍化。4 月の消費者物価指数は前年比+3.2%へ上昇、コアは同+1.3%。4 月の住 宅着工件数は 52.3 万戸と底這い続く。4 月の鉱工業生産は自動車セクターの減産で前月比横這い。

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<FOCUS> 徐々に明確化する景気減速~原油価格下落はプラス要因だが。。 減速傾向が徐々に鮮明化 米国経済の減速を示唆する指標が増えている。先週公表された小売売上高も、足元の米国個 人消費が一段と減速していることを示唆する内容だった。4 月の小売売上は前月比+0.5%と、2 月の同+1.3%をピークに 2 ヶ月連続で伸びが鈍化、振れの大きい自動車・部品を除いたベース でも同様に減速感が明確となっている。内訳をみると、ガソリン売上が同+2.7%、食品が同 +1.2%と高い伸びを示したが、その他は全般的に冴えない結果となり、エネルギー・食料品価 格の上昇によりその他の消費が抑制される姿がはっきりみてとれる。また、4 月の CPI の財価 格は前年比+5.7%まで伸びが上昇、実質 ベースでみた小売売上は急減速ともいえ る動きとなっている(第 1 図)。小売売 上は振れや事後的な改定幅が大きい点は 割り引く必要があるほか、サービス消費 の動向にもよるが、来週 27 日に公表され る 4 月の実質個人消費は減速傾向を再確 認する内容となりそうだ。 第1図:実質小売売上高と実質財消費の推移 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 09 10 11 ( 前年比、 %) 実質財消費 実質小売売上 (注)小売売上高をCPI・財で実質化したもの。 (資料)米国商務省、労働省統計より三菱東京UFJ銀行      経済調査室作成 消費マインドも停滞 また、家計の消費マインドも低水準で 横這いとなっている。5 月のミシガン大 学消費者センチメント指数(速報)は 72.4 ポイントと、先月から改善を示したもの の、依然、一進一退の域を出ていない。 ガソリン価格が、心理的節目とされる 1 ガロン=4 ドル台まで急上昇したことが 家計のマインドを冷やしていることは間 違いないだろう。5 月初までの株価の堅 調さが一定程度下支え要因になっている とみられるが(第 2 図)、その株価は足 元は幾分弱含みとなっている。 第2図:ミシガン大学消費者センチメントと株価の推移 50 60 70 80 90 100 110 06 07 08 09 10 11 (年) 6000 8000 10000 12000 14000 16000 ミシガン大学消費者センチメント(左目盛) NYダウ(右目盛) (注)5月のNYダウは16日までの平均値。 (資料)ミシガン大学、Bloombergより三菱東京UFJ銀行     経済調査室作成 雇用は増加も、先行指標は頭打ち 雇用面では、4 月の非農業部門雇用者 数が前月比+24.4 万人と、3 ヶ月連続で 20 万人台の増加を示していることは明 るい材料である。ただし、雇用者数は景 気の遅行指標ないし一致指標であり、足 元の数字から雇用の増加ペースが加速す る局面に入ったとみるのは早計であろう。 実際、先週初公表された 4 月のコンファ

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レンス・ボード雇用トレンド指数は、4 月中旬以降の新規失業保険申請件数の増 加などを映じて 2009 年 4 月以来の大幅な 低下となり、先行きの雇用の増加ペース が鈍化する可能性を示唆している(第 3 図)。当面は、資源高の悪影響顕現化や 欧州債務危機、日本の大震災などを受け て企業の雇用スタンスに著変が無いか、 慎重に見極めていく必要があるように思 われる。 注目されるガソリン価格の低下幅 一方、5 月に入ってからの原油価格の 急落は、景気減速懸念等から金融市場の リスク回避姿勢が強まっているという意 味では注意が必要だが、ガソリン価格の 低下を通じ、先行きの個人消費や景気にとってプラスの材料となるはずだ。 第3図:雇用トレンド指数と民間雇用者数の推移 70 80 90 100 110 120 130 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 (1996=1 00) 104 106 108 110 112 114 116 118 (万 人 ) 雇用トレンド指数(左目盛) 民間雇用者数(右目盛) (資料)コンファレンスボード、米国労働省統計より 三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 ただ、問題は、このところの原油価格とガソリン価格はやや乖離が目立っている点である (第 4 図)。この点は、ガソリン価格が 1 ガロン=4 ドル超へ高騰していた 2008 年当時、原 油価格は 1 バレル=140 ドルを超えていたが、今次局面では同 110 ドル程度でガソリン価格が 4 ドルまで上昇したことから明らかであろう。ガソリン価格は漸くピークアウトしたとはみら れるものの、全米自動車協会(AAA)によれば、先週末のガソリン価格は 1 ガロン=3.96 ド ルと小幅の低下にとどまっている。今後、ガソリン価格が明確に下落し、個人消費のサポート 材料となるか注視が必要だ。 過熱していたエネルギー関連株 もう一つの問題は、原油価格の調整が 目先の株価の重石になる可能性がある点 であろう。昨年秋以降の株価上昇は、原 油価格高騰を背景としたエネルギー関連 株の急上昇によって支えられていた面が 少なからずあったためである(次頁第 5 図)。 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 05 06 07 08 09 10 11 ( ド ル/ガ ロ ン ) 20 40 60 80 100 120 140 160 180 ( ド ル/バレ ル) ガソリン価格(左目盛) WTI(右目盛) 第4図:ガソリン/WTIの推移 (資料)米エネルギー省統計等より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 グローバルな過剰流動性が続くなか、 潤沢な投資資金が中東情勢緊迫化など景 気の先行き不透明感の強まりにもかかわ らず資源関連株に流入。原油価格とエネ ルギー関連株の動きだけみれば、2008 年 当時と同様、“バブル的”様相を示して いたと言える。そうした流れが、原油高 の悪影響により景気減速が明確となるな かで調整を余儀なくされている形である。 その他業種の株価は底堅さを示して

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いることも含め、金融不安を抱えていた 2008 年当時と現在では経済情勢は大きく異なる。し かし、足元で増加する個人消費を中心とした弱めの経済指標は、今年後半から来年にかけて米 国経済が明確な自律回復軌道に復するためには、景気減速により企業業績が悪化し、株価が大 幅な調整を余儀なくされる前に、原油価格及びガソリン価格の低下が進む必要があることを示 唆している。ただし、FRB による超金融緩和が長期化するなか、そうしたシナリオの実現性 は必ずしも高くないのかもしれない。足元、原油価格(WTI)は 1 バレル=100 ドル前後で推 移しているが、原油価格の乱高下と景気減速・持ち直しが繰り返されるシナリオも念頭に置い ておく必要があろう。 第5図:業種別S&P500の推移 0 100 200 300 400 500 600 700 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 ( 指数) 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400 ( 指数) エネルギー 情報技術 ヘルスケア 資本財・サービス 金融 S&P500(右目盛) (注)時価総額上位5業種を表示。 (資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 <FOCUS>

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<経済指標コメント>  4 月の住宅着工件数は 52.3 万戸:4 月の住宅着工 件数は 52.3 万戸と 2 ヶ月ぶりに低下。建築許可件 数も 55.1 万戸へ減少。住宅着工は底割れこそして いないが、住宅在庫が高止まりするなか底這い状 態が長期化している。  4 月の小売売上高は前月比+0.5%:4 月の小売売 上高は前月比+0.5%と、2 月の同+1.3%、3 月の同 +0.9%から 2 ヶ月連続で伸びが鈍化。ガソリンや 食品等は価格上昇を背景に高めの伸びとなった がその他は全般的に冴えない。自動車関連やガソ リン等を除いたベースでみても、頭打ち傾向が明 確となりつつある。 住宅着工件数 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 08 09 10 11 (年) ( 年率、 千件) 住宅着工件数 住宅着工許可件数 (資料)米国商務省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 小売売上高 (自動車関連・ガソリンンスタンド・レストランを除く) -2 -1 0 1 2 08 09 10 11 ( 前月比、 %) -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 ( 前年比、 % ) 前月比(季節調整後、左目盛) 前年比(季節調整後、右目盛) (資料)米国商務省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成  4 月の鉱工業生産は前月比横這い:4 月の鉱工業 生産は前月比 0.0%。ハイテク生産は堅調さを維持 しているが、東日本大震災によるサプライチェー ンへの影響から自動車セクターが同▲8.9%と 5 ヶ 月振りかつ大幅な減産となり全体を下押しした。 設備稼働率は 76.9%と前月の 77.0%から小幅低下。  4 月の消費者物価指数は前年比+3.2%:4 月の消 費者物価指数はエネルギー・食品価格の上昇を映 じてヘッドラインが前年比+3.2%と、前月の同 +2.7%から大幅に上昇。一方、コア・インフレ率 は同+1.3%と前月の同+1.2%から上昇したものの 上昇テンポは引き続き緩やかとなっている。 消費者物価指数 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 (年) ( 前 年比、 % ) CPI 除くエネルギー 除く食品・エネルギー(コアCPI ) (資料)米国労働省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 鉱工業生産指数 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 (年) (2002年 =100) 同ハイテク 鉱工業生産指数 同自動車 (資料)FRB統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 <経済指標コメント>

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