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Q15-2 糖尿病に合併した高血圧は細小血管症のリスクファクターか? ステートメント 糖尿病に合併した高血圧は糖尿病腎症, 糖尿病網膜症, 糖尿病神経障害など細小血管症のリスクファクターである 10). 高血圧の是正は糖尿病腎症の進展を予防する可能性がある b). アンジオテンシン Ⅱ 受容体拮抗薬

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(1)

国内外の疫学研究から糖尿病患者では非糖尿病患者に比べて高血圧の頻度が高く,高血圧

患者でも糖尿病の頻度は非高血圧に比べて高いことが報告されている

2〜4)

.また,1 型

a)

およ

び 2 型

1, 5〜7)

糖尿病で高血圧が合併すると大血管疾患発症および死亡のリスクが上昇すること

は示唆されている.MRFIT

5)

はアメリカ男性 34 万人を平均 12 年間追跡した観察研究である

が,大血管疾患死亡率は糖尿病群が非糖尿病群に比べて 3.7 倍高く,糖尿病症例で,脂質値,

喫煙などと独立して追跡開始時の収縮期血圧(systolic blood pressure:SBP)は大血管疾患死

の有意な予知因子であった.NIPPON DATA は日本の一般住民を対象としたコホート研究で

あるが,追跡開始時の糖尿病者では血圧値が高いほど,大血管疾患死の絶対リスクが増加す

ることを報告している

6)

.APCSC

1)

は日本人コホートを含む環太平洋の 39 万人を解析したメ

タアナリスであるが,糖尿病症例では SBP 値が 10 mmHg 上昇するに従い大血管疾患死亡は

18%増加することが示されている.

UKPDS36

7)

は 2 型糖尿病における高血圧症例を,非厳格降圧療法群(390 人)と厳格降圧療

法群(758 人)に割り付け,平均 10.5 年間追跡した介入研究であるが,大血管および細小血管

症の発生率は,追跡完了までの平均 SBP 値の上昇とともに増加し,SBP 160 mmHg 以上の群

では,120 mmHg 以下の群に比して有意に増加することを明らかにしている.また追跡期間

中の平均 SBP 値が 10 mmHg 低下することにより糖尿病関連死と心筋梗塞発生リスクはそれ

ぞれ 15%,11%と有意に低下した.

メタボリックシンドロームは内臓肥満に血圧高値,血糖高値,脂質異常のうち 2 つ以上が

合併した病態である.日本人でも糖尿病,高血圧を含むメタボリックシンドロームによる大

血管疾患の罹患または死亡リスク上昇は 1.5〜2.4 倍であることが報告されており

8, 9)

,多くの観

点から,糖尿病に高血圧が合併した場合,大血管疾患の発症頻度は有意に増加することが明

らかである.

糖尿病に合併した高血圧

15

Q15-1

糖尿病に合併した高血圧は大血管症のリスクファクターか?

【ステートメント



糖尿病と高血圧はいずれも動脈硬化による大血管疾患の確立したリスクファクターであり,

糖尿病に高血圧が合併すると大血管疾患の発症頻度が増加し,予後が悪化する

1)

(2)

Q15-2

糖尿病に合併した高血圧は細小血管症のリスクファクターか?

【ステートメント



糖尿病に合併した高血圧は糖尿病腎症,糖尿病網膜症,糖尿病神経障害など細小血管症のリ

スクファクターである

10)



高血圧の是正は糖尿病腎症の進展を予防する可能性がある

b)



アンジオテンシン Ⅱ受容体拮抗薬(angiotensin Ⅱ receptor blocker:ARB),アンジオ

テンシン変換酵素(angiotensin-converting enzyme:ACE)阻害薬は細小血管症の進展

を予防する可能性がある

b, c)

高血圧が糖尿病腎症,糖尿病網膜症

10〜12)

,糖尿病神経障害

13, 14)

などの細小血管症のリスク

ファクターとなることが 1 型糖尿病,2 型糖尿病ともに報告されている

b, c)

高血圧は糖尿病による網膜血管内皮障害を助長し,網膜血管の血流調節機構の障害や内皮

細胞障害の伸展による血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)活性の

上昇などを介して網膜症を進展させる.糖尿病網膜症の疫学研究である the Genetics of

GoDARTS

12)

では網膜症がないことが確認された 2 型糖尿病 4,758 人を罹病 16 年後まで追跡

し,重度の非増殖性/増殖性網膜症の診断をエンドポイントとして解析した.この間,延べ 5

万回の眼底検査が実施され,追跡終了までに重度の非増殖性/増殖性網膜症の発症は 100 人で

認められた.その結果,拡張期血圧(diastolic blood pressure:DBP)値の 10.41 mmHg の上昇

で顕性非増殖性網膜症発症リスクは 87%増加し,SBP 値の 17.28 mmHg の低下により網膜症

が消失する可能性が 20%増加した.血圧が糖尿病網膜症の初期の変化に関与している可能性

が示された.

一方,介入研究において,網膜症については ADVANCE

10)

では降圧薬による網膜症の抑制

効果は認められていないが,EUCLID

15)

で ACE

阻害薬の有用性が示唆されている.DIRECT-Prevent

1 および Protect 1

16)

では,ARB は正常血圧の 1 型糖尿病患者の網膜症発症を抑制し

たものの,その進展は抑制できなかった.正常血圧または軽度高血圧を有する 2 型糖尿病患

者で行われた DIRECT-Protect 2

17)

では,ARB は既存の網膜症の進展は抑制できなかったもの

の,網膜症の累積改善率を 34%増加させた.また,1 型糖尿病患者を対象とした RAAS

18)

は,ACE 阻害薬あるいは ARB による網膜症抑制効果が示されている.神経障害の改善効果

も小規模な ACE 阻害薬の試験で示唆され,神経障害についても降圧療法が一定の効果を示し

ている.

(3)

日本高血圧学会・高血圧治療ガイドライン 2014(JSH2014)では成人における血圧を分類し,

高血圧を SBP 140 mmHg 以上かつ/または DBP 90 mmHg 以上としている(

表 1

).この基準

値は世界共通である

d)

家庭血圧は診察室血圧より低めになることが多く,24 時間自由行動下血圧とともに,白衣

高血圧,仮面高血圧の診断の参考となる(

図 1

).一般的な成人の家庭血圧では SBP 135 mmHg

以上かつ/または DBP 85 mmHg 以上を高血圧と定義する.疾患の予測には,診察室血圧より

家庭血圧のほうが強く関連し,特に家庭の起床時血圧が大血管症発症のよい指標になる

19)

したがって,家庭血圧の測定を積極的に勧めるべきであり,診察室血圧と家庭血圧の評価が

異なる場合には家庭血圧の診断を優先する.

糖尿病では血圧が 130/80 mmHg 以上で治療を開始する.診察室血圧に基づいた心血管リ

スクの層別化を行うと,高血圧に糖尿病が合併した場合にハイリスクになることが Ⅰ〜Ⅲ度

高血圧(

表 1

)のみならず正常・正常高値血圧レベルから認められることから,より早期から

の治療開始が有用である

a)

高血圧を合併した糖尿病患者では,体重減量や運動療法などの非薬物療法によって,イン

スリン抵抗性改善を介した耐糖能改善とともに血圧の低下が期待できる.したがって,体重

減量,運動療法,減塩などの生活習慣の修正を強力に行い,同時に降圧薬の投与を開始する

ことが原則となる.なお,血圧が 130〜139/80〜89 mmHg で,生活習慣の修正によって降圧

目標達成が見込める場合は,3 ヵ月を超えない範囲で生活習慣の修正による降圧を試みても

よいこととなっているが,生活習慣の修正で降圧目標達成が困難と考えられる場合,直ちに

Q15-3

糖尿病に合併した高血圧の治療を開始すべき診察室血圧値は?

【ステートメント



糖尿病に合併した際の高血圧の治療開始血圧は診察室血圧で 130/80mmHg 以上とする.



診察室血圧が 140/90mmHg 以上の場合は直ちに降圧薬を開始する.



診察室血圧が 130~139/80~89mmHg で,生活習慣の修正によって降圧目標達成が見

込める場合には,3 ヵ月を超えない範囲で生活習慣の修正による降圧を試みてもよいが,生

活習慣の修正で降圧目標達成が困難と考えられる場合は直ちに降圧薬を開始する.



家庭血圧の測定は積極的に勧めるべきであり,診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある

場合,家庭血圧の診断を優先する.



家庭血圧の治療開始血圧値は 125/75mmHg 以上が妥当である.

(日本高血圧学会と日本糖尿病学会の合同委員会による)

表 1 成人における血圧値の分類(mmHg)(JSH2014 より)

分類 収縮期血圧 拡張期血圧 正常域 血圧 至適血圧 < 120 かつ < 80 正常血圧 120∼129 かつ / または 80∼84 正常高値血圧 130∼139 かつ / または 85∼89 高血圧 Ⅰ度高血圧 140∼159 かつ / または 90∼99 Ⅱ度高血圧 160∼179 かつ / または 100∼109 Ⅲ度高血圧 ≧ 180 かつ / または ≧ 110 (孤立性)収縮期高血圧 ≧ 140 かつ < 90

(4)

降圧薬を開始する(

図 2

).

家庭血圧では耐糖能異常および糖尿病を対象とした HOMED-BP

19)

の解析において,心血管

リスクは収縮期血圧 125 mmHg 以上で上昇傾向があり,拡張期血圧 75 mmHg 以上では有意

に上昇することが示されている.

契機(スクリーニング) 診断 高血圧診断 高血圧確定診断 白衣高血圧診断 仮面高血圧診断 必要に応じて,自由行動下血圧測定を行う 診察室血圧 ≧140/90mmHg 家庭血圧 ≧135/85mmHg 家庭血圧測定が できない場合 *1 *1 *1 *2 *3 *2 *2 *2 家庭血圧 <135/85mmHg 家庭血圧 ≧135/85mmHg 診察室血圧 <140/90mmHg 偶発的発見・健診時・家庭血圧/ 自己測定時血圧高値 *1 診察室血圧と家庭血圧の診断が異なる場合は家庭血圧の診断を優先する.自己測定血圧とは, 公共の施設にある自動血圧計や職域, 薬局な どにある自動血圧計で, 自己測定された血圧を指す. *2 自由行動下血圧の高血圧基準は,2 4時間平均130/80mmHg 以上, 昼間平均135/85mmHg 以上, 夜間平均120/70mmHg以上であ る.自由行動下血圧測定が実施可能であった場合 , 自由行動下血圧基準のいずれかが以上を示した場合,高血圧あるいは仮面高血圧と判 定される.またすべてが未満を示した場合は正常あるいは白衣高血圧と判定される. *3 この診断手順は未治療高血圧対象にあてはまる手順であるが,仮面高血圧は治療中高血圧にも存在することに注意する必要がある. 図 1 血圧測定と高血圧診断手順(JSH2014 より) 治療開始血圧 130/80mmHg以上 第一選択薬:ARB, ACE阻害薬 効果不十分 降圧目標 130/80mmHg未満 3剤併用:ARBあるいはACE阻害薬, Ca拮抗薬, 利尿薬 用量を増加 Ca拮抗薬, 利尿薬を併用 生活習慣の修正・血糖管理と同時に降圧治療を開始する 1)血圧140/90mmHg 以上:降圧薬を開始する 2)血圧130 ∼139/80∼89mmHg:生活習慣の修正で降圧が見込める場合は, 生活習慣の 修正による降圧を3ヵ月を超えない範囲で試み,血圧130/80mmHg 以上なら,臨床的に は高血圧と判断し降圧薬を開始する 効果不十分 図 2 糖尿病を合併する高血圧の治療計画(JSH2014 より)

(5)

一般的目標値

この点については日本高血圧学会と日本糖尿病学会は合同委員会において検討されている.

HOT

24)

の糖尿病患者を対象としたサブ解析では,拡張期血圧 80 mmHg 以下のより低い降圧

目標群で,拡張期血圧 85 mmHg 以下,90 mmHg 以下のより高い降圧目標群よりも心血管イ

ベントのリスクが有意に減少する結果が示され,UKPDS38

25)

での血圧を平均 154/87 mmHg

より 144/82 mmHg へと低下させることで大血管症と細小血管症のリスクを著明に減少させ

た成績,および正常血圧の糖尿病患者に対しても降圧療法が有用であることを認めた臨床試

験の成績

26)

などから,糖尿病を合併した高血圧に対し,目標血圧値をより低く設定すること

の有効性が考えられた.こうした成績より糖尿病合併高血圧患者の降圧目標は一般の高血圧

より低く設定されており,2010 年以前に公開された治療ガイドラインでは

c, e, f, g)

,糖尿病にお

ける降圧目標は 130/80 mmHg 未満と勧告されていた.一方,2010 年に糖尿病患者で血圧コ

ントロールの有用性を検討した ACCORD-BP

27)

の結果が報告された.ACCORD-BP での厳格

治療群は血圧 119.3/64.4 mmHg,標準治療群は 133.5/70.5 mmHg まで降圧し,降圧目標は達

成されたが,主要エンドポイント(非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中・心血管疾患による死

亡)の年間発生率は厳格治療群において減少傾向ではあったが有意差に至らなかった.これは

ACCORD-BP

の標準治療群でイベント発生率が当初の想定の 1/2 程度であったことより,検

出力不足の可能性が指摘されている.しかしながら,その後の 13 件の研究のメタアナリシス

20)

でも,130/80 mmHg 未満に降圧すべき積極的な根拠が見い出せないと報告された.これらの

成績から 2013 年以降に発表された ADA の勧告

h)

や,ESH-ESC2013 ガイドライン

i)

などで

は糖尿病での降圧目標が緩和され,SBP では 140 mmHg 未満とする降圧目標値が示されるこ

ととなった.

しかしながら,日本では JSH2014 作成の議論において,ACCORD-BP

27)

の主要エンドポイ

ントでの脳卒中発症率が心筋梗塞発症率の約 1/4 であるのに対して,日本では一般住民

28, 29)

糖尿病患者

30)

での脳卒中発症率が心筋梗塞発症率の 1.5〜2 倍と高いことが指摘された.加え

て ACCORD-BP

27)

では血圧厳格治療群での標準治療群に比した脳卒中発症の HR は 0.59 と有

意に低値であり,130 mmHg 未満を達成することによる脳卒中予防効果が示されている.以

上のことを勘案し,日本では患者数が多く,発症後の ADL,QOL に影響が大きい脳卒中の

予防を考慮して糖尿病患者での降圧目標は従来どおりの 130/80 mmHg 未満を維持するもの

とされた(

図 2

).これにより,治療開始血圧レベルと治療目標血圧レベルの整合性がとられ

ている.また,上述の 13 件の研究のメタアナリシス

20)

においても,脳卒中に関しては収縮

CQ15-4

糖尿病に合併した高血圧を診察室血圧 130/80mmHg 未満に管理

することは合併症予防に有効か?

【ステートメント



合併症予防のために糖尿病での診察室血圧の血圧コントロール目標値は 130/80mmHg 未

満とする

20, 21)

【推奨グレード B】

(合意率 90%)



血圧コントロール目標値の達成は糖尿病合併症予防,特に脳血管疾患予防に有効であるが,

動脈硬化性冠動脈疾患,末梢動脈疾患合併例,高齢者においては,降圧に伴う臓器灌流低下

に対する十分な配慮が必要である

22, 23)

【推奨グレード B】

(合意率 100%)

(日本高血圧学会と日本糖尿病学会の合同委員会による)

(6)

期血圧 130 mmHg 未満でより発症予防が期待できることが示されている.

特殊条件下目標値

JSH2014

d)

では高齢者糖尿病については,高齢者の特性を考慮して,高齢者の降圧目標(65

〜74 歳では 140/90 mmHg 未満,75 歳以上では 150/90 mmHg 未満)を目指し,忍容性があ

れば慎重に 130/80 mmHg 未満を目指すことを勧告している.

家庭血圧に基づく降圧目標については,日本での検討で耐糖能異常および糖尿病症例にお

いて,家庭血圧 125/75 mmHg 未満を目標とした厳格な降圧療法が臓器障害予防に有効であ

ることが示されている

21)

さらに,降圧目標を考えるうえで考慮しなければならない点がある.冠動脈疾患を合併し

た 50 歳以上の糖尿病患者 6,400 人を対象とした INVEST サブ解析

22)

では,達成収縮期血圧

140 mmHg 以上(管理不良群)に比し,130 mmHg 未満群(厳格管理群)と 130〜140 mmHg 群

(標準管理群)で心血管イベントは減少したが,厳格管理群と標準治療群での差異はなかった.

さらに 5 年間追跡を延長したアメリカコホートのデータを含めると,厳格管理群の死亡率は

標準管理群を有意に上回った.また INVEST の層別解析

31)

で,末梢動脈疾患の合併患者では

130 mmHg 未満の降圧で心血管イベントは明らかに増加したことが報告されている.また,

冠動脈疾患を有していた 1,104 人に対する ROADMAP の層別解析

23)

では,収縮期血圧が

121.9 mmHg 未満の患者で心血管系死亡率が上昇していた.したがって,動脈硬化性冠動脈

疾患,末梢動脈疾患合併症例においては,過降圧に伴う臓器灌流低下に対する十分な配慮が

必要であり,医療施設以外の血圧評価などを積極的に利用し忍容性を確認しながら慎重に血

圧コントロールを行うことが必要である.特に糖尿病では動脈硬化が進展している場合があ

り,降圧目標設定には十分な配慮が必要である.

(7)

糖尿病における降圧薬としては,レニン・アンジオテンシン系(renin-angiotensin system:

RAS)阻害薬である ACE 阻害薬または ARB をまず考慮する.これは RAS 阻害薬の持つ臓器

保護作用やインスリン抵抗性改善作用を中心とした有用性が国内外から数多く報告されてい

ることによる

32〜38)

.ACE 阻害薬,ARB に加え長時間作用型の持続型ジヒドロピリジン系カル

シウム拮抗薬も,インスリン感受性を改善し脂質代謝に影響を及ぼさないが,糖尿病新規発

症抑制効果は ARB あるいは ACE 阻害薬がカルシウム拮抗薬よりも優れている

39〜41)

糖尿病合併高血圧に対する薬物療法では,個々の降圧薬の糖代謝や脂質代謝に及ぼす影響

に対する配慮が必要となる.

α

遮断薬にも糖・脂質代謝改善作用はあるが,他剤に比較して

臓器保護のエビデンスは明らかでない

42)

.一般にニプラジロールなどの血管拡張性

β

遮断薬

を除く,一般の

β

遮断薬および利尿薬はインスリン感受性を低下させ,TG(triglyceride)を上

昇させることが報告されている

d)

.また,

β

遮断薬には低血糖症状を自覚しにくくする作用が

あり,エビデンス,糖代謝を考えると

α

遮断薬,

β

遮断薬,利尿薬は糖尿病患者における第

一選択薬には不向きとなる.以上の理由により糖尿病に合併した高血圧の第一選択薬として

ACE

阻害薬,ARB が選択される.

各種降圧薬の糖尿病腎症に対する効果に関しては,ACE 阻害薬では非高血圧患者でも蛋白

尿を伴う 1 型糖尿病患者における腎機能の低下を抑制し,透析療法移行を減少させることが判

明している

b)

.2 型糖尿病腎症に関する効果については,RENAAL

36)

,IDNT

37, 43)

,IRMA-2

44)

MARVAL

45)

,INNOVATION

38)

などで ARB の有用性が示されている.一方,蛋白尿・アル

ブミン尿のない糖尿病症例において,RAS 阻害薬と他の降圧薬との優劣を決める十分なエビ

デンスは存在しないが,ROADMAP

31)

では 2 型糖尿病患者における ARB の微量アルブミン

尿発症予防効果が示された.大血管疾患予防については,CAPPP

46)

では ACE 阻害薬の,

HOT

20)

,Syst-Eur

47)

ではカルシウム拮抗薬の有用性が示されている.また LIFE

34)

では,ARB

β

遮断薬より有意に心血管疾患発症を抑制しており,糖尿病合併高血圧の腎保護と大血管

疾患予防の立場からは ACE 阻害薬,ARB とカルシウム拮抗薬の有用性が確認されている.

ACE

阻害薬と ARB の併用に関して,糖尿病患者を 36〜38%含む心血管疾患のハイリスク

患者で行われた ONTARGET

48)

では,主要評価項目(心血管死・心筋梗塞・脳卒中・心不全に

よる入院)は,ラミプリルとテルミサルタン群で同等であった.また,両薬の併用も単剤と同

等であったが,むしろ有害事象が増えた.また,ACE 阻害薬か ARB 服用中のハイリスク糖

尿病患者を対象に,直接的レニン阻害薬のアリスキレンかプラセボを併用した ALTITUDE

49)

では,アリスキレン併用群で高カリウム血症,腎機能障害,過度の降圧などの有害事象が多

く起こり中断された.そのため,アリスキレンは ACE 阻害薬または ARB 投与中の糖尿病患

者では原則併用禁忌で,ACE 阻害薬または ARB 投与を含む他の降圧治療を行ってもなお血

圧コントロールが著しく不良の患者に限り慎重に併用するとされた.以上より原則的には直

CQ15-5

糖尿病に合併した高血圧の降圧療法での第一選択薬は ACE 阻害薬・

ARB か?

【ステートメント



糖尿病における降圧薬としては,第一選択薬として,臓器保護作用やインスリン抵抗性改善

作用を有する ACE 阻害薬または ARB を用いる

32, 33)

【推奨グレード A】

(合意率 100%)

(8)

接的レニン阻害薬を含めて 2 種類以上の RAS 阻害薬の併用は推奨されず,併用する場合には

注意深い観察が必要である.

(9)

降圧目標が達成されない場合は予防効果が限定的となるので,降圧薬の増量か併用が必要

となる.糖尿病に合併した高血圧では降圧薬単剤では十分なコントロールが得られない場合

が多い.併用降圧薬について,糖尿病腎症におけるカルシウム拮抗薬と利尿薬を比較した

GUARD

50)

では,蛋白尿減少には利尿薬,推算糸球体濾過率(estimated glomerular filtration

rate:eGFR)保持にはカルシウム拮抗薬の併用で効果が強いことが示された.同様の結果は

日本人でも COAT

51)

により確認されている.また,ハイリスクの高血圧患者を対象に,ACE

阻害薬にカルシウム拮抗薬あるいはサイアザイド系利尿薬を併用した際の有用性を比較した

ACCOMPLISH

の糖尿病サブ解析

52)

では,カルシウム拮抗薬は利尿薬と比較して,心血管イ

ベント抑制において優位性を認めた.また,日本で実施された,26%の糖尿病患者を含むハ

イリスク高齢高血圧患者を対象にした COLM

53)

の結果では,「ARB+カルシウム拮抗薬」と

「ARB+低用量利尿薬」の両群で,主要評価項目の突然死,脳卒中,心イベント,腎機能障害

に差違は認められなかったが,75 歳以上での脳卒中,有害事象の発生には利尿薬併用群に比

してカルシウム拮抗薬併用群で有利な結果であった.以上の結果により,患者の状態を考慮

して併用薬はカルシウム拮抗薬,利尿薬のいずれの選択も可であると考えられる(

図 2

).

RAS

阻害薬の増量に関しては,ARB 増量とカルシウム拮抗薬併用を比較した OSCAR

54)

解析では,致死的あるいは非致死的心血管疾患を主要エンドポイントとすると,心血管疾患

の既往のない糖尿病患者では両群で有意差は認めなかった.また,労作性狭心症や陳旧性心

筋梗塞合併例においては

β

遮断薬も心保護作用を有しているため,血圧コントロールに使用

可能である.

Q15-6

糖尿病に合併した高血圧の併用療法での選択薬はカルシウム拮抗薬か

利尿薬か?

【ステートメント



ACE 阻害薬または ARB による降圧が不十分な場合の併用薬としてカルシウム拮抗薬ある

いは少量のサイアザイド系利尿薬を併用,さらに降圧を要する場合は 3 剤を併用する.

(日本高血圧学会と日本糖尿病学会の合同委員会による)

(10)

[引用文献]

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[レベル 1+]

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[参考とした資料]

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b)American Diabetes Association:Microvascular complications and foot care:Standards of Medical Care in Diabetes2016. Diabetes Care 39:S72-S80, 2016

c) American Diabetes Association:Standards of Medical Care in Diabetes 2010. Diabetes Care 30:S4-S10, 2010 d)日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会(編):高血圧治療ガイドライン 2014,日本高血圧学

会,ライフサイエンス出版(制作・販売),東京,2014

e) 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会(編):高血圧治療ガイドライン 2009,日本高血圧学 会,ライフサイエンス出版(制作・販売),東京,2009

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h)American Diabetes Association:Cardiovascular disease and risk management:Standards of Medical Care in Diabetes2016. Diabetes Care 39:S60-S71, 2016

(13)

1)Asia Pacific Cohort Stud-ies Collaboration (APCSC), 2007 コホート研究 [レベル 2] 2)Iimura O (端野・壮瞥町研 究), 1996 横断研究 [レベル 4] 3)HenryP et al (HDS), 2002 横断研究 [レベル 4] 4)Bertschi AP et al (SHARP), 2005 横断研究 [レベル 4] 5)Stamler J et al (MRFIT), 1993 コホート研究 [レベル 2] 6)NIPPON DATA80 Research Group (NIPPON DATA), 2006 コホート研究 [レベル 2] 7)Turner RC et al (UKPDS 36), 2000 コホート研究 [レベル 2] 8)Takeuchi H et al (端野・壮 瞥町研究), 2005 コホート研究 [レベル 2] 9)Ninomiya T et al (久山町研 究), 2007 コホート研究 [レベル 2] 環太平洋地域のコホート研究 36件の参加対象(368,307人) [日本人を含む]. 40〜69歳の地域一般住民男女 2,000人[日本人]. フ ラ ン ス 人 健 診 受 診 男 性 (63,443人). スイス人通院患者(8,435人). 35〜57歳の男性アメリカ人 (347,978人(糖尿病5,163人, 非糖尿病342,815人). 日本人一般住民男女(10,546 人)[日本人]. 新規2型糖尿病患者(イギリス 人4,801人). 端野・壮瞥町研究の一般住民男 性808人[日本人]. 久山町研究の第3集団のうち, 冠動脈疾患または脳卒中の既往 がなく,採血および腹囲測定 データが得られた2,452人[日 本人]. 糖尿病患者と非糖尿病対象に分 けて収縮期血圧の上昇とCVD イベントの発生の関連を検討. 早朝空腹時にOGTTと血圧測定 を実施. 血圧測定,空腹時血糖値測定に より評価. 高血圧,2型糖尿病,脂質異常症 の頻度を検討. コレステロール値,SBP,喫煙の 死亡率に及ぼす影響を層別化し て比較した.また,年齢補正後の CVD死亡率をリスクファク ターの数別に比較した. 1980年の追跡開始から19年 間の生死と死因を住民票と死亡 診断書をベースに解析. 降圧療法下で≧150/85mmHg ま た は 未 治 療 で ≧160/90 mmHgの1148人を,非厳格療 法 群(390人 )と 厳 格 療 法 群 (758人)に割り付けて10.5年 追跡. 腹囲測定,OGTT,脂質測定,血 圧測定を実施.NCEP-ATPⅢ基 準によりメタボリックシンド ロームを分類,6年間追跡. 採血および腹囲測定を実施, NCEP-ATPⅢ基準によりメタ ボリックシンドロームを判定, 2002年までの14年間追跡. 糖尿病では心血管イベントが増 加したが,糖尿病症例ではSBP が10mmHg上昇するに従い大 血管疾患死亡は18%増加した. 血圧レベルが上がるに従い耐糖 能異常,糖尿病の頻度が増し,耐 糖能異常・糖尿病者では高血圧 の頻度が高かった.インスリン 抵抗性状態の者は本態性高血圧 患者では45.4%,正常血圧者で は16.3%であった. 各年齢層で血圧が高いものでは 耐糖能異常が多く,耐糖能異常 者では高血圧の頻度が高かっ た. 通院患者中73.6%に高血圧, 25.4%に糖尿病があり,糖尿病 合併高血圧は17.0%であった. 糖 尿 病 群 の 全 死 亡 率 は 160.13/10,000人・年 ,う ち CVD死亡率は85.13/10,000 人・年,非糖尿病群の全死亡率は 53.20人/10,000人・年,うち CVD死亡率は22.88/10,000 人・年,糖尿病患者では各リスク ファクター・複合リスクファク ターの値が高いほどCVD死の 絶対リスクが著しく増加. 追跡中に132人のIHD死亡があ り,随時血糖200mg/dL以上の 糖尿病群ではIHD死亡リスクが 血圧値の上昇とともに増加す る. イベントは追跡時点SBPの上 昇とともに増加,SBP≧160 mmHgの場合(76.2/1,000人・ 年)では,<120mmHgの場合 (36.0/1,000人・年)に比して2 倍となる. MetS有病率は25.3%であり, MetS患者ではMetSのない者に 比べて,心疾患イベントのHRは 2.23に上昇した. MetS有病率は25.9%で あ っ た.MetS患者は,MetSのない者 に比べて年齢/交絡因子による 調整後の心血管病発症リスクが 有意に高い.

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対 象

方 法

結 果

アブストラクトテーブル

(14)

10)Patel A et al (ADVANCE), 2007 RCT [レベル 1+] 11)Chaturvedi N et al, 1998 RCT [レベル 1] 12)Liu, Y et al (GoDARTS), 2013 コホート研究 [レベル 2] 13)Tesfaye S. et al, 2005 コホート研究 [レベル 2] 14)KYZ Forrest et al, 1997

コホート研究 [レベル 2] 15)EUCLID Study, 1997 RCT [レベル 1] 16)Chaturvedi N et al (DIRECT-Prevent 1/ DIRECT-Protect 1), 2008 RCT [レベル 1+] 17)Sjølie AK et al (DIRECT-Protect 2), 2008 RCT [レベル 1+] 18)Mauer M et al (RAAS trial), 2009 RCT [レベル 1] 19)Noguchi Y et al, 2013 コホート研究 [レベル 2] 2型糖尿病患者(11,140人)(ア メリカ人). ヨーロッパ人20〜59歳の正常 あるいは微量(15%)アルブミ ン尿で正常血圧の1型糖尿病患 者(530人). 2型糖尿病(4,758人)(イギリ ス人). ヨーロッパ人1型糖尿病(1,172 人). ヨーロッパ人1型糖尿病(463 人). 20〜59歳の正常あるいは微量 (15%)アルブミン尿で正常血 圧の1型糖尿病患者(530人). (ヨーロッパ人). 正常血圧または軽度高血圧を有 する1型糖尿病患者(1,421人) (多国籍309センター). 正常血圧または軽度高血圧を有 する2型糖尿病患者(37〜75歳 の1,905人)(多国籍309セン ター). 高血圧がなく正常アルブミン尿 の1型糖尿病患者(285人)(北 米多施設). 本態性高血圧患者(3,518人) [日本人]. ペリンドプリルとインダパミド の併用とプラセボとの比較. リシノプリルあるいはプラセ ボ. のべ49,959回の眼底検査を実 施.最大16年追跡. 神経障害の評価を平均7.3年の 間隔で実施. 6年追跡後神経障害を評価. リシノプリルあるいはプラセ. ボ. カンデサルタンあるいはプラセ ボ. カンデサルタンあるいはプラセ ボ. プラセボ,エナラプリル,ロサル タンの3群に分け5年間観察. 5.45年の追跡. 併用群はプラセボ群に比し,平 均4.3年の観察期間において,血 圧は平均5.6/2.2mmHg低く, 主要心血管イベントは9%低 下,心血管死は18%低下,全死 亡は14%低下.腎イベントと微 量アルブミン尿新規発症はいず れも21%低下していた. 2年間で,リシノプリルは網膜症 の5段階評価の1段階以上の悪 化を50%抑制した. 100 人 が severe non-PDR/ PDRを発症.収縮期血圧が網膜 症発症と関連. 対象の23.5%に神経障害が発 症,高血圧が神経障害発症のリ スクファクターとして抽出され た. 対象の15%で神経障害が進展. 高血圧は最大のリスクファク ター. 2年間で,リシノプリル群の尿中 アルブミン排泄量はプラセボ群 に比べて,2.2μg/min低かっ た. カンデサルタン群は網膜症発症 頻度は低かったが,進展は両群 同等であった. 既存の網膜症の進展は両群に差 はなかったが,カンデサルタン 群で 網膜症の 累積改善率は 34%上昇した. 腎生検上は有意な治療効果は認 めず.微量アルブミン尿の累積 発現率は,プラセボ群6%,エナ ラプリル群4%,ロサルタン群 17%とARBで高値.エナラプ リル群,ロサルタン群ともに網 膜症は抑制. 家庭血圧基準の高血圧では,糖 代謝異常群は糖代謝正常群に比 べ,心血管イベントの発生率が 約2倍高い.

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対 象

方 法

結 果

(15)

20)Bangalore S et al, 2011 メタアナリシス [レベル 1] 21)Eguchi K et al, 2012 非ランダム化比較試験 [レベル 3] 22)Cooper-DeHoff RM et al, 2010 RCT の後付サブ解析 [レベル 3] 23)Haller H et al (ROADMAP), 2011 RCT [レベル 1+] 24)Hansson L et al (HOT), 1998 RCT [レベル 1+] 25)UK Prospective Diabetes

Study Group (UKPDS 38), 1998 RCT [レベル 1+] 26)Ravid M et al, 1993 RCT [レベル 1] 27)Cushman WC et al (ACCORD-BP), 2010 RCT [レベル 1+] 28)Doi Y et al (久山町研究), 2010 コホート研究 [レベル 2] IGT ま た は 2 型 糖 尿 病 患 者 (37,736人). 2型糖尿病あるいはHbA1c> 6.1%の耐糖能異常を合併する 日本人高血圧患者60人[日本 人]. 50歳以上の高血圧患者22,576 人のうち糖尿病を有する6,400 人(多国籍). 正常アルブミン尿の2型糖尿病 患者(4,447人)(ヨーロッパ 19ヵ国). 2型糖尿病1,501人を含む,拡 張期血圧100〜115mmHgの 本態性高血圧患者(18,790人) (ヨーロッパ,北米,南米,アジ ア)[東アジア人を含む]. 高血圧合併2型糖尿病(1,148 人).白人が86〜88%. 2型糖尿病(94人)(イスラエル 人). 2型糖尿病(4,733人)(アメリ カ人). 40〜 79 歳 の 地 域 一 般 住 民 2,421人(男性1,037人,女性 1,384人)[日本人]. 対象者100人以上,達成収縮期 血圧が厳格群135mmHg以下, 標準群140mmHg以下で1年以 上追跡している13のRCTを解 析. 試験期間は6ヵ月.家庭血圧< 125/75mmHgを目指す積極 的な降圧が,2型糖尿病あるいは 耐糖能異常を合併した高血圧患 者の標的臓器障害を予防するか 検証. 追跡は16,893人・年,PROBE 法にて,CCBベラパミルをベー スとする治療群と非CCB(β遮 断薬アテノロール)をベースと する治療群にランダムに割り付 けて解析. 目標血圧を<130/80mmHg に設定し,プラセボ群とARB (オルメサルタン)群を中央値 3.2年間観察. 拡張期血圧を80未満,80〜85, 85〜90mmHgにCCBで降圧. ACE阻害薬あるいはβ遮断薬 を用いた厳格な血圧コントロー ルと緩やかな血圧コントロール を比較. エナラプリル(10mg/日)とプ ラセボの,アルブミン尿,クレア チニンなどに与える影響につい て検討. 目標血圧を120mmHg未満, 140mmHg未満に設定した2群 を平均4.7年間追跡. 14年間の追跡から耐糖能と,虚 血性脳卒中,冠動脈性心疾患発 症との関連を検討. メタアナリシスでは,SBP< 120mmHgまで脳卒中リスク の 減 少 を 認 め た が ,<130 mmHgでは重篤な有害事象が 40%増加した.エビデンスから は,2型糖尿病/境界型において 130〜135mmHgの降圧目標 に対する忍容性が示唆された. SBP<130mmHgの厳格降圧 により,脳卒中は減少した. 朝,晩の家庭血圧はそれぞれ, 145/81→128/73mmHg, 133/73→119/66mmHg と 低下,FMD,AI,PWVは有意に 低下,尿中アルブミン排泄量も 有意に減少. 一次エンドポイント発生率は標 準降圧群12.6%に比べ管理不 良群では19.8%と高いが,厳格 降圧群では12.7%と有意差が なかった.全死亡リスクは,標準 降圧群に比べ厳格降圧群で高い 傾向. オルメサルタンは微量アルブミ ン尿の発症時期を23%延長し た.冠動脈疾患既往者はオルメ サルタン群で心血管死亡が増加 した. 糖尿病では85〜90mmHg群に 比し80mmHg未満群でCVDが 半減した. 厳格群では緩徐群に比して,糖 尿病関連死が32%,細小血管症 が37%,脳卒中が44%,心筋梗 塞が21%減少した. 5年間でアルブミン尿はエナラ プリル群でプラセボ群に比し有 意に減少.腎機能はプラセボ群 では低下したが,エナラプリル 群では変化は少ない. 一次エンドポイントは両群間に 有意差なし.脳卒中は厳格管理 群1.87%,標準群2.09%(HR 0.88,95%CI 0.17〜1.06)と 厳格管理群で有意に抑制. 糖尿病患者における1,000人・ 年あたりのCHDと虚血性脳卒 中の発症数は,男性では9.4, 11.3,女性では6.9,9.3.

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対 象

方 法

結 果

(16)

29)WatanabeM et al (吹田研 究), 2010 コホート研究 [レベル 2] 30)Sone H et al (JDCS), 2011 コホート研究 [レベル 2] 31)Bavry AA et al, 2010 RCT の後付研究 [レベル 3]

32) HOPE study investiga-tors (MICRO-HOPE), 2000 RCT [レベル 1+] 33)Lewis JB et al, 1999 RCT [レベル 1] 34)Lindholm LH et al (LIFE), 2002 RCT [レベル 1+] 35)Katayama S et al (JAPAN-IDDM), 2002 RCT [レベル 1] 36)Brenner BM et al, 2001 RCT [レベル 1+] 37)Lewis EJ et al, 2001 RCT [レベル 1+] 38)Makino H et al (INNOVA-TION), 2007 RCT [レベル 1] 30〜79歳の一般住民 1,607 人(男性764人,女性843人) [日本人]. 2型糖尿病患者のうち,大血管症 の既往がない男性940人(平均 年齢57.8歳),女性831人(平均 年齢58.7歳)[日本人]. 冠動脈疾患を合併する高血圧患 者でPAD合併2,699人,非合併 19,877人(多国籍). 心血管イベントの既往やリスク ファクターを有する2型糖尿病 (3,577人).多国間共同試験(人 種の記載なし). 蛋白尿を伴う1型糖尿病患者 (129人),白人が92〜97%. 55〜80歳の左室肥大を伴った 高血圧合併2型糖尿病(1,195 人)(白人86%,黒人11%). 20〜50歳の微量アルブミン尿 あるいは蛋白尿を伴う1型糖尿 病患者(79人)[日本人]. 31〜70歳(平均60歳)の蛋白 尿を有する高血圧合併2型糖尿 病(3.5%は正常血圧)(1,513 人 ).白 人 48.6%,ア ジ ア 人 16.7%,黒 人 15.2%,ヒ ス パ ニック18.2%[東アジア人を含 む]. 30〜70歳(平均59歳)の蛋白 尿を有する高血圧合併2型糖尿 病(1,715人).白人72.4%,黒 人13.3%,アジア人5.0%[東ア ジア人を含む]. 早朝第一尿でアルブミン尿が 100〜300mg/g・Crの日本人 2型糖尿病患者(527人)[日本 人]. 平 均 追 跡 期 間 は 12.7 年 で , HbA1c≧6.5%の糖尿病新診 断基準と大血管症との関連を解 析. 追跡期間は7.86年(中央値). 平均観察期間は2.7年,一次エン ドポイントは,全死亡,非致死性 心筋梗塞,あるいは非致死性脳 卒中. ACE阻害薬のラミプリルあるい はプラセボ. ACE阻害薬で,平均血圧を100 〜107と92mmHg未満にコン トロール. ARB(ロサルタン)とβ遮断薬 (アテノロール)を比較. イミダプリル vs. カプトプリル vs. プラセボ. ロサルタン vs. プラセボ. イルベサルタン vs. アムロジピ ン vs. プラセボ. テルミサルタン40mgあるいは 80mg/日 vs. プラセボ. 大血管症はHbA1c値が上昇す るにつれ増加.糖尿病では, 1,000人・年あたりの心筋梗塞 と虚血性脳卒中の発症数はそれ ぞれ4.2,6.3であった. 1,000人・年あたりのCHDと脳 卒中の発症数はそれぞれ9.59, 7.45,また心筋梗塞と脳梗塞の 発症数はそれぞれ3.84,6.29. 血圧,中性脂肪がリスクファク ターとして抽出された. PAD合併例で非合併例よりイ ベントは有意に多く発生した が ,PAD 合 併 患 者 で は SBP 135〜145mmHg,DBP 60〜 90mmHgの群で,一次エンドポ イント発生頻度が最も低かっ た. 4.5年間でACE阻害薬群では, 全死亡が76%に,心血管死が 63%に,心筋梗塞が78%に,脳 卒 中 が 67%に ,顕 性 腎 症 が 76%に減少. 平 均 血 圧 が92mmHg未 満 に な っ た 者47人の う ち ,27人 (57%)で 尿中蛋白排泄量が 0.5g/日未満に低下. 4.7年間でARB群では一次複合 エンドポイント(心血管死・心筋 梗塞・脳卒中)は76%に,心血管 死は63%に,心筋梗塞は83% に,脳卒中は79%に減少. 1.5年間で,アルブミン尿はプラ セボ群で1.72倍へ増加,イミダ プリル群で0.59倍に,カプトプ リル群で0.94倍に減少. 3.4年間でロサルタン群ではプ ラセボ群に比較して,Scrの2倍 化は0.75倍に,末期腎不全は 0.72倍に,蛋白尿は0.65倍に低 下した. 2.6年間で,複合腎エンドポイン トはARB群ではプラセボ群の 0.80倍に,CCBの0.77倍に低 下した. テルミサルタン40mgあるいは 80mg/日の投与はプラセボ投 与群に比較して,微量アルブミ ン 尿か ら 蛋白尿へ の 移行を 55%あるいは66%減少.

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対 象

方 法

結 果

(17)

39)ALLHAT Officers et al (ALLHAT), 2002 RCT [レベル 1+] 40)Julius S et al (VALUE), 2004 RCT [レベル 1+] 41)Ogihara T et al (CASE-J), 2008 RCT [レベル 1+] 42)Whelton PK et al (ALLHAT), 2005 RCT サブ解析 [レベル 2] 43)Berl T et al (IDENT), 2003 RCT の後付けサブ解析 [レベル 3] 44)Parving HH et al (IRMA-2), 2001 RCT [レベル 1] 45)Viberti G et al (MARVAL), 2002 RCT [レベル 1] 46)Niskanen L et al, 2001 RCT の後付けサブ解析 [レベル 3] 47)Tuomilehto J et al (sys-Eur), 1999 RCT [レベル 1] 冠動脈疾患リスクファクターを ひとつ以上有する高血圧患者 (33,357人)(アメリカ人). 主に ア メ リ カ の 高血圧患者 (15,313人). 2型糖尿病を42.9%含む心血管 リスクをひとつ以上有する高血 圧患者(4,728人)[日本人]. 36%の2型糖尿病患者を含む 55歳以上のハイリスク高血圧 患 者( 31,512 人 ).糖 尿 病 13,101人,空腹時高血糖(IFG) 1,399 人 ,正 常 耐 糖 能( NG) 17,012人(アメリカ人). 2型糖尿病および顕性腎症を合 併し,従来の降圧療法を受けて いる高血圧患者(1,715人)(多 国籍多施設). 2型糖尿病および微量アルブミ ン尿を伴う高血圧患者(590人) (多国籍多施設). 正 常 ク レ ア チ ニ ン ,血 圧 < 180/105mmHgの微量アルブ ミン尿を伴う2型糖尿病患者 (332人)(イギリス人). 糖尿病合併高血圧患者(572人) (ヨーロッパ人). SBP が 160〜 219mmHg, DBP<95mmHgで60歳以上 の高血圧合併2型糖尿病(492 人)(ヨーロッパ人). 心血管イベントをエンドポイン トにアムロジピン群,リシノプ リル群,クロルタリドン群を4.9 年追跡. CCB(アムロジピン)とARB(バ ルサルタン)を比較. ARB(カンデサルタン)とCCB (アムロジピン)を比較. 利尿薬・CCB(アムロジピン)・ ACE阻害薬(リシノプリル)を耐 糖能別に比較. 追跡期間は2.6年,イルベサルタ ンまたはアムロジピンをプラセ ボと比較. 追跡期間は2年,イルベサルタン 150mg/日,同300mg/日およ びプラセボの,糖尿病腎症に与 える影響について検討. 追跡期間は24週,バルサルタン (80mg/日 )と ア ム ロ ジ ピ ン (5mg/日)の,尿中アルブミン排 泄量に与える影響について検討. カプトプリルと通常の降圧治療 の心血管死/罹患率に与える影 響について比較. CCB(ニトレンジピン)とプラ セボを比較. 複合一次エンドポイント(致死 性冠動脈疾患/非致死性心筋梗 塞)および全死亡の6年間の発 生率は,3群同様で差は認められ ない.アムロジピン群はクロル タリドン群より心不全発症率が 高く,リシノプリル群ではクロ ルタリドン群より複合心血管 病,脳卒中,および心不全の6年 間の発症率が有意に高い. 平均4.2年間の観察期間で,心血 管イベントに差なし. 3.2年間で,両群で致死的・非致 死的脳・心イベントの発症は同 等.糖尿病の新規発症はARB群 で36%減少. 4.9年間で,一次エンドポイント (致死性冠動脈疾患および非致 死性心筋梗塞)は,糖尿病あるい はNG群で3つの降圧薬による 差なし.IFG群ではACE阻害薬 と利尿薬間で差がなかったが, CCBは利尿薬に対して1.73倍 リスクが増加. イルベサルタン群,アムロジピ ン群,プラセボ群の到達血圧は そ れ ぞ れ ,140/77mmHg, 141/77mmHg,144/80mmHg. エンドポイント発生に有意差は 認めず,うっ血性心不全はイル ベサルタン群で,アムロジピン 群,プラセボ群に比しリスクが 低下. 糖尿病腎症発症率は,イルベサ ルタン300mg群ではプラセボ 群に比し有意な低値,尿中アル ブミン排泄量の低下率はプラセ ボ群に比し両実薬群ともに有意 に大. バルサルタン群の有効性は高血 圧例,正常血圧例を問わずみら れ,正常アルブミン尿への回復 も同群で有意に多い. 致死性/非致死性心筋梗塞,脳卒 中,その他の心血管死は,カプト プリル群で通常の降圧治療群に 比べて有意に低率. 2.5年間で,実薬群ではプラセボ 群に比較して,全死亡率が45% に,CVDによる死亡が24%に, 脳卒中が27%に減少した.

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対 象

方 法

結 果

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48)Yusuf S et al (ONTARGET), 2008 RCT [レベル 1+] 49)Parving HH et al (ALTITUDE), 2012 RCT [レベル 1+] 50)Bakris GL et al (GUARD), 2008 RCT [レベル 1] 51)Takihata M et al

(The COAT Randomized Controlled Trial), 2015 RCT [レベル 1] 52)Jamerson K et al (ACCOMPLISH), 2008 RCT [レベル 1+] 53)Ogihara T et al (COLM study), 2014 RCT [レベル 1+] 54)Ogawa H et al (OSCAR), 2012 RCT [レベル 1] 36〜38%の2型糖尿病患者を 含むCVDの ハ イ リ ス ク 患者 (25,620人)[日本人を含む]. 顕性アルブミン尿または微量ア ルブミン尿かつ中等度腎機能低 下患者,あるいはCVDの既往か つ中等度腎機能低下,のいずれ か を 認 め る2型 糖 尿 病 患 者 (8,561人)[東アジア人を含む]. 微量アルブミン尿を伴う高血圧 の2型糖尿病患者(332人)(ア メリカ人). HbA1c 7%以下の2型糖尿病 患者(240人)[日本人]. 2型糖尿病患者を約60%含む CVDのハイリスクの高血圧患 者(11,506人)(多国籍多施設). 2型糖尿病者を26%含むハイリ スク高齢者高血圧患者(5,658 人)[日本人]. 65〜84歳の2型糖尿病あるい はCVDの既往のある高血圧患 者(1,164人)[日本人]. ラミプリル,テルミサルタンあ るいは両薬剤の併用群を比較. ACE阻害薬またはARBを用い た標準治療へのアリスキレン追 加投与による,CVDおよび腎イ ベント抑制の検討. ACE阻害薬のベナゼプリルに CCBのアムロジピンあるいはサ イアザイド系利尿薬を併用した 群を比較. CCBのアゼルニジピンとサイア ザイド系利尿薬のトリクロルメ チアジドが血圧とアルブミン尿 に与える影響を比較した. ACE阻害薬のベナゼプリルに CCBのアムロジピンあるいはサ イアザイド系利尿薬を併用した 群を比較. ARBのオルメサルタンにCCB を併用した群と利尿薬を併用し た群を平均3.3年間追跡して比 較. ARB(オルメサルタン)高用量 投与と,CCB+標準用量ARB の併用投与のいずれが優れてい るか検証,追跡期間は3年. 一次エンドポイント(心血管死・ 心筋梗塞・脳卒中・心不全による 入院)は,ラミプリルとテルミサ ルタン群で同等であった.両薬 の併用も単剤と同等であり,む しろ有害事象が増加. アリスキレン群とプラセボ群に イベント発生に差はなかった が,有害事象による投与中止は, アリスキレン群13.2%,プラセ ボ群10.2%で有意差を認めた. 蛋白尿は利尿薬で71%減少, CCBで40.5%減 少 .eGFRは CCBで2.03mL/min減少した が ,利 尿 薬 群 で は 13.64 mL/min減少. 血糖レベルは両剤同様であり, アゼルニジピンでは血圧コント ロールがよく,トリクロルメチ アジドではアルブミン尿の減少 効果が大きかった. ACE阻害薬にCCBを併用した 群でACE阻害薬に利尿薬を併 用した群に比べて,心血管死・心 血管イベント発症が20%減少. 主要評価項目には両群に差違は 認められなかったが,CCB群で 有害事象発生が少なく,後期高 齢者群において脳卒中が少ない 傾向を認めた. 血圧は標準用量ARB+CCB投 与群で有意に低下,イベントは 高用量ARB投与群において多 い傾向.特にCVDの既往群で, 有意に増加した(HR 1.63,p= 0.03).

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