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半島有事4

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Academic year: 2021

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漢江の攻防

半島有事4

Eiji Oishi

大石英司

立 ち 読 み 専 用

立ち読み版は製品版の1〜20頁までを収録したものです。 ページ操作について ◦頁をめくるには、画面上の□▶(次ページ)をクリックするか、キー ボード上の□→キーを押して下さい。 もし、誤操作などで表示画面が頁途中で止まって見にくいときは、上 記の操作をすることで正常な表示に戻ることができます。 ◦画面は開いたときに最適となるように設定してありますが、設定を 変える場合にはズームイン・ズームアウトを使用するか、左下の拡大 率で調整してみて下さい。 ◦本書籍の画面解像度には1024×768pixel(XGA)以上を推奨します。

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挿  画  安 田 忠 幸 地  図  山 影 麻 奈 D T P  平 面 惑 星

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目  次 プ ロ ロ ー グ 13 第 一 章  包 囲 の 中 で 20 第 二 章  ハ ル ラ 42 第 三 章  本 隊 降 下 作 戦 71 第 四 章  プ ロ フ ァ イ ル 99 第 五 章  暗 闇 127 第 六 章  ス コ ー ル 154 第 七 章  海 軍 反 攻 部 隊 183 第 八 章  裏 切 り 207

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登場人物紹介

朝鮮民主主義人民共和国

朝鮮人民軍 〔陸軍〕 〈第一〇六戦車師団第七〇五戦車中隊〉 柳ユヒョ孝錬ヨン 少佐。第一〇六戦車師団第七〇五戦車中隊第一小隊隊長。 羅ナヨン龍大 中佐。小隊長。柳の叔父。 蔡 チェウリョン容 中尉。小隊最古参。 〈第八特殊軍団第三八南進潜入旅団・偵察中隊〉 柳ヨン 大尉。 孟 ソンウォ 大尉。 〈第八二一部隊(幽霊部隊)〉 尚 サンガンジョ  少将。第八二一部隊隊長。 白 ペクサン 大佐。参謀長。 巨セチャン昌 中佐。遊撃中隊隊長。 丁 チョンソルサン  少佐。遊撃中隊副隊長。

日本

大使館(韓国)あかさかひろ 駐韓国日本大使。 三みむらたい泰藏ぞう 一佐。防衛駐在官(韓国)。陸上自衛隊所属。 その他どうもとはじめ  対馬市役所秘書課主事。 防衛省 〔技術研究本部〕 田たしろ代真 技官。東工大卒のプログラマ。情報本部“コンドル”の 女帝。 富 とみさと 二曹。横須賀の海洋業務群から田代がスカウトしてきた。

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〔海上自衛隊〕 〈第二二航空群第二二航空隊第二二一飛行隊〉 北 きたがわたく 三佐。SH‐60 K哨戒ヘリの編隊長。コードネーム:ブ ラック・スワン。 相 あいかわなえ 一尉。SH‐60 K哨戒ヘリ編隊長機副操縦士。 安 あんじょうとおる  三曹。整備士。SH‐60 K哨戒ヘリ編隊長機に七・六二 ミリ機関銃の射ガ ナ ー撃手として搭乗。 白 しらいあき章仁ひと 士長。SH‐60 K哨戒ヘリ編隊長機降下救助員兼センサー マン。 〔航空自衛隊〕 〈第四〇二飛行隊〉 木こぐれまこと真 一佐。入間基地第四〇二飛行隊司令。C‐2輸送機でコマ ンドを輸送。 松 まつしたゆう 一尉。C‐2輸送機副操縦士。 津みわたる亘 二佐。C‐2輸送機機長。 〈第一九警戒隊〉 富 とみさこすすむ  三佐。第一九警戒隊副隊長。 〔陸上自衛隊〕 猪 いのはらのぼる  一佐。幕僚長。 〈第七機甲師団〉 山 やまもとひろし  陸将。第七機甲師団・師団長。コードネーム:カムイハル。 〈第七一戦車連隊〉 小こばやししん信吾 一佐。第七一戦車連隊・連隊長。コードネーム:アベカムイ。 〈第一空挺団〉 織だなが長治はる 陸将補。第一空挺団長。 双 ふたばひろし博 二佐。第一空挺団第二大隊隊長。 〈特殊部隊サイレント・コア/土門小隊〉 土どもんこう康平へい 三佐。小隊長。当分家に帰れないマイホーム・パパ。コー ドネーム:プリースト。 大 おおしろまさひこ  二曹。数少ない家庭持ちの一人。コードネーム:キャッスル。

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まちだはる晴郎 三曹。地図読みの趣味を戦場でフルに生かしている。コー ドネーム:ガル。 田たぐちしん芯太 士長。部隊一の問題児も、頼れる狙撃兵に成長。コードネ ーム:リザード。 比がひろ博実 一士。ドンパチ好きのお気楽オキナワン。自称・田口の相棒。 コードネーム:ヤンバル。 姉 あねこうじさね実篤あつ 一士。総合商社の敏腕駐在員を父に持つ。コードネーム: ボーンズ。 〈特殊部隊サイレント・コア/司馬小隊〉 司ばひかる光 三佐。小隊長。紅一点にして最強のコマンド。お買い物と格 闘戦を愛する人妻。コードネーム:ウィッチ。 福 ふくとめだん  三曹。鹿児島県出身。父もたたき上げの陸自隊員。部隊のま とめ役。コードネーム:チェスト。 由らしん慎司 士長。西普連から漆原が連れてきた狙撃兵。田口をライバ ル視する。コードネーム:ニードル。 井いかける翔 士長。工専出身で、部隊のシステム屋。リベット萌え。コー ドネーム:リベット。

韓国

政府オドン銅烈ヨル 首席補佐官。大統領の右腕。陸軍出身で、特殊部隊の指揮官 経験有。 韓国軍 〔陸軍〕 姜 カンギョンムン  予備役陸軍中将。母親が日本人。姜彩夏大尉の父。 姜 カンチェ 大尉。姜卿文の娘。コードネーム:トラジ。 〔海軍〕 〈海兵隊〉 安 アンジェホン  少佐。海兵隊。第七連隊作戦参謀。 〈コマンダンテ部隊〉 崔 チェジュニク  著名なゲーム・クリエイター。海兵隊の情報部員でもある。

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〈義勇兵(パンナラ/ケナリ部隊)〉 申 シンシン 大尉。部隊長。海兵隊所属の職業軍人。コードネーム:ケナリ。 鴻 ホンサン 陸軍大尉。小隊長。鴻ホンシン星財閥の跡取りで鴻星グループの東京 支店長。鴻ホンヨンの甥。コードネーム:パンナラ・リーダー。 秋 あきけいいち (秋チュギョン慶一イル) 曹長。日本人。鴻常樹の友人。元自衛官(特殊部 隊)。 甘 カム 伍長。鴻常樹の友人。もと看護師。 全 チョンヨンジュン  伍長。海兵隊。自衛隊との戦いで大怪我を負ったが、義勇 兵に志願。コードネーム:ファルコン・ツー。 李イイルヒョン鉉 二等兵。海兵隊。身長一八五センチ。プロ入り目前だった 野球選手。 金 キムチュンシク  二等兵。海兵隊の従軍経験あり。商社に就職、アフリカで 駐在員をしていた。 下ハウイ義憲ホン 二等兵。元劇団員。 梁 ヤンイルジェ  二等兵。無口。 〈“世セジョン宗大ワン”〉 崔 チェチョン 大佐。韓国海軍初のイージス駆逐艦“世宗大王”艦長。 朴 パクヨンピョ  中佐。“世宗大王”副長。 洪 ホンソン 中尉。“世宗大王”副官。 〈“安アンジュン重根グン”〉 高ナ ミ ル一 中佐。孫ソンウォンイル一級通常動力型潜水艦“安重根”艦長。 曹 チョミョンチョル  少佐。“安重根”副長。 石 ソク 大尉。“安重根”航海長。 〈“ 鄭チョン”〉 金 キムソン 中佐。二番艦の“鄭地”艦長。 MBS(報道)ナムヨン 韓国MBSテレビの記者。東京特派員。 韓国人ソクヨンオク  ソウルの病院から赤坂大使らの一行に同行することになった 臨月の妊婦。

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半 島 有 事 4  漢 江 の 攻 防

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13 プロローグ

  夕 陽 が 落 ち た 後 の 対 馬 空 港 は 、 兵 士 の 怒 号 が 飛 び 交 っ て い た 。 な に し ろ ひ っ き り な し に 離 着 陸 を 繰 り 返 す 自 衛 隊 機 の エ ン ジ ン 音 の せ い で 、 そ う し な い こ と に は 隣 の 兵 士 と す ら 満 足 に 会 話 で き な か っ た 。   あ ち こ ち で 巨 大 な 投 光 器 が 点 灯 さ れ 、 真 昼 の よ う に 明 る い 。 場 所 に よ っ て は 、 自 分 の 右 手 を 挙 げ て 庇 ひさし を 作 ら ね ば 周 囲 が 見 え な い ほ ど に 明 る か っ た 。   ま ず 、 足 が 遅 い C ︲ 130輸 送 機 が 離 陸 し て い っ た 。 航 続 距 離 ぎ り ぎ り で 飛 び 、 帰 り は 釜 サン に 着 陸 す る 予 定 の C ︲ 1 輸 送 機 が 続 く 。   そ し て 最 後 に 、 斬 り 込 み 部 隊 を 搭 載 す る 新 鋭 C ︲ 2 輸 送 機 が 四 機 、 離 陸 の 瞬 間 を 待 っ て い た 。   だ が そ の 段 階 に な っ て も 、 そ の 四 機 に 搭 乗 す る 予 定 の 兵 士 た ち は 、 肝 心 の 降 下 ポ イ ン ト の 選 定 が 終 わ っ て い な か っ た 。 韓 国 側 が 、 当 初 か ら 予 定 さ れ て い た 降 下 エ リ ア の 変 更 を 求 め て き た こ と が 原 因 だ っ た 。   砲 撃 の 跡 も 生 々 し い 空 港 ビ ル の 玄 関 フ ロ ア で 、 ソ ウ ル の 市 街 地 を 写 し た 二 メ ー ト ル 大 の 航 空 写 真 が テ ー ブ ル の 上 に 貼 ら れ て い る 。 そ の 上 に は 、 降 下 す る エ リ ア と 、 侵 入 す る 航 空 機 の 航 路 、 到 達 す る 時 刻 、 現 在 の 気 象 デ ー タ や 風 向 き 等 が び っ し り と 書 き 込 ま れ 、 レ ジ ス タ ン ス か ら の 報 告 で 、 風 向

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14 き と 風 力 は 刻 一 刻 と 修 正 さ れ て い た 。   韓 国 側 降 下 部 隊 を 率 い る 韓 国 陸 軍 ・ 第 一 特 殊 作 戦 旅 団 ︵ 空 挺 ︶ の 旅 団 長 ・ 鄭 チョンチョル 准 将 は 、 時 折 母 国 語 で 部 下 と 会 話 し な が ら 、 日 本 側 降 下 部 隊 を 率 い る 第 一 空 挺 団 長 ・ 織 ながはる 陸 将 補 に 英 語 で 食 っ て か か っ て い た 。   そ の わ け は こ う だ っ た 。 北 朝 鮮 軍 に 占 領 さ れ た ソ ウ ル を 解 放 す る た め に 、 レ ジ ス タ ン ス 組 織 を 結 成 し よ う と 、 韓 国 軍 空 挺 と 海 兵 隊 O B 、 そ し て 陸 自 部 隊 が 一 日 早 く 降 下 潜 入 し た 。   彼 ら は 、 降 下 時 に 北 の 部 隊 と 遭 遇 し な が ら も 、 良 く 持 ち 堪 こた え 、 ソ ウ ル に 駐 在 す る 日 本 大 使 と の 合 流 も 果 た し 、 ま た 、 本 隊 の 降 下 を 援 護 す る た め に 、 敵 の 注 意 を 引 く と い う 副 次 的 な 任 務 も や り 遂 げ て い た 。   だ が 、 北 朝 鮮 軍 は 、 そ の 戦 力 を 正 確 に 見 積 も り 、 万 を 超 え る 歩 兵 と 戦 車 部 隊 で 、 ひ ね り 潰 そ う と 躍 やっ に な っ て い た 。 街 ご と 包 囲 さ れ た 潜 入 部 隊 と レ ジ ス タ ン ス の 運 命 は 今 や 風 前 の 灯 ともし で 、 外 部 か ら の 救 援 の み が 彼 ら を 救 う 手 立 て と な っ て い た 。   准 将 は 、 最 初 は 自 衛 隊 の 空 挺 も 共 に 降 下 す る こ と を 提 案 し た 。 な に し ろ 、 そ の レ ジ ス タ ン ス を 立 ち 上 げ る こ と に 協 力 し た 日 本 大 使 が そ こ に い る の だ 。 よ り 正 確 に 言 え ば 、 協 力 し た と い う よ り 、 唆 そそのか し た と い う の が 事 実 だ っ た 。 そ の 大 使 と 防 衛 駐 在 官 を 救 出 す る た め に 、 五 名 の 陸 自 隊 員 が 降 下 し て い た 。   だ が 、 織 田 陸 将 補 は 首 を 横 に 振 る だ け だ っ た 。 ﹁ ス テ ル ス U A V の 上 空 偵 察 で は 、 多 数 の 対 空 車 両 が 戦 車 部 隊 に 随 ずいはん し て い る こ と が 解 っ て い る 。 夜 だ し 、 レ ー ダ ー も 潰 し は す る が 、 そ れ で も 自 殺 行 為 と し か 思 え な い ﹂   陸 将 補 は そ う 言 っ て 断 っ た 。 ﹁ 新 型 機 の C ︲ 2 輸 送 機 は 、 そ う い う 苛 酷 な 状 況

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16 下 で こ そ 、 侵 入 し て 降 下 作 戦 を 行 う べ く 開 発 さ れ た の で は な い の で す か ﹂ ﹁ 准 将 、 お 互 い 空 挺 屋 だ 。 高 速 飛 行 で 飛 び 出 す の が 自 殺 行 為 だ と い う こ と く ら い ご 存 じ で し ょ う ﹂ ﹁ 不 可 能 だ と い う の な ら 、 お 宅 の 兵 士 を 降 ろ し て 、 う ち の 兵 隊 を 乗 せ て い た だ く だ け で 良 い ﹂ ﹁ あ ん た も 解 ら ん 人 だ な ぁ 。 本 来 予 定 し て い た 降 下 エ リ ア は 、 現 場 か ら ほ ん の 一 〇 キ ロ も 離 れ て い な い 。 そ こ か ら 駆 け つ け れ ば 良 い じ ゃ な い で す か ﹂ ﹁ 敵 の 包 囲 網 を 突 破 す る 必 要 が あ る 。 そ れ は 、 本 隊 が や る で し ょ う 。 私 は 何 も 部 隊 全 て を こ こ で 降 ろ せ と 言 っ て い る わ け じ ゃ な い 。 ほ ん の 一 個 中 隊 を 降 ろ し て く れ 、 と 言 っ て い る だ け で す よ ﹂ ﹁ 落 下 傘 を 開 い て 、 た っ た の 三 〇 〇 メ ー ト ル を 降 下 す る 間 に 、 恐 ら く 、 三 分 の 二 の 兵 士 が 敵 の 十 字 砲 火 を 受 け て 虐 殺 さ れ る で し ょ う 。 地 上 に 辿 り 着 く 前 に ﹂ ﹁ そ れ で 十 分 だ 。 敵 に 無 駄 弾 を 撃 た せ た だ け で 価 値 あ る 犠 牲 に な る ﹂   飛 行 機 は 、 お そ ら く 無 事 に 切 り 抜 け る だ ろ う 、 と 織 田 は 思 っ た 。 あ ら ん 限 り の チ ャ フ や フ レ ア を 撒 き な が ら の 侵 入 な の で 、 ま ず 敵 の 防 空 ユ ニ ッ ト の レ ー ダ ー や 赤 外 線 タ イ プ の 照 準 器 を 無 能 力 化 す る こ と は 可 能 だ 。   あ と は せ い ぜ い 、 目 視 に よ る 機 銃 の 攻 撃 だ が 、 こ れ も C ︲ 2 の 速 度 な ら 切 り 抜 け ら れ る 。 プ ロ ペ ラ の ハ ー キ ュ リ ー ズ の 速 度 な ら 危 険 だ が 、 C ︲ 2 の 速 度 な ら 、 そ の 機 銃 や 機 関 砲 の 有 効 射 程 内 に 留 ま る の は ほ ん の 数 秒 だ ろ う 。   そ の ス ピ ー ド で 飛 び 出 せ る か に つ い て は 問 題 な い 。 強 制 開 傘 の パ ラ シ ュ ー ト は 凄 ま じ い G を 受 け る の で 、 最 悪 、 兵 士 が 気 絶 す る 危 険 は あ る だ ろ う が 、 パ ラ シ ュ ー ト 自 体 は 無 事 に 開 く だ ろ う 。 問 題

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17 プロローグ は 降 下 だ 。   フ レ ア を 投 下 さ せ て い る せ い で 、 辺 り は 真 昼 の よ う に 明 る い 。 そ の 中 を 降 り る こ と に な る 。   し か も 地 上 に は 、 そ こ い ら 中 に 電 線 が 張 っ て あ る 。 昨 夜 は 、 限 ら れ た 少 人 数 で の 降 下 だ っ た か ら 、 場 所 も 選 べ た 。 そ れ で も 木 に 引 っ 掛 か っ た 兵 士 は い た ら し い 。   数 百 名 が 同 じ エ リ ア に 降 下 す る と な る と 、 場 所 も 選 べ な く な る 。 重 た い 装 備 を 背 負 っ て 、 川 に 墜 ち る 者 も 出 る だ ろ う 。 膝 下 程 度 の 深 さ で も 、 暗 闇 で は 命 取 り に な る 。 空 挺 降 下 は そ れ ほ ど 危 険 な の だ 。   そ れ 以 前 に 、 大 き な 問 題 が 一 つ あ っ た 。 ﹁ 准 将 、 そ の 降 下 作 戦 が 完 璧 に 運 ん だ と し て も 、 一 つ 大 問 題 が 横 た わ る 。 仮 に 千 人 の 空 挺 兵 を 無 事 に 降 ろ せ て も 、 包 囲 し て い る 兵 士 は 万 の 単 位 で 、 戦 車 も 恐 ら く 百 両 を 超 え る 。 全 滅 は 避 け ら れ な い ﹂ ﹁ 私 も そ こ ま で バ カ じ ゃ な い 。 味 方 部 隊 や レ ジ ス タ ン ス と 合 流 し た ら 、 包 囲 網 を 破 っ て 速 や か に 脱 出 し ま す よ 。 そ の た め に も 、 一 定 の 戦 力 が 不 可 欠 で す ﹂   織 田 は 、 肩 を 落 と し て 溜 息 を 漏 ら し た 。 ﹁ 全 く ⋮ ⋮ 、 貴 方 っ て 人 は 疫 やくびょうがみ だ ― ﹂ ﹁ え え 、 北 に と っ て こ そ 、 そ う あ り た い と 願 っ て い ま す け ど ね ﹂ ﹁ 良 い で し ょ う 。 パ イ ロ ッ ト を 口 い て 、 特 攻 作 戦 を 敢 行 し ま す 。 無 茶 な 作 戦 だ と は 思 う が 、 准 将 、 私 が 貴 方 の 立 場 で も 、 や は り 同 じ 主 張 を す る だ ろ う 。 だ か ら 作 戦 に 同 意 す る ﹂ ﹁ 後 悔 は さ せ ま せ ん よ ﹂   准 将 は 、 右 手 の 拳 こぶし で 織 田 の 右 肩 を こ づ き な が ら 言 っ た 。   織 田 は 、 残 っ た 部 隊 の 指 揮 官 を 参 集 し て 、 一 言

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18 ﹁ 行 く ぞ ﹂ と 告 げ た 。 そ れ で 十 分 だ 。 皆 覚 悟 は 出 来 て い る 。 そ の ま ま 戦 場 に 飛 び 込 む か 、 戦 場 に 駆 け つ け る の が 一 時 間 後 に な る か だ け の 違 い に 過 ぎ な い 。   も っ と も 、 准 将 が 言 う よ う に 、 敵 の 包 囲 網 を 破 っ て 脱 出 す る の が 容 易 だ と は 思 え な か っ た が 。   四 機 の C ︲ 2 輸 送 機 に は 、 す で に 両 国 の 空 挺 隊 員 が 乗 り 込 ん で い る 。 織 田 は 、 自 分 の ジ ー プ に 鄭 准 将 を 誘 っ て 、 エ プ ロ ン へ と 向 か っ た 。   投 光 器 が 、 機 体 を う っ す ら と 照 ら し て い る 。 迷 彩 が カ ラ フ ル だ っ た 。 ﹁ ま る で フ ァ ッ シ ョ ン ・ シ ョ ー み た い に カ ラ フ ル だ 。 フ ォ レ ス ト 迷 彩 も あ れ ば デ ザ ー ト 迷 彩 も あ る ﹂ ﹁ え え 、 迷 彩 試 験 の 最 中 で し て 。 ま あ 、 機 体 は 作 れ ば 良 い が 、 兵 隊 の 訓 練 に は 時 間 も 金 も か か る ﹂ ﹁ 同 感 で す 。 た だ そ れ も 、 国 が あ れ ば こ そ で す よ ﹂   C ︲ 2 輸 送 機 が 次 々 と 離 陸 し て い く 。 す で に 、 こ の 戦 争 で 二 度 目 と な る 空 挺 作 戦 を エ ス コ ー ト す る 戦 闘 機 部 隊 は 、 済 チェジュ 沖 で 旋 回 中 だ っ た 。 巡 航 速 度 で は 、 C ︲ 2 輸 送 機 の 方 が 速 い 。 い ず れ 追 い 着 く こ と に な る 。   こ の 期 に 及 ん で も 、 国 連 の 安 保 理 は 空 回 り を 続 け 、 頼 み の 綱 の 米 軍 の 姿 も な い 。 日 本 国 内 と て 、 札 幌 に 北 朝 鮮 の ダ ー テ ィ ・ ボ ム が 着 弾 し 、 右 往 左 往 と い う 状 況 だ っ た 。   幸 い に し て 、 韓 国 に 上 陸 し た 自 衛 隊 は ま だ 大 き な 損 害 を 被 っ て は い な か っ た 。   竹 たけしま の 韓 国 軍 守 備 隊 が 、 謎 の ミ サ イ ル 攻 撃 を 受 け て 全 滅 し た 直 後 、 韓 国 軍 は 間 髪 を 入 れ ず に 対 馬 の レ ー ダ ー ・ サ イ ト を 潰 し 、 対 馬 に 上 陸 作 戦 を 敢 行 し て き た 。 日 本 側 は 竹 島 攻 撃 を 韓 国 軍 に よ る 自 作 自 演 劇 と 見 て い た が 、 韓 国 軍 が 対 馬 で 劣 勢 に 陥 る と 、 北 は 韓 国 の 主 要 都 市 で 一 斉 に コ マ ン ド を 蜂

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19 プロローグ 起 さ せ 、 三 八 度 線 を 突 破 し て き た 。   全 土 が 掌 握 さ れ 、 の ち に ﹁ ブ ラ ッ ク ア ウ ト ・ コ リ ア ﹂ と 呼 ば れ る 暗 黒 の 占 領 状 態 が 始 ま っ た 。   対 馬 の 韓 国 軍 部 隊 は 、 た だ ち に 講 和 を 申 し 出 て 、 日 本 側 は 韓 国 軍 と 共 に 反 撃 に 打 っ て 出 た 。 対 馬 を 巡 る 戦 闘 で は 、 日 本 も 韓 国 も 大 き な 犠 牲 を 強 い ら れ た 。 だ が そ れ も 、 今 や 過 去 の 話 だ 。 ほ ん の 一 週 間 前 、 死 闘 を 繰 り 広 げ た 彼 ら は 、 今 は 手 を 取 り 合 い 、 共 に 戦 っ て い た 。

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章 

  あ っ と い う 間 の 一 日 だ っ た 。 海 兵 隊 O B か ら な る コ マ ン ダ ン テ ・ グ ル ー プ 、 韓 国 陸 軍 空 挺 部 隊 、 そ し て 陸 上 自 衛 隊 の た っ た 五 名 の コ マ ン ド が 、 ソ ウ ル 郊 外 の 住 宅 街 に 降 下 し た の は 、 丸 一 日 前 の こ と だ 。   運 悪 く 、 三 八 度 線 か ら 市 内 中 心 部 へ 向 か っ て い た 敵 の 歩 兵 部 隊 と 鉢 合 わ せ す る 羽 目 に な っ た が 、 こ れ を 撃 退 し 、 戦 車 部 隊 に よ る 制 圧 も 二 度 は 退 け た 。 三 八 度 線 の 北 側 か ら の 野 砲 攻 撃 で 、 街 は 火 の 海 と 化 し 、 巨 大 な ア パ ー ト 群 は 瓦 れき の 山 と 化 し た が 、 そ れ で も 彼 ら は そ こ に 踏 み 留 ま っ た 。   だ が 、 神 出 鬼 没 の 降 下 部 隊 に 対 し て 不 利 を 悟 っ た 北 朝 鮮 軍 は 、 捕 虜 に し た 住 民 を 橋 の 上 で 銃 殺 し 、 首 縄 を し て 水 面 に ぶ ら 下 げ 、 脅 し を か け て き た 。   本 来 、 降 下 部 隊 は 、 後 か ら 来 る 空 挺 本 隊 を 援 護 す る こ と が 主 任 務 だ っ た が 、 そ の 住 民 虐 殺 を 阻 止 す る た め に 地 元 の レ ジ ス タ ン ス ・ グ ル ー プ と 行 動 を 共 に し 、 戦 場 へ と 取 っ て 返 し た 。   敵 を 蹴 散 ら し 、 幾 度 と な く 虐 殺 を 阻 止 し た が 、 い か ん せ ん 相 手 の 数 が 多 す ぎ た 。 そ う な る こ と は 解 り 切 っ て は い た も の の 、 日 没 と 同 時 に 四 方 八 方 か ら 包 囲 さ れ 、 身 動 き が 取 れ な い 状 況 に 陥 り つ つ あ っ た 。   人 間 の 鎖 な ら ぬ 兵 士 の 鎖 で 街 を 包 囲 す る か の よ

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