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1 医薬品の教育 新設の背景に迫る 2000 年 WHO による セルフメディケーション の提唱 セルフメディケーションとは自分の健康に責任を持ち, 軽度な身体の不調は自分で手当てすること 文部科学省 中央教育審議会 2005 同審議会専門部会 保健の分野で すべての子どもが身に付けるべきもの に医

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全文

(1)

背景を知って取り組む

医薬品の教育

兵庫教育大学

はじめに

本冊子は,中学校保健分野において医薬品の授業を行う保健体育科教員及び支援が想定 される養護教員を対象に,単元新設の背景や指導内容等の周知を図ることで,充実した授業 展開につながることを目的として作成しています。内容は,中学校学習指導要領に示されている 医薬品に関する指導内容の範囲としています。

保健体育の先生と養護の先生へ

ぼく“ひょうちゃん”兵庫 教育大学のマスコットです

セルフ

メディケーション

(2)

2008 学習指導要領改訂・中学校保健分野

医薬品に関する内容新設へ

中央教育審議会

2005 同審議会専門部会

保健の分野で「すべての子ども

が身に付けるべきもの」に

医薬品

に関する項目が明記

医薬品の有効性や副作用を理解

し正しく医薬品を使うことができる

2006

薬事法改正

一般用医薬品の 活用,健康被害 防止に向けた販 売制度等の改革 学校教育での医薬 品適正使用に関す る普及啓発の要望

2000 年 WHO による

「セルフメディケーション」

の提唱

一般用医薬品

【注】

の充実(国民の健康ニーズに対応)とともに

購入・使用する消費者にも医薬品の適正使用に関する知識が求められる時代に

学校教育においても,子どもの発達段階に応じた

医薬品の適正使用に関する知識の普及啓発が課題となる

【注】一般用医薬品とは医師・歯科医師の処方せん無しで薬局等で購入できる医薬品の ことで,処方せんが必要な医療用医薬品とは区別されます。近年は医療用医薬品から 一般用医薬品へ分類が変更になる薬も増え,多様な一般用医薬品の活用による,セルフ メディケーションが求められています。

セルフメディケーションとは

自分の健康に責任を持ち,軽度な身体の不調は自分で手当てすること

厚生労働省

文部科学省

《背景》

少子高齢社会,増加する国民医療費等

社会保険制度の維持も課題

時代の

ニーズ

目 標

医薬品の教育

”新設の背景に迫る

(3)

平成20年3月告示 中学校学習指導要領 保健体育

• 健康の保持増進や疾病の予防には,保健・医療機関を有効に利用

することがあること。また,

医薬品は,正しく使用すること

中学校学習指導要領解説 保健体育編(平成20年9月発行)

• オ 保健・医療機関や医薬品の有効利用

• 「医薬品には,主作用と副作用があることを理解できるようにする」とは・・・

• 「医薬品には,使用回数,使用時間,使用量などの使用法があり」とは・・・

• 「正しく使用する必要があることについて理解できるようにする」とは・・・

医薬品には,主作用(医薬品を使用する本来の目的である病気を治したり,軽くし たりする働き)と,副作用(本来の目的以外の好ましくない働き)という,光と影 の両面の性質があることを理解すること。 使用回数:何回のむか,使うか 使用時間:いつのむか,使うか 使 用 量:どれだけのむか,使うか・・・など,医薬品ごとに様々な 「使い方のきまり」(使用法)があることを理解すること。 中学生が医薬品を使用する時には,状況に応じて(特に内服薬等), 保護者や先生など大人に相談することが大切です。 医薬品には,主作用だけでなく副作用もあるので,使用する時は,使用法を確認し, 適切に使用しなければならないことが理解できるようにすること。 中学校での学習は,将来,適切な医薬品使用行動(セルフメディケーション) を とることができる知識を身に付ける段階であると考えられます。 医薬品の適切な使い方を知らなかったために 起きてしまうような事故を減らすためにも, 「何が」正しい使い方であるか,「なぜ」正しい使い方が必要であるか, 理解することは,中学生にとって大切なことと考えられます。

育てたい

「学習指導要領」と「解説」を読み解く

(4)

【 西山先生は,以前は明治製菓(現:Meiji seika ファルマ株式会社)で医薬品の 研究開発をされていたそうですが,明治製菓といえば♪ただいま~のあとは・・・の うがい薬とか消毒薬とかがありますよね(^^)。医療用医薬品も創ってるんですか?】 【 さて,上のデータのように医薬品の副作用への不安が強く,特に 40 代以上で高率です。私も 「薬は害があるから飲んではダメ」と言われて育ちました。でも今の若い人たちは,それ程でも ないようですが,20 年~30 年前の医薬品と今の医薬品には,違いでもあるのですか?】 こ

たちの調査《2011 年度医薬品に関する教育についての意識調査,協力者:保健体育科教員 304 人,養護教員 360 人(以下同じ)》では,「必要に応じて医薬品使用は大切か」との問いに 保健体育・養護の先生ともに 9 割程度が「そう思う」と回答。でも,副作用の心配等から医薬品 使用に抵抗がある人は保体 35%,養護 51%。頼りたくない等から医薬品使用に抵抗がある人は 保体 38%,養護 37%。 「医薬品には危険性もあるので医薬品の正しい使い方を教えることに抵抗 を感じる」先生は,保体・養護ともに 21%。

やはり,医薬品=危険のイメージは強い?

菓子メーカーのイメージが強いですが,明治では,一般用医薬品と医療用医薬品 (p1 参照)の両方を研究開発しています。医療用医薬品では抗生物質が有名なんですよ。 私は,そこで 20 年ほど,医薬品の研究をしていました。

は,大違いなんです!下の表のように日本では過去に何度か,深刻な薬害が発生しまし た。このような悲劇を繰り返さないために,1990 年代後半から薬事法が改正され,医薬品 の開発に関して規制が厳しくなりました。医薬品は開発の過程で,動物や 人を使った試験を 10 年以上に渡って行いますが,法律で, ルールが厳格に決められており,ごまかしはまったくでき ません。試験用のマウスは,1 匹ずつバーコードがついて 登録管理されてて,試験結果が明白になります。厚生労働 省による立ち入り検査もあります。ちょっとでも有害な 状況が発生した時は即・開発中止。長年に渡る厳しい試験 をパスしたものだけが医薬品としてデビューできます。それが現在の医薬品です。 代表的な薬害 1960 年代 サリドマイド 1970 年代 スモン (キノホルム) 1980 年代 ソリブジン 1990 年代 薬害エイズ "医薬品"への不安は強い。今の医薬品の安全性って,どうなっているんだろう? 医薬品の研究開発の現場を知っている人に話を聞いてみたい! 大学で医薬品の開発を研究しておられる先生に教えて頂くことに! 協力いただくのは 大阪大谷大学 薬学部教授 西山省二先生です。 先生は,大学で医薬品開発の中でも最も重要な臨床試験(人への試験)に関する研究をされています。

心配

安心

そうは言っても

医薬品への不安は強い

(5)

【 へえ~今の薬と昔の薬とはずいぶん違うんですね。でも,それって医療用医薬品のことですよね。 私たちが薬局で買える一般用医薬品の場合は,安全性はどうなんですか?】

【 医薬品について,ずいぶん見方が変わりました。今のお薬が安全だとわかって安心しました。 でも・・・先生たちは,中学生が医薬品を使うことをとても心配していますが・・・。 】

薬品の授業にあたって気になること」は,知識・情報・資料等の不足に次いで,生徒の医薬品 使用が必要以上に増えるのではないか,保体 42%,養護 37%。大人に相談せずに自己判断で使用 するようになるのではないか,保体 48%,養護 46%。特に医薬品の指導に抵抗がある人に絞ると, この2つを心配する割合が7 割以上に。

できるだけ生徒には使ってほしくない? そこにあるのは医薬品使用への警戒心!?

ずは,医薬品が基本的に安全なものだということが(なんとなくでも?)わかって頂けまし たか?だからこそ授業では,子ども達に「正しく使うことの意味」をきちんと伝えることが大切 だと思います。中学生が,のんだり使ったりしてよい医薬品であれば,ルールさえ守って 使えば心配ありません。薬局の薬剤師に気軽に相談できることも教えてあげてください。 高校生になると,痛み止めなどを自分で持っていて,安易に友だち同士でやりとりをして いると聞きます。それを考えると中学 3 年生が,医薬品の正しい使い方を理解しておく ことは,大変意味があることだと思います。 思春期の子どもさんは,ホルモンバランス等から生理痛や頭痛,皮膚疾患等に悩まされます。 このような時に医薬品を有効に使用すれば,症状も改善され気分よく生活できます。 医薬品は,からだで起きているアンバランスを元に戻すことができます。我慢するのでは なく,医薬品を使うことで,快適に生活できます。ただし,適正な量など,使用法を守ることが 必要です。また,これからは是非,薬局の薬剤師を積極的に活用するようにしてください。 そして,一般用医薬品を5日程度使用しても改善しない時は,医師の診断を受けましょう。 それが一つの目安です。「痛み」は我慢すると,脳がその痛みを記憶し,慢性的な痛みの原因に なることが指摘されており,心療内科分野では大きな問題になっています。また,忍耐力の 低下を心配する方もおられますが,むしろ痛みを抑えて安心した方が,心身ともに安定できて 良い効果をうむことも考えられます。現在の医薬品は厳格で,多くの法律で規制されながら 創られているので,使用回数,使用量,使用時間などの使用法を守れば大丈夫!安全です。 中学校の保健体育の先生方や養護の先生方が,この機会を 生かして,子ども達を将来の適切なセルフメディケーション の担い手として育ててくださることを願っています。

大阪大谷大学 薬学部 西山省二

は一般用医薬品って,医療用医薬品として,十分な使用実績があるもの から選ばれて一般用医薬品になるんです。深刻な副作用の報告が無いことも 条件です。だから一般用医薬品も,元はと言えば医療用医薬品,厳重なチェックを 受けたものなんです。また皆さんの中には,痛み止めなどで,あまりのむとクセになって 同じ量では効かなくなる・・・,と心配される方がおられます。これも,用法用量や注意 事項を守って使っている限り,そのような心配はありませんよ。また販売後も深刻な 副作用等が起こらないか監視を続けています。何かあればすぐに医師,薬剤師等に知らせてください。

それは健康への願いから

医薬品を開発する現場から,医薬品の授業に取り組む先生方へ 西山先生ありがとうございました。お読み頂いた先生方によって,このエールが実践につながることを願って・・・ 安心して 大丈夫 ですよ❤

(6)

様々な恩恵をもたらす医薬品ですが,まれには重い副作用を起こすこともあります。 しかし,健康を損ねた時や体調・病状の維持管理のための選択肢として,医薬品は重要です。 紀元前 紀元後 8 世紀 18 世紀 19 世紀 20 世紀 エジプトやギリシャなどで天然物を薬として使用した記録。 中国では天然物の使用法を記した「神農本草経」出版。 日本では鑑真和上や遣唐使等により中国の医学や薬が伝来。 東大寺正倉院に数十種の薬草等やその記録が残る。 ~18-19 世紀産業革命(医学,薬学に飛躍的な進歩)~ ジェンナーによる天然痘ワクチン開発(天然痘根絶への一歩) ~近代薬学誕生~ 日本では華岡青州による麻酔薬の発明により,世界初の全身麻酔 による乳がん摘出手術に成功 フレミングによるペニシリン発見(世界初の抗生物質。感染症克服へ) ワクスマンによるストレプトマイシン発見(結核の特効薬) 満屋裕明によるエイズ治療薬 AZT 発見(エイズは死の病から慢性の病へ) ※主要な事項のみ掲載 健康レベルは多様 です。健康レベルを 維持管理するために は,健康三原則 (栄養・運動・休養) は基本の1つです。 奉 盧 舎 那 仏 種 々 薬 合 六 十 種 ・ ・ ・ ・・ ・

健康を

損なう

健康

生たちのセルフメディケーションの現状は?体調不良時の行動は,保体・養護ともに,8割以上が 「休養睡眠」。国の推奨するセルフメディケーションにあたる「薬局薬店で相談」や「大衆薬(一般用医 薬品)使用」は合計でも 1 割未満。

まずは大人が「セルフメディケーション」を知ることから?

天然痘は,ワクチンを活用した WHO による根絶プロジェクトの結果, 1980 年天然痘根絶宣言に至りました。 (注:ワクチンは病気の予防のために使われるもので,医薬品の一種です。) 恩 恵 例 薬 か ら の

わたしたちのセルフメディケーションとは 「日常の健康管理に努め,必要な時には専門家の指導や助言を 受けながら,一般用医薬品を選択し,適切に使うこと」と考えられます。 抗生物質登場

セルフメディ

ケーション

時には薬の助けを借りて 健康レベル回復

あらためて考える

医薬品とのつきあい方

(7)

生徒の理解を促すための医薬品の知識や

興味を引き出すための情報等を得て

授業に生かそう

薬品の授業にあたって,資料提供も含んだ協力や助言を希望する人は,保体 75%,養護 87%。 特に保健体育の先生では指導に抵抗がある人や生徒の医薬品使用増加を心配する人に絞ると, 協力希望が8 割以上に増加。また,協力希望の相手は学校薬剤師が 8 割。次いで学校医 4 割。保 健体育の先生の 4 割が養護の先生に協力をしてもらいたいと回答。

護の先生,出番です!

❤医薬品の専門家,様々な 情報をもつ ❤資料や情報の提供,教師の 教材研究への助言 ❤ゲストティーチャ―として 招く ❤医学,薬学等の専門知識を有する ❤保健室で外用薬を中心に医薬品を活用 ❤慢性疾患等による生徒の医薬品使用 状況を把握 ❤保健室来室状況から生徒の医薬品使用 の実態や課題を把握 ❤学校薬剤師等とコンタクトが容易, 他の専門家ともコーディネート可能 ❤授業の専門家 ❤評価の視点は重要 ❤生徒の実情を把握 ❤効果的な授業つくりを 目指すチームの「要」

外部の専門家との協力授業での留意点 当該時間の指導目標,指導計画,生徒の理解力等の実態, 担当者の 担当者の役割分担等に関し,学校主体で, 授業に関 授業に関する綿密な打ち合せを行うことが大切です。

成功の

カギ

チームで取り組む医薬品の授業

(8)

日本学校保健会 http://www.hokenkai.or.jp/ 中学生用医薬品教育冊子が DL でき,教材 として活用できます。指導者用解説もあります。 医薬品医療機器総合機構 http://www.pmda.go.jp/ 教材として活用できる一般用医薬品 の添付文書(説明書)が DL できます。 医薬品副作用被害救済制度のページもあります。 くすりの情報ステーション くすり教育担当者のための教材サイト http://www.rad-are.com/ 医薬品の授業の学習指導案や 教材等が紹介されています。 「先生からひろがるセルフメディケーション~背景を知って取り組む医薬品の教育~」平成 24 年 6 月作成 本小冊子は,兵庫教育大学大学院における研究「医薬品の教育に対する中学校教員の意識調査~指導の充実に向 けた情報提供の検討~(指導教員 同大学院教授:鬼頭英明,文責:同大学院 香田由美)」により作成しました。なお,本 研究は文部科学省平成 24 年度科学研究費助成金(課題番号 24500817)の助成を受けて行っています。参考資料: 2011 「医薬品」に関する教育の考え方・進め方,2009 医薬品の正しい使い方指導者用解説高校生用,2008 医薬品の正しい使 い方指導者用解説小学生中学生用,《以上すべて(財)日本学校保健会発行資料》,文部科学省 HP,厚生労働省 HP 日本製薬工業協会 小中学生のためのくすり情報 http://www.jpma.or.jp/ 小中学生が自ら学ぶことができる構成です。 保護者や教師向けの資料もあります。 中学生用冊子

教育に活用できるホームページ

参照

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