子宮がん検診 [実施状況] 子宮がん検診は、県内48の自治体から委託を受け検診を行った。受託率は全市町村の88.9% である。 平成23年度の受診人数は、頸部検診の受診者が88,401人、要精密検査1,111人・要精検率1.3%、 体部検診の受診者は45人、要精密検査0人、延べ受診者数は88,446人であった(図1・2)。な お、個別検診等を含む細胞診の検査件数は146,026件(5の検体検査の項に集計)である。また、 検査方法として従来の日母方式に変わって、ベセスダ方式による実施が41市町村となり、受託 市町村の85.4%となった。 図1 子宮がん検診[頸部] 年度別実施状況 図2 子宮がん検診[体部] 年度別実施状況 894 888 1,111 1.0 1.0 1.3 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 0 200 400 600 800 1,000 1,200 21年度 22年度 23年度 要 精 検 率 (%) 人 数 (人) 受診者数 要精検者数 要精検率 130 86 45 4 4 3.1 4.7 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 0 5 10 15 20 21年度 22年度 23年度 要 精 検 率 (%) 人 数 (人) 受診者数 要精検者数 要精検率 (左目盛×100) 91,088 85,694 88,401 (左目盛) (左目盛×10) (左目盛) 0
[検診方法] 子宮がん検診車(愛称:“なのはな号”3台)で巡回して実施する車検診方式(集団検診)と、 県内市町村が産婦人科の医療機関に委託して実施するもののうち、当財団に細胞診検査を依頼さ れる方法(個別検診など)がある。 子宮頸部又は体部から採取した検体を検査部の臨床病理科において染色等の処理を行い、細胞 検査士19人が検査にあたっている。なお、細胞検査士は全員、日本臨床細胞学会認定の細胞検 査士である。 厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診のための指針」に準じて「20歳以上に対 し、原則として2年に1回」の方式で検診は行われている。 表1 ベセスダ分類
結果
略語
推定される
病理診断
従来のク
ラス分類
英語表記
取扱い(参考)
1)陰性
NILM
非腫瘍性所見、
Ⅰ・Ⅱ
Negative for
異常なし:定期検査
炎症
intraepithelial lesion or
malignancy
2)意義不明異型 ASC-US 軽度扁平上皮内 Ⅱ/ Ⅲa Atypical squamous
要精検:
扁平上皮
病変疑い
cells of undetemined
①HPVテストによる判定が望ましい。
significance (ASC-US) 陰性:1年後に細胞診HPV併用検査
陽性:コルポ、生検
②HPVテスト非施行
6ヶ月以内細胞診再検査
3)高度病変除外 ASC-H 高度扁平上皮内 Ⅲ/ Ⅲb Atypical squamous
要精検:コルポ、生検
できない異型
病変疑い
cells cannot exclude
扁平上皮
HSL(ASC-H)
4)軽度扁平上皮 LSIL
HPV感染
Ⅲa
Low grade squamous
要精検:コルポ、生検
内病変
軽度異形成
intraepithelial lesion
5)高度扁平上皮 HSIL
中等度異形成、 Ⅲa
High grade squamous
要精検:コルポ、生検
内病変
高 度 異形成 、 Ⅲb
intraepithelial lesion
上皮内癌
Ⅳ
6)扁平上皮癌
SCC
扁平上皮癌(微 Ⅴ
Squamous cell
要精検:コルポ、生検
小浸潤癌を含む)
carcinoma
7)異型腺細胞
AGC
腺異形成、腺系 Ⅲ
Atypical
要精検:コルポ、生検、頸管内膜細胞
病変疑い
glandular cells
診または組織診
8)上皮内腺癌
AIS
上皮内腺癌
Ⅳ
Adenocarcinoma
要精検:コルポ、生検、頸管内膜細胞
in situ
診または組織診
9)腺癌
Adenoca- 腺癌
Ⅴ
Adenocarcinoma
要精検:コルポ、生検、頸管内膜細胞
rcinoma
診または組織診
10)その他の悪性 other
その他の悪性腫 Ⅴ
Other malignant
要精検:病変検索
[判定方法] 平成 22 年度に一部の市町村で、ベセスダシステム(新しい子宮頸部細胞診報告様式)を採用 し実施したが、今年度は大幅に実施市町村が増えた。表1はベセスダ分類による細胞診判定基準 を示したものである。 従来法(日母方式)での頸部細胞診は、クラスⅢa 以上を「要精密検査」と判定していたが、 ベセズダ分類ではNILMを「精検不要」、ASC-US以上を「要精密検査」と判定する。A SC-US以上は細胞診専門医が最終確認を行っている。 体部細胞診は細胞所見により疑陽性以上を「要精密検査」と判定している。 表2 体部細胞診の分類 分 類 細 胞 所 見 陰 性 異常所見を認めない。又は非腫瘍性病変を疑う 疑陽性 子宮内膜増殖症、子宮内膜異型増殖症及び内膜悪性病変を強く疑う 陽 性 子宮内膜がんを疑う [考察・評価] 執筆者:常務理事 河西十九三 地域がん検診における 23 年度の子宮がん発見数は 63 人。すべて頸部がん検診からの 発見で、体部がん検診は 0 人であった。がん発見率、要精検率は表3のとおりである。 表3 平成 23 年度 子宮がん発見数(地域) が ん 発 見 数 (人) が ん 発 見 率 (%) 要精検率 (%)*1) 全国(日がん:22 年度) 発見率(%) 要精検率(%) 頸部 検診 63 *2) 0.07 1.3 (0.9) 0.07 1.2 体部 検診 0 0.00 0.0 (1.4) - - 備考:*1)要精検率欄の括弧内は、最近 5 年間の平均である。 *2)頸部検診で要精密検査となり、精密検査の結果、体部がんとなった者を含む。 全国(22 年度日本対がん協会)の数値と比較してみると、頸部のがん発見率は財団において も 0.07%であり、全国平均と同等であった。 図3は子宮がん検診の年次推移を示す。千葉県の子宮がん集団検診が車検診方式(地域(市町 村)以外の受診者を含む)により本格的に開始されたのは昭和 47 年であり、26,387 人が受診し た。その後の検診数の推移をみると、当初の 10 年間位は年毎に数万人の増加があり、昭和 55
年には 10 万人の大台に達した。次の 10 年間は 10~11 万人台を維持したが、最近の 10 年間は 10 万人を割り漸減傾向をたどっている。 地域市町村における子宮がん集団検診(頸部)の受診者数は 18 年度~20 年度には 8 万人台 の後半となった。しかし、平成 21~23 年度にはそれぞれ 91,088 人、85,694 人、88,401 人と推 移し、おおよそ 9 割に回復した。これは無料クーポン券配布の効果と思われる。平成 16 年の隔 年検診導入開始時に懸念された検診数の激減予想は 20 年の 80,449 人を最低に回避できたもの と考えられる。 子宮がんの発見率は最初の 10 年間は 0.1~0.3%程度と高率であったが、その後の約 20 年間 は 0.02~0.05%程度となり一桁下がった値となっている。これは開始後 10 年位が経過すると繰 り返し受診者の割合が増加すること、言い換えれば毎年同じ人達を検診していることによると推 測される(図3)。 図3 子宮がん集団検診年次推移(車検診方式) 備考:1)上表は車検診方式で実施した受診者数の総計。そのため地域(市町村)以外の受診者を含む。 2)平成 14 年度までのデータは、財団法人千葉県対がん協会の「年報」等による。 図4に示すように子宮がん検診の年度別年代別受診割合は、検診開始当初の10年間位は30歳 代、40歳代の受診者を合計すると約8割を占めていたが、その後この世代は漸減して、最近の10 年間では50歳代、60歳代が約6割と高率を占め、70歳代も1割強と増加して受診者の高齢化が顕 著に認められる。これは検診開始当初に受診した同じ世代がそのまま加齢と共に繰り返し受診し ていることを物語っている。子宮頸部がんに関する最近の各種データは一致して20歳代後半か らの急激な罹患率上昇を示しており、若年化傾向は明らかである。しかし、受診者の高齢化は継 続しており検診の効率化とは相反するものとなっている。 平成 16 年に検診開始年齢を 20 歳よりと変更してからも、20、30 歳代の受診率の増加は全く 認められていなかったが、21 年度の無料クーポン券配布により、21、22 年度には 20 歳代で共 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 がん発見率(%) (万人) 受診者数 受診者数 がん発見率 (昭和) (平成)
に 2.6%、30 歳代 16.6%、15.5%と 21 年度以前に比較してこの年代の受診率向上が見られ、23 年度も同様な傾向にある。このことは無料クーポン券配布の継続が重要であることを示している (表4)。 次に、最近 8 年間(16~23 年度、一部の市町村除く)の受診者を初回と非初回に分けてがん 発見率を比較してみると、初回の発見率は 0.13%であるのに対し非初回のそれは 0.02%と著明 な低下が見られ、初回受診者の発見率は非初回の 6.5 倍と高率である。このことは一回も受診し たことのない対象者をいかにして受診するように啓発するかが最も重要であることを示してい る。 図4 子宮がん検診[頸部] 年度別年代別受診割合 備考:平成 14 年度までのデータは、財団法人千葉県対がん協会の「年報」等による。 表4 年度別 20 歳代、30 歳代受診者数[頸部] (人) 18 年度 19 年度 20 年度 21 年度 22 年度 23年度 20歳代 786 ( 1.0) 927 (1.0) 960 (1.2) 2,340 (2.6) 2,242 (2.6) 2,531 (2.9) 30歳代 12,686 (15.4) 12,467 (14.7) 12,183 (15.1) 15,112 (16.6) 13,308 (15.5) 15,370 (17.4) 全年齢 82,286 85,006 80,449 91,088 85,694 88,401 備考:括弧内は全年齢に対する割合を示す(%)。 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0 4748495051525354555657585960616263 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011121314151617181920212223 (%) 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代以上 (昭和) (平成)
図5 子宮がん検診[頸部] 初回、非初回別がん発見数、がん発見率 (平成 16~23 年度累計) 備考:受診者数及びがん発見数は子宮頸部がん(一部市町村分を除く)の平成 16 年度から 23 年度までの 累積数である。 171 95 266 0.13 0.02 0.04 0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0 100 200 300 400 500 600 700 800 初回 非初回 合計 (%) (人) 受診者数 がん発見数 がん発見率 (左目盛×100) (左目盛) (右目盛) 129,660 558,308 687,968