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Vol.7 , No.2(1959)027鍋島 俊樹「往生論註に於ける往因一考」

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Academic year: 2021

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往 生 論 註 に 於 け る 住 因 一 考 ( 鍋 島 ) 一 五 六

論 註 の 往 生 観 に つ い て 、 こ れ を 般 若 と 方 便 の 立 場 か ら 、 願 生 思 想 の 面 か ら 種 々 論 議 さ れ て い る が 、 こ こ で は 曇 鷺 の 往 生 観 が 讃 嘆 門 中 心 で あ る こ と か ら 、 往 因 に 關 す る 二 三 の 問 題 を 取 上 げ て 見 た い 。 (一) 先 ず 十 念 と 五 念 門 の 關 係 で あ る 。 凡 そ 五 念 門 を 讃 嘆 門 中 心 に 理 解 す る 根 擦 は 、(1)三 経 通 申 の 無 量 壽 経 の 経 謄 を 名 號 と し て 五 念 門 の 本 質 を 名 號 と 見 る こ と 、 (2) 願 生 偶 の 第 一 行 四 句 を 前 三 念 門 と 解 し て 天 親 の 我 一 心 の 心 相 展 開 の ﹁す が た と み る こ と の 二 黙 と 云 え る 。 そ の 結 果 、 讃 嘆 門 を 繹 し て 如 實 修 行 相 鷹 の 口 業 構 名 と し 、 そ の 所 以 を 名 號 の 徳 義 に 約 し て 破 闇 満 願 で 示 す の で あ る 。 而 も 曇 鯵 が 構 名 と 名 號 と を 如 實 修 行 に 於 て 同 便 値 と 判 ず る こ と は 、(1)讃 嘆 門 下 に 名 號 破 満 と 禰 名 破 満 を 並 説 す る こ と 、 (2) 氷 上 燃 火 の 繹 下 に も 聞 名 往 生 を う け て ﹁ 但 以 下 構 二佛 名 一力 上 作 二往 生 意 一願 レ 生 二彼 土 一﹂ と 構 名 に よ る 繹 を 出すこと、(3)論註三ヶ所に亘つて示される十念が何れも構名義に解 し て い る こ と の 三 勲 に 明 ら か で あ る 。 然 る に こ こ で 問 題 と さ れ る も の は 、 十 念 を 必 ず し も 構 名 と の み 理 解 し な い 繹 義 が あ る こ と に つ い て で あ る 。 即 ち 八 番 問 答 第 七 に 、 念 を 憶 念 の 義 と し 心 無 他 想 と な る を 十 念 と す る 繹 で あ る 。 し か し 乍 ら 其 れ は 曇 鷲 が ﹁ 普 共 諸 衆 生 、 往 生 安 樂 國 ﹂ の 浄 土 論 文 、を 解 繹 す る の に 、 そ の 衆 生 を 下 品 生 に ま で 鑛 張 し て 往 生 に 關 し て 八 番 の 問 答 を し 、 そ こ に 許 さ れ た 十 念 の 行 が 、 浄 土 論 に 明 か す 五 念 門 行 と も 相 通 ず る と の 意 味 よ り 、 十 念 に 観 想 憶 念 と 同 等 の 儂 値 を 語 ら れ た も の と 窺 い た い の で あ る 。 然 れ ば 論 註 の 立 場 で は 構 名 を 主 と し 五 念 門 を 從 と す る の で あ ろ う か 。 五 念 門 に つ い て 論 註 も 亦 浄 土 論 と 同 様 に 繹 顯 の 當 意 で は 高 位 の 菩 薩 の 所 修 で あ る と す る の で あ る 。 た だ 斯 様 な 菩 薩 道 は 五 逆 の 凡 夫 の 爲 し う る 所 で な い と の 曇 鶯 の 自 畳 が 、 凡 夫 相 鷹 の 構 名 行 の 開 顯 と な つ た わ け で あ つ て 、 上 品 下 品 の 實 朧 行 が 共 に 十 念 を 説 け る 本 願 力 に 縁 つ て そ の 目 的 を 達 し う る と 理 解 す る の が 委 當 と 考 え る の で あ る 。 即 ち 、 曇 轡 は 三 願 的 謹 の 繹 に 於 て 五 念 門 に よ る 速 得 成 就 阿 褥 菩 提 の 因 縁 を 求 め て 彌 陀 の 本 願 力 に 縁 る と し 、 四 十 八 願 を 出 し 就 中 三 願 を 明 示 し て い る が 、 こ こ に 十 念 念 佛 便 得 往 生 と 云 わ れ る も の は 、 構 名 を い う の で あ つ て 構 名 往 生 の 根 擦 と 五 念 往 生 の 根 擦 を 一 虚 に 求 め た こ と に な り 、 曇 縫 の 註 解 の 底 意 乏 し て 五 念 門 に よ り 構 名 念 佛 を 立 謹 す る と の 意 が 存 し て い た と 考 え た い の で あ る 。 (二) 次 に 生 信 心 に 關 す る 問 題 で あ る 。 前 述 の 如 く 構 名 念 佛 に よ る 往 生 と は 云 え 、 そ れ の 成 立 根 擦 に は 名 號 の 徳 義 が 深 ぐ 藏 せ ら れ て 居 る か ら 信 具 の 構 名 行 で な け れ ば な ら な い 。 扱 て そ 、の 信 に つ い て 起 襯 生 信 の 文 が あ る が 、 浄 土 論 は 生 信 心 に つ い て 何 等 鯛 れ る 所 が な い 。 た だ 然 し 五 念 門 を 修 す る 行 者 を 初 め に 善 男 子 善 女 人 と 呼 び な が ら 、 善 巧 擁 化 章 に 到 つ て 菩 薩 と 呼 び か え て い る 勲 、 行 者 の 上 に 生 信 心 を 契 機 と し て 質 的 韓 換 が な さ れ て い る の で は な い か と 見 ら れ る の で あ る。 こ れ を 繹 論 巻 七 ( 大 正 三 一 ・ 一 九 九 c ) に よ つ て 窺 う に 、 一 切 の 善 男 子 善 女 人 は 聞 薫 習 に よ り 願 樂 位 に 入 り 、 そ の 後 、 菩 薩 と な つ て 唯 識 方 便 観 と し て の 止 観 を 行 ず る と あ り 、 而 も 聞 蕪 習 に よ る 慧 は 無 分 別 智 と 本 質 を 同 じ う す る と 見 ら れ る か ら 、 止 襯 中 心 の 五 念 門

(2)

-551-に よ り 善 男 子 善 女 人 の 生 じ た 自 力 の 信 が 高 め ら れ 、 無 漏 智 を 開 畳 す る 因 に ま で 韓 成 さ れ る も の と 考 え ら れ る の で あ る 。 こ の 檬 な 浄 土 論 の 信 の 解 繹 に 樹 し て 、 曇 鯵 は 他 力 の 信 と み る の で あ つ て 、 翻 察 謄 相 章 の 國 土 蕪 嚴 を 結 繹 す る に 際 し て ﹁ 襯 二 此 十 七 種 荘 嚴 成 就 一、 能 生 二 直 實 浄 信 一、 必 成 得 レ 生 二 彼 安 樂 佛 土 こ と 述 べ て い る 。 構 名 往 生 行 を 開 顯 す る 曇 攣 に 信 の 思 想 を も た ら し た 直 接 の 思 想 根 擦 と 云 え ば 、 易 行 品 に お け る ﹁ 信 方 便 易 行 ﹂ の 文 で あ る 。 凡 そ 易 行 道 の 本 質 は 一 心 ・ 聞 名 ・ 構 名 の 三 の 上 に と ら え ら れ よ う 。 故 に 信 心 清 浄 な る に よ つ て 能 所 の 分 別 を 離 れ て 見 佛 す る の で あ る が 、 構 名 に よ る 不 退 に 到 る 道 も 亦 、 信 心 清 浄 な る こ と な く し て は 不 可 能 で あ る 。 之 と 同 檬 の こ と が 讃 嘆 門 の 三 不 信 繹 に も 見 ら れ よ う 。 即 ち 構 名 憶 念 す る こ と が あ つ て も 名 義 不 相 鷹 な る 時 は 構 名 破 満 義 は 成 立 た な い の で あ る 。 こ の 黙 構 名 往 生 と は 云 え 信 が 根 源 に あ る こ と は 明 ら か で あ る 。 論 註 は こ の 意 味 に 於 て 、 難 易 二 道 を 明 か す に も ﹁ 但 以 二信 佛 因 縁 一願 レ 生 二浄 土 こ と い い 、 八 番 問 答 に も ﹁ 信 佛 因 縁 皆 得 往 生 ﹂ と 示 し 、 最 後 に 到 つ て は ﹁ 愚 哉 後 之 學 者 、 聞 二 他 力 可 レ 乗 當 レ 生 二 信 心 こ と 信 心 最 要 の 易 行 道 翻 を 開 顯 せ ら れ て い る 。 国 第 三 に 二 類 往 生 に 就 い て の 問 題 で あ る 。 即 ち 論 註 で 讃 嘆 門 中 心 の 往 生 行 が 展 開 さ れ る と す れ ば 、 論 當 面 の 止 襯 中 心 の 五 念 門 行 は ど の 檬 に 考 え ら れ て い た の で あ ろ う か 。 繹 疑 生 信 の 次 下 に 設 け ら れ た 問 答 に 於 て 、 上 品 生 者 が 生 無 生 を 知 つ て 往 生 す る と 云 う の は 所 謂 因 緑 生 無 所 有 に 観 達 し た 往 生 で あ る が 、 下 品 生 者 は 十 念 に 乗 じ て 往 生 す る の で あ る か ら 實 生 實 滅 を 見 、 見 生 の 惑 の 上 に 立 つ て 願 生 す る 見 生 而 生 の 往 生 で あ る と 、 往 生 に 凡 聖 二 類 の 差 別 を 立 て て い る の で あ る 。 し か し 乍 ら 爾 者 何 れ も 浄 士 へ の 往 生 で あ る か ら 、 往 生 に 本 質 的 な 相 違 が あ る と は 考 え ら れ な い 。 論 註 下 巻 に 爲 樂 願 生 を い ま し め る 二 段 が あ る が 、 其 虚 に は 作 願 ・ 襯 察 ・ 廻 向 を 結 ん で 無 上 菩 提 心 と し 、 こ の 心 は 願 作 佛 心 ・ 度 衆 生 心 に し て 、 大 経 の 三 輩 は 行 を 差 別 し て 優 劣 を 示 す け れ ど も 、 三 輩 全 部 に 通 じ て 願 生 者 が 必 ず 獲 起 す べ き 心 な る こ と を 述 べ て い る か ら で あ る 。 こ の 故 に 往 生 者 の 凡 聖 二 類 の 差 別 は 往 生 の 可 否 に つ い て 出 す の で は な く 、 機 類 の 上 下 に 於 て 論 ぜ ら れ た も の と 考 え た い 。 こ の 意 を 具 し く す る な ら ば 、 凡 そ 天 親 が 因 緑 生 を 知 つ て 願 生 す る と い う 義 は 、 第 一 義 諦 の 境 た る 浄 士 へ の 往 生 で あ る 。 而 も 浄 土 往 生 と は 、 全 て 生 即 無 生 の 生 た る べ き で あ る か ら 、 願 生 が 成 立 す る 爲 に は 因 縁 生 で な く て は な ら ず 、 實 有 生 や 三 有 虚 妄 の 生 の 如 き で は 毛 頭 な い の で あ る 。 然 れ ば 、 其 の 生 無 生 を 知 る 上 品 生 は 往 生 す る と し て も 、 そ れ を 知 ら ぬ 下 品 生 は 往 生 不 可 能 か と い え ば 、 下 品 生 の 往 生 が 二 執 に 堕 す と は 云 え 、(1)名號 の 徳 に よ り 罪 滅 心 浄 と な り う る こ と 、 (2) 往 生 す る 時 、 浄 土 の 土 徳 と し て 生 見 を 韓 じ て 無 生 智 と な ら し め る 力 用 が あ る こ と か ら 、 下 品 生 も 亦 往 生 成 立 の 時 に は 生 無 生 の 往 生 な る こ と を 知 る の で あ る 。 た だ 二 類 の 差 別 を 生 ず る も の は 、 機 根 の 上 下 に 從 つ て 後 者 自 身 が 生 無 生 を 知 る か 否 か の 相 連 を い う こ と に な る 。 故 に 本 質 的 に は 上 下 凡 聖 二 類 と も に 信 心 清 浄 な る こ と を 要 求 さ れ て お り 、 生 即 無 生 の 大 乗 佛 教 の 原 理 に 立 脚 し て い る こ と に 相 違 は な い の で あ る 。 以 上 、 論 注 の 往 生 観 に 於 け る 往 因 の 二 三 の 問 題 を 考 察 し た が 、 曇 鷺 に よ つ て 革 新 的 な 往 生 行 が 開 顯 さ れ 、 爾 名 念 佛 行 に よ る 浄 土 往 生 の 路 が 開 か れ た と は 云 え 、 あ く ま で 大 乗 佛 教 の 根 本 眞 理 を 貫 く 注 解 で あ る こ と が 窺 い え た わ け で あ る 。 往 生 論 註 に 於 け る 往 因 一 考 ( 鍋 島 ) 二 五 七

参照

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