里親政策の現状 と課題
(
2)
瀬 下 裕紀子 暁星論叢第47号の本稿 に引 き続 き,厚生省の全国調査等か ら里親委託児童な らびに施設 在所児童の実態を示 し,分析 ・考察を加える。<目 次>
1.
は じめに2.
里親制度の意義 (1
)1
0
9
0
年第1
回児童福祉会議 におけるルーズベル ト大統領の見解 (2) 1947年厚生省通知 「家庭養育運営要綱」記述の見解 (3)現行 「里親家庭養育運営要綱」記述の見解 (4)松本の見解 (5) ホ ス ピタ リズ ム (6)埼玉中央児童相談所の新里親登録研修 において3.
里親制度の大要 (1)里親の要件(
2
)
里親委託の手続 き (3)里親 に児童を委託す るための要件 (4)委託 の解除 ・停止 ・変更 (5)里親家庭 における児童の養育 (6)里親への指導 ・研修 (7)短期里親委託 (8)里親委託費 (9) 養子縁組里親 と養育里親4.
厚生省の統計調査か ら見た里親制度の実態調査 (1)里親委託状況の推移(
2
)
要保護児童の現在 の状況 (3)里親委託児,施設入所児の家庭の状況(
4
)
家族 との関係(
5
)
里親家庭の状況以上前号 (6)都道府県別傾向
5.
里親 と委託児童が抱えている課題 (1)第4
4
回関東 ブロック里親研究協議会 における報告(
2
)
『地域里親実践事例集』 に見 られた課題 (3)『施設で くらす子 どもたち』 に見 られた課題 以上本号(
6
)
都道府県別傾向 <表3-1
4
>
全国里親委託状況の都道府県別比較 (平成7
年度) [分析 ・考察] 里親委託状況 は,都道府県 によって大 きなば らっ きがあ り, その差 に驚か される。人 口 の多 い都道府県が委託里親数,委託児童数が多いわけでない。埼玉県の人 口は東京都 の人 口の約1
.
7
倍,世帯数 は約2
倍であるが,委託児童数 は東京都 より4
2
人少 ない2
0
1
人である。 また,愛知県の人 口は埼玉県 よ り約1
0
万人多いが,委託児童数 はわずか4
5
人である。人 口 約8
7
9
万人の大阪府の委託児童数 はわずか4
8
人であるが,人 口約1
2
7
万人の沖縄県の委託児 童数 は9
1
人 と比較 にな らない。最高 の宮崎県 (世帯1
万対委託里親数里親1
.
7
3
,人 口1
万 対委託児童数0.
7
9
)
よ り最低の愛媛県 (世帯1
万対委託里親数0
.
0
9
,人 口1
万対委託児童 数0
.
0
3
)
までの格差の幅 は広範である。 児童福祉 における里親政策 は都道府県単位で運営 されてるが, このような数字 の差 は, それぞれの都道府県が要保護児童の保護 ・養育 についてどのような方針を持 って具体的に 里親政策 に取 り組んでいるかの相違か ら生 じてきていると思われる。<表3-14> 全国里親委託状況の都道府県別比較 (平成7年度) 厚生省統計情報部 「社会福祉行政業務報告
」
総務庁統計局 「平成7年度国勢調査」 よ り作成 登録里親数 委託里親数 委託児童数 世帯里 親 数1万対 世帯数 人口委託児童数1万対 人 口 全 国 8,0人59 1,9人40 2,3人77 0.4%4 44,107,85人6 0.1%9 125,570,2人46 北海道 584 188 244 0.86 2,187,000 0.43 5,692,321 青 森 157 39 42 0.81 482,731 0.28 1,481,663 岩 手 164 24 23 0.52 453,722 0.16 1,419,505 宮 城 104 29 23 0.37 776,944 0.10 2,328,739 秋 田 155 27 32 0.72 374,821 0.26 1,213,667 山 形 108 12 10 0.33 360,178 0.08 1,256,958 福 島 175 30 38 0.46 653,814 0.1由 2,133,592 茨 城 196 50 63 0.54 922,745 0.21 2,955,530 栃 木 248 64 75 1.02 625,174 0.40 1,984,390 群 馬 215 37 37 0.57 650,836 0.18 2,003,540 埼 玉 453 165 201 0.72 2,289,138 0.30 6,759,311 千 葉 270 56 65 0.28 2,015,296 0.ll 5,797,782 東 京 321 175 243 0.35 4,998,492 0.21 ll,773,605 神奈川 196 53 65 0.17 3,093,998 0.08 8,245,900 新 潟 253 26 27 0.34 757,341 0.ll 2,488,364 富 山 87 12 12 0.36 337,290 0.ll 1,123,125 石 川 39 12 13 0.30 390,212 0.ll 1,180,068 福 井 88 8 8 0.32 246,911 0.10 826,966 山 梨 65 ll ll 0.38 292,336 0.13 881,996 長 野 200 28 30 0.39 713,414 0.14 2,193,984 岐 阜 174 20 21 0.31 645,341 0.10 2,100,315 静 岡 336 55 60 0.46 1,204,189 0.16 3,737,689 愛 知 192 41 45 0.17 2,358,519 0.07 6,868,336 三 重 86 13 ll 0.22 596,909 0.06 1,841,358 滋 賀 172 22 18 0.56 394,848 0.14 1,287,005 京 都 99 14 7 0.14 996,598 0.03 2,629,592 大 阪 215 32 48 0.10 3,300,335 0.05 8,797,268 兵 庫 267 74 50 0.40 1,871,922 0.09 5,401,877 奈 良 104 7 2 0.15 456,849 0.01 1,430,862 和歌 山 71 17 19 0.46 366,141 0.18 1,080,435 鳥 取 61 4 4 0.21 189,405 0.07 614,929 島 根 150 20 24 0.81 246,476 0.31 771,441 岡 山 116 27 29 0.41 659,078 0.14 1,950,750 広 島 101 33 34 0.31 1,049,588 0.12 2,881,748 山 口 109 24 31 0.43 564,210 0.20 1,555,543 徳 島 30 10 10 0.36 274,953 0.12 832,427 香 川 33 9 ll 0.26 346,147 0.ll 1,027,006 愛 媛 52 5 5 0.09 541,701 0.03 1,506,700 高 知 37 9 ll 0.30 304,237 0.14 816,704 福 岡 94 16 18 0.09 1,782,911 0.04 4,933,393 佐 賀 37 3 3 0.ll 267,862 0.03 884,316 長 崎 62 5 7 ・0.09 529,872 0.05 1,544,934 熊 本 98 25 29 0.40 618,211 0.16 1,859,793 大 分 76 6 9 0.14 435,040 0.07 1,231,306 宮 崎 131 73 93 1.73 421,222 0.79 1,175,819 鹿児 島 . 80 13 15 0.19 688,646 0.08 1,794,224 沖 縄 268 69 91 1.70 .404,253 0.71 1,273,440<表3-15> 全国里親委託状況の都道府県別比較 (昭和45年度) (松本武子 r里親制度の実践的研究Jよ り) 登録里親数 委託里親数 委託児童数 世帯里 親 数1万対 世帯数 委託児童数人口1万対 人 口 全 国 ■13,0人21 3,8人32 4,3人79 1.%45 26,446,57人5 0.4%7 93,572,6人70 北海道 911 391 474 2.59 1,509,413 0.90 5,238,676 青 森 233 98 108 2.67 367,223 0.73 1,483,935 岩 手 326 79 89 2.30 343,086 0.63 1,403,850 宮 城 456 271 282 5.73 473,329 1.54 1,830,057 秋 田 284 121 135 3.99 303,119 1.06 1,271,203 山 形 443 88 88 3.01 292,816 0.71 1.235,136 福 島 516 195 241 4.13 472,565 1.22 1,972,367 茨 城 461 111 153 2.06 539,317 0.70 2,194,478 栃 木 831 149 171 3.77 395,527 1.07 1,602,000 群 馬 228 53 67 1.27 418,838 0.40 1,680,632 埼 玉 797 263 295 2.43 1,083,267 0.75 3,937,565 千 葉 442 90 98 0.96 947,243 0.28 3,440,674 東 京 1,533 287 338 0.70 4,091,509 0.30 ll,188,248 神奈川 177 49 71 0.48 1,025,298 0.22 3,256,488 新 潟 176 53 60 0.91 580,419 0.25 2,372,068 富 山 109 49 53 1.92 254,874 0.51 1,038,945 石 川 76 9 9 0.33 270,884 0.09 1,018,331 福 井 121 43 44 2.36 182,518 0.59 750,104 山 梨 78 19 15 0.97 195,229 0.19 775,347 長 野 268 74 77 1.44 512,442 0.39 1,968,122 岐 阜 71 16 17 0.36 442,285 0.10-. 1,776,189 静 岡 179 69 76 0.87 795,121 0.24 3,136,804 愛 知 166 67 '76 0.74 907,364 0.22 3,395,597 三 重 41 6 7 0.15 407,278 0.04 1,557,221 滋 賀 251 27 26 1.14 236,787 0.29 899,529 京 都 104 22 16 0.96 229,547 0.19 843,780 大 阪 292 72 67 0.51 1,424,374 0.14 4,638,632 兵 庫 369 139 114 1.46 954,473 0.34 3.,387,039 奈 良 45 8 10 0.32 250,248 0.ll 941,859 和歌山 76 26 29 0.86 301,845 0.27 1,060,109 鳥 取 58 20 21 1.29 154,723 0.36 578,119 島 根 120 60 89 2.89 207,280 1.15 775,704 岡 山 285 60 71 1.21 496,057 0.41 1,750,988 広 島 89 43 62 0.58 740,093 0.25 2,481,943 山 口 283 124 175 2.28 439,089 1.15 1,520,680 徳 島 94 32 35 1.48 215,935 0.43 817,489 香 川 50 23 24 0.89 258,016 0.26 920,578 愛 媛 297 60 68 1.44 415,370 0.47 1,447,424 高 知 75 23 25 0.92 248,986 0.31 806,454 福 岡 119 30 30 0.36 831,404 0.10 3,012,966 佐 賀 106 30 42 1.47 204,461 0.50 847,846 長 崎 336 97 104 2.30 421,542 0.65 1,597,822 熊 本 173 43 49 0.94 455,437 0.29 1,711,838 大 分 249 78 107 2.46 316,779 0.91 1,172,931 宮 崎 341 113 121 3.72 303,432 1.13 1,074,234
<表3-16>全国里親委託状況の都道府県別比較 (昭和60年度) (松本武子 r里親制度の実践的研究J よ り) 登録里親数 委託里親数 委託児童数 世帯里 親 数1万対 世帯数 人口委託児童数1万対 人 口 全 国 7,8人66 2,3人61 2,91人3 0.7%2 32,931,79人6 0.%28 104,411,28人9 北海道 555 170 215 1.21 1,408,308 0.52 4,139,181 青 森 165 53 68 1.14 464,978 0.44 1,547,104 岩 手 201 40 42 0.96 417,198 0.29 1,445,233 宮 城 183 86 90 1.34 640,434 0.42 2,163,640 秋 田 175 65 70 1.81 358,000 0.56 1,261,045 山 形 58 12 12 0.36 334,903 0.10 1,261,647 .福 島 366 89 121 1.53 582,832 0.58 2,086,513 茨 城 341 91 ■128 1.18 773,589 0.47 2,742,802 栃 木 276 99 124 1.86 532,`030 0.66 1,876,520 群 馬 194 64 86 1.15 556,171 0.45 1,927,345 埼 玉 1465 184 232 1.03 1,786,025 0.40 5,856,231 千 葉 211. 58 69 0.36 1,611,219 0.13 5,161,206 東 京 367 239 343 0.51- 4,650,549 0.29 ll,648,803 神奈川 215 78 92 0.72 1,090,129 0.28 3,343,683 新 潟 201 53 62 0.78 678,403 0.25 2,477,185 富 山 117 27 26 0.89 303,380 0.23 1,123,453 石 川 71 6 6 0.18 335,941 0.05 1,148,242 福 井 50 10 9 0.45 220,722 0.ll 814,747 山 梨 53 10 ll 0.40 247,630 0.13 837,161 長 野 188 36 36 0.58 623;613 0.17 2,137,363 岐 阜 99 19 21 0.29 652,810 0.10 2,027,391 静 岡 390 94 107 0.89 1,051,912 0.30 3,588,339 愛 知 179 57 65 0.45 1,253,629 0.15 4,324,047 三 重 92 21 23 0.40 520,325 0.13 1,753,377 滋 賀 176 25 30 0.78 322,184 0.26 1,156,072 京 都 67 13 12 0.39 335,354 0.ll 1,104,307 大 阪 347 95 103_ 0.49 1,952,726 0.17 5,952,585 兵 庫 382 105 87 0.87 1,203,775 0.23 3,852,725 奈 良 92 5 2 0.13 390,851 0.02 1,305,653 和歌山 99 27 36 0.79 341,308 0.33 1,095,229 鳥 取 55 10 ll 0.55 181,087 0.18 618,957 島 根 137 46 62 1.94 237,315 0.78 793,315 岡 山 151 45 47 0.75 602,621 0.24 1,920,219 広 島 80 25 29 0.43 574,838 0.16 1,787,586 山 1口 148 52 71 0.97 533,765 0.45 1,590,047 徳 島 47 16 16 ′0.62 257,897 0.19 842,908 香 川 31 10 17 0.31 319,851 0.17 1,024,412 愛 媛 77 10 13 10.20 `510,752 0.08 1,539,168 高 知 32 8 9 0.27 298,244 0.ll 846,383 福 岡 82 19 24 0.25 761,501 0.10 2,515,951 佐 賀 23 4 ll 0.16 246,880 0.12 882,656 長 崎 32 7 10 0.14 506,159 0.06 1,594,665 熊 本 41 12 15 0.21 568,401 0.08 1,841,981 大 分 65 14 18 0.35 397,027 0.14 1,253,386 宮 崎 185 70 103 1.82 385,215 0.87 1,183,223 鹿児島 101 14 17 0.22 649,732 0.09 1,818,673 沖 縄 204 68 112 1.95 349,583 0.93 1,199,290
<表3-17>委託里親数高位都道府県の推移 (人/各年度末) (昭和45,54,60年 までは松本武子 F里親制度の実践的研究」 よ り) (平成7年は厚生省統計情報部 「社会福祉行政業務報告」総務庁統計局 「平成7年度国勢調査」より作成) (単位 :上段/人,下段/%) 昭和45年 54 60 平成7 北 海 道 (2.39159) 東 京 (0.2543)4 東 京 (0.51239) 北 海 道 (0.86188) 東 京 (0.27870) 埼 玉 (1.1293)3 埼 玉 (1.01834) 東 京 (0.35175) 宮 城 (5.72713) 北 海 道 (1.21697) 北 海 道 (1.21170) 埼 玉 (0.72165) 埼 玉 (2.4263) 宮3 城 (2.13537) 兵 庫 (0.18705) 兵 庫 (1.1704) 福 島 (4.11935) 宿 _島 (2.11516) 栃 木 (1.86) 宮99 崎 (1.7733) 全 国 (4,1.30675) 全 国 (2,0.7716)2 全 国 (2,0.6762)7 全 国 (1,0.94404) 注 :カ ッコは世帯1万対比 <表3-18> 委託児童数高位都道府県の推移 (人/各年度末) (昭和45,54,60年 までは松本武子 r里親制度の実践的研究Jよ り) (平成7年は厚生省統計情報部 「社会福祉行政業務報告」総務庁統計局 「平成7年度国勢調査」より作成) (単位 :上段/人,下段/%) 昭和45年 54 60 平成7 東 京 (0.33308) 埼 玉 (0.424)32 埼 玉 (0.24032) 東 京 (0.22143) 埼 玉 (0.72955) 北 海 道 (0.4920) 北 海 道5 (0.21525) 埼 _ 玉 (0.32010) .宮 城 (1.52824) 宮 城 (0.72149) 茨 城 (0.47128) 宮 崎 (0.7993) 福 島 (1.22412) 福 島 (0.17247) 栃 木 /(0.6126)4 沖 縄 (0.7191) 注 :カ ッコは人 口1万対比
[分析 ・考察] 都道府県の里親委託状況 は, どのように変動 しているのだろうか。松本武子が 『里親制 度 の実践的研究』21)で掲載 している昭和
4
5
年,6
0
年度の都道府県別里親委託状況(
<
表3-1
5
>
,<表3-1
6
>
) と平成7
年度の都道府県別里親委託状況(
<
表3-1
4
>
) を比較す る ことによって,平成7年度か ら過去25年の都道府県の里親委託状況の変動 を見 ることがで きる。 さらに,明 らかにす るために,平成7
年度全国里親委託状況の中か ら高位5
位の都道府 県 を とりあげ,同 じく松本が 『里親制度の実践的研究』
2
2)で掲載 して いる昭和4
5
,5
4
,6
0
年度の全国里親委託状況高位5
位の都道府県 と比較 した(
<
表3
-1
7
>
,<表3-1
8
>
)0 平成7年度か ら過去25年間の委託里親数,委託児童数の高位5県 は,その年次 によって 順位 は多少異なるもののほぼ同 じ県があげ られ,大 きな変動 はみ られない。特 に北海道, 東京都,埼玉県 は委託里親数,委託児童数のほぼ高位3
以内にある。高位3
位以下 におい ては,昭和5
4
年 まで は,宮城県,福島県が委託里親数,委託児童数 において高位5
以内に あるものの,昭和6
0
年か ら5
位外 とな り,代わ って平成7
年度の委託里親数 に兵庫県 と宮 崎県が,委託児童数 においては,宮崎県 と沖縄県がそれぞれ高位4位,5位 となっている。 <表3-19>世帯1万対比委託里親数高位都道府県の推移 (昭和45,54,60年までは松本武子 F里親制度の実践的研究」より) (平成7年は厚生省統計情報部 「社会福祉行政業務報告」総務庁統計局 「平成7年度国勢調査」より作成) (単位 :上段/人,下段/%) 昭和45年 54 60 平成7 宮 城 (25.7173) 島 根 (2.63)78 沖 縄 (1.698) 宮5 崎 (1.773)3 福 島 (14.95) 宮13 崎 (2.8951) 島 根 (1.4964) 沖 縄 (1.6709) 秋 田 (13.2199) 宮 城 (12.373) 栃5 木 (1.9896) 栃 木 (1.6202.) 栃 木 (13.9757) 秋 田 (2.7254) 宮 崎 (1.7820) 北 海 道 (10.8868) 宮 崎 3.72 福 島 2.15 秩 ._ 田 1.81青 森 (0.3981) (113) (116) (65) 島 根 0.(2810) 全 国 (4,071.35)6 全 国 (2,710.27)6 全 国 (2,620.76)7 全 国 (1,90.4044) 注 :上段 は世帯1万対比,下段 カ ッコは実数<表3-20> 人口1万対比委託児童数高位県の推移 (昭和45,54,60年までは松本武子 r里親制度の実践的研究Jより) (平成7年は厚生省統計情報部 「社会福祉行政業務報告」総務庁統計局 「平成7年度国勢調査」より作成) (単位 :上段/人,下段/%) 昭和45年 54 60 平成7 宮 城 (21.8254) 島 根 (1.8058) 沖 縄 (10.1923) 宮 崎 (0.9739) 福 島 (21.4212) 宮 崎 (0.9822) 宮 崎 (10.0873) 沖 縄 (0.9711) 島 根 (1.8915) 宮 城 (10.4792) 島 根 (0.6728) 北 海 道 (20.4443) 山 口 (11.751)5 福 島 (10.477)2 栃 木 (10.246)6 栃 木 (0.7450) 宮 崎 (11.2113) 秩 _田 (0.8869) 福 島 (10.2518) 島 根 (0.2314) 全 国 (4,70.2495) 全 国 (3,20.7728) 全 国 (3,30.2228) 全 国 (2,30.7719) 注 :上段は人口1万対比,下段カッコは実数 <表3-19>は,委託里親数 の比較 を世帯1万対委託里親数の比率 に代 えて高位5都道 府県 をとりあげた昭和
4
5
,5
4
,6
0
年,平成7
年度の比較であ り,<表3-2
0
>
は, 委託児 童数 の比較を人 口1万対委託児童数 の比率 に代えて高位5
都道府県 を とりあげた昭和4
5
,5
4
,6
0
年,平成7年度 の比較である。 委託里親数の都道府県世帯比 を もって比較す ると,昭和4
5
年 においては宮城県が全国最 高位 に,福島県 は高位2位 に,秋 田県 は高位3位 にある。 しか し,昭和6
0
年 には宮城県, 福島県 は5
位外 に,秋 田県 は高位5
位 とな り,代 って,島根県や沖縄県が高位5
位内に入 っ て くる。沖縄県 は,昭和5
4
年時点 においては調査対象 になか ったが23),昭和6
0
年 には, 全 国最高位 とな っている。平成7
年 には昭和4
5
年か ら5
位以内にあ った秋 田県が, また島根 県が5位外 とな り,新 たに北海道や青森県が高位5位内に入 って くる。宮崎県,栃木県 は, 昭和4
5
年か らほぼ高位5
位内にあ り,その中で変動 している。 委託児童の都道府県人 口比 を もって比較す ると,昭和4
5
年 においては,宮城県が全国最 高位 に,福島県が高位2
位 に,島根県が高位3
位 にある。 しか し昭和5
4
年 には,昭和4
5
年 において,高位1位,2位 にあ った宮城県,福島県 に代わ って島根県,宮崎県が高位1位,2
位 に変動す る。昭和6
0
年 には,昭和4
5
年 において全国最高位 にあ った宮城県 は5
位外 と な り,新 たに沖縄県が全国最高位 となる。平成7年 になると,今 まで高位5位内にあった福島県 は5位外 とな り,新たに北海道が高位3位 に入 って くる。 委託里親数,委託児童数 において高位 にある都道府県が,委託里親数の世帯比,委託児 童数の人 口比を もって比較すると高位 にないことが多 く,実数だけを比較 して,里親政策 の実態を評価することはできないことが分かる。 世帯1万対比委託里親数高位都道府県,人口1万対委託児童数高位都道府県では,委託 里親数,委託児童数高位県 と比較 し順位の変動が激 しいが,そ こにあげ られる高位都道府 県 に大 きな変化 は見 られない。人 口や世帯数の多い都道府県が,常 に高位 にあが っている わけで もない。それぞれの都道府県が長い間里親政策をどのように捉え,それに取 り組ん できたかが顕著に表われているといえるのではないか。
<表3-21> 里親委託児童数 と養護施設,乳児院在所児童数の都道府県別比較 (平成7年度) (厚生省統計情報部 「社会福祉施設等調査報告」 よ り作成) (単位 :人) (単位 :%) 都道 府県 登録里親数里親委託状況委託里親数 委託児童数 在所児童数乳児院 在所児童数養護施設 施設在所児対里親委託児施 設 里 親 全 国 8,059 1,940 2,377 2,566 25,741 92.6 7.3 北海道 584 188 244 47 994 81.0 19.0 青 森 157 39 42 21 349 89.8 10.2 岩 手 164 24 23 19 227 91.4 8.6 宮 城 104 29 23 18 69 79.1 20.9 秋 田 155 27 32_ 22 171 85.8 14.2 山 形 108 12 10 15 141 94.0 6.0 福 島 175 30 38 20 301 89.4 10.6 茨 城 196 50 63 45 618 91.3 8.7 栃 木 248 64 75 54 347 84.2 15.8 群 馬 215 37 37 30 310 90.2 9.8 埼 玉 453 165 201 143 872 83.5 16.5 千 葉 270 56 65 43 560 90.3 9.7 東 京 321 175 243 475 2,590 92.7 7.3 神奈川 196 53 65 70 1,025 94.4 5.6 新 潟 253 26 27 25 136 85.6 14.4 富 山 87 12 12 14 152 93.3 6.7 石 川 39 12 13 21 314 96.3 3.7 福 井 88 8 8 17 150 95.4 4.6 山 梨 65 ll ll 18 203 95.3 4.7 長 野 200 28 30 50 492 94.8 5.2 岐 阜 174 20 21 23 408 95.4 4.6 静 岡 336 55 60 68 510 90.6 9.4 愛 知 192 41 45 18 715 94.2 5.8 三 重 86 13 ll 14 286 96.5 3.5 滋 賀 172 22 18 19 156- 90.7 9.3 京 都 99 14 7 13 159 96.1 3.9 大 阪 215 32 48 134 1,681 97.4 2.6 兵 庫 267 74 50 59 673 93.6 6.4 奈 良 104 7 2 28 290 99.4 0.6 和歌 山 71 17 19 26 259 93.8 6.3 鳥 取 61 4 4 10 166 97.8 2.2 島 根 150 20 24 21 128 86.1 13.9 岡 山 116 27 29 45 387 93.7 6.3 広 島 101 33 34 34 396.. 92.7 7.3 山 口 109 24 31 33 391 93.2 6.8 徳 島 30 10 10 24 301 -97.0 3.0 香 川 33 9 ll ll 123 92.4 7.6 愛 媛 52 5 5 33 420 98.9 1.1 高 知 37 9 ll 23 316 96.9 3.1 福 岡 94 16 18 57 1 693 97.7 2.3 佐 賀 37 3 3 16 200 98.6 1.4 長 崎 62 5 7 22 545 98.8 1.2 熊 本 98 25 29 45 638 95.9 4.1 大 分 76 6 9 19 422 98.0 2.0 宮 崎 131 73 93 32 426 83.1 16.9 鹿児 島 80 13 15 46 690 98.0 2.0 沖 縄 268 69 91 15 318 78.5 21.5
<表3-22> 諸外国の脱施設化の現況 (昭和56年度) (㈲全国里親会 r里親研修会 テキス ト平成10年度」よ り) 里親養育児童 と施設 収容児童 との比較(里親) (施設) 備 考 英 国 60% 40% 12歳未満の児童 は施設 に収容 していないo オ _ラ ン ダ ス エ ー デ ン (10,085004%5%人) 41(9,6%5%400人) 3112))) 里親養育児童 は)殆 ど完了 している0たので,プ .ホーム」か ら里親へ と移行す る方法 も講じる施設か ら 「グループ .ホーム」へ 「グルー現在の施設 の収容人員 は最近年間に移行を促進 したo0 4年間に5,,150907人増加 した07年では10-24,05人o移行 は00人であっ フ ィ ン ラ ン ド ノ ー ル ウ エ イ デ ン マp- ク オ ー ス トラ リア ニュージー、-ラン ド ア メ リ カ (3,(3,000766000%9%7%人)0) (41314%0%3%,5900人) 童2211221この)) 施設を全廃 し,養育児童 は全員委託すると)) 施設か ら里親へ移行中0))) 施設か ら里親へ移行中0人 口約対策 (の方針を確立 した0を講 じているループ .ホーム」制度を推進 しているoは多い07%施設 は小規模 に し,里親家庭を大 きくす る総人 口は施設 は小規模 に縮小 してい るo また, 「グ方法 としては施設 の閉鎖 も実施 した0ほoかグループ .ホームにおいて養育中の児 .例えば,里親家庭の養育は限定 しない)4,7704,千人 に比 し, 里親委託養育児童0o00千人 で あ り, フ ィンラン ド 注 :移 行 とは, 要 保 護 児 童 の脱 施 設 化 へ の施 策 の移行 を示 す。
[分析 ・考察] 平成7年度の調査によると,わが国の要保護児童 (児童養護施設児,乳児院児,里親委 託児) は,30,684人 となっている。そのうちの28,307人が施設在所児童 (児童養護施設児, 乳児院児)であり,2,377人が里親委託児童である。 ということは, わが国で は施設在所 児童数 と里親委託児童数の比率 は実に12(92.2%)対 1 (7.7%)の状態であり,<表 3-22>にある諸外国の実情 と相反する措置状況にある。 施設在所児童数 と里親委託児童数を都道府県別に見 ると,施設在所児童数が里親委託児 童数の3.7倍か ら159倍 となっており,措置状況に格段の差が生 じている。里親委託児童数 が最低 (2人)の奈良県の施設在所児童数 は318人で,施設在所児童数が里親委託児童数 の159倍である。<表3-19>,<表3-20>であがった高位県では,施設在所児童数が 里親委託児童数の10倍位内であり,里親委託児童数の少ない県では例外 はあるものの施設 在所児童が多い傾向にある。 <図3- 2> 里親委託児童数 と施設在所児童数の比較 (平成7年度) 単位 :% 宮 埼 宮 沖 奈 愛 佐 長 大 城 玉 崎 縄 良 媛 賀 崎 分 」 格差低位群 」 」 格差高位群 _i
[分析 ・考察] <図
3-2>
は,地方公共団体 における要保護児童の措置状況の相違をさらに明 らかに す るために示 したものである。 このような相違 は,それぞれの都道府県が児童福祉対策を どのように受 けとめているか,具体的に言えば,里親政策 に重点をおいているかないかに よって生 じてきているものだと思われる。 要保護児童の保護 においては,個々の児童の発達上一番最善 と思われる措置方法が とら れなければな らない。同 じ国で,同 じ年齢で,同 じような問題を持っ児童たちが, それぞ れの都道府県の運営方針によって,違 った方法で保護,擁護 されていることは不平等であ るといえる。同 じような状況にある要保護児童が,一方 は施設で養育 され,一方 は里親 に 養育 されているということは, どちらか一方の児童 はよりよい環境で養護 されていないと いえる。 これは,「すべての児童 は, ひとしくその生活を保障され,愛護 されなければな らない」 という児童福祉の原理 に反 しているといえる。 松本 は 『里親制度の実践的研究』24)で次のように述べている。 「欧米諸国 とわが国の里親委託状況を比較 して,なぜ,わが国の里親政策が低調である かを問題 とする前 に,何故同 じ日本の地方公共団体の中で,里親委託児童数が児童福祉施 設児童数 との対比でか くも異なるかを明白に したいと思 うのである。それは児童福祉行政 に関する見解な らびに施策の相違 によって生 じる現象であろう。それな らば児童相談所所 長会で, もしくは児童福祉に関す る学会で この問題に関する討論,検討があって然 るべ き ではあるまいか」5.
里親 と委託児童が抱えている課題 本章では,里親や委託児童が抱えている悩みや生活の実態を平成10年度第44回関東 ブロッ ク里親研究協議会で聴取 した も,全国里親会が刊行 している 『地域里親実践事例集』及 び 文献か ら把握 してい くこととす る。 (1) 第44回関東ブロック里親研究協議会における報告 ●研究協議会の概要 期 日 場 所 主 催 者 参 加 者 統一 テーマ 開催の趣 旨 平成10年7月16日 (木)・17日 (金) 埼玉県大宮市 ' 関東 ブロック里親連絡協議会,埼玉県,埼玉県里親会,全国里親会 関東甲信越地区の里親,各都県市主管課職員,児童相談所職員及び 福祉事務所,社会福祉協議会関係職員,民生 ・児童委員,主任児童 委員及び児童福祉施設職員 とその他 「みんなで支えよう子育てを- 新 しい時代の養育者をめざして- 」 少子化,家族や地域社会の子育て機能が低下す る近年,児童 と家庭を取 り巻 く環境が変化 し児童問題が複雑化,多様化 している。時代 を担 う児童が個性豊かにた くましく生 き,健全な成長を支援 してい くことが社会全体の課題 となっている。 このような状況の中で,壁 親制度 は新 しい時代 に対応 しうる養育者 として,里親家庭での養育 を必要 としている児童の健全な育成のため,今後その成果が期待 さ れている。関東 ブロックの里親並 びに児童福祉関係者が一堂に集い, 当面す る諸問題及び今後の課題 について研究討議を行 い,里親制度 の更なる充実 と発展の方向を見出 したい。 研究協議 テーマ 分科会 ア マ 第1分科会 〔討議内容 〕 .【乳幼児期か ら学童期までの問題 とその対応 について】幼稚園や学校での生活をはじめ,地域社会 とのつなが りの中での 子育てについて考える○ 第2分科会 〔討議内容 〕 今後予定 され る不登校,虐待等 の問題を持つ児童 の受託 について【里親家庭を取 り巻 く最近の児童問題 について】 考える○ 第3分科会 〔討議内容 〕 地域の中で孤立 しがちな里親の仲間づ くりについて考え るo【里親会の活動の在 り方 について】 ′= 第 4分科会 〔討議内容 〕 子 どもの自立 について里親 と して の支援 の在 り方 につ いて考 え【自立をめ ぐる諸問題 とその対応 について】 るo 第5分科会 〔討議内容 〕 子 どもか ら大人 に成長す る思春期の児童 と里親 との関わ りについ【思春期 における諸問題 とその対応 について】 ●報告 された課題 ① 差別的な事柄について 委託児童が差別的な扱いを受 けているという実態が報告 された。 里親 という聞 き慣れない言葉 に,委託児童 は学校の子 どもたちに差別的な扱 いを受 ける という。 真実を知 らない委託児童 は,周囲の子 どもか ら浴びせ られる差別的な言葉 に傷っ
け られ, 自分が里親 に養育 されてきたことをそれ とな く感 じてい く。里親 は 「その中でど う子 どもを守 り,真実告知を した らよいか悩んだ。」 と言 う。 この悩みに対 しては,「里親 制度を もっと世間的にオープンにしてい くべ きだ
。
」
「自助 グループと一緒に励まし合った.」 という助言があった。 差別的な扱いは,幼児期や学童期の児童だけではないことも報告 された。委託児童が結 婚をする時,里子 (委託児童を里子 ともいう) ということばが結婚の障害 となり,結婚 は 破談 になったという。 これに対 して 「里子のどこがおか しいのか ということを相手 に伝え ていけばよい結婚ができる。」などという意見が出された。 また,の子育てを支援する立場 にある保育者が里親政策を理解 していないという事例 も 報告 された。 ある里親 は,委託児童が通園する幼稚園の園長 に子 どもは里親委託 されていること,既 に真実告知を してることを伝えた ら,「真実告知なんて冷酷なことをすべ きで はない。 そ もそ も家族 というものは血縁か らなるもの。 あげた り貰 った りと犬や猫のように人間の子 どもを扱 ってはいけない。」 と言われたという。 この園長の里親政策 に対す る理解 のな さ に対 して多 くの激 しい反発があった。 子育てをする養育者が問題を抱えて孤立 して しまう状況が多発 し,特 に近年大 きな問題 となっている。第三者的な立場で子育てを支援 して くれる者が必要であるが,それは子育 て支援者である里親であって も同様である。「お母 さん (里母) もあなたの ことを心配 し てるか ら怒 るのよ」などという第三者か らの側面的な支援が委託児童の心 に大 きく響 くこ ともある。里親政策を低迷 させている1つの大 きな要因 として,里親政策 に対 して周囲の 理解が得 られていないことがあげ られる。周囲の人たちか ら里親政策の意義を理解 して も らうための取 り組みが今後の大 きな課題 となる。 ② 児童相談所 に対 しての要望や課題 児童相談所 に対する要望 として 「職員の人事異動 により,一貫 して相談できる相手がい ない。
」
「委託 されるまで児童がどのような環境で育 ってきたのか,特 に乳児期に関 しての 情報を もっと教えて もらいたい。」などが報告 された。児童相談所の人事異動 によ り担 当 が変わった場合,後継者に綿密な引き継 ぎをすることが要望 された。 また,里親委託 に対 して担当者だけが里親や委託児童の状況を把握 しているのではな く,常に児童相談所全体 で考えてい くように して もらいたいとの要望 も出された。里親政策 に対 して周囲の理解や 協力が得 られにくい現状 において,児童相談所 は里親を支える大 きな存在 となる。 しか し, そのような存在であるべき児童相談所が相談相手 とな らないことは,里親 にとっては厳 し い状況 となる。里親政策 という長期的な問題を扱 う機関においては,人事異動の点で専門 職 として十分な配慮が望まれる。 また,里親 と委託機関 とのコ ミュニケーション不足 も問 題 としてあげ られた。特に委託児童の生育歴や生育環境を正確に伝えることは,委託後生じるであろう問題 に対 してどのように対処 した らよいか という大 きな手がか りとな り,香 託がスムーズに進む一歩 となる。 このような観点か ら里親委託 においては,里親 と委託機 関 との信頼関係が非常 に重要 となる。両者の信頼関係がな くては委託機関は,児童の委託 後里親をサポー トとしてい く役割を担 っていけない。児童相談所の業務がますます多忙化 す る中で,里親 と委託機関が十分なコ ミュニケーションをとれるような人事体制への配慮 が必要である。 ③ 障害を もっ委託児童の養育 について 障害を もつ子 どもを委託 されている里親か らは 「障害についての専門知識がないので子 育てに自信がない
。
」
「これか らどう自立 させていけばよいのか分か らない。
」
「専門的な知 識を得 るための学習の場を里親会で持 って もらいたい。」などの悩みが報告 された。 これ に対 して 「専門的知識のみを重視す ると観察者の立場で子 どもを見 るようにな り,父,母 との接 し方ではな くなる。
」
「専門機関 と役割を分担 し連携す ることで,問題を抱える里親 の孤立を防 ぐことがで きる。
」
「里親 との生活そのものが既に治療である。専門的知識を持 っ た観察者のような冷ややかな里親ではな く,冷えた頭 と熱い心で子育てをす ることが大切 である。」 という意見が述べ られた。 また 「研修の場を持っ必要性 は十分 にあ ると思 う。 専門的な知識を持っ人 には,里親の資格 にプラスする資格を与えて もよい と思 う。」 など の意見 も聞かれた。 専門的知識を研修す る場 は常 に必要である。 しか し, この知識が里親 にとって必ず しも 児童の養育 をスムーズにす るとは限 らない。知識 どお りにいかないことが養育である。 ④ 法的なことについて 里親制度上の問題 については 「児童が1
8
歳 になり里親措置が解除 されたが,その後,千 どもが短大への進学を希望 した。法的な縁が切れて も実際の縁が切れるわけではな く,進 学 はさせてあげたい。 しか し進学 には,経済的負担が多いにもかかわ らず公的な補助 もな く困 っている。
」
「里子の身分証明書 に,里子 は里親の 『同居人』 と記 されてあった。 この ことについて市役所でその理由を聞いた ら,里子の身分の扱い方 については 『同居人』 と しか記載できないとの回答であった。里子がJ
AF
(日本 自動車連盟) に加入 しよ うと し たが,同居人 という扱 いでは認め られなか った。里親 と里子 はもっと社会的に認め られる 関係 にな らないのか。」 などの意見があった。 これに対 して 「子 どもの 自立年齢 は,精神 的にも経済的にも年々高 くなってきているが,里親政策 は1
8
歳 までの子 どもに しか適応 さ れない。法の改正が必要である。」など里親制度の改正を求める声が多 く聞かれた。 里親 は委託児童を実子 と同様 に愛 し養育することが求め られる。里親 と委託児童 は, さ まざまな問題を乗 り越え,違和感のない親 と子 に成長 してい くが,書類上 は全 く親子 とし て認 め られない。そこに矛盾が存在す る。 ⑤ 不登校の委託児童について多 くの里親か ら委託児童が不登校であるという報告があった。 これ らの状況 に対する里 親への助言,意見には次のような ものがあった。 「原因は多岐に渡 るため,様々な対応が必要 とさる。人格的発達 は,乳幼児期の発達課 題である愛着行動が達成で きて初めて促 されるので, まず この基本を児童が ク リアーでき ているかをよく見つめることが必要である
。
」
「里子 は複数で預かるほうがいい。 それは, 子 ども同士が互 いに慰 め合 った り,励 ましあったりしなが ら問題が解決する場合があるか らだ。我が家の場合 も不登校の子 どもが上の子 どもと連れ立 って学校 に行 けるようになっ た。
」
「里子が中学生だった時に不登校 になった。 どうして行 きた くないのか分か らなか っ た し,大人 になった本人 も過去を振 り返 り 『あれは何だったんだろう』 と言 っていた。学 校 に行かない時間は,家庭で映画を見たりしなが ら家族 と触れ合 っていたが,その ことが 情緒の回復 につなが ったと思 う。彼を信 じて待 ってよか ったと思 う。
」
「里子 は実母か ら虐 待を受 けたため精神不安定で不登校 になった。
」
「親の養育が しっか りしていない。担任の 先生が悪いなどと学校 と対立関係を もってはな らない。子 どもは先生 と親の間に立たされ 戸惑 う。親 と先生 とが うま くコ ミュニケーションをとることが大切である。」などである。 児童の不登校の問題 は,里親だけの問題でない。児童が不登校 になる要因はさまざまであ り,両親や教師はそれが何なのかに悩み,苦 しむ。 しか し,委託児童の場合 は,委託 に出 されるまでの環境の中で うけた虐待や愛情不足であったり,実親 と離れた精神的ショック, 不安, 自信のなさなどが様々に絡みあって問題 とっなが っていることも考え られる。委児 童が不登校 になった場合,同 じ経験を持っ先輩里親か ら体験を聞 く中でかな り有効なア ド バイスが得 られるのではないだろうか。 しか し,基本的には里親 との安定 した愛着関係 (人を人 として信頼す ること)を築 きあげることが重要だと考える。 ⑥ 里親会に対する要望 里親会 は,里親登録者が主なメンバーとなって都道府県単位で結成 されている。里親制 度のPR
,子育てについての知識,技術向上及び里親相互の親睦を 目的 と して活動 してい る。都道府県によって会の活動 は多少異なるが,児童相談所 と連携 し,子育てについての 研修会や里親 と委託児童が一緒 に楽 しめるレク リエーションを行なっている。都道府県に よっては, いくつかの支部 に分かれ,支部単位 に活動を している。 この全国的な組織 とし て,全国里親会がある。 里親会に対する意見 は 「養子縁組里親 は,子 どもが委託 されると里親会をやめて しまう 人が多い。
」
「年長児 と年少児の児童を持っ養育の悩みが違 う。発達段階に応 じて養育の悩 みを重点的に相談で きる集 まりが必要である。」などがあげ られた。 これに対 して 「里親 委託か ら養子縁組を して委託措置が解除されると,里親会をやめなければな らないと思 っ ている人がいる。会をやめてか ら子 どものことで悩みを抱えるが相談相手がいな く再び入 会す る人 もいる。養子縁組 に措置変更 して も,里親会をやめる必要はないことをもっとピーアールす るべ きだと思 う
。
」
「幼 い委託児童がいる場合,会に出席で きず孤立 して しまうこ とが多い。若い人たちが出席 しやすいような会に したほうがよい。」 とい う意見が出 され た。 また,今後の会の課題 として 「社会の変化のなかで会の将来を考えると, もっと様 々 な情報を収集 してい くことが重要である。 そのために,会則を変更 して もっと会の仲間を 増や していこう。
」
「民間か ら養子を もらう人たちに,もっと開かれた里親会にして欲 しい。」 という意見が出された。 里親 といって も養子縁組 目的の里親,障害を持っ児童を委託 されている里親,乳幼児の 児童を委託 されている里親,高年齢の児童を委託 されている里親,短期で児童を委託 され ている里親,虐待歴を持っ児童を委託 されている里親など,その状況 はさまざまであり, 悩み もまたさまざまに異なる。そのそれぞれの異なる悩みに対応できる集まりの場,知識 ・ 技術の修得の場が里親会 に求め られる。 里親 は,妊娠や出産,授乳行為がぬけていることが多いため,委託児童 との間に深い秤 を形成す るためには,時間 と根気が必要 となって くる。特 に実子がな く,子育てを初めて 経験 した里親 は児童への接 し方で戸惑 うことが多 く悪戦苦闘 している。育児 に関 して相談 で きる相手がいないと孤立 して しまう養育者が多い現代社会の中で,里親会が担 う役割 は 大 きい。 ⑦ 本研究協議会が提出 した国への要望 本研究協議会では次の事項を国への要望 としてあげている。 里親会の要望事項 (カ ッコ内は,要望 を出 している里親会である。) 1.委託児童の社会的 自立促進 のため委託期間を20歳 まで延長 されたい0 (横浜,長野,群馬,新潟,山梨,千葉,川崎市,千葉市,埼玉) 2.委託児童の解除後のアフターケアー体制の確立を図 られたい. (新潟,神奈川,山梨,東京,栃木) 3.専任の里親担当職員の配置を行 い,委託児童 に対す る養育 プランを作成す るなど児童相談所 の里親指導体制の強化を図 られたい。 (静岡,神奈川,千葉,川崎市) 4.国 は里親 の質 の向上 のために,里親制度の在 り方 について広範な研究を図 られたい。 (川崎市,埼玉) 5.国 は心身障害児の里親委託 のために加算制度等の行政的配慮 を図 るとともに,養育技術向上 についての研修を していただ きたい。 (静岡,長野,新潟,群馬,東京,栃木) 6.国 は里親会活動費の助成 を図 られたい。 (横浜,千葉,埼玉) 7.国 は里親措置 について実生活 に即 した改善を図 られたい。(幼稚園,保育園,学校部活動,障害児教育,運転免許の取得費,就職支度金, このほか住 宅設備の破損修理など) (静岡,栃木,千葉,川崎) 8.委託児童の福祉を守 る観点か ら,実親の不当な親権濫用に対応できる行政,法律的な措置を 図 られたい。 (長野,群馬,山梨,千葉,栃木,川崎,千葉市) 9.委託児童の人権の見地か ら,必ず後見人の選定を図 られたい。 (東京) 10.無国籍の委託児童 に対 し, 日本国籍取得の簡素化をお願 い したい。 (千葉) ll.関係各方面 に里親制度の周知徹底を図 られたい。 (横浜,千葉,山梨) 12.養育里親の開拓 に財政面で も配慮 され,特 に若年層里親の開拓 に対する行政的,財政的措置 を図 られたい。 (長野,埼玉) 13.里親 ・里子及 び里親制度の名称の適正な改称を図 られたい。福祉的発想 による 「養育家庭」 「
委
託児童」「家庭養育制度」などの名称が考え られる。 (群馬,長崎)1
4
.委託児童のパ
スポー トの取得に際 して,知事の法定代理人署名押印で足 りるようにしていただきたい。
(川崎市)1
5
.住民票の
続柄 について,同居人の名称が改正できるように行政的 ・法律的な措置を図 られたい。
(千葉市) 16.社会情勢の変化, また, ライフスタイルの多様化に伴い,保育園 との二重措置を認めるよう に図 られたい。(
川崎市) 社会が大 きな変革 を遂 げている中で,里親制度 は,全 く現代社会 に即 した ものでないこ とが顕著 に伺える。 この点 に関 して,国 はどう考えているのだろうか。(
2
)
『地域里親実践事例集』
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5)
に見 られた課題 ① 里親 になるための手続 きについて どこへ行 けば里親 を必要 としている児童 に巡 り会えるのか悩んだ経験 を持っ里親 は少な くない。里親 によっては,乳児院,町役場 と回 り回 りに最終的に児童相談所 にたどり着 く までに約2カ月かか った という。 里親制度が もっと広 く理解 されていたな ら, ここまでにいた らな くて済んだであろう。(診 児童委託が実現 しない悩み 「里親登録 は したが, いっになって も児童が委託 されない。 なぜ 自分たちには児童が委 託 されないのか分か らない。研修会 にも積極的に参加 しているが,納得できる説明がない。」 とい う声 も意外 と多い。 児童が委託 されない理由は幾っか考え られる。その
1
つ 目は児童相談所がその里親 に児 童を委託す るのが不安である場合,2
つ 目は里親が提示す る委託児童の希望条件が高 く, 条件 にあった児童がいない場合,3つ目は里親委託措置が適当である児童がいない場合で ある。 いずれの場合 も児童相談所 は,今後の委託のために里親 と可能な限 りコ ミュニケー シ ョンをとり,里親家庭の状況を把握 してい く中でより適切な委託が実現できるよう努め る必要がある。 また,時には児童が委託 されない理由を里親へ と伝える必要がある。 ③ 真実告知 について 自分の実子同様 に,真実告知す ることな く委託児童を養育 してきた里親 は,いっ どのよ うなかたちで真実告知をす るかに悩む。真実 は真実 として話 さな くてほな らないとは思 う 反面,話 した後の委託児童の変化を恐れた り,知 らさない方が良 いのではないか と心が揺 らいでいる里親が多い。 児童相談所 によっては,真実告知 はで きるだけ早 い (幼 い)時期が良いという指導を し ている場合があるが,その一番適切な時期 はというのは一概 にはいえない。委託児童 と里 親 との間に信頼関係が成立 していない状態での真実告知 は,委託児童 に与える影響が大 き く, また告知後の児童の変化 に里親 も悩 まされる場合が多い。真実告知の時期 は, あ くま で も里親が委託児童の日々の様子を見なが ら判断 しなければな らない0(
3
)
『子 どもの人権双書 施設で くらす子どもたち126)に見 られた課題 ① 里親家庭への不適応の問題 委託 された里親家庭 と自分が今 まで育 った家庭における生活様式や生活や価値観の差は, どのような場合で も多少 は生 じて くる。 しか しそのギ ャップが大 きければ大 きいほど委託 児童 も里親 も苦悩す る。里親 は委託児童の養育 に対 して音をあげ,委託児童 は里親家庭に おける期待の多 さに悩む。当事者 は互 いに深 く傷っ く。 このような経験を繰 り返 し人間不 信 に陥 る児童 もいる。 (卦 里親への試 し行為 一度親か ら捨て られ,人間不信に陥 っている児童が,次 に与え られた家族を信 じてよい のか確認す るために里親を試すような行為をすることは,めず らしくな くむ しろ当然の こ とである。里親 になるにあたって覚悟 しなければな らないことは, この委託児童の里親へ の試 し行為を里親が受 け止め られるかどうか ということである。里親が試 し行為を真正面 か ら受 け止 めることで委託児童 は, どんな ことがあって も里親 は自分を見捨てたりしない, 自分を受 けとめて くれると確信す る。 このような状況が くり返 される中で,里親 と委託児童 の間に秤が形成 され一層強 くなる. 菊地 は次のように述べ る27)0 「思春期 にはアイデ ンテ ィティの問題 とも重なって, 自分 自身をさがす心の旅が始まる。 それが里親への試 し行為 となって常を逸 して現われることもある。 また,一度親か ら捨て られた という気持 ちを抱 き続 けている児童の場合には,再 び捨て られるという恐れをいっ も抱 いていると言われている。」 ③ 実父母への感情 実父母 を知 らない児童 は, 自分の両親 に会 ってみたいとい う衝動 を常 に持 ち続 ける。 し か し,現実 にはそれが容易にで きない場合 も多い。 自分を手放 して しまった実父母 に対 し て深 い憎 しみを抱 いて 日々生活 している委託児童 も多い。 ④ 実父母か らの児童の引 き取 りの要請 委託児童が里親家庭 にな じみ家族同様 に生活 しているとき,突然の実父母か らの引 き取 り申 し出に直面 して しまう場合がある。 また,一度実父母 に引 き取 られた委託児童が傷っ き変わ り果てて再 び里親家庭 に帰 って くる場合 も生 じてきている。 突然の委託児童の引 き取 りに対 し菊地 は次のように述べる28)0 「進学が決 まり, さて これか ら頑張 るぞというときに,子 どもの生活が一変 し,新 しい 環境への適応が難 しいということもあろう。 そういうとき,委託解除の決定 に,里親 と子 どもの意見が聞かれないとい う悩みがある。子 どもにも里親 にもなんの権利 もないとい う 問題がそ こにある。子 どもの安全 と生活を守 るために,親 による引 き取 りを阻止で きる親 権 の制限 もときには必要であると思 う。」 ⑤ 姓の問題 委託児童 は里親 と姓が異 なるため,児童が最初 に悩むのは姓の問題である。里親 と姓が 異 なることで学校生活の中で友達 に冷やか された り, い じめの対象 となることも少 な くな い。里親の多 くは里親 の姓を児童 に通称 として名の らせている場合が多 いが,卒業証書, 住民登録,診察券 には実名が記 されている。 ⑥ 措置解除後の所属の問題 里親制度の適用年齢 は満
1
8
歳 までであ り,委託期間が終了すれば,里親家庭か ら巣立 っ ていかなければな らない。委託措置解除後 も里親家庭の一員 として所属できる場合 はよい が,多 くの児童が精神的支えとなる所属家庭を失 って しまう。 また, この段階で実父母や 祖父母の家庭 に戻 る場合 もあるが,長年生活を共 に していないことか ら実の家庭で もな じ めないという問題 も起 きてきている。 ⑦ 保証人の問題 里親委託措置解除後,児童が里親家庭を出て生活す る時 さまざまな場所で保証人が求 め られる。就職, 自動車の免許取得,大 きな買物をす る, アパー トの借用,結婚などである.普通里親が保証人を引 き受 けている場合が多い。 しか し措置解除後児童がサ ラ金 に手 を出 し多額 の借金を抱えたケースもあ り,里親が保証人 になることに二 の足を踏む状況 も生 じ ている。 ) 注 D か 斜 め の G 刀 の 2 2 2 2 2 2 2 2 松本武子 『里親制度の実践的研究』(建烏社 1991)pp.20-23 同 上 pp.24-25 同 上 p.12 同 上 p.31 全国里親会 『地域里親会活動実践事例集