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先生方へ ( 主旨理解教材について )(1) 中学校の教科書を利用した主旨理解指導 ( 高等学校教員による ) 高等学校では 英語の長文における読解力が求められ 主旨理解が促される指導案が 授業実践に向けて で提案されたが 中学校の教科書の教材でも 工夫次第では 主旨理解に関わる発問が考えられる 英

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先生方へ(主旨理解教材について)(1)

中学校の教科書を利用した主旨理解指導(高等学校教員による)

高等学校では、英語の長文における読解力が求められ、主旨理解が促される指導案が※

「授業実践に向けて」で提案されたが、中学校の教科書の教材でも、工夫次第では、主旨

理解に関わる発問が考えられる。

英語教育推進委員会委員である高等学校の英語科教員が、中学校の教科書を利用した指

導案等を提示する。これを授業改善のヒントとしてもらいたい。

以下は、作成した指導例の作成意図等に関して、高等学校教員からの解説である。

■3つの発問タイプ

深く読み取ることを目的とした発問について、

3つの発問タイプ(Display 型-Referential 型-Inferential 型)を紹介します。

多くの授業では、書かれている事実を読み取る発問(Display 型発問)が中心になって

いるのではないでしょうか。これから紹介する3つの発問のタイプは、本県高校1年生の

読解力における弱点を中学校段階で解決していくヒントになるものとして作成したもので

す。そのため、単に「発問集」という目的でまとめたものではなく、教科書の Unit(Program)

を取り上げながら、

「その活動の狙いの解説」

「発問作成の視点」

「実際の授業での指導ポイ

ント」の3点を具体的に記入し、どの学年、どのレッスンでも使うことのできる汎用性の

あるものにしました。

また、実際に授業で使用した指導案、その他のワークシートも添付しますのでぜひ参考

にしてください。

■資料

(解説)

・Display 型活動の発問例(事実読みの力の定着度を測る)

・Referential 型活動の発問例(主体的な読みの力を伸ばす)

・Inferential 型活動の発問例(事実読みの力の定着度を測る)

(指導案・教材)

・指導ラフ案

・ワークシート(1)

・ワークシート(2)

・音読シート

■引用文献

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発問例

(1) Did Sakura have a good sleep? (2) Did Sakura make her bed?

(3) Does Mrs. Baker make her own bed?

(4) Does Sakura know how to make her own bed?

【解説】

1.対話を聞いたり読んだりして,その内容を事実として適切に理解できているかどうかを確認するため の発問。答えがはっきりしている。基礎力定着のためにはぜひ毎時間取り入れたい活動である。 2.対話内容あるいは読解内容そのものの理解度を確認する発問であるため,英問英答の活動としたい。 3.特にslow learners の学習達成感を充足させることを目標に,Yes/No question のようにどの生徒もが

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7 英語で答えやすい発問を設定し,授業が活性化されることも目指す。 【発問の視点】 1.対話中あるいは本文中に答えの根拠となるコメントや記述があること。 2.教科書には挿絵や図表があるケースもあるが,できるだけそうしたvisual aids に依拠しない発問であ ることが望ましい。 3.(1)の発問例のように,クラス内のどの生徒にも内容がわかっているだろうと思われるテキスト内容 に基づく発問の場合,生徒の類推が効く範囲でテキストの表現を多少言い換えたフレーズを発問に盛り 込んでみる。こうすることで英語的な言い回しを理解する力を伸ばすことができる。 4.Yes/No question を基本に設定するが,学習段階に応じて既習の言語材料を盛り込んで復習を兼ねるこ とも可能。 (例)疑問詞what の導入が済んでいて,不定詞の名詞用法が学習済みである場合 (2) Did Sakura make her bed?

→ (2’) What does Mrs. Baker ask Sakura to do?

※テキストで生徒が答えの根拠にする発話部は変えない 【指導ポイント】 1.Display 型による言語活動では,発問に対する答えは明確なものばかりとなる。よって, (1)対話内容を聞き取る活動として,問いをあらかじめ提示して聞き取りのポイントを生徒に明示 する (2)読解活動として ①読解ポイントを明示するためにあらかじめ提示する ②対話内容のポイントを整理させるために初期読解後に提示する など,指導目標に合わせて取り入れる。 2.Yes/No question で構成する場合,生徒にはフルセンテンスで答える習慣を徹底することで,語順指導 や時制,代名詞といった言語材料を実際に使いながら習得することも可能になる。 3.Fast learners への対応も視野に入れる場合,この活動後にフルセンテンスで答えたものをうまくつな いで「どんな対話であったか」を英語で説明するという活動に展開していくことも可能である。テキス トのどこが解答の根拠になるのかをどの生徒にも徹底して指導する。Visual aids のみで答えを類推させ てしまうことのないように配慮する。

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発問例

(1) Mrs. Baker が “Sakura, did you sleep well?” と聞いたのはどのような気持ちからでしょうか。 (2) この対話はどこで行われているでしょうか。

(3) Sakura が “Make my bed?” と聞き返したのはなぜでしょう。

(4) Mrs. Baker が “I’ll tell you.” ではなく “I’ll show you.” と言ったのはなぜでしょう。

【解説】 1.対話を聞いたり読んだりして,その内容から自然に(論理的に)導ける理解を言語化させることでテ キストを主体的に聞き取ったり読み取ったりするための発問。答えの根拠ははっきりしているが,生徒 からの解答ならびに生徒の言語化レベルも多様。オープンな設問でありつつも,生徒の学力に応じた発 話が促せる。発話や陳述の主旨理解の力を伸ばすためにぜひ取り入れたい活動である。

Referential 型活動の発問例(主体的な読みの力を伸ばす)

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9 2.話者の意図や心情,筆者の主張や論点が適切に理解できているかどうかを確認する発問であるため, 日本語による活動とし,できるだけどの生徒にも取り組ませたい。 3.解答の根拠さえ適確であれば生徒からの多用な解答を認める。指導者からの発問に対する答えは一つ だと思い込ませることを回避し,生徒が主体的に言語活動に取り組む力を伸ばすことを狙った言語活動 でもある。 【発問の視点】 1.対話中あるいは本文中に答えの根拠となるコメントや記述があること。 2.教科書には挿絵や図表があるケースもあるが,できるだけそうしたvisual aids に依拠しない発問であ ることが望ましい。

3.機能語(今回の例であればBut)や感情表現(今回の例であれば thank you)がどのような時にどのよ うな気持ちを反映して使われるか,そして基本動詞(今回の例であればcome や show)が持つイメージ とはどのようなものかなど,生徒が見落としがちなところにも注目させながら主体的な内容理解を促す ことを狙う。 4.(2)のような発問があれば,おそらくはMrs. Baker が下の階から Sakura の部屋に上がってきて彼女 の様子をうかがいながら朝食あるいは何かしらの活動に誘おうとしていることが生徒にも読み取れよう。 この読み取りができれば,文体としては命令文として述べられているMrs. Baker の一言がここでは厳し い指示というよりは家族の一員として Sakura を扱おうとしている気持ちを表していると生徒にも理解 できよう。 5.(4)のような発問は,文脈を類推したり話者の意図を適確に把握したりするために重要である。 “I’ll show you.” の show に注目してこの発話意図が理解できれば,この発話に続いて Mrs. Baker がどのよ うな行動をとるかが予測できる。このとき,(2)の発問による主体的な思考がこの予測をより確かな ものにする働きをする。対話にせよ記述にせよ,そうした場面展開や心情の移ろい,文脈や文章展開を 主体的に追いかけることを促す発問により,生徒に気づきや発見の力を醸成したい。 【指導ポイント】 1.Display 型による事実読みがなされた後の活動に位置づける方が効果的である。 2.Referential 型の言語活動では,発問に対する答えはオープンで多様なものとなる。生徒からの様々な 解答は許容するが,解答の根拠を明らかにすること,そしてそこから適切に導ける解答であることを丁 寧に指導していく。 3.日本語による解答が主になるからこそ,その言語化レベルは学齢に見合ったものを要求する。 4.Referential 型の言語活動を終了した後,この活動で得られた主体的な読解内容を反映した音読活動や 暗唱(ペアによる対話再生)を展開する。発話に応じた気持ちを込めさせたり,あるべきイントネーシ ョンを指導したりすることにより,音読や暗唱の質を上げていく。そうすることで,活動を単発で終わ らせず,「何のための活動なのか」を生徒にも伝えていく。音読に移行する活動は、感情表現が求められ る。そのため、感情移入をした音読に抵抗感の少ない1年生の段階から取り入れていくことが望ましい。

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発問例

(1) (A)の部分(Ms. Baker の発話の前)ではMrs. Baker と Sakura との間でどんなやりとりが あったと考えられますか。英語で作成してみましょう。 : : (2) (B)の部分(この対話の後)ではどんなシーンが展開されると思われますか。この続きをペ アで自由に英語で作成してみましょう。 (3) (A)(B)を含めペアでこの対話を演じてみましょう。

Inferential 型活動の発問例(推測力・文脈理解力を伸ばす)

(A) (B)

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11 【解説】 1.Display 型ならびに Referential 型を終えた学習段階で展開する発展活動。対話やテキストの文脈を理 解し,それに見合った類推,推測により(教科書の編集の都合上)欠けている情報を補完する。英語に よる活動となるケースが多いため,可能な範囲で取り入れたい。 2.対話が教材となるレッスンで特に効果的な指導。創作部分は平易な英語であっても,話者の意図や心 情を適切に盛り込んだパフォーマンスをすることでslow learners にも十分な達成感を醸成できる。 3.テキスト全体の理解に基づく活動であるためテキストの主旨が理解できていさえすれば活動内容の多 様性を認める。この前提に立って,生徒に自分に合ったレベルの英語で表現させることにより,授業を 通して実践的な英語の運用力を高めることを狙う。 【発問の視点】 1.「テキストを読む」のではなく「テキストを使う」という視点に立つ。 2.教科書には挿絵や図表があるケースもあるが,できるだけそうしたvisual aids に依拠しない発問であ ることが望ましい。 3.どのような場面で展開されている対話なのか,どのようなことを主題とする文章なのかなどテキスト の主旨に応じた発問を設定する。今回の例であれば,Mrs. Baker と Sakura による朝の対話はこの場面で はどのように始まるのが自然なのか,そもそもどちらが声をかけて始まる対話と想定するのが自然なの か,そして(B)の直前に“I’ll show you.” と Mrs. Baker が発した意図はどこにあるのかなどが生徒に適 切に理解できていることが前提となる。その理解に応じた(A)(B)の補完であることを目指す。 4.発問は、他の生徒の発表に対して「なるほど,そういうやりとりもあるよな」と思えるような幅の広 さを持たせられるのが理想。パターンが1つしか想定されず,発展性に乏しいことが予測される場合は inferential 型の活動は回避する方がよい。 【指導ポイント】 1.言語材料のインプット,インテイクともにある程度のものが担保された状況での活動とする。Inferential 型ではテキストを何度も読み込んだり音読したりすることが前提となるため,その過程でインプット・ インテイクされたものがより生徒に定着することも期待される。 2.Inferential 型の言語活動では,発問に対する答えはオープンで多様なものとなる。生徒からの様々な 解答は許容するが,テキストの主旨理解が担保されていること,そして場面展開や話者の心情の移ろい も自然なものであることを丁寧に指導していく。 3.(1)の場合,例としてはMrs. Baker,Sakura とも1回ずつの発話となることを暗喩してしまってい るが,必ずしも1回ずつの発話とは限らない。生徒から複数回の発話設定を要望する声が上がってくれ ばチャンス。生徒がより主体的に活動に取り組もうとする証だからである。こうしたシートの提示に関 しては,各校の生徒状況に応じて対応し,あくまでも学習者中心の学習空間を作るように配慮する。 4.Inferential 型はいわゆる英作文の力を伸ばすためにも極めて有効である。この活動の中で生徒はどの ようなことを,どのような英語表現で発しようとしているのかを丁寧に観察し,個々に応じてより的確 で正確な英語表現力を習得させるきっかけとする。こうした自由な創作でこそ生徒がどんなところにつ まづいているかが表出し,その後の授業で力を入れて指導すべき言語材料や文法事項も見えてくる。

参照

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