• 検索結果がありません。

ネットワークポリマー Vol. 36 No. 1(2015) 報文 高耐熱透明マレイミド - オレフィン共重合体を用いた有機無機ハイブリッド材料の合成 山本大貴 * 岡村晴之 * 松川公洋 ** * 松本章一 概 要 N- 置換マレイミド誘導体とオレフィンの定序配列制御型ラジカル共重合を利用して,

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ネットワークポリマー Vol. 36 No. 1(2015) 報文 高耐熱透明マレイミド - オレフィン共重合体を用いた有機無機ハイブリッド材料の合成 山本大貴 * 岡村晴之 * 松川公洋 ** * 松本章一 概 要 N- 置換マレイミド誘導体とオレフィンの定序配列制御型ラジカル共重合を利用して,"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

【報 文】

高耐熱透明マレイミド-オレフィン共重合体を用いた

有機無機ハイブリッド材料の合成

山本 大貴*・岡村 晴之・松川 公洋**・松本 章一 概   要 N- 置換マレイミド誘導体とオレフィンの定序配列制御型ラジカル共重合を利用して,繰り返し構造がよく制 御され,優れた耐熱性と高い透明性を示すマレイミド共重合体を合成した。共重合体の側鎖に導入したアリル基 と多官能チオール化合物のメルカプト基の間で進行するチオール-エン反応を利用して架橋反応を行い,温度, 時間,雰囲気などの反応条件が光および熱硬化挙動に及ぼす影響を調べた。さらに,表面チオール修飾したシリ カナノ微粒子のチオール-エン反応によるマレイミド共重合体の微粒子表面への固定を行い,得られたマレイミ ド共重合体/シリカナノ微粒子ハイブリッド材料の熱的および光学的特性を明らかにした。マレイミド共重合体 とシリカナノ微粒子を組み合わせることによって,高い熱変形温度や熱分解開始温度を有し,かつ透明性に優れ た有機無機ハイブリッド材料を設計できることがわかった。

1.緒言

近年のエレクトロニクス,自動車,家電,情報分野 における技術革新の加速に伴って,薄型ディスプレイ, 太陽電池,有機エレクトロルミネッセンスデバイスな どさまざまな分野で高機能性透明ポリマー材料への関 心が高まっている1)-8)。透明ポリマー材料として最も 広く使用されているポリメタクリル酸メチルやポリ カーボネートは,透明性,機械的強度,加工性,耐衝 撃性,価格の面で優れた特性や利点を有するが,透明 ポリマー材料の用途拡大に伴って,既存の材料では対 応できない事例が増えている。特に,耐熱性に対する 要求は厳しくなる一方であり,透明性と耐熱性を兼ね 備えたポリマー材料の開発が重要課題の一つとなって いる9)-15)。マレイミド系共重合体が優れた耐熱性を有 することは古くから知られ,ビニルモノマーのラジカ ル重合系への N- 置換マレイミドモノマー(RMI)の 添加による汎用ポリマーの耐熱性向上がしばしば行わ れてきた16)-21)。マレイミド系重合体の優れた熱的性質, すなわち,高い分解開始温度(Td5)とガラス転移温度 (Tg)は,それぞれ安定なイミド環構造と剛直なポリ 置換メチレン構造に由来し22)-24),電子供与性モノマー とのラジカル共重合で生成する交互共重合体も優れた 熱安定性を示すことが知られている。さらに,コモノ マーとしてオレフィンを用いることにより,共重合体 の機械的特性を大幅に向上することができる25)-30)。例 えば,RMI とイソブテン(IB)の交互共重合体は, 高い熱安定性(Td5> 350 ℃,Tg> 150 ℃)に加えて, 優れた光学特性(可視光透過度> 95%)と機械特性(曲 げ強度> 130 MPa,曲げ弾性率> 4.5 GPa)をあわせ もつことが報告されている26), 27)。また,N- アリルマ レイミド(AMI)と IB の交互共重合により,側鎖に 反応性のアリル基を含む新規な熱・光硬化性ポリマー を合成することが可能であり,加熱や光照射による後 反応によって耐熱性に優れた架橋体が得られることが 見出された31)。ラジカル共重合と高分子反応を組み 合わせたマレイミド系の熱および光硬化性樹脂は,ポ リイミドなどの重縮合反応による耐熱性の熱可塑性樹 * 大阪府立大学 大学院工学研究科 物質・化学系専攻 応用化学分野 〒 599-8531 大阪府堺市中区学園町 1-1 ** 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 電子材料研究部 ハイブリッド材料研究室 〒 536-8553 大阪市城東区森之宮 1-6-50

(2)

脂と,エポキシ樹脂などの光・熱硬化性樹脂の特徴を 兼ね備えた新規な耐熱透明材料として注目されてい る。さらに,N-(2-エチルヘキシル)マレイミド(2EHMI) とジイソブテン(DIB)などのかさ高いオレフィンと の共重合によって,2:1 定序配列(AAB 型配列)制 御された共重合体を得ることができる32)-34)。一方,有 機無機ハイブリッド材料は,有機材料の柔軟性,耐衝 撃性および易加工性と,無機材料の耐熱性,難燃性お よび高弾性率の両方を兼ね備えており,さまざまな応 用分野で無機ナノ微粒子を用いた有機無機ナノハイブ リッド材料の研究が進められている35)-43)。分散体と してナノ微粒子を用いると,粒子体積に対する粒子/ マトリックス界面の面積比が飛躍的に増大し,無機粒 子の特性が効率よく発現できるだけでなく,可視光の 散乱が生じにくくなるため高い透明性が得られる。こ こで,マレイミド共重合体をシリカナノ微粒子(Silica Nanoparticle, SNP)と組み合わせることによって, 優れた耐熱性ならびに光学特性を有する高性能有機無 機ハイブリッド材料が得られるものと期待される。し かしながら,マレイミド共重合体をハイブリッド材料 の有機(ポリマー)成分として用いた研究例はこれま で報告されていない。本研究では,まずマレイミドと オレフィンが 2:1 定序配列型で制御され,かつ側鎖 にアリル基を有するポリマーを 2EHMI,AMI,およ び DIB のラジカル共重合によって合成し,これら共 重合体の熱ならびに光硬化挙動を明らかにした。さら に,表面チオール修飾した反応性シリカ微粒子と組み 合わせることで耐熱性ならびに透明性に優れた有機無 機ハイブリッド材料を合成し,特性評価を行った。

2.実験

2.1 材料 N- アリルマレイミド(AMI)および N-(2- エチル へキシル)マレイミド(2EHMI)は既報の方法に従っ て合成した31)。ジイソブテン(DIB)は,東京化成工 業㈱より購入し,蒸留後に使用した。2,2- ジメトキシ- 2- フェニルアセトフェノン(DMPA)は東京化成工 業㈱より購入し,そのまま用いた。2,2’- アゾビスイソ ブチロニトリル(AIBN)は和光純薬工業㈱より購入 し,メタノールで再結晶したものを用いた。ペンタエ リスリトールテトラキス -3- メルカプトブチレート (PEMB)は昭和電工㈱からの提供品を使用した。シ リカナノ微粒子 SNP は,扶桑化学工業㈱より提供さ れたもの(PL-10H-MEK,チオール変性,メチル エチルケトン分散品,シリカ濃度 28.4 wt%,比重 1.005,一次粒子径 57 nm)を使用した。4,4’-ジフェ ニルエーテルビスマレイミド(BMI,大和化成工業㈱ 製)ならびに N- フェニルマレイミド(東京化成工業 ㈱製)は,提供品ならびに市販品をそのまま用いた。 溶媒は購入したものをそのまま用いた。 2.2 測定機器 日 本 電 子 ㈱ 製 核 磁 気 共 鳴 装 置 ECS-400 お よ び ECX-400 を用いて NMR スペクトルを測定した。赤 外スペクトルおよび紫外可視吸収スペクトルの測定に は,それぞれフーリエ変換赤外分光光度計(日本分光 ㈱製 FT-IR410)および紫外可視分光光度計(島津 製作所㈱ UV-2450)を用いた。示差熱・重量同時測 定ならびに示差走査熱量(DSC)測定は,島津製作所 ㈱ DTG-60 および DSC-60 を使用して,窒素雰囲 気下,加熱速度 10 ℃/min で行った。ポリマーの分子 量決定には,ゲル浸透クロマトグラフ装置(クロマト サイエンス㈱製 CS300C,日本分光㈱製 PU2080Plus, DG2080-53 および RI2031Plus)を用い,カラムとし て TSK-gel GMHHR-N および TSK-gel GMHHR- H を,展開溶媒としてテトラヒドロフラン(THF) を使用して,40 ℃で測定を行い,標準ポリスチレン を用いて校正した。 2.3 ‌‌Poly(AMI-co-2EHMI-co-DIB)(PAED-X)の 合成 所定量の AMI,2EHMI,DIB ならびに AIBN をク ロロホルムに溶解し,重合管に加えた。凍結-脱気- 融解サイクルを 3 回繰り返した後,窒素雰囲気下にし, 60 ℃の恒温槽中で 5 時間重合した。重合後,反応溶 液を 20 倍量のメタノール中に注いだ。沈殿したポリ マーを沪過により単離し,真空乾燥後の重量から収率 を決定した。クロロホルムとメタノールを用いて再沈 殿精製を行った後,ポリマー中の組成を1H NMR ス ペクトルの 0.2-2.2,2.4-4.4 ならびに 4.9-6.2 ppm のピーク強度比より求めた(Fig.‌1)。 2.4 PAED-X/PEMB 系の光架橋 PAED-X(X=12,22 および 43),多官能チオール

(3)

PEMB([C=C]/[SH]=2.0,1.0 お よ び 0.50), 光 ラ ジカル開始剤 DMPA 1 wt%を含むプロピレングリ コール 1- モノメチルエーテル 2- アセテート(PGMEA) 溶液を用いてシリコン板上でスピンコート法(1000 rpm,10 sec に引き続き 2000 rpm,30 sec)により 薄膜を作製した。膜厚は 0.9-1.3 μm であった。真空 下または大気中でキセノンランプを用い,波長 365 nm のバンドパスフィルターを通して光照射(照射光 強度 1.0 mW/cm2)を行った。クロロホルムに 10 分 間浸漬し,浸漬前後の膜厚比から不溶化率を決定した。 2.5 PAED-X/PEMB 系の熱架橋 2.4 節と同様にして,PEMB を含む PAED-X(X= 22 あるいは 43)薄膜をシリコン板上に作製した。真 空下,120 ℃で所定時間,熱架橋反応を行った。ここ では,ラジカル開始剤は用いずに反応を行った。クロ ロホルムに 10 分間浸漬し,浸漬前後の膜厚比から不 溶化率を決定した。 2.6 光および熱架橋体の透明性評価

DMPA(1 wt%)を含む PAED-43 および PEMB([C

=C]/[SH]=1.0)の PGMEA 溶液を石英板上に滴下し, 自然乾燥後,さらに室温で1時間真空乾燥した。真空下, キセノンランプを用い,波長 365 nm のバンドパスフィ ルターを通して光照射(照射光量 2000 mJ/cm2,照射 光強度 1.0 mW/cm2)を行った。光照射前後のフィル ムの形態観察ならびに UV-vis 吸収スペクトル測定に より透明性を評価した。同様に,PAED-43 および PEMB([C=C]/[SH]=1.0) の PGMEA 溶 液 を 石 英板上に滴下,乾燥後に得たフィルムを真空下,120 ℃で 1 時間加熱処理して架橋反応を行い,架橋前後で 透明性を比較した。 2.7 PAED-X/SNP ハイブリッドの合成 PAED-12(600 mg),SNP のメチルエチルケトン 分 散 液(1.06 g,SNP 300 mg),AIBN(45 mg) お よびメチルエチルケトン(6 mL)を反応管に加え, 凍結-脱気-融解サイクルを 3 回繰り返した後,窒素 雰囲気下で超音波処理を 30 分間行った。60 ℃で 5 時 間反応した後,THF を加え遠心分離を 2 回行うこと で沈殿した未反応 SNP を除去した。上澄み溶液から 溶媒を減圧下で留去した後,クロロホルム(6 mL) に再分散し,さらにメタノール(10 mL)を加えた。 得られた分散液に対して遠心分離を 2 回行い,PAED-12/SNP ハイブリッドを沈殿として単離した。得られ た PAED-12/SNP ハイブリッドは THF(10 mL)に 再分散して用いた。また,800 ℃での焼結ならびに熱 重量測定により,固体試料中に含まれるシリカ重量を 求めた。収量 477 mg,シリカ含有量 26 wt%。同様 にして,PAED-43 と SNP のハイブリッドを合成した。 2.8 SNP と BMI の反応 BMI 468 mg(1.3 mmol)にクロロホルム 20 mL を 加え,さらに SNP 分散液 880 mg(SNP 含有量 250 mg)を滴下した。その後室温で 10 分間かくはんした。 クロロホルムを加えて遠心分離によって沈殿物を回収 し,IR 測定を行った。また,沈殿物を 800 ℃で 30 分 間焼結することでシリカ含有量を決定した。

3.結果と考察

3.1 ‌‌RMI-オレフィン共重合体(PAED-X)の合成 所定量のモノマー(AMI,2EHMI および DIB)と ラジカル開始剤(AIBN)をクロロホルムに溶解し, Fig.‌1  1H NMR spectra of (a) PAED-12 and (b) PAED-43

produced during the 2:1 sequence-controlled radical copolymerization of AMI and 2EHMI with DIB. An asterisk indicates the peak due to the solvent.

(4)

溶存酸素を除去した後,窒素雰囲気下,60 ℃で 5 時間, ラジカル共重合を行った(Scheme‌1)。ここで,仕 込みモノマー組成は用いた RMI(AMI と 2EHMI の 総量)とオレフィンのモル比を 2:1 あるいは 1:1 と した。Table‌1 に示す共重合の結果から明らかなよう に,仕込み組成比によらず,いずれの重合系からもほ ぼ 2:1 組成の共重合体が生成し,共重合体中の RMI 単位の総含量は 69-76 mol%でほぼ一定であった。 DIB モノマーが側鎖で枝分かれしたかさ高い分子構 造を有するため,RMI とのラジカル共重合の成長反 応に対する前末端基規制が作用した結果33), 44), 45) AAB 型の 2:1 配列制御された共重合体が優先して 生成したものと考えられる。同様の 2:1 配列制御型 の共重合は,種々のかさ高いオレフィンと RMI の共 重合で報告されている32), 33)。一方,RMI と IB やス チレンのラジカル共重合では 1:1 組成の交互性の高 い共重合体が生成することがよく知られ,マレイミド 共重合体の配列制御には,コモノマーであるオレフィ ンの構造が重要な役割を果たすことを示している32), 33) 最近,繰り返し構造を高度に制御したポリマーが注目 され,さまざまな配列制御ポリマーの合成や応用研究 が行われている46), 47) 本研究で得られたマレイミド共重合体の Mw/Mn値 は 3.2-3.5 であり,通常のラジカル重合で生成する直 鎖状ポリマーに対する Mw/Mn値(1.5-2)と比べて 広い分子量分布をもつ共重合体が生成していることが わかる。生成した共重合体の側鎖アリル基が成長反応 に関与し,一部で分岐構造が生成していることが示唆 される。ただし,本研究で用いた共重合の条件下(モ ノマー濃度 1.5-3.0 mol/L,収率 43-52%)では,架 橋体の生成による不溶化は認められず,以前に報告し た AMI と IB の交互共重合系で低モノマー濃度かつ 低反応収率の条件下でのみ可溶性ポリマーが得られた 点31)と異なる傾向を示した。2:1 配列制御が優先す る共重合系では,立体効果によって成長反応速度が抑 制され,重合速度や生成ポリマーの分子量は低下しや すい傾向にある15), 32)。Table‌1 に示した本研究での反 応条件下で生成する共重合体の一次連鎖長は比較的小 さく,架橋や不溶化には至らなかったものと考えられ る。このように,RMI とオレフィンの組成比が 2:1 でほぼ同様の分子量をもち(Mn=2.2-2.7 × 104),ア リル基含量が異なる(12-43 mol%)3 種類のマレイ ミド共重合体を合成することができた。 こ れ ら 共 重 合 体 の DSC 測 定 を 行 っ た と こ ろ, PAED-12 の Tgは 100 ℃に観察されたが,PAED-X 中のアリル基含量が増すと DSC 測定中にアリル基が 反応して架橋反応が進行するため,正確な Tgの決定 が困難であった。以前に報告した N- メチルマレイミ Scheme‌1  Synthesis of PAED-X by 2:1 sequence-controlled radical copolymerization of AMI and 2EHMI with DIB. The X indicates the AMI mol% in the copolymers. Table‌1  Synthesis of PAED-Xs by 2:1 sequence-controlled radical copolymerization of the RMIs with DIB in CHCl3 at 60 ℃ for 5 h PAED-X AMI/2EHMI/DIB (mol/L) AIBN (mmol/L) Yield (% ) Mn /104 Mw/Mn mol% a T g (℃) AMI 2EHMI DIB

PAED-12 0.20/1.73/1.01 28 43 2.7 3.4 12 57 31 100 PAED-22 0.30/0.71/1.00 41 52 2.5 3.2 22 44 34 b

PAED-43 0.66/0.33/0.50 30 47 2.2 3.5 43 33 24 b a In the copolymers, determined by 1 H NMR spectroscopy. b Not observed by DSC.

(5)

ド(MMI)と DIB の 2:1 組成共重合体は,著しく 高い Tg(> 200℃)を示したものの,溶液をキャス

トして得られる膜は脆く,詳細な光学特性を評価する ことが困難であった33)。これに対して,本研究で合

成した AMI と 2EHMI を組み合わせた DIB との共重 合体は,適度な Tgを有し,かつ良好な成膜性を示す ことがわかった。後で述べるように,分解開始温度 (Td5)および最大分解温度(Tmax)はそれぞれ 300 ℃ と 420 ℃以上であり,本研究で用いた共重合系によ り耐熱性に優れたマレイミド共重合体が生成している ことを確認した。 3.2 PAED-X/PEMB 系の光および熱硬化 側鎖反応性アリル基とメルカプト基間のチオール- エン反応48)-51)を利用した光および熱硬化に及ぼす反 応条件の影響ならびに共重合体の熱安定性に対する架 橋構造導入の効果を検討した。光硬化は,以下の条件 で行った。まず,PAED-X (X=12,22 および 43), 多官能チオール PEMB,光ラジカル開始剤 DMPA(1 wt%)を PGMEA に溶かし,シリコン板上にスピン コート薄膜を作製した(Fig.‌2)。つづいて,真空下 または大気中でキセノンランプを用いて光照射(365 nm,光強度 1.0 mW/cm2)後に,クロロホルムに 10 分間浸漬し,浸漬前後の膜厚比から不溶化率を算出し た。光照射量による不溶化率の変化を Fig.‌3 に示す。 大気下で光硬化を行った場合,アリル基に対するメ ルカプト基の量が多い([C=C]/[SH]=0.5)と,照 射量を増やしても不溶化率は 40%程度でほぼ一定と なった(Fig.‌3(a))。未反応のメルカプト基が残存 するため,架橋効率が低下したと推察される。また, 共重合体中のアリル基が 43 と 22 mol%の試料ではほ とんど差が認められなかったが,共重合体中のアリル 基含量が最も低い PAED-12 ではほとんど硬化反応が 進行しないことがわかった。共重合体中の側鎖アリル 基に対してメルカプト基が過剰に存在すると,ネット ワーク構造の形成が十分に進行しないことを示す。一 般に,チオール-エン反応では,炭素ラジカルのみを 連鎖てい伝体とする通常のラジカル反応と異なり,一 連の反応中に連鎖てい伝体の一つとして硫黄ラジカル を含み,残存酸素分子の一連のラジカル連鎖反応への 関与によって,反応過程の途中で酸素ラジカルが生じ ても容易にチオールからの水素引き抜きによる硫黄ラ

Fig.‌2  Photo- and thermal curing process of PAED-X by thiol-ene reaction using PEMB as a tetrafunctional cross-linker.

Fig.‌3  Effects of irradiation dose at 365 nm on the insoluble fraction of PAED-X/PEMB systems containing 1 wt% DMPA during photocuring. ( ○ , ● ) PAED-43, ( □ , ■ ) PAED-22, and (△) PAED-12. Irradiation conditions: 365 nm in air (open symbols) and in vacuo (closed symbols). [C=C]/[SH] = (a) 0.50, (b) 1.0, and (c) 2.0 in mol/mol. The thickness of spin-coated films was 0.9-1.3 μm. The insoluble fraction was determined based on the change in the film thickness by dissolution in CHCl3 for 10 min after photocuring.

(6)

ジカルの生成を経て全体の反応が阻害されることなく 進行するため,酸素の影響を受けにくいことが知られ ている49)-52)。本研究で用いた反応条件下では,不溶 化率にわずかに差が生じたものの,大気下でも光硬化 が速やかに進行することが確かめられた。 アリル基とメルカプト基を等量([C=C]/[SH]= 1.0)とすると,全般的に不溶化率が高くなる傾向を 示し,PAED-X のアリル基含量が増すと不溶化率は さらに増大した(Fig.‌3(b))。PAED-43 を用いて真 空下 2000 mJ/cm2光照射条件下で不溶化率は 80%に 達した。一方,アリル基が過剰の条件下で反応を行う と,酸素阻害の影響が顕著に現れ,大気中での一部の 反応では硬化に対する誘導期間が観察された(Fig.‌3 (c))。ここで,いずれの組成比においても,PAED-12 を用いると光硬化は進行しなかった。ポリマー鎖 1 本あたりに含まれるアリル基の数が多いほど,架橋反 応は速やかに進行することが予想され,平均分子量か ら計算した PAED-12 ポリマー鎖 1 本あたりのアリル 基の数が 20 程度であることを考慮すると,これら官 能基が全て反応すれば,架橋,不溶化には十分な官能 基量であるといえる。赤外ならびにラマン分光法によ る架橋反応中の C=C 基の吸収強度変化について解析 を試みた結果,C=C 基の反応率は Fig.‌3 に示す反応 条件下ではおよそ数十%以下であることが示唆された ものの,吸収ピークの十分な分離が難しいため定量分 析はできなかった。同様の条件下でポリマーを全て不 溶化するためには,さらに大量のアリル基を共重合体 中に導入することが必要であると考えられる。 Fig.‌4 は,PAED-X(X=22 あるいは 43)と多官 能チオール PEMB のスピンコート薄膜を真空下,120 ℃で加熱し,熱硬化を行った際の不溶化率の変化を示 す。ここでは,ラジカル開始剤を添加せずに反応を行っ ているが,加熱開始と同時に架橋反応が進行し,共重 合体の一部が不溶化した。光硬化反応の結果と同様, 共重合体中のアリル含量や[C=C]/[SH]比に応じて, 不溶化曲線は異なる形状を示した。チオール過剰では, 共重合体中のアリル含量に依らない同一の曲線が得ら れたのに対し,[C=C]/[SH]=1.0 および 2.0 では, アリル含量が大きいほど不溶化率は高くなった。アリ ル基とメルカプト基を等量とすると不溶化率は約 Table‌2 Thermal stability of PAED-X before and after thermal curing and hybridization Polymer materials Td5 (℃) Tmax (℃) Residual weight (%) 500 ℃ 800 ℃ PAED-12 299 423 4 3 PAED-22 321 434 ~0 ~0 After thermal curing of PAED-43 without PEMBa 372 450 10 n.d. After thermal curing of PAED-43 with PEMBb 332 436 8 n.d. PAED-12/SNP hybrid 378 432 27 26 PAED-43/SNP hybrid 392 444 35 n.d. Blend of PAED-12 and SNP 291 430 32 20 a In N 2 at 200 ℃ for 1 h. b [C = C]/[SH] = 1/1 in a molar ratio, in vacuo at 120 ℃ for 1 h. Fig.‌4  Effects of heating time on the insoluble fraction of PAED-X/PEMB systems during thermal curing at 120 ℃ in vacuo. (○) PAED-43 and (□) PAED-22. [C=C]/[SH] = (a) 0.50, (b) 1.0, and (c) 2.0 in mol/mol. The thickness of spin-coated films was 0.9-1.1 μm. The insoluble fraction was determined based on the change in the film thickness by dissolution in CHCl3 for 10 min after thermal curing.

(7)

80%に達した。架橋することにより,共重合体の耐熱 性の向上が認められ,熱分解開始温度 Td5は高くなる 傾向を示した(Table‌2)。チオール不在下,すなわち マレイミド共重合体単独でも十分高温で加熱すれば (例えば,200 ℃,1 時間)熱硬化が進行した。PEMB を用いないアリル基のみの反応による硬化では,架橋 点間の距離が短い構造のネットワークが形成されてい るものと考えられ,架橋後は Td5,Tmaxいずれも高い 値を示した。これら PAED-X/PEMB 架橋体について 硬化前後での透明性を比較した結果を Fig.‌5 に示す。 いずれの場合においても,可視光領域全体での透過率 の低下が確認され,熱硬化の場合に低下の程度が大き かった。これは,硬化時の収縮に伴うフィルム表面の 平滑性低下に起因する光散乱によるものと推察され る。低波長領域での立ちあがりや新たな吸収はなく, 光および熱硬化前後の透明性の変化は小さいと言える。 3.3 ‌‌PAED-X/SNP ハイブリッドの合成と成膜性 および物性評価 PAED-X,SNP 分散液,AIBN およびメチルエチ ルケトンを試験管に加え,窒素雰囲気下で超音波処理 を 30 分間行った後,60 ℃で 5 時間反応を行い,SNP の表面修飾(微粒子表面への PAED-X の固定化)を 行った(Scheme‌2)。反応後,THF を加え未反応 SNP を沈殿として取り除き,上澄み溶液の溶媒をク ロロホルムに置換した後,1.5 倍量のメタノールを加 えて目的の生成物である PAED-X/SNP ハイブリッド を単離した。 PAED-12/SNP ハイブリッドのクロロホルム分散液 を石英板上に滴下し,自然乾燥後,真空乾燥してキャ ストフィルムを得た。PAED-12とSNPのブレンドフィ ルムも同様にして作製した。これらフィルムの紫外可 視光の透過性の比較(Fig.‌6)から明らかなように, シリカ成分を 26 wt%含むハイブリッドフィルムは, PAED-12 単体とほぼ同等の可視光透明性を示した。 シリカ含量 20 wt%のブレンド物の透明性は,同じシ リカ含量のハイブリッドと比べて明らかに低く,SNP 表面に PAED-12 を共有結合で固定したことによる分 散性向上の効果を確認することができた。ここで, PAED-12 の F 線(486 nm),D 線(589 nm),および Fig.‌5  Transmittance of visible light for PAED-43/PEMB film ([C=C]/[SH] = 1.0 in mol/mol) before and after (a) photocuring (2000 mJ/cm2 at 365 nm) and (b) thermal curing at 120 ℃ for 1 h. (c) Photographs of the cured films. The film thickness was ca. 70 μm. Scheme‌2  Synthesis of PAED-X/SNP hybrids by the thiol-ene reaction. Fig.‌6  Transmittance of UV and visible lights of PAED-12, PAED-12/SNP hybrid (silica content 26 wt%), and the blend of PAED-12 and SNP (silica content 20 wt%). The film thickness was ca. 80 μm.

(8)

C 線(656 nm)に対する屈折率はそれぞれ 1.513,1.505, および 1.502,アッベ数は 48 であり,表面修飾した SNP を分散(シリカ含量 26%)した場合には,全波 長領域で屈折率は一様に低下し,例えば,D 線に対す る屈折率は 1.458 であった。PAED-43/SNP ハイブリッ ドを用いて同様の検討を行ったところ,シリカ含量が 低い場合には同等の透明性を有する耐熱性のハイブ リッドが得られたものの,シリカ含量が増大するにつ れて,PAED-12/SNP ハイブリッドでの結果と比べて 透 明 性 が 低 下 す る 傾 向 が 認 め ら れ た。 こ れ ら PAED-X/SNP ハイブリッドの分散安定性の違いは, PAED-X と SNP の結合点数の違いならびに粒子表面 でのポリマーの形態の違いによるものと推察される。 すなわち,PAED-43 はより多点でポリマー表面に共 有結合で固定されるため,マトリックス中へのポリ マーの広がりが抑えられ,分散安定性への寄与が小さ くなったと理解できる。 PAED-12 および PAED-12/SNP ハイブリッド(シ リカ含有量 26 wt%)の熱重量分析の結果を Fig.‌7 に 示 す。PAED-12 と SNP の ブ レ ン ド 系 の Td5 は PAED-12 と変化がなかったが,PAED-12 と SNP を ハイブリッド化することで Td5は約 80 ℃向上するこ とがわかった。PAED-12 が多点で SNP 表面に共有結 合で固定されているため,ポリマー鎖の一部が切断後 も粒子上に固定された状態を保持できるためと考えら れる。熱硬化ならびにハイブリッド化後の DSC 曲線 には Tgに由来する明確な変曲点が確認できず,熱分 析による Tgの決定は困難であった。そこで,オーブ ン中での加熱中のポリマー片の形態変化から熱変形温 度を比較したところ,PAED-12 では 140 ℃から変形 が開始したのに対して,PAED-12/SNP ハイブリッド は 250 ℃でも全く変形が観察されず,優れた耐熱性 を示した。 さらに,SNP の表面ポリマー修飾のための別経路 として,チオール-エン反応による SNP 表面へのビ スマレイミドモノマー BMI の固定化とそれに続く後 重合による PAED-X/SNP ハイブリッドの合成も試み た。まず,赤外ならびにラマンスペクトル解析により, SNP 表面へのビスマレイミドモノマーの固定化を確 認した。Fig.‌8 に,SNP と BMI の反応前後の IR ス ペクトルの変化を示す。反応後に,イミド環のカルボ ニル基に由来する 1707 cm-1の吸収が認められたの に対し,マレイミド環の C=C 結合に帰属される吸収 は観察されなかった(未反応のマレイミド基が存在す れば 1585 cm-1に吸収が現れることが予想される)。 ここで観察されたスペクトル変化は,BMI の代わり に一官能性モノマーである N- フェニルマレイミドを 用いた反応の結果と同様であった。これらの結果から, マレイミドの C=C 結合はチオールに対する反応性が 高く,室温で混合するだけで定量的に反応が進行する ため,BMI に含まれる二つのマレイミド基の両方が チオール-エン反応によって消費されてしまい,この 方法でのハイブリッド化は難しいことがわかった。本 研究で行ってきたポリマー側鎖のアリル基の反応によ る SNP 表面への固定化が現在のところ最も有効なハ イブリッド作成法であると結論できる。

Fig.‌7  Thermogravimetric analysis curves of PAED-12, PAED-12/SNP hybrid, and blend of PAED-12 and SNP in nitrogen at the heating rate of 10 ℃/min.

Fig.‌8  Change in the IR spectrum (a) before and (b) after the reaction of SNP with BMI in chloroform at room temperature for 10 min.

(9)

4.結 論

N- 置換マレイミドとオレフィンの共重合体は,高 い熱安定性に加えて優れた光学特性と機械特性を有 し,これら共重合系にさらに N- アリルマレイミドを 加えて共重合体側鎖にアリル基を導入することによ り,新規な熱・光硬化性ポリマーが得られることを示 した。まず,定序配列制御型ラジカル共重合によって, 繰り返し構造がよく制御されたマレイミド共重合体を 合成し,それらの側鎖に導入したアリル基と多官能チ オール化合物のチオール-エン反応を利用して,光お よび熱硬化を行った。次に,表面チオール修飾した反 応性シリカナノ微粒子と組み合わせたハイブリッド材 料を合成した。得られた有機無機ハイブリッド材料の 熱的および光学的特性を評価し,これらの組み合わせ によって高い熱変形温度と分解開始温度をもち,かつ 透明性に優れた材料を設計できることを明らかにし た。 謝 辞 シリカナノ微粒子を提供頂きました扶桑化学 工業株式会社に感謝致します。 参考文献 1) “透明樹脂の高性能化と応用”,東レリサーチセンター (2008). 2) “高性能透明ポリマー材料”,ポリマーフロンティア 21 講演録シリーズ,エヌ・ティー・エス (2012). 3) T. Kohara, Macromol. Symp., 101, 571 (1996). 4) L. L. Beecroft and C. K. Ober, Chem. Mater., 9, 1302 (1997). 5) G. Khanarian and H. Celanese, Opt. Eng., 40, 1024 (2001). 6) K. Kuriki, Y. Koike, and Y. Okamoto, Chem. Rev., 102, 2347 (2002). 7) H. Ma, A. K.- Y. Jen, and L. R. Dalton, Adv. Mater., 14, 1339 (2002). 8) A. Tagaya and Y. Koike, Polym. J., 44, 306 (2012). 9) “新訂最新ポリイミド”,監修 横田力男ら,エヌ・ ティー・エス (2012)

10) T. Hasegawa and K. Horie, Prog. Polym. Sci., 26, 259 (2001). 11) 松本章一,“フィルムベースエレクトロニクスの最新 要素技術”,監修 中山 弘,中山正昭,小川倉一,シー エムシー出版(2008) p. 33. 12) A. Ozaki, K. Sumita, K. Goto, and A. Matsumoto, Macromolecules, 46, 2941 (2013). 13) N. Tanaka, E. Sato, and A. Matsumoto, Macromolecules, 44, 9125 (2011).

14) M. Hisano, K. Takeda, T. Takashima, Z. Jin, A.

Shiibashi, and A. Matsumoto, Macromolecules, 46, 3314 (2013).

15) Y. Nakano, E. Sato, and A. Matsumoto, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 52, 2899 (2014). 16) J. M. Barrales-Rienda, J. I. Gonzalez de la Campa,

and G. I. Ramos, J. Macromol. Sci.-Chem., A11, 267 (1977).

17) A. Matsumoto, T. Kubota, and T. Otsu, Macromolecules,

23, 4508 (1990).

18) T. Otsu, A. Matsumoto, T. Kubota, and S. Mori, Polym. Bull., 23, 43 (1990).

19) T. Otsu, A. Matsumoto, and T. Kubota, Polym. Inter., 25, 179 (1991).

20) L. P. Lou, A. Tagaya, Y. Ide, Y. Koike, and Y. Okamoto, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 50, 3530 (2012)

21) S. Beppu, S. Iwasaki, H. Shafiee, A. Tagaya, and Y. Koike, J. Appl. Polym. Sci., 131, 40423 (2014) 22) 松本章一,“新訂版ラジカル重合ハンドブック”,監 修 蒲池幹治,遠藤 剛,岡本佳男,福田 猛,エヌ・ ティー・エス(2010) p. 456. 23) A. Matsumoto and T. Otsu, Macromol. Symp., 98, 139 (1995). 24) T. Otsu, H. Watanabe, J. -Z. Yang, M. Yoshioka, and A. Matsumoto, Makromol. Chem., Macromol. Symp.,

63, 87 (1992).

25) T. Doi, A. Akimoto, A. Matsumoto, and T. Otsu, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 34, 367 (1996). 26) T. Doi, A. Akimoto, A. Matsumoto, Y. Oki, and T.

Otsu, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem., 34, 2499 (1996).

27) T. Doi, Y. Sugiura, S. Yukioka, and A. Akimoto, J. Appl. Polym. Sci., 61, 853 (1996).

28) A. Omayu and A. Matsumoto, Macromol. Chem. Phys., 209, 2312 (2008).

29) K. Takeda, A. Omayu, and A. Matsumoto, Macromol. Chem. Phys., 214, 2091 (2013).

30) M. Hisano, T. Takashima, Z. Jin, A. Shiibashi, and A. Matsumoto, Macromol. Chem. Phys., 209, 1612 (2013).

31) K. Takeda and A. Matsumoto, Macromol. Chem. Phys., 211, 782 (2010).

32) A. Matsumoto, in Sequence-Controlled Polymers: Synthesis, Self-Assembly, and Properties, ACS Symposium Series, Vol. 1170, Ed. by J.-F. Lutz, T. Meyer, M. Ouchi, and M. Sawamoto, Chapter 20, American Chemical Society, Washington, DC(2014) p. 301.

33) M. Hisano, K. Takeda, T. Takashima, Z. Jin, A. Shiibashi, and A. Matsumoto, Macromolecules, 46, 7733 (2013).

34) H. Yamamoto, H. Okamura, and A. Matsumoto, J. Photopolym. Sci. Technol., 27, 151 (2014).

35) Y. Chujo and T. Saegusa, Adv. Polym. Sci., 100, 11 (1992).

(10)

36) W. Caseri, Macromol. Rapid Commun., 21, 705 (2000).

37) G. Schottner, Chem. Mater., 13, 3422 (2001).

38) S. S. Ray and M. Okamoto, Prog. Polym. Sci., 28, 1539 (2003).

39) G. Kickelbick, Prog. Polym. Sci., 28, 83 (2003). 40) K. Matsukawa, J. Photopolym. Sci. Technol., 18, 203

(2005).

41) C. Lu and B. Yang, J. Mater. Chem., 19, 2884 (2009). 42) B. Lebeau and P. Innocenzi, Chem. Soc. Rev., 40,

886 (2011).

43) T. Tamai, M. Watanabe, S. Ikeda, Y. Kobayashi, Y. Fujiwara, and K. Matsukawa, J. Photopolym. Sci. Technol., 25, 141 (2012).

44) K. Satoh, M. Matsuda, K. Nagai, and M. Kamigaito, J. Am. Chem. Soc., 132, 10003 (2010).

45) D. Yamamoto and A. Matsumoto, Macromol. Chem. Phys., 213, 2479 (2012).

46) J.-F. Lutz, M. Ouchi, D. R. Liu, and M. Sawamoto, Science, 341, 628 (2013).

47) Sequence-Controlled Polymers: Synthesis, Self-Assembly, and Properties, ACS Symposium Series, J.-F. Lutz, T. Meyer, M. Ouchi, and M. Sawamoto, American Chemical Society, Washington, DC(2014) Vol. 1170.

48) N. B. Cramer, J. P. Scott, and C. N. Bowman, Macromolecules, 35, 5361 (2002).

49) C. E. Hoyle and C. N. Bowman, Angew. Chem., Int. Ed., 49, 1540 (2010).

50) C. E. Hoyle, A. B. Lowe, and C. N. Bowman, Chem. Soc. Rev., 39, 1355 (2010).

51) H. Okamura and M. Shirai, J. Photopolym. Sci. Technol., 24, 561 (2011).

52) J. D. McCall and K. S. Anseth, Biomacromolecules,

(11)

Synthesis of Organic-Inorganic Hybrids Using Thermoresistant and

Transparent Maleimide-Olefin Copolymers

Hiroki Yamamoto, * Haruyuki okamura, * Kimihiro matsukawa, ** and Akikazu matsumoto*

* Department of Applied Chemistry, Graduate School of Engineering, Osaka Prefecture University (1-1, Gakuen-cho, Naka-ku, Sakai-shi, Osaka 599-8531, Japan)

** Osaka Municipal Technical Research Institute (1-6-50, Morinomiya, Joto-ku, Osaka 536-8553, Japan)

Synopsis

We prepared maleimide copolymers with a well-defined sequence structure by the sequence-controlled radical copolymerization of N-substituted maleimides with an olefin monomer and realed the excellent thermal stability and high transparency of the copolymers. The copolymers consisting of N-allylmaleimide (AMI) and N-(2-ethylhexyl)maleimide (2EHMI) as the maleimide repeating units and diisobutylene (DIB) as the olefin unit (PAED-X) were thermally or photochemically cured using pentaerythritol tetrakis(3-mercaptobutyrate) (PEMB) as a polyfunctional thiol by a thiol-ene reaction. The effects of a reaction temperature, time, and atmosphere on the curing behavior were investigated. The organic-inorganic hybrid was also fabricated by the thiol-ene reaction of the PAED-X with silica nanoparticles (SNP) containing a reactive mercapto group at the particle surface. The thermal and optical properties of the obtained PAED-X/SNP hybrids were revealed. We demonstrated the fabrication of the organic-inorganic hybrids exhibiting excellent thermal stability and high transparency by the combination of the maleimide copolymers with silica nanoparticles.

(Received November 5, 2014 ; Accepted December 5, 2014)

[Original]

Key-words : Organic-inorganic hybrid, Sequence-controlled polymerization, Silica nanoparticle,

Thiol-ene reaction, Transparent polymer

参照

関連したドキュメント

ても情報活用の実践力を育てていくことが求められているのである︒

攻撃者は安定して攻撃を成功させるためにメモリ空間 の固定領域に配置された ROPgadget コードを用いようとす る.2.4 節で示した ASLR が機能している場合は困難とな

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,

口腔の持つ,種々の働き ( 機能)が障害された場 合,これらの働きがより健全に機能するよう手当

目的 これから重機を導入して自伐型林業 を始めていく方を対象に、基本的な 重機操作から作業道を開設して行け

を行っている市民の割合は全体の 11.9%と低いものの、 「以前やっていた(9.5%) 」 「機会があれば

発電機構成部品 より発生する熱の 冷却媒体として用 いる水素ガスや起 動・停止時の置換 用等で用いられる

2018 年、ジョイセフはこれまで以上に SDGs への意識を強く持って活動していく。定款に 定められた 7 つの公益事業すべてが SDGs