命
令
書
申 立 人 太陽自動車労働組合 執行委員長 X1 被申立人 太陽自動車株式会社 代表取締役 Y1 上記当事者間の都労委平成15年不第98号事件について、当委員会は、平成19年 11月20日第1454回公益委員会議において、会長公益委員藤田耕三、公益委員大 辻 正寛、同中嶋士元也、同大平惠吾、同永井紀昭、同梶村太市、同松尾正洋、同中 島弘雅、同横山和子、同荒木尚志、同森戸英幸の合議により、次のとおり命令す る。主
文
1 被申立人太陽自動車株式会社は、申立人太陽自動車労働組合が申し入れた組 合費のチェックオフ、組合事務所の賃料支払い、会議室及び会社施設の利用等、 便宜供与の再開に向けての団体交渉に誠意をもって応じなければならない。 2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を55 センチメ ートル×80センチメ ートル( 新聞紙2 頁大)の 白紙に楷 書で明瞭 に墨 書して、会社の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 太陽自動車労働組合 執行委員長 X1 殿太陽自動車株式会社 代表取締役 Y1 当社が、 平成14年11月21日以 降、貴組 合との、 便宜供与 の再開に むけての 団体交渉に誠意をもって応じてこなかったことは、不当労働行為である と 東 京都労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注:年月日は文書を掲示した日を記載すること。) 3 被申立人会社は、前各項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告 しなければならない。 4 本件申立てのうち、平成14年10月28日以前の事実に係る申立てを却下する。 5 その余の申立てを棄却する。
理
由
第1 事案の概要と請求する救済内容の要旨等 1 事案の概要 平成13年春闘で、被申立人太陽自動車株式会社(以下「会社」という。) と申立人太陽自動車労働組合(以下「組合」という。)は、新賃金体系 の 導 入を巡って対立し、会社は、夏季一時金を支給せず、13年9月、便宜供与 を 廃止した。 事態打開のため組合は、会社が加盟している北海道交運事業協同組合(以 下 「 北 海 道 交 運 」 と い う 。 ) の 代 表 理 事 Y 2 ( 以 下 「 Y 2 代 表 理 事」、「Y2 社長」などという。)と交渉し、改善点として7項目( 以 下 「7項目改善」という。)が記載された書面を了解させ、新賃金体系を 受 け 入れた。 しかし、会社は、その後、組合との団体交渉において、7項目改善は 「 全 く知らないし、聞いていない。」、便宜供与は「再開する意志はない。 」 、 賃率は「有給休暇を含めて63%払っている。」などと繰り返し、7項目改 善 に係る組合の要求に応じなかった。組合は、これら会社の対応について、15年10月29日、当初の申立てを行い、 その後、18年3月15日、7項目改善の書面作成後の会社の対応が、誠実団 体 交渉義務違反であるとして、予備的と称して誠実な団体交渉応諾を求め る 申 立てを行った。 本件は、 申立ての 内容が「 継続する 行為」に 該当し期 間内の申 立てとして 取り扱われるべきか、予備的と称する申立ては許されるか、会社の便宜 供 与 廃止、再開拒否、賃率の取扱いが、7項目改善の書面に反し組合の弱体 化 を 狙った支配介入に、また、上記団体交渉における対応が、不誠実な団体 交 渉 に当たるか否か等を巡って争われた事案である。 2 請求する救済の内容の要旨 ⑴ 申立人は、当初、下記⑵を請求したが、18年3月15日、請求内容を下記 ⑶とする予備的と称する申立てを行った。 ⑵ 当初の請求 ① 会社は、組合費のチェックオフを再開すること。 ② 会社 は、組合 事務所の 賃料等の 支払いを 再開し、 組合に対 し、14年10 月分から 支払い再 開までの 間に組合 が賃貸人 に直接支 払った賃 料等に相 当する額を支払うこと。 ③ 会社 は組合と 、賃率を63%とする 賃金協定 を締結し 、それに よる賃金 と14年4月以降実際に支払われた賃金との差額を組合に支払うこと。 ④ 謝罪文の手交、掲示 ⑶ 予備的請求 ① 会社 は、13年12月21日付 「北海道 交運本部 交渉」と 題する文 書第5項 に基づき 、チェッ クオフ、 組合事務 所の賃料 支払い、 会議室及 び会社施 設の利用 等の便宜 供与の回 復に向け ての団体 交渉に誠 意をもっ て応ずる こと。 ② 前記⑵③は変更なし ③ 前記⑵④の謝罪文の内容の変更 第2 認定した事実 1 当事者等 ⑴ 申立人組合は、昭和28年に会社の従業員により結成され、その後の上部
団体選択 を巡る組 織変更を 経て、現 在は全国 自動車交 通労働組 合総連合会 東京地方 連合会( 以下「自 交総連東 京地連」 という。 )に加盟 する労働組 合で、本 件申立時 の組合員 数は、申 立外東京 太陽自動 車株式会 社の従業員 4名を含め約200名である。 なお、こ のほか、 会社には 、全自交 (略称) に加盟す る申立外 太陽自動 車 従 業 員 労 働 組 合 ( 東 京 太 陽 自 動 車 株 式 会 社 を 含 め て 約 80名 ) 、 同 太 陽 自 動車葛飾労働組合(約70名)が組織されている。 ⑵ 被申立人会社は、昭和24年に設立され、肩書地で一般乗用旅客自動車運 送 事 業 ( タ ク シ ー 業 ) を 営 む 株 式 会 社 で 、 本 件 申 立 時 の 従 業 員 数 は 、 約 830名である。 ⑶ 申立外北海道交運は、中小企業等協同組合法に基づき、組合員(タクシ ー会社) の自動車 、付属品 、燃料の 共同購入 等を目的 に昭和46年に設立さ れた協同 組合で、 北海道札 幌市に事 務所を置 き、本件 申立時、 会社を含む タクシー会社12社が加盟している。 【 甲 4 】 2 北海道交運の役割 ⑴ 北海道交運と加盟会社との関係 北海道交 運には、 複数の代 表理事と 複数の理 事が置か れている が、平成 15年7月 までは、 加盟会社 には代表 権のない 社長が置 かれ、北 海道に在住 する北海 道交運の 代表理事 が傘下の 加盟会社 の代表取 締役を兼 務するとの 運用を行 ってきた 。そして 、加盟会 社間で社 長、部長 等の人事 交流が行わ れ、年数回、北海道交運本部で加盟会社の社長による意見交換も行われ た 。 この間、 会社にお いても、 代表権の ない社長 が東京在 住という 形で置か れ、労使 交渉を担 当したが 、11年12月21日か らは過去 2回会社 の社長を経 験したY 2 社長 が、13年 4月20日 からはY 3 ( 以下「Y 3社長」と いう。) が、14年 4月1日 からはY 4 ( 以下「Y 4社長」 という。) が、15年 1月18日 からはY 5 ( 以下「Y 5社長」 という。 )がそれぞ れ社長に就任するなど、その交代は頻繁であった。 なお、Y 5社長は 、15年7 月4日に 会社の代 表取締役 に就任し 、それ以 降は東京 在住の代 表取締役 が置かれ るように なった。18年3月16日からは
Y1 (以下「Y1社長」という。)が代表取締役となっている。 【 甲 2 、 4 、 乙 30、 32、 45、 4 審 p3 ∼ 5 】 ⑵ 北海道交運の労使関係上の役割 労使交渉 は各加盟 会社が対 応するこ ととなっ ていたが 、5年秋 闘、6年 秋闘、7 年春闘で は、北海 道交運の 理事が会 社の団体 交渉に出 席し、会社 も、春闘 時等の組 合との交 渉で、「 太陽につ いては、 本部(北 海道交運) と連絡を 密にし協 議を重ね 解決した い。」( 6年春闘 )、「北 海道に聞い てみなけ ればわか らない。 」(7年 春闘)、 「交運本 部で調整 の最終段階 に 入 っ た 。 」 ( 9 年 秋 闘 ) 、 「 交 運 本 部 に 飛 び 、 再 度 協 議 し て く る 。 」 (11年秋 闘)、「 北海道交 運の方針 は、5月 に行われ た経営会 議の場で決 定してお り、全社 長に通達 をしてい る。」(11年年末一 時金)と 述べるな ど、北海道交運は、会社の労使関係に大きな役割を果たしていた。 一方、組 合も、東 京だけで は解決し ないとし て北海道 交運の理 事と時間 短 縮 問 題 で 話 し 合 い ( 8 年 春 闘 ) 、 北 海 道 交 運 本 部 前 で 抗 議 行 動 を 行 い (13年春 闘)、機 関紙で、 「北海道 の顔色を うかがう ばかりで 責任をもっ て決断す る事が出 来ない。 」(4年 5月21日 付)、「 太陽の会 社は核心に 触れると 、北海道 に聞いて みなけれ ばわから ない・・ ・」(7 年3月24日 付)、「 社長が2 回にもわ たって交 運本部に 出向き協 議した訳 だから、経 営側の考 えも固ま ったはず ・・・」 (9年4 月15日付 )、「北 海道と東京 間の逃避 行を続け 、・・・ 」(12年 1月7日 付)など と会社の 対応を批判 した。 【 甲 77∼ 81、 83、 84、 92∼ 97、 102、 乙 45、 1 審 p28∼ 29】 3 タクシー乗務員の賃金体系 ⑴ タクシー乗務員の賃金は、歩合給を基本としていたが、戦後の労働組合 の固定給 化要求や いわゆる 「神風タ クシー」 以降の行 政指導に より、昭和 40年代初 頭には、 固定給を 有する一 般産業型 の賃金体 系を導入 する企業が 増えた。 しかし近 年では、 賃金体系 を再び歩 合給中心 の成果主 義型賃金 体系に移 す企業も 多くなっ てきた。 その種類 としては 、歩合給 の取扱い の違いによ り、①月 例賃金( 固定給と 歩合給) 、賞与( 定額)、 退職金で 構成される
A型賃金 体系、② 月例賃金 (歩合給 )のみで 構成され るB型賃 金体系、③ 月例賃金 (歩合給 )のほか 、月例賃 金の分離 給(歩合 給の一部 を会社が一 旦留保し 、数か月 に一度ず つ乗務員 に支払う もので、 プール金 と称されて いる。)で構成されるAB型賃金体系の3つがある。 なお、歩 合給を基 本とする B型やA B型賃金 体系では 、乗務員 の営業収 入 ( 以 下 「 営 収 」 と い う 。 ) に 対 す る 賃 金 の 支 給 率 ( 以 下 「 賃 率 」 と い う。)が 労使の争 点になる とともに 、営収が 一定額( 以下「足 切額」とい う。)に 達しない 者には低 い賃率が 適用され ることか ら、年次 有給休暇取 得による 営収の減 少を勘案 して足切 額を引き 下げる制 度(以下 「足切スラ イドダウン」などという。)が設けられたりした。 このほか 、会社は 、年次有 給休暇の 取得によ る給与相 当額(以 下、「有 給手当」、「有給補償」、「非稼働率」などという。)を支払った。 【 甲 112、 57、 乙 2 、 30】 ⑵ 会社は、平成12年度までA型賃金体系を採用していたが、13年度から 固 定給や賞 与が廃止 となるA B型賃金 体系を導 入するこ ととし、 後記のとお り、組合と長期の紛争が生ずることとなった。 4 新賃金体系導入を巡る争いの発生 ⑴ 会社の提案と組合の反応 ① Y2 社長の方針 Y2 社 長は、12年秋の労 使協議会 で、賃金 体系をA 型からA B型に 変更する との方針 を組合に 示したが 、その後 、病気と なり、会 社の労使 交渉の責 任者は、 営業部長 のY6 (以下 「Y6部 長」とい う。)と なった。 ② Y6部長の提案 13年3月 7日、会 社側はY 6部長ほ か1名が 、組合側 はX2 執行委 員長(以 下「X2 委員長」 又は「X 2」とい う。)ほ か7名が 出席し、 13年春闘 の第1回 団体交渉 が行われ 、会社は 、賃金体 系をAB 型にする と口頭で提案した。 3月17日 の団体交 渉で、Y 6部長は 、「賃率 は、有給 休暇補償 、交通 費込みで 総額の平 均63%と する。」 、「足切 額は、隔 日勤務者 で1乗務
45,000円 とし、未 達者の賃 率は48% とする。 」等の詳 細を示し たが 、 組 合は、3 月23日の 団体交渉 で、「2 %近くの 賃下げに なるだけ でなく、 最盛時と 比較した ら4%も 下がって しまう。 」とした 上で、「 有給取得 時の足切 ダウン」 、「実質 上の有給 手当」等 を要求し 、再検討 を求めた。 Y6部長 は、4月 4日の団 体交渉で 、前回提 案よりも 「足切額 を1乗 務43,000円」に下 げ、「賃 金は、月 例56%+ プール金 5%をベ ース に 有 給補償2 %を込み で平均63%とする 。」と提 案したが 、「足切 スライド ダウン」には触れなかった。 ③ Y3社長の提案 4月20日、病気のY2 社長に代わってY3社長が就任し、5月10日、 会社側はY3社長ほか2名が、組合側はX2委員長ほか9名が出席し、 団体交渉が行われた。 Y3社長 は、突然 、持参し た協定書 案を読み 上げたが 、その要旨は次 のとおりであった。 ア 足切額は営収の516,000円(隔日勤務) イ 支給率(足切達成隔日勤務・満勤者)56% プール金、年3回(3、7、11)月対象稼動額の5% トータル支給率(足切達成隔日勤務・満勤者)61% ウ 有給補償、前3か月の支給額の90分の1×取得日数 エ 営収が516,000円に到達しない者の支給率は48% オ 平成13年度の夏季賞与は年間稼働率の3% カ 退職金は満額とし、確認書を発行 キ 平成13年5月19日より実施 これに対 して、組 合は、「 有給スラ イド(足 切スライ ドダウン)は提 案されたのではないか。」、「前任者の回答より更に賃下げされた協定 書案に応ずる事は出来ない。」と反対を表明したが、会社は、「そのよ うなスライドは以前はあったが、今回は無い。」、「組合の間違った受 取り方だ。」などと反論した。 団体交渉 は5月16日と30日 にも行わ れたが進 展はなく 、30日、 組合は、 「私達は 札幌本部 交渉して くる。飾 りの社長 だけの事 だ、団交 の意味が
ない。」 と述べた ところ、 会社は、 「賃金協 定とは別 件ですが 、チェッ クオフの 廃止、組 合掲示板 の会社施 設内から の撤去を 申し入れ たい。」 と述べて交渉は終了した。 【 甲 47、 56、 105、 107、 乙 3 、 4 、 7 ∼ 13、 30、 32、 1審 p2 ∼ 7 、 35∼ 39、 44、 3審 p4 ∼ 14】 ⑵ 組合の闘争戦術行使と会社の対応 ① こう した提案 に、組合 は、4月 6日と7 日の両日 、乗務員 の明番集会 を開催し 、10日の 中央委員 会で、「 会社提案 は、平均 的な労働 者で40万 余りも賃 下げにな るなど労 働組合と して甘受 できず、 非組合員 からの交 渉権の受 任や戦う 労働組合 への加入 を促し、 今後、決 起集会や ストライ キを含む 戦術を行 使し、会 社提案の 白紙撤回 もしくは 大幅な譲 歩を求め、 闘争体制へ突入する。」と決議し、機関紙を通じて組合員に訴えた。 そして、 5月11日 から、毎 朝午前7 時30分か ら正午ま での間、会社の 営業車両が出入りする敷地内で、ハンドマイクを使用しての抗議行動を 行い、6月7日には、出庫時間から2時間、約30名の組合員による指名 ストライキを行った。 ② これに対して、会社は、6月5日、「会社構内での集会は他の従業員 の就労のさまたげになるので集会を中止するよう警告する。又、会社施 設に組合の掲示板が設置してあるが取り外す様、警告する。」と組合に 通告し、6月9日、組合が点呼室で労働金庫の用紙を配布したところ、 「会社施設内での組合業務は行わない様通告致します。」と組合に通告 した。 【 甲 56、 107、 乙 5 、 28、 29、 36の 2 、 42、 1 審 p8 ∼ 9 】 ⑶ 夏季一時金の不支給 6月6日、会社は、太陽自動車葛飾労働組合と、同月11日、太陽自 動 車 従業員労 働組合と13年度の賃 金協定を 締結し、 賞与を支 給しない AB型賃 金 体 系 に 移 行 し た が 、 こ の 協 定 書 に は 、 「 賞 与 は 、 夏 期 賞 与 限 り と す る。」と 記載され 、上記組 合員と個 別協定に 同意した 非組合員 に、15日、 夏季一時金が支給された。 組 合 は 、 営 収 額 に よ っ て は 年 間 100万 円 以 上 の 賃 下 げ に な る と し て あ く までもこ れに反対 し、組合 員と組合 に交渉権 を委任し た非組合 員には、夏
季一時金は支給されなかった。 【 甲 47、 107、 乙 30、 42】 ⑷ その後の組合の闘争戦術行使と会社の対応 ① 7月16日、組合 員41名は 抗議団を 結成し、 北海道で の抗議行 動を実施 した。X 2委員長 らは、不 在のY7 代表理 事(以下 「Y7代 表理事」 と い う 。 ) 宅 の 郵 便 受 け に 団 体 交 渉 申 入 書 と 470名 の 反 対 署 名 を 投 函 し 、 北海道交 運本部で 団体交渉 申入書を 手渡そう としたが 、北海道 交運は受 取りを拒否した。 5月30日 以降団体 交渉に応 じてこな かったY 3社長は 、7月18日午後、 団体交渉 に応じる と表明し 、7月18日と8月10日、団体 交渉が行 われた が 、 会 社 は 、 「 条 件 は 変 え な い が 、 時 間 を か け て 理 解 を 得 た い 。 」 、 「有給取 得時のス ライド無 しは変更 しない。 」などと 述べて譲 歩せず、 「チェッ クオフ等 便宜供与 廃止の件 ですが、 後日文書 をもって 再度申入 れ通知致します。以上です。」として団体交渉を締めくくった。 ② 組合 は、7月19日にも、 出庫時間 から2時 間、約30名の組合 員による 指名スト ライキや 自交総連 東京地連 傘下の支 援者等160名を含む400名に よる抗議 集会を行 ったほか 、8月3 日には、 北海道交 運傘下の 会社社長 の勉強会 が開催さ れた両国 の第一ホ テル前に 、会社の タクシー や支援者 が 集 ま り 、 約 120名 は 、 午 前 8 時 か ら 約 2 時 間 に わ た っ て 、 ハ ン ド マ イ ク、宣伝カー、シュプレヒコール等による抗議行動を展開した。 これ に対して 会社は、 8月18日 、「今後 、許可な く会社の タクシーを 組合活動 に使用す る事は、 堅く禁止 する。従 ってこの 様な事が 発生した 場合は、厳しく処分する。」と組合に警告した。 【 甲 56、 84、 105、 107、 111、 乙 14、 15、 30、 42、 1 審 p16∼ 17、 29∼ 30】 ⑸ 8月31日、組合は、「夏季一時金の支給」、「会社施設の貸与」等を求 めて不当労働行為救済申立て(都労委平成13年不第74号)を行った。 なお、この申立ては、後記(5⑷)のとおり取り下げられた。 【 甲 105、 107、 1 審 p17、 当 委 員 会 に 顕 著 な 事 実 】 ⑹ 便宜供与の廃止 ① 9 月 4 日、 会 社 は、 「 貴 労働 組 合 と太 陽 自 動車 株 式 会社 は 、 正常 な 労
使 関 係 を 前 提 に 便 宜 供 与 を し て ま い り ま し た が 、 今 日 に 於 い て はその関 係 も 崩 れ 、 今 後 は 、 労 働 組 合 本 来 の 主 体 性 、 自 主 性 を も っ て 運 営される 様 お 願 い し 、 来 る 、 平 成 13年 9 月 4 日 を も っ て 従 来 行 っ て い た チェック オ フ 、 組 合 掲 示 板 、 組 合 事 務 所 の 賃 貸 料 の 会 社 払 い 、 会 議 室 及 び会社施 設 利 用 、 在 籍 専 従 、 慣 行 慣 例 等 を 含 め 、 便 宜 供 与 を 廃 止 す る 。 」と組合 に通告した。 ち な み に 、 11年 12月 21日 、 社 長 室 で の 事 務 折 衝 で 、 Y 2 が 便 宜供与 の 廃 止 を 求 め た こ と に 対 し 、 X 2 委 員 長 ら が 、 争 議 行 為 は 事 前 通告なし には行わないと回答したが、書面は作成されていない。 ② 13年 9月 4 日 以降 、 会 社は 、 前 記通 告 に 基づ き 便 宜供 与 を 廃止 し た が、 組合掲示 板につい ては、9 月8日に 会社が撤 去し、翌 日、組合 が新たな 掲示板を 元の位置 に実力で 設置し、 その後再 び会社に よる撤去 と組合に よる再設 置を経た のち、現 在は掲示 板はその まま点呼 室の壁に 設置され ている。 ③ な お 、 便宜 供 与 のう ち チ ェッ ク オ フは 、 昭 和47年 当 時、 会 社 の経 営 悪 化で労働 組合の協 力が必要 となり、 組合の「 組合費徴 収要請書 」に基づ き実施さ れること となった もので、 組合が毎 月チェッ クオフリ ストを会 社に提出し、それに基づき30年近く実施されてきた。 ま た 、 組合 事 務 所に つ い ては 、52年 か ら 営 業 所の 一 部 が貸 与 さ れて き たが、56年の営業 所の取壊 しと社屋 建設の際 、近隣住 民や労働 組合の同 意書が必 要となり 、引換え に、組合 が借りた アパート の一室の 賃料(本 件申立時は月額4万5千円)を会社が支払うこととなったものである。 【 甲 6 、 8 ∼ 11、 13∼ 17、 105、 107、 乙 42、 1 審 p18、 21∼ 24、 3 審 p18∼ 22、 25∼ 36】 ⑺ 自交総連東京地連による対角線交渉 ① 平 成 13 年 9 月 16 日 か ら 19 日 ま で 、 自 交 総 連 東 京 地 連 副 委 員 長 X 3 ( 以 下 「 X 3 」 と い う 。 ) 、 同 書 記 長 X 4 ( 以 下 「 X 4 」 と い う。)、 X2委員 長ら5名 は、「北 海道交運 本部キャ ラバン」 と称し、 函館から 札幌まで の駅頭を 中心に、 宣伝カー を使い、 北海道交 運の不当 性を訴えるビラまき等の宣伝活動を行った。 9月19日、X3 とX4は 、北海道 交運のY 7代表理 事と面会 し、「決
定 権 の あ る 人 物 と の 交 渉 が 必 要 だ 。 」 と 訴 え た が 、 同 代 表 理 事 は 、 「 4,500人 の 大 部 分 が 納 得 し て い る ん だ 。 君 た ち だ け だ よ 、 納 得 し な い のは。」 と述べて 、一旦は 要求を拒 否したも のの、約 1時間後 、X3に 電話で、 「会社側 の団体交 渉の担当 者は誰が いいんだ 。」と聞 き、X3 が 「 Y 2 だ 」 と 伝 え た と こ ろ 、 同 代 表 理 事 は 、 「 希 望 は Y 2 だ な。」と確認した。 ② 9月21日、28日、10月5日、6日、12日、13日、自交総連東京地連に よる対角線交渉が、東京の会社のY2 取締役と行われた。 Y2 は、9月21日の交渉で、「合意に向けて、何度でもテーブルに 着く」と述べたものの、28日の交渉では、「今回の賃金は他の従業員は 同意している。これと異なった賃金を自交(自交総連)だけに認める事 は出来ない。」と述べ、10月5日の交渉では、「組合が問題にしている 提案は、今後の交渉で解決していくしかない。」と述べた。 Y2 は、10月6日の交渉で、支給率は「平均としての63%(56%+ 5%+非稼働率)を目安にセットした賃金である。」とし、「組合が問 題にしている提案は、今後の交渉で解決していくしかない。」と再度述 べ、12日と13日にも交渉が行われたが、組合は、「合意出来る内容では ないので、このまま闘争を続ける事となる。」と宣言し交渉は決裂した。 【 甲 85、 106、 乙 16∼ 21、 30、 32、 1 審 p10】 ⑻ 当時の組合の組織状況等 6月時点 では、組 合は、約340名の組 合員を組 織し、非 組合員約110名か らも交渉 権の委任 を受けて いたが、 夏季一時 金不支給 を境に50名以上が組 合 を 脱 退 し 、 11月 頃 に は 組 合 員 は 約 250名 に 減 少 し て 交 渉 権 の 委 任 者 も 10 人足らずとなり、闘争の長期化による組合員らの減少を危惧していた。 12月16日、X2委員長は、臨時の執行委員会で、北海道に行き交渉す る ことを提 案したが 、「一時 金支払い を受ける ため新賃 金体系を 受け入れた ら、5月 まで遡及 して新賃 金体系が 適用され 、給料を 返還しな ければなら ない。」 との危惧 がでて会 議は紛糾 した。し かし結局 、執行委 員会は、X 2委員長が北海道に赴き、最後の交渉を行うことを承認した。 【 甲 56、 105∼ 108、 1 審 p15】
5 新賃金体系受入れによる争いの収拾 ⑴ 北海道交運本部での交渉 13年12月18日、X2 とX3は 北海道交 運本部を 訪れ、Y 2 代表 理事と 13年春闘の収拾について交渉した。 なお、事 前連絡を 受け東京 からY3 社長も来 たが、話 合いには 同席しな かった。 冒頭、X2は、Y2 の身体を気遣う発言や代表理事就任を祝う言 葉 を 述べてし ばらく世 間話を続 け、その 後、本題 に入った が、「君 たちはどう したいん だよ。」 とのY2 の発言 を受け、 X2は、 新賃金体 系を受け入 れる条件として7項目を説明した。 Y 2 は 、 4 項 目 目 の 賃 率 63 % に つ い て 、 「 ず い ぶ ん 高 い じ ゃ な い か 。 」 と 感 想 を 述 べ た も の の 否 定 は せ ず 、 7 項 目 の 実 施 時 期 に つ い て 、 「今年中 の実施は 出来ない 。来春早 々には実 施する。 」と述べ て、年内の 実施を拒否した。 なお、こ の交渉で 、賃率63%の中に 有給補償 を含むか 含まない かとの話 しは一切なされなかった。 【 甲 106、 乙 32】 ⑵ X2委員長への批判 19日、北海道から帰ったX2委員長は、組合の中央委員会で、7項 目 を 記載した 書面を示 し、この 内容で合 意したい と述べた が、「印 鑑はないの か。」、 「月例賃 金につい て一部返 還をしな ければな らない組 合員が多数 出る。」との批判が出て会議は紛糾した。 また、翌日の支援者の会議でも、同様の意見が出され、もう一度、Y 2 と会い、文章を書面化して捺印をもらうこととなった。 【 甲 20、 105、 106】 ⑶ 7項目改善の書面作成、押印 12月 21日 、 X 2 は 、 再 度 、 札 幌 の 北 海 道 交 運 本 部 を 一 人 で 訪 れ 、 Y 2 に書面を示し、「本年度は会社提案で妥結する、これらの問題点は今後の 交渉で解決したい。」、「組合を説得するために必要なので。」などと述 べ、書面への記名押印を求めた。
X2は、「持ってきた書面の内容はできるだけ変更したくない。」と 述 べたが、Y2 は、「便宜供与は復活させる。」と記載された部分を「便 宜供与は今後双方前向きに協議する。」と訂正し、その他一部を削除した うえ北海道交運の職員が書面を浄書・作成し、Y2 が記名押印したが、 その書面の全文は次のとおりである。 北海道交運本部交渉 2001年12月18日 於・理事長室 12月 18日 午 前 10時 、 東 京 地 連 ・ X 3 副 委 員 長 と X 2 で 交 運 本 部 を 訪 れ、Y2 理事長と01春闘問題について話合いを行った。Y3社長も本 部に呼ばれたが同席はせず三人での交渉となった。交渉は昼食を挟んで 午後2時まで行われ、下記の考え方が示された。 冒頭、01春闘問題がデッドロックになっている現状をどう考えている のかとの問いかけに交運4,500人の従業員の内4,000人が既に同意してい る、この人たちとの信頼関係を変えることは出来ないが、乱暴な提案だ ったと承知している。2002年を見据えたとき、この賃金政策は雇用政策 とリンクしない。02ではこの点の改善を考えている。 但し、今年はこれで集約することが前提であり、会社は一人一車も視 野に入れている。 主たる改善点は下記のとおり ⑴ 有給問題は足切り額をスライドし、有給手当は過去3ヶ月平均で支 払う。 隔日勤務は90分の2とする。 ⑵ 足切り額の見直しをする。(516,000円より下げる)曜日変動も考 慮する。 ⑶ 最低賃率48%の見直し、50%以上とする。 ⑷ 賃率を平均63%とする。 ⑸ 便宜供与は今後双方前向きに協議する。 ⑹ 実施時期は4月度賃金を原則的に考えているが、現場で合意すれば 早めても良い。 ⑺ 会社が行った設備投資(クレジットカード機器)については現状を
維持する。 <手数料は乗務員負担としない> ※組合がこの点を了解すれば夏季一時金は年内支給する。 平成13年12月21日 北海道交運事業協同組合 代表理事 Y2 【 甲 20、 21、 乙 32】 ⑷ 賃金協定の締結による13年春闘の妥結 翌22日、会社と組合とは、13年度の賃金協定を締結し、組合は新賃金 体 系を受け入れることとなり、組合員らに夏季一時金が支給され、13年春闘 は妥結した。 なお、夏季一時金の支給等により、8月31日に組合が申し立てた不当労 働行為救済申立て(都労委平成13年不第74号)は、12月27日、取り下げら れ、28日以降、会社は、組合に会議室の使用を許可するようになった。 【 甲 22、 1 審 p27、 3 審 p35∼ 36、 答 、 当 委 員 会 に 顕 著 な 事 実 】 6 7項目改善の履行を巡る対立 ⑴ 14年の団体交渉 ① 14年 2月28日 、組合は 、「足切 額をスラ イド減額 すること 。」、「全 体の足切 額を下げ ること。 」、「最 低賃率48%を見直 し、50% 以上とす ること。 」、「賃 率につい ては、平 均63%と すること 。」、「 会社が行 った設備 投資につ いては現 状を維持 し、手数 料等は徴 収しない こと。」、 「組合へ の便宜供 与を復活 させるこ と。」ほ か計10項 目を記載 した春闘 要求書を会社に提出した。 3月6日 の団体交 渉で組合 は、「今 春闘は、 7項目の 早急実施 が一番 の目玉で あって、 会社に誠 意ある回 答を求め ます。」 と切り出 したが、 Y3社長 は、「7 項目に関 しては、 全く知ら ない事で ある。」 と述べた。 ② 4月 1日、Y 4社長が 赴任し、 4月15日 の団体交 渉でも組 合は、「社 長は7項 目の合意 文書は理 解してい るのです か。」と 尋ねたが 、Y4社 長は、「7項目の事は全く知らないし、聞いていない。」と述べた。 Y4社長 は、17日 の団体交 渉で、「 有給休暇 取得時に は、足切 スライ
ドを採用 します。 」、「足 切未達者 は48%か ら50%に し引上げ ます。」 と7項目 改善の⑴ と⑶に相 当する項 目の改善 となる回 答を行っ たものの、 「7項目 に関して は、全く 知らない 。その他 の問題に 関しては 、将来的 にはとも かく今、 回答しろ と言われ れば、就 任したば かりで、 十分な検 討も出来 ていない 現状では 、すぐに は復活出 来ないが 今後の交 渉で解決 すると答えるしかない。」と述べた。 団体 交渉は4 月23日に も行われ たが進展 はなく、 組合は、 4月26日、 「未解決 項目は継 続審議と する。」 と告げ、14年度賃金 協定を締 結した。 ③ 11月21日、組合は、秋闘の団体交渉の中でチェックオフの再開を求め たが、Y4社長は、「チェックオフは・・・今は・・・」と言葉を濁し、 回答せず、12月16日、組合は、病気で入院したY4社長に代わって出席 したY8営業部長に、便宜供与の復活を求め組合事務所を社屋内に設置 することを求めたが、Y8部長も言及を避けた。 【 甲 23∼ 29、 37、 105、 125、 乙 22∼ 25、 30、 5 審 p3 ∼ 6 、 6 審 p32∼ 35、 申 p14∼ 16】 ⑵ 15年の団体交渉等 ① 15年1月18日、社長がY5に替わり、3月3日の労使協議会で組合 は 、 7項目改 善につい て会社の 見解を求 めたが、 Y5社長 は、「そ のような 書面は当 社にはか かわりな い。」、 「今回は 労使協議 会だから 条件に関 することは団体交渉で。」と述べ、言及を避けた。 ② 3月18日の団体交渉で組合は、「協定に応じたいまでも、やり得とば かりに止めているのは許しがたい。」として、便宜供与の再開を強く求 めたが、4月14日の団体交渉でY5社長は、「将来的には別にしても、 今は再開する意志はない。」と述べ、組合が「北海道で理事長と相談し て来なかったのですか。」と尋ねたところ、「先日、初めて見せてもら ったが、別に理事長と話し合う事はなかった。」と述べた。 4月18日 にも団体 交渉が行 われ、Y 5社長は 、「支給 賃率は、有給休 暇取得分2%を組込み約63%です。」と回答したものの、「隔日勤務者 の足切額516,000円 を480,000円とする 。」等の 改善を回 答した。 さら に 、 組合は、便宜供与について代表理事に確認したか尋ねたが、Y5社長は、 「何で理事長に聞かなければならないんだ。私は、私だ。東京は東京で
交渉する。」と述べた。 4月24日、組合は、7項目改善完全実施を継続審議とすることを告げ、 15年度賃金協定を締結した。 ③ 5月15日の労使協議会で組合は、組合事務所問題についての歴史的経 過を説明し、7項目改善には前向きに話合いをすると書いてあることを 指摘し、「大幅賃下げを呑み込んで調印しているのに、道具立てに使っ た物だけ残しておくのはいかがなものか。」と述べて、組合事務所の貸 与を迫ったが、Y5社長は、「協定書破棄通告を出してすでに協定は存 在していません。」、「北海道交運で組合事務所を貸与しているのは青 森と東京くらいなものだ。」、「話合いは拒否しない。ただ、『うん』 と言えないだけだ。将来的にはどうか分からないが、現在は再開できな いということだ。」と述べた。 ④ 組合 は、7項 目改善の 完全実施 に議題を 絞り、改 めて会社 に団体交渉 を 求 め 、 団 体 交 渉 が 6 月 9 日 に 行 わ れ た が 、 Y 5 社 長 は 、 便 宜 供 与 は 「 将 来 的 に は 別 と し て 現 在 は 再 開 は 考 え て い ま せ ん 。 」 、 支 給 賃 率 は 「 月 例 56 % ・ 分 離 給 5 % ・ 有 給 休 暇 分 が 2 % ∼ 5 % 程 度 と な っ て い る。」と述べ、7月28日の団体交渉でも、「いずれにしても会社として は支給賃率というのは有給休暇を含めて現実に63%払っているという考 えです。」との従来の回答を繰り返し、組合の要求に応じなかった。 ⑤ 7項目改善の書面が作成された以降、会社は、14年春闘で、7項 目 改 善の書面中⑴に相当する部分に関し「足切スライドを採用します。」と、 15年の 春 闘で、 ⑵ に関し 「 隔日勤 務 者の足 切 額516,000円を480,000円と する。」と、⑶に関し「足切未達者(最低賃率)は48%から50%にし引 上げます。」との改善を組合に回答した。 なお、7項目改善の書面中⑹は実施時期に関するもので⑷及び⑸ と 一 体で、⑺ は現状を 維持する ことが改 善とされ るもので 実施済み であり、 以降の労 使の事実 上の対立 点は、「 ⑷賃率を 平均63% とする。 」と「⑸ 便宜供与は今後双方前向きに協議する。」の二つとなった。 【 甲 30∼ 36、 105、 125、 乙 45、 53、 4 審 p12∼ 13、 5 審 p7∼ 9、 15∼ 16、 21∼ 22、 6 審 p35∼ 39、 申 p14∼ 16】
⑶ 本件不当労働行為救済申立て等 15年10月29日、組合は、会社の行為は支配介入に当たるとして、「チ ェ ックオフ の再開」 、「組合 事務所賃 料等の支 払い」、 「賃率63%とする賃 金協定の 締結」等 を求めて 本件不当 労働行為 救済申立 て(都労 委平成15年 不第98号)を行った。 さらに、 組合と組 合員は、12月25日、 会社、北 海道交運 及びY2 を被 告とし、 「便宜供 与の中止 ないし廃 止をした こと」、 「賃率を63%とする 7項目合 意の実施 を意図的 に遅らせ たこと」 等が不法 行為に、 また、「合 意の実施 の遅延」 は、北海 道交運な いし会社 の債務不 履行にも 当たるとし て、損害賠償を求め東京地方裁判所に訴えを提起した。 【 甲 125、 乙 41、 5 審 p15】 ⑷ その後の団体交渉 その後 も、組合 は、7項 目改善の 完全実施 等を求め たが、16年4月6日 の団体交 渉でY5 社長は、 「交渉に は応じて いくが、 直ちに要 求を認める ことはで きない。 また、Y 2 7項 目の書面 について は会社と の合意文書 ではない 。」と、 4月16日 の団体交 渉でも、 「去年お 答えした 通りでいき ま す 。 」 と 説 明 し 、 17 年 5 月 14 日 の 団 体 交 渉 で は 、 「 63 % に つ い て は・・・ 、組合側 も係争中 というこ とであり ますし、 会社側も 反論してい ます。・ ・・3月30日に伝え た回答通 りでお願 いしたい と思いま す。」、 「確かに 何人か代 わって、 その経緯 があると は思うが 、会社を 訴えるなん て信じら れないも のね。」 と述べて 、係争中 を理由に 協議に応 じようとし なかった。 18年3月27日の団体交渉で、新たに就任したY1社長は、「Y5さん は 、 申し訳な いが、答 えたら一 切変えな いという 姿勢で来 た・・・ 、これから は、・・ ・しっか り話し合 いながら やってい きたいな と思って います。」 と述べた ものの、 4月17日 の団体交 渉では、 「交渉は していく 。便宜供与 に関して は、未だ 機が熟し ていない 。」など として、 便宜供与 の再開を拒 否している。 【 甲 116∼ 125、 乙 53、 5 審 p10∼ 13、 23∼ 24、 6 審 p39∼ 43】 ⑸ 判決の履行
17年8月29日、東京地方裁判所は、便宜供与中止ないし廃止による組合 の 被 っ た 損 害 200万 円 と 遅 延 損 害 金 の 支 払 い を 会 社 に 命 じ 、 18年 5 月 17日 、 東京高等裁判所もこれを維持した。 18年7月11日、会社は、上記200万円と遅延損害金を組合に支払った。 【 甲 126、 乙 41、 5 審 p15、 6 審 p44、 甲 最 陳 】 ⑹ 本件「予備的」救済申立て 当初予定の証人調べが全て終了した後の18年3月15日、組合は、準備書 面で、便宜供与の廃止と再開拒否は一体で「継続する行為」に該当すると 主張し、あわせて、「被申立人が、いずれも誠実に団体交渉に応じなかっ た事実は、本件(都労委平成15年不第98号)不当労働行為救済申立書14ペ ージから18ページに記述したとおりであり、7項目合意後の誠実団交義務 違反を理由とする救済命令を予備的に申し立てる。」として当初の支配介 入であるとする請求内容を「予備的」に変更した。 これに対して、会社は、準備書面で、「継続する行為」の該当性につい て反論するとともに、「予備的」救済申立ては認められない等と反論した が、19年2月2日、審問が行われ、組合及び会社の証人に対し尋問が行わ れた。 【 甲 準 8 、 乙 準 8 、 9 、 6 審 p1∼ 49】 第3 判 断 1 申立人組合の主張 ⑴ 便宜供与の廃止と再開拒否 ① 便宜供与の廃止 チェックオフは約30年に渡って行われ、廃止の時期は、組合の闘 争 開 始から4 か月後で 団体交渉 の最中で あり、不 当労働行 為救済申 立ての4 日後に通 告され、 同時に他 の便宜供 与の廃止 も行われ た。また 、会社に、 廃止の必要性や合理性はなかった。 本件は、 済生会中 央病院事 件の最高 裁判決と は事案を 異にする もので、 会社が主 張する違 法状態の 解消との 理由は、13年9月4 日の廃止 通告後 の交渉で も告げら れたこと はなく、 本件審査 に至るま でなされ たことは ない。
チェック オフ廃止 、賃料支 払い拒否 等便宜供 与の廃止 は、組合 の新賃 金体系導 入反対や 不当労働 行為救済 申立てに 対する報 復であり 、邪魔と なる組合 を弱体化 し、新賃 金体系を 導入する ために行 った組合 の活動・ 運営に対する支配介入である。 ② 7項目改善の拘束力 北海道交運は、傘下のグループ会社全体の労務方針や経営方針の 大 枠 を決定し、グループ内の社長を実質的に決定する特異な存在である。 「便宜供 与は今後 双方前向 きに協議 する。」 等7項目 改善が記 載され た書面は 、北海道 交運の代 表理事が 記名押印 したもの で、その 内容は具 体的であ り、作成 に際して は同代表 理事が問 題となる 箇所を指 摘して一 部を削除 ・変更し た。その 目的は争 議の収拾 で、新賃 金体系受 入れの交 換条件であり、労使に対して拘束力を有するものである。 ③ 便宜供与の再開拒否 組合は、 7項目改 善の合意 に基づき 、便宜供 与の再開 等を求め たが、 会社は、 「7項目 の事は全 く知らな いし、聞 いていな い。」と か「現在 は再開は 考えてい ません。 」とか述 べて団体 交渉に不 誠実に対 応し、便 宜供与の再開を意図的に遷延させている。 7項目改 善は新賃 金体系導 入と引換 えに合意 したもの で、これ を実施 しないこ とは、組 合に打撃 を与え組 合員の信 頼を失わ せること を目的と した一連 の不当労 働行為で 、組合の 活動・運 営に対す る支配介 入及び団 体交渉拒否である。 ⑵ 賃率63%の実施 会社と組 合は、「 有給補償 を含まな い賃率を62.5%とす る。」と ほぼ合 意 し て い た が 、 そ の 後 、 会 社 は 、 「 有 給 補 償 を 含 ま な い 賃 率 は 61% で あ る。」と 態度を変 え、以降 、「有給 補償を入 れると賃 率は63% を超えてい る。」と の詭弁を 繰り返し 、有給補 償を含ま ない賃率63%の実施 を意図的 に遷延させている。 7項目改 善は新賃 金体系導 入と引換 えに合意 したもの で、書面 に記載さ れた賃率63%には有 給補償は 含まれて いず、こ れを実施 しないこ とは、組 合に打撃 を与え組 合員の信 頼を失わ せること を目的と した一連 の不当労働
行為で、組合の活動・運営に対する支配介入である。 ⑶ 却下事由への反論 ① 労働組合法は、「継続する行為にあってはその終了した日」を起 算 点 とすると の規定を 設けたが 、その趣 旨は、そ もそも労 使関係が 継続的関 係であり 、不当労 働行為が 一つの目 的のため に連続し て行われ ることが 多い現実 を直視し て、申立 期間の限 定を緩和 するとこ ろにあり 、客観的 に一体をなすと評価し得る一連の行為はこれに該当する。 会社のチェックオフ廃止等の意思決定、毎月の拒絶行為は一体と し て 一個であ り、組合 が7項目 改善の合 意と引換 えに新賃 金体系を 受諾した にもかか わらず、 会社が便 宜供与の 復活を拒 否し続け たという 一連の行 為は、組合弱体化の意図が継続していることの発露である。 ② 組合 は、当初 の申立て で、14年 と15年の 団体交渉 の実態に ついて具体 的に主張 し、その 事実を基 礎として 、予備的 申立てで 誠実な団 体交渉を 求めるとしたもので、当初の請求の趣旨との関係で予備的としている。 組合は、 予備的申 立て後の 準備書面 で16年春 闘以降の 団体交渉 に関す る具体的 事実を主 張し、会 社も準備 書面で反 論し、審 問手続も 行われた のであり、不意打ちその他の手続的不公正はない。 2 被申立人会社の主張 ⑴ 却下事由の存在について ① 13年9月4日の便宜供与廃止通告と9月末からの実施を不当労働 行 為 とする15年10月29日の本件 申立ては 、行為の 日から1 年を経過 している。 この1年 は、除斥 期間であ り、時効 と異なり 援用を要 せず、中 断、停 止もなく、一連の行為は、「継続する行為」ともみなされない。 ② 本件予備的申立ては、14年から18年の交渉態度を不誠実とするもので 、 実態は追 加申立て である。 労働委員 会の命令 の裁量権 は認めら れている ものの、時機に遅れた予備的申立てを認めるべきではない。 本件 では、改 めて証人 尋問が行 われたが 、労働組 合法は、 審問開始前 の争点整 理と審査 計画の作 成を定め ており、 実質審理 終了後の 予備的申 立てを認めることは、審査計画を作成した労働組合法の趣旨に反する。 ⑵ 便宜供与の廃止と再開拒否
① 便宜供与の廃止 便宜供与 は、争議 行為や事 前通告な しに監督 官庁へ申 入れを行 わない 等の組合 の対応を 前提とす ることを 労使で確 認してい た。しか し、敷地 内での抗 議行動や ストライ キの実施 等労使の 確認に反 する組合 の義務違 反があり、会社は、便宜供与を廃止した。 チェック オフは、 昭和47年 の組合の 要請に基 づき行っ てきたが 、チェ ックオフ 協定は締 結してい ない。チ ェックオ フの要件 について 最高裁判 所は、済 生会中央 病院事件 (平成元 年12月11日判決) で、「労 働者の過 半数を代 表する者 との合意 」、「書 面による 協定」が 必要とし 、要件を 具備しない限りは労働基準法に違反するとした。 本件チェ ックオフ の廃止は 、労働基 準法違反 の状態を 解消する ための ものであり、不当労働行為ではない。 ② 7項目改善の拘束力 北海道交 運は、会 社とは別 法人で、 労使交渉 に決定権 を有して いない。 7項目改 善が記載 された書 面は、組 合と北海 道交運代 表理事と のやり とりを記 載したも ので、7 項目は今 後の交渉 議題の確 認であり 、組合や 会社の表示はなく、実施する旨の記載もない。 本件7項目改善は、会社が実施する義務のある合意とは認められ ず 、 本件書面に会社への法的拘束力はない。 ③ 便宜供与の再開拒否 組合の便 宜供与再 開等の要 求は、他 の交渉事 項と併記 されたも ので、 交渉事項 の一部に ついて不 誠実とい うのは評 価として あり得ず 、団体交 渉におい て、誠実 か否かを 判断する 要素は、 自己の主 張につい て説明を 尽くしているか否かである。 組合は、 便宜供与 の復活に 応じなけ れば不誠 実である と主張す るが、 会社に便 宜供与の 復活に応 ずる義務 はなく、 団体交渉 は決裂若 しくは行 詰り状態とみなされるものである。 ⑶ 賃率63%の実施 会社は、 賃率63% を既に支 払ってお り、組合 には、新 賃金体系 の賃率は 有給補償を含めて63%であると説明し、組合もこれを認識していた。
7項目改善を記載した本件書面に会社への法的拘束力はないが、この書 面作成当 時の状況 は、会社 及びY2 が有給 補償を含 めない賃 率を61%に するとの 態度を堅 持し、他 の組合と は交渉が 成立して いた時期 であり、Y 2 が独 断で、有 給補償を 含めない 賃率を63%に引上 げるとの 合意を成立 させたとは考えられない。 3 当委員会の判断 ⑴ 申立期間の徒過について 本件申立 ては、平 成15年10月29日に なされた ものであ る。した がって、 本件申立 てのうち 、13年9 月4日の 便宜供与 廃止通告 やその9 月末からの 実施、13年の団体 交渉にお ける会社 の態度な ど、14年10月28日以 前の事実 が不当労働行為であると主張する部分については、却下せざるを得ない。 組合は、チェックオフ廃止等の意思決定と毎月の拒絶行為は一体として 一個の行為であるなどと主張する。しかしながら、仮に、背後に組合弱体 化の意図が継続的に存在していたとしても、上記一連の行為を、たとえば 査定とそれに基づく賃金の支払いなどと同様に全体として一個の「継続す る行為」とみることは困難であり、それぞれ独立した一個の行為といわざ るを得ない。 ⑵ 予備的と称する申立てについて 会社は、 「本件予 備的申立 ては、実 態は追加 申立てで あり、時 機に遅れ た予備的申立てを認めるべきではない。」と主張する。 しかし、 本件にお ける予備 的に誠実 な団体交 渉を求め る申立て は、組合 が当初の申立書に記述した事実を基礎として申し立てたもので、実質的に は請求内容の変更とも解されるものであり、その後、会社は準備書面で反 論し、証人調べも行われている。したがって、会社の主張は採用すること ができない。 ⑶ 本件便宜供与の再開に係る団体交渉の拒否 ① 本件事実関係 新賃金体 系導入を 巡る争い の発生か ら本件申 立てに至 るまでの事実関 係は、前記第2、4ないし6で認定したとおりである。 すなわち、会社は、13年3月7日の団体交渉で新賃金体系の導入を組
合に提案 し(第2 、4⑴) 、組合は 、大幅賃 下げにな るとして 5月11日 以降、決 起集会や ストライ キ等の闘 争戦術を 行使して 会社と対 立し(同 ⑵)、会社は、6月15日、組合員らに夏季一時金を支給しなかった(同 ⑶)。組合は、7月16日に北海道で、8月3日に両国のホテル前で抗議 行動を行 い(同⑷ )、8月31日、夏季 一時金の 支給等を 求めて不 当労働 行為救済 申立てを 行ったと ころ(同 ⑸)、会 社は、9 月4日、 便宜供与 の廃止を組合に通告した(同⑹)。 そこで、 組合は、 9月19日 、北海道 交運の代 表理事と 面会して 会社と の交渉を 要請し、 9月21日 から10月13日までの 間、会社 で対角線 交渉が 行 わ れ た が 交 渉 は 決 裂 し ( 同 ⑺ ) 、 11月 頃 に は 、 組 合 員 が 約 340名 か ら 約250名に 減少し、 組合が交 渉権の委 任を受け ていた約110名の非 組合員 も10人足らずとなった(同⑻)。 事態打開 のため組 合は、12月18日、 北海道交 運代表理 事Y2 と交渉 し ( 第 2 、 5 ⑴ ) 、 12月 21日 、 7 項 目 改 善 を 記 載 し た 書 面 が 作 成 さ れ (同⑶) 、争いを 集約する として、12月22日、 会社と賃 金協定を 締結し て新賃金体系を受け入れ、13年春闘は妥結した(同⑷)。 しかし、 会社は、14年3月6 日の団体 交渉で、 「7項目 に関して は、 全く知ら ない事で ある。」 と、4月15日の団体 交渉でも 、「7項 目の事 は全く知 らないし 、聞いて いない。 」と述べ 、11月21日の団体 交渉で、 「チェッ クオフは ・・・今 は・・・ 」と言葉 を濁し( 第2、6 ⑴)、15 年3月3 日の労使 協議会で 、7項目 改善につ いて、「 そのよう な書面は 当社には かかわり ない。」 と述べ、 4月14日 の団体交 渉、5月15日の労 使協議会 、6月9 日の団体 交渉では 、便宜供 与は再開 しない旨 を重ねて 表明し、組合の要求に応じなかった(同⑵)。 ② 7項目改善についての会社の対応 会社は、 「北海道 交運は、 会社とは 別法人で 、労使交 渉に決定 権を有 していな い。」、 「7項目 が記載さ れた書面 は、・・ ・会社が 実施する 義務のあ る合意と は認めら れない。 」、「組 合の便宜 供与再開 等の要求 は、他の 交渉事項 と併記さ れたもの で、交渉 事項の一 部につい て不誠実 というのは評価としてあり得ない。」などと主張する。
しかし、 北海道交 運は会社 とは別法 人の協同 組合であ るとはい え、平 成15年7 月までは 、傘下の 加盟会社 の社長に 代表権は なく、北 海道交運 の代表理 事が加盟 会社の代 表取締役 を兼務し 、加盟会 社間で社 長、部長 等の人事 交流が行 われるな ど(第2 、2⑴) 、その実 態は、一 般の協同 組合と加 盟会社と の関係と は異なり 、北海道 交運と加 盟会社と は強い結 びつきを 有する特 別の関係 が認めら れるとこ ろである 。加えて 、秋闘や 春闘で北 海道交運 の理事が 会社の団 体交渉に 出席した りし、会 社も組合 に、「太 陽につい ては、本 部と連絡 を密にし 協議を重 ね解決し たい。」、 「北海道 に聞いて みなけれ ばわから ない。」 、「交運 本部で調 整の最終 段階に入 った。」 、「交運 本部に飛 び、再度 協議して くる。」 、「北海 道交運の 方針は、 5月に行 われた経 営会議の 場で決定 しており 、全社長 に通達を している 。」など と述べ、 組合も、 機関紙で 、「北海 道の顔色 をうかが うばかり で責任を もって決 断する事 が出来な い。」、 「太陽の 会社は核 心に触れ ると、北 海道に聞 いてみな ければわ からない ・・・」、 「社長が 2回にも わたって 交運本部 に出向き 協議した 訳だから 、経営側 の 考 え も 固 ま っ た は ず ・ ・ ・ 」 、 「 北 海 道 と 東 京 間 の 逃 避 行 を 続 け、・・ ・」など と会社の 対応をた びたび批 判した事 実(第2 、2⑵) からする と、北海 道交運は 会社の労 使関係に 大きな役 割と影響 力を有し ていたこ とが認め られ、そ の実態は 、労使関 係上の当 事者と同 視できる ほど密接 な関係が 認められ るから、 会社は、 7項目改 善の書面 を尊重す べき立場にあるというべきである。 さらに、 本件7項 目改善の 書面作成 に至る経 緯は、前 記①で述 べたと おり、組 合が新賃 金体系の 導入に反 対して抗 議行動や ストライ キを行い、 会社が便 宜供与の 廃止を通 告し、対 角線交渉 が行われ たが交渉 は決裂し、 組合員等 が減少す る等の一 連の事実 関係を踏 まえ、組 合が事態 打開のた め北海道 交運の代 表理事と 交渉した ものと解 されるの であり、 作成した 書面には 北海道交 運代表理 事の記名 押印があ り(第2 、5⑶) 、その目 的は、組 合が7項 目改善を 受け入れ 、それと 引換えに 新賃金体 系を受け 入れ、問 題点は今 後の交渉 で解決す るとして 争いを収 拾するこ とであっ たと解さ れる。事 実、書面 作成の翌 日には、 会社と組 合とは、13年度の
賃金協定 を締結し 、13年春 闘は妥結 した(第 2、5⑷ )。また 、この書 面作成に 先立つ18日の交渉 にY3社 長は同席 しなかっ たものの 、同社長 は東京から北海道交運に来ていたこと(第2、5⑴)が認められる。 にもかか わらず、 会社が「 チェック オフは・ ・・今は ・・・」 、「そ のような 書面は当 社にはか かわりな い。」、 「将来的 には別に しても、 今は再開 する意志 はない。 」などと 述べ(第 2、6⑴⑵)、便 宜供与再 開を拒否 している 事実が認 められる が、7項 目改善の 書面は、 会社の労 使関係に 大きな役 割と影響 力を有し 会社と密 接な関係 が認めら れる北海 道交運代 表理事が 記名押印 したもの であるこ と、書面 作成に先 立ち行わ れた18日 の交渉当 日、Y3 社長も北 海道交運 に来てい たこと、 書面作成 の翌22日 、会社と 組合とは 、13年度 の賃金協 定を締結 し13年春 闘が妥結 したこと を併せ考 えると、 上記のよ うな会社 の発言は 、不自然 で到底信 用するこ とができ ず、団体 交渉に臨 む会社の 態度とし ては極め て不誠実 である。 ③ 不当労働行為の成否 以上を総 合すると 、7項目 改善の書 面を尊重 すべき立 場にあっ た会社 が、本件 便宜供与 再開に向 けての団 体交渉に おいて、 7項目改 善の書面 の存在を殊更無視して対応したことは、不誠実な団体交渉に該当する。 ⑷ 本件賃率63%の実施 ① 組 合は、賃 率につい て会社と 、「有給 補償を含 まない賃 率を62.5%と するとほ ぼ合意し ていた。 」と主張 する。仮 にそのよ うな合意 が存在す る場合に は、会社 が上記賃 率の実施 を拒否し 続ける行 為が申立 期間の制 限に抵触 すること なく不当 労働行為 に当たる 可能性が 生ずるの で、以下 検討する。 確かに、組合が13年3月23日の団体交渉で、「2%近くの賃下げ に な るだけで なく、最 盛時と比 較したら 4%も下 がってし まう。」 として再 検討を求 めた(第 2、4⑴ ②)こと は認めら れる。し かし、会 社は、3 月17日の 団体交渉 で、「賃 率は、有 給休暇補 償、交通 費込みで 総額の平 均 63% と す る 。 」 と 述 べ 、 4 月 4 日 の 団 体 交 渉 で も 、 「 賃 金 は 、 月 例 56 % + プ ー ル 金 5 % を ベ ー ス に 有 給 補 償 2 % を 込 み で 平 均 63 % と す
る。」と 提案する など(同 ②)、そ の時点で の会社の 認識は、 有給補償 2%を含 まない賃 率は61% であった としてい たことが 伺われる もので、 当時、組 合と会社 が「有給 補償を含 まない賃 率を62.5%とする とほぼ合 意してい た。」と 解するの は不自然 で、かつ 、合意の 存在を裏 付ける疎 明もないことから、組合の主張は採用することができない。 賃率について会社は、3月17日の団体交渉で、「賃率は、有給休暇 補 償、交通費込みで総額の平均63%とする。」と述べ、4月4日の団体交 渉でも、「賃金は、月例56%+プール金5%をベースに有給補償2%を 込みで平均63%とする。」と提案し、5月10日の団体交渉でも、(有給 補償を含まない)賃率は61%である旨の回答を行い(第2、4⑴②③)、 10月 6 日 の 自 交 総 連 東 京 地 連 と の 対 角 線 交 渉 で も 、 Y 2 取 締 役 は 、 「平均としての63%(56%+5%+非稼働率)を目安にセットした賃金 である。」(同⑺②)と述べるなど会社は、一貫して、賃率63%には有 給補償が含まれる旨の説明をしていたことが認められる。 これに対して組合は、3月23日の団体交渉で、「2%近くの賃下げ に なるだけでなく、最盛時と比較したら4%も下がってしまう。」として 再検討を求め、5月10日の団体交渉でも、「前任者の回答より更に賃下 げされた協定書案に応ずる事は出来ない。」(第2、4⑴②③)などと 反対していたことは認められるものの、「賃率63%には有給補償は含ま れていない。」との明確な労使の合意が存在していたとはみられない。 さらに、組合は、「7項目改善の書面に記載された賃率63%には有 給 補償は含まれない。」と主張する。 7項目改善の書面作成に至る経緯、書面の形式、その目的等は前記 ⑶ で判断したとおりであるが、これらの事情に加えて、書面を作成した13 年12月21日の交渉には、18日の交渉結果を持ち帰り組合員らの批判を受 けたX2委員長が、再度北海道交運を一人で訪れY2 とやり取りした こと(第2、5⑵⑶)、この書面には、改善点として「賃率を平均63% とする。」と記載されてはいるが、「会社が行った設備投資(クレジッ トカード機器)については現状を維持する。」(同⑶)との必ずしも改 善点でない項目も含まれていること、18日の話合いで、賃率63%の中に
有給補償を含むか含まないかという話は一切なされず(同⑴)、同書面 に は 、 賃 率 63% の 中 に 有 給 補 償 を 含 む か 否 か が 記 載 さ れ て い な い こ と (同⑶)などを総合すると、この7項目改善は、時折見受けられる労使 紛争の一定の決着としての玉虫色の解決とも受け取れるものであり、組 合が主張するように、賃率63%には有給補償は含まれないとの明確な合 意があったとまではいえない。 ② 以上、会社は、一貫して、賃率は有給補償を含めて63%であると 説 明 しており 、また、 北海道交 運と会社 との間に は、組合に対する労使関係 上の当事 者として 同視でき るほど密 接な関係 が認められ、会社は、7項 目改善の 書面を尊 重すべき 立場にあ ったとい うべきであるが、この書面 に記載さ れた賃率63%には有給補償は 含まれな いとの明確な合意があっ たとまではいえない。 ⑸ 本件救済方法について 本件の救 済として は、主文 第1項及 び第2項 のとおり 、便宜供 与全体の 再開に向 けての団 体交渉に 会社が誠 意をもっ て応ずる こと、及 び文書を掲 示することを命ずるのが相当である。 第4 法律上の根拠 以上の次第であるから、本件便宜供与再開に向けた団体交渉における会社 の 対応は、労働組合法第7条第2号に該当するが、その余の事実は、同法同条 に 該当しない。 よって、労働組合法第27条の12及び労働委員会規則第43条を適用して主文 の とおり命令する。 平成19年11月20日 東京都労働委員会 会 長 藤 田 耕 三