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花崗岩風化残積土の基本的性質と二次的性質について
青柳 省吾,石井 秀明,横瀬 廣司
Ⅰ ま え が き 士は流水による侵食作用,温度変化,凍結融解作用などの物理的風化作用,および加水作用,酸化作用,溶解作用な どの化学的風化作用によって岩石顆が分解されて生成されるものである。それゆえ,土質工学においても,その対象と する土の母岩がいかなるものであるか,またどの程度風化の進んだ状態にあるかを知ることは重要な意味を持つと考え られる。と〈に風化残横土は風,河川などにより運ばれて三角州,谷,平野などの低地帯に堆模した運楷土に比べて, 生成される以前の岩石母材の性質を強く受け継いでいる。岩石母材がほぼ同一種てあれば,風化の進行にともなって生 成される土も,ある程度の共通性を持つと言える。花崗岩風化残棋士も,母岩により,その基本的性質(粘土鉱物,W 次鉱物,粒度分布,比表面横,比重など)はある程度定まったものであると考えられる。土質構造物の設計,施工にあ たっては,従来から,含水比,間ゲキ比などをパラメーターとして,強度特性,締固め特′阻 コンシステンンー特性, pF特性などを論じることが多いようである。しかし,これらの含水比,間ゲキ比一強度特性,pF特性,コンシステ ンシ・一特性などは,土の持つ二次的な性質,すな・わち,ある条件下で土か示す性質であり,その土固有のものとは言え ない。それゆえ,より適切なエ事指針を得るには,これらの関係を支配する基本的性質を充分に把握して,それと上記 の二次的性質との関連性を明確にする必要があろう。土の基本的性質のうち,土粒子の形状,表面活性が土のエ学的性 質に大きな影響を与えることは,すでに述べられており;1・2)比表面積とコンシステンシ、・−−−・の関係についても研究がな されていると3)土の基本的性質としては,前述したように粘土鉱物,剛次鉱物,粒度分布,比表面積,比重などが考え られ,これらが,あるものは大きな,あるものはノトさな影響を二次的性質に与える。それゆえ,筆名等はこれらの基本 的性質個々の特性を明確にした後,それを総合して捉えることにより,初めてそれによって発生する二次的性質の本質 的検討が可能になると考える。ここでは,これらの基本的性質のうち,とくに粘土鉱物,粒度分布,比表面横が二次的 性質に大きな影響を与えるものと考え,花崗岩風化残棋士の基本的性質と二次的性質(締阻め特性,pF特性,コンシ ステンシー特性)についての実験結果を示し,その関連性について述べる。なおⅩ繰回折装置による粘土鉱物の同定に あたっての熱心な助力に対し,本学教育学部谷山穣肋教授に深く感謝致します。 ⅠⅠ実 験 材 料 花崗岩風化残棋士として,次の5杵を用いた。 a)大三島A士,大三島B土および大三島C土。 採取地は愛媛県越智郡上浦大三島であり,母岩は粗∼中粒の黒雲母花崗岩である。粒度分布から判断して,粒子の 細分化している程度を基準として,風化の進んでいる順序にA士,B士,C土とした。このうちC士は細粒分に乏 しい,いわゆるマサてある。 bノ 寒川士, 採取地は香川県大川郡寒川で,母岩は租一中粒の花崗閃緑岩である。 C)平竹土, 採取地は香川県大川郡平竹で,母岩は細粒黒雲母花崗岩である。 lII基本的性質についての実験方法 仁.粘土鉱物 供試土がどのような粘土鉱物を含んでいるかは,Ⅹ繰回折試験によl)判定した。普通ガラス板,加熱処理の場ノ飢こはOLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
石英ガラス根上に,水を加え充分に練り合せたものを薄く塗布し,自然乾燥したものを用いたさ4・5)また実験に際して, まったく前処理を行わなかった無処理試料と処理を行なった試料を準備した。処理法は熱処理と薬品処理の2種で,熱処 理は電気炉によって,150,300,450,600,750および900℃の加熱を1時間程行ない,薬品による処理はグリセロ・−ル, 硝酸アンモンおよび塩酸を用いた。硝酸アンモンと塩酸の処理は30分程行なった。Ⅹ線試験の測定条件は対陰極:Cu、 1フィルター:Ni,管電圧:30KV,管電流:10mA,走査範囲2C:3∼300,走査速度:lO/分,記録紙速度:1cm/分であっ た。 2..一次鉱物 試料中にある鉱物の種類を明確にするため,−・次鉱物を■7ノ化水素酸,コバルト亜硝酸ナトリウムを用いる着色識別 法(6〉とし,肉眼およびル、一ペにより判別した。 3い 粒度分布 粘度分布は〃SA1204(6)により測定した。たたし花崗岩風化残横士は一・次鉱物の長石,雲母などが風化途上にあって は,弱い結合で保持されているため,外力によって士粒子が破砕され,このために粒度が変動しやすい。したがって, 各種の実験を行なう前に試料土の調整(土粒子の破砕程度,ときほく、、しカの程度)について規準(初期状態)を定める必 要がある。初期状態の調整方法としては,15mの高さからコンクリートの床面に自由落下させる方法が提案されている が,ここでは,より現地の状態に近いものを得るため,無理な破砕を避けるため,肉眼で土塊を判別しながら木槌で軽 く打つか,手で軽くもみほぐすことによって調整した。風化途上にある士は変化しやすい状態にあるため,試料の調整 力法によって物理的性質,力学的性質が大きな影響を受けると考えられるので,今後より研究しなければならない問題 であろう。 4,.比重 比重は.丁ISA1202(6)によって測定した。 5小 粒子形状 粒子形状については現在までの所,明確な判定基準が定められておらず,数量的な表現は確立されていない様で,丸 味を帯びたものであるとか,角ばっているとか,尖っていると言った記述的な表現で分顆される場合が多いが,今後研 究されなければならない点である。ここで用いた花崗岩風化残棺土も,砂,レキの粗径部分を見た限りでは比較的角ば っているものの区分に入るようである。 6小 比表面積 比表面横測定法には気体透過法,気体吸着法,液体吸着法,顕微餅法などがあるが,比較的測定精度の高く,また応 用範囲の広い気体吸着法(BET法)によった。測定には柴田化学Kk製の迅速表面積測定装置SA−1000を使用した。 Ⅳ 二次的性質についての実験方法 仁コンシステンシー特性 コンシステンシーを表わすものとして,液性限界試験値,ソ性限界試験値を採用した。実験方法は,それぞれ一丁ISA 1205(b),.JISA1206(61によった。 2.PF特性 土と水との係り合いを基本的に示すpF一合水比の関係を,風乾後,水で飽和させた試料について求めた。試料の風乾 壷鼠は約40gとした。試料容器は直径:5cm,深さ:5cmのものを使用した。測定には国産遠心機ⅩK製H65型を用いた。 3h 締固め特性t 締固め試験は.IISA1210し6)によl)行なった。前述したように花崗岩風化残稗土は粒子が破砕しやすいので非繰返し法 とし,試験方法を1い1−bとした。 Ⅴ 基本的性質についての実験結果と考察 l..粘土鉱物卜 試料土のⅩ線回折の結果を図−1,図−2,図−3,図−4および図−5に示した。大三島のA士,B土およぴC土 はほぼ同じ傾向を示している。すなわち無処理で約34,36,44,72−74,10∼102壬;よび136∼143Aに比較的顕 著な反射が見られる。グリセロール処矧こより136−14。3Åの反射が移動しないことから,モンモリロナイトは存在し
27 第26巻第1号(1974)
こ 皿 、=㌧
、50℃加熱処埋
W汁」、ィ′、濫帆
300℃加熱処理
刷小苺0℃加熱処理
∴∴∴一、..−∴∴・−−∴・・−
㌧㌦骨ヤ㌦佃γ叫性
600℃加熱処理
750℃加熱処理
900℃加熱処理
/ \心ル仙〟′川㌦
’ 〟 \\′グリセロール処理 −{〝\■、 可∴・へ凧 ㌦
−・ rr酸アンモン処理
、.諭
厄へ、⊥折〟 F
噛理15
20
250 2β
510
図−1 大三島A土のX繰回折曲線OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
7.3Å
10.2Å
無処理
150℃加熱処理
、−し・し
さ..ミ ヽ叫300℃加熱処理
ll\ j 二し\ l 、→㌦㌦トノ〉≠′■J
l450℃加熱処理
\㌦ヽ八岬」佃ノ凪イノ1」㌘加熱処理
ノ∼叫ノし
750℃加熱処理
∧r≠′、.、900℃加熱処理
ロール処理
硝酸アンモン処理
塩酸処理 510
15
20
250 2β
図−2 大三島B土のⅩ繰回折曲線第26巻第1号(1974) 29
750℃加熱処理
\、ル900℃加熱処理
● ≠、 .1 Y∴
・ 1 ∴∴ \ /㌧′グリセロ、−ル処理
一∴・ ㌦
J 町 \ ・ ′、・√・・・・、・ノ.∴∴
硝酸アンモン処理
仙川叫ノ叫卑仙人}〟川\ノし
、.、へ塩酸処理
■− −−− −−− −、
510
15
20
250 2β 図−3 大三島C土のX繰回折曲線OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
150℃加熱処理 450℃加熱処理 600℃加熱処理 750℃加熱処理 900℃加熱処理 l l
⊥
5 10 15 20 2502β 図−4 寒川土のX繰回折曲線31 第26巻第1号(1974)
14.3Å
900℃加熱処理 5 10 15 20 250 2β 図−5 平竹\土のX線回折曲線OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
ないと考えられる。硝安処理により136∼143Åの反射が移動しないこと。塩酸処理によ・)136−143Åの反射が消失
することから,この14Å粘土鉱物が緑泥石である可能性がある。また塩酸処軌二より72∼74,36Åの反射が残ること,
450℃の加熱処理で72∼74,36Åの反射が弱まり,600℃以上て消失することからカオリン鉱物の存在することかわか
る。加熱処理によl)10−102Aの反射が移動しないことから,イライトの存在する可能性がある。34,425Aの反射は
石英によるものと考えられる。450℃以上の加熱処理により136∼143Aの反射が消え,より高温においても強度の増大
が見られないことから,この14A粘土鉱物がバーミキュライトである可能性もある。14A粘土鉱物は,粘土鉱物の中で
もとくに性質の変化が大きく中間的な性質を示すことも多い∫47)バーミキュうイトは緑泥岩の誘導体と考えられるこ とからも,この両名の中間種の存在は充分あり得る。大三島のA士,B土およぴC士の場合も中間的性質を持つ混合屑 粘土鉱物であると考えられる。 以上から大三島のA土,B土およびC士はいずれもカオリン鉱物(カオリナイトなど)を主体とし,それに少鼻のイライト,14A粘土鉱物(繰泥石,バーミキュライト)を含むと推定できる。
平竹士は34,35,73,104および143Aに顕著な・反射が見られる。グリセロール処矧こより143Aが移動しないこ
とから,モンモリロナイトは存在しないと言える。硝安処理により143Åの反射が消え,また104Aの反射が増加する
こと,450℃以上の加熱処理により143Åの反射が消え,さらに104Åの反射が増大することから,バMミキエライトの
存在が考えられる。塩酸処矧こより73,35Åの反射が残り,450℃の加熱処矧二よリ73,35Åの反射が弱まり,それ
以上の温度で反射の消えること,などから,カオリン鉱物の存在することがわかる。加熱処理により104Åの反射が残
ることからイライトの存在する可能性がある。34,42Åの反射からは石英の存在することがわかる。
以上から平竹土はカオリン鉱物(カオリナイトなど),バーミキュライトおよぴイライトを含むと推定てきる。寒川士は,無処理で34,36,73,101およぴ140Aに顕著な反射が見られる。グリセロール処矧二より14OAの反
射が移動しないことから,モンモリロナイトの存在する可瀧性はない。硝安処酎=より140Åの反射が消えて,101A
の反射の増大すること,450℃以上の加熱処理により140Åの反射が消え,さらに101Åの反射が増大することからバー
ミキュライトを含むことがわかる。塩酸処理により73,36Aの反射が消えないこと,600℃以_上の加熱処矧こより73,
36Åの反射が消えることからカオリン鉱物の存在することがわかる。加熱処矧二よリ10Åの反射が残ることから,イラ
イトの含まれている可能性がある。 以上から寒川土はカオリン鉱物(カオリナイトなど)を主体として,それにイライト バーミキュライトが混入していると推定できる。以上の判定結果は菅野他の判定結果(8)と,大差ないものである。
2い 一次鉱物 試料土の−㌧次鉱物組成を表−1に示した。一版に石英の占める割合の大きいことかわかる。 表−1 試料土の一・次鉱物組成(2.00mm・−0,O74mm) 試 料 石英㈲長石㈲ 有色鉱物鮎)
大三島A土
85.9
12.1
2.0
大三島B土
75.8
20.8
3.4
大三島C土
52.5
45.4
2.1
寒 肛土
82.8
15.4
1.8
平 竹 土
83.1
11.1
5.8
大三島のA土,B土およびC土では,風化の進んだ試料ほど石英の占める割合が高〈なっている。このことは化学的 風化作用の進むにつれて,長石がカオリン鉱物へ,黒雲母がイライトやバーミキュライトヘと粘土化するのに対して, 石英はほとんど風化されず,砂粒として残留するためであろう。 3.粒度分・布 試料土の粒径加楷曲線を図−6に示した。花崗岩風化残横土はレキ分,砂分が比較的多くさ910)60−90%を占めていミ3 第26巻第1胃(1974) 0005 001 005 01 05 10 5」0 100 相 律 d (mm) 周一6 調斗上の粒径如拙1日練 ること,シルト分,粘士分に乏し〈,とくにンルト分の比較的少ないことが他のたとえば安山岩風化残材を」と大きく異 なっているピさである。採取場所が接近しており,士鋸昌も匡トと思われる大三J‖∼のA土,B土およぴC二lについては,風 化が進みレキ分,砂分が細困化された場介,紳砂分,枇1一分の大巾に増加することか小されている。このことは,花崗 岩が母岩→レキ分,砂分,粘土分という風化過料を絶やす〈,ンルト粧径に留まり難いことをホしているよ釦 4比重 試料土の比茄は大三ノ..ちA士,B二1..およひCJlか266∼268,寒‖l二1二が263,一、ド竹」一か264てあり,大きな差は見られ なかった。このことは一次鉱物組成からも明らかなように,才1尖が大部分をl!iめているためてあろう。 5.比表面積 試料土の比表面の測定結果を表−2にホした。大三J‖ちの互」.,B」_およぴC」一ては,風化の進行にともなって,すべ 長一2 試料上の比表面横 試料 粒径摘 ∩.074以下 0.074・・・・・0,.42 0い42∼・2い0 2.0−4.76 大三島A土 31…9届/g) 16.3 3.5 2.9 12…2 2い6 1血3 大三島C土 133 3け0 05 0.3 寒 川 土 14.9 50 0..7 平 竹 土 6J6
大三島B土 31ひ0
0い8 0‖8 0.3 ての粒径区分において比表面租の大きくなることが示されている。このことは,0074mm以7の細粒部分においては,風 化の進行にともなって粘土分の増加することによる影響であり,0074mm以上の粗粒部分においては,風化の進行にとも なう粒子内での亀裂などの発達による影響が原因と考えられる。寒川土は大三島C土とほぼ同じ値を示している。平竹 土は全般的に,比表面校が′トさく,と〈に0074mm以下,0074∼042mmの,より細かな粒径部分において着じるし〈′ト さい。OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
Ⅵ 二次的性質についての実験結果と考察 l.コンシステンシー年寺性 コンシステンシー試験の結果を表−3に示した。比較的風化の進んだ大三島のA士,B土については,液性限界他, 表一3 試料土ゐコンシステンシー Lい L P一.L P.Ⅰ 大三島A土 58…9 28け8 30‖1 16.4 大三島B土 50..6 24い0 26..6 14い5 大三島C土 寒 川 土 平 作 土 ソ性限界値が得られたが,これら以外の試料土では一日SA1205,1206によるコンシステンシー試験は不可能であった。 一俄に花崗岩風化残横士は粘士分に乏しいため,.丁ISによるようなある形状に整理して,セン断強度的な数値を測定する 方法の適用は無理な点かある。それに適応したコンシステンシー試験方法としては,スランプコーンなどによる試験ち 法が提案されているが,いまた確立されたものではなく,一層の開発が望まれている。 2−PF特性 pF一合水比の関係を図仙7に示した。粒度分布から見て,より細かな粒子の多い風化の進んでいると思われる試料ほ
pF 4.0O
15
20
含水比
510
図−7 試料土のpF一合水比曲線 ど,保水性の高いことが示されている。平竹土は粒度分布から見ると,大三島C土よりも保水性が高くならねばならな いと考えられるが,実際には低い値を示している。このことは平竹土の比表面積が,他に比較して,かなり小さいこと によると言える。第26巻第1号(1974) 35 3‖ 締固め特性 締固め試験の結果を図−8に示した。風化の進んでいると考えられる粒度分布からみて,より細かな粒子の多い試料 佗一塊 密 度 丁▲ 15 (!/) 17 16 15 14 含水放び(%) 同一8.試料寸の締固め伯線 程,最適含水比か高く,乾燥密度の低い範囲てピークを生ずる。ここにおいてもpIL一含水比曲線と同じように,平竹士 が粒度分布の状態から予想される以上に左上カに位苦し,砂質的性質を強〈示している。このことは前述したように, 平竹士の比表面桔が非常に′トさいことによると考えられる。また一般に花崗岩風化残梢」.の締囲め曲線は急峻な形とな る。このことは花崗岩風化残楷士は比較的レキ分,砂分が多〈,また生成される粘土も活性度の比較的′トさいカオリン 鉱物を主体とするためてあろう。 Ⅶ ま と め 花崗岩風化残柿土は,−般にレキ分,砂分が比較的多い。また生成される粘土分もカオリン鉱物を主体とし,それに 若干のイライト,バ、−ミキエライトなどを含も。また一次鉱物は,風化するにつれて石其の占める割合が多〈なり,80 へ・86%を示した。比表面梢の値は風化の進行にともなう細粗分の増加,および土粒・ニーこ内の屯裂の発達な・どにより神大し てゆく傾向が示された。一般に粘度分布から見て,より細かな粒子の多い試料粗 保水怖が高いと言える。しかし平竹 土のように他に比して比表面租の′トさい場飢二は,このような考え■方を適用できないようて∼ むしろ比表面科の大きい もの程,保水性は高いと言った傾向かホされた。これらの問題は,さらに検討する必要があると考えられる。締固め試 験の結果から,花崗岩風化残横土の締固め曲線は急峻な形になると言える。これは,レキ分,砂分か多く,また粘土鉱 物もカオリン鉱物を生体としているためであると考えられる。 実験結果の検討から,−・次的性質の粒度分布,比表面租と,二次的性質のpF特性,柿間め特件との問には,ある程度 の関連性が見出されたと思う。とくに,比表面手錮ま二次的性質と強く結びついているようてある。 pF特性と締閉め特性について,保水件の高いもの程,般適含水比が高く,乾燥密度の仙が低い傾Irりが示された。ニの 点からもpF特性は土壌物理の分野のみならず,土質工学の分野においても,士粒子と水との基本的なかかわ1)合いを, 数藍的な表現によって示すことができ,しかも規格化の谷易な試験方法として,もっと重要朝しなければならないと考 える。 本実験では,各試料土とも,含まれている粘土鉱物がカオリン鉱物を主体としたものてあり,粘土鉱物の追いによる 影響が測定値に表われなかった関係もあるが,基本的性質と二次的性質であるエ学的性質とは,かなりの関連性のある ことが示されたと思われる。 以上から,粒度分布のみならず,少なくとも粘土鉱物,比表面械を知った上で,二次的性質を把握することが土質を, よI)適確に理解するのに,非常に有効であるとともに,不可欠なことてあることが示されたと思われる。
OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ
献 報堂(1967)り (6)土質工学全編:土質試験法,土質工学会,(1969ト. (7)松井健:日本の土壌粘土鉱物の2,3の特難,粘土科 学の進歩(1),244−257。技報堂(1960)い (8)菅野一郎他:花崗岩頬に由来する赤黄色土の粘土鉱 物[2],土壌肥札 28,55−56、(1957)‖ (9)斉藤失他:花崗岩暦および安山岩質土壌の理学性に ついて,杏大農学報,7(1)105−111(1955)。. (10)斉藤実:花崗岩の羞砂状風化 土と基礎,4,3,32 −33(1956)−. 文 (1)Lambe,TW:Thestructureofcompactedclay, P′〃(イ5(1丘,84,SM2,1654−1−33(1958)小 (2)Lambe,TW:Theengineer’ingbehavior ofcom− pacted clay,I,T√)(A5(E,84,SM2,1655−1− 35(1958)、 (3)葛上久他:比表面桔と液性限界の関係一細粒士の工 学的性矧こ関与する比表面について(1),農業土木学 会論文私 37,61−67(1971)い (4)須藤傾男:粘土鉱物,250−262。岩波全乱(1969)‖ (5)日本粘土学会編:粘土ハンドプ/ク,432−436,枝
ON THE FUNDAMENTAL AND SECONDARY PROPERTIES OF RESIDUAL GRANITIC SOILS
Shogo AoYANAGI,HideakiIsHIIand HirojiYoKOSE
SummarIy
It has beenconsider・edthat thefundamentalproperties,eSpeCially clay minerals,SpeCific
shrfaces,graln Size distribution,have a greatinfluence on the secondaryeng1neer’ing pro・
pertiesofsoils小 Thispaperdescribessomer・elationshipsbetweenthefundamentalproperties
and the secondarIy OneS Of the residualgranitic\soils
The experimentalresults are summarized as follows:
1)Theresidualgraniticsoilsareprincipallycomposedofgravelsandsandミ
。 2)The clayprincipally consists of kaolin minerals and slightly of thelOA and14A
minerals